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審決分類 審判 一部無効 商4条1項10号一般周知商標 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) X05
審判 一部無効 称呼類似 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) X05
審判 一部無効 観念類似 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) X05
管理番号 1224866 
審判番号 無効2009-890051 
総通号数 131 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2010-11-26 
種別 無効の審決 
審判請求日 2009-05-13 
確定日 2010-09-06 
事件の表示 上記当事者間の登録第5098998号商標の商標登録無効審判事件についてされた平成21年11月11日付け審決に対し、知的財産高等裁判所において審決取消の判決(平成21年(行ケ)第10411号平成22年4月28日判決言渡)があったので、さらに審理のうえ、次のとおり審決する。 
結論 登録第5098998号の指定商品中、第5類「医療用腕輪」についての登録を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5098998号商標(以下「本件商標」という。)は、「ATHLETE LABEL」の欧文字を標準文字で表してなり、平成19年2月7日に登録出願、第3類「家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,染み抜きベンジン,洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤,かつら装着用接着剤,つけまつ毛用接着剤,洗濯用でん粉のり,洗濯用ふのり,塗料用剥離剤,靴クリーム,靴墨,つや出し剤,せっけん類,歯磨き,化粧品,香料類,研磨紙,研磨布,研磨用砂,人造軽石,つや出し紙,つや出し布,つけづめ,つけまつ毛」及び第5類「薬剤,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,胸当てパッド,歯科用材料,医療用腕環,失禁用おしめ,はえ取り紙,防虫紙,乳糖,乳児用粉乳,人工受精用精液」を指定商品として、同年10月16日に登録査定、同年12月14日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び弁駁の理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第45号証(枝番を含む。:平成22年7月7日付け回答書添付の証拠を甲第25号証ないし甲第45号証とする。)を提出した。
1 請求の理由
(1)商標法第3条第1項柱書該当性について
本件商標の商標権者(被請求人)は、1899年に創業し、その主な事業内容は「医薬品・化粧品・機能性食品等の製造販売」であり、主として目薬、胃腸薬等の医薬品が一般に知られている。
しかしながら、本件商標に係る指定商品中、第5類「医療用腕環」については、被請求人の製造販売項目には全く見当たらないし、また、創業以来100年以上経過した経緯をみても、このような医療用機械器具の範ちゅうの製品ともいうべき「医療用腕環」を医薬品メーカーである被請求人が、近い将来において製造販売するとは到底考えられない(甲第1号証ないし甲第3号証)。
したがって、本件商標に係る指定商品中、第5類「医療用腕環」については、本件商標は、現に使用していないばかりでなく、将来使用するとは到底考えられず、自己の業務に係る商品について使用しないことが明らかであり、商標法第3条第1項柱書の規定に違反する。
(2)商標法第4条第1項第10号該当性について
請求人は、1981年の創業以来一貫して循環器関連の医療機械器具の供給や医療情報提供を行い大学病院等の全国医療中枢で高く評価されている。
請求人は、本件商標に係る指定商品中、第5類「医療用腕環」に類似する「医療用機械器具」の分野において、平成6年を皮切りに同10年頃より本格的に「医療用機械器具」、特に「ガイドワイヤー」について「ATHLETE」、「アスリート」を冠する商標のブランド展開を行っている。
すなわち、請求人は、「ATHLETE」、「アスリート」をはじめ、これらの文字を冠する商標群について、第10類「医療用機械器具」を指定商品とする17件の商標登録を受けている(甲第5号証の1ないし17)。
このように、「医療用腕環」に類似する「医療用機械器具」の分野では、「ATHLETE」、「アスリート」をはじめ、これらの文字を冠する商標は、請求人のブランド商標として、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、請求人の業務に係るガイドワイヤーをはじめとする医療機械器具を表示するものとして取引者、需要者の間に広く認識されていたものである(甲第6号証ないし甲第19号証)。
