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審決分類 |
審判 査定不服 商64条防護標章 登録しない X35 |
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管理番号 | 1214568 |
審判番号 | 不服2008-19745 |
総通号数 | 125 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2010-05-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2008-08-04 |
確定日 | 2010-03-11 |
事件の表示 | 商願2007- 2334拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 本願標章 本願に係る防護標章登録を受けようとする標章(以下「本願標章」という。)は、別掲1のとおりの構成よりなり、第35類に属する願書記載のとおりの役務を指定役務とし、登録第4976678号商標(以下「原登録商標」という。)に係る防護標章登録出願として、平成19年1月16日に登録出願され、その後、指定役務については、原審における同20年2月27日付け手続補正書及び当審における同21年3月30日付け手続補正書により、最終的に、第35類「オリジナル及びセレクト編集型製造小売業態の紳士服専門店における紳士服その他の男性用服飾品の販売に関する情報の提供」に補正されたものである。 第2 原登録商標 原登録商標は、別掲2のとおりの構成よりなり、平成18年2月13日に登録出願、第3類「せっけん類,化粧品」、第9類「眼鏡」、第18類「かばん金具,がま口口金,皮革製包装用容器,愛玩動物用被服類,かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ,傘,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄,乗馬用具,皮革」、第20類「クッション,座布団,まくら,マットレス,家具」及び第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として、同年8月4日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。 第3 原査定の拒絶理由 原査定は、「本願標章は、自己の業務に係る商品を表示するものとして需要者間に広く認識されているものとは認められない。したがって、本願標章は、商標法第64条に規定する要件を具備しない。」旨認定、判断して、その登録を拒絶したものである。 第4 当審の判断 商標法第64条第1項において、「商標権者は、商品に係る登録商標が自己の業務に係る指定商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されている場合において、その登録商標に係る指定商品及びこれに類似する商品以外の商品又は指定商品に類似する役務以外の役務について他人が登録商標の使用をすることによりその商品又は役務と自己の業務に係る指定商品とが混同を生ずるおそれがあるときは、そのおそれがある商品又は役務について、その登録商標と同一の標章についての防護標章登録を受けることができる。」と規定している。 そこでこれを本願についてみる。 1 本願標章と原登録商標との同一性 別掲1及び2に示すとおりの構成からなる本願標章と原登録商標とは、同一のものであること、また、原登録商標が請求人(出願人:株式会社ベイクルーズ)(以下、「請求人」という。)の所有に係るものであり、かつ、該商標権が権利存続中であることは、商標登録原簿の記載よりこれを認めることができる。 2 原登録商標が需要者の間に広く認識されている(以下「著名性」という。)商標であるか否かについて (1)請求人の提出した証拠について 原登録商標の著名性を立証するために、請求人の提出した証拠は、以下のとおりである。 (ア)ファッション業界向け雑誌「ファッション販売」(株式会社商業界発行、)、ファッション業界向け日刊新聞「ウィメンズ・ウエア・デイリー・ジャパン」、「SANKEI EXPRESS」に掲載された記事(第2号証の1及び第2号証の2、第34号証)。 (イ)請求人の店舗情報や原登録商標の使用についての資料(第3号証の1ないし第21号証、第36号証の1ないし第39号証)。 (ウ)男性ファッション雑誌の掲載記事の抜粋と、前記雑誌の発行部数のデータが掲載された「マガジンデータ2007」(社団法人日本雑誌協会発行)(第22号証の1ないし第33号証の3、第35号証)。 (エ)韓国における商標「JOURNAL STANDARD」の商標登録出願に対する異議申立に関する資料(第40号証の1及び第40号証の2)。 (2)請求人の提出した証拠資料の検討 請求人の提出した資料を総合すると、以下の事実が認められる。 (ア)請求人「株式会社ベイクルーズ」は、いわゆる「セレクトショップ」といわれるアパレルメーカーとして1977年に設立された企業で、2002年度の売上高が、約250億円で、「セレクトショップ」の業界において第3位であり、2007年8月期においては、売上高が500億円に及んでいる(第2号証)。 (イ)請求人のブランド「EDIFICE」(最初の「E」はアクサンテギュ付き。以下同じ。)