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審決分類 審判 全部無効 商4条1項8号 他人の肖像、氏名、著名な芸名など 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Y41
管理番号 1228269 
審判番号 無効2010-890006 
総通号数 133 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2011-01-28 
種別 無効の審決 
審判請求日 2010-01-21 
確定日 2010-11-08 
事件の表示 上記当事者間の登録第4833565号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4833565号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4833565号商標(以下「本件商標」という。)は、「チャイルド自由学園」の文字を横書きしてなり、平成15年9月18日に登録出願され、第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,図書の供覧,図書の貸与,美術品の展示,映画・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,娯楽施設の提供,遊戯用器具の貸与」、第43類「宿泊施設の提供,飲食物の提供,保育施設における乳幼児の保育,老人の養護」及び第44類「美容,理容,入浴施設の提供,栄養の指導,あん摩・マッサージ及び指圧,きゅう,はり,医業,医療情報の提供」を指定役務として平成16年11月22日に登録査定、同17年1月21日に設定登録され、その後、本権の一部放棄(平成21年8月6日受付)により、指定役務のうち、第43類「宿泊施設の提供,飲食物の提供,保育施設における乳幼児の保育,老人の養護」及び第44類「美容,理容,入浴施設の提供,栄養の指導,あん摩・マッサージ及び指圧,きゅう,はり,医業,医療情報の提供」について本権の登録の一部抹消がされているものである。

第2 請求人の主張の要点
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1ないし第208号証(枝番を含む。)を提出している。
1 「自由学園」の著名性について
(1)請求人である「学校法人自由学園」(以下、単に「自由学園」ということがある。)は、大正10年(1921年)4月15日に、羽仁吉一・もと子夫妻により、東京目白(現在の豊島区西池袋)に女子のための中等教育を行う学校として創立された(甲第3及び第4号証)。羽仁吉一・もと子の二人は、当時の一流紙、報知新聞の元記者(もと子は日本最初の女性新聞記者)であり、後に婦人啓蒙雑誌「婦人之友」を創刊、編集・発行するジャーナリストであった(甲第4、第39及び第40号証)。
(2)校名である「自由学園」は、新約聖書ヨハネによる福音書第8章第32節にあるイエス・キリストの言葉「真理はあなたたちを自由にする(Ye shall know the truth, and the truth shall make you free.)」からとられた(甲第4号証の1、1頁)。羽仁吉一・もと子の二人は、自分たちの理想とする教育を行うため、当時の女学校令によらない「各種学校」として「自由学園」を発足させた(甲第4号証の1、3頁)。最初の校舎の設計は、ル・コルビュジエ、ミース・ファン・デル・ローエと共に近代建築の三大巨匠と呼ばれるアメリカの建築家フランク・ロイド・ライトが行った(甲第4号証の1、45頁)。この校舎は、後に「明日館(みょうにちかん)」と名付けられ、1997年には国の重要文化財に指定され、我が国近代を代表する歴史的建築の一つとして位置づけられている(甲第4号証の1、45頁及び第18号証)。
昭和2年に、「自由学園」は、現在の東京都東久留米市に土地を求めて移転し、初等部が設立された(甲第4号証の3)。ライトを羽仁夫妻に紹介した建築家、遠藤新はライトの弟子であり、昭和9年、ライトの流れをくむ女子部校舎を設計した(甲第43及び第44号証)。
