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審決分類 |
審判 査定不服 称呼類似 登録しない X12 |
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管理番号 | 1206794 |
審判番号 | 不服2008-29179 |
総通号数 | 120 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2009-12-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2008-11-17 |
確定日 | 2009-11-04 |
事件の表示 | 商願2007-48025拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 本願商標 本願商標は、「BLACK ACE」の欧文字及び「ブラックエース」の片仮名文字を上下二段に横書きしてなり、第12類「自動車用のホイール,その他の自動車の部品及び附属品,自動車」を指定商品として平成19年5月15日に登録出願され、その後、指定商品については、同20年2月19日付け手続補正書により、第12類「自動車用のホイール」に補正されたものである。 第2 引用商標 原査定において、本願商標の拒絶理由に引用した登録商標は、以下のとおりであり、いずれも現に有効に存続するものである。 1 引用商標1 登録第507845号商標は、「英須」及び「エース」の各文字を二段に横書きしてなり、第20類「車輛、船舶、その他運搬用機械器具及びその各部」を指定商品として、昭和31年12月17日に登録出願、同32年9月21日に設定登録され、その後、同52年12月8日、同62年9月18日、平成9年7月4日及び同19年4月17日の4回にわたり商標権存続期間の更新登録がなされ、指定商品については、商標登録の一部取消し審判により、指定商品中、「荷車、リヤカー、手押し車、乳母車」について登録を取り消すとの審決がされ、同7年12月26日にその審判の確定登録がされ、さらに、同19年10月10日に第12類「自動車(トラクターを除く。)の発動機(その部品を除く。),自動車(トラクターを除く。)のベアリング,自動車(トラクターを除く。)の緩衝器,自動車(トラクターを除く。)の制動機,二輪自動車・自転車のブレーキ,船舶並びにその部品及び附属品(「エアクッション艇」を除く。),航空機並びにその部品及び附属品,鉄道車両並びにその部品及び附属品,自動車(トラクターを除く。)並びにその部品及び附属品,二輪自動車・自転車並びにそれらの部品及び附属品」とする指定商品の書換登録がされたものである。 2 引用商標2 登録第1506472号商標は、別掲のとおりの構成からなり、第12類「輸送機械器具、その部品及び附属品(他の類に属するものを除く)」を指定商品として、昭和50年4月14日に登録出願、同57年3月31日に設定登録され、その後、平成4年3月30日及び同13年10月23日に商標権存続期間の更新登録がなされ、同13年11月28日に指定商品を第12類「船舶並びにその部品及び附属品(「エアクッション艇」を除く。),エアクッション艇,航空機並びにその部品及び附属品,鉄道車両並びにその部品及び附属品,自動車並びにその部品及び附属品,二輪自動車・自転車並びにその部品及び附属品,乳母車,人力車,そり,手押し車,荷車,馬車,リヤカー,タイヤ又はチューブの修繕用ゴムはり付け片」とする指定商品の書換登録がされたものである。 以下、これらをまとめていうときは、引用商標という。 第3 当審における証拠調べ通知 本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べを行ったところ、以下の事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対し、平成21年6月18日付けで証拠調べの結果を通知し、相当の期間を指定して、意見を述べる機会を与えた。 1 本願商標構成中の「BLACK」及び「ブラック」、「ACE」及び「エース」の各語について (1)「black」の項目に、「黒い、黒い色の」との記載があり(株式会社研究社発行「リーダーズ英和中辞典第1版」)、「ブラック【black】」の項目に、「黒.黒色.黒い.黒色の.黒人の.」との記載がある(株式会社集英社発行「imidas 現代人のカタカナ語欧文略語辞典」)。 (2)「ace」の項目に、「(トランプ・さいころ・ドミノ牌の)エース(1の札[面,牌])」との記載があり(前掲「リーダーズ英和中辞典第1版」)、「エース【ace】」の項目に、「○1トランプで1の札.切り札.(○の中に算用数字を配してなる。)」との記載がある(前掲「imidas 現代人のカタカナ語欧文略語辞典」)。 