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審決分類 |
審判 査定不服 商3条1項4号 ありふれた氏、名称 登録しない X33 |
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管理番号 | 1212966 |
審判番号 | 不服2009-4903 |
総通号数 | 124 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2010-04-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2009-03-05 |
確定日 | 2010-02-18 |
事件の表示 | 商願2008-26284拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1 本願商標 本願商標は、「こんの」の文字をゴシック体で横書きしてなり、第33類「焼酎,日本酒,洋酒,果実酒,中国酒,薬味酒」を指定商品として、平成20年4月4日に登録出願され、指定商品については、当審において同21年3月27日付け手続補正書によって、第33類「焼酎」と補正されたものである。 2 原査定の拒絶の理由の要点 原査定は、「本願商標は、我が国において多数見受けられるありふれた姓『今野』を平仮名で『こんの』と、普通に用いられる方法で表してなるにすぎない。また、日常の商取引において氏を表す場合、必ずしも漢字のみに限らず平仮名文字をもって表示する場合も決して少なくないのが一般の商取引における実情である。してみれば、本願商標は、これが商取引の場において使用されるときは、これに接する取引者・需要者は、該文字がありふれた氏『今野』を平仮名文字で表したものと理解するに止まり、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものである。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第4号に該当する。」旨認定し、本願を拒絶したものである。 3 当審の判断 本願商標は、上記1のとおり「こんの」の文字をゴシック体で横書きしてなるところ、「こんの」の語は、一般に広く使用されている辞書、広辞苑(第6版 株式会社岩波書店)、大辞林(第3版 株式会社三省堂)及び大辞泉(第1版 株式会社小学館)には「こんの」の項がないことから、「今野」「紺野」等の「コンノ」と発音される日本人の氏を平仮名で表したものと認識されると判断するのが相当である。 そこで、「コンノ」と読まれる氏について職権で調査したところ、次の事実が認められる。 (1)インターネット上の「全国の苗字(名字)」と称するホームページ(http://www2s.biglobe.ne.jp/~suzakihp/index40.html)の「1.苗字検索」の機能を用いて、「コンノ」と発音される苗字を検索すると、順位283位に、原査定において示した「今野」、順位962位に「紺野」などの苗字の存在を確認することができる。 また、「7.苗字の順位」をみると「今野」の世帯数は「19188」、「紺野」の世帯数は「4667」との記載がある。 (2)インターネット上の「日本の苗字七千傑」と称するホームページ(http://www.myj7000.jp-biz.net/search/fsearch.htm)の「苗字順位検索」では、「今野」が284位、「紺野」が971位である。 また、順位リストをみると「今野」の人口は「約78,000」、「紺野」の人口は「約19,000」との記載がある。 これらの事実からすれば、「今野」及び「紺野」はありふれた氏とみるのが相当である。 そして、本願商標は、ありふれた氏と認められる「今野」又は「紺野」を平仮名で「こんの」と表示したにすぎないものである。 そうとすれば、本願商標は、ありふれた氏を普通に表される方法で表示したにすぎず、商標法第3条第1項第4号に該当するものといわざるを得ない。 ところで、請求人は、「本願指定商品『焼酎』については、『こんの』の平仮名文字は需要者に『今野』という氏をあらわすものと理解されるよりも、一地方の方言もしくは造語と認識されるのが相当である。仮りに方言である『こんの』の意味が直ちに伝わらなくても、需要者、取引者は何らかの意味が込められた造語ではないかと認識するのが自然である。一般に、ありふれた姓は、漢字で書してこそ、ありふれた姓として認識されるのが、日本の習慣である。本願の指定商品『焼酎』の取引者、需要者は、商品を選ぶ場合、特にその銘柄にこだわりを持って選ぶもので、その表示が単なるありふれた姓を普通に表している方法で表しているとは見ない。」旨主張する。 しかしながら、請求人の主張は、以下の理由によりいずれも採用することができない。 本願商標は、ありふれた氏と認められる「今野」及び「紺野」を平仮名で「こんの」と表示したにすぎないものであることは上記のとおりであり、また、「こんの」の語が、請求人が主張する方言であるとしても、上述のとおり一般に広く使用されている辞書では、「こんの」の項もないことからすれば、本願の指定商品の一般的な取引者、需要者は、これを方言と認識することは困難であるというのが相当である。 また、日本人の氏姓も日常これを表現する手段として、漢字、片仮名、平仮名、ローマ字等種々な文字を使用する事実がある。(昭和41年(行ケ)49号 昭和48年2月23日 東京高裁) さらに、請求人が上げた過去の登録例については、商標の構成等において事案を異にするものであり、ある商標が識別力を有するか否かの判断は、個々の商標ごとに個別具体的に判断されるべきものであるから、本願の判断に影響を与えるものとは認められない。 したがって、本願商標が商標法第3条第1項第4号に該当するとして、本願を拒絶した原査定は、妥当なものであって取り消すことはできない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2009-12-16 |
結審通知日 | 2009-12-22 |
審決日 | 2010-01-05 |
出願番号 | 商願2008-26284(T2008-26284) |
審決分類 |
T
1
8・
14-
Z
(X33)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 小松 孝 |
特許庁審判長 |
森吉 正美 |
特許庁審判官 |
小畑 恵一 馬場 秀敏 |
商標の称呼 | コンノ |
代理人 | 松尾 憲一郎 |