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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 X16
審判 全部申立て  登録を維持 X16
審判 全部申立て  登録を維持 X16
管理番号 1225171 
異議申立番号 異議2010-900052 
総通号数 131 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2010-11-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2010-02-22 
確定日 2010-09-15 
異議申立件数
事件の表示 登録第5282772号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5282772号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5282772号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成からなり、平成21年5月7日に登録出願され、第16類「紙類,文房具類,音声が再生可能な電子カードを内蔵したグリーティングカード,印刷物,書画,写真,写真立て」を指定商品として、同年10月22日に登録査定、同年11月20日に設定登録されたものである。

2 登録異議申立ての理由(要旨)
(1)引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)の引用する商標は、必ずしも明確ではないが、本件審理においては、「うぶ声メッセージ」の文字からなる商標(以下「引用商標1」という。)、甲第2号証に表示されている別掲(2)のとおりの構成からなる商標(以下「引用商標2」という。)及び別掲(3)のとおりの構成からなる商標(以下「引用商標3」という。)の3件を引用商標として、検討する。
なお、引用商標1ないし引用商標3をまとめていうときは、「引用各商標」という。
(2)商標法第4条第1項第10号について
引用各商標は、申立人の商標として周知であり、本件商標はこれに類似し、その指定商品も同一又は類似のものを含むから、本件商標は商標法第4条第1項第10号に該当する。
(3)商標法第4条第1項第7号について
商標権者は、引用各商標が申立人の商標として周知であることを知り得る立場にありながら、本件商標の出願が申立人との関係が悪化した後で行われており、不正競争の目的でされたものと考えられるから、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。
(4)商標法第4条第1項第15号について
引用各商標は、申立人の商標として広く知られており、これと類似する本件商標がその指定商品に使用された場合、商品の出所について混同の生ずるおそれがある。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項15号に該当する。
(5)むすび
以上のとおり、本件商標は、少なくともその出願日において、周知となっていた引用各商標と類似し、その指定商品も引用各商標が使用された商品と同一又は類似のものである。また、本件商標は、不正競争の目的で出願されたものと考えられる。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同第10号及び同第15号に違反して登録されたものであるから、その登録は商標法43条の2第1号の規定により取り消されるべきものである。