(3)その後、昭和10年に男子部、昭和14年に幼児生活団(幼稚園)、昭和24年に大学に相当する男子最高学部、翌昭和25年に女子最高学部(短期大学に相当)ができ、4歳児から22歳までの青年男女を育てる一貫教育校となった。当初は、文部省令によらない各種学校だった女子、男子の中等科、高等科は、戦後の学制改革の際に文部省が許可を与え、新制中学、高等学校となった。しかし、最高学部は今日も文部科学省の学校教育法によらない各種学校のままであり、自由学園独自の教育を行っている(甲第4号証の1、3頁)。
(4)このような歴史を有する「自由学園」の語は、平凡社「世界大百科事典」(甲第5号証)、小学館「日本大百科全書」(甲第6号証)、「日本歴史大事典」(甲第7号証)といった我が国を代表する辞書、百科事典に掲載されている。さらに、「広辞苑」(甲第8号証)をはじめとする辞書、辞典、百科事典、人名辞典、その他各種事典に、独立した項目として、また「羽仁もと子」の業績の一つとして紹介されてきた(甲第8ないし第12及び第50ないし第69号証)。
なお、広辞苑には、昭和30年(1955年)発行の第2版から平成20年(2008年)発行の第6版まで、50年以上にわたって掲載され続けている(甲第8及び第13ないし第16号証)。
(5)上記のように、「自由学園」商標は、請求人により、大正10年(1921年)から90年近くの永きにわたり、一貫して「教育(知識の教授)」並びに「教育」に関連するサービスについて使用されている。そして、「自由学園」における教育(知識の教授)のユニークさは、古くから現在に至るまで、途絶えることなく教育に関する書籍、新聞・雑誌等に取り上げられてきた(甲第17ないし第25、第36ないし第38及び第70ないし第189号証)。
(6)最近の例を挙げれば、「靴をそろえて脱ぐ自由」(甲第17号証)、校内での野菜栽培や豚の飼育(甲第19及び第24号証)、食の学び一貫教育(甲第20ないし第22、第24及び第36号証)、自由学園の食の大事さ(甲第23号証)、生徒参加の教育(甲第25号証)、自労自治(甲第37及び第38号証)、自由学園幼児生活団通信グループ(甲第49号証)の如くである。また、かつて自由学園で講師を務めた著名人や、老人ホームヘのボランティア活動等に関するネットニュース・記事等においても、その独創的な教育の素晴らしさが紹介されている(甲第41及び第42号証)。
(7)加えて、女優の故岸田今日子氏、指揮者の故山本直純氏、映画監督の羽仁進氏を始め数多くの知識人や著名人が自由学園の卒業生として輩出しており(甲第190及び第191号証)、非政府組織(NGO)の活動家や、その先駆的な芸術教育から生まれた写真家・音楽家等の活躍についても各種メディアで取り上げられている(甲第45ないし第48及び第192ないし第202号証)。
(8)以上述べたように、百科事典等の辞書・事典等には、いずれも「学校法人自由学園」という名称ではなく、単に「自由学園」という名称の略称が独立した項目名として掲げられており、また、各種新聞・雑誌記事にも、「自由学園」という略称をもって繰り返し紹介されている。すなわち、請求人の名称の略称としては、すべて「自由学園」が使用されていることから、「自由学園」といえば請求人を指称するものとして、本件商標の登録出願時には既に世間一般に知られた「著名な略称」となっており、その状態は、本件商標の登録査定時においても継続していたというべきである。
2 本件商標の商標法第4条第1項第8号該当性について
(1)商標法第4条第1項第8号(以下、単に「8号」ということがある。)は、他人の名称の著名な略称を含む商標は、その他人の承諾を得ているものを除き、商標登録を受けることができない旨規定する。
8号の保護法益については、ア)立法の沿革、イ)他人の承諾が登録の条件となっていること、ウ)登録無効審判請求の場合に私益の保護を目的とする条項についてのみ適用されると解される除斥期間の規定の適用があること(商標法第47条)、エ)出所混同防止のための第4条第1項第10号・第15号との整合性がとれないこと、等から、他人の人格権を保護する趣旨の下に設けられたものと解されている(特許庁「工業所有権法逐条解説[第16版]」1062頁、網野誠「商標〔第6版〕」335頁、小野昌延「注解商標法」162頁、田村善之「商標法概説[第2版]」217頁、東京高裁昭和36年3月30日判決行裁集12巻3号540頁等)。