2 「BLACK」又は「ブラック」の文字が、黒色の自動車用ホイールを理解させる語として使用されている例について (1)「横浜ゴム、立体感高めたスポーツ系アルミホイール(オムニバス)」の見出しのもと、「横浜ゴムは、スポーツ系アルミホイールの新商品『アドバン・レーシングRS-D』を発売した。従来の『アドバン・レーシングRS』の大口径で迫力ある外観を踏襲しながら、フロントリムを限界まで深くしたデザインを採用、従来品にはない立体感を実現した。また、リム表面にダイヤモンド切削加工を施し陰影に富むコントラストに仕上げている。サイズは全18サイズで、カラーは『アドバン・レーシング』ホイールでは初めてのブラック仕様となるマニシング・アンド・ブラックを含め全3色。」との記事(化学工業日報 2009.4.21) (2)「横浜ゴム、鍛造製法を採用した高級アルミホイール発売」の見出しのもと、「横浜ゴムは乗用車用高級アルミホイール『エイブイエス・モデルF7』を発売した。YOKOHAMAブランドで初めて鍛造製法を採用し、強度を保ちながらも洗練されたデザインを実現した。発売サイズは全12サイズ。カラーはシルバー、ブラックの2色。」との記事(日刊工業新聞 2008.6.17) (3)「【ニュースリリース】ドレッシーな特別限定SUV『ボルボXC70』の特別モデル」の見出しのもと、「ドレッシーな特別限定SUV『ボルボ XC70 “Black Sapphire”』。個性的なエクステリアの『XC70エントリーグレード』をベースに、ブラッククロム仕上げの専用アルミホイールなどの特別装備により、SUV(スポーツタイプの多目的車)でありながら都会的なモデルに仕上げた。」との記事(FujiSankei Business i. 2004.6.5) (4)「新商品 プレオ特別仕様車3車種 富士重工業」の見出しのもと、「富士重工業はスバルプレオの『Limitedシリーズ』三車種を北陸スバル自動車から発売した。ブラック塗装のアルミホイールや『ピュアホワイト』など特別色を展開するなどした。」との記事(北國・富山新聞 2002.5.9)。 (5)「[ビジネス情報]三菱自動車が『スリーダイヤ』を外した乗用車を発売」の見出しのもと、「実は、小型乗用車『ミラージュディンゴ』に、空気抵抗を良くするエアロパーツや欧州で人気のアルミ製ブラックホイールを装着した特別装備車『ユーロディンゴ』=写真。オプション装備で自己流に味付けする人が増えており、そうした個性派ユーザー層の開拓を狙って発売した。」との記事(毎日新聞大阪朝刊 2000.4.2) (6)「4WD車のデザインにマッチ ブリヂストンがアルミホイール」の見出しのもと、「ブリヂストン(社長・海崎洋一郎氏)の関連会社、ブリヂストンFVS(社長・井上正明氏、東京都港区、TEL03・5462・2166)はこのほど、四輪駆動(4WD)車用アルミホイール『BERG/SIII』を発売した。リムの輝きを重視した光輝リムで、三ピース構造を採用。また、耐衝撃強度や耐疲労強度の確認を主体とした品質基準であるJWL-T規格品。ディスクカラーはシルバーやブラックなど四色で選択幅を広げ、五本スポークでありながら4WDの量感あふれる車体デザインにマッチする立体感をもたせた。」との記事(FujiSankei Business i. 1994.7.18)。 (7)「株式会社アローエンタープライズ」のウエブサイトにおいて、アルミホイール製品中の、「ブラックレーシング PRO N1」のカラーバリエーションとして、「ブラック 17インチ」及び「ブラック 14インチ」との記載(http://www.arw.co.jp/wheel/blackracing/pro-n1.html)。 (8)「スパーオートバックス羽村」のウエブサイトにおいて、「ハイエース用スチール、軽自動車用ホイール」の商品として、「デイトナスチール ブラック」及び「デイトナkeiスチール ブラック」との記載(http://www.autopia-ab.com/sa-hamura/contents/tire_wheel/0901index.html)。 (9)「DAC(ディーエーシー)ドライビングアシストセンター」のウエブサイトにおいて、「クラブリネアエル566(CLUB LINEA L566)」のカラーバリエーションとして、「ブラック」の記載(http://car.indac.jp/product9.asp?cat4=10307323)。 (10)「ショッピングサーチアラジン」のウエブサイトにおいて、「RAYS アルミホイール グラムライツ 57アクセレイト 16×5.5」(ブラック)」の説明中に、「カラー:ブラック/シルバー ※ブラック/シルバーは受注生産の為、お届けに時間がかかる場合がございます。」との記載(http://www.shopping-search.jp/g/link/cat_0610020400/key_%A5%A2%A5%EB%A5%DF)。 (11)「CarMag」のウエブサイトにおいて、「今回発売する『スポーツアルミホイールRA04&タイヤ』は、軽量・高剛性・高強度を実現しブレーキ冷却性能に優れたアルミホイールと耐摩耗性とグリップ力を向上したタイヤをセットにしたもの。ホイールはENKEIと共同開発。新色のブラック色(艶あり)、ブレーキ冷却性能の優れた12本マルチスポークデザインの『スポーツアルミホイール RA04』で、“より軽く、より強く。”を追求した次世代ホイール製造技術である『MATプロセス*』採用により軽量・高剛性・高強度を実現した。」との記載(http://www.carmag.co.jp/mt/hotnews/2008/01/xcz4a_ra04.html)。 (12)「アメ車マガジンネット」のウエブサイトにおいて、「fourteen W-102(BLACK)」の項に、「ブラック(他にクローム、シルバー、ポリッシュも有り。)」との記載(http://amemaga.net/cat/999/1/index_2l.html)。 (13)「モンスターオンラインショップ」のウエブサイトにおいて、「アルミホイール【スポーツアルミRA04&タイヤセット(4本セット)】ランサーEvo.10用」の項に、「ホイールカラー:ブラック。」との記載(http://www.monster-shop.jp/ra044evo10-p-413.html)。 (14)「みんなの素朴な疑問 ホイール編」の見出しのもと、「ブラック ディスク面に『ブラック』塗料を塗布している状態のものです。メタリックなどは含まれていません。汚れが目立ちにくい特性もありますが、細かな小傷が目立つ傾向にあります。(同義語:プラチナブラック/ディープブラック他)」との記載(http://www.locksmice.com/web/q/wheel/q%20wheel.htm)。 第4 証拠調べ通知に対する請求人の意見(要点) 前記第3の「証拠調べ通知」に対して、請求人は、平成21年8月4日付け意見書を提出し、要旨以下のように述べている。 1 本願商標からは、「BLACK ACE/ブラックエース」の構成文字に相応し、かつ二段併記された外観構成により、「ブラックエース」の一連の称呼のみを生ずるのが自然な解釈であり、本願商標に接した取引者・需要者が「BLACK」と「ACE」を殊更に分離、観察し、下段に併記されている片仮名文字「ブラックエース」から「エース」の文字部分のみを抽出して「エース」の称呼をもって取引に資することは極めて不自然である。 2 「色を示す用語」と「ACE」との組み合わせからなる登録商標(登録第3332501号商標)の審査において、「SILVER」と「ACE」とに分離して観察しておらず、本願商標のみを「BLACK」と「ACE」に分離観察するのは著しく妥当性を欠く。さらに、他の登録例(登録第4383261号商標、登録第2709358号商標)においても、「BLACK/ブラック」の文字を含み、指定商品も一部同一の類似群(12A05)を含んでいるものが、非類似の商標としてそれぞれ登録されている。 3 以上からすれば、本願商標と引用商標とは、称呼において明瞭に聴別され、観念において相紛れるおそれはなく、外観上は顕著な差異があることから、本願商標と引用商標とは非類似の商標である。 第5 当審の判断 1 商標の類否について 商標は、その構成全体によって他人の商標と識別すべく考案されているものであるから、みだりに構成部分の一部を抽出し、この部分だけを他人の商標と比較して類否判断をすることは許されないが、簡易、迅速を尊ぶ取引の実際において、各構成部分がそれらを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものと認められない商標は、常にその構成全体の名称によって称呼、観念されず、しばしば、その一部だけによって簡略に称呼、観念され、1個の商標から2個以上の称呼及び観念が生じることがある(最高裁昭和37年(オ)第953号昭和38年12月5日第一小法廷判決参照)。 以下、これを踏まえて、本願商標と引用商標との類否について判断する。 2 本願商標と引用商標について 本願商標は、前記第1のとおり、「BLACK ACE」の欧文字及び「ブラックエース」の片仮名文字を二段に横書きしてなるところ、「BLACK ACE」と「ブラックエース」の各文字は親しまれた既成の観念を有するものとは認められないものである。また、「BLACK」と「ACE」の間には1文字程度のスペースがあることから、外観上「BLACK」と「ACE」の二語からなるものと理解されるものである。そして、前記第3の記載の事実によれば、構成中の「BLACK」及び「ブラック」の文字は、「黒、黒色」の意味を有し、「ACE」及び「エース」の文字は、「(トランプの)エース」の意味を有する語として、それぞれ一般に親しまれた外来語であり、本願指定商品との関係において「BLACK」及びその読みを片仮名表記した「ブラック」の文字は、「黒色」を意味する商品の色彩を表す文字部分と理解、認識させるものというべきである。 