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審決分類 審判 判定 その他 属さない(申立て成立) X3043
管理番号 1226762 
判定請求番号 判定2010-600012 
総通号数 132 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標判定公報 
発行日 2010-12-24 
種別 判定 
2010-04-16 
確定日 2010-11-18 
事件の表示 上記当事者間の登録第5261637号商標の判定請求事件について、次のとおり判定する。 
結論 商品「ハンバーガー」及び役務「飲食物の提供」に使用するイ号標章は、登録第5261637号商標の商標権の効力の範囲に属しない。
理由 第1 本件商標
登録第5261637号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成よりなり、平成20年12月17日登録出願、第30類「長崎県佐世保市産のハンバーガー」及び第43類「飲食物の提供」を指定商品及び指定役務として同21年8月28日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

第2 イ号標章
請求人が商品「ハンバーガー」及び役務「飲食物の提供」に使用する標章として示したイ号標章は、別掲2のとおりの構成よりなるものである。

第3 請求人の主張
請求人は、「請求人が商品『ハンバーガー』及び役務『飲食物の提供』について使用するイ号標章は、本件商標の商標権の効力の範囲に属しない。」との判定を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第9号証を提出した。

1 判定請求の必要性
請求人は、本件判定請求に係る商品「ハンバーガー」及び役務「飲食物の提供」に使用するイ号標章の使用者であるが、平成22年3月16日付けで、本件商標の商標権者である被請求人から、イ号商標が本件商標に類似しているので商標の使用中止についての警告を受けた(甲第1号証)。
そこで、請求人は、イ号標章の使用について前記商標権の効力の範囲に属するかを確認するために、本件判定を求めるに至った。

2 イ号標章について
請求人は、佐世保市出身の代表者により経営され、平成18年10月頃より、「佐世保バーガー」「Carnegie55」「カーネギー55」の文字を3段に表示しか構成からなるイ号標章をハンバーガーショップの店舗看板や広告に表示し、商品「ハンバーガー」の販売及び店舗内におけるハンバーガーなどの飲食物の提供を行い、現在に至っている
イ号標章の構成中の「佐世保バーガー」の文字は、ありふれた文字表現で示されたものであって、長崎県佐世保市発祥の手作りハンバーガーの総称であり、提供する商品「ハンバーガー」の品質及び役務「飲食物の提供」において提供される役務の質を普通に用いられる方法で表示するものである。
以上のことから、イ号標章を構成する「佐世保バーガー」の部分は、商品の品質又は役務の質を普通に用いられる方法で表示したものであり、イ号標章は、「Carnegie55」及び「カーネギー55」部分のみが標章としての要部をなすものである。

3 イ号標章が本件商標の商標権の効力の範囲に属しないという点について
本件商標の構成中の「佐世保バーガー」の部分は、称呼及び観念において、長崎県佐世保市発祥の手作りハンバーガーといった品質を表すものであるから、指定商品及び役務に使用する場合には、識別力を有するものではなく、外観のみが識別力を有すると考えられる。
また、構成中の「SASEB(図形)BERGER」の部分は、図形部分の形状がアルファペットの「O」を想起させることから「サセボバーガー」の称呼が生じ、これから佐世保バーガーの観念が生じる。したがって、この部分も外観のみにおいて識別力を有すると考えられる。
一方、イ号標章については、「佐世保バーガー」「Carnegie55」「カーネギー55」の文字を3段に表示した構成からなるところ、前述したとおり「佐世保バーガー」の部分は、商品の品質及び役務の質を表すものであり、また、表示態様も特徴的なものでないことから、商標法第26条第1項第2号及び同第3号に該当するものであり、この部分に商標権の効力は、及ばない。また、「Carnegie55」「カーネギー55」の部分に関しては、本件商標において識別力を有する外観に関して比較するに、全く類似する点はない。
したがって、商品「ハンバーガー」及び役務「飲食物の提供」に使用するイ号標章は、本件商標の商標権の効力範囲に属するものではない。

第4 被請求人の答弁
被請求人は、「イ号標章は、本件商標に係る商標権の効力の範囲に属するとの判定を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証を提出した。

