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この審決には、下記の判例・審決が関連していると思われます。
審判番号(事件番号) データベース 権利
取消2008300287 審決 商標
取消200531237 審決 商標
審判199613388 審決 商標
取消200131305 審決 商標
取消200331209 審決 商標

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審決分類 審判 全部無効  審決却下 Y05091016172021222425
管理番号 1200553 
審判番号 無効2008-890015 
総通号数 116 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2009-08-28 
種別 無効の審決 
審判請求日 2008-02-12 
確定日 2009-07-16 
事件の表示 上記当事者間の登録第2659218号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求を却下する。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第2659218号商標(以下、「本件商標」という。)は、別掲に示すとおりの構成からなり、平成3年6月12日に登録出願、第17類「被服、その他本類に属する商品」を指定商品として、同5年11月5日に登録査定、同6年5月31日に設定登録され、同15年12月16日に商標権の存続期間の更新登録がなされたものである。
その後、指定商品については、平成16年6月30日に第5類「失禁用おしめ」、第9類「事故防護用手袋,防じんマスク,防毒マスク,溶接マスク,防火被服」、第10類「医療用手袋」、第16類「紙製幼児用おしめ」、第17類「絶縁手袋」、第20類「クッション,座布団,まくら,マットレス」、第21類「家事用手袋」、第22類「衣服綿,ハンモック,布団袋,布団綿」、第24類「布製身の回り品,かや,敷布,布団,布団カバー,布団側,まくらカバー,毛布」及び第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,和服,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,布製幼児用おしめ,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い,ずきん,すげがさ,ナイトキャップ,ヘルメット,帽子」とする指定商品の書換登録がなされたものである。

第2 請求人の主張
請求人は、本件商標の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁の理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第25号証を提出した。
1 請求の理由
(1)本件商標
本件商標は、「羽の生えた馬の図形」と該図形の下段に「miKi」の欧文字と「SPORTS」の欧文字を二段に横書きしてなり、第17類(昭和34年法)「被服、その他本類に属する商品」を指定商品として出願人「泉谷義勝」により平成3年6月12日登録出願され、同6年5月31日設定登録された後、同12年6月12日に現在の商標権者である「シビルスポーツ株式会社」へ移転登録されたものである(甲第1号証)。
(2)引用商標
請求人は、昭和52年より使用している商標「ミキハウス」の片仮名文字を、昭和53年8月よりあたかも色鉛筆を曲げたようなイメージを主体とする丸みのある書体で「miKiHOUSE」と表すこととし、さらにその構成中の「m」「i」「i」の欧文字を小文字体で表し、「K」「H」「O」「U」「S」「E」の欧文字を大文字体で表した特異な態様で表すこととし、以来、請求人は現在まで一貫して「miKiHOUSE」の当該書体の欧文字で表した商標(以下「引用商標」という。)を被服、その他の付属商品に使用している。
また、当該引用商標については、商標登録第1729750号(甲第2号証)を始め、多数の商標登録が認められるている。
(3)引用商標の周知性
請求人は、昭和53年9月21日に設立され、当初子供服の製造販売を開始したところ、その斬新なデザイン及びスタイルが好評を博し、年々売上金額が急増した。そこで、昭和56年頃から子供服に限らず、青少年や成年を対象にした被服、被服に付随するバッグその他の付属商品に営業を拡大したところ、同様に爆発的な好評を博し、平成元年度(8月決算)の総売上高は約311億円に達した。
請求人の急進的成長は、その商標の特異な表示及び使用形態と、商品の基本的理念に基づくデザイン及びスタイルの一貫性と、絶え間なく投下してきた高額の宣伝広告費とにより、その商標及び商品デザインの結合された総合的イメージが需要者の間で請求人の商品を表彰するものとして周知せしめられるよう強くアピールしてきたからに他ならない。
請求人は、売上高増加に伴い、平成元年10月の時点で、多数の直営店(176店舗)及びオンリーショップ(168店舗)を全国に有し、それ以外に請求人の商品を取り扱っている衣服等の専門店は約700店舗あり、商品の全国的な販売を展開していた。
請求人は、個人会社「三起産業」の営業を承継して設立された株式会社であるが、三起産業は、昭和52年より片仮名文字の商標「ミキハウス」の使用を開始し、その後、昭和53年8月には商標を単に片仮名文字「ミキハウス」と表示するのではなく、「miKiHOUSE」の欧文字で表し、しかも、あたかも色鉛筆を曲げたようなイメージを主体とする丸みのある書体に表す引用商標にすることを決定した。
請求人は、昭和55年からテレビコマーシャルを初めとして多額の宣伝広告費を予算に計上し、引用商標のイメージアップに多大の努力を払ってきた。
この結果、引用商標は本件商標の登録出願時である平成3年6月12日にはすでに請求人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標となっていた。
引用商標の周知性については、「大阪地方裁判所 平成元年ワ第9579号商標権侵害及び不正競争行為禁止等請求事件」の判決(以下「甲3判決」という。)でも、「原告商品における『miKiHOUSE』の英文字をあたかも色鉛筆を曲げたようなイメージを主体とする丸みのある書体で表してなる本件標章を表示し、この本件標章を衣服の際立って目立つ箇所に顕著に表示し、しかも商品の地色と本件標章との色彩のコントラストを強調した原告の基本的商品表示を基本とする原告の商品表示AないしDは、いずれも原告の商品表示として遅くとも昭和六一年には国内の需要者間に周知となったものであり」と判断されている(甲第3号証)。
また、本件請求人を請求人とし、本件商標の登録時の商標権者である「泉谷義勝」を被請求人とする登録第2191928号「ミキスポーツ」に対する不正使用による取消審判事件の審決(甲第4号証)、同登録第2408565号「MIKISPORTS」に対する不正使用による取消審判事件の審決(甲第5号証)及び同登録第2479196号「miKiSPORTS」に対する不正使用による取消審判事件の審決(甲第6号証)(以下、これらをまとめて「甲4ないし6審決」という。)でも、「請求人は、『miKiHOUSE』商標について、昭和61年までには宣伝広告を行うとともに『miKiHOUSE』商標を『トレーナー』の際立って目立つ箇所に顕著に表示し、請求人の出所にかかる商品を表示する商標として、『miKiHOUSE』商標は、その構成中の『m』『i』『i』の欧文字を小文字体で表し、『K』『H』『O』『U』『S』『E』の欧文字を大文字体で表した特異な態様であることと相俟って需要者間に広く認識されていたもの(いわゆる周知商標)であることが推認し得るところである。」と認められている。
(4)本件商標と引用商標との類否
本件商標は、「羽根の生えた馬の図形」と該図形の下段に「miKi」の欧文字と「SPORTS」の欧文字を二段に横書きしてなるところ、被服等の取引において、需要者が該図形と該文字を分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど本件商標が不可分的に結合しているとは認められない。したがって、本件商標が付された商品に接した需要者は、当該文字部分のみに着目しうるものである。
引用商標は、前半部の「miKi」のうち「m」と「i」を小文字にする一方「K」を大文字としつつ、これらの文字を一連同大に表し、また後半部の「HOUSE」を全て大文字として一連同大に表し、これらをあたかも色鉛筆を曲げたようなイメージを主体とする丸みのある書体で一連に統一された外観が得られるように表示したものであるが、本件商標の該文字部分も引用商標と同様に、二段書きの上段部「miKi」を引用商標と同じ方法で大文字小文字の混合により一連同大に表し、また下段部の「SPORTS」を引用商標の後半部と同じ方法で全て大文字として一連同大に表し、これらをあたかも色鉛筆を曲げたようなイメージを主体とする丸みのある書体で統一された外観が得られるように表示したものであって、両者は外観的に一見紛らわしい上、その構成で軌を一にするものである。
また、引用商標と本件商標の該文字部分は、その構成中最も看者の注意を惹く「miKi」の文字部分を同じくし、それぞれ「HOUSE」と「SPORTS」の文字部分において相違するものであるが、該相違する「HOUSE」の語は商品の販売場所を表す語として把握、認識される場合が多い語であり、また、「SPORTS」の語も、被服等を取り扱う業界において「運動に適したもの」を表示する語として「○○○SPORTS」のように使用されることが多く、自他商品の識別機能の弱いものとして認識されているものであるところから、両商標を同一若しくは類似の商品に使用した場合、その書体の特徴的表現方法も相俟って、これに接する取引者、需要者は、同じ態様で表示されている「miKi」の文字部分に着目し、周知商標である引用商標「miKiHOUSE」に係るもの若しくは同種の商品であるかの如く認識し、請求人若しくは請求人と何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如くその商品の出所について混同を生ずるものであるというべきである。
