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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 104
管理番号 1200534 
審判番号 取消2008-300453 
総通号数 116 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2009-08-28 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2008-04-11 
確定日 2009-07-10 
事件の表示 上記当事者間の登録第2244655号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第2244655号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、昭和63年1月11日に登録出願され、第4類「せつけん類(薬剤に属するものを除く)歯みがき、化粧品(薬剤に属するものを除く)香料類」を指定商品として、平成2年7月30日に設定登録されたものである。
そして、当該商標権は存続期間の更新登録が1回されて、現に存続中であり、また、本件審判請求の予告登録は、平成20年4月30日にされている。

第2 請求人の主張
請求人は、商標法第50条第1項の規定により本件商標の指定商品中「せっけん類(薬剤に属するものを除く)、化粧品(薬剤に属するものを除く)」について登録を取り消す。審判費用は被請求人の負担とする。との審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第13号証(枝番を含む。)を提出している。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品中の「せっけん類(薬剤に属するものを除く)、化粧品(薬剤に属するものを除く)」について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者及び通常使用権者のいずれも使用した事実がないので、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。

2 弁駁の理由
乙第1号証ないし乙第6号証によっては、商標権者(被請求人)の本件商標についての使用行為があったこと、また、乙第7号証ないし乙第10号証によっても具体的事実が何等証明されていないから、商標権者(被請求人)が本件商標を「化粧品」について使用していたとの主張は認められない。
(1)被請求人は、乙第1号証ないし乙第6号証として「化粧品製造販売届書」を提出し、これにより被請求人は化粧品の製造販売をする「意思」のあること、及び化粧品の製造販売が「許可」されたことをもって、化粧品が製造販売されたと主張しているが、それは製造販売が予定されていたことを証明するものであって、製造販売が実施されていたことを証明するものではない。
商標法第50条第1項における「登録商標の使用」とは、登録商標を指定商品について現実に使用していることを意味し、このことは商標法第2条第3項第2号の使用の定義からも明確であって、請求人としてはこれを認められない。

(2)被請求人は乙第7号証ないし乙第10号証として、「化粧品の包装箱」を提出し、この包装箱には本件商標「MARNA」が付されており、化粧品は販売元である「Y.P.TRADING INC.」を通じて香港向けに「Y.P.Trading(HK)Co.」に輸出していると主張しているが、この主張は認められない。
ア 本件商標の指定商品である「化粧品」は、薬事法の適用を受けるものであって、同法第61条(甲第3号証)には、化粧品は、その直接の容器又は直接の被包には第1号ないし第7号に規定する事項を記載しなければならないと規定されている。
しかし、被請求人の提出に係る「化粧品の包装箱」には発売元、製造販売元、成分についての表示はあるものの、同条第3号に規定する「化粧品」の「製造番号又は製造記号」については何等記載がなく、「化粧品」の取引形態からみて、化粧品がその包装箱に収納されて現実に販売されているものと認められない。

イ 乙第7号証ないし乙第10号証に示す各化粧品の包装箱はいずれも押し潰された状態の包装箱で、その蓋は閉じられており、この状態の包装箱の中に「化粧品」そのものが現実に収納されて取引されていたかは不明である。
また、乙第7号証、乙第8証の化粧品の包装箱はコピーを、乙第9号証、乙第10号証の包装箱は実物を提出しているが、何故そのように区別しなければならないのかが不明である。

ウ 一般的な商取引にあって、包装箱をメーカーに発注する際、注文書、納品書、請求書、受領書等の取引書類等が要求されるものであり、更には、取引先の住所・名称、取引年月日、取引数量、取引金額等を示す取引書類、或いは商品のカタログ、パンフレット等の広告書類等が通常存在するものであるが、被請求人は本件商標を付した「化粧品」の具体的な取引事実を示す証拠を全く提出していない。