1 商標の類似
本件商標は、ハンバーガーの名称として需要者の間に広く認識されているものである
また、イ号標章中において取引者・需要者に強い印象・記憶・連想等を与え、強い顧客吸引力を有するのは、「佐世保バーガー」の文字部分であるから、イ号標章の第一の要部は、「佐世保バーガー」の文字部分である。してみれば、本件登録商標とイ号標章とは、「サセボバーガー」の称呼を共通にし、「佐世保バーガー」との文字部分の外観も互いに類似することから、そこから生じる観念も互いに類似する類似商標と解される。

2 本件商標の使用状況について
被請求人は、我が国において初めてハンバーガーの固有名詞として初めて「佐世保バーガー」の名称を付して販売したところ、雑誌やテレビの取材を受け、一躍著名となったという経緯があり、「佐世保バーガー」の名称が、被請求人が独白に開発したハンバーガーの固有名詞として浸透している(乙第1号証)。

3 本件商標の商標権の効力がイ号標章に及ぶか否かについて
請求人は、全国展開しているハンバーガー店において「佐世保バーガー」の文字が使用されていることを挙げて、「佐世保バーガー」の文字部分が商品の品質又は役務の質を普通に用いられる方法で表示したものにすぎないと主張したいようであるが、明らかに失当である。他にも同じことをやっている人が沢山いるからといって、本件商標の商標権の効力がイ号標章に及ばないということは、立証されない。

第5 当審における証拠調べ通知
当審において、イ号標章が、本件商標の効力の範囲に属するか否かについて、職権により証拠調べした結果、下記の事実を発見したので、商標法第28条第3項で準用する特許法第71条第3項で準用する同法第150条第5項の規定に基づき請求人及び被請求人に通知し、相当の期間を指定して意見を述べる機会を与えた。

