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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 117
管理番号 1208241 
審判番号 取消2007-301265 
総通号数 121 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2010-01-29 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2007-10-02 
確定日 2009-11-20 
事件の表示 上記当事者間の登録第2194689号商標の商標登録取消審判事件についてされた平成20年7月16日付け審決に対し、知的財産高等裁判所において審決取消の判決(平成20年(行ケ)第10317号、平成21年1月28日判決言渡)があったので、さらに審理のうえ、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第2194689号商標(以下「本件商標」という。)は、「RINASCIMENTO」の欧文字と「リナッシメント」の片仮名文字とを上下二段に横書きしてなり、昭和62年7月7日に登録出願、第17類「被服、布製身回品、寝具類」を指定商品として、平成元年12月25日に設定登録され、その後、商標権の存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続しているものである。

第2 請求人の主張
請求人は、「商標法第50条第1項の規定により、本件商標の指定商品中『被服』についての登録を取り消す。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第3号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品中「被服」については、本件審判請求前3年以内には、国内において商標権者によって使用されている事実は見当たらず、また、専用使用権者及び通常使用権者の登録もないため、使用権者による使用も考えられないから、商標法第50条第1項の規定により、その登録は取り消されるべきである。
2 答弁に対する弁駁
(1)被請求人は、乙第1号証の1、乙第1号証の2、乙第2号証を提出し、商標権者である被請求人が、本件商標と社会通念上同一の商標「RinAsciMento」(以下「使用商標」という。)を使用していると主張している。
しかし、使用商標は、「R」、「A」、「M」の文字のみを大文字にしているため、その文字を先頭にした「Rin」、「Asci」、「Mento」の3つの語を結合したものと理解されるものであるのに対し、本件商標の英文字部分は、「RINASCIMENTO」と全て同一の大きさで書されているものである。
被請求人は、この相違は書体のみに変更が加えられたにすぎず、両者は同一の文字からなると主張するが、その書体の変更の方法が、もともと1つの文字であったものを3つの文字の結合と理解されるように変更しているものであり、同一の文字の並びであっても、その構成を明らかに異にするものへ変更しているものである。
また、本件商標が、その読み方を特定する片仮名文字に相応した「リナッシメント」という一体の称呼を生ずる商標であるのに対し、使用商標は、「R」、「A」、「M」の文字のみを大文字にしているため、「Rin」、「Asci」、「Mento」の3つの語を結合した称呼である「リンアスチメント」といった称呼を生ずるものであるから、使用商標は、本件商標と同一の称呼を生ずるものとはいえない。
また、被請求人は、使用商標は、本件商標と同一の観念を生ずることも主張するが、それらの商標は造語であると理解され、明確な特定の観念を生ずるものではないから、観念において同一であることは認められない。
以上、使用商標は、本件商標と社会通念上同一の商標といえるものではない。
(2)次に、被請求人は、商標権者である被請求人が、使用商標を、指定商品「被服」に含まれる商品「スーツ」に使用していると主張しているが、使用商標は、そもそも指定商品「被服」に含まれる商品「スーツ」に使用しているとは認められない。
すなわち、被請求人が提出する乙第3号証及び乙第4号証からも明らかなとおり、被請求人が使用商標を付していると主張するスーツは、伊勢丹新宿店メンズ館のメジャーメイド(一般には「イージーオーダー」(甲第3号証))売り場で販売されており、顧客が売り場にある生地を選び、伊勢丹がその生地から完成品であるスーツを製造するものである。