本件商標の「ATHLETE LABEL」は、その要部は「ATHLETE」の部分にあり、間隔を置いて結合された「LABEL」部分は、指定商品中、「医療用腕環」との関係では自他商品の識別力は極めて希薄なものであるといわざるを得ない。
加えて、取引者又は需要者において、この「LABEL」部分の称呼を「ラベル」と呼ぶのか、「レーベル」と呼ぶのか戸惑いを生ずることを考慮すると、本件商標において自他商品識別力の部分はあくまでも「ATHLETE」にあるというべきである。
さらに、商標法第4条第1項第10号について、他人の「需要者の間に広く認識された」いわゆる未登録周知商標と他の文字を結合した商標は、その外観構成がまとまりよく一体に表されているもの又は観念上の繋がりがあるものを含め、原則としてその未登録商標と類似するものとする、との商標審査基準の解釈からすると、引用商標と本件商標とは、類似商標というべきであり、指定商品についても、本件商標に係る指定商品中、「医療用腕環」と引用商標に係る指定商品「医療用機械器具」とは類似商品である。
したがって、本件商標は、その指定商品中、第5類「医療用腕環」について、商標法第4条第1項第10号に該当する。
(3)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 引用商標
請求人が商標法第4条第1項第11号の理由として引用する登録商標は、次の2件であり、いずれも請求人が商標権者であり、現に有効に存続しているものである。
(ア)登録第4422102号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成10年3月12日に登録出願、第10類「医療用機械器具」を指定商品として、同12年10月6日に設定登録されたものである。
(イ)登録第4441402号商標(以下「引用商標2」という。)は、「アスリート」の片仮名文字を横書きしてなり、平成10年3月12日に登録出願、第10類「医療用機械器具」を指定商品として、同12年12月22日に設定登録されたものである。
以下、これらをまとめていうときは、「引用商標」という。
イ 本件商標と引用商標の類否について
引用商標は、前記したように、医療機械器具について長年使用した結果、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、請求人の業務に係る医療機械器具を示す商標として取引者、需要者の間に広く認識されていたものである。
本件商標は、「ATHLETE LABEL」の文字を横一連に記載した構成からなるものであり、「ATHLETE」と「LABEL」との間に間隔を設けてなるものである。
本件商標は、その外観構成上、これが全体として一個の商標を構成するとはいえ、「ATHLETE」と「LABEL」との間に間隔を設けて分離した構成となっているために、その要部はあくまでも「ATHLETE」の文字にあるものというべきであり、後半の「LABEL」の部分は、「医療機械器具」との関係において自他商品識別力が極めて希薄で乏しいものである。
したがって、本件商標の外観は、引用商標1と類似する。
次に、本件商標と引用商標との称呼の観点からその類否を検討するに、本件商標の「ATHLETE LABEL」は、「アスリートラベル」若しくは「アスリートレーベル」の称呼を生ずるとも考えられるが、一般的には我が国においては「アスリートラベル」と称呼されるのが通常であると判断される。
しかしながら、上述したように本件商標のうち、後半の「LABEL」の部分は、「医療機械器具」との関係において自他商品識別力が極めて希薄で乏しいものとの判断から、「LABEL」を除いた「ATHLETE」の部分のみから「アスリート」の称呼を生じるものと判断されるのが一般的である(甲第21号証及び甲第22号証)。
すなわち、その意味内容からしても、「ATHLETE」と「LABEL」が不可分に結合するといった格別な理由はなく、本件商標は、「ATHLETE」商標と率直に認識され得るものである。
前記したように、引用商標は、請求人の商標として医療機械器具の分野において取引者、需要者の間に広く認識された商標となっており、この点からも本件商標は、その構成中の「ATHLETE」の部分に格別の印象を与えるものである。
しかも、請求人は、医療機械器具について引用商標を始め、これらを冠する商標群のブランド展開を行っていることをかんがみた場合に、本件商標に係る「医療用腕環」が存在したと仮定した場合、これに接する者は、一見してこれが「ATHLETE」からなるものと認識し、「アスリート」の称呼、観念をもって特定し、認識するものであると考える。
よって、本件商標は、引用商標とその外観、称呼及び観念を共通にする類似商標である。
次に、本件商標は、指定商品に第5類「医療用腕環」を含んでおり、これが引用商標の指定商品、第10類「医療用機械器具」と抵触することは明白である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(4)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、その指定商品中、第5類「医療用腕環」については、商標法第3条第1項柱書、同法第4条第1項第10号及び同第11号に違反してなされたものであるから、同法第46条第1項第1号により無効とされるべきものである。
