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審判番号(事件番号) データベース 権利
取消200630471 審決 商標
取消200330606 審決 商標
取消2009300037 審決 商標

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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 037
管理番号 1202101 
審判番号 取消2008-301195 
総通号数 117 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2009-09-25 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2008-09-18 
確定日 2009-08-03 
事件の表示 上記当事者間の登録第4064689号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4064689号商標(以下「本件商標」という。)は、後掲(1)のとおり、楓の葉を黒く塗り潰した図形内に白抜き様の「故郷」の文字を縦書きし、その文字間に交差させるように、小さめの「THE HOME」の文字を横書きした構成よりなるものであって、平成7年10月17日に登録出願、第37類「建築一式工事,しゅんせつ工事,土木一式工事,舗装工事,石工事,ガラス工事,鋼構造物工事,左官工事,大工工事,タイル・れんが又はブロックの工事,建具工事,鉄筋工事,塗装工事,とび・土工又はコンクリートの工事,内装仕上工事,板金工事,防水工事,屋根工事,管工事,機械器具設置工事,さく井工事,電気工事,電気通信工事,熱絶縁工事」を指定役務として、同9年10月3日に設定登録され、その後、同19年4月17日に商標権の存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続しているものである。
また、本件審判の請求の登録日は、同20年10月7日である。

第2 請求人の主張
請求人は、「商標法第50条第1項の規定により、本件商標の登録を取り消す。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由及び弁駁を次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
1 請求の理由
被請求人は、本件審判請求時前より継続して3年以上、日本国内において、その指定役務について本件商標の使用をしていない。
さらに、本件商標については、専用使用権の設定、通常使用権の許諾の事実もない。また、本件商標を使用していないことについて正当な理由も認められない。したがって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定によりその登録を取り消されるべきである。

2 弁駁の理由
被請求人が使用事実を立証するとして提出した答弁書は、ウェブページをプリントアウトした書類と、「セルコホーム・パートナーシップ加盟契約書」と題された書類により構成されている。
しかし、上記の書類によっては、本件商標に係る商標法第50条第2項に規定された登録商標の使用事実は何ら証明されていない。
(1)ウェブページによる使用
答弁書の証拠資料中、乙第1号証ないし乙第5号証、乙第8号証、乙第11号証、乙第14号証、乙第17号証、乙第19号証は、いずれもウェブページをプリントアウトしたものである。
これらの書類は、すべて右下段に「2008/11/14」(乙19号証の1葉目のみ「2008/11/17」)と印字されている(なお、乙第11号証については文字が一部欠落しているが、残部の体裁上同日を印字したものとみるのが自然である。)。
つまり、この日付表示は、上記乙各号証が2008年11月14日及び同年11月17日にインターネット上で表示されていたウェブページを印刷の上、作成した資料であることを示している。
一方、本件審判の請求の登録日は、2008年10月7日であって、上記乙各号証は、いずれも係るウェブページが請求の登録日後にインターネット上に存在したことを表すのみであり、同第50条第2項にいう「審判の請求の登録前3年以内に」使用されていたことを立証するものではない。
(2)通常使用権者による使用
本件商標の使用者について、被請求人は「被請求人若しくは該被請求人から使用許諾を得ている通常使用権者」と述べている。
この点、乙第6号証、乙第7号証、乙第9号証、乙第10号証、乙第12号証、乙第13号証、乙第15号証、第16号証及び乙第18号証は、いずれも被請求人(商標権者)作成の契約書であるが、これらの書面に商標権者が本件商標の使用を許諾する旨の記載は存在しない。
一方、答弁書中「7.証拠方法」には、有限会社重光ハウジング、鎌形建設株式会社(以下「鎌形建設」という。)、ナカセイホームズ株式会社、有限会社つち工房の各社が挙げられ、その後に(通常使用権者)の記載が付されているが(乙第5号証、乙第11号証、乙第17号証及び乙第19号証の証拠説明)、これに対応する乙各号証の内容を見ても、この4社が商標権者から本件商標の使用を許諾されていることを示す記載はない。
よって、提出された証拠によっては、本件商標に関して通常使用権の許諾の事実があったとは認められない。
(3)使用態様
乙各号証中、赤い矢印で示された文字や図形は、本件商標の表示である旨を主張しているものと解される。しかし、乙第1号証ないし乙第5号証、乙第8号証、乙第11号証の2葉目ないし4葉目及び8葉目、乙第14号証並びに乙第19号証については、各々その表示の態様からして、本件商標の使用といえるものではないし、商標法第50条第1項に規定する社会通念上同一と認められる商標の使用ともいえない。
また、乙第11号証の1葉目に表示されているものは不鮮明で、本件商標と同一若しくは社会通念上同一と認められる商標かどうかが判別できない。
(4)以上のとおり、被請求人の提出した証拠によっては、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者、通常使用権者のいずれかが、その指定役務について登録商標の使用をしていたものとは認められないものである。

