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審判番号(事件番号) データベース 権利
無効2007890149 審決 商標
無効2007890151 審決 商標

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審決分類 審判 全部無効 商4条1項10号一般周知商標 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Y25
管理番号 1224996 
審判番号 無効2008-890036 
総通号数 131 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2010-11-26 
種別 無効の審決 
審判請求日 2008-05-02 
確定日 2010-09-21 
事件の表示 上記当事者間の登録第5103501号商標の商標登録無効審判事件についてされた平成21年1月7日付け審決に対し、東京高等裁判所において審決取消の判決(平成21年(行ケ)第10038号、平成21年10月30日判決言渡)があったので、さらに審理のうえ、次のとおり審決する。 
結論 登録第5103501号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5103501号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、平成16年10月22日に登録出願、第25類「被服,空手衣」を指定商品として、同19年11月19日に登録査定、同20年1月11日に設定登録がされたものである。

第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第256号証(枝番を含む。枝番のすべてを引用する場合は、その枝番の記載を省略する。以下、甲号証を「甲1」のようにいう。甲25?30、39、100、117、141は欠番である。)を提出した。
1 商標法第4条第1項第7号について
(1)請求人である「特定非営利活動法人 全世界空手道連盟 新極真会」は、本件商標の漢字「新極真会」と同一の文字列について、第41類の役務を指定役務として登録第4756427号による先登録を有している(甲8)。また、請求人は、故大山倍達が創設した「国際空手道連盟 極真会館」を承継するものであり、大山倍達の死後においても「極真会」の名称を使用することができる地位にあったが、第三者による商標権取得に関する背信行為、商標使用の妨害行為が発生し、その後も係争関係が生じたため、裁判所の仲介もあって、同一会派ではあるが別の組織(主体)であることを明確にして差別化を図るために「特定非営利活動法人 全世界空手道連盟 新極真会」と称することとしたものである。
(2)新名称の決定及び公開に関し、請求人は、本件商標の登録出願日より前である平成15年7月11日に名称を「特定非営利活動法人 全世界空手道連盟 新極真会」として発表しており、被請求人もその事実及び別主体である請求人の存在を熟知していた。
(3)それにもかかわらず、請求人の名称若しくはその著名な略称であり一定の信用を獲得しているといえる商標「新極真会」を含む本件商標を平成16年になってから登録出願するというのは、請求人の著名性にフリーライドして不正な利益を得ることを目的とし、また請求人における商標の使用及び商標権の利用を妨害するためであって、悪意を持って登録出願したものである。
(4)被請求人は、請求人の使用している商標に極めて類似する態様で登録出願したものであり、本件商標の登録は、請求人が商標「新極真会」に蓄積させてきた信用の剽窃を許すばかりでなく、商標の使用を欲する者の商標の使用や商標権の取得を阻害し、更には他人の経済活動を不当に制限するとともに需要者の不測の混乱を招き、利益を害するものである。
(5)大山倍達の死後、極真会館は内部分裂、組織改変、離脱等が発生した経過があり、現在大きく分類すると請求人の他に松井派・連合派・遺族派・その他が存在しているのが実情である。「極真」を名乗る複数の組織が併存している現状では、その棲み分けの了解が暗黙になされていると評価されるものと考えられる。特に、請求人は「極真会」でも「極真会館」でもなく、新たに採用した「特定非営利活動法人 全世界空手道連盟 新極真会」の名称で活動しているので、他とは容易にかつ明確に区別されるものである。
