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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない X31
審判 査定不服 商3条2項 使用による自他商品の識別力 登録しない X31
管理番号 1226651 
審判番号 不服2009-19046 
総通号数 132 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2010-12-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-10-06 
確定日 2010-10-28 
事件の表示 商願2008-51014拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1 本願商標
本願商標は、別掲のとおりの構成よりなり、第31類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として、平成20年6月26日に立体商標として登録出願されたものである。そして、指定商品については、原審における平成21年1月19日付け手続補正書によって補正された結果、第31類「犬用ペットフード,犬用の飼料用いかの骨,犬用の飼料用骨,犬用飼料添加物(医療用のものを除く。),犬用噛み餌,その他の犬用飼料,飼料用たんぱく,獣類・魚類(食用のものを除く。)・鳥類及び昆虫類(生きているものに限る。),犬用寝わら,犬用芳香砂(寝わら),種子類,木,草,芝,ドライフラワー,苗,苗木,花,牧草,盆栽,干し草,うるしの実」となったものである。

第2 原査定の拒絶の理由の要旨
原査定は、「本願商標は、多少のデザインが施されているが、全体として通常採用し得る飼料の収納容器の一形態を表したものであるから、これを本願指定商品中『飼料』に使用しても、単に商品の包装の形状を普通に用いられる方法で表示するにすぎないものである。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。なお、出願人は、意見書において、仮に本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するとしても、本願商標は、本願出願人が属するマース・グループの取扱にかかる商品『飼料』について大々的に使用された結果、本願出願人が属するマース・グループの出所にかかるものと認識されるに至っている旨述べているが、本願商標それ自体が使用された結果、自他商品の識別標識としての機能を有するに至っているものとは認められない。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