また、本件商標の登録時の指定商品、第17類「被服、その他本類に属する商品」は、被服、その他の付属商品等の請求人の業務に係る商品と同一又は類似の商品に該当するものである。
以上から、本件商標が該文字部分と該図形の結合からなるものであっても、引用商標と出所の混同を生じるものであり、したがって、両商標は類似する商標であるというべきである。
本件商標に類似する商標「miKiSPORTS」と引用商標「miKiHOUSE」との類否については、請求人を原告とし、本件商標の登録時の商標権者である「泉谷義勝」の通常使用権者を被告とする甲3判決でも、「一般需要者が原告商品と誤認して被告商品を購入した事実、すなわち市場において被告商品が原告商品と現実に誤認混同されたことがある事実を認めることができる。」、「被告のイ号ないしレ号商品に表示された形態は、原告の商品を表示する者として需要者間に周知されている本件表示形態AないしDと類似し、その結果、被告のこれら商品は市場において原告の商品と混同を生じるものと認めざるをえない。」(甲第3号証)と判断されている。
また、甲4ないし6審決でも、「本件商標及びその連合商標の通常使用権者が使用する『miKiSPORTS』及び『miKi』と『SPORTS』を2段に表した使用商標と請求人が使用し、いわゆる周知商標になっている『miKiHOUSE』とを比較するに、両者は、その構成中最も看者の注意を惹く前半の『miKi』の文字部分を同じくし、後半の『SPORTS』と『HOUSE』の文字部分において相違するものであるが、該相違する『SPORTS』の語は、衣服を取り扱うこの種業界において『運動に適したもの』を表示する語として近時、いわゆるデザイナーズブランドとともに『OOOSPORTS』の用例で使用され、自他商品の識別機能の弱いものとして認識されているものであり、また、『HOUSE』の語も商品の販売場所を表す語として把握、認識される場合が多い語であるところから、両商標が同一若しくは類似の商品について(特に本件においては商品の同じ部分に表示されている)使用した場合、これに接する取引者、需要者は、同じ態様で表示されている『miKi』の文字部分に着目し、周知商標である『miKiHOUSE』に係るもの若しくは同種の商品であるかの如く認識し、請求人と何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如くその商品の出所について混同を生ずるものであるというべきである。」と認められている。
(5)「泉谷義勝」の不正競争の目的
本件商標の登録時の商標権者である「泉谷義勝」は、代表者を務めていた「山全商事株式会社」(大阪府大阪市浪速区日本橋西1丁目8番18号)を通常使用権者として、本件商標及び引用商標に類似する商標「miKiSPORTS」を被服等の商品に付して販売した事実において、当該通常使用権者の販売行為は、甲3判決において不正競争防止法第1条第1項第1号(現同法第2条第1項第1号)に該当すると判断されている(甲第3号証)。
また、当該「泉谷義勝」が商標権者であった登録第2191928号「ミキスポーツ」、同登録第2408565号「MIKISPORTS」及び同登録第2479196号「miKiSPORTS」について、同「山全商事株式会社」を通常使用権者として、本件商標及び引用商標に類似する商標「miKiSPORTS」を被服等の商品に付して販売した事実において、商標法第53条に規定するいわゆる不正使用による取消審判により商標登録を取り消す旨の審決を受けている(甲第4号証ないし甲第6号証)。
これらの事実から、「泉谷義勝」が不正競争の目的をもって、本件商標の商標登録を受けたことは明白である。よって、本件審判の請求に当たっては、商標法第47条に規定する除斥期間は適用されない。
(6)むすび
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第10号に違反してされたものであるから、同法第46条第1項の規定により、無効とすべきである。
2 弁駁の理由
(1)本件審判請求は適法なものであり、また、請求人の主張も正当なものであるため、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第10号に違反してされたものであり、同法第46条第1項の規定により無効にされるべきものである。
(2)引用商標の周知性について
被請求人は、甲3判決について、「甲第3号証の判決は平成4年9月22日付けで言い渡されている。民事訴訟における既判力は、口頭弁論終結時であって(民事訴訟法545条第2項)、これが既判力の標準時であり、上記判決は、本件商標が出願された平成3年6月12日以前の引用商標の周知性についての判断ではない。」と主張するが、この主張は失当である。
ア 当該判決にかかる訴訟においては、被告に対しての差止め請求とともに、損害賠償請求がなされており、これに対して、被告の販売する商品の差し止めを認めるとともに、これらの商品の販売についての損害賠償請求を認める判決がなされている。
確かに、不正競争防止法第1条第1項第1号(現第2条第1項第1号)に該当するか否か、すなわち引用商標の周知性についての判断は、差止め請求に関しては口頭弁論終結時での判断である。
しかし、損害賠償請求についての当該周知性の判断時は、不正競争の行為時である。
当該周知性の判断基準については、最高裁判所の判決においても「自己の商品表示が不正競争防止法1条1項1号にいう周知の商品表示に当たると主張する甲が、これと類似の商品表示の使用等をする乙に対してその差止め等を請求するには、甲の商品表示は、不正競争行為と目される乙の行為が甲の請求との関係で問題になる時点、すなわち、差止請求については現在(事実審の口頭弁論終結時)、損害賠償の請求については乙が損害賠償請求の対象とされている類似の商品表示の使用等をした各時点において、周知性を備えていることを要し、かつ、これをもって足りるというべきである。」と判示されている(昭和61年(オ)第30号 最高裁判所 昭和63年7月19日判決)。
そして、当該損害賠償請求にかかる商品は、平成元年3月から10月までの間及び同2年6月から7月25日までの間に販売された商品である。
そうすると、当該判決においては、平成元年3月から10月までの間及び同2年6月から7月25日までの間においても、引用商標の周知性を認定している。
さらに当該判決においては、これらの根拠として「原告の商品表示として遅くとも昭和六十一年には国内の需要者間に周知となったものであり、」とも認定している。
したがって、当該判決では、本件商標の登録出願日である平成3年6月12日前1年以内の引用商標の周知性を認める判断がなされたものである。
イ 次に、甲4ないし6審決について、当該審決にかかる審判は、当該審判における被請求人(泉谷義勝)の通常使用権者(山全商事株式会社)が平成5年1月の商標の不正使用を証拠として、同年2月16日に請求され、同9年12月24日に取消審決がなされたものである。
したがって、当該審決においては、平成5年1月の通常使用権者(山全商事株式会社)の商標の使用が、他人(三起商行株式会社)の商品と混同を生ずるものであること、すなわち、平成5年1月時点での引用商標の周知性を認定したものである。
商標法第4条第1項第10号の判断時は出願時及び査定時であるところ、本件商標の登録査定時は、当該審決において引用商標の周知性を認めた平成5年1月時点からわずか10ヶ月後の同年11月5日である(甲第1号証)。
したがって、本件商標の登録査定時に引用商標が周知であったことは当然のことである。
ウ なお、当時の引用商標の周知性を補足するものとして甲第7号証ないし同第13号証を提出する。これらは、業界紙(センイ・ジヤァナル、繊研新聞)へ請求人が広告を継続的に行っていたこと、当時の刊行物(ベビーブック増刊号、こどもぴあ関西版)の裏表紙に一面で広告をしていたこと、新幹線の車内誌(レディース&ジェントルメン)へ継続的に一面広告を行っていたこと、飛行機の機内誌(日本エアシステム機内誌「ARCAS」)の裏表紙に継続的に一面広告をしていた事実を証明するものである。
これらの事実からも、甲3判決でも認定されているように、遅くとも昭和61年には周知であった引用商標は、その後も継続的に広告等され続け、現在に至るまで継続して連綿と需要者の間に広く知られるものとなっていることは明らかである。
エ 以上から、本件商標の登録出願時及び査定時において、引用商標の周知性は当然に認められるものである。
(3)本件商標と引用商標の類似性について
ア 被請求人は、審判請求書における「miKiSPORTS」、「miKi」と「SPORTS」を二段に表示したもの及び「miKiHOUSE」等の記載を「不自然に両者を近似させるような言い方」と主張するが、これらは甲3判決及び甲4ないし6審決で両者の混同についての判断において表示されたものであり、争点の一つともなっている小文字と大文字の別を明確にする表示である。この記載を以て近似と判断すること自体が、被請求人が両者の類似性を認めているものである。
イ 被請求人は、引用商標における書体を一般的な書体である旨主張するが、これは失当である。
被請求人は、当該書体が市場に販売されているソフトで作成可能な旨を主張するが、その作成において、「miKi」の文字中「m」と「iKi」において使用する書体はそれぞれ異なるものである。乙第3号証の添付資料2(審決注:「2」は○付の「2」。以下同じ。)においても、「m」と「iKi」の書体が異なるものであることが確認できる。また、「m」の文字の一部を塗りつぶすことや文字の大きさを換えることには、これを作成する者の創作性が加わるものである。
したがって、これらの創作の全てを行って表現することが、一般的な書体を使用するものであるとは当然に言えない。
また、被請求人は、小文字と大文字の混合で表した引用商標の表現もよくとられる表示法である旨を主張する。
この「よくとられる」という表現がどれほど一般的であることを示すのかは不明だが、引用商標以外にも用いられていることはありうる。