第3 被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第19号証を提出した。
本件商標に対して、商標権者若しくは同人から使用許諾を得ている通常使用権者は、以下に示す各証拠資料(乙号証)の如く、本件商標と社会通念上同一視される標章を、指定役務中について、請求前3年以上継続して日本国内において使用しており、現在も継続して使用している。
なお、本件商標と社会通念上同一視される標章の詳細については乙号証により立証する。
そうとすれば、本件商標は、その登録を取消される理由がないものである。

第4 当審の判断
本件審判請求は、本件商標をその指定役務への不使用を理由として、商標法第50条第1項の規定により、その登録の取消しを求めているところ、提出された証拠によって、同条第2項において規定する、その審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定役務のいずれかについて登録商標の使用をしていることを被請求人が証明し得たものかについて検討する。
1 提出証拠について
提出された乙第11号証及び乙第12号証により以下の事実が認められる。
(1)乙第11号証
鎌形建設のホームページについての乙第11号証は、平成20年11月14日にプリントアウトされたウェブページと認められるところ、1葉目に「鎌形建設株式会社」、「平成20年5月27日更新」、「セルコホーム成田のHPがOPENしました!NEW」、「セルコホーム成田住宅展示場」、「カナダ輸入住宅 全国供給実績NO.1」等の各文字とともに、後掲(2)のとおり楓の葉を緑に塗り潰した図形内に白抜き様の「故郷」の文字を縦書きし、その文字間に交差するように同じく「THE HOME」の文字を横書きした構成からなる商標(以下「使用商標」という。)が掲載されている。
(2)乙第12号証
「セルコホーム・パートナーシップ加盟契約書」と題する乙第12号証(以下「加盟契約書」という。)は、商標権者を甲とし、鎌形建設を乙とするものであり、平成19年6月10日付けで契約されたものである。
そして、当該加盟契約書の第1条には、「本契約は甲が乙に対し、甲の開発した商品の設計から販売に至るまでの情報と技術を、乙に開示提供し、乙が甲の指導・援助のもとに、住宅の販売、建築請負を主業務とする事業(以下「当該事業」という)を継続して行うことを目的とする。・・・」旨記載されている。
当該加盟契約書の第4条には、「甲は乙に対し、『セルコホーム成田 セルコホーム千葉県央』の屋号使用を認め、本契約の期間中、第5条で設定する地域内において当該事業活動を行う権限を付与する。・・・」旨記載されている。
当該加盟契約書の第5条には、「甲は、乙の事業活動地域を下記の市町村内と定める。 ・千葉県全域、以上。・・・」旨記載されている。
当該加盟契約書の第16条には、「本契約書の有効期間は平成19年6月11日から平成22年6月10日までとする。・・・」旨記載されている。
当該加盟契約書の第18条には、「本契約が期間満了その他の事由により終了したときは、次のように処理する。 1 甲乙間の債権、債務については即時精算する。 2 乙は甲の屋号、商標、マーク等を使用してはならず、これらの表示物件は即時に撤去し、甲に返却しなければならない。・・・」旨記載されている。