また、8号にいう「他人」とは、自己以外のもので、現に日本国に生存する自然人、又は現存する法人をいい(大判昭3.3.29評論18巻諸法238頁)、「他人」の「名称」の中には、学校法人や株式会社等の法人の名称が含まれる。
(2)ここで、請求人の法人としての正式名称は「学校法人自由学園」であるからこれから「学校法人」の文字を除いた「自由学園」の部分は、商標法第4条第1項第8号にいう「(現存する)他人の」「名称」の「略称」に該当する。また、被請求人は、本件商標「チャイルド自由学園」の登録に関し、請求人から何らの承諾も得ていない。
さらに、「自由学園」という請求人の「名称の略称」は、前記1で述べたとおり、請求人の永年の使用により既に著名となっている。この点に関し、「東京自由学園」という構成からなる商標(登録第4145910号)に対して過去に請求人が請求した無効審判(甲第31号証:無効2003-035193)で、審決は以下のように述べ、「自由学園」の著名性を認定した。
「『自由学園』の名称は、請求人により大正10年から現在に至るまで80年以上の永きにわたり、一貫して『教育(知識の教授)』及び教育に関連する役務について使用」されたことにより、「『自由学園』が請求人が運営する学校名及び請求人の略称として、また、請求人が提供する役務(知識の教授、他)についての商標として、本件商標の出願日(平成8年4月9日)より、はるか以前から、わが国において広く知られていたことが認められる。しかして、本件商標は、他人(請求人)の著名な略称『自由学園』を含む『東京自由学園』の文字よりなるものであり、かつ、請求人の承諾を得たものとは認められない」から、商標「東京自由学園」は、法4条1項8号に該当する(甲第31号証4頁第4.)。
(3)翻って本件について考えてみるに、本件商標の8号該当性を判断する際に、その著名性の認定について異なる判断をするいわれはないから、本件においても、請求人の略称「自由学園」の8号にいう著名性は認定されるべきである。
3 審査基準について
ところで、特許庁商標課編の「商標審査基準」では、商標法第4条第1項第8号に関し、その第3項に、「本号でいう『著名』の程度の判断については、商品又は役務との関係を考慮するものとする。」と記載されている。
しかして、本件商標は、前記のとおり、第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授、図書の供覧、図書の貸与、美術品の展示、映画・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営、娯楽施設の提供、遊戯用器具の貸与」を指定役務とするものであるところ、これらはいずれも、請求人がその著名な略称「自由学園」を使用して提供する役務と密接な関係を有するものである。
すなわち、請求人は、前記した教育事業の他にも、「自由学園」という略称の下において、以下に掲げるような事業を現実に行っている。
(1)まず、会館事業として、前記フランク・ロイド・ライトが設計した「自由学園 明日館(みょうにちかん)」の施設貸出を行い、各種セミナーやコンサート等を開催し、好評を博している(甲第28及び第32ないし第34号証)。
(2)また、自由学園の卒業生により創設された「自由学園 工芸研究所」においては、玩具等を中心とする美術工芸品の製造のみならず、展示・販売等も行っている(甲第4、第29及び第35号証)。なお、「自由学園 工芸研究所」の玩具の数々は、愛子内親王ご愛用としても報道され、国民にも広く知られている(甲第203ないし第207号証)。
このように、請求人の略称である「自由学園」は、本件指定役務との関係を考慮してもなお、著名であると言い得るものである。
4 最高裁判決について
他方で、商標法第4条第1項第8号にいう「著名」の意義に関しては、本号が人格権を保護法益とするものであり、人格権とは、本来、有名であるか否かにより保護の必要性の程度に差異が生ずるものではないから、ここでいう「著名」の程度、範囲等は、当該略称が、当該人格に対する評価が問題となり得る範囲の社会において、当該特定の人格を表示するものとして、正式な「名称」と同視することを可能とする機能を持ち得るか否かという趣旨にしたがって考えられるべきである。