(6)そもそも大山家には一定の資格を有する旧来の師範等が「極真」を使用することを拒否する権限がないことは、他の無効審判事件・訴訟等で明らかになっている。ましてや組織が全く異なる団体が後日採用した名称については全く無関係であり、横から我が者顔で商標を登録出願して取ってしまうというような権利がないことは明らかである。仮に本件のように本件商標の登録を被請求人に認めるということは、業務上の信用の維持を図ることを目的とする商標法の趣旨に反し、社会秩序を乱し混乱を招くものである。
(7)被請求人が、極真空手の創始者である故大山倍達の親族である事実をもって、本件商標を登録出願しそれを取得したことを正当化する理由にはなり得ない。単に「極真」の文字が入っていれば、全て被請求人が商標を取得し、使用を独占する正当な権原があるというような理論は存在しない。
(8)被請求人は、請求人の商標登録が商標法第4条第1項第7号に違反するものであるとして無効審判(無効2007-890149)を提起していたが、審決において、「自己の会派と他の会派を峻別する目的を持って」出願されたことが認定され「その登録出願の経緯に著しく社会的妥当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして容認し得ない、というべきものではない」と判断されて請求が棄却されている(甲24)。
2 商標法第4条第1項第8号について
(1)著名な略称
本件商標は、平成16年10月22日に被請求人によって登録出願されたものであるが、請求人が平成15年7月11日に採用し、同時にマスコミに向けて公表した名称とほぼ同一である。
(2)請求人は、極真空手の創設者である故大山倍達が創設した国際空手道連盟極真会館の後継団体であり、極真空手についての知識の教授を中心として活動している(甲11)。また、全国527箇所に道場を開設して活動を継続しており、国内の総会員数は2万人にも及んでいる。さらに、日本国内だけでなく世界でも73か国、総会員数7万人の会員を獲得している(甲12、13)。
(3)請求人は、毎年全日本大会を開催し、それに加えて世界的な規模の選手権大会が世界各国からの代表を迎えて2年毎に「世界大会」あるいは「ワールドカップ」を開催しており、テレビ、雑誌等でも多く取り上げられている(甲15?19)。その他、雑誌等には請求人の活動やこれに所属する選手等の記事や広告等も多数掲載されている(甲20、21)。
(4)請求人は、空手関連商品について「新極真会」の名称を使用して事業を展開している。例えば、空手の教授に関連する道着や帯、関連するTシャツ、DVD、空手の教授に関する書籍等の商品にも商標が付されて販売されている(甲22)。
(5)これらの事実及び証拠からすると、本件商標の登録出願前である平成15年7月11日に、請求人の新名称「新極真会」を発表している事実及びその後の活動、世界大会の実施等を考え合わせれば、本件商標は、少なくとも平成16年10月22日の登録出願時において、請求人の著名な略称となっていた。
(6)当該略称の著名性は、限られた空手の指導という業界内で衆人注視の下に発表された新名称の公表において既に業界内では周知になった。
(7)被請求人と請求人とは全く他人の関係であり、「新極真会」は他人の団体名の著名な略称に該当する。請求人の構成員の一部と被請求人が旧知の間柄であることは認められるが、請求人の新名称の決定については、裁判所が関与したものの大山家は全く関与していない。
(8)被請求人は、請求人の承諾がなく本件商標の登録出願を行った。
(9)本号にいう著名な略称とは、自己が略称として使用するもののみならず、需要者等が略称として使用し、著名となっているものも含まれる。また、周知著名となった時期については、業界及び一般の関係者が注目する中で発表された新名称の発表の時点で既に周知になったと考えられる。その後のマスコミでの取り上げ、更には請求人の営業活動により日一日とその周知著名性は増していると考えられる。
3 商標法第4条第1項第10号について
(1)本件商標と引用商標の対比
請求人が使用する「新極真会」と本件商標は、「シンキョクシンカイ」の称呼を同一にするから互いに類似する商標である。また、本件商標の指定商品「被服,空手衣」と請求人が使用しているTシャツ、道着等は同一又は類似の商品である。