被請求人は、伊勢丹に対して生地を販売するだけで、被請求人が指定商品「被服」に含まれる商品「スーツ」を製造、販売しているわけではないから、被請求人が使用を主張している使用商標は、生地について使用されているとしても、指定商品「被服」に含まれる商品「スーツ」について使用されているとはいえない。
また、被請求人が提出する乙第3号証は、フロア案内にすぎないから、商品「スーツ」について、使用商標を使用していることを証明するものとはいえない。なお、被請求人は、乙第3号証における「リナシメント」の表記がホームページ製作時におけるタイプミスと推測しているが、その推測には根拠がなく、本件商標と社会通念上同一の商標の使用とはいえない。
(3)最後に、被請求人は、使用商標を付したスーツを伊勢丹新宿店において、2003年4月ころから販売していると主張しているが、この点について被請求人が提出した乙第4号証は、証明をなしうる権限を持つ者によるものとは認められないから、その証明書は証拠として信用することができない。
したがって、本件商標が本件審判の請求の登録前3年以内に使用されていたという点についても、被請求人が提出した証拠によっては証明されていない。
以上、被請求人が提出した証拠によっては、本件商標が、その指定商品である「被服」について、本件審判の請求の登録前3年以内に使用されていたとは認めることができない。
3 平成21年3月4日付け答弁に対する弁駁
請求人は、被請求人が提出した本答弁及び提出された証拠(乙第5号証ないし乙第11号証)に対し、何ら弁駁していない。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、「結論同旨の審決を求める。」と答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第4号証(枝番を含む。)を提出し、さらに、平成20年(行ケ)第10317号審決取消事件の審決取消判決が確定後、乙第5号証ないし乙第11号証を提出した。
1 平成19年12月7日付け答弁の要旨
本件商標は、その指定商品である「被服」の識別標識として本件審判の請求の登録前3年以内に、商標権者である被請求人によって使用されている。
(1)乙第1号証の1は、商品「スーツ」の上着の左側内ポケット付近に使用商標「RinAsciMento」のラベルが付されている事実を示す写真、乙第1号証の2は、乙第1号証の1の部分拡大写真であり、乙第2号証は商標ラベルの写しである。
これらの写真から見て、商標権者である被請求人が本件商標と社会通念上同一の商標「RinAsciMento」を識別標識として指定商品「被服」に含まれる商品「スーツ」に直接付して使用していることは明らかである。
(2)本件商標は、「RINASCIMENTO」の欧文字と「リナッシメント」の片仮名文字とが二段併記された構成を有しており、一方、使用商標は、「R」、「A」及び「M」が大文字で、その他の文字が小文字で構成されている点において本件商標と相違しているが、この相違は書体のみに変更が加えられたにすぎず、両者は同一の文字からなり、同一の称呼及び観念を生ずる商標である。また、登録商標が二段併記の構成からなる場合であって、上段及び下段の各部が観念を同一にするときに、その一方を使用するものであるといえる。
したがって、使用商標は本件商標と社会通念上同一の商標というべきである。
(3)上記乙第1号証の1及び2(写真)は本件審判請求後に撮影したものであるが、被請求人は、伊勢丹新宿店において、前記写真と同様に使用商標を付した商品「スーツ」を遅くとも2003年4月ころから継続して販売している。
被請求人は、使用商標を付した商品「スーツ」が販売されている事実を立証するため乙第3号証として伊勢丹新宿店フロア案内(メンズ館4階)のホームページの写しを提出する。
当該ホームページには、使用商標と同様に、本件商標と社会通念上同一視しうる「Rinascimento」の英文字が記載されている。また、当該ホームページでは「リナシメント」と表記されているが、これはホームページ製作時におけるタイプミスによるものと推測される。
(4)以上のことから見て、本件商標は、その指定商品である「被服」について本件審判請求の登録前3年以内に、被請求人によって使用されていたといい得るものである。
2 平成19年12月11日付け手続補正書
被請求人は、伊勢丹新宿店における販売事実を立証するための補強的な証拠として、乙第4号証を提出する。乙第4号証は、伊勢丹新宿店の紳士服販売担当従業員が発行した商標使用証明書である。
3 平成20年5月26日付け答弁の要旨