1 本件商標及びイ号標章の構成中の「佐世保バーガー」の文字について
(1)辞書類の記載について
ア 「させぼ【佐世保】」の項に「長崎県北西部の港湾都市。北松浦半島南岸の佐世保湾に臨む。」等の記載(「広辞苑第6版」株式会社岩波書店)。
イ 「バーガー【burgerアメリカ】」の項に「ハンバーガーの略。」の記載(前掲広辞苑第6版)。
(2)新聞記事情報
ア 「自慢の食材で『地バーガー』-納豆・カキ・サメの肉・・・、観光集客に一役(東奔北走)」の見出しのもと、「果たして長崎県の『佐世保バーガー』のように、全国区の人気となる商品に育つかどうか。」の記載(2008.7.5 日本経済新聞 地方経済面東北B 24頁)。
イ 「浜之市バーガー、商工会青年部隼人支部(鹿児島県霧島市)(九州いち押し)」の見出しのもと、「ご当地バーガーといえば佐世保バーガーが有名だが、・・・」の記載(2008.9.6 日本経済新聞 地方経済面西部特集 34頁)。
ウ 「[聞きたい]佐世保観光コンベンション協会理事長 本田克彦さん67=長崎」の見出しのもと、「--コンベンション協会が中心になって巻き起こした『佐世保バーガーブーム』で、佐世保の知名度は上がった」の記載(2008.1.26 読売新聞 西部朝刊 26頁)。
エ 「佐世保バーガー、新たに9店認定 個性派並ぶ /長崎県」の見出しのもと、「佐世保市の佐世保観光コンベンション協会は25日、『佐世保バーガー』を出す認定店のお墨付きを新たに9店に与えた。」の記載(2008.04.26 朝日新聞 西部地方版/長崎 31頁)。
オ 「(意外に強い 地域の実力)長崎・佐世保市 4% 通販・人の力で小売り増」の見出しのもと、「今は全国に知られる『佐世保バーガー』の真価を一足先に知ったひと時だった。」(2008.6.14 朝日新聞 東京朝刊 2頁)。
カ 「九重“夢”バーガー:『佐世保』を手本に、地元素材で特産品開発へ /大分」の見出しのもと、「姉妹都市である長崎県佐世保市の有名な『佐世保バーガー』を手本に、地元産の素材を活用したオリジナルの特産品開発とブランド化を目指す。」の記載(2008.7.1 毎日新聞 地方版/大分 24頁)。
キ 「電飾100万個彩る佐世保においでよ『きらきらフェス』PR/福岡県」の見出しのもと、「『福岡から1時間半ほどの距離なので、ドライブコースに利用してください。カップルも家族連れも楽しめるイベントです。九十九島特産のカキや佐世保バーガーも合わせて楽しんでほしい』と話していた。」の記載(2007.11.28 朝日新聞 西部地方版/福岡 26頁)。
(3)インターネット情報
ア 「BURGER MAP 佐世保バーガーマップ」の見出しのもと、「『佐世保バーガー』は、それぞれのお店でこだわりを持って、オーダーを受けてから調理をする佐世保の手作りハンバーガーの総称です。」の記載のほか、佐世保バーガーの取扱店が34店紹介されている(財団法人 佐世保観光コンベンション協会ウェブサイト http://www.sasebo99.com/sight_sasebo/bgmap.shtml)。
イ 「佐世保バーガーに続け! 『ご当地バーガー大集合』」の見出しのもと、「“ご当地バーガー”ブームの火付け役とも言える『佐世保バーガー』は、地域おこしなどの意図とはまったく関係なく、佐世保の歴史の中で生まれたという伝統食ともいえる存在。昭和25年頃に米駐留軍兵からつくり方を教わったのが始まりとされ、現在ではそれぞれの店が独自のアイデアやこだわりを持ち、手づくりのハンバーガーを提供している。注目を浴びるようになったのは佐世保市政100周年の前年である2001年。観光用に作成された手づくりバーガー店のマップが好評を博し、その後クチコミで噂が広がりテレビや雑誌等に紹介されるようになったという。」の記載(マイコミジャーナルウェブサイト http://journal.mycom.co.jp/articles/2009/06/17/localburger/index.html)。
ウ 「佐世保バーガー」の見出しのもと、「佐世保バーガー(させぼバーガー)とは、長崎県佐世保市名物の手作りハンバーガーの総称。ひとつの決まったスタイルのハンバーガーを指していうのでなく、佐世保市内の店で提供される『手作りで』『注文に応じて作り始める(作り置きをしない)』こだわりのハンバーガーの総称である。」との記載(ウィキペディアフリー百科事典ウェブサイト http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BD%90%E4%B8%96%E4%BF%9D%E3%83%90%E3%83%BC%E3%82%AC%E3%83%BC)。
エ 「特集 佐世保の食べ物」の見出しのもと、「佐世保バーガー ・・・あくまで手作りにこだわる『佐世保バーガー』は、今では佐世保の伝統の味となっています。」の記載(公報させぼ2005年11月号 平成17年11月1日発行 http://www.city.sasebo.nagasaki.jp/www/contents/1130125746343/files/2.pdf)。
オ 「“佐世保バーガー”認証制度スタート」の見出しのもと、「いまや、全国区の知名度を誇る“佐世保バーガー”。みなと街佐世保にアメリカ文化の『ハンバーガー』がやってきたのは、昭和25年ごろのこと。以来、アメリカ海軍関係者からの直伝レシピに佐世保流のアレンジを加え、佐世保の味として育ってきました。」の記載(公報させぼ2007年1月号 平成19年1月1日発行 http://www.city.sasebo.nagasaki.jp/www/contents/1166441476812/files/07.pdf)。
カ 「佐世保バーガートレインが運行されます!・・・ とき2005年7月20日 」の見出しのもと、「最近、全国的にも人気が高まっている『佐世保バーガー』とそのイメージキャラクター『佐世保バーガーボーイ』(アンパンマンの生みの親である『やなせたかし』さんがデザイン)が列車に描かれた『佐世保バーガートレイン』が、7月20日(水)から運行されています。」の記載(佐世保市ウェブサイト http://www.city.sasebo.nagasaki.jp/www/contents/1121839807578/index.html)。
キ 「九十九島の祭典が開催されました!・・・とき 2005年9月18日?19日」の見出しのもと、「祭典では、海軍さんのビーフシチューや佐世保バーガー、五島うどんなど西海国立公園自慢のグルメが堪能できる『九十九島の日ごちそうフェスタ』のほか、さまざまなイベントが開催されました。」の記載(佐世保市ウェブサイト http://www.city.sasebo.nagasaki.jp/www/contents/1127196355546/index.html)。
ク 「財団法人佐世保観光コンベンション協会の協力のもと『佐世保バーガー』全国発売!・・・2006年07月03日」の見出しのもと、「株式会社ファミリーマート( 本社 東京都豊島区/代表取締役社長 上田準二 )は、財団法人佐世保観光コンベンション協会(長崎県佐世保市)の協力のもと、7月18日(火)より、全国のファミリーマート店舗約6700店で、『佐世保バーガー』(税込価格360円)を販売いたします。(福岡県・大分県・熊本県・佐賀県・長崎県では7月4日(火)より販売を開始いたします。)」の記事(株式会社ファミリーマートウェブサイト http://www.family.co.jp/company/news_releases/2006/060703_1.html)
ケ 「佐世保バーガー3000個分、食べられる? 2007年10月14日」の見出しのもと、「長崎県佐世保市のJR佐世保駅に、佐世保バーガーの特大オブジェが登場した。」の記載(asahi.comウェブサイト http://www.asahi.com/komimi/SEB200710110003.html)。