(2)引用商標の周知性
請求人は、各所の道場において極真空手についての知識の教授を行うとともに世界的な規模において選手権大会を開催しており、その際には同時に商標「新極真会」を付したTシャツ、道着等のグッズの販売を行っている。
空手における知識の教授や大会等を行う際にグッズを販売することは通常なされることであり、空手における知識の教授を受ける者とTシャツ、道着等を購入する需要者は共通するのみならず、むしろ実際に空手における知識の教授を受けない者であっても請求人の開催する大会等に来た入場者も、Tシャツ、道着等のグッズを購入する場合も多い。
また、インターネットにおけるTシャツ等のグッズの販売も行っており(甲23)、周知性を獲得している。
上述したように、請求人は、平成15年7月11日に、新名称を採用し、その後、名称の全国的な浸透を図って精力的に事業活動をしたので、本件商標の登録出願時及び査定時において当該名称が請求人のTシャツ、道着等を表示するものとして周知性を獲得し、現在も維持されている。
4 商標法第4条第1項第15号について
(1)請求人は、極真空手についての知識の教授を行っており、新名称は既に著名となっているものと考えられる。また、請求人は、その著名な略称である「新極真会」について、第41類を指定役務として商標登録を得ている(甲8)。
(2)極真空手の創始者である故大山倍達の親族である被請求人が、本件商標を第25類の指定商品に使用すると、同人が「特定非営利活動法人 全世界空手道連盟 新極真会」を主催又は何等かの形で参画しているものと誤認し、需要者が商品等の出所について混同を生じるおそれがある。
(3)被請求人と請求人は法的に他人であり、経済的又は組織的に何の関係もないので、「新極真会」の名称を使えば、請求人の業務と混同を生じるか、又は何等かの関連があると誤解されることは明白である。
(4)請求人が商標「新極真会」を採用し、商標権を取得したことについて何ら違法性はなく、それは権利者の正当な使用にほかならない。したがって、請求人の商標が本号で保護されるべき著名商標になり得ないとする被請求人の主張は失当である。
5 商標法第3条第1項柱書について
(1)請求人の略称である「新極真会」と酷似した本件商標を被請求人が使用する意思が現存するか又はあったとは到底考えられない。
(2)被請求人は、大山倍達の死後、国際空手道連盟極真会館を継承する者と自認しているようであるが、本来的な業務である「空手についての知識の教授」は行っていない。業務の実態のない単なるロイヤルティだけを目的とする被請求人には、本件商標を使用する意思はなく、専ら商標を独占し真正な使用者からロイヤルティを得ようとする意図であることは同人の業務から明らかである。
(3)乙第1号証より、被請求人が極真空手の創始者である故大山倍達の親族であること、被請求人の住所が極真会館の住所と同一であることは認められるが、その他に提出された証拠(乙第2号証ないし乙第9号証)によって、被請求人が業務を行っていることが明らかにされたとは認められない。
(4)極真会館において空手の教授及び空手着の販売等が行われていたとしても、被請求人は、本件商標その他の極真関連商標等を使用するような業務の実体がないといわざるを得ず、本件商標は、事業を行う実体がなく、将来においても商標を使用する意思が全くない者によって登録出願されたものである。
6 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同第8号、同第10号、同第15号及び同法第3条第1項柱書に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項の規定により、その登録は無効とされるべきものである。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とするとの審決を求める」と答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第15号証(以下、乙号証を「乙1」のようにいう。)を提出した。
1 商標法第3条第1項柱書について
(1)被請求人は、極真空手を創始し平成6年に死亡した大山倍達の三女であり、その遺志を継いで空手道場の経営を承継し、極真空手の宗家(世間でいう宗家派)を率先している者であって、本来的業務である極真空手の教授を弟子(指導を委嘱)等と共に自ら行っている(乙1?7)。
