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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない Y09
審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない Y09
管理番号 1203792 
審判番号 不服2008-10619 
総通号数 118 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2009-10-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-04-27 
確定日 2009-08-20 
事件の表示 商願2006-108524拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1 本願商標
本願商標は、「レセプトチェッカー」の片仮名文字を標準文字で表してなり、第9類「耳栓,加工ガラス(建築用のものを除く。),アーク溶接機,金属溶断機,電気溶接装置,オゾン発生器,電解槽,検卵器,金銭登録機,硬貨の計数用又は選別用の機械,作業記録機,写真複写機,手動計算機,製図用又は図案用の機械器具,タイムスタンプ,タイムレコーダー,パンチカードシステム機械,票数計算機,ビリングマシン,郵便切手のはり付けチェック装置,自動販売機,ガソリンステーション用装置,駐車場用硬貨作動式ゲート,救命用具,消火器,消火栓,消火ホース用ノズル,スプリンクラー消火装置,火災報知機,ガス漏れ警報器,盗難警報器,保安用ヘルメット,鉄道用信号機,乗物の故障の警告用の三角標識,発光式又は機械式の道路標識,潜水用機械器具,業務用テレビゲーム機,電動式扉自動開閉装置,乗物運転技能訓練用シミュレーター,運動技能訓練用シミュレーター,理化学機械器具,写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,測定機械器具,配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気ブザー,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,磁心,抵抗線,電極,消防艇,ロケット,消防車,自動車用シガーライター,事故防護用手袋,防じんマスク,防毒マスク,溶接マスク,防火被服,眼鏡,家庭用テレビゲームおもちゃ,携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM,スロットマシン,ウエイトベルト,ウエットスーツ,浮袋,運動用保護ヘルメット,エアタンク,水泳用浮き板,レギュレーター,レコード,メトロノーム,電子楽器用自動演奏プログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM,計算尺,映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,電子出版物」を指定商品として、平成18年11月22日に登録出願されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『医療機関が健康保険組合に請求する診療報酬明細書』を意味する『レセプト』の文字と、『チェックする人(もの,装置)』を意味する『チェッカー』の文字を一連に『レセプトチェッカー』と書してなるものであり、全体として『診療報酬明細書(レセプト)をチェックするもの』の意を容易に想起させるものであるから、これをその指定商品中、前記に照応する商品(例えば、レセプトチェック用コンピュータプログラム)に使用しても、単にその商品の品質、用途等を表示するものと認める。したがって、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

第3 当審における証拠調べ通知(要旨)
当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べをした結果、「レセプトチェッカー」の文字に関して、以下の事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対して平成21年2月10日付けで、証拠調べの結果を通知し、相当の期間を指定して、意見を述べる機会を与えた。

1 「レセプト」の文字について
(1)辞典における記載について
ア 「レセプト【Rezept ドイツ】〔医〕(処方箋の意)医療機関が健康保険組合に請求する診療報酬明細書。」(「広辞苑」第六版 株式会社岩波書店)
イ 「レセプト【ドイツ Rezept】〔「処方箋」の意〕健康保険組合などに対し医療機関が請求する診療報酬の明細書。」(「大辞林」第二版新装版 株式会社三省堂)