しかし、先に述べた書体における創作性と、「m」「i」「i」を小文字とし「K」を大文字としこれらを混合で表した文字の配列の選択性を組み合わせた「miKi」の表現は、引用商標の特別な表現である。
本件商標の「miKi」部分は、引用商標の「miKi」部分を重ね合わせれば一致するほどに酷似しており、引用商標の「miKi」部分をそっくりそのまま模倣したものとしか考えられない。
ましてや、本件商標の出願人は、その出願時において、甲第3号証にあるように本件商標に類似する商標を付した商品の販売に関しての不正競争防止法に基づく裁判の被告である。このことからも、本件商標は引用商標の存在を意識して出願されたものであることは明らかである。
乙第9号証ないし同第11号証においても、単に丸文字であらわされたものや小文字と大文字の組合せで表現したものはあっても、引用商標と同一の表現で表されたものは存在しない。
本件商標と引用商標とが混同を生じる可能性は、本件商標の「miKi」部分が引用商標のそれと区別がつかないほど酷似していることに加え、本件商標において二段書き下部へ続く「SPORTS」の語が被服等の取引においては「運動に適したもの」を表すものにすぎず、これらの組合せ及び表現方法によって、引用商標との混同の可能性が生じるのであって、請求人は、例えば単にゴシック体で表示した「MIKISPORTS」との混同をいうものではない。
したがって、乙第7号証及び同第8号証は、本件審判と何ら関係のないものである。
ウ 被請求人は、甲3判決の争点に対する判断「9」項の一部分のみを抜き出し、本件商標とは書体が全く違うゴシック体で表示した「MIKISPORTS」と引用商標が抽象的に引用商標と非類似であることを認めつつ、被告の使用態様については、不正競争行為を構成するものとしたものであって、商標の抽象的な類似性を判断したものではない旨を主張するが、当該判決の同項においてはその続きがあり、被告の使用態様「miKiSPORTS」が「商標法1条所定の目的に反するものである」と「商標法」の法目的に反することを明確に認め判示している。
これは当該特別の書体で表された商標「miKiSPORTS」は、その商標を被服等に使用することにより引用商標との関係で出所の混同を生じ、引用商標を使用する本件の請求人の業務上の信用及び需要者の利益を害するものであることを判断しているものである。
したがって、当該商標「miKiSPORTS」を二段に表しているとはいえ、同一の書体の「miKi」「SPORTS」の文字についてもこれが明確に感得できる態様の本件商標は、商標法の法目的に反するものであり、引用商標の出所表示機能を害するものであるから、結果、引用商標と類似するものである。
甲3判決及び甲4ないし6審決のいずれもが、共に前半部の「miKi」のうち「m」と「i」を小文字にする一方「K」を大文字としつつ、これらの文字を一連同大に表し、また後半部の「SPORTS」を全て大文字として一連同大に表し、これらをあたかも色鉛筆を曲げたようなイメージを主体とする丸みのある特別な書体で一連に統一された外観を有する本件商標に類似する「miKiSPORTS」と引用商標「miKiHOUSE」の混同が生じるものと認めたものであることは明確である。
さらに、甲4ないし6審決においては、「miKi」と「SPORTS」が二段に分かれて表示された場合でも引用商標と混同が生ずることを認めている。
被服の業界においては、図形と文字の結合標章のうち、文字部分のみを使用することや、文字部分のみをもって識別機能を発揮することは当然のことである(甲第25号証)。
本件商標も図形部分と文字部分は上下に明確に分離しており、渾然一体となって切り離して感得することができない表示ではない。
被請求人は、自己の商品においても「miKiSPORTS」のみを使用した商品を販売している(甲第19号証)。本審判請求前において被請求人及び被請求人の代表者の有する登録商標中、「MIKI」「SPORTS」の欧文字を含むものは本件商標以外に登録第4224336号及び第4722991号のみであるが、これらの登録商標中「甲第19号証」においての「miKiSPORTS」の使用の根拠となる商標は、あたかも色鉛筆を曲げたようなイメージを主体とする丸みのある書体で一連に統一された外観を有する点から考えても本件商標のみであり、これにより、被請求人が当該「miKiSPORTS」部分のみでも切り離して使用でき、また識別力を有すると認識していたことは明らかである。
また、商標法の法目的に反するとされる文字商標に、単にこれと渾然一体となっていない図形を付することで、無効又は取消を免れるとすることは許されないことである。
これらを鑑みれば、商標の本来の機能である出所表示機能が害されるものである以上、両商標が類似することは当然である。
エ 被請求人は、本件商標と引用商標は、その外観、称呼及び観念において非類似であるため、両商標は非類似である旨を主張する。
しかし、これら外観、称呼及び観念に基づいての類否判断は、商標の類否においての一つの判断基準であって、商標の本来の機能である自他商品等識別機能を害するか否かの判断をするに際しての基準の全てではない。
ここで、被請求人は、商標の類否判断法則を示す判決例として乙第4号証ないし同第5号証を提出している。請求人もこれらの判決の判断基準は認めるが、当該判決は「被服」等の取引における判断がなされたものではなく、この判決における商標自体の類否をそのまま今回の事件と直接結びつけて考えることは出来ない。
乙第4号証及び同第5号証の判決は、その商標に係る「商品の取引の実情」を考慮してなされたものである。
乙第5号証の裁判の類否判断基準においては、「商標の類否は、対比される両商標が同一または類似の商品に使用された場合に、商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かによって決すべきであるが、それには、そのような商品に使用された商標がその外観、観念、称呼等によって取引者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すべく、しかもその商品の取引の実情を明らかにしうるかぎり、その具体的な取引状況に基づいて判断するのを相当とする。」と示されているものであり、当該判決は「硝子繊維糸の取引」という極めて限定された取引の実情に基づいてなされた判決である。
乙第4号証においても、同第5号証の判決での判断基準を用いて判決がなされたものである。乙第4号証では「商標の類否は、同一又は類似の商品に使用された商標が外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合的に全体的に考察すべきであり、かつ、その商品の取引の実情を明らかにし得る限り、その具体的な取引状況に基づいて判断すべきものである。」と同第5号証の判決での類否判断基準を用いているものであり、当該判決は食品の「すし等の取引」という限定された取引の実情に基づいてなされた判決である。
さらに、商標の類否判断法則を示す審決例(乙第6号証)は、商標の類否判断において、当該事案で相違する「GRAND」の文字がその指定商品「菓子及びパン」の取引において、菓子やパンの品質を表すものとして認められないことから、結果として非類似である旨の審決がなされているものであり、外観構成上一体的に構成されてなる商標の全てについて判断されたものではない。
本件商標及び引用商標にかかる「被服」等の取引の実情において「HOUSE」及び「SPORTS」の語自体は、請求人が主張し、甲4ないし6審決で判断されたとおり自他商品等識別力の弱いものであり、これを含む「miKiHOUSE」と「miKiSPORTS」及び「miKi」と「SPORTS」を二段に表したものはその出所について混同を生ずるものであるというべきである。また前述のように図形がこれに付されていたとしても、「被服」等の取引においては、ワンポイント的に動物の図柄を用いることや、文字のみを使用することは珍しいことではなく(甲第25号証)、その判断に変わりはないというべきである。
オ 被請求人は、甲3判決及び甲4ないし6審決が、和解条項に反しての使用であることに原因すると殊更主張するが、そもそもこの判決においては和解の事実は損害賠償請求にあたっての被告の過失を認定する要素の一つであったものであり、不正競争防止法第1条第1項第1号に該当するか否か、すなわち被告の商標の使用による混同の有無についての判断においては何ら影響を与えるものではない。
甲3判決における不正競争防止法第1条第1項第1号は「本法施行ノ地域内二於テ他人ノ氏名、商号、商標、商品ノ容器包装其ノ他他人ノ商品タルコトヲ示ス表示ト同一若ハ類似ノモノヲ使用シ又ハ之ヲ使用シタル商品ヲ販売、拡布若ハ輸出シテ他人ノ商品ト混同ヲ生ゼシムル行為」とされており、和解の有無にかかわらず、当該不正競争行為に該当するか否かが判断されることは当然のことである。
さらに、そもそも商標法第53条においても和解の有無を考慮するというような要件は存在せず、甲4ないし6審決においても、この和解条項の違反の有無を根拠として混同を認めた記載は全く無い。
カ 被請求人は、本件商標と引用商標の類否判断において、甲第6号証における審決について何ら反論を行っていない。
なるほど、甲第6号証において取消となった登録商標は、甲第4号証及び甲第5号証において取消となった登録商標と違い、まさに本件商標の文字部分と同じく前半部の「miKi」のうち「m」と「i」を小文字にする一方「K」を大文字としつつ、これらの文字を一連同大に表し、また後半部の「SPORTS」を全て大文字として一連同大に表し、これらをあたかも色鉛筆を曲げたようなイメージを主体とする丸みのある書体で一連に統一された外観を有するものである(甲第22号証)。
さらには、甲第6号証の審決においてその使用態様として「miKi」と「SPORTS」を二段に表した商標についての混同についても判断がなされている。
キ 以上から、本件商標は、これがその指定商品である被服等に使用された場合に引用商標と混同を生ずるものであり、引用商標の自他商品等識別機能を害するものであるため、両者は類似するものである。
(4)泉谷義勝の不正競争の目的について
