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審判番号(事件番号) データベース 権利
不服200828944 審決 商標
不服200925333 審決 商標
不服20139655 審決 商標

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審決分類 審判 査定不服 商4条1項8号 他人の肖像、氏名、著名な芸名など 登録しない X35
管理番号 1221437 
審判番号 不服2009-710 
総通号数 129 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2010-09-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-01-08 
確定日 2010-07-15 
事件の表示 商願2007- 64154拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1 本願商標
本願商標は、別掲1に示すとおりの構成よりなり、願書記載のとおりの役務を指定役務として、平成19年6月21日に登録出願、その後、指定役務については、原審における同20年8月11日付け手続補正書及び当審における同21年1月8日付け手続補正書により、最終的に、別掲2記載の役務に補正されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『滋賀県大津市里5丁目2-14』、『滋賀県草津市木川町336-34』、『京都府京都市南区吉祥院嶋 川原田町17』及び『大阪府高槻市中川町1-1』所在の法人の名称と同一のものと認められる『株式会社デイリーフーズ』の文字を書してなり、かつ、その他人の承諾を得たことを確認することができない。 したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第8号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

第3 当審の判断
1 商標法第4条第1項第8号について
商標法第4条第1項第8号(以下「本号」という。)において、「他人の肖像又は他人の氏名若しくは名称若しくは著名な雅号、芸名若しくは筆名若しくはこれらの著名な略称を含む商標(その他人の承諾を得ているものを除く。)」は、商標登録を受けることができない旨規定している。
工業所有権法逐条解説[第17版](特許庁編集 社団法人発明協会発行)によれば、「八号は旧法2条1項5号に相当する規定である。・・・・・また、例えば、自己の名称と他人の名称とが同一の場合は、自己の名称についても本号の適用があり、したがって、不登録になる。なお、本号に関して、これは不正競争防止の規定であるから『その他人の承諾云々』のカッコ書きは不要であるとの説もあるが、立法の沿革としては前述のように人格権保護の規定と考えるべきであろう。本号には外国人の氏名、名称も含まれる。」と説明されている。
そして、最高裁判所昭和57年(行ツ)15号判決(判決日 昭和57年11月12日)(以下「最高裁判決1」という。)において「株式会社の商号は商標法4条1項8号にいう『他人の名称』に該当」する旨判示されている。
また、最高裁判所平成15年(行ヒ)265号判決(判決日 平成16年6月8日)(以下「最高裁判決2」という。)において、「8号(商標法4条1項8号)は、その括弧書以外の部分(以下、便宜『8号本文』という。)に列挙された他人の肖像又は他人の氏名、名称、その著名な略称等を含む商標は、括弧書にいう当該他人の承諾を得ているものを除き、商標登録を受けることができないとする規定である。その趣旨は、肖像、氏名等に関する他人の人格的利益を保護することにあると解される。したがって、8号本文に該当する商標につき商標登録を受けようとする者は、他人の人格的利益を害することがないよう、自らの責任において当該他人の承諾を確保しておくべきものである。」旨判示されている。
さらに、最高裁判所平成16年(行ヒ)343号判決(判決日 平成17年7月22日)(以下「最高裁判決3」という。)において、「商標法第4条1項は、商標登録を受けることができない商標を各号で列記しているが、需要者の間に広く認識されている商標との関係で商品又は役務の出所の混同の防止を図ろうとする同項10号、15号等の規定とは別に、8号の規定が定められていることからみると、8号が、他人の肖像又は他人の氏名、名称、著名な略称等を含む商標は、その他人の承諾を得ているものを除き、商標登録を受けることができないと規定した趣旨は、人(法人等の団体を含む。以下同じ。)の肖像、氏名、名称等に対する人格的利益を保護することにあると解される。すなわち、人は、自らの承諾なしにその氏名、名称等を商標に使われることがない利益を保護されているのである。」旨判示されている。
さらにまた、知的財産高等裁判所平成20年(行ケ)10309号判決(判決日 平成21年2月26日)(以下「知財高裁判決」という。)において、「他人の名称を含む商標については、他人の承諾を得ているものを除いては、商標登録を受けることができないというべきであって、出願人と他人との間で事業内容が競合するかとか、いずれが著名あるいは周知であるといったことは、考慮する必要がないというべきである。」旨判事されている。
そこで、以上の観点から本件について検討する。