は、出願人が運営するセレクトショップブランドの中で、メンズブランドの主力ブランドであり、1994年に開設され、2001年8月期には、売上高が20億9900万円に及び、また、店舗数は、2001年8月に6店舗、2002年8月には、8店舗、そして、現在、11店舗を展開している(第2号証、第3号証の1ないし第13号証の2)。 また、日本全国の7店のアウトレットモールにおいて、原登録商標を付したアウトレット商品を取り扱っている(第14号証ないし第20号証)。 (ウ)1997年から2008年において、男性向けファンション雑誌に原登録商標に関連する記事を掲載している(第22号証の1ないし第33号証の3)。 (3)まとめ 原登録商標は、請求人の取り扱う衣料品等のファッション関連の商品(以下「ファッション関連商品」という。)の製造・販売、卸売、小売等の標識として、1994年より、10年以上使用され、かつ、ファッション雑誌等により、原登録商標に関する広告を継続的に掲載している事実等は認められる。 しかしながら、請求人が原登録商標の著名性を立証するために提出したファッション雑誌の記事等における使用例は、原登録商標と構成態様を異にする「エディフィス」の片仮名文字等が使用されている例が大多数である。 また、請求人提出による「マガジンデータ2007」を徴するに、請求人の提出したファッション雑誌は、男性需要者向けに発行されたものであると認められる。 さらに、請求人提出による証拠資料を見ても、一般需要者が接する機会が多いと認められるテレビや一般紙等の大衆向けマスメディアにおいて、請求人が、原登録商標を付した商品等に関し、テレビCM等の宣伝・広告を行っている事実は認めることができない。 さらにまた、請求人が、「EDIFICE」の標章を付した店舗については、11店舗と数も少ないうえ、その半数以上は、首都圏に集中し、その他の店舗も地方の大都市圏のみに存するものであることからすれば、一般需要者の多数が、その店舗の存在を知り、かつ、原登録商標に接しているとはいい難い。 してみると、原登録商標と異なる態様での使用事実が多数掲載され、かつ、原登録商標に接する需要者が限定されていると判断できる請求人提出による証拠資料からは、原登録商標が、一般需要者の間にまで、広く認識されているものとは、直ちに認めることはできない。 その他、原登録商標が著名性を有するに至っていると判断し得る証拠を発見することができなかった。 したがって、原登録商標が著名性を有しているとは、認めることができない。 3 混同を生ずるおそれの有無について 本願標章の指定役務は、ファッション分野における役務に限定されたものであり、原登録商標の使用に係るファッション関連商品との関係において、生産者・販売者を同一にし、また、需要者層を共通にする等、その関連性は否定できないものである。 しかしながら、前記2で認定したとおり、原登録商標が著名性を有しているとは認められない。 してみれば、たとえ、本願標章の指定役務と原登録商標の指定商品とが関連性があったとしても、他人が、原登録商標と同一の商標を、本願標章の指定役務について使用をすることにより、需要者が原登録商標の権利者の業務に係るものと、その出所について混同を生ずるおそれがあるとまでいうことはできないと判断するのが相当である。 4 請求人の主張 (1)請求人は、「原登録商標は10年以上の長年に亘って男性向けファッション雑誌において紹介され続けてきたものであり、既に高い著名性を有するものである。」旨、主張している。 しかしながら、原登録商標が著名性を有するとは認められないことは、前記2で認定したとおりであり、この点に関する請求人の主張は認められないものである。 (2)請求人は、「請求人の業務にかかるブランド『JOURNAL STANDARD』が、大韓民国において、剽窃的に出願された事実を確認し、登録異議申立の手続を行った経緯があり、当該登録異議申立の手続において、『JOURNAL STANDARD』が、日本国内において著名なものとの認定を受けた上で、登録の取消決定を得た。本願標章は、『JOURNAL STANDARD』に比して1.5倍程度の年月に亘って営業を継続してきたものであり、『JOURNAL STANDARD』以上の著名性を有するものと評価されるべき」旨、主張している。 しかしながら、本願標章は、我が国商標法のもとで、その登録の可否が判断されるのであり、諸外国における本願標章とは異なる標章の登録例をもって、本願標章を登録と判断しなければならない事情が存するものとは認められない。 したがって、この点に関する請求人の主張は採用することができない。 (3)その他の請求人の主張をもってしても、原査定の拒絶の理由を覆すに足りない。 5 結論 以上によれば、本願標章は、商標法第64条第1項に規定する要件を具備しないものとして本願を拒絶した原査定は妥当であって、これを取り消すことはできない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲1 本願標章 別掲2 原登録商標 |
審理終結日 | 2009-05-15 |
結審通知日 | 2009-05-22 |
審決日 | 2009-06-03 |
出願番号 | 商願2007-2334(T2007-2334) |
審決分類 |
T
1
8・
8-
Z
(X35)
|
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 稲村 秀子、廣川 麻理恵、堀内 真一 |
特許庁審判長 |
野口 美代子 |
特許庁審判官 |
豊田 純一 小川 きみえ |
商標の称呼 | エディフィス |
代理人 | 金 展克 |