ア 甲3判決においては、前述のように前半部の「miKi」のうち「m」と「i」を小文字にする一方「K」を大文字としつつ、これらの文字を一連同大に表し、また後半部の「SPORTS」を全て大文字として一連同大に表し、これらをあたかも色鉛筆を曲げたようなイメージを主体とする丸みのある書体で一連に統一された外観を有する被告(本件商標にかかる出願人が代表者をつとめる法人)の使用態様が「商標法1条所定の目的に反するものである」と「商標法」の法目的に反することを明確に認め、さらには被告の行為が不正競争行為に該当することを判示しているものである。
本件商標の出願人は、甲第3号証にかかる裁判の係属中に、当該商標法の法目的に反すると判断された使用態様に類似する本件商標を出願している。
さらに、出願人は、当該判決がなされた平成4年9月22日以降の平成5年1月にも、当該使用態様と同一類似の商品(「miKi」と「SPORTS」を上下二段に表示した商品を含む。)を販売し、引用商標にかかる商品を販売する請求人の業務に混同を生じせしめ(甲第4号証ないし同第6号証)、その後の平成6年5月31日に本件商標は登録されたものである。
これらの事実から、出願人は不正競争防止法に基づく差し止めが将来認められた後も自己の商標権の存在を主張し、引用商標に化体した請求人の信用にただ乗りし不正競争行為に該当する商品の販売を行い不正に利益を得ようとすることや、請求人の商品と混同を生じせしめ請求人に損害を加えることを目的として出願したことは明白である。
また、一度仮処分申請にて和解を経験していることから、当該裁判においても和解をした後に本件商標に係る商標権や甲第4号証ないし第6号証にかかる商標権を請求人に高額で売却を行い不正の利益を得ようとしていたことも推認できる。
なお、本件商標と引用商標が類似するものであることは前述のとおりであるが、本件商標を出願し登録を受けることについて出願人に不正競争の目的があったか否かについては、本件商標と、甲3判決において不正競争行為と判断された使用態様が類似するか否かの問題であり、両者は当然に類似する。
以上から、甲3判決及び甲4ないし6審決で認定された事実及び本件商標にかかる出願の時期からも、本件商標に係る登録が不正競争の目的でされたものである。
イ 被請求人は、その代表者の長女の名前等について言及しているが、これらは何ら本件(「出願人である泉谷義勝の不正競争の目的」)とは関係の無い事実である。
そもそも、300万円という高額での商標権の譲渡に際して、出願の経緯等について確認することも無く、その後も出願人から請求人との関係を示唆されたにもかかわらず明確な調査も行わず、現在においては出願人と連絡不能である被請求人が、出願人の本件商標にかかる登録に不正競争の目的がなかったことを立証できるものではない。
ウ また、被請求人の代表者が長女の名前にちなんだ商標の権利取得を望んだ場合に、商標の性質に鑑みれば、通常はすでに登録されている他人の権利を譲受するより、まず「MIKI○○○」の○に全く別の文字をあてた標章等を出願するほうが常識的であり、また、ペガサスのマークが気に入ったとしてもこれが特別に著名なものでも無い以上、全く同一の形状でもなければペガサスの図形についての商標権を取得することも可能であったはずである。被請求人の代表者は、当該本件商標の譲受及び移転にあたり代理人に相談をしているものであるから、なおのこと300万円もの高額でこれを売買するなどは異例のことであり、不自然さが否めない。
(5)「本件審判請求の目的その背景について」への反論
被請求人は本件審判請求の目的が、請求人が単に小売等役務商標の取得を目的とするものであり不当性がうかがえる旨主張するが、この認識は適切ではない。
請求人が甲第3号証にかかる裁判(仮処分申請含む。)を提起したそもそもの原因は、「miKi」の部分が引用商標の当該部分と全く同一といえるほど酷似し、また全体としても類似する商標「miKiSPORTS」が使用された被服等を購入した需要者から、引用商標と混同して購入したとの苦情が多数寄せられていたためである。
また、当該判決が確定した後にその被告が、自己の商標権の存在を理由に再び同様の商品の販売を行っていたため、当時把握していた商標権について甲第4号証ないし第6号証の審判を請求したものである。
その後、いったんそのような商品が大々的に流通する事態が収まり、請求人も静観していたが、近年同様の商品(甲第16号証ないし同第21号証)が市場に流通している情報が寄せられ、これらが販売されている生活協同連合会及び楽天市場では請求人も商品の販売を行っているため(甲第14号証及び同第15号証)、これに対応すべく調査検討を重ねていたところ、被請求人が大々的にこれらを販売している確証を得たため、本件審判の請求を行ったものである。
被請求人は、本件審判請求がなされた後であり、乙第12号証の拒絶理由通知書及びこれに対する意見書を閲覧したのと同日の平成20年2月14日に、商願2008-10239の出願を行っている(甲第23号証)。これは、本件商標の出願人(泉谷義勝)が不正使用により取り消された登録第2479196号(甲第6号証にて取消)及び甲3判決で不正競争行為とされたものと同一の商標であり、指定商品も第25類「洋服」等にかかるものである。
さらに上記甲第16号証ないし同第21号証に使用されている商標についても本件審判請求がなされた後に、商願2008-22770の出願を行っている(甲第24号証)。これは、上記商標の下部に小さく「CLUB」の文字を付したものであり、別途請求人が被請求人の代表者に対して請求している商標法第53条の取消審判にかかる不正使用の態様と同一のものである(取消2008一300287、登録第4224336号)。
これらの出願は、まさに甲第3号証にもある出願人の行為と同様のものであり、これらの商標を使用する行為は、請求人の引用商標に化体した信用を害し、商標法の法目的に反するものである。
以上から、請求人は自己の引用商標の保護及び請求人の商品をご愛顧いただいている需要者の保護を目的として本件審判請求を行ったものである。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第12号証を提出した。
1 はじめに
審判請求書によれば、本件商標は、請求人の周知著名な引用商標と類似し、同一、類似の商品に使用されるものであり、商標法第4条第1項第10号に該当し、その登録は無効とされるべきである旨主張する。しかし、請求人の主張は、不適法であり、かつ、その理由もない。
2 請求人の主張に対する反論
(1)本件審判請求は、不適法であり却下されるべき
ア 本件審判請求は、商標法第4条第1項第10号を根拠としてなされている。しかし、商標法第4条第1項第10号を理由とする無効審判の請求については、商標権の設定登録の日から5年を経過したときは請求することができない(商標法第47条)。本件商標登録は、平成6年5月31日付けで設定登録されており、それより5年を経過した、同11年5月31日をもって登録後5年の除斥期間を経過している。
したがって、本件審判請求については、その理由の有無について検討するまでもなく、除斥期間の経過後になされた不適法な請求であり、却下されるべきものである。
イ 請求人は、「泉谷義勝の不正競争の目的」なる項目で、概括的な主張を行っているが、「不正競争の目的」は、より広い概念である「不正の目的」とは相違する概念であって、より限定的な概念であるところ、いかなる理由をもって「不正競争の目的」でなされたものであるか、具体的に主張していないし、立証もしていない。本件商標は、不正競争の目的で登録されたものではない。
ウ 本件審判請求は、登録後5年の除斥期間を経過しているにもかかわらず、無理な理由を重ねてなされたものである。本件商標は、平成6年5月31日付けで登録され、既に登録後13年以上経過している。商標登録に対する法的安定性の見地よりしても、速やかに却下されるべきものである。
(2)引用商標の周知性の主張に対する反論
ア 請求人は、引用商標の周知性について主張している。しかし、本件審判請求において、引用商標の周知性を示す資料は提出されておらず、実際の使用例、使用の概要についての説明もない。請求人の主張は認められない。
イ 請求人は引用商標の周知性を示すとして 甲第3号証ないし同第6号証を提出する。
これらの資料は、裁判所の判決、特許庁における審決であるが、いずれも、本件商標が登録出願された平成3年6月12日以降になされた判断であって、各々の判決時、審決時を基準とする判断である。本件商標の登録出願前における引用商標の周知性について判断したものではない。
ウ 仮に引用商標の周知、著名性を主張するのであれば、それが日本国内でどの様に使用されたかを詳細に説明し、業界紙、一般紙など新聞、雑誌の記事、広告などの客観的な資料を充分に提出しなければならない。
引用商標が現在の時点で周知であることは公知の事実として、認められるとしても、上記証拠方法をもって、引用商標が、本件商標が登録出願された日以前において周知であったか否については判断されておらず、この点に関する請求人の主張は不知であり、否認せざるをえない。
エ 甲3判決は、平成4年9月22日付けで言い渡されている。民事訴訟における既判力は、ロ頭弁論終結時であって、これが既判力の標準時であり、上記判決は、本件商標が登録出願日以前の引用商標の周知性についての判断ではない。
甲第4号証及び同第5号証の審判は、いずれも平成5年に請求されたものであり、その審決は同9年12月である。本件商標が出願された平成3年6月12日以前の周知性について判断したものではない。
オ 無効審判の審理における周知・著名性の判断について、提示する無効2004-89064の審決(乙第6号証)において、先行する審決と当該審判の審理とは、あくまで別件であって、機械的に周知性を立証しうるものではないと判示し、当該事件自体において提出された各証拠について検討し、著名性を否定している。
本件商標は、甲第4号証及び同第5号証の審判の請求、審決以前に登録出願されたものである。上記各審判は、登録後の不正使用による取消審判であり、その請求時、審決時を基準とする周知商標との出所混同のおそれについて判断したものである。これら審決をもって、本件商標の出願時における引用商標の周知性を立証しうるものではない。
(3)本件商標と引用商標との類似の主張に対する反論
ア はじめに
請求人は、本件商標と引用商標との類似性について主張する。しかし、本件商標は引用商標と類似するものではない。