エ 商標権者(被請求人)の本件商標を付した「化粧品」は、2005年頃より販売元である「Y.P.TRADING INC.」を通じて香港向けに「Y.P.Trading(HK) Co.」に輸出していると述べているが、その具体的取引事実を示す書類は提出されていない。

オ 乙第7号証ないし乙第10号証の包装箱側面の成分記載は「日本語」で表示されており、この点で香港向けに輸出していると述べていることは不自然である。

カ 被請求人は、本件商標を付した「化粧品」を2005年頃より、香港向けに輸出していると述べているが、「頃」との記載は極めて曖昧であって、現実に香港向けに輸出されているならば、何時から輸出を開始したのか、現在も輸出を継続しているのか、また、本件商標を付した「化粧品」が具体的にどのような手段により香港向けに輸出されていたのか、被請求人はそのような具体的事実を示す証拠を何等提出していない。

3 平成21年4月8日付け弁駁書
(1)商標の「使用」行為について
ア 平成18年度の意匠法等の一部改正により、商標法の第2条第3項第2号の標章の「使用」行為の定義の中に、「輸出」が含まれるように改正され、施行されたのは平成19年(2007年)1月1日からであり、かつ、本件審判事件の予告登録は平成20年(2008年)4月30日になされたものであるから、本件審判事件において「輸出」行為が商標の「使用」行為と認められる範囲は、平成19年(2007年)1月1日から平成20年(2008年)4月30日間の「輸出」行為にのみ、商標の「使用」行為と認められるのである。
なお、被請求人は本件審判請求の予告登録日を「平成20年4月25日」と主張しているが、正しくは「平成20年(2008年)4月30日」である(甲第4号証)。

イ 被請求人は「香港」の「Y.P.Ttrading(HK)Co.」への輸出行為(乙第12号の1ないし乙第12号証の19)を以って、商標の「使用」行為と主張しているので、その点について反論する。
上記したように、本件審判事件において「輸出」行為が商標の「使用」行為と認められる範囲は、平成19年(2007年)1月1日から平成20年(2008年)4月30日間の「輸出」行為にのみであるところ、「Bill of Lading・・「以下「船荷証券」という」の証明年月日からすれば、乙第12号証の11から乙第12号証の16の船荷証券のみが商標の「使用」行為と認められ、それ以外の船荷証券は本件審判事件において何等証拠能力はない。
ところで、商標法は業として商品を生産し、証明し、又は譲渡する者が商品について使用する商標を保護目的とするものであって(商標法第2条第1項第1号)、業として「使用」しない商標まで保護目的とするものではない。
しかるところ、本件商標について上記期間(平成19年1月1日?平成20年4月30日)間の輸出総額はわずか約1,865万円であって、本件商標が業として「使用」されているとは認められず、従って、被請求人が本件商標を「せっけん類(薬剤に属するものを除く)」、「化粧品(薬剤に属するものを除く)」について使用していないことは明確である。
なお、被請求人は「香港」の「Y.P.Trading(HK)Co住所3/F.Kaninwah commercial building No.423-425.Henessy road.Cause way bay HongKong」に「Marna」なる商標を付して「化粧品」「せっけん類」を輸出している、と主張しているので、請求人は香港と取引関係にある現地事務所「Deacons」に種々調査・コメントを求めた。
その回答書によると、「Y.P.Trading Limited」なる会社は発見されたが、「Y.P.Trading」なる会社は発見されなかったとのことである(甲第5号証)。

(2)商品「せっけん類」について
ア 被請求人は被請求人である「株式会社マーナーコスメチックス」が、商標「MARNA」を付した商品「化粧品」を合計19回香港に向けて日本から輸出を行ったと主張し、乙第11号証の輸出一覧表を提出している。すなわち、乙第11号証に示す商品は全て「化粧品」であって、「せっけん類」でないことを認めており、かつ、その「化粧品」の輸出実績を証明するため、上記乙第12号証の1ないし乙第12号証の19を提出しているのであって、被請求人が本件商標を「せっけん類」に使用していないことは明確である。