(1)請求人は、本件商標と社会通念上同一の商標「RinAsciMento」について、「Rin」、「Asci」、「Mento」の3つの語の結合と理解されるもので「リンアスチメント」なる称呼が生ずる旨を主張するが、乙第3号証に示したように、伊勢丹新宿店においては上記商標を付した商品「スーツ」に接する需要者に対して上記商標を「リナッシメント」あるいは「リナシメント」と称呼することが明示されている。また、上記3つの語それぞれは何らの意味を生じさせるものでないし、区切りとなる間隔もなく並べられており、請求人の主張は単に「R」と「A」と「M」が大文字で表記されているにすぎないことを根拠にするものであるから、請求人の主張する称呼が生ずると考えるのは極めて不自然といわざるをえない。
よって、前記請求人の主張には理由がない。
(2)請求人は、甲第3号証を示して、被請求人は伊勢丹に生地を販売するだけであり、伊勢丹が商品「スーツ」を製造している旨を主張しているが、「イージーオーダー」の文言から上記の主張につながる論拠が不明で、前記請求人の主張には理由がない。
なお、実際は、伊勢丹新宿店メンズ館のメジャーメイド売り場において顧客が選んだ生地を被請求人が自己の事業所において縫製して商品「スーツ」を製造している。このことは、伊勢丹が百貨店という小売業であることからみても明らかである。
(3)請求人は、乙第4号証は証明をなしうる権限を持つ者によるものと認められないから証拠として信用できないと主張するが、証明をなしうる権限の所在と証拠力との間に因果関係はないから、請求人の主張には理由がなく、該証明書は、新宿伊勢丹の売り場で実際に商品販売を担当する人物によるものであるから、十分な証拠力を有する。
4 平成21年3月4日付け答弁の要旨
(1)乙第5号証は、商品「スーツ」の販売店舗である伊勢丹新宿店から被請求人への発注書の写し(2007年4月1日受付)であり、上部中央に本件商標と社会通念上同一と解すべき商標「RinAsciMento」が記載されてマルで囲まれていることから、上記商標を付した商品「スーツ」の注文であることが示されている。
乙第6号証は、被請求人が伊勢丹へ商品「スーツ」を納品する際に発行する納品伝票の写し(平成19年4月19日付け)、乙第7号証は、伊勢丹が被請求人から商品「スーツ」を仕入れる際に発行する仕入れ伝票の写し(2007年4月19日発行)、乙第8号証は、伊勢丹が商品「スーツ」を仕入れ先である被請求人に対して発行する買掛金支払明細書の写し(2007年4月30日作成)である。
なお、乙第6号証ないし乙第8号証が、乙第5号証の注文に係る取引書類であることは、乙第5号証の品番(81T43435)と右上部の数字(233019-03)が乙第6号証のA欄とD欄の記載と一致しており、乙第6号証の伝票番号(566417)と原価金額(7万4100円)が乙第7号証及び乙第8号証のそれと一致することから判断することができる。
(2)乙第9号証の広告紙「伊勢丹通信」には、その最下段右端に使用商標を確認することができる。なお、乙第9号証の作成時期は平成20年6月ころである。
乙第10号証は、平成17年6月ころに伊勢丹がセールの広告として顧客へ発送したダイレクトメールに同封された広告カードであるが、カード右辺「クラシコイタリア」と記載されたスーツの写真の下に、使用商標が示されている。
乙第11号証の「宣誓供述書」は、伊勢丹の従業員が商標の使用状況について真実であることを宣誓した上で公証人の認証を受けた書面であり、これによれば、被請求人は、平成15年4月ころから、使用商標を付したスーツを伊勢丹新宿店において販売している旨が記載されている。
(3)以上の具体的取引書類(乙第5号証ないし乙第8号証)より、本件審判請求登録前3年以内における本件商標の使用事実が認められるべきであり、仮に上記書類によって使用事実が認められないとしても、乙第1号証ないし乙第11号証を総合的に勘案すれば、本件審判請求登録前3年以内における本件商標の使用事実が認められるべきものである。

第4 当審の判断
1 商標「RinAsciMento」の使用の事実
(1)証拠(乙第1号証ないし乙第11号証)によれば、以下の事実が認められる。
被請求人は、平成15年4月ころから、伊勢丹新宿店メンズ館4階の店舗において、同社が、いわゆるイージーオーダー商品(メジャーメイド)として販売する「スーツ」について、同社から注文を受けて裁縫し、使用商標を付した上、完成した「スーツ」を同社に納品し、販売している。
また、具体的取引書類(乙第5号証ないし乙第8号証)によれば、2007年(平成19年)4月1日に注文を受けた「スーツ」が、同月19日に納品されている事実も確認できる。