第3 当審の判断
1 商標法第3条第1項第3号について
本願商標は、別掲のとおり、胴部を円柱状にし、その上部を上面にかけてやや内側に絞り、上面を凹形状にし、下面の縁部をやや張り出し、各部をグレーの濃淡2色で交互に塗り分け、上面に犬の図形を描いてなるものであるところ、例えば「飼料」について、様々な形状の容器(包装)を採用し、その容器(包装)に商品を収納して販売することが一般に行われている実情よりすれば、該立体形状は、本願指定商品に係る犬用飼料等の商品を収納する容器の形状の一形態を表したものとみるのが相当である。
また、商品の取引において、商品の包装や広告・商品説明等に、商品の品質(用途、形状等)を図形や図柄を用いて表示することが一般に行われており、飼料についても同様に、その商品が対象とする動物の図柄等を商品の包装等に表示している実情がある。
そうすると、本願商標の上面に描かれた犬の図形よりは、当該商品が犬用の商品であることを容易に理解させるものというのが相当である。
以上のことは、例えば、以下のインターネットホームページ情報により、その一端をうかがい知ることができる。
(1)「いなばペットフード株式会社」のホームページにおいて、「秋の新商品 犬種別フード」として、「ダックスフンド用」、「チワワ用」、「シー・ズー用」等の商品(ドッグフード)が掲載され、商品の包装に犬種に応じた図柄が表されている。
(http://www.inaba-petfood.co.jp/campaign/dogfood/index.html)
(2)「楽天市場」のホームページにおいて、「ペットフード・ペット用品」の項の「ドッグフードカタログ」で、犬用の商品(ドッグフード)に犬の図柄が表されている。
(http://event.rakuten.co.jp/pet/food/dog/?l-id=pet_cspecial)
(3)「楽天市場」のホームページにおいて、「INABA とろみ とりささみ 80g D-72」として、犬用の商品(ドッグフード)に犬の図柄が表されている。
(http://item.rakuten.co.jp/petcollection/4901133861444/)
(4)「いなばペットフード株式会社」のホームページにおいて、「商品案内」の「キャットフード一覧」中の「金のだし カップ」に、猫の図柄が表されている。
(http://www.inaba-petfood.co.jp/product/detail/%E9%87%91%E3%81%AE%E3%81%A0%E3%81%97/1762)
(5)「PET FOOD&GOODS TOMCAT」のホームページにおいて、「犬のお買い得品」、「猫のお買い得品」の項があり、ペット用品の包装等に、犬用には犬の図柄、猫用には猫の図柄が表されている。
(http://www.petfoodtomcat.com/10_sale/sale_cat.html)
してみれば、本願商標をその指定商品中「犬用ペットフード,犬用の飼料用いかの骨,犬用の飼料用骨,犬用飼料添加物(医療用のものを除く。),犬用噛み餌,その他の犬用飼料」に使用しても、取引者・需要者は、単に上記商品の収納容器を表示するにすぎないものとして理解するに止まり、自他商品を識別するための標識とは認識し得ないものと判断するのが相当である。
請求人は、本願商標について、上部が内側に向かって半球状に絞り込まれている点、下方の縁部分が外側に突出している点、ウエスティ(ウエストハイランドホワイトテリア)の頭部の図形を有する点、交互に灰色の濃淡で塗り分けている点を挙げ、商品の包装の形状のみからなる商標、又は、通常採用し得る飼料の収納容器の一形態を表したものに該当しない旨、述べている。
しかしながら、ウエスティの頭部を表した図形部分は、犬の一種類であるウエスティの一般的な形態を写実的に表しているものであって、先に述べたとおり、商品の用途を動物の図柄をもって商品に表示することは普通に行われていることから、当該商品が犬用の商品であることを容易に理解させる以上に顕著なものとはいい難いものである。そして、各種商品について、包装、容器の形状及びこれらの色彩等に機能や美感上の観点から特徴をもたせたものを採択し、販売していることが一般に行われている実情があるところ、請求人の主張する本願商標の形状、色彩等の組み合わせの特徴は、商品の見た目の美しさを効果的に際立たせるための範囲のものというべきものであって、当該特徴をもって本願商標が自他商品を識別する標識としての機能を有するものとはいえない。
また、請求人は、請求人以外によって前記特徴を兼ね備える形状が使用されている事実はない旨主張するが、商標法第3条第1項第3号の商品の品質・形状等を表示する標章とは、商品の品質・形状等を表示する標章として認識されるものであれば足り、その標章が現実に使用されていることは必ずしも要求されないものと解すべきである(東京高裁昭和52年(行ケ)第82号判決参照)。
さらに、請求人は、仮に、本願商標が通常採択し得る飼料の収納容器の一形態を表したものであるとしても、直ちに本願商標が自他商品識別力を有しないと断定することはできない旨、述べている。
しかし、本願商標の形状は、機能または美感上の理由による形状の選択と予測し得る範囲のものであって、これに接する需要者をして商品の機能や美感を際立たせるために選択されたと認識するに止まり、商品を購入する際に自他商品を識別する標識とするに足りる程度に十分特徴的であるとは認め難いから、本願商標が自他商品識別力を有するものとは認めることができない。
なお、請求人は、犬の図形に係る過去の登録例を挙げて、本願商標も識別力を有する旨も述べているが、請求人が主張する登録例に係る商標は、本願商標とは、その構成等が相違するものであって、本願とは事案を異にするものであり、登録出願に係る商標が商標法第3条第1項の規定に該当するか否かは、当該商標の査定時又は審決時において、個別具体的に判断されるべきものであるから、それらの登録例に前記認定が左右されるものではない。
以上のとおり、請求人のいずれの主張も採用することができない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。