2 弁駁の理由
(1)商標法第3条第1項柱書該当性について
被請求人は、請求人との事前交渉において、医療用腕環については、現在全く使用しておらず、将来において使用の見込みは低く不確定であるとの回答をしている。
すなわち、請求人は、「医療用腕環」の権利放棄を依頼していたところ、被請求人は、その類似商品である医療用サポーターについて本件商標を使用して販売する見込みがあるから、医療用腕環についての商標権を放棄できないと主張している。
しかしながら、商標法は、「商標権者は、指定商品についての登録商標の使用をする権利を専有する。」と規定し、類似商品についての使用は認めていない。
現在において全く使用せず、また、将来の使用についても疑義のある商標をそのまま保護しておくことは、商標法の目的に全く反するとともに、商標選択の幅を狭め、さらには、経済活動の制限をも惹起するものであるといわねばならない。
(2)商標法第4条第1項第10号該当性について
被請求人は、請求人が提出した証拠からは、「ATHLETE」が商標法第4条第1項第10号に該当する程、需要者の間に広く認識されているかどうかは明らかにされていない旨主張するが、「需要者の間に広く認識されている商標」についての認識を誤っている。
商標審査基準の解説(発明協会発行第五版)によると、「需要者の間に広く認識されている商標に関して、その需要者には取引者、消費者も含まれること、そして必ずしも最終消費者に周知されている必要はなく、場合によっては、取引者の間でのみ周知な商標を含むこと、また、必ずしも全国的に周知でなくともある一地方で周知な商標を含む」とし、さらに、「商品の性質及びそれに伴う取引の実態により、周知の対象(取引者・需要者)又は、範囲(地域)が同じでない。・・・判決例でも『他人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標』とは、わが国において、全国民的に認識されていることを必要とするものではなく、その商品の性質上、需要者が一定分野の関係者に限定されている場合には、その需要者の間に広く認識されていれば足りるものである。すなわち、その需要者において商品の出所の混同が生じてはならないからである。」とされている(甲第23号証及び甲第24号証)。
請求人の「ATHLETE」、「アスリート」及びこれらを冠した商標は、カイドワイヤー等の医療機械器具に表示するものであり、これらの医療機械器具の需要者(取引者を含む)は、大量消費型商品とは異なり、医師等の医療専門家、医療業従事者やこれらの取引者が主たるものである。
したがって、これらの需要者に周知であれば、「需要者の間に広く認識されている商標」といえるものであり、これらを立証する甲第6号証を始めとする甲号証は証拠書類として十分要件を満たしているものである。
(3)商標法第4条第1項第11号該当性について
商標法第4条第1項第11号に関する商標審査基準の解説によると、「形容詞的文字を有する結合商標は原則として、それが付加されていない商標と類似する」とされている。
今、本件商標中の「LABEL」の語には、世間一般としてレーベル(ブランド)という形容詞的な意味があると解されている。
例えば、資生堂の著名なブランドである「アクアレーベル」は、「レーベル」、「LABEL」をブランドとしての形容詞的な意味で用いている。その他、「PRIVATE LABEL」(株式会社サンエー・インターナショナル)、「バーバリ BLACKLABEL」、「Opt LABEL」など「LABEL」をブランドの意味で使用するものがあり、ビールの「黒ラベル」、「淡麗グリーンラベル」、ウイスキーの「ジョニーウォカー黒ラベル、赤ラベル」、アルマーニの「黒ラベル(BLACK LABEL)、青ラベル、白ラベル」等々「ラベル」をブランドの意味で用いることもある。いずれにしても、「LABEL」、「レーベル」は今日において、普通名称化しているため、識別力を有していない状態となっている。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨次のように述べた。
1 商標法第3条第1項柱書該当性について
請求人は、被請求人のホームページをプリントアウトしたもの(甲第1号証)を提出し、本件商標は、「医療用腕環」に使用されておらず、将来も使用するとは到底考えられないから、本件商標の指定商品中、第5類「医療用腕環」については商標法第3条第1項柱書の規定に違反して登録されたものである旨主張するが、被請求人が将来どのようなビジネスを行なうかは、目まぐるしく変化する市場の動向を見極めた上で決定していくものであるから、請求人によって被請求人の今後のビジネスの行方を決められるべきものではなく、被請求人は、この1、2年の間にも、OTC医薬品、化粧品、その他商品の製造販売のみならず、クリニックのバックアップ、足の健康施設やカフェの経営など、これまでの事業と全く異なる新規分野でのビジネスに携わっていることからしても、現段階において、請求人から絶対的に使用しないと断定されるいわれはない。