このことは、「国際自由学園」商標(登録第4153893号)に対する無効審判事件で、最高裁平成16年(行ヒ)第343判決(甲第208号証、判例時報1908号164頁 判例タイムズ1189号177頁)が、以下のように正当に判示したことからも明らかである。
すなわち、「商標法4条1項は、商標登録を受けることができない商標を各号で列記しているが、需要者の間に広く認識されている商標との関係で商品又は役務の出所の混同の防止を図ろうとする同項10号、15号等の規定とは別に、8号の規定が定められていることからみると、8号が、他人の肖像又は他人の氏名、名称、著名な略称等を含む商標は、その他人の承諾を得ているものを除き、商標登録を受けることができないと規定した趣旨は、人(法人等の団体を含む。以下同じ。)の肖像、氏名、名称等に対する人格的利益を保護することにあると解される。すなわち、人は、自らの承諾なしにその氏名、名称等を商標に使われることがない利益を保護されているのである。略称についても、一般に氏名、名称と同様に本人を指し示すものとして受け入れられている場合には、本人の氏名、名称と同様に保護に値すると考えられる。
そうとすると、人の名称等の略称が8号にいう『著名な略称』に該当するか否かを判断するについても、常に、問題とされた商標の指定商品又は指定役務の需要者のみを基準とすることは相当ではなく、その略称が本人を指し示すものとして一般に受け入れられているか否かを基準として判断されるべき」と判示した。
5 「含む」の意義について
前記したとおり、「自由学園」という請求人の名称の略称は、「教育」その他の役務について、請求人の永年の使用により著名性を獲得しているものであるところ、本件商標「チャイルド自由学園」は、「自由学園」を主たる構成要素とし、前半部分に「チャイルド」という識別力の無い語を付加したにすぎない。
すなわち「チャイルド」の語は、一般に「子ども」の意を以て親しまれ日常的に使用される普通名詞であり、「知識の教授」を始めとする本件商標の指定役務との関連からも、また、被請求人が小学校や中学校を受験するための学習塾(幼児教室)を経営している(甲第26及び第30号証)事実からしても、役務の提供を受ける者を特定し当該役務の質(内容)を明らかにする表示として使用される用語であるから、本件指定役務との関係においては、自他役務の識別力を有しないものである。
加えて、前述のとおり、「自由学園」は、請求人の略称として著名であることから、本件商標に接する看者は、「自由学園」の部分にのみ強い注意を惹き付けられるというべきである。ましてや、本件商標「チャイルド自由学園」は片仮名と漢字から構成されているから、外観上も分離され易く、上記の傾向をより強めるものである。実際に、インターネットの検索エンジンを使用すると、「チャイルド自由学園」を「自由学園」と記述した記事が発見された(甲第27号証)。
このような事実からも明らかなとおり、本件商標が、商標法第4条第1項第8号にいう「他人の著名な略称」を「含む」商標に該当することは明らかというべきである。
なお、裁判例においても、東京高裁昭和53年4月26日判決は、「SONYAN」という商標が他人の名称の著名な略称「SONY」を含むと判断しており、他人の略称に別の語を付加してこれと一体化した構成をとる結合商標についても、8号の適用を認めている。
6 結語
以上詳述したように、「自由学園」は、百科事典等の辞書、事典、教育史に関する書籍、一般史実に関する書籍、その他各種事典等に、必ずと言っていいほど掲載されている。そして、これらの事典類における項目は、いずれも「学校法人自由学園」ではなく「自由学園」という略称で請求人について記載しているものである。また、その他の一般大衆向け雑誌や新聞等でも、「自由学園」という略称で、記事が掲載されている。
このように、教育関係者・研究者のみならず、国民一般に向けられた日本の有数の各百科事典においてまで、請求人の略称が紹介されている以上、その略称の著名性を否定し、これを含む商標の登録を許すことは、商標法第4条第1項第8号を設けた前記の立法趣旨に鑑み、請求人の名称に関する法人としての人格権を害するものであることは明らかである。