2 本件商標の下段の文字部分及び図形部分について
被請求人が所有する登録第5049118号商標(別掲3参照)は、本件商標構成中の下段の文字部分及び図形部分と色彩を除いて同一の構成態様からなるところ、その審査段階の平成18年11月8日付け拒絶理由通知書における、「本願商標は、『O』の文字をやや図案化した『SASEBO』と『BURGER』の欧文字を一連に書してなるところ、これらはそれぞれ『長崎県の佐世保』並びに『ハンバーガー』を意味するものであり、これを本願指定商品に使用しても、全体として『佐世保で製造、販売されるハンバーガー』程の意味合いを認識させるにとどまり、単に商品の品質(産地、販売地)を普通に用いられる方法で表示するに過ぎないから、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨の判断に対し、被請求人は、同年12月27日付け意見書において、「本願商標について、『O』の文字をやや図案化したものとして指摘を受けた部分については、 『赤い日の丸をモチーフとしたハンバーガーをデザインしたもの』に過ぎず、『O』のように切れ間ない一つの円にはなっていないので、『O(オ)』とは読めない。したがって、本願商標は、『サセブ』と『ハンバーガー』の欧文字の間に『赤い日の丸をモチーフとしたハンバーガーの図』が描かれているものであり、全体として『サセブバーガー』としか読めないものである。」旨述べている。

第6 請求人及び被請求人の意見
請求人及び被請求人は、前記第5の証拠調べに対し何ら意見を述べていない。

第7 当審の判断

1 商標権の効力の範囲について
商標権の効力は、商標権の本来的な効力である専用権(使用権)にとどまらず、禁止的効力(禁止権)をも含むものであるから、指定商品及び指定役務と同一又は類似の商品及び役務についての登録商標と同一又は類似の商標の使用に及ぶものである(商標法第25条第37条)が、同時に同法第26条第1項各号のいずれかに該当する商標(他の商標の一部となっているものを含む。)には、及ばないものとされており、同項第2号には、「当該指定商品若しくはこれに類似する商品の普通名称、産地、販売地、品質、原材料、効能、用途、数量、形状(包装の形状を含む。次号において同じ。)、価格若しくは生産若しくは使用の方法若しくは時期又は当該指定商品に類似する役務の普通名称、提供の場所、質、提供の用に供する物、効能、用途、数量、態様、価格若しくは提供の方法若しくは時期を普通に用いられる方法で表示する商標」また、同項第3号には「当該指定役務若しくはこれに類似する役務の普通名称、提供の場所、質、提供の用に供する物、効能、用途、数量、態様、価格若しくは提供の方法若しくは時期又は当該指定役務に類似する商品の普通名称、産地、販売地、品質、原材料、効能、用途、数量、形状、価格若しくは生産若しくは使用の方法若しくは時期を普通に用いられる方法で表示する商標」と規定されている。
したがって、商標法第26条第1項第2号又は同第3号の規定に該当する商標であれば、当該商標権の効力は及ばないことになる。
そこで、以下検討する。