イ 被請求人は乙第12号証の1に示すクレンジングの商品名「Marna White Moisture Washing Cream」を以って「せっけん類」と、乙第12号証の3に示すクレンジングの商品名「Marna White Moisture Cleansing」を以って「せっけん類」と、乙第12号証の8に示すクレンジングの商品名「Marna White Moisture Cleansing」「Marna White Moisture Washing Cream」を以って「せっけん類」と、乙第12号証の9に示すクレンジングの商品名「Marna White Moisture Cleansing」を以って「せっけん類」と、乙第12号証の14に示すクレンジングの商品名「Marna White Moisture Washig Cream」を以って「せっけん類」とそれぞれ主張している。
しかし、被請求人は先の乙第12号証の8において、「Marna White Moisture Washing Cream」は「せっけん類」に属する、と主張しているにも拘わらず、答弁書第12ページ1?3行目において、この「Marna White Moisture Washing Cream」は「化粧品」に属する、と主張しているのである。
すなわち、被請求人の主張は同一商品について、「せっけん類」と主張したり、「化粧品」と主張したり、極めて矛盾するものである。

ウ 特許庁商標課編の類似商品・役務審査基準(国際分類第9版対応)によれば「せっけん類」は第3類の類似群「04A01」に属し、「化粧品」は第3類の類似群「04C01」に属し、両者は類似群を異にする非類似商品であることは審査基準上明確である(甲6号証)。
(ア)化粧品は薬事法の適用を受けるものであって、薬事法第2条第3項には次のように定義されている(甲第7号証)。

この法律で「化粧品」とは、人の身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌を変え、又は皮膚若しくは毛髪を健やかに保つために、身体を摩擦、散布その他これらに類似する方法で使用されることが目的とされているもので、人体に対する作用が緩和なものをいう、と定義されている。

また、被請求人は上記(2)イにおいて「クレンジング」の商品名として、種々の商品があると主張しているが、これら商品は全て、所謂「クレンジングクリーム」の商品例であって、「クレンジングクリーム」の「クリーム」とは、「皮膚を保護し、潤いを与える凝乳状の基礎化粧品」と定義されており(甲第8号証)、また、この「クリーム」は「ミネラルオイル(鉱物油)、ワセリン、オリーブ油などの油分と水、それに混ぜ合わせる乳化剤、保湿剤、防腐剤、香料を基本的成分とし、クレーム、スキンワードとも呼ばれ、多く化粧水か乳液の後など、肌の手入れの最後に使用するもの」であり、通常「クレンジングクリーム」とはメイクを落とした後に、マッサージクリームとして使用され、肌に潤いを与える「化粧品」である。
それに対し、「せっけん」とは「高級脂肪酸の塩の総称」であり、工業的には動植物の油脂からつくられるものであり、その製品には炭酸塩や香料などを加える場合もある。界面活性剤であるため、油などの汚れを洗浄できる。また、細胞の細胞膜やウイルスのエンベロープを破壊するため、一部の病原体から身を守るのに有効である、と定義・効能を示している(甲第9号証)。
すなわち、「せっけん類」と「化粧品」、特に被請求人の主張する「クレンジングクリーム」とはその成分、製造方法及び用法を異にするものであり、「クレンジングクリーム」が「化粧品」に属することは明確である。

(イ)被請求人の主張する上記(2)(イ)の標章中、「Moisture」、すなわち、「モイスチャー」とは水分、湿気、特に化粧品で、皮膚に潤いを与えるために配合する成分(甲10号証)、又は、水分、水蒸気、湿気(甲第11号証)を意味しており、また、「Cleansing」、「クレンジング」とは汚れを落とすこと、転じて化粧を落とすこと(甲第12号証)を意味するものである。

(ウ)弊所の調査によっても、例えば「クレンジングクリーム」は第3類 類似群「04C01」の「化粧品」に分類されており、「せっけん類」の類似群「04A01」とは異なるものである(甲第13号証)。