よって、本件商標は、商標法第3条第1項柱書に違反しない。
2 商標法第4条第1項第10号該当性について
請求人が提出した証拠からは、確かに請求人が販売する「カテーテル」の商品名として「ATHLETE」が使用されていることは理解されるものの、それが商標法第4条第1項第10号に該当する程、需要者の間に広く認識されているかどうかは明らかにされていないものといわざるを得ず、また、そもそも本件商標と請求人が所有する商標「ATHLETE」は、非類似の商標であるから、商標法第4条第1項第10号に該当するものではない。
3 商標法第4条第1項第11号該当性について
請求人は、本件商標は、引用商標と類似するものである旨主張するが、本件商標が「ATHLETE」と「LABEL」に常に分断されなければならない特段の理由が存在しない以上、一連不可分一体の造語とするのが相当であって、請求人の主張は受け入れられない。
また、請求人は、「LABEL」の文字は、「医療用機械器具」との関係において、自他商品識別力が極めて希薄で乏しいものと判断されると主張しているが、根拠となる証拠を用いて立証しているわけではない。
加えて、本件商標は、請求人の主張のように、「ATHLETE」と「LABEL」のそれぞれに軽重を置かなければならない理由は存在しないものであるから、あえてこれを分断しなければならない必要性もない。
4 むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第3条第1項柱書、同法第4条第1項第10号及び同第11号に違反して登録されたものではないから、その指定商品中、第5類「医療用腕環」について同法第46条第1項第1号により無効とされるべきものではない。

第4 当審の判断
1 商標法第4条第1項第10号該当性について
(1)商標の類否判断
商標の類否は、対比される両商標が同一又は類似の商品に使用された場合に、商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かによって決すべきであるが、それには、そのような商品に使用された商標がその外観、観念、称呼等によって取引者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すべく、しかも、その商品の取引の実情を明らかにし得る限り、その具体的な取引状況に基づいて判断するのが相当である(最高裁昭和39年(行ツ)第110号同43年2月27日第三小法廷判決・民集22巻2号399頁参照)。
しかるところ、複数の構成部分を組み合わせた結合商標については、商標の各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものと認められる場合において、その構成部分の一部を抽出し、この部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することは、原則として許されない。他方、商標の構成部分の一部が取引者、需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合や、それ以外の部分から出所識別標識としての称呼、観念が生じないと認められる場合などには、商標の構成部分の一部だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することも、許されるものである(最高裁昭和37年(オ)第953号同38年12月5日第一小法廷判決・民集17巻12号1621頁、最高裁平成3年(行ツ)第103号同5年9月10日第二小法廷判決・民集47巻7号5009頁、最高裁平成19年(行ヒ)第223号同20年9月8日第二小法廷判決・裁判集民事228号561頁参照)。
(2)認定事実
証拠及び当事者の主張を総合すれば、以下の事実が認められる。
ア 請求人の営業
請求人は、昭和56年に医療用機器の輸入、製造並びに国内販売を主な事業内容として設立された会社である。請求人は、循環器系分野の医療用機器を提供しているところ、心臓ペースメーカやEPカテーテル等のほか、ガイドワイヤーを取り扱っている(甲第4号証)。
イ ガイドワイヤーの取引状況
ガイドワイヤーとは、PCI(経皮的冠動脈形成術)と呼ばれる心臓カテーテル治療に用いられる医療機器である。PCIとは、腕や脚の血管からガイドワイヤーを心臓まで引き通して、そのガイドワイヤーをガイドとしてバルーンカテーテルを心臓の冠動脈まで押し込み、バルーンを膨らますことで冠動脈の塞栓等を解消する手術方法である(甲第4号証、甲第44号証)。
ガイドワイヤーは、薬事法上、製造販売には独立行政法人医薬品医療機器総合機構への申請及び厚生労働大臣の承認が必要な医療機器であり、PCIを行う病院に直接販売する方法と、販売代理店経由で販売する方法とがある。請求人は、全国に26か所の営業拠点を有し、代理店経由の場合を含め、請求人の営業担当者が直接病院施設を訪問し、製品の紹介・販売・サポートを行っている(甲第44号証)。
ウ 請求人の有する商標