2 本件商標の構成と「佐世保バーガー」の文字について
(1)本件商標の構成について
本件商標は、別掲1のとおり、上段に「佐世保バーガー」の文字を書し、下段に「SASEB」の文字、「円状の図形に2本のスリットを配した図形」及び「BURGER」の文字を配した構成からなるものである
(2)本件商標の構成中の「佐世保バーガー」の文字について
本件商標の構成中の「佐世保バーガー」の文字部分は、ごく普通の書体で表しているものであるところ、前記第5の証拠調べの1(1)によれば、構成中の「佐世保」の文字は、「長崎県北西部の港湾都市。北松浦半島南岸の佐世保湾に臨む。」の意味を、「バーガー」の文字は、「ハンバーガーの略。」(いずれも「広辞苑第6版」株式会社岩波書店)の意味をそれぞれ有するものである。
してみると、本件商標の構成中の「佐世保バーガー」の文字部分は、その指定商品及び指定役務に接する取引者、需要者をして「長崎県佐世保市産のハンバーガー」、「長崎県佐世保市で販売されているハンバーガー」の如き意味合いを、容易に理解するものである。
また、「佐世保バーガー」の文字は、前記第5の証拠調べの1(2)(3)によれば、請求人及び被請求人以外の者によっても商品の品質及び役務の提供の用に供する物を表す文字として使用されている。
以上によれば、本件商標の構成中「佐世保バーガー」の文字部分は、「長崎県佐世保市で販売されているハンバーガー」として、広く一般に知られているものといえるものである。
したがって、本件商標構成中の「佐世保バーガー」の文字部分は、本件指定商品「長崎県佐世保市産のハンバーガー」及び指定役務「飲食物の提供」に使用する場合は、商品の品質及び役務の提供の用に供する物を表示するものであり、自他商品及び役務の識別力が無いというべきであるから、商標法第26条第1項第2号及び同第3号に該当するものである。

3 イ号標章の構成と「佐世保バーガー」の文字について
(1)イ号標章の構成について
イ号標章は、別掲2のとおり、赤地に「佐世保バーガー」の文字、多少デザイン化されてなる「Carnegie55」及び「カーネギー55」の文字を3段に配した構成からなるものである。
(2)イ号標章の構成中の「佐世保バーガ-」の文字について
イ号標章の構成中の「佐世保バーガー」の文字部分は、色彩が施されているものの、ごく普通の書体で表しているものであるところ、前記2(2)のとおり「長崎県佐世保市で販売されているハンバーガー」として、容易に理解し、また、広く一般に知られているものといえるものである。
したがって、イ号標章中の「佐世保バーガー」の文字部分は、商品「ハンバーガー」及び役務「飲食物の提供」に使用する場合は、商品の品質及び役務の提供の用に供する物を表示するものであり、自他商品及び役務の識別力が無いというべきであるから、商標法第26条第1項第2号及び第3号に該当するものである。

4 本件商標とイ号標章の類否について
本件商標とイ号標章は、それぞれ前記2(1)及び3(1)のとおりの構成からなるところ、本件商標における商標権の効力が及ばない「佐世保バーガー」の文字部分以外の文字部分及び図形部分と、イ号標章の効力が及ばない「佐世保バーガー」の文字部分以外の文字部分を比較しても、その外観、称呼及び観念において別異のものであるから、両者は、類似しない。

5 被請求人の主張について
被請求人は、「本件商標は、被請求人が独自に開発したハンバーガーの固有名詞として需要者の間に広く認識されているものであるから、イ号標章中の『佐世保バーガー』の文字部分は、十分な自他商品・役務識別機能を有するものである。」旨主張する。
しかしながら、上記第5の証拠調べの1(2)(3)によると「佐世保バーガー」の文字は、被請求人の商品及び役務を表示するものとして広く知られていたものではなく、「それぞれのお店でこだわりを持って、オーダーを受けてから調理をする佐世保の手作りハンバーガーの総称」(証拠調べ1(3)ア)として取引者、需要者に認識されているというべきである。
また、本件商標の指定商品が「長崎県佐世保市産のハンバーガー」であることからも、「佐世保バーガー」の文字は、自他商品の識別標識としての機能を有するものではないというべきである。
よって、被請求人の主張は、妥当でなく、採用の限りではない。

6 結語
以上のとおり、請求人が商品「ハンバーガー」及び役務「飲食物の提供」に使用するイ号標章は、本件商標の商標権の効力の範囲に属しないものである。
よって、結論のとおり判定する。
別掲 別掲
1 本件商標

(色彩は原本参照)

2 イ号標章

(色彩は原本参照)

3 登録第5049118号商標

(色彩は原本参照)


判定日 2010-11-09 
出願番号 商願2008-101491(T2008-101491) 
審決分類 T 1 2・ 9- ZA (X3043)
最終処分 成立  
前審関与審査官 小田 明赤澤 聡美 
特許庁審判長 井岡 賢一
特許庁審判官
末武 久佳
大森 友子
登録日 2009-08-28 
登録番号 商標登録第5261637号(T5261637) 
商標の称呼 サセボバーガー 
代理人 特許業務法人共生国際特許事務所 
代理人 磯兼 智生 

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