2 使用事実について
上記の認定事実からして、鎌形建設のウェブページ(乙第11号証)は、当該加盟契約書(乙第12号証)に基づく、住宅の販売、建築請負に係る役務に関する広告を内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為といえるものであって(商標法第2条第3項第8号)、同法第50条で規定される所定の証明事項は以下のとおり判断できる。
(1)使用者について
当該加盟契約書は、住宅の販売、建築請負事業に係る商標権者をチェーン本部とし、加盟店を鎌形建設とするパートナーシップを内容とする契約書と認められる。
一般に、この種の事業方式にあっては、たとえ当該加盟契約書中に特定の商標の使用についての具体的な明示がないとしても、一定地域内での商標の使用についての許諾を与えていたというのが自然である。
また、当該加盟契約書には、契約終了後の処置(第18条)として「・・・商標、マーク等を使用してはならず・・・」の契約条項からもそれが裏付けられるといえる。
そうすると、鎌形建設は、商標権者から商標の使用を許諾されていたものと認めることができ、本件商標の使用についても、商標権者から許諾された通常使用権者の立場にあるということを否定できないものである。
(2)使用商標について
(ア)本件商標
本件商標は、上記第1及び後掲(1)のとおり、楓の葉を黒く塗り潰した図形内に白抜き様の「故郷」の文字を縦書きし、その文字間に交差させるように、同じく小さめの「THE HOME」の文字を横書きした構成よりなるものである。
(イ)使用商標
これに対して、使用商標は、楓の葉を緑に塗り潰した図形内に白抜き様の「故郷」の文字を縦書きし、その文字間に交差するように同じく「THE HOME」の文字を横書きした構成からなる商標である。
(ウ)そこで、本件商標と使用商標とを比較すると、両者は楓の葉を模した図形及びその構成中に存する「故郷」と「THE HOME」の各文字構成をことごとく同じくし、その配置においても相違は認められない。
してみると、本件商標と使用商標との構成にあっての相違は、楓の葉を模した図形において塗り潰された色彩が黒色か緑色かの差であって、これによって両者間に異なる外観(印象)や称呼及び観念が生じるようなものでない。
そして、商標法第70条第1項によれば、同法第50条における「登録商標」には、その登録商標に類似する商標であって、色彩を登録商標と同一にするものとすれば登録商標と同一の商標であると認められるものを含むものとすることから、使用商標は、本件商標と社会通念上同一の商標ということができる。
(3)使用時期について
当該加盟契約書の有効期限は平成19年6月11日から平成22年6月10日とするものであり、たとえ鎌形建設のウェブページ(乙第11号証)の印刷が平成20年11月14日であるとしても、このウェブページの1葉目には、「平成20年5月27日更新」の文字が記載されていることから、本件審判の請求の登録前3年以内の使用を推認することができる。
(4)使用役務について
当該加盟契約書の契約内容及び当該ウェブページの掲載内容からすれば、鎌形建設は、千葉県全域において、チェーン本部を商標権者とする加盟店として「カナダ輸入住宅の販売、建築請負」に係る事業、すなわち、その請求に係る指定役務中「建築一式工事」を行っていたものと認めることができる。

3 結語
そうすると、被請求人は、本件審判請求の登録前3年以内に、日本国内において、請求に係る指定役務中「建築一式工事」について、通常使用権者により本件商標が使用されていたことを証明し得たということができる。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、これを取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 後掲
(1)本件商標




(2)使用商標 (色彩については原本参照)




審理終結日 2009-06-04 
結審通知日 2009-06-09 
審決日 2009-06-22 
出願番号 商願平7-107523 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (037)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 大橋 信彦 
特許庁審判長 渡邉 健司
特許庁審判官 井出 英一郎
鈴木 修
登録日 1997-10-03 
登録番号 商標登録第4064689号(T4064689) 
商標の称呼 ザホーム、コキョー、フルサト 
代理人 小橋 立昌 
代理人 亀川 義示 
代理人 堀内 香菜子 
代理人 細井 貞行 

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