ウ 「レセプト【Rezept 独】診療報酬明細書.医療報酬の請求書.病院や診療所が健康保険などの報酬を公的機関に請求するためのもの.」(「imidas 現代人のカタカナ語欧文略語辞典」イミダス編集部編 株式会社集英社)
(2)レセプト電算処理システムとの関係について
厚生労働省は、平成13年12月26日に「保健医療分野の情報化にむけてのグランドデザイン」を発表し、その中で「医療の将来像を踏まえた医療の課題と情報化」の項目の中で、「レセプト電算処理システム」として、「診療報酬の請求を紙の診療報酬明細書(レセプト)ではなく、電子媒体に収録したレセプトにより行うシステム。なお、現状はフレキシブルディスク又は光ディスク等により行われているが、将来的にはオンライン請求も含む。」と記載されており、さらに、「医療情報システム構築の戦略 2.レセプト電算処理システムの計画的推進」の項目の中で、「2.レセプト電算処理システムの計画的推進」では、「・傷病名マスター(コード)の見直し・オンライン請求の検討・大病院を中心に医療機関への参加の働きかけ・個別指定制度の廃止」により「レセプト電算処理システムの推進。これによる請求・審査支払事務の効率化」、「診療報酬の請求・審査支払事務については、必要な条件整備を行うとともに、レセプト電算処理システムの計画的推進により効率化を図ることが必要である。」と記載されている。また、「レセプト電算処理システム工程表」によれば、同システムの普及率を平成16年度に病院の5割以上、平成18年度には病院の7割以上という計画が示されている。
2 「チェッカー」の文字について
コンピュータソフトウエアとの関係における「チェッカー」の文字の使用状況について
・新聞記事における記載について
ア 2008年6月10日付けの日刊工業新聞の13頁には、「ラック、ログ解析無料ソフトの最新版を提供」の見出しのもと、「ラックは9日、ウェブアプリケーション(応用ソフト)の脆弱(ぜいじゃく)性を狙った攻撃の有無を把握できる無料ソフト『セキュアサイト・チェッカー・フリー』最新版の提供を始めたと発表した。」との記載がある。
イ 2008年2月19日付けの日刊工業新聞の7頁には、「ISIDテクノ、形状など事前に検証できる金型製作用ソフト完成」の見出しのもと、「ISIDテクノソリューションズ(東京都港区・・・)は、エリジオン(浜松市中区・・・)と共同で、製品モデルの形状から、金型製作に必要な要件を事前にチェックできるソフトウエア『生産要件チェッカー』を完成、6月をめどに発売する。」との記載がある。
ウ 2006年11月21日付けの日経産業新聞の2頁には、「NTT研究所、サイトのUD採用支援、適合度合い点数表示。」の見出しのもと、「NTTサイバーソリューション研究所(神奈川県横須賀市)は個人や企業の一般サイトのユニバーサルデザイン(UD)の採用を支援する。(中略)すべての文字や画像を対象とする『はなまるチェッカー』と呼ぶシステムを開発した。百項目の分析ポイントを設け、サイト用言語『HTML』の記述がUD基準に沿った構成になっているか分析する。」との記載がある。
エ 2006年10月19日付けの日経産業新聞の1頁には「つくばセキュアネットワーク、フィッシング対策ソフトを開発、接続中のサーバー検査。」の見出しのもと、「【つくば】筑波大学発ベンチャーのつくばセキュアネットワークリサーチ(茨城県つくば市・・・)は、ユーザーを誤ったサイトに誘導して個人情報を盗み取るフィッシング詐欺を防ぐためのソフトを開発した。IDなど個人情報を入力する際に、アクセス中のサーバーが本物かどうかを調べられる。『ウェブサイトチェッカー』は個人ユーザーのほか、セキュリティー対策機器のメーカーなどにも利用を働きかける。サイトのチェック結果を知らせる画面上にスペースを設け、企業などから広告を募る。」との記載がある。
オ 2006年9月5日付けの日経産業新聞の2頁には、「ヤフー、簡易ソフト無償公開??『ウィジェット』の日本語版。」の見出しのもと、「開始当初は、ヤフーが作成した『検索』『ノートパッド』『メールチェッカー』『カレンダー』など十のソフトと、外部の技術者が作成した十のソフトを公開した。」との記載がある。
3 レセプトチェックソフトについて
・インターネットのホームページにおける記載について(平成21年1月14日検索)
ア 「株式会社NTTデータ」のウエブサイトにおいて、「2002年ニュースリリース」の見出しのもと、「2002年10月31日 病院のレセプト院内審査業務にかかる稼働を大幅に削減するパッケージソフト「レセプト博士TM」販売開始 ?病院内のレセプト院内審査を電子化し、コンピュータで自動処理?」の項のもと、「(株)NTTデータは、平成14年11月1日より、病院でのレセプト院内審査を電子化するパッケージソフトウェア「レセプト博士TM」の販売を開始します。「レセプト博士」は、厚生労働省、審査支払機関が推進する「レセプト電算処理システム」に準拠しており、同システムを導入している病院において、レセプトデータのコンピュータ上でのチェックを可能にします。これにより、院内審査の効率化と、正確なレセプト作成を支援します。」との記載がある。
