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審決分類 |
審判 一部申立て 登録を取消(申立全部取消) X3742 |
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管理番号 | 1228561 |
異議申立番号 | 異議2009-900341 |
総通号数 | 133 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2011-01-28 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2009-08-31 |
確定日 | 2010-10-29 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第5235134号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第5235134号商標の指定役務中、第37類「建設工事,建築工事に関する助言」及び第42類「建築物の設計,測量,デザインの考案,建築又は都市計画に関する研究,公害の防止に関する試験又は研究,電気に関する試験又は研究,土木に関する試験又は研究」についての商標登録を取り消す。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第5235134号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成よりなり、平成20年7月14日に登録出願、第35類「広告,トレーディングスタンプの発行,経営の診断又は経営に関する助言,市場調査,商品の販売に関する情報の提供,ホテルの事業の管理,財務書類の作成,書類の複製,文書又は磁気テープのファイリング,商品の受注・発注業務の代行・媒介又は取次ぎ,建築物における来訪者の受付及び案内」、第37類「建設工事,建築工事に関する助言,建築設備の運転・点検・整備,配電用又は制御用機械器具の修理又は保守,発電機の修理又は保守,電動機の修理又は保守,測定機械器具の修理又は保守,医療用機械器具の修理又は保守,洗浄機能付き便座の修理」及び第42類「建築物の設計,測量,地質の調査,機械・装置若しくは器具(これらの部品を含む。)又はこれらの機械等により構成される設備の設計,デザインの考案,建築又は都市計画に関する研究,公害の防止に関する試験又は研究,電気に関する試験又は研究,土木に関する試験又は研究」を指定役務として、同21年5月29日に設定登録されたものである。 2 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する2007年商標登録願第40718号に係る商標(以下「引用商標」という。)は、別掲2のとおりの構成よりなり、第6類、第9類、第19類、37類及び第42類に属する願書記載の商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成19年4月23日に登録出願され、その後、指定商品及び指定役務については、平成20年1月21日及び同22年1月18日付けの手続補正書により、第37類「建設工事,建築工事に関する助言」及び第42類「建築物の設計,デザインの考案,建築又は都市計画に関する研究」を含む別掲3に記載の第6類、第19類、第37類及び第42類に属する商品及び役務に補正され、同年3月19日に登録第5310547号商標として設定登録されたものである。 3 登録異議の申立ての理由(要旨) 申立人は、本件商標は、引用商標と「ラシサ」の称呼を共通にする類似の商標であって、その指定役務も同一又は類似の関係にあり、引用商標より後に出願されたにもかかわらず、本願商標が先んじて登録を受けたことは、商標法第8条第1項の規定に違反するものであるから、同法第43条の2第1項により、申立てに係る指定役務については、その登録は取り消されるべきである旨主張し、証拠方法として甲第1号及び第2号証を提出した。 4 本件商標に対する取消理由(要旨) 当審において、登録異議申立に基づき、平成22年3月4日付けで商標権者に対して通知した取消理由は、要旨以下のとおりである。 (1)本件商標と引用商標との類否について 本件商標は、別掲1に示すとおり、第1段目の「らしさ」あるいは第2段目の「la・si・sa」の部分が、他に表された文字部分と比較して大きく顕著に表されていることから、他の部分より独立して自他商品・役務の識別力を有するものと認められるものであるから、該構成文字に相応して「ラシサ」の称呼を生じ、また、特定の観念を生じさせることのない造語と看取されるものである。 