(エ)被請求人が仮にクレンジングの商品名「Marna White Moisture Cleansing」及び「Marna White Moisture Washing Cream」が「せっけん類」に属する、と主張するならば、それら商品の成分、製造方法及び用法等を明確にして頂きたい。

(3)被請求人は、乙第13号証の1を提出して「株式会社マーナーコスメチックス」と輸出先香港代理人「YP GROUP LTD」との合意書であると主張しているが、この「YP GROUP LTD」と上記輸出先の香港代理人である「Y.P.Trading(HK)Co」との関係が不明である。
また、この契約書は2006年11月11日締結されたものであるが、この契約締結日は「輸出行為」が商標の使用とは認められていない時のものであって、何等証拠能力はない。
乙第13号証の2、3は「株式会社マーナーコスメチックス」と「Y.P.Trding(HK)Co」間の2009年2月5日付け証明書である。しかし、この2009年2月5日付け証明書の作成年月日は本件審判請求予告後の証明書であるから何等証拠能力はない。
被請求人は乙第13号証の4の「組成表」を以って、商品名「マーナー パーフェクト クリア ジェル」と販売名「マーナー パーフェクト ピーリング」の組成が完全に一致する、主張しているが、商品名と販売名との関係が不明である。
乙第14号証の1は「化粧品」の商品名「Marna White Moisture Lotion」の「化粧容器及び化粧箱の写真」、乙第14号証の2は「乳液」(「クリーム」は誤記と認める。以下同じ。)の商品名「Marna Intensive Repair Milk」(「Cream」の文字部分は誤記と認める。以下同じ。)の写真、乙第14号証の3は「コンシーラ」の商品名「Marna White Concealer stick OC」の「包装容器及び化粧箱の写真」、乙第14号証の4は「クリーム」(「乳液」は誤記と認める。以下同じ。)の商品名「Marna Intensive Repair Cream」(「Milk」の文字部分は誤記と認める。以下同じ。)の「化粧箱の写真」である、とそれぞれ主張しているが、これら写真が何時、何処で、誰が撮影したのか不明であって、これら証拠についてその成立は認められない。
乙第15号証は「株式会社マーナーコスメチックス」の商品について英語及び中国語で記載されている「能書」であるが、この能書を何時、何処で、誰が印刷したのか不明であって、この証拠の成立は認められない。
乙第16号証は商品名「Marna Moisture Eye Cream」及び「Marna White Moisture Washing Cream」等の「商品の保管写真」であると主張しているが、この写真を見ている限り単に段ボール箱が山積みされているのみで、その中身まで判断の仕様がない。そもそもこの写真を何時、何処で、誰が撮影したのか不明で証拠の成立は認められない。
乙第17号証は「MARNA」ブランドが付されたMARNA WHITEシリーズの「商品の陳列写真」であると主張しているが、この写真自体極めて不鮮明であって、「MARNA」なるブランドが付されていること自体確認できない。
また、そもそもこの写真が何時、何処で、誰が撮影したのか不明であって、証拠の成立自体認められない。

(4)被請求人は乙第18号証の1、2を提出して、この「2006年 粧界ハンドブック 化粧品産業年鑑」及び「2008年版 粧界ハンドブック 化粧品産業年鑑」にはそれぞれ「マーナー」なる記載があると主張しているが、この「マーナー」なる記載を以って、商品「せっけん類」「化粧品」に「マーナー」なる商標が使用されたとの事実は認められない。
ましてや、被請求人はこの年鑑の会社沿革及び概要には「せっけん類」「化粧品」が主要商品であるかのごとく主張しているが、「せっけん類」が主要商品である、との記載は見当たらない。
乙第19号証は被請求人の登記簿謄本の履歴事項全部証明書であるが、この証明書によれば「医薬品・医薬部外品・化粧品の製造販売並びに輸出入」の記載があるが、この記載を以って一義的に「Marna」なる商標を「せっけん類」「化粧品」に付して製造販売したとの事実は認められない。
乙第20号証の1、2は「化粧品業界紙」であるが、この業界紙によっても「Marna」なる商標を「せっけん類」「化粧品」に付して使用したとの事実は認められない。