(http://www.nttdata.co.jp/release/2002/103100.html)
イ 「日立メディカルコンピュータ株式会社」のウエブサイトにおいて、「べてらん君コラボ」の見出しのもと、「1986年、診療所様向けにレセプトチェックシステムとして『べてらん君』を発売して20年・・・販売開始より、多くのお客様にご支持頂いて参りました。レセプト電算処理の普及に伴い、[べてらん君] + [算定チェック] + [レセプト電算]をコラボレートしたのが『べてらん君Collaboration』です。社会保険診療報酬支払基金が編集する『レセプト電算処理システム磁気レセプトの作成手引き』に基づいたレセプトデータをチェックしますので、貴院のパソコンにインストールすれば、簡単にレセプトチェックを行えます。」との記載がある。
(http://www.hitachi-mc.co.jp/products/corabo.html)
ウ 「マイティーチェッカー」のウエブサイトにおいて、「GEMEST」の見出しのもと、「約8,000の医療機関への導入実績を誇る 病名・医薬品・診療行為の適応性を点検するレセプトチェックソフト MightyCheckerPRO 『MightyCheckerPRO』はレセプトオンライン時代の必須ツールです!」との記載がある。
(http://www.mightychecker.com/)
エ 「(有)岩国メディカルサポート」のウエブサイトにおいて、「日医総研認定事業所 日医標準レセプトソフト導入・パソコンサポート事業」の見出しのもと、「導入実績 製品とサービス ホーム」の項のもと、「日医標準レセプトソフトORCAは日医がレセコンとして十分な機能であると評価していますが、一方で経費削減に役立つ選択としても注目されています。(中略)また、レセプトチェックの自動化(ORCA内臓機能とレセプトチェッカーソフト併用でレセプト印刷中止、肉眼によるチェックなしが可能)など、ORCAは日々進化していますので、皆様のご期待に添えるものと存じます。」との記載がある。
(http://www.sansikai.com/ims/jisseki.html)
オ 「レセバカセの使い方」の見出しのもと、「レセプトバカセはどんなソフト?」の項のもと、「レセバカセはレセプトの病名漏れをチェックする、いわゆる『レセプトチェックプログラム』です。」との記載があり、また、「特徴」の項のもと、「・薬品・処置・検査・指導料に適応となる病名があるかどうか、「病名漏れ」がないかチェックするソフトです。・レセプトチェックで修正が必要になる「病名の付け忘れ」や「病名の勘違い」といった「病名漏れ」を効率よく見つけることができます。・人手によるレセプトチェックに置き換えることはできませんが、レセプトチェックを効率よくすることができます。」との記載がある。
(http://www.kids-clinic.jp/rece/index.php?%A5%EC%A5%BB%A5%D0%A5%AB%A5%BB%A4%CE%BB%C8%A4%A4%CA%FD)
カ 「レセヘルパー」の見出しのもと、「病名漏れを一括チェックして、レセプト点検にかかる時間を短縮 外来・入院レセとも処理できる」や「・レセヘルパーはフリーソフトです。・入院・外来レセプトを読み込み、病名漏れの有無を一括して判定する『レセプトチェックプログラム』です。」との記載がある。
(http://www.vector.co.jp/soft/win95/business/se429718.html)
キ 「レセプトチェックソフト『レセ電ビューア』」の見出しのもと、「レセプトチェックがスムーズに 作業効率を大幅にUP!!」や「レセプト入力ソフトでは見づらかったフォーマットを見やすく整形し、レセプトチェックをスムーズに行えます。未チェックの検出によりチェック漏れを防ぎます。」との記載がある。
(http://www.vector.co.jp/soft/win95/business/se345222.html)

第4 証拠調べ通知に対する意見(要旨)
請求人は、前記第3の証拠調べ通知に対して、平成21年4月1日受付の意見書において、当該証拠調べ通知で示した、拒絶の理由は、政令で定める期間経過後に通知したものであるから、商標法第16条の規定に違反してなされたものである。
さらに、過去の登録例をあげ、これらの登録例にてらしても本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当しないものである旨意見を述べている。

第5 当審の判断