イ 外観的に一見紛らわしく構成の軌を一にするとの主張に対する反論
請求人は、本件商標、引用商標とも、「あたかも色鉛筆を曲げたようなイメージを主体とする丸みのある書体で統一された外観が得られるように表示したものであって、両者は外観的に一見紛らわしい上、その構成で軌を一にする」と主張する。
請求人は、両者は外観的に一見紛らわしいと主張するようであるが、基本的に、本件商標は文字と大きく表わされたペガサス図形の結合からなるところ、引用商標は文字商標であって、両者はその構成を根本的に相違してなる。
仮に、本件商標の文字部のみを分離して、引用商標との外観について比較したとしても、本件商標は、その位置をずらして二段に構成された欧文字「MiKi/SPORTS」からなるところ、引用商標は一連に表わされた欧文字「mikihouse」なる構成からなるものであって、両者は、二段と一段と、その基本構成を相違してなる上、後半部の構成文字を全て相違してなるものである。本件商標と引用商標とは構成各文字及びその基本的態様において相違し、これらがその外観構成において顕著に区別される非類似商標であることは明白である。
「MiKi」(miki)の文字部分について、請求人の「あたかも色鉛筆を曲げたようなイメージ」なる言い方は不明確であるが、ある程度の丸みをもった文字体の表示は通常のものであるにすぎない。被請求人代表者の報告書に記載されるとおり(乙第3号証添付資料2)、一般的な書体、フォントにすぎない。
また、「MiKi」(miki)を小文字と大文字の混合で表わす表現も、引用商標のみの独特のものではなく、高さをそろえて読みやすくするこの種レタリングにおいて、よくとられる表示法である。
そもそも、本件商標は、その構成の大半を大きく羽根を拡げて、天を飛ぶ馬、ペガサス図形がその下の欧文字「MiKi/SPORTS」の二段の文字を飛び越えるように一体化された構成からなるものであり、引用商標とはその構成を根本的に相違してなるものである。
以上、本件商標と引用商標の外観上の相違は明らかであって、両者は外観的に紛らわしいものではなく、その構成で軌を一にするものでもない。
ウ 要部を共通にするとの主張に対する反論
本件商標と引用商標の外観については、「miKi」の文字部分とそれぞれの「HOUSE」と「SPORTS」の文字部分は、軽重がなく、「miKi」の文字部分のみが看者の注意を引くものではない。そもそも両者は「MiKi/SPORTS」、「mikihouse」で、各々一個の商標として構成されているものであって、その一部のみを抽出されるべきものではなく、その外観上の相違は明らかである。
本件商標と引用商標の称呼について、本件商標からはその構成文字に相応して「ミキスポーツ」の称呼が生ずる。他方、引用商標からは「ミキハウス」の称呼が生じ、両者はその後半部分の音構成において顕著に相違する称呼上非類似の商標であることが明らかである。
本件商標はその構成外観より「ミキスポーツ」と発音されるところ、引用商標はその全体がまとまって一個の商標を構成し「ミキハウス」と発音することは、その外観、構成より明らかであり、一連、一体に構成されてなる引用商標について、これが「MiKi」(miki)のみで分離して認識されるものではない。
引用商標は、その構成文字、市場における使用に照らして、これが全体として「ミキハウス」と5音のみからなる短い音構成で発音される。その全体としての発音も、自然かつリズミカルであって不自然ではない。引用商標は全体としての発音が冗長な音構成からなるというものではなく、これを略称すべき必然性もない。
いかに、現実の取引市場における取引が簡易、迅速を旨とするといっても、音数が短く全体としての発音も自然な引用商標を略称することはありえず、本件商標と引用商標は、音数において相違する称呼上も非類似の商標である。
エ 判決例の引用に対する反論
(ア)請求人は、甲3判決を、本件商標と引用商標の類似性の根拠として引用する。しかし、この判決は、行為全般を検討して出所混同が生じたと判断したものであって、本件商標と引用商標との類似性を直接判断したものではない。
そもそも、この判決においては、一連に表わされた「miKiSPORTS」の使用が請求人の「mikihouse」とを対比して、使用行為の全般に由来する「商品等表示」が、請求人の「商品等表示」と出所混同を生じるとされたものである。「商品等表示」は商標を含むとはいえ、それ以外の表示箇所、商品、表示の態様全般を対象とする判断であって、商標のみを対象とするものではない。
(イ)甲3判決で対象とされた「商品等表示」の一の要素とされる商標自体、本件商標と別の商標である。本件商標におけるような大きく表わされたペガサス図形はなかったし、文字部分のみについても、「MiKi/SPORTS」と二段に構成されたものでもなかった。
(ウ)甲3判決で対象とされた被告の「商品等表示」では、特徴のあるコントラストのある色彩による表示が、混同を生じるとされた理由となっている。しかし、本件商標はコントラストのある色彩からなるものではなく、先の根拠とされた点について、根本的に相違するものである。
本件商標は、色彩有りの商標(乙第1号証)であるが、「MiKi/SPORTS」の文字部分は、黒色であり、コントラストのある表現ではない。
甲3判決で対象とされた商品等表示の要素とされる商標と本件商標とは別の構成からなる商標である。
(エ)甲3判決では、「なお、被告が出願公告決定を受けた商標『MIKISPORTS』そのものが、抽象的には、本件標章に類似しないことは被告主張の通りと認められるけれども、被告商品における商標の使用態様は、・・・」と判断している。
すなわち、裁判所は、商標「MIKISPORTS」そのものが、抽象的には、本件標章に類似しないことを認めつつ、被告の使用態様については、不正競争行為を構成するとしたものであって、上記判決は、商標の抽象的な類似性を判断したものではない。
(オ)甲3判決では、商標の類否のみを対象とする判断ではなく、「商標等前記各要素がそれぞれ有機的に結合しているため、全体として、原告商品と被告商品は非常に紛らわしく、商品の混同を招いているのである」として、商標の表示場所、態様、色彩などの要素の共通が理由とされている。商標自体を抽象的に比較しての判断ではない。
(カ)特に、甲3判決がなされた背景、理由について、当該裁判に先立っての仮処分請求事件において、両者で和解が成立しているにもかかわらず、それに違反しての使用があったことが決定的背景とされており、判決の論理は、当然の結論といえるところである。
本件事案におけるような商標相互を抽象的にみて(商標自体が別の構成からなる点は看過するとしても)、本件商標と引用商標についての類似性の根拠となるものではない。
オ 審決例の引用に対する反論
(ア)請求人は、甲第4号証及び同第5号証の審決を、本件商標と引用商標の類似性の根拠として引用する。しかし、上述した判決例におけると同様、これら審決も、本件商標と引用商標を類似すると判断したものではない。
甲第4号証及び同第5号証の審決は、商標法第53条による不正使用による取消審判についてのものである。登録商標と使用権者の使用商標との間においては、類似する商標の使用であることが要件ではあるが、使用権者の使用商標と他人の業務に係る商品に使用された商標との間での類似性は要件ではない。すなわち、使用権者の当該使用商標と引用された他人の業務に係る商品に使用された周知商標との間での類似性に関する判断は、なされていない。
(イ)上記各審決は、登録商標と類似する商標を使用する行為の全般を検討して、請求人の業務と出所混同が生じると判断したものであって、当該使用商標と引用商標自体の類似性を判断したものではない。
当該使用商標と引用商標自体との間では、出所混同、品質誤認が要件で、それが生じたことを判断したものであって、類似性についての判断がされたものではない。
(ウ)そもそも、甲第4号証及び同第5号証は、甲3判決をふまえ、それを根拠として判断されたものである。その判決は、先になされた仮処分事件における和解条項に違反しての不正な使用がなされたことによるもので、問題とされた具体的な使用行為が問題とされた事案である。抽象的な商標の類否についての判断ではない。登録商標自体の登録要件、登録の適否に関する判断ではない。
(エ)これら審判請求において、当時、請求人が、その基礎とされた登録自体に対する無効審判の請求を選択しないで、事後の不正使用を理由とする甲第4号証及び同第5号証の取消審判の請求を選択したこと自体、自ら当該商標登録に対する無効審判の理由はなかったと判断していたと想定されるところである。
当時は、これら対象となる登録については登録後5年以内で無効審判請求を行い、抜本的な無効を求めうることが可能な時期であった。しかるに、無効審判ではなく、不正使用による事後の取消を求める取消審判によったことは、商標が類似するものではなく、無効理由はなかったと判断したものである。
さらに、請求人は、甲第4号証及び同第5号証の審判請求、審決の時点で、当然に本件商標の存在をも知り、本件商標に対する審判請求を除斥期間内に行なうことも可能であったのである。しかるに、請求人は、これを行なうことなく、除斥期間を経過したものである。登録第2191928号、同第2408565号におけると同様、本件商標に対する無効理由はないと判断していたことがうかがえる。
3 被請求人の主張
(1)本件商標と引用商標の非類似に関する主張
ア 外観上の相違
本件商標と引用商標とは構成各文字、構成文字数の基本において相違し、これらがその外観構成において顕著に区別しうる非類似の商標であることは明白である。両者は、本件商標にのみ大きなペガサス図形を有する点、二段に表わされた「MiKi/SPORTS」と、一段からなる「mikihouse」の相違、後半部の各文字の相違といった顕著な相違、さらには、文字の表現法も相違するものであって、両商標の外観上の相違は、一見して明らかである。
イ 称呼上の相違
(ア)本件商標と引用商標との称呼上の類否について検討すると、本件商標からは、「ペガサス」、「テンマ」、「ペガサスミキスポーツ」のみならず、その構成文字のみから「ミキスポーツ」の称呼をも生じるところ、引用商標からは「ミキハウス」の称呼が生じる。
