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審決分類 審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) X31
管理番号 1200638 
異議申立番号 異議2008-900267 
総通号数 116 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2009-08-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2008-07-09 
確定日 2009-06-16 
異議申立件数
事件の表示 登録第5125483号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5125483号商標の商標登録を取り消す。
理由 1 本件商標
本件登録第5125483号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成19年10月11日に登録出願され、第31類「熊本県産のすいか」を指定商品として同20年4月4日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由の要旨
本件商標は、商標法第3条第1項第3号、同法第4条第1項第10号、同項15号、同項16号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の2第1号の規定により、その登録は取り消されるべきである。

3 本件商標に対する取消理由の要旨
登録異議申立人の提出に係る証拠によれば、以下の事実が認められる。
(1)熊本県及び同県北部に位置する植木町は、平成18年における全国の都道府県別及び市町村別のすいか出荷量が第1位であり(甲第2及び3号証)、1981年に発表された論文「熊本県,植木スイカの産地形成」においても、「1979年の熊本県のハウススイカ1,352haの産地規模は、全国の47.5%を占め、・・・無類の大型産地ということができよう。熊本県のハウススイカは、・・・植木町を中心とする北部町・鹿央町・西合志町・山鹿市など、熊本市北方の肥後大地と菊鹿盆地に集中し、主産地名をとって植木スイカと呼ぶこととする。・・・熊本県の施設スイカは植木スイカに代表され、日本一の施設スイカ産地ということができる。」と記述されている(甲第4号証)。
(2)植木町のインターネットのホームページには、「植木町の特産品」として、【地域ブランド『植木すいか』】の表題の下に、「植木町のスイカは、複数の生産組織において、先人達から受け継がれてきた熱い情熱と高度な技術をもってビニールハウスなどの施設内で栽培されており、量・質ともに高い評価を受けています。」、「・・・植木町のスイカ生産組織の皆さんが『植木すいか』の地域ブランド化へ向けて立ち上がり、何度も議論を重ねてきました。・・・糖度12度以上などの共通の高い品質基準を満たしたスイカにのみ地域ブランド『植木すいか』の名称を加えて、試行的に一部出荷することとなりました。将来的にはスイカだけではなく、他の農畜産物・加工品等についても地域ブランド化を進めていく方針です。・・・」と記載されると共に、「植木すいか」の文字を表示したシール(甲第9号証)を貼付したすいか等の写真が掲載されている(甲第5号証)。
(3)平成19年4月10日付け「熊本日日新聞」の熊本都市圏版には、「ブランド復活へ」の表題の下に、「スイカ生産額日本一を誇る鹿本郡植木町で、『植木すいか』の再ブランド化に向けた試験出荷が今月半ばにもスタートする。糖度12度以上など一定条件を満たした高品質の植木産スイカに専用ロゴシールをはって消費者にアピールし、将来は商標登録につなげたい考えだ。・・・町内で『植木』ブランドの復活を望む声が上がり、町が中心となって生産者らと検討を進めてきた。試験出荷するのは(1)糖度12度以上(2)町在住の農家で、町内にほ場がある(3)一番果である-など条件を満たしたスイカに限定。町内の出荷組合など所属組織内の検査員のチェックをほ場単位で受けた後、・・・専用のロゴシールを追加し出荷する。・・・」等の記述がされると共に、「植木すいか」の文字を表示したシール(甲第9号証)及びすいかの写真が掲載されている(甲第6号証)。
(4)平成19年5月2日付け「熊本日日新聞」熊本都市圏版には、「自慢のブランド売り込め!!」、「植木すいか福岡市で販売会」の表題の下に、「スイカ生産額日本一を誇る鹿本郡植木町は4月28日、『植木すいか』の再ブランド化を目指した初めてのPR活動となる直送販売会を、福岡市内で開いた。再ブランド化は、糖度12度以上など一定条件を満たした高品質の町内産スイカに、『植木すいか』の専用ロゴシールをはってアピールし、将来的には商標登録につなげようという取り組みだ。町内で『植木』ブランドの復活を望む声が上がったため、町が中心となって生産者らと検討を進めてきた。・・・」等の記述がされると共に、PR販売会の様子を撮影した写真が掲載されている(甲第8号証)。
(5)「ボンラパス熊本県銘品展(平成19年4月25日(水)?29日(日))」と題するチラシには、「イベントのご案内」の欄に、「高宮店」として「植木町産業振興課『植木すいかの直送販売』」と記載され、すいかの写真が掲げられている(甲第7号証)。
上記の認定事実によれば、植木町は、すいかの一大生産地であり、いわゆる町興しの施策の一つとして、同町のすいか生産組織と共に、植木町の特産品である「すいか」を「植木すいか」としてブランド化し地域振興を図る目的で検討を進め、同町のインターネットホームページにおいてその旨公示すると共に、平成19年4月頃には、「植木すいか」の文字が表示されたシールを作成・貼付し、試行的に出荷したり、宣伝販売を行っていたことが認められる。
他方、本件商標は、前記1のとおりの構成からなるところ、その構成中の円輪郭中に「熊」の文字を配した部分は、指定商品との関係において「熊本県産」であることを連想、想起させるものであり、また、その下に書された「植木スイカ」の文字は、上記植木町がブランド化を進めている「植木すいか」と社会通念上同一といえるものである。
そして、本件商標の商標権者(出願人)は、植木町に近接する熊本市に居住しており、上記の新聞報道等がされていることからすれば、植木町の上記町興しの施策や「植木すいか」の表示の存在、さらには同町が地域団体商標の登録を目指していることを知らなかったものとはいい難く、むしろ、これらのことを知悉した上で、「植木すいか」の文字が商標登録されていないことを奇貨として、上記構成からなる本件商標を登録出願したものといわざるを得ず、本件商標の取得が植木町が行っている施策を阻害するに至ることを認識し、少なくともその結果の招来を是認していたものというべきである。
そうすると、商標権者(出願人)は、植木町による地域振興を図るという地方公共団体としての政策目的に基づく公益的な施策に便乗して、その遂行を阻害し、公共的利益を損なう結果に至ることを知りながら、該施策の中心に位置付けられている「植木すいか」の表示による利益の独占を図る意図で本件商標を登録出願し登録を受けたものであって、本件商標は、公正な競業秩序を害するものであり、公序良俗に反するものといわなければならない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に違反して登録されたものであるから、その登録を取り消すべきものである。

4 商標権者の意見
商標権者は、前記2の取消理由について、指定した期間内に意見を述べていない。

5 当審の判断
本件に関し、審判長は、商標権者に対し、平成21年2月18日付けで、前記2の取消理由を通知し、期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、商標権者からは何らの応答もなかった。
そして、前記2の取消理由は、妥当なものと認められるので、本件商標の登録は、この取消理由によって、商標法第43条の3第2項の規定に基づき、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲
本件商標




異議決定日 2009-04-27 
出願番号 商願2007-105115(T2007-105115) 
審決分類 T 1 651・ 22- Z (X31)
最終処分 取消  
前審関与審査官 田中 幸一 
特許庁審判長 石田 清
特許庁審判官 久我 敬史
小林 由美子
登録日 2008-04-04 
登録番号 商標登録第5125483号(T5125483) 
権利者 田上 安徳
商標の称呼 マルクマウエキスイカ、マルクマ、クマ、ウエキスイカ、ウエキ 

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