1 商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号について
本願商標は、前記第1のとおり、「レセプトチェッカー」の文字を横書きしてなるところ、前記第3の1及び2のとおり、その構成中の「レセプト」の文字は、「(処方箋の意)医療機関が健康保険組合に請求する診療報酬明細書。」等の意味を有する語であり、また、「チェッカー」の文字は、コンピュータソフトウエアとの関係において、検査しようとする事柄をチェックするコンピュータソフトウエアについて、「○○チェッカー」のように使用されている事実が認められるから、その構成全体からは、「診療報酬明細書(レセプト)をチェックするコンピュータソフトウエア」程の意味合いを理解・認識するものということができる。
また、前記第3の1(2)のとおり、厚生労働省では、診療報酬の請求を紙の診療報酬明細書(レセプト)ではなく、電子媒体に収録したレセプトにより行うことを内容とする「レセプト電算処理システム」を推進していること、そして、これにより、レセプトの請求・審査支払事務の効率化が図られることから、前記のように、レセプトをチェックするソフトウエアが普及している事実が認められる。
そして、本願の指定商品中には、「電子応用機械器具及びその部品」が含まれるものであるところ、前記第3の3で示した事実によれば、診療報酬明細書(レセプト)をチェックするコンピュータソフトウエアが、「レセプトチェックソフト」、「レセプトチェックプログラム」などと称されて一般に流通していることが認められる。
そうとすると、本願商標は、「レセプトチェッカー」の文字を普通に用いられる方法で表示してなるにすぎないものであるから、これをその指定商品中「電子応用機械器具及びその部品」に含まれる「診療報酬明細書(レセプト)をチェックするコンピュータプログラム」について使用しても、これに接する取引者、需要者は、単に商品の品質、用途を表示するものと理解するにとどまり、自他商品の識別標識として認識し得ないものであり、また、前記商品以外の「電子応用機械器具及びその部品」に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるといわざるを得ない。
2 商標法第16条違反について
請求人は、証拠調べ通知において、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当すると通知したことは、新たな理由を発見したことに該当するから、商標法第16条に規定する「政令で定めた期間」(商標法施行令第2条第1項)に商標登録出願について拒絶の理由を発見しないときは、商標登録をすべき旨の規定に反する旨主張する。
しかし、前記第2に記載した原査定の拒絶の理由である、「本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する」旨の拒絶の理由は、原審にて上記政令で定める期間内に適式に出願人(請求人)に通知されているものであることは、その応答書類である出願人(請求人)からの意見書が平成19年9月5日に提出されていることからも明らかである。
そして、前記第3の証拠調べ通知は、原審においてした当該拒絶の理由を前提に、新たな証拠資料を補充して、当審の中間判断を示したにすぎないものであるから、新たな拒絶の理由に該当するものでないことは明らかである。
したがって、請求人の上記主張は、失当である。
3 過去の登録例について
また、請求人は、過去の登録例を挙げて本願商標も登録されるべきであると述べているが、登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるか否かは、当該商標の構成態様と指定商品の取引の実情等に基づいて、個別具体的に判断されるものであるから、請求人の上記主張は採用することができない。
4 したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるから、本願を拒絶した原査定は、妥当であって取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2009-06-15 
結審通知日 2009-06-19 
審決日 2009-06-30 
出願番号 商願2006-108524(T2006-108524) 
審決分類 T 1 8・ 272- Z (Y09)
T 1 8・ 13- Z (Y09)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 土井 敬子 
特許庁審判長 小林 由美子
特許庁審判官 田村 正明
榎本 政実
商標の称呼 レセプトチェッカー、レセプト 
代理人 原崎 正 

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