他方、引用商標は、別掲2に示すとおり、他の文字に比して太く表された「Lashisa」の文字に相応して「ラシサ」の称呼を生ずるものであり、また、特定の観念を生じさせることのない造語と看取されるものである。 そうとすると、本件商標と引用商標とは、外観においては相違し、観念上比較することができないものであるとしても、「ラシサ」の称呼を同じくする類似の商標というべきである。 そして、上記1及び2のとおり、本件商標は、引用商標の後願に係るものであり、本件商標の指定役務中、第37類「建設工事,建築工事に関する助言」及び第42類「建築物の設計,測量,デザインの考案,建築又は都市計画に関する研究,公害の防止に関する試験又は研究,電気に関する試験又は研究,土木に関する試験又は研究」は、引用商標の指定役務と同一又は類似の役務である。 (2)まとめ したがって、本件商標は、その指定役務中、結論に記載した役務については、商標法第8条第1項に違反して登録されたものである。 5 商標権者の意見 (1)両商標の称呼 本件商標は、大きく表された平仮名文字「らしさ」の文字から「ラシサ」の称呼を生じ、それ以外の称呼は生じることはない。 異議申立書では、引用商標からも「ラシサ」の称呼を生じること明らかであると述べているが、明らかであるとはいい難いため、これについて詳述する。 引用商標の構成中には、「Lashisa」以外に「Garden」「Design」の文字も表されている。したがって、引用商標からは、落ち葉図形の周囲に表されている「Garden」「Design」「Lashisa」のそれぞれの文字から称呼が発生する。そして、引用商標を構成している3つの「Garden」「Design」「Lashisa」は全て欧文字で記載されており、「Garden」「Design」は日本人に親しみのある「庭」「デザイン」を意味する英語であることから、需要者は下段の「Lashisa」も英単語として考えるのが普通であるから、「Lashisa」からは、英語として発音される「ラシサ」、「レイシサ」、「レイシーサ」等の称呼が発生するものであり、直感的に「ラシサ」だけの称呼が発生するものではない。 したがって、引用商標からは「ラシサ」だけでなく、「ガーデン」「デザイン」「ガーデンデザイン」「ガーデンデザインラシサ」「レイシーサ」「レイシサ」等の称呼が発生する。仮に引用商標から「ラシサ」の称呼が生ずると認識された場合には、本願商標と引用商標は同じ称呼になるが、「ガーデン」「デザイン」「ガーデンデザイン」「ガーデンデザインラシサ」「レイシーサ」「レイシサ」等の称呼が認識された場合は、両商標の称呼は非類似あることは明らかであり、引用商標からさまざまな称呼が生ずることを考慮すると、「ラシサ」だけの称呼を取り出して両商標の類否を判断することは大きな誤りである。 (2)両商標の外観 本願商標と引用商標は外観上極めて顕著な差異を有するもので、外観上、明らかに異なるものである。 (3)両商標の観念 本件商標構成中の「らしさ」の文字部分は、例えば「女らしさ」「男らしさ」「人間らしさ」のように「・・・としての特質をよくそなえている、いかにも・・・の様子である」(大辞林第二版)を意味する語を表し、かつ、「らしさ」の語自体が日常的に親しまれた平易な日本語であることから、本件商標は、接尾語ではないものの「らしさ」単体で、「いかにも・・・の様子である」との明確な観念を生ずるものと認められるものであり、「らしさ」以外の構成部分は幾何学的であり、他の新たな観念を生じさせるものではない。 他方、引用商標は、落ち葉図形が構成中の大部分を占め、真っ先に需要者及び取引者の目を惹きつけるものであって、周りに記載された「Garden」「Design」「Lashisa」は落ち葉図形に比べて小さく表されているものであるため、需要者は引用商標の落ち葉図形をもって引用商標を認識するものである。さらに、落ち葉図形の周りに表されている「Garden」「Design」の文字が落ち葉と図形と一緒に表されることにより、指定商品との関係において、「庭園デザインを重視した造園工事・外構工事」をすぐに想起させることから、需要者はより落ち葉図形をもって引用商標を認識するものと思慮する。したがって、「Lashisa」の文字よりも落ち葉図形から与えられる観念に「Garden」「Design」の文字が結びつきやすいため、引用商標は「庭園デザインを重視した造園工事・外構工事」の観念を生じさせるものである。引用商標の構成中「Lashisa」の文字から、たとえ「ラシサ」の称呼が発生したとしても、欧文字による単なる音として発生するだけで、本件商標のような観念を生じさせるものではない。 