請求人は、「ΛTHLETE」(引用商標1)及び「アスリート」(引用商標2)のほか、「アスリートマーカー/ATHLETEMARKER」、「アスリートコンクエスト/ATHLETECONQUEST」、「アスリートミラクル/ATHLETEMIRACLE」、「アスリートゴールド/ATHLETEGOLD」等、「ATHLETE」、「アスリート」を冠する合計17の商標について、指定商品を第10類「医療用機械器具」として登録を受けている(甲第5号証。枝番を含む。特に断らない限り、以下同じ)。
エ 請求人商品の販売状況
請求人は、平成7年ころから、ガイドワイヤーに「ATHLETE」、「アスリート」を冠した上記ウの商標を付し、これを「ATHLETE」、「アスリート」シリーズとして製造販売しており、平成7年度以降の請求人のカタログ等にも、「ATHLETE」、「アスリート」を冠した商標を付したガイドワイヤーが掲載されている(甲第26号証ないし甲第30号証)。
株式会社矢野経済研究所京都支社生命科学産業調査本部ヘルスケア部の調査資料や、株式会社アールアンドディ作成の「医療機器・用品年鑑」の各年度毎の市場分析によれば、請求人は、ガイドワイヤーの販売本数で、平成8年から同12年まで約15%ないし25%を占めていた。その後、独占販売契約の打切りによる自社製品への切替えのため、平成13年は販売本数が減少したが、その後同14年以降同19年まで約5%ないし8%のシェアを占めてきた。請求人は、ガイドワイヤーの販売本数ベースで、平成8年以降、同13年を除き、毎年上位5社以内にランキングされている。上記市場分析においても、請求人が「ATHLETE」、「アスリート」シリーズのガイドワイヤーを市場展開されていることが記載されている(甲第11号証、甲第31号証ないし甲第42号証及び甲第44号証)。
請求人は、平成18年4月から1年間の決算期及び同19年4月から1年間の決算期において、ガイドワイヤーを用いる病院施設数が全国で約1000程度といわれているうちの、約750病院施設にガイドワイヤーを納品した。なお、納品実績の有無に関わらず、主要な病院施設のほとんどに営業活動も行なってきた。また、地域的にも全国47都道府県のそれぞれにある病院への納品実績がある(甲第44号証及び甲第45号証)。
オ 「Athlete GT SOFT」、「Athlete GT SOFT Type-S」、「Athlete GT Power SOFT」、「Athlete GT Intermediate」等「ATHLETE」、「アスリート」が冠された商標が付された請求人のガイドワイヤーは、平成13年日本心血管カテーテル治療学会等の学会誌に掲載されたのをはじめ、学会予稿集や医学雑誌に多数回掲載されている(甲第6号証ないし甲第10号証、甲第12号証、甲第13号証、甲第19号証、甲第43号証)。
カ 商標法第4条第1項第10号にいう「他人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標」については、我が国において、全国民的に認識されていることを必要とするものではなく、その商品の性質上、需要者が一定分野の関係者に限定されている場合には、その需要者の間に広く認識されていれば足りるものである。
上記アないしオのとおり、ガイドワイヤーが、一般に市販されている商品ではなく、特定の医療関係者に販売元から直接又は問屋を通して売買されるものであること、「ATHLETE」、「アスリート」及びこれらを冠する商標を付した請求人の製造販売に係るガイドワイヤーの販売本数が、平成8年以降ほぼ毎年上位5位以内にランキングされていること、請求人の「ATHLETE」、「アスリート」シリーズのガイドワイヤーが、全国の対象医療機関の大多数に販売され又は営業活動が行われ、納品実績が全国にわたること、請求人のカタログや調査会社の市場分析のみならず、医療関係者が購読する雑誌等にも、たびたび請求人の「ATHLETE」、「アスリート」シリーズのガイドワイヤーが掲載されていること等の事実を総合すると、「ATHLETE」、「アスリート」及びこれらを冠する商標は、平成19年2月までに、請求人が製造販売するガイドワイヤーの商標として、上記医療関係者や医療用機械器具を取り扱う取引者の間に周知性を獲得し、その後も周知性を維持していると評価するのが相当である。
(3)本件商標と請求人の使用商標との類否
ア 本件商標は、「ATHLETE LABEL」の欧文字から成る結合商標である。
本件商標を構成する「ATHLETE」は「運動選手、競技者」等、「LABEL」は「貼り紙、ラベル」等を意味する英語の普通名詞である。本件商標が、「ATHLETE」と「LABEL」の2語から成り、その間にスペースがあることに照らすと、本件商標の各構成部分は、これを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものということはできない。そして、前記(2)認定のとおり、本件商標の一部を構成する「ATHLETE」の部分が、需要者である医療関係者や医療用機械器具を取り扱う取引者に対し、請求人の商品を示すものとして周知性を獲得し、出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められるから、本件商標のうち「ATHLETE」の部分だけを、請求人の使用商標と比較して商標そのものの類否を判断することも、許されるものというべきである。