3 当審の判断
(1)引用各商標の周知・著名性について
甲第3号証は、石川県能美市在の株式会社そうごうが平成22年2月15日付けで作成した「商品の印刷及び発送に関する証明書」であり、1枚目には「シイ・エス株式会社のために、以下の各商品を、下記記載の通り印刷し、発送したことを証明します。」と記載され、2枚目には上部に「シイ・エス(株)『うぶ声メッセージ』商品作成証明書」の記載、中央に「うぶ声メッセージ」の文字が配された2種の商品デザイン、下部には「1998年4月」「うぶ声メッセージ女の子 1,000枚 納入」「うぶ声メッセージ男の子 1,000枚 納入」の記載がある。3枚目には上部に「シイ・エス(株)『うぶ声メッセージ ピンク/グリーン』商品作成証明書」の記載、中央に引用商標2及び引用商標3が配された商品デザイン、下部には「1998年10月」「うぶ声メッセージ ピンク/グリーン 139,644枚 納入」の記載がある。4枚目には上部に「シイ・エス(株)『うぶ声メッセージ 新ピュア』商品作成証明書」の記載、中央に「うぶ声メッセージ」の文字が配された商品デザイン、下部には「2009年10月」「うぶ声メッセージ 新ピュア 12,905枚 納入」の記載がある。5枚目には上部に「シイ・エス(株)『うぶ声メッセージ ピュア』商品作成証明書」の記載、中央に「うぶ声メッセージ」の文字が配された商品デザイン、下部には「2005年8月?2009年11月」「うぶ声メッセージ ピュア 176,287枚 納入」の記載がある。6枚目には上部に「シイ・エス株式会社『うぶ声メッセージ』商品製作証明書」「シイ・エス株式会社『うぶ声メッセージ』商品出荷証明書」の記載があり、その下に2004年から2010までの「うぶ声メッセージ」の種類(アイボリー、ピンク・グリーン、ピンク・グリーン・美大、ピュア、パール)別の製作数及び「近距離・中距離・遠距離・北海道」別の件数並びに総計の一覧表がある。
これらによれば、「うぶ声メッセージ」の文字が記載された商品(印刷物)が作成され、発送(出荷)されたことが推認できる。
しかしながら、該商品に申立人の記載はなく、申立人の名称で需要者に発送されたかどうかは不明である。
甲第4号証は、同じく株式会社そうごうが平成22年2月15日付けで作成した「パンフレット等に関する証明書」であり、1枚目には「以下のリーフレット又はパンフレット等を、下記記載の通り印刷し、シイ・エス株式会社に引き渡したことを証明します。」と記載され、2枚目ないし18枚目の各ページ上部にはそれぞれ「シイ・エス(株)『うぶ声メッセージ』商品作成証明書」の記載、中央部に「うぶ声メッセージ」の文字が記載された商品(パンフレット、リーフレット)デザイン、下部に、日付、枚数の表示とともに「納入」の記載がある。
これらによれば、各商品のいずれにも「うぶ声メッセージ」の記載があり、2枚目、4枚目、5枚目、8枚目及び10枚目に引用商標2及び引用商標3が表示されている。しかしながら、申立人の名称が確認できるのは、3枚目、12枚目及び15枚目のみであり、その他には申立人以外の名称が記載されているが製造、販売者の記載がない。
甲第5号証の1枚目は、申立人が作成した「直近4年間の『うぶごえメッセージ』地域別出荷数」を表題とする一覧表であり、東日本を6地域、西日本4地域に分けて2006年から2009年までの出荷数がそれぞれ記載されている。同2枚目は、申立人が作成した「年別 うぶ声メッセージの出荷数量」を表題とする一覧表であり、1998年から2009年までの出荷数が記載されている。しかしながら、具体的にどのような商品が出荷されたのか不明であるし、また、出荷数を裏付ける証拠は見あたらない。
甲第6号証の1枚目は、2006年(平成18年)1月4日付け北國新聞の写しであり、「学生デザイン、製品化」の表題のもと、「メッセージカード来月全国発売へ」「能美市内の企業が開発した商品のパッケージデザインに、金沢美大の学生によるデザインが採用された。」などの記載がある。しかしながら、引用各商標及び申立人の名称(これと認め得るものを含む。以下同じ)は見あたらない。
甲第7号証は、1998年(平成10年)5月28日付け北陸中日新聞の写しであり、「録音・再生機能 写真付きメッセージカード」「声のレターいかが」の表題のもと、「絹織物卸、本・文具・事務機器販売のシイ・エス(石川県辰口町、池田秀一社長)は、録音・再生機能を持たせた写真付きメッセージカードを商品化した。自分の声でメッセージを吹き込み、相手に届ける声のレターで、京都の精密機械メーカーと業務提携して全国展開する。」の記載があり、「うぶ声メッセージ」の文字が表示されたカードの写真が掲載されている。
甲第8号証は、1999年(平成11年)8月2日付け日本経済新聞の写しであり、「メッセージをカードに録音 シイ・エスが開発」の表題のもと「絹織物卸のシイ・エス・・・は、メッセージや赤ちゃんの産声などを録音・再生できるカードを開発、販売した。」の記載がある。しかしながら、引用各商標の表示はない。
甲第9号証は、2010年(平成22年)2月20日にプリントアウトしたGoogle及びYahooの検索エンジンによる「うぶ声メッセージ」の検索結果であるが、申立人以外の名称はあるものの、申立人の名称は見あたらない。