(2)本件商標の第25類に属する商品について、襟に極真会の商標を付した空手着や帯等の商品を、極真会館発足当時から今日に至るまで、本部所在地であり被請求人の住所地でもある極真会館ビル内において販売している(乙8、9)。
(3)被請求人は、極真空手創始者の父大山倍達の遺志を継いで、極真空手の発展のための将来展望を企画しつつあり、その企画実現過程での一手段として本件商標たる「新極真会」の使用場面もあり得ることを想定しての登録出願であって、使用の蓋然性を見越しての登録出願であるから、使用の意思の下でのものである。
2 商標法第4条第1項第8号について
本号の適用にあっては、「新極真会」がその登録出願時である平成16年10月22日の時点において、請求人の著名な略称であったことが必要である(商標法第4条第3項)。
殊に、請求人の商号変更が平成15年4月15日の和解(平成11年(ワ)第12483号・平成12年(ワ)第25437号事件における「第44回弁論準備手続調書(和解)」:乙12)の直後から、本件商標の登録出願までの短期間に「新極真会」が請求人の著名な略称であったことを立証する必要がある。
3 商標法第4条第1項第10号について
請求人による「Tシャツ、道着等」についての商標「新極真会」の使用は、商標法上容認できない違法な行為であるから、その使用に基づいて周知となったと主張する商標「新極真会」は、本号によって保護されるべき商標には該当しない。また、本件商標の登録出願時において、本件商標が請求人の周知な商標であったことの証明が必要である(商標法第4条第3項)。
4 商標法第4条第1項第15号について
本号における答弁は、上記答弁理由3と同趣旨でもある。すなわち、請求人による空手の教授等についての商標「新極真会」の使用は、商標法上容認できない違法な行為であるから、その使用に基づいて著名(被請求人は著名性を認めない。)となった商標「新極真会」は、本号によって保護されるべき商標には該当しないはずである。
また、本号の無効理由としての適用は、上記8号、10号と同様に本件商標の登録出願時において、「新極真会」が請求人の著名な商標であったことが必要であるが(商標法第4条第3項)、少なくとも、その登録出願時においての証明がされていない。
5 商標法第4条第1項第7号について
被請求人は極真空手の宗家を率いており、創始者である大山倍達の事業を実質的に引き継いでいる(乙1?11)。
これに対して請求人は、和解調書(乙12)の如き和解をなして、かつて松井章圭こと文章圭が所有していた登録商標(乙13、14)と類似する「新極真会」なる商標を自己の旧商号を変更して自己の新商号に含ませた上、「空手衣や帯」等にも使用し始めたのであり、本件無効審判が請求されたように、商標「新極真会」の使用の正当性を主張して止まない。
仮に、このような請求人の主張を許すと、商標「新極真会」が当該著名商標「極真会」の商品(空手衣や帯)や役務(空手の教授)について使用されることとなって、商標法の目的とする「公正な取引秩序」を一層混乱させることになるから、請求人の主張も成立しない。
6 以上のとおり、請求人の主張する無効の理由は、いずれも成立しない。

第4 当審の判断
1 本件における事実関係
請求人の提出した証拠及び当事者の主張によれば、以下の事実を認めることができる。
(1)大山倍達は、極真空手と呼ばれる空手の流派の創始者であり、昭和39年、同空手に関する団体として国際空手道連盟極真会館(極真会館)を設立し、平成6年4月26日の死亡時まで、その代表者として、極真会館の館長ないし総裁と呼ばれていた。大山倍達が死亡した平成6年4月当時、極真会館は、日本国内において、総本部、関西本部のほか、55支部、550道場、会員数50万人を有し、世界130か国、会員数1200万人を超える勢力に達しており、極真会館は、毎年、「全日本空手道選手権大会」及び「全日本ウェイト制空手道選手権大会」との名称を付した極真空手の大会を開催すると共に、4年に1度、「全世界空手道選手権大会」との名称を付した極真空手の大会を開催していた。