そして、その販売態様の詳細は、a.被請求人の提供するスーツのサンプルを店頭で展示し、b.顧客は、展示されているサンプルのデザイン等から、好みのスーツの生地、デザイン等を選択し、販売担当者が、顧客の採寸をして、オプション等の注文を確認し、c.被請求人は、注文を受けた後に、注文に応じたスーツを製造し、上記のとおり、裏生地に商標「RinAsciMento」を付した上で、伊勢丹に、納品、販売するものである。
そうすると、被請求人は、その製造、販売に係るスーツに、上記商標を付していることは明らかである。
(2)これに対して、請求人は、被請求人は伊勢丹に対して販売している商品は、生地であって、「スーツ」ではないと主張している。
しかし、前記(1)の認定のとおり、被請求人は、伊勢丹新宿店において顧客が選んだ生地について、自己の事業所において縫製して使用商標を付した商品「スーツ」を製造、完成させ、これを伊勢丹に対して販売納品している。
この点は、被請求人と伊勢丹との間の取引の仕入伝票(乙第7号証)において、その仕入れ形態として「買取」との文字が印字され、「品名」として「シングルスーツ」あるいは「ダブルスーツス」と記載され、4万円台から7万円台の1点当たりの原価金額が記載されていることに照らしても明らかである。
(3)そして、上記(1)の取引書類の年月日は、いずれも、本件審判請求の登録前3年以内(以下「本件期間内」という。)に該当するものであり、使用商標「RinAsciMento」の付された商品「スーツ」が、本件期間内に販売・納品されていたことが認められる。
2 被請求人主張の使用商標と本件商標との社会通念上の同一性について
使用商標が、本件商標と社会通念上同一の商標であるといえるのかどうかについて、以下、検討する。
(1)外観
本件商標は、「RINASCIMENTO」の文字と「リナッシメント」の文字を二段に併記してなるところ、その上段部分「RINASCIMENTO」は、一連の欧文字からなるものである。
これに対し,使用商標「RinAsciMento」は、「R」、「A」及び「M」のみが大文字で表記されていることから、3つの大文字が強調されるため、若干異なる印象を与える余地がないとはいえないが、他方、欧文字のすべてが連続的に綴られていること、また、各大文字から始まる3つの部分「Rin」、「Asci」及び「Mento」のいずれも固有の観念を有しないことに照らすならば、「仕立てスーツ」に使用する際の装飾的な観点からの変更にすぎないと解するのが合理的である。
そうとすれば、使用商標と本件商標とは、外観において、社会通念上同一である。
(2)称呼
本件商標の欧文字部分「RINASCIMENTO」は、下段のカタカナ文字と併せて「リナッシメント」との称呼が生じるものと認められる。
他方、使用商標についても、連続的に表記されている点に照らすと、「リ
ナッシメント」ないし「リナシメント」との称呼が生じるものである。
そして、伊勢丹新宿店ホームページのフロア案内においては、「Rinascimento/リナシメント」という表示がされていることからすれば、同フロアの店舗において販売されている被請求人縫製の「スーツ」が「リナシメント」と呼ばれていることを推認することができる。
そうとすれば、使用商標と本件商標とは、称呼において社会通念上同一である。
(3)観念
使用商標も本件商標も共に我が国において親しまれた外国語ではなく、特定の観念を生じないため、観念における相違はない。
そうとすれば、使用商標と本件商標とは、外観、称呼がいずれも社会通念上同一であり、観念における相違はなく、社会通念上同一の商標であると認められる。
3 結論
以上によれば、被請求人は、本件期間内に、日本国内において、その請求に係る指定商品「被服」について、本件商標と社会通念上同一の商標を使用していることを証明したものであると認めることができる。
したがって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により、その登録を取り消すべき限りでない。
審理終結日 2009-06-23 
結審通知日 2008-07-02 
審決日 2009-07-10 
出願番号 商願昭62-77863 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (117)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 佐藤 達夫
特許庁審判官 野口 美代子
久我 敬史
登録日 1989-12-25 
登録番号 商標登録第2194689号(T2194689) 
商標の称呼 リナッシメント 
代理人 渥美 元幸 
代理人 石川 義雄 
代理人 鈴江 武彦 
代理人 小出 俊實 
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