甲第10号証は、平成13年9月10日及び同15年1月25日にサンメディックス株式会社が発行した雑誌「すこやか」の写しであり、いずれにも、表紙の「CONTENTS」の欄に「うぶ声メッセージ」の記載、2枚目に「うぶ声メッセージ」「『うぶ声メッセージ・ボイスカード』は、I.Cチップを内蔵した声を録音できる画期的なメッセージカードです。いつまでも残しておきたい誕生記録。『うぶ声メッセージ』は皆さまにお喜びいただいております。」の記載があり引用商標2又は引用商標3が表示されたカードの写真がある。そして、下段に「販売 サンメディックス株式会社」の記載があるが、申立人の名称はない。
甲第11号証は、2005年(平成17年)5月15日に株式会社リクルートが発行した雑誌「妊すぐ」の写しであり、2枚目に「うぶ声メッセージカード」「販シイ・エス」の記載がある。
甲第12号証は、雑誌「はっぴーママ」の2007秋号の写しであり、2枚目に引用商標2又は引用商標3が表示されたカードの写真及び「うぶ声メッセージ」の記載がある。しかしながら、申立人の名称はない。
甲第13号証は、株式会社セシール発行の通販カタログ「マタニティー&ベビー」の写しであり、表紙に「秋冬号/カタログ有効期限/2008.3.31」との記載があり、2枚目に「うぶ声メッセージ」の表題のもと、「生まれたばかりの赤ちゃんの、かわいい写真とうぶ声が一緒に残せるカード『うぶ声メッセージ』。」の記載がある。しかしながら、申立人の名称はない。
甲第14号証は、右上に「はっぴーママcard会員募集中」と記載されたポスターであり、中央部に引用商標2及び引用商標3、その下に「うぶ声メッセージ」の記載がある。しかしながら、申立人の名称はない。
甲第15号証は、石川県が申立人の「ボイスカード」を平成17年度石川ブランド優秀新製品として認定した平成17年5月19日付け認定証の写しである。
以上のよれば、申立人の名称「シイ・エス株式会社」又は「シイ・エス」の記載があるのは、甲第4号証の3枚目、12枚目、15枚目、甲第7号証及び甲第11号証にすぎず、これらによっては、引用各商標が申立人の商標として、取引者、需要者間に広く知られているとは認めることができない。
したがって、申立人の提出に係る証拠によっては、本件商標の登録出願の時において引用各商標が使用されていることが認められるとしても、引用各商標が、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、本件商標の登録出願の時及び登録査定時において取引者、需要者の間に広く知られているものとは認めることができない。
(2)商標法第4条第1項第10号及び同第15号について
引用各商標は、上述したとおり、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、本件商標の登録出願の時及び登録査定時において取引者、需要者の間に広く知られているものとは認めることができない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同第15号に該当しないものである。
(3)商標法第4条第1項第7号について
本件商標は、前記1のとおりの構成からなるところ、その構成自体が、きょう激、卑わい、差別的又は他人に不快な印象を与える標章からなるものでないことは明らかであるから、構成上、公序良俗を害するおそれがあるものとはいえない。
そして、先願登録主義を採用する我が国の商標制度下において、本件商標の出願の経緯等に著しく社会的妥当性を欠くものがあったと認めるに足りる証拠は見当たらず、他に、本件商標をその指定商品について使用することが社会公共の利益及び社会の一般道徳観念に反するものとすべき事由も見当たらない。
したがって、本件商標は、これをその指定商品について使用しても、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標ということはできないものであるから、商標法第4条第1項第7号に該当しない。
なお、申立人は、「申立人の商標『うぶ声メッセージ』を自社の登録商標であると、わざわざ主張している点からも、商標権者の不正競争の目的が推認される。」旨主張している。
しかしながら、乙第17号証は、本件商標(「うぶ声メッセージ」の文字を含む)の登録後にプリントアウトされたものであり、また、乙第18号証には本件商標が表示されているから、商標権者の当該主張に不正競争の目的があるとは認められない。
(4)結論
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第7号、同第10号及び同第15号の規定に違反してされたものでないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲

(1)本件商標


(色彩については原本参照)

(2)引用商標2


(色彩については甲第2号証の原本参照)

(3)引用商標3


(色彩については甲第2号証の原本参照)


異議決定日 2010-09-01 
出願番号 商願2009-33689(T2009-33689) 
審決分類 T 1 651・ 25- Y (X16)
T 1 651・ 271- Y (X16)
T 1 651・ 22- Y (X16)
最終処分 維持  
前審関与審査官 泉田 智宏 
特許庁審判長 森吉 正美
特許庁審判官 小畑 恵一
瀧本 佐代子
登録日 2009-11-20 
登録番号 商標登録第5282772号(T5282772) 
権利者 ハーゼスト株式会社
商標の称呼 ウブゴエメッセージ、ウブゴエ、メッセージ 
代理人 平野 泰弘 
代理人 横井 敏弘 

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