そうすると、本願商標に接する取引者、需要者は、その構成中の「BLACK」及び「ブラック」の文字部分は、商品の品質を表したものと容易に理解、把握するものであるから、該文字部分は、自他商品の識別力を有しないか、極めて弱いものというのが相当であって、本願商標の自他商品識別機能を果たす部分は、「ACE」の欧文字及びその読みを片仮名表記した「エース」の文字部分にあるというべきである。 してみれば、簡易迅速を旨とする取引の実際にあっては、それ自体独立して自他商品の識別標識としての機能を果たし得る「ACE」及び「エース」の文字部分に着目して、該文字から生ずる称呼及び観念をもって取引に資する場合も決して少なくないというべきであるから、本願商標は、構成文字全体から「ブラックエース」の称呼を生じるほか、「ACE」及び「エース」の文字部分に相応して、「エース」の称呼及び「(トランプの)エース」の観念をも生ずるものといわなくてはならない。 これに対し、引用商標1は、前記第2のとおり、「英須」及び「エース」の文字を二段に横書きしてなるところ、構成中の「英須」と「エース」の文字とが結合して特定の成語を形成する等不可分一体のものとしてのみ観察しなければならないといった事情は存しないことから、それぞれが独立して自他商品の識別標識としての機能を果たすとみるのが相当である。そうすると、引用商標1は、その構成中上段の「英須」の文字から「エイス」の称呼が生じ、また、該文字は造語であることから特定の観念は生じないが、下段の「エース」の文字から「エース」の称呼及び「(トランプの)エース」の観念を生ずるものである。 また、引用商標2は、別掲のとおり、黒色の輪郭線の枠内に、黒色の円形を配し、該円形内に「Ace」の白抜き文字を表してなるところ、「A」の文字は横線部及び右傾斜部においてややデザイン化されているものの、全体としてみれば「Ace」の欧文字を表してなると容易に看取されるものであるから、該文字に相応して、「エース」の称呼及び「(トランプの)エース」の観念が生ずるものである。 以上によれば、本願商標と引用商標とは、「エース」の称呼及び「(トランプの)エース」の観念を同一にするものであり、また、外観においては、本願商標と引用商標1とは「エース」の文字部分を共通にし、また、本願商標と引用商標2とは、引用商標2の「A」の文字がややデザイン化され、かつ、「ce」の文字が小文字で表されているとしても、本願商標の構成中の「ACE」と引用商標2の「Ace」とは欧文字の綴りを共通にすることから近似した印象を与えるものであるから、本願商標と引用商標とは、全体として相紛れるおそれのある類似の商標であるといわざるを得ない。 そして、本願商標の指定商品は、引用商標の指定商品に包含されるものであるから、本願商標をその指定商品に使用した場合、商品の出所について誤認混同を生じさせるおそれがあるものと判断するのが相当である。 3 請求人の主張 請求人は前記第4に記載のとおり述べ、本願商標は登録されるべきである旨を主張しているが、本願商標より「ACE」の文字部分が自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものであって、本願商標と引用商標の外観、称呼及び観念についての判断は上記のとおりである。また、請求人が挙げる他の登録例は、商標の具体的構成において、本願商標とは事案を異にするものであって、これら事例をもって、本願商標の登録の適否を判断する基準とするのは必ずしも適当でなく、かつ、本願商標と引用商標の類否の判断は、当該出願に係る商標と他人の登録商標(引用商標)との対比において、個別・具体的に判断すべきものであるところ、本件においても、両者の外観、称呼、観念を総合的に判断したものであり、請求人の主張は、採用することができない。 4 まとめ したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当なものであり、取消すことはできない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲 引用商標2 ![]() |
審理終結日 | 2009-08-17 |
結審通知日 | 2009-08-21 |
審決日 | 2009-09-04 |
出願番号 | 商願2007-48025(T2007-48025) |
審決分類 |
T
1
8・
262-
Z
(X12)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 大塚 正俊、薩摩 純一 |
特許庁審判長 |
石田 清 |
特許庁審判官 |
末武 久佳 木村 一弘 |
商標の称呼 | ブラックエース、エース、エイシイイイ |
代理人 | 岩木 謙二 |