2 本願商標の本号の該当性について
(1)本願商標の構成について
本願商標は、別掲1のとおり「株式会社デイリーフーズ」(構成文字中「株式会社」の文字は、「デイリーフーズ」の文字より小さく書されている。以下同じ。)の文字を書してなるものであり、その構成中に「資本金が株式という均等な形式に分割され、出資者すなわち株主が組織する有限責任会社。その機関は、株主総会・取締役会・代表取締役・監査役などから成る。」(広辞苑第六版)を意味する「株式会社」の文字を有するものであることから、商号の一つを表示したものと認められる。
また、前記、最高裁判決1からすれば、「株式会社デイリーフーズ」の商号は、本号における「他人の名称」に該当するものである。
(2)本願商標「株式会社デイリーフーズ」と同一の商号の他人の存在について
当審において職権により調査すると、「iタウンページ」(http://itp.ne.jp/)において、キーワード「株式会社デイリーフーズ」及び住所を「滋賀県」で検索すると、「滋賀県大津市里5丁目2-14」あるいは「滋賀県草津市木川町336-34」在の「株式会社デイリーフーズ」が、また、住所を「京都府」で検索すると、「京都府京都市南区吉祥院嶋川原田町17」在の「株式会社デイリーフーズ」が、さらに、住所を大阪府で検索すると、「大阪府高槻市中川町1-1」在の「株式会社デイリーフーズ」が存在することが認められるものである。
また、「YAHOO!電話帳」(http://phonebook.yahoo.co.jp/)、「gooタウンページ」(http://townpage.goo.ne.jp/)等において、キーワード「株式会社デイリーフーズ」で検索しても、前記の検索キーワードで検索しても、前記社の存在が認められるものである。
(3)「他人の承諾」を得たものであるかについて
請求人は、前記(2)に挙げた「滋賀県大津市里5丁目2-14」在の、「滋賀県草津市木川町336-34」在の、「京都府京都市南区吉祥院嶋川原田町17」在の及び「大阪府高槻市中川町1-1」在の「株式会社デイリーフーズ」から、本願商標を登録することについての承諾を得たことを証明するための書類(承諾書等)を提出していない。
したがって、本願商標は、これを登録することについて、他人の承諾を得たものとは認められない。
(4)まとめ
前記(1)ないし(3)で認定したとおり、本願商標は、他人の名称からなる商標であり、かつ、当該他人の承諾を得ているとは認められないものであるから、商標法第4条第1項第8号に該当するものであり、これを登録することはできない。

3 請求人(出願人)(以下「請求人」という。)の主張
請求人(出願人)は、「請求人の名称『株式会社デイリーフーズ』は、飲食料品の卸売に使用され、その業界において広く知られているものというべきであるから、これと同一の文字からなる本願商標は、これをその指定役務に使用しても、他人の名称を想起することはないというべきであって、原審で示した人格権を毀損するものとみることはできない」旨主張する。
しかし、本号の規定が、最高裁判決3において判示されているとおり、「人(法人等の団体を含む。)は、自らの承諾なしにその氏名、名称等を商標に使われることがない利益を保護されている」こと、さらに、「他人の承諾」は、最高裁判決2において判示されているとおり、「8号本文に該当する商標につき商標登録を受けようとする者は、他人の人格的利益を害することがないよう、自らの責任において当該他人の承諾を確保しておくべきもの」であることから、その他人の人格権の保護の観点より、承諾を必要とするものである。
そして、知財高裁判決において「他人の名称を含む商標については、他人の承諾を得ているものを除いては、商標登録を受けることができないというべきであって、出願人と他人との間で事業内容が競合するかとか、いずれが著名あるいは周知であるといったことは、考慮する必要がないというべきである。」と判示されているとおり、例え、請求人の名称「株式会社デイリーフーズ」が、飲食料品の卸売に使用され、その業界において広く知られているものであるとしても、本号の適用要件としては、「出願人と他人との間で事業内容が競合するかとか、いずれが著名あるいは周知であるといったことは、考慮する必要がない」ものである。そうとすると、請求人の名称と同一の名称の他人が存在する以上、その他人の承諾なくして、本願商標が登録されるべき事由は存在しないと判断するのが相当である。
したがって、請求人の上記主張は採用することができない。
その他の請求人の主張をもってしても、原査定の拒絶の理由を覆すことはできない。

4 結論
以上によれば、本願商標は、商標法第4条第1項第8号に該当するとして本願を拒絶した原査定は妥当であって、取り消すことができない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲1 本願商標