よって、両商標は、本件商標より「ペガサス」、「テンマ」、「ペガサスミキスポーツ」の称呼が生じる場合は勿論のこと、「ミキスポーツ」の称呼と引用商標「ミキハウス」の称呼について比較した場合においても、その後半部の構成各音が顕著に相違する称呼上非類似の商標である。
(イ)請求人は本件商標、引用商標について、「HOUSE」は商品の販売場所、「SPORTS」はスポーツに適するものとして、自他商品識別力がない要素として、両者は、「MiKi」(miki)のみでも特定され「ミキ」の称呼が共通すると主張するが、本件商標は「MiKi/SPORTS」が二段に構成されてなるとはいえ、図形下部にまとまった態様で共通する書体で一体的に表示してなるものであって、これが全体で一個の商標を構成することはその構成外観上明らかである。
他方、引用商標について「mikihouse」を一連に、同一書体、同一の大きさ、同一文字によって、一体的に表示し、各文字の間隔を配するものではない。これに接する取引者、需要者は、常にその全体で一個の商標と正しく認識、記憶し、その全体を不可分に理解するものである。
引用商標は、常にその全体で一個の商標として特定され、その構成に沿って「ミキハウス」と称呼され、単なる「ミキ」の称呼が生じたり、「ミキ」のみで略称されるものではなく、両者の称呼上の相違は明瞭である。
(ウ)本件商標、引用商標の称呼について、その全体「ミキスポーツ」及び「ミキハウス」の称呼は自然に、かつ、まとまって発音され、これらが「ミキ」のみで略称される可能性はない。
「ミキスポーツ」及び「ミキハウス」の称呼は何ら不自然なものではなく、その全体としての発音も自然かつ滑らかであって、その構成に相応して、常にこれを全体として「ミキスポーツ」、「ミキハウス」と発音するところであり、これがその一部のみをもって略称されるものではない。
いかに、現実の取引市場における取引が簡易、迅速を旨とするといっても、音数が短く全体としての発音も自然な本件商標、引用商標を略称することはありえず、本件商標と引用商標とは、その後半部分の構成音が相違する称呼上非類似の商標であることは明白である。
(エ)本件商標と引用商標の観念上の相違
本件商標の観念について、本件商標と「mikihouse」は同一の意味内容を有するといったものではなく、両者の観念上も非類似の商標である。
(オ)「MiKi」(miki)は、強い自他商品識別力を有する要素ではない点
「MiKi」(miki)の発音は、日本語の「三木」に通じ、一般的な姓であるにすぎない。かつての三木武夫首相の姓でも知られているところである。あるいは、三本の木(の結束)を意味するとして、商号中に「三木」を含める企業名も多い。さらに、「美紀」、「美樹」、「美貴」など女性の名前としても用いられ、中曽根美樹、今井みきなどの歌手名も知られている。
本件指定商品分野において、これらの発音を表わした「MIKI」(miki)は一般的な用語の共通であるにすぎず、強い自他役務識別力を発揮する要素ではない。
よって、本件商標、引用商標とも、その全体で自他商品・役務識別力を発揮する標章であり、両商標を特定するに、ことさらに、識別力のないあるいは少なくとも弱い要素にすぎない「ミキ」の部分のみで略称されるものではない。
本件商標と引用商標が、商標として機能する場においては、「MiKiSPORTS」、「mikihouse」と一連かつ不可分一体にしてなるその構成態様よりして、常にその全体で素直に認識され「ミキスポーツ」、「ミキハウス」の称呼を生じるものであって、両者は、明白に区別しうる非類似商標である。
ウ 観念上の相違
本件商標、引用商標とも、一体的に「MiKiSPORTS」、「mikihouse」と理解され、その意味が共通するものではなく両者が観念上相違することも明白である。
(2)商標の類否判断法則を示す判決
商標の類否判断に関する判断について、いわゆる小僧寿し事件判決(乙第4号証)において最高裁判所は、「外観及び称呼において一部共通する部分があるものの著名な企業グループである小僧寿しチェーン又は(一部略)として、商品の出所を誤認混同するおそれがあるとは認められないというべきである。(一部略)したがって、被上告人標章は本件商標と類似するものとはいえない」と判断され、これが類否判断の基本法則となっている。
乙第5号証の最高裁判所判決でも、外観、観念、称呼の一において類似するものであっても、誤認混同のおそれのない場合は類似するものではないとして、類似の幅をむやみに広げることをいさめている。
本件商標と引用商標とは、一見して明らかなとおり、本件商標にのみ顕著に表わされてなるペガサス図形を有するものであって、両者を総合的に判断した場合に、これらが非類似とされるべきことは当然である。
商標の類似は、外観、称呼、観念を基礎に取引社会の実情に照らし、出所混同を生じるか否かにより判断されるものであって、下記(4)従来の審査例で例示する多くの審査例に示されるとおり、「○○スポーツ」の称呼と「○○ハウス」の称呼を非類似とする判断傾向、判断基準が確立している。
これら判決、審決、審査における判断基準に沿って、本件商標と引用商標も非類似と判断されるべきものである。
(3)商標の類否判断法則を示す審決例の引用
結合商標類否判断において、外観構成上一体的に構成されてなる商標は一体不可分であって分離称呼されるものではないこと、内容に関係するとしても直接的な内容表示の用語ではない場合は、自他商品識別力を有し略称されないとする判断法則が審決においても確立しており、特に、一体に表示されてなる引用商標について、これを非類似とすべき判断法則、考え方が示されている(乙第6号証)。
(4)従来の審査例
ア 本件商標、引用商標に関する第25類(旧第17類)、商品、被服分野(類似群17A01,17B0l)において、「○○SPORTS(スポーツ)」と「○○HOUSE(ハウス)」からなる商標は、類似するものではないとして、別人に、並行して登録が相互に認められている(乙第7号証)。
イ 「MIKI」を含む商標は本件商品「被服」分野(類似群17A01,17B01)において、例えば、「miKiSS」、「MIKI ST JOHN」のように、別人により多数登録されている(乙第8号証)。
ウ 乙第7号証及び同第8号証に示される各商標についても、「MIKI」と結合する要素は姓、アルファベット2文字など自他商品識別力がない要素が付加されているにすぎないものであって、これを共通にしても類似商標ではないとして、相互に登録が認められている。仮に、請求人の類似の主張が認められるのであれば、これらも全て無効ということになってしまう。
4 本件商標について不正競争の目的のないこと
(1)前項までに詳述したとおり、本件商標と引用商標とは、類似するものではない。特に、本件商標は、甲3判決、甲第4号証及び同第5号証の審決で対象とされた使用商標とは、その形態を全く相違する図形と文字の結合商標であって、これら判決、審決例で指摘された特徴的なコントラストのある使用態様ではない通常の黒い文字で構成されたものであり、全く別のものである。
特に、本件商標についてのみ、大きなペガサス図形を有する特徴は、引用商標には全くない要素であり、本件商標の全体構成、「MiKi/SPORTS」の文字よりして、これが不正競争の目的で登録されたものではないことは、その構成よりして、客観的に明らかである。
本件商標は、その採択について不正競争の目的がないことは勿論、適法なものであって、請求人の主張は、不当である。自ら、その経過を看過しながら無効審判請求の理由はないとして、除斥期間経過を免れるべくなされた無理な主張であって、本件商標が不正競争の目的でなされたものではない。
引用商標と同一でないことは勿論、類似するものでもない本件商標の採択は、本質的に何らの問題はない。
前述したとおり、「MiKi」は、我が国に多い姓「三木」、商号中に「三木」を含める企業名、さらに、「美紀」、「美樹」、「美貴」などの女性名の欧文字であって、特定人の自他商品識別標識ではなく、これを含むことをもって、その採択が不正競争の目的でなされたことの根拠となるものではない。
(2)本件商標権者は、代表者が、その長女の名前「美紀」にちなんだ商標を検討していたところ、本件商標の存在を知り、交渉の結果、300万円で購入することに成功し、以来、使用しているものである(乙第3号証)。購入の当時、既に登録後5年の除斥期間を経過していた。適法に商標権を取得した、本件商標権者の当然の利益は保護されるべきであり、除斥期間制度による取引の安全が図られなければならない。
(3)除斥期間適用が排除される「不正競争の目的」とは、第15号の適用除外とされる「不正の目的」よりも狭いものと解されている。ここにおいて、請求人は、甲3判決を指摘するのみで、いかなる行為、事情をもって不正競争の目的というのか指摘していない。それを窺わせる証拠資料も提出していない。
甲第4号証及び同第5号証の審決についても、同様に登録取消の結果を指摘するだけで、いかなる行為、事情をもって不正競争の目的というのか不明である。
本件商標は、甲3判決、甲第4号証及び同第5号証の審判請求以前に登録出願されたものであり、さらに、本件商標は、これら判決、審決で対象とされた不正な使用商標とその構成が同じものでもない。請求人も本件商標中に顕著に表わされたペガサス図形について、これが自らものであると主張しているものでもない。また、本件商標は色彩を有する商標であるが、「MiKi/SPORTS」の文字は黒色で、上記、判決、審決で理由とされたコントラストのある商標というものでもない。
特に、甲3判決では、商標・商品形態・色彩等、当該商品に付された出所表示機能が数個あるときは一個の商品表示となっているとして、商標等前記各要素がそれぞれ有機的に結合したものが原告商品と被告商品と紛らわしく、不正競争行為とされたものである。ここで、被告に不利な判断がされたのは、和解契約に応じておきながらの再度の使用であったことが大きい。裁判上の和解を無視した事後的な使用が、判決の結論をもたらす決定的に不利な事情とされた事案であった。
そして、甲第4号証及び同第5号証の審決も、この判決の存在、コントラストのある色彩での使用が決めてとなって、不正競争行為と認定されたことがうかがえる。