(2)大山倍達の死亡後、平成6年5月10日に開催された極真会館の支部長らで構成される支部長会議において松井章圭が極真会館の館長に就任することが承認されたが、その後大山倍達の相続人らをはじめ、松井章圭の活動を批判する者達による反発が高まり、ついには支部長会議において松井章圭が館長から解任されるなどして、生前の極真会館における支部長等は各派に分かれるに至った。支部長会議において松井章圭について解任決議がされた平成7年4月5日の時点における極真会館の勢力関係は、松井章圭を支持する支部長又は直轄道場責任者は松井章圭を含めて12人(「松井派」と呼ばれた。)、大山倍達の妻である智弥子を支持する支部長は9人(「遺族派」と呼ばれ、後に「宗家」の他に「松島派」と称するようになった。)、前記の支部長会議において松井章圭を解任した勢力を支持する支部長又は直轄道場責任者は30人であった(「支部長協議会派」と呼ばれた。)。
上記各派は、いずれも自派が極真空手を正当に承継するものであるとして、極真会館を名乗って、道場の運営を行い、従前、極真会館が行っていたものと同一名称の極真空手の大会を開催するなどした。
(3)請求人は、支部長協議会派を前身とし、請求人代表者である緑健児の名から「緑派」とも呼ばれていたが、極真会館の分裂後も「極真会館」として活動し、平成12年10月10日付けで「特定非営利活動法人国際空手道連盟極真会館」との名称で法人登録をした。
しかし、極真会の商標を巡り請求人と松井章圭、請求人と被請求人ら遺族、被請求人ら遺族と松井章圭との間に紛争が発生し、請求人と松井章圭等との間の訴訟における裁判上の和解(平成15年4月15日成立、甲31)の結果、請求人は平成15年10月14日付けで名称を「特定非営利活動法人全世界空手道連盟新極真会」(現名称)へと変更することとなった。
請求人は、上記新名称への変更について平成15年7月11日に赤坂プリンスホテルにおいて記者発表を行った。その際に請求人が発表した平成15年5月当時の請求人の組織概要は、世界組織が加盟国63か国、公認支部数145支部、支部長数143名、総会員数4万名であり、国内組織が総本部直轄道場14道場、支部数33支部、公認道場数11道場、全国道場総数360道場(平成15年4月現在)、支部長数31名、道場責任者数25名、国内総会員数1万5000名(平成15年4月現在)であった。上記記者発表は多くのスポーツ紙各紙や雑誌に掲載され、またテレビでも放映された。
(4)請求人と被請求人ら遺族ら等とは、大山倍達の肖像権使用に関して民事訴訟で争ったことがあり、同訴訟は、平成15年3月27日に成立した東京地裁平成12年(ワ)第20469号事件の訴訟上の和解において、請求人が和解金500万円を支払うことで結着した(なお、被請求人が本件商標出願をしたのは、前記第1のとおり、その後の平成16年10月22日である。)。
(5)請求人は、平成20年3月現在、全国500以上の道場等において極真空手を教授し、国内の総会員数は約2万人、海外にも73か国、総会員数約7万人の会員である(甲12、13、151)。
また、請求人は、平成15年以降現在に至るまで、新極真会として毎年全日本大会を開催するほか、2年毎に世界各国から代表を迎えて「世界大会」ないし「ワールドカップ」として世界的な規模の選手権大会を開催しており、その様子はテレビや雑誌等でも数多く取り上げられ、その他、新極真会の活動や新極真会に所属する選手等の記事や広告等は雑誌等に多数掲載され、自らも機関誌である「空手LIFE」を毎月発行し(発行部数は約1万部)、空手の普及や請求人の活動の周知に努めてきた。
さらに、請求人は、空手の胴着や帯、Tシャツ等に請求人の団体名を毛筆体で「新極真會」と書して成るロゴ(別掲(2)のとおりの構成よりなるもの。以下「請求人使用標章」という。)を付して販売しており、上記テレビや雑誌等における請求人の会員らの多くは同ロゴの付された胴着やTシャツを着用していた。
2 本件商標の商標法第4条第1項第10号該当性について