別掲2 本願の指定役務
第35類「飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,食用たんぱく・食用グルテン・飼料用たんぱくの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,食品香料の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,食餌療法用食品及び食餌療法用飲料の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,乳幼児の離乳育児用食品及び乳幼児の離乳育児用飲料の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,乳幼児用粉乳の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,油ひき・台所用アルミホイル・家庭用食品包装用プラスチックフィルム・紙製コーヒーフィルター・木製スプーン・プラスチック製スプーン・金属製スプーン・調理用スプーン・プラスチック製フォーク・金属製フォーク・マドラー・ストロー・紙製コースター・布製コースター・木製箸・竹製箸・紙製調理用シート・紙製ごみ袋・ポリエチレン製ごみ袋・布製テーブルナプキン・家庭用浄水器・コーヒーカップ・ガラス製コップ・プラスチック製カップ又はコップ・紙コップ・ワイングラス・皿・トンボ状をしてなるクレープ用の生地伸ばし具その他の台所用品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,たわし・雑巾・紙製雑巾・清掃用クロス・洗浄用スポンジその他の清掃用具及び洗濯用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,衛生手ふき・紙製タオル・紙製テーブルナプキン・紙製手ふき・紙製ハンカチの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,食品用安定剤・ドライアイス(二酸化炭素)・炭酸ガスその他の化学品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,ホイップクリーム用安定剤・ラクトアイス用乳化安定剤・アイスクリーム用凝固剤・家庭用食肉軟化剤の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,台所用漂白剤の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,消毒液・食品加工用又は調理用機械器具に用いる殺菌剤その他の薬剤の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,食器又は調理用具用の洗剤・食器洗い乾燥機用洗剤その他の洗剤の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,ペーパータオル用紙・紙ナプキン用紙・トイレットペーパー・金銭登録機用の領収書用紙その他の紙類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,包装用の容器と蓋とを固定するために用いる紙製シール・商品に貼って使用するラベル又はシールその他の文房具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,ポイントカード用の紙製カード状印刷物その他の印刷物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,ゴム製又はビニール製家事用手袋・軍手その他の被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,おしぼり用タオル・おしぼり用手ぬぐいその他の身の回り品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,紙製包装用箱・紙製包装用袋・紙製包装用仕切り材・紙製包装用緩衝材・紙製カップ状包装用容器・紙製のアイスクリームコーン用スリーブ・ダンボール箱・紙製食肉用包装紙・紙製包装用容器の蓋・その他の紙製包装用容器の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,プラスチック製のカップ状包装用容器の蓋・プラスチック製のカップ状包装用容器・業務用プラスチック製食品包装用フィルム・発泡スチロール製包装用容器・ビニール製の包装用袋・その他のプラスチック製包装用容器並びにプラスチック製包装用容器の蓋の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,業務用揚物機・業務用鉄板焼き機・業務用オーブンレンジ・業務用電気氷かき器・業務用電気式コーヒー沸かし機・業務用電気式コーヒーディスペンサー・業務用電気ジューサー・業務用ジュースディスペンサー・業務用味噌汁ディスペンサー・業務用パスタ解凍用スチーマー・業務用電子レンジ・業務用の保温及び加熱機能を有するショーケース・その他の業務用加熱又は調理用機械器具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,業務用ソフトクリーム製造機又はソフトクリームフリーザー及びこれらの専用部品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,家庭用電気氷かき器・家庭用電気式コーヒーメーカー・家庭用電気式ジューサー・家庭用電子レンジ・家庭用冷凍冷蔵庫・家庭用電気給湯器・携帯電話用ストラップその他の電気機械器具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,食料加工用又は飲料加工用の機械器具及びその部品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,業務用冷凍庫・業務用冷蔵庫・冷蔵用又は冷凍用のショーケースの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,家庭用ガス給湯器の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,業務用ガス給湯器の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,業務用電気給湯器の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,石油給湯器の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,業務用浄水器の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,プラスチック製買い物かごの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,ガラス製ショーケース・商品陳列棚その他の商品陳列用什器の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,店舗・店頭において使用されるソフトクリーム形の広告用プラスチック製置物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,カウンタークロスの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,広告宣伝用のアルミニウム製風船又はゴム風船の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,ライター・灰皿その他の喫煙用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,潤滑油の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,アイスクリーム又はソフトクリーム用金属製コーンカップ立ての小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,ガスボンベ式カセットコンロ用のガスボンベ入りガスの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」


審理終結日 2010-05-11 
結審通知日 2010-05-18 
審決日 2010-05-31 
出願番号 商願2007-64154(T2007-64154) 
審決分類 T 1 8・ 23- Z (X35)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 蛭川 一治 
特許庁審判長 野口 美代子
特許庁審判官 豊田 純一
小川 きみえ
商標の称呼 デイリーフーズ、デイリー、フーズ、デーリーフーズ、デーリー 
代理人 河野 誠 
代理人 河野 生吾 

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