よって、本件商標「らしさ」からは、特定の観念が生じるのに対し、引用商標「Lashisa」からは特定の観念が生ずるものではない。 (4)指定役務に係る取引実情の関係 本願商標及び引用商標の指定役務は、第37類「建設工事,建築工事に関する助言」及び第42類「建築物の設計,デザインの考案,建築又は都市計画に関する研究」いわゆる建設請負に関する役務は、需要者にとっては一生に一度あるかないかの高価な買い物であるため、取引は大変注意深く行われる。 本役務の業界「建設業界」の取引事情として、電話等による口頭では取引されるものではなく、取引の際は、パンフレットやカタログ等を用いて口頭のみならず視覚的に行われることが不可欠であるため、混同が生ずることはありえない。要するに、需要者は商標だけでは取引を行わず、信頼すべき出所を確認した上で取引を行うことが業界の特殊事情であり、商標の機能は広告宣伝的要素が強いものといえ、称呼以上に外観及び観念が与えるイメージが需要者が役務を選択する上で、需要者自身に合った役務を選択する重要な判断材料となる。 したがって、当業界の特殊な取引事情により両商標を取り違う可能性及び混同は生じないものである。 (5)登録例 共通の称呼が生ずるとしても、外観、観念及び取引の実情を総合的に考察した結果、登録となった例を、甲第1号証ないし甲第10号証に示す。 (6)まとめ 以上によれば、本件商標からは「ラシサ」の称呼及び「いかにも・・・の様子である」程の観念を生ずるものであり、引用商標からは、「ガーデン」「デザイン」「ガーデンデザイン」「ガーデンデザインラシサ」「レイシーサ」「レイシサ」等の多数の称呼が発生し、「庭園デザイン」や「外構デザイン」程の観念を生ずるというのが相当であるから、たとえ、引用商標が「ラシサ」と読まれる場合があるとしても、本件商標とはその外観及び観念において判然と区別し得るものであって、各々より受ける全体の印象を著しく異にするものであるから、総合して全体的に考察すれば、商品の出所について混同を生ずるおそれはないものであって、全体として類似する商標ということはできないというのが相当である。 したがって、引用商標が設定登録されたときには、商標法第8条第1項に違反して登録されたものということはできない。 6 当審の判断 (1)本件商標についてした取消理由の通知(前記4)は妥当なものと認められるものであり、本件商標は、商標法第8条第1項に違反して登録されたものである。 (2)商標権者の主張 ア 両商標の称呼について 商標権者は、意見書において「引用商標からは「ラシサ」だけでなく、「ガーデン」「デザイン」「ガーデンデザイン」「ガーデンデザインラシサ」「レイシーサ」「レイシサ」等の称呼が発生し、「ラシサ」以外の称呼が認識された場合には、非類似の称呼であることは明らかであり、さまざまな称呼が生ずる引用商標から、「ラシサ」だけの称呼を取り出して両商標の類否を判断することは大きな誤りである。」旨主張している。 しかしながら、引用商標は、その構成中の文字全体として特定の観念が生ずる等、文字全体を一体不可分のものとして把握しなければならないとする特段の事情は見いだせず、また、「Garden」と「Design」の文字が共に青色の筆記体で書されているのに対し、「Lashisa」の文字はやや太めの茶色のゴシック体で書される等、文字の色あるいは形が明らかに相違するものであり、さらには、請求人も述べるように、「『Garden』『Design』の文字が落ち葉図形と一緒に表されることにより、指定役務との関係において、『庭園デザインを重視した造園工事・外構工事』を想起させる」程に文字と図形の結びつきが強いものであって、指定役務との関係では比較的識別力の弱い部分と言えるものであることからすれば、他の文字に比して大きく書された「Lashisa」の文字に着目し、これより生ずる称呼をもって取引に資される場合も決して少なくないものといえる。 そうとすれば、引用商標の文字部分からは、「ガーデンデザインラシサ」及び「ガーデンデザイン」の他に、「ラシサ」の称呼をも生ずるものとみるのが相当である。 そして、「一の商標にあって、複数の要部を有し、その各要部から取引に資される複数の称呼や観念を生ずることがあるのは、経験則の教えるところである(最高裁判所昭和38年3月5日第1小法廷・昭和37年(オ)第953号判決参照)」と判示されていることからしても、「ラシサ」の称呼をも生ずる引用商標と、同じく「ラシサ」の称呼を生ずる本件商標とは、称呼を共通にする類似の商標といえるものであり、請求人の前記主張は採用することはできない。 イ 両商標の観念について 商標権者は、本件商標の構成中の「『らしさ』単体で、『いかにも・・・の様子である』との明確な観念を生ずるものと認められるのに対し、引用商標『Lashisa』からは特定の観念が生ずるものではない。」