前記1に認定した事実によれば、請求人は、大山倍達が死亡した後に分裂した極真会館において、大山倍達の創設した極真空手を教授すること等を目的として支部長協議会派に所属した支部長らを中心に設立された団体であるところ、平成15年4月ないし5月当時の請求人の組織概要は、世界組織が加盟国63か国、公認支部数145支部、支部長数143名、総会員数4万名であり、国内組織が総本部直轄道場14道場、支部数33支部、公認道場数11道場、全国道場総数360道場(平成15年4月現在)、支部長数31名、道場責任者数25名、国内総会員数1万5000名という大規模なものであったこと、請求人は平成15年7月11日に、名称を「極真会館」から「新極真会」へと改めることを記者発表するとともに、本件商標の登録出願時(平成16年10月22日)までに新団体名称の主催で世界大会(第8回・平成15年10月4日?5日)を開催したほか、その後も登録査定時(平成19年11月19日)までに継続的に新団体名称の主催で全日本大会や世界大会を開催するなどして、極真空手及び新極真会の名称の浸透を図っており、これらの結果、請求人は日本全国のみならず世界各国において更に多くの会員を獲得していること、また、上記の大会の開催予定や結果はテレビや雑誌等において頻繁に採り上げられており、これもまた請求人の名称の浸透や極真空手を教授する活動の認知に貢献していることが認められ、以上によれば、新極真会との請求人の名称は、本件商標の登録出願時(平成16年10月22日)及び登録査定時(平成19年11月19日)において、請求人の業務に係る役務を表示するものとして、空手やスポーツを愛好する者に周知であったと認めることができる。
そして、前記1のとおり、請求人は、本件商標の指定商品である被服、空手衣に相当する空手の胴着や帯、Tシャツに請求人の団体名を毛筆体で「新極真會」と書して成る請求人使用標章を付して販売するとともに、上記テレビや雑誌等において請求人の会員らがこれら標章の付された胴着やTシャツを着用した姿で頻繁に紹介されていることが認められ、そうすると、請求人使用標章は、本件商標の登録出願時(平成16年10月22日)及び登録査定時(平成19年11月19日)において、請求人を表示するものとして空手を志す需要者の間に広く認識されていたと認められる。
一方、 本件商標は、 別掲(1)のとおり、上段に「新」と「極真会」との間をやや空けて「新極真会」と書し、下段に「SIN」と「KYOKUSINKAI」との間をやや空けて「SINKYOKUSINKAI」と書して成るものであるのに対し、請求人使用標章は、別掲(2)のとおり、毛筆体で「新極真會」と書して成るものであるが、両者は文字間の懸隔や書体ないし字体において差異はあるものの、いずれも容易に一体として「シンキョクシンカイ」との称呼を生じ、かつ、極真空手を教授する新たな団体との観念を生じるものであるから、本件商標は請求人使用標章に類似するものと認められる。また、その指定商品も上記のとおり「被服,空手衣」であって、請求人の販売する胴着やTシャツと同一又は類似であると認められる。
以上からすると、本件商標登録は、「他人の業務に係る商品若しくは役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標又はこれに類似する商標であって、その商品若しくは役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について使用するもの」として商標法第4条第1項第10号に該当するものと認められるから、本件商標は無効といわなければならない。
3 結論
そうすると、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に違反して登録されたものであるから、その余について判断するまでもなく、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 <別掲>
(1)本件商標


(2)請求人使用標章


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
審理終結日 2010-05-12 
結審通知日 2008-12-10 
審決日 2009-01-07 
出願番号 商願2004-96659(T2004-96659) 
審決分類 T 1 11・ 25- Z (Y25)
最終処分 成立  
前審関与審査官 佐藤 達夫保坂 金彦 
特許庁審判長 井岡 賢一
特許庁審判官 酒井 福造
末武 久佳
登録日 2008-01-11 
登録番号 商標登録第5103501号(T5103501) 
商標の称呼 シンキョクシンカイ、シンキョクシン、キョクシンカイ、キョクシン 
代理人 今井 秀智 
代理人 木村 晋介 
代理人 鈴木 正勇 
代理人 広瀬 文彦 
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