これら事情は、全て、その使用権者が事後的に、総合的にみて不正競争に該当する行為を行ったものであるが、本件商標の登録出願時に、かかる不正の意図でなされた事情については全くうかがうことができない。本件商標の構成は、大きなペガサス図形の下部に、「MiKi」、「SPORTS」と二段に表してなるものであって、上記不正競争行為とされた商標の構成とは著しく相違する。
甲第4号証及び同第5号証の商標登録についてみても、その登録自体が無効とされたものではない。事後的な使用行為が原因で、事後的に取り消されたにすぎず、登録自体に無効理由があったと判断されたものではなく、本件は、これら判決例、審決例とは事案が相違する。
(4)本件商標について、引用商標と「MiKi」(miki)を含む点で共通するといっても、これは、ありふれた姓、名前の共通であるにすぎない。
乙第8号証に示すとおり、「MIKI」を含む商標が多数被服の分野で登録されている。これらが全て不正競争の目的でなされたものではないことは当然である。
(5)「MiKi」(miki)の書体について
「MiKi」(miki)の書体が丸みを帯びた書体であらわされている点についても、例えば、被服分野における多数の商標の構成(乙第9号証)、市場における商標表示例「minti」(乙第10号証)、街頭における店舗看板「mini mini」(乙第11号証)などの例にみられるとおり、ありふれたフォント、書体であるにすぎない。
引用商標と同様の丸まった書体がパソコンに含まれる一般的なフォントで表示されうる点については、乙第3号証添付資料2における被請求人代表者の報告書に詳しい。
(6)大文字、小文字の配合
また、大文字、小文字を含む「MiKi」(miki)の表現についても、小文字を表わすのに本来の高さでは空白が多くなり、各文字の高さをそろえるためになされる表示法の一例にすぎない。
乙第8号証中の商標登録第3354885号「miKiSS」では、本件商標、引用商標と同じに大文字、小文字と変化して「MiKi」(miki)部分と同じに表示されている。同じく、乙第8号証中の商標登録第4865457号「MIKI LOCOS」では「m」を小文字、中間の「K」を大文字として高さをそろえている点で、同様の表現である。
さらに、乙第9号証中の商標登録第3283486号「iDLKiDS」においても、「i」を小文字、「K」を大文字で表現して、その高さを揃えている。かかる表現は、変化を要するデザイン、レタリングデザインでは当然のものであって、引用商標にのみ特別のものではない。この点の共通をもって、本件商標の登録出願時における不正競争の目的があったとされるものではない。
以上のとおり、「m」や「i」は小文字で、「k」の小文字は恰好が悪く上に空間がありすぎるので、大文字で「K」と表わす表現もよくみられるところであり、丸い太字からなる引用商標の文字の態様、フォントもありふれたものであるにすぎない。そもそも、本件商標と引用商標の「MiKi」(miki)の外観、構成、表現法自体相違するものである。刺繍したような態様からなる本件商標と鮮明な文字からなる引用商標の文字自体、相違するものである。
以上により、本件商標の登録出願は不正競争の目的でなされたものではないことが、本件商標の構成よりして客観的に明らかである。
5 請求人の判決、審決の引用について
(1)基本的に事案が相違すること
請求人は、甲3判決、甲第4号証及び同第5号証の2件の審決を引用し、本件商標について、無効理由があること、これが不正競争の目的でなされたものであることが立証されていると主張する。
しかし、本件で問題とされる本件商標の登録出願時における引用商標の周知性不正競争の目的の有無は、基本的に当該出願時の問題であるが、甲3判決、甲第4号証及び同第5号証の審決とも、その出願後になされたものである。判決の既判力の標準時は口頭弁論終結時、審決の判断時の基準は審理終結時であってこれらは、根本的に判断時を相違する別の事案である。
さらに、甲3判決、甲第4号証及び同第5号証の2件の審決は、当該案件における被告、被請求人が市場において行った実際の使用行為、使用態様が問題とされた事案であって、当該登録商標自体の登録処分の有効、無効を問題とする事案ではない。
本件無効審判とこれら先例は根本的に事案を相違してなる別のものである。
(2)判決との相違
甲3判決は不正競争防止法の適用に関する判断であるが、ここで問題とされるのは、商標のみならず、商標の表示場所、態様、色彩などの要素などの全体からなる商品等表示についての類似性であり、商標の類似性のみについての判断ではない。商標はその一要素であるにすぎない。
ここで判断されたのは客観的な出所混同の有無であって、出所混同の判断においては、主観的な意図は問題とされない。客観的に、商品等表示(商標のみではない)が類似し、出所混同を生じるとされて不正競争行為とされたのであって、使用者の主観的な意図、不正競争の目的の存在は要件ではない。
以上により、上記判決は、本件商標と引用商標との類似、不正競争の目的があったことについて、判断したものではない。
(3)審決例との相違
甲第4号証及び同第5号証の審決は登録後の不正使用に関する判断である。ここで問題とされるのは、登録商標、それと類似する商標の使用が、出所混同,品質誤認を生じたか否かであって、類似するか否かではない。使用商標と引用商標の類似性に関する判断はされていない。
使用権者の使用が客観的に出所混同、品質誤認を生じたか否かが問題とされるのであって、不正競争の目的の有無は問題ではない、要件ではないと解釈されている。客観的に混同、誤認が生じればよく、使用者の主観的な意図は問題とはされない。上記各審決は、商標の類似性不正競争の目的の有無について判断したものではない。
6 本件審判請求の目的その背景について
登録後、13年以上を経過して、何故に本件無効審判請求がなされたかを検討すると、昨年4月よりいわゆる小売等役務商標の登録出願が認められ、請求人が商願2007-31589「miKiSPORTS」第35類の登録出願を行い、この審査において商品分野における先登録商標3件が引用されており(乙第12号証)、これが理由と推測される。請求人は、この引用各商標について、拒絶理由通知書が送付された後に、別件商標登録4722991号に対しては不使用取消審判を請求し、本件商標に対しては本件無効審判を請求している。
すなわち、請求人の本件審判請求の目的は、引用商標の保護、その商標と本件商標との混同防止にあるのではなく、引用商標とは別の小売等役務商標の登録取得が目的であったことが合理的に推測される。この点からも請求人の主張の不当性がうかがえる。
7 むすび
以上、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当するものではないから同法第46条第1項第1号により、その登録を無効とされるべきものではなく、本件審判請求は、商標法第47条の規定により却下されるべきものであり、また本件審判請求は理由がない。

第4 当審の判断
1 商標法第47条該当について
(1)商標法第47条は、商標登録が同法第4条第1項第10号に違反してされたとの理由によって、同法第46条第1項に基づき当該商標登録の無効の審判を請求する場合においては、不正競争の目的で商標登録を受けた場合を除き、当該商標権の設定の登録の日から5年を経過した後は、請求することができない旨規定しており、その趣旨は、同法第4条第1項第10号に違反する商標登録は無効とされるべきものであるが,商標登録の無効の審判が請求されることなく除斥期間が経過したときは,商標登録がされたことにより生じた既存の継続的な状態を保護するために,商標登録の有効性を争い得ないものとしたことにあると解される。
そして、該「不正競争の目的で」とは、他人の信用を利用して不当な利益を得る目的でとの意と解される(特許庁編「工業所有権法逐条解説」商標法第26条の項参照)ところ、本件無効審判に係る商標権は、当審における職権による調査によれば、平成12年6月12日に本権の移転の登録がなされたことが認められるから、これを本件に即していえば、本件商標の出願人であり、登録時の商標権者である泉谷義勝が、請求人がそれまでに築いてきた引用商標の信用を利用して不当な利益を得る目的があったかどうかが問題になるものと解される。
(2)本件商標は、前記第1のとおり、平成6年5月31日に設定登録されたものである。そして、本件の審判請求は、審判請求書に照らせば、本件商標の設定登録後5年を経過した後の平成20年2月12日の請求であること、また、「請求の理由」の記載からみて、商標法第4条第1項第10号に違反した登録であることを理由としていることが明らかである。
(3)そこで、本案の審理に入るに先立ち、本件商標が不正競争の目的で商標登録を受けたものであるか否かについて、検討する。
ア 引用商標の周知性について
甲3判決において、以下のような判示がされている。
該判決の157頁で、「原告商品が、周知著名となっている本件標章(審決注:別掲(2)に示した引用商標と同様の構成態様のものである。)を中核に、各構成部分を有機的に結合した、基本的商品表示及び商品表示AないしDを備えることにより、全体として商品表示性及び周知性を取得したと認められ・・」と判示されており、また、同155頁で、「原告の基本的商品表示を基本とする原告の商品表示AないしDは、いずれも原告の商品表示として遅くとも昭和61年には国内の需要者間に周知となった・・」と判示されているから、遅くとも上記の本件標章が昭和61年以前には既に周知著名となっていたと認定されている。そして、口頭弁論終結に至る間にその周知性が失われたことをうかがわせる旨の認定はなく、その周知性は継続していたとみるのが相当である。
なお、甲4ないし6審決においても、「請求人は、『miKiHOUSE』商標について、昭和61年までには宣伝広告を行うとともに・・・・請求人の出所に係る商品を表示する商標として、『miKiHOUSE』商標は・・・需要者間に広く認識されていたもの(いわゆる、周知商標)であることが推認し得るところである。」との認定が示されている。
これらよりすれば、本件商標の出願時には、引用商標が被服等の需要者の間で広く認識されるに至っていたということができる。そして、その後も引用商標の周知性は継続していると推認し得るものである(甲第7号証ないし同第15号証)。
イ 本件商標と引用商標
(ア)本件商標