イ そうすると、本件商標からは、「ATHLETE LABEL」全体としてのみならず、「ATHLETE」の部分からも称呼、観念が生じるということができる。
そして、後者の「ATHLETE」は、請求人の使用商標のうち「ATHLETE」と同一の欧文字から成るものであり、両者とも「アスリート」という同一の称呼が生じ、「運動選手、競技者」という同一の観念が生じるから、その外観を考慮しても、両者は類似する。したがって、本件商標「ATHLETE LABEL」が医療用腕環に使用されるときは、本件商標中の「ATHLETE」は、需要者である医療関係者や医療用機械器具を取り扱う取引者において、周知の請求人の使用商標との出所を誤認混同するおそれがあるといわざるを得ない。
ウ しかるところ、1個の商標から2個以上の呼称、観念を生じる場合には、その1つの称呼、観念が登録商標と類似するときは、それぞれの商標は類似すると解すべきである(前掲最高裁昭和38年12月5日第一小法廷判決参照)。
エ よって、本件商標から生じる称呼、観念の1つである「ATHLETE」と請求人の使用商標とが類似する以上、本件商標は、請求人の使用商標と類似するものである。
(4)商品の類似性
本件商標の指定商品のうち、無効審判請求に係るのは、第5類「医療用腕環」であるところ、請求人が「ATHLETE」、「アスリート」及びこれらを冠する商標を付して周知性を獲得したのは、ガイドワイヤーである。両者は、医療という用途に使用され、需要者である医療関係者や医療用機械器具を取り扱う取引者が共通することから、類似の関係にある。
(5)小括
以上のとおり、本件商標は、請求人がガイドワイヤーに使用して周知性を獲得した「ATHLETE」、「アスリート」及びこれらを冠する商標と類似し、商品においても類似するから、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当する。
2 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標と引用商標との類似性
ア 前記1(3)アで述べたのと同様に、本件商標のうち「ATHLETE」の部分だけを、引用商標と比較して商標そのものの類否を判断することも、許されるものというべきであるから、本件商標からは、「ATHLETE LABEL」全体としてのみならず、「ATHLETE」の部分からも称呼、観念が生じるということができる。
イ 他方、引用商標1の冒頭の文字「Λ」は、「A」の文字から横棒を除外したもので「A」と類似し、引用商標1からは「アスリート」の称呼が生じる(甲第5号証の2)。そして、引用商標1からは、「運動選手、競技者」等の観念が生じる。
ウ そうすると、本件商標のうち「ATHLETE」の部分は、引用商標1と類似の欧文字から成るものであり、両者とも「アスリート」という同一の称呼が生じ、「運動選手、競技者」という同一の観念が生じるから、その外観を考慮しても、両者は類似する。そして、「ATHLETE LABEL」が医療用機械器具に使用されるときは、本件商標中の「ATHLETE」は、需要者である医療関係者や医療用機械器具を取り扱う取引者において、引用商標1との出所を誤認混同するおそれがあるといわざるを得ない。
エ よって、本件商標から生じる称呼、観念の1つである「ATHLETE」と引用商標1とが類似する以上、本件商標は、引用商標1と類似するものである。
(2)商品の類似性
本件商標の指定商品のうち、無効審判請求に係るのは、第5類「医療用腕環」であるところ、引用商標1の指定商品は、第10類「医療用機械器具」である。医療用腕環も医療用機械器具も、いずれも医療という用途に使用され、需要者である医療関係者や医療用機械器具を取り扱う取引者が共通することから、類似の関係にある。
(3)小括
以上のとおり、本件商標は、引用商標1と類似し、指定商品においても類似するから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
3 むすび
以上のとおり、本件商標は、その指定商品中、第5類「医療用腕輪」については、商標法第4条第1項第10号及び同第11号に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項第1号に基づき、その登録を無効とすべきものである。
別掲 別掲
引用商標1


審理終結日 2009-10-21 
結審通知日 2010-07-13 
審決日 2009-11-11 
出願番号 商願2007-9605(T2007-9605) 
審決分類 T 1 12・ 25- Z (X05)
T 1 12・ 263- Z (X05)
T 1 12・ 262- Z (X05)
最終処分 成立  
前審関与審査官 鈴木 斎林田 悠子 
特許庁審判長 井岡 賢一
特許庁審判官 末武 久佳
酒井 福造
登録日 2007-12-14 
登録番号 商標登録第5098998号(T5098998) 
商標の称呼 アスリートラベル、アスリートレーベル、アスリート 
代理人 谷山 守 
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