また、前記最高裁判決のとおり、本号における「著名性」を需要者に限定して検討する必要性は存在せず、8号の趣旨から考えて、請求人が属する社会、業界において著名であれば足りるものである。請求人の属する社会、業界は、その独自の教育思想、高い教育理念から、教育の専門家、知識人の属する社会とオーバーラップしているものであり、このような社会において、請求人の法人としての氏名権、信用が害されることを許さないことこそ、本号の趣旨である。
本件商標「チャイルド自由学園」を構成する「チャイルド」の語は、「東京自由学園」や「国際自由学園」における「東京」や「国際」の語と同様に、その後に続く語を形容するために付加される語であり、商標法第4条第1項第8号の適用にあたっては、区別されるべき理由はない。学説でも「出所の混同のおそれを防止することが目的ではないので、出所を識別する機能を発揮しうる付加語が付されていたとしても、氏名、名称等を含むと認められる限り、8号該当性が左右されることにはならない」といわれている(田村善之「商標法概説[第2版]」222頁)。
これまで述べてきたように、「自由学園」は、請求人が運営する学校名及び略称として、本件商標の出願日(平成15年9月18日)より、はるか以前から、わが国において広く知られ、著名性を獲得している。しかして、本件商標は、その請求人の著名な略称「自由学園」を含む「チャイルド自由学園」の文字よりなるものであり、かつ、請求人の承諾を得たものではない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に該当し、その登録は、同法第46条第1項の規定により無効とされるべきである。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、何ら答弁していない。

第4 当審の判断
1 「自由学園」の著名性について
(1)請求人の提出に係る証拠によれば、以下の事実が認められる。
(ア)請求人である「学校法人自由学園」は、大正10年(1921年)4月15日に女子のための中等教育の学校として東京目白に羽仁吉一・もと子夫妻により設立され、昭和2年に現在の東久留米市に移転し初等部が設立された。その後、男子部、幼児生活団(幼稚園)、男子最高学部(大学に相当)、女子最高学部(短期大学に相当)ができ、4歳児から22歳までの青年男女を育てる一貫教育校となった。請求人の設立に際し、羽仁夫妻は、自由な教育を行うため「多くの不便をあえて忍んで」各種学校としてスタートさせ、戦後の学制改革の際に、文部省が、請求人の中等科と高等科を中学校と高等学校として認可するまで続けられたが、最高学部は各種学校のままであり、請求人は独創的な教育を行っている(甲第3及び第4号証)。
(イ)「自由学園」の語は、請求人を示すものとして、平凡社「世界大百科事典10」(1966年2月1日発行)、小学館「日本大百科全書11」(1995年7月10日発行)、小学館「日本歴史大事典2」(2000年10月20日発行)、毎日コミュニケーションズ「大正ニュース事典第5巻大正10-11年」(1988年9月26日発行)、平凡社「大百科事典7」(1985年3月25日発行)、平凡社「世界大百科事典13」(1988年4月28日発行)、ティビーエス・ブリタニカ「ブリタニカ国際大百科事典3」(1988年1月1日発行)、講談社「大事典NAVIX」(1997年11月7日発行)及び丸善「丸善エンサイクロペディア大百科」(平成7年2月24日発行)の各種事典に独立した項目として搭載され、解説されているほか、岩波書店「広辞苑第2版ないし第6版」(昭和44年5月16日、昭和58年12月6日、1992年11月17日、1998年11月11日及び2008年1月11日発行)、平凡社「世界大百科事典18」(1967年4月28日発行)、小学館「日本大百科全書19」(1995年7月10日発行)、小学館「日本歴史大事典3」(2001年3月10日発行)、朝日新聞社「朝日人物事典」(1990年12月10日発行)、講談社「週刊Year