本件商標は、別掲(1)のとおり、天馬(ペガサス)の図の下に、外縁を細い線で描いて丸みを帯びた書体で「miKi」の欧文字を表し、同じ表示態様で描かれた「SPORTS」の欧文字を上段の「Ki」の文字の下に「SP」の文字がくるようにずらして配した構成からなるものであり、その構成中の図形部分と文字部分とは常に不可分一体のものとして観察しなければならない特段の理由を見いだすことができず、それぞれが独立して自他商品の識別標識としての機能を果たし得るというべきものである。しかし、かかる構成にあって「miKi」の文字部分に限定しての称呼や観念が生じるとすべき特段の理由はなく、当該欧文字部分は特定の観念を生じさせない一体的な造語として看取されるとするのが相当であり、当該欧文字部分からは「ミキスポーツ」の称呼を生ずるものである。
(イ)引用商標
引用商標は、別掲(2)に示すとおり、「miKiHOUSE」の欧文字からなるところ、各文字を丸みを帯びた書体をもって同じ間隔で視覚上まとまりよく一体的に表してなるものである。そして、請求人の提出に係る証拠を徴しても引用商標において、「HOUSE」の文字部分を取捨して「miKi」部分のみが殊更に印象され、当該部分に限定した称呼や観念をもって取引に資されたことを裏付ける証左は見いだせない。
そうすると、引用商標は、その構成全体をもって不可分一体の固有の商標といわなければならないから、その構成文字に相応して「ミキハウス」の一連の称呼を生ずるものであり、特定の観念を生じさせることのない造語からなるものとして看取されるものである。
(ウ)両商標の類否
本件商標と引用商標とは、前記(ア)及び(イ)のとおり、「miKi」の部分に限定してみれば、丸みを帯びた表示態様において近似した点があり、「miKiSPORTS」と「miKiHOUSE」とを対比すれば、「miKi」の部分が小文字と大文字の組み合わせで、「SPORTS」と「HOUSE」が全て大文字で表されているといえるけれども、しかし、これらの点をもって両者が直ちに構成の軌を一にするということはできない。
本件商標と引用商標とは、その外観構成において、図形の有無の差異を有するばかりか、本件商標の欧文字部分と引用商標との対比においても、欧文字部分の構成文字及び二段と一段の表示態様の差異等で著しい相違点を有するものであるから、全体としてみれば、これらより受ける印象は全く別異のものであって、外観上相紛れるおそれはないというべきである。
また、本件商標の称呼「ミキスポーツ」と引用商標の称呼「ミキハウス」とを対比しても、前半の「ミキ」の音を共通にするとはいえ、後半の「スポーツ」と「ハウス」の各音において明らかに相違するものであるから、これらをそれぞれ一連に称呼するときは、全体としての音感が全く相違し相紛らわしいものではない。
さらに、本件商標と引用商標とは、その構成文字がいずれも特定の観念を生じさせない造語とみられるから、観念については比較することができず、また、本件商標の図形部分との比較も同様にできない。
してみると、本件商標と引用商標とは、その外観、観念及び称呼から受ける印象・記憶・連想等を総合してみた場合、たとえ、これらを同一又は類似の商品に使用しても、需要者が両商標を表示した商品をして、その出所を同じにするものであるかの如く誤認するとは認められないから、本件商標と引用商標とが類似する商標であると判断することはできない。
不正競争の目的で登録されたか否かについて
甲3判決に徴すれば、本件商標の出願人は、本件商標の出願よりも前の時期に、同人及びその使用許諾者の商品表示と引用商標との関係において和解や訴訟に関わっていると認められるから、本件商標の登録出願時に、同人は、引用商標の存在を知っていたと優に推認することができる。
しかし、本件商標の出願人が引用商標の存在を知っていたとして、本件商標と引用商標とを比較すると、前記(ウ)のとおり、両者は類似する商標とはいえず、別異の出所を示す商標として看取されるというのが相当であるうえ、請求人の提出に係る全証拠をもってしても、本件商標の出願人が引用商標の周知性に依拠し不当な利益を得る目的をもって、本件商標を出願し商標登録を受けたと判断するに足りる的確な証拠は見いだせない。
したがって、本件商標は、不正競争の目的で商標登録を受けたものとすることはできない。
2 請求人の主張について
請求人は、甲3判決や甲4ないし6審決を引用して、不正競争の目的で商標登録を受けたことが明白であると主張し、また、本件商標と引用商標とは外観構成の軌を一にするものである旨主張する。
しかしながら、甲3判決においては、本件商標の出願人に関係する商品表示が請求人に係る商品表示との間で、その配色やコントラストを含めて同様の配色デザインで表示しているため、非常に紛らわしく、商品の混同を招いているとされたものであり、以下のとおり、かかる事案の判決の内容をもって、本件商標の出願が不正競争の目的でなされたことが明らかであるとまでいうことはできない。
甲3判決においては、その160頁から161頁で、「『MIKISPORTS』の文字について、・・・これらを一連に統一された外観が得られるように表示したものであって、両者は外観的に一見紛らわしい・・」としているが、それに続く同頁の末尾前2行から、「『MIKISPORTS』そのものが、抽象的には、本件標章(審決注:別掲(2)に示した引用商標と同様の構成態様のものである。)に類似しないことは被告主張のとおりと認められるけれども、被告商品における・・その使用態様が商標法1条の目的に反するものである・・」と判示されている。
すなわち、甲3判決においては、横一連に表された商標「MIKISPORTS」との関わりにおいて、その使用態様が商標法の目的に反するとされたものであるのに対して、本件商標は、上記判決の本件標章とは更に構成態様が異なるものである。
なお、本件商標の使用態様については、請求人は甲第16号証ないし同第21号証を挙げて、被請求人が大々的に「miKiSPORTS」が使用された被服等を販売しているため本件審判の請求を行ったと主張しているので、上記甲各号証について、以下検討する。
甲第16号証は、「CIVIL SPORTS CO.,LTD.」の欧文字が記載されたウェブページの写しと認められるところ、該欧文字は、被請求人の商号を欧文字で表したものといい得るものであり、「miki sports」、「mikisports」、「miKiSPORTS」の各文字が記載されている。そして、その写しの右下に「2008/02/01」及び「2008/02/13」と記載されていることから、その出力時期は、本件商標の登録時以降の2008年2月1日及び同13日と解されるものである。
甲第17号証及び同第18号証は、生活協同組合連合会コープきんき事業連合及び生活協同組合連合会コープ北陸事業連合の「CO-OP くらしのパートナー」と題するのチラシの写しと認められるところ、「ミキスポーツ」、「miKiSPORTS」の各文字が記載されている。そして、これらのチラシは、2004年5月、2008年2月に配布されたものと認められる。
甲第19号証ないし同第21号証は、前記甲第16号証及び同第17号証に掲載された被請求人の取扱いに係る商品「ズボン、セーター、スポーツシャツ」(以下「使用商品」という。)及びその包装状態等を写した写真と認められるところ、これらには「mikisports」、「miKiSPORTS」の各文字が記載されているが、これらの撮影時期は不明である。
以上の認定事実によれば、被請求人が使用商品に「mikisports」、「miKiSPORTS」等の文字を使用していることが認められるとしても、その使用した時期については、少なくとも本件商標に係る商標権の移転の登録の日(平成12年(2000年)6月12日)後の平成16年(2004年)5月から平成20年(2008年)2月の間と認められるものである。
そうすると、被請求人の移転登録後の上記使用をもって、本件商標が不正競争の目的で登録を受けたということはできないこと明らかであり、ほかに甲3判決をもって、本件商標の登録についても不正競争の目的が明らかであるとすることもできない。
また、商品表示についての上記の判示をもって、直ちに、本件商標と引用商標とが「外観構成の軌を一にする」ことの拠り所ともし難いものである。
さらに、甲4ないし6審決は、本件商標とは構成態様を異にする登録商標の登録後の使用行為を前提とした事案であり、かつ、本件商標の登録出願後に係るものであるから、本件商標における「不正競争の目的」の有無について直接的なものとはいえない。また、これらの審決中に「SPORTS」、「HOUSE」に係る認定はあるが、当該認定をもって、本件商標と引用商標が非類似の商標とする上記判断を左右するものともいえない。
よって、請求人の主張は、いずれも採用することができない。
3 まとめ
以上のとおり、本件商標は、不正競争の目的で商標登録を受けたと認めることができないものであるから、本件商標が商標法第4条第1項第10号に該当するとの理由に基づく本件審判の請求は、同法第47条において規定する同法第4条第1項第10号に関する括弧書きの規定を適用することができず、同法第47条において規定する期間(設定の登録の日から5年)を経過した後のものである。
したがって、本件審判の請求は、不適法なものであって、その補正をすることができないものであるから、商標法第56条第1項において準用する特許法第135条の規定により、却下すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
(1)本件商標

(色彩については、原本を参照されたい。)

(2)引用商標


審理終結日 2008-11-18 
結審通知日 2008-11-21 
審決日 2008-12-03 
出願番号 商願平3-61667 
審決分類 T 1 11・ 01- X (Y05091016172021222425)
最終処分 審決却下  
前審関与審査官 佐藤 正雄 
特許庁審判長 中村 謙三
特許庁審判官 末武 久佳
田村 正明
登録日 1994-05-31 
登録番号 商標登録第2659218号(T2659218) 
商標の称呼 ミキスポーツ、ミキ 
代理人 安田 敏雄 
代理人 高橋 康夫 

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