旨主張している。 しかしながら、「らしさ」の語は、「名詞や形容動詞の語幹に付いて、そのものの特徴がよく出ていることを表す語(大辞泉)」であり、一般的に「男、女、人間」等の名詞等の語と併せて使用され、その場合に意味を持つものであり、「らしさ」のみでは、漠然とした意味合いをイメージさせるにすぎないものである。(広辞苑には採録なし。) さらに、本件商標中の「らしさ」の文字は、その構成からして、「relax」「simple」「safety&satisfaction」の文字中の青色に着色された文字「la・si・sa」を片仮名表記したものと看取されるものであり、かかる構成からは「らしさ」の文字から、商標権者が述べるような明確な観念が、直ちに生ずるものとはいい難く、一種の造語と認められるものであるから、請求人の前記主張は採用できない。 ウ 指定役務に係る取引実情の関係について 商標権者は、「両商標の指定役務は、いわゆる建設請負に関する役務であり、高価な買い物であるため、取扱いは大変注意深く行われ、「建設業界」の取引事情として、電話等による口頭では取引されるものではなく、パンフレットやカタログ等を用いて視覚的に行われることは不可欠である」旨主張している。 確かに被請求人が述べるとおり、パンフレットやカタログ等を用いて取引が行われることが事実だとしても、例えば、建築事務所や設計事務所において、新規の顧客獲得等のために、ラジオCMやテレビCM等が実際に行われて、また、電話等による物件の紹介等も普通に行われていることからすれば、音声を用いた宣伝・広告に対する人の耳からの記憶(商標の称呼)についても、出所の識別に重要な役割を果たしているといえるものであるから、称呼が同一であったとしても出所の混同が生じることはないとする、商標権者の主張は採用することはできない。 エ 登録例について 商標権者が、その主張の根拠として挙げた登録例及び審決例は、いずれも本件商標とは商標の構成態様を異にするばかりでなく、そもそも、商標の類否判断は、比較する両商標について個別具体的に考察し、検討されるべきものであって、他の登録例の存在によって上記判断が左右されるものではないから、この理由をもって先の取消理由の認定を覆すことはできない。 (3)以上のとおり、本件商標は、商標法第8条第1項に違反して登録されたものであるから、同法第43条の3第2項により、その指定役務中「結論掲記の指定役務」についての登録を取り消すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲1(本件商標)(色彩については原本参照。) 別掲2(引用商標)(色彩については原本参照。) 別掲3(引用商標の指定商品及び指定役務) 第6類 建築用又は構築用の金属製専用材料,金属製建造物組立てセット,金属製金具,金属製のネームプレート及び標札,金属製郵便受け,金属製建具,金属製の可搬式家庭用温室 第19類 陶磁製建築専用材料・れんが及び耐火物,リノリューム製建築専用材料,プラスチック製建築専用材料,合成建築専用材料,アスファルト及びアスファルト製の建築用又は構築用の専用材料,ゴム製の建築用又は構築用の専用材料,しっくい,石灰製の建築用又は構築用の専用材料,石こう製の建築用又は構築用の専用材料,セメント及びその製品,木材,建築用ガラス,セメント製品製造用型枠(金属製のものを除く。),建具(金属製のものを除く。) 第37類 建設工事,建築工事に関する助言 第42類 建築物の設計,デザインの考案,建築又は都市計画に関する研究 |
異議決定日 | 2010-09-06 |
出願番号 | 商願2008-57079(T2008-57079) |
審決分類 |
T
1
652・
4-
Z
(X3742)
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最終処分 | 取消 |
前審関与審査官 | 津金 純子、今田 三男 |
特許庁審判長 |
佐藤 達夫 |
特許庁審判官 |
野口 美代子 小川 きみえ |
登録日 | 2009-05-29 |
登録番号 | 商標登録第5235134号(T5235134) |
権利者 | 大和ハウス工業株式会社 |
商標の称呼 | ラシサ、リラックスシンプルセーフティアンドサティスファクション、リラックスシンプルセーフティサティスファクション、リラックスシンプル、リラックス、シンプルセーフティアンドサティスファクション、シンプルセーフティサティスファクション、シンプル、セーフティアンドサティスファクション、セーフティサティスファクション |
代理人 | 亀川 義示 |