2 本願商標の商標法第3条第2項の該当性について
請求人は、証拠方法として、当審において、甲第25号証ないし甲第32号証(枝番を含む。)及び検第1号証を提出して、本願商標は、使用によって自他商品の識別性を獲得しているので、商標法第3条第2項に該当する旨主張している(なお、甲各号証において、枝番が付されているもので枝番のすべてを引用する場合は、以下、枝番の記載を省略する。)。
そこで、本願商標が当該条項の要件を具備するに至っているか否かについて、以下、検討する。
(1)商標法第3条第2項について
出願に係る商標が、指定商品の品質等を表示するものとして商標法第3条第1項第3号から第5号までに該当する場合に、それが同条第2項に該当し、登録が認められるかどうかは、使用に係る商標及び商品(役務)、商標の使用開始時期及び使用期間、使用地域、当該商品(役務)の販売数量等並びに広告宣伝の方法及び回数等を総合考慮して、出願商標が使用をされた結果、需要者が何人かの業務に係る商品(役務)であることを認識することができるものと認められるかどうかによって決すべきものであり、その場合に、使用に係る商標及び商品(役務)は、原則として出願に係る商標及びその指定商品(指定役務)と同一であることを要するものというべきである。
そこで、以上の観点を踏まえて、本願商標が商標法第3条第2項に該当するか否かについて検討する。
(2)本願商標が商標法第3条第2項に該当するか否かについて
請求人により提出された証拠を総合判断するに、請求人が属するマース・グループは、犬用ペットフードのブランドとして「Cesar(CESAR、シーザー)」(以下、「シーザーブランド」という。)を使用し(甲25?27、甲30?32、検1)、該文字又は該文字と図形を組み合わせた商標を、商品「飼料」等について、日本を含む各国において商標登録していることが認められるものである(甲28、29)。
また、「シーザーブランド」は、本願商標の立体的形状と同様の形状(表面に描かれた文字や図、色彩は異なる)を容器とする商品「犬用ペットフード」にも使用され、当該商品について、雑誌、テレビなどを通じて、宣伝広告がなされている(甲25の1?11、甲30?32、検1)。
しかしながら、請求人が挙げた各国における登録商標に、本願に係る立体的形状と同一の商標はない。また、請求人は、平成19年9月に本願商標を使用した商品「飼料」を日本国内で発売したと述べ、発売以前よりその広告宣伝が継続的になされた旨述べているが、本願商標の使用期間は長くはなく、また、提出された証拠からは、雑誌による宣伝回数が多いとはいえないし、テレビによる宣伝については回数・放映地域等が具体的に示されておらず、さらに、本願商標を使用する商品の販売数量や店舗数、営業地域等が明らかでない。
したがって、請求人が提出した証拠によっては、本願商標が、その指定商品に使用された結果、請求人の業務に係るものとして、需要者間に広く認識されるに至っていると認めることができない。
さらに、本願商標は、前記のとおり、胴部を円柱状にし、その上部を上面にかけてやや内側に絞り、上面を凹形状にし、下面の縁部をやや張り出し、各部をグレーの濃淡2色で交互に塗り分け、上面に犬の図形を描いてなるものであるところ、請求人が商品「飼料」について使用した結果、使用により識別性を獲得しているとして提出した証拠に表示された使用商標は、「Cesar(CESAR、シーザー)」と共に使用され、3色で塗り分けられているものである。そして、収納容器の形状は、本来それ自体の持つ機能を効果的に発揮させたり、或いは、その美感を追求する等の目的で選択されるものであって、本来的(第一義的)には、商品の出所を表示し自他商品を識別する標識として採択されるとはいえないものであり、その識別機能を果たすものとしては文字、図形又は記号等が適しているため、専らこれらが自他商品の識別標識として採択、使用されていることは顕著な事実であること及び前示認定のとおり、本願商標に係る犬の図などを含む形状が収納容器の一形態を表示するに過ぎないものであることからすれば、商品「飼料」については、「Cesar(CESAR、シーザー)」の文字商標により識別されているというべきであり、該文字を有しない本願商標のみで、使用による識別性を獲得しているとは認められない。
なお、請求人は、ウエスティの頭部を表した図形が「シーザーブランド」のキャラクターとして周知・著名であるから、本願商標は、該図形部分によって自他商品識別機能を発揮する旨述べているが、請求人の提出に係る資料に表示されたウエスティを表した図形は、犬の一種類であるウエスティの一般的な形態を写実的に表しているものであって、それ自体が特徴的なものとはいい難いうえ、本願商標に表されたウエスティの頭部図形とは必ずしも同一でなく、本願商標にかかるウエスティの図形部分が請求人の業務に係るものとして、需要者間に広く認識されるに至っていると認めることはできない。
(3)まとめ
したがって、請求人が提出した証拠によっては、本願商標が、その指定商品に使用された結果、取引者、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるものとは認められないものである。

第4 結語
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものであって、かつ、同条第2項の要件を具備しないものであるから、これを登録することはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲(本願商標)


審理終結日 2010-09-02 
結審通知日 2010-09-03 
審決日 2010-09-15 
出願番号 商願2008-51014(T2008-51014) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (X31)
T 1 8・ 17- Z (X31)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 早川 真規子 
特許庁審判長 内山 進
特許庁審判官 板谷 玲子
瀧本 佐代子
代理人 田中 克郎 
代理人 太田 雅苗子 
代理人 宮川 美津子 
代理人 稲葉 良幸 

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