Book日録20世紀1921年」(平成10年5月発行)、朝日新聞社「朝日クロニクル週刊20世紀1921-1922」(2000年3月26日発行)、株式会社東芝「生活・産業技術史」(1996年9月1日発行)、朝日新聞社「現代人物事典」(1977年3月1日発行)、岩波書店「岩波女性学事典」(2000年6月20日発行)、平凡社「日本人名大事典」(1979年7月10日発行)、日本図書センター「日本女性人名辞典[普及版]」(1998年10月25日発行)、新人物往来社「日本女性史事典」(1994年7月10日発行)、平凡社「日本歴史地名大系13 東京都の地名」(2002年7月10日発行)、日外アソシエーツ「来日西洋人名事典」(1983年3月10日発行)、日本図書センター「社会教育者事典」(昭和58年9月15日発行)、平凡社「日本近代教育史事典」(昭和46年12月1日発行)及びぎょうせい「図説教育人物事典」(昭和59年4月30日発行)の各種事典等に創設者「羽仁もと子」の業績と共に記述、紹介されている(甲第5ないし第16及び第50ないし第69号証)。
(ウ)また、請求人は、例えば、靴をそろえて脱ぐ自由、校内での野菜栽培や豚の飼育、食の学び一貫教育、食の大事さ、生徒参加の教育、自労自治等の如く、生活と結びついた独創的な教育(知識の教授)を提供する者として、その教育内容と共に、古くから現在に至るまで、教育に関する書籍、雑誌等を始め、一般の新聞、雑誌等にも繰り返し取り上げられ紹介されている。そして、これらの書籍、雑誌、新聞等においては、請求人は、常に「自由学園」として記述されている(甲第17ないし第25、第36ないし第38及び第70ないし第189号証)。
(エ)加えて、請求人は、女優の故岸田今日子、指揮者の故山本直純、映画監督の羽仁進等の著名人を卒業生として排出していることで知られているほか、卒業生である非政府組織(NGO)の活動家、写真家、音楽家等の活躍についても各種メディアで取り上げられ紹介されており、これらの紹介においても、請求人は単に「自由学園」と称されている(甲第45ないし第48及び第190ないし第202号証)。
(2)以上によれば、「自由学園」の語は、請求人により大正10年の設立以来、請求人を指称するものとして、教育及びこれに関連する役務について使用され続け、本件商標の登録出願時には既に一般に広く知られていたものと認めることができ、その後登録査定時に至るまでの間においても、各種の新聞、雑誌等で取り上げられてきていることから、「自由学園」は、本件商標の登録出願時において請求人の著名な略称となっていたものというべきであり、その状態は本件商標の登録査定時においても継続していたものと認めることができる。
2 本件商標の商標法第4条第1項第8号該当性について
本件商標は、上記第1のとおり、「チャイルド自由学園」の文字を書してなるものであるから、その構成中に、請求人の著名な略称である「自由学園」の文字を含むこと明らかであり、かつ、請求人の承諾を得たものとは認められない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に該当するものである。
3 むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項の規定に基づき、その登録を無効にすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2010-09-13 
結審通知日 2010-09-15 
審決日 2010-09-29 
出願番号 商願2003-81178(T2003-81178) 
審決分類 T 1 11・ 23- Z (Y41)
最終処分 成立  
前審関与審査官 小松 里美 
特許庁審判長 芦葉 松美
特許庁審判官 岩崎 良子
渡邉 健司
登録日 2005-01-21 
登録番号 商標登録第4833565号(T4833565) 
商標の称呼 チャイルドジユーガクエン、チャイルドジユー、チャイルド、ジユーガクエン、ジユー 
代理人 井滝 裕敬 
代理人 熊倉 禎男 
代理人 中村 稔 
代理人 辻居 幸一 
代理人 富岡 英次 
代理人 松尾 和子 
代理人 加藤 ちあき 
代理人 藤倉 大作 

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