(5)結び
以上のような理由から明らかなように、被請求人が業として本件商標を商品「せっけん類」「化粧品」について使用しているとは認められず、かつ被請求人の主張はいずれも証拠能力を欠くものであるから、本件商標を「化粧品」「せっけん類」に使用したとの主張は失当である。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由及び弁駁に対する答弁を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第20号証(枝番を含む。ただし、以下「枝番を含む」の記載がない場合には、全ての枝番号を含むものとする。)を提出した。
1 答弁の理由
本件審判請求の登録前3年以内に日本国において、商標権者(被請求人)が、本件商標を「化粧品」について使用していた事実が存在することは明らかである。したがって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の指定商品中の「せっけん類(薬剤に属するものを除く)、化粧品(薬剤に属するものを除く)」について、その登録を取り消すべきではない。
(1)化粧品製造販売届書(乙第1号証ないし乙第6号証)について
乙第1号証は、平成17年6月10日に千葉県知事宛に提出した、販売名「マーナー モイスチュア アイクリーム」に係る化粧品製造販売届書である。
乙第2号証は、平成17年8月5日に千葉県知事宛に提出した、販売名「マーナー ホワイト モイスチュア ウォッシングクリーム」に係る化粧品製造販売届書である。
乙第3号証は、平成17年10月28日に千葉県知事宛に提出した、販売名「マーナー モイスチュア ファンデーション」に係る化粧品製造販売届書である。
乙第4号証は、平成18年4月7日に、千葉県知事宛に提出した、販売名「マーナー パーフェクト ピーリング ジェル」に係る化粧品製造販売届書である。
乙第5号証は、平成18年8月25日に、千葉県知事宛に提出した、販売名「マーナー インテンシブ リペア ローション」に係る化粧品製造販売届書である。
乙第6号証は、平成18年8月25日に、千葉県知事宛に提出した、販売名「マーナー インテンシブ リペア クリーム」に係る化粧品製造販売届書である。
このように、上記の化粧品製造販売届書は、商標権者(被請求人)が「化粧品」を製造販売する意思を証明するものである。また、当該届書には、千葉県FD受付番号健康福祉部薬務課の受付番号が付与されており、このことは化粧品の製造販売が許可されたことを証明するものである。

(2)化粧品の包装箱(乙第7号証ないし乙第10号証)について
乙第7号証は、化粧品「MARNA MOISTURE FOUNDATION マーナー モイスチュア ファンデーション」を販売するための、商標「MARNA」を付した化粧品の包装箱である。
乙第8号証は、化粧品「MARNA PERFECT PEELING GEL マーナー パーフェクト ピーリングジェル」を販売するための、商標「MARNA」を付した化粧品の包装箱である。
乙第9号証は、化粧品「MARNA INTENSIVE REPAIR LOTION マーナー インテンシブ リペア ローション」を販売するための、商標「MARNA」を付した化粧品の包装箱である。
乙第10号証は、化粧品「MARNA INTENSIVE REPAIR CREAM マーナー インテンシブ リペア クリーム」を販売するための、商標「MARNA」を付した化粧品の包装箱である。
上記の乙第7号証ないし乙第10号証に示すとおり、各化粧品の包装箱の表には、商標「MARNA」がそれぞれ付されている。
また、上述の化粧品は、2005年頃より販売元である「Y.P.TRADING INC.」を通じて香港向けに「Y.P.Trading(HK) Co.」に輸出され、現在も「Y.P.Trading(HK) Co.」に輸出されている。
したがって、上記の乙第7号証ないし乙第10号証は、本件商標が本件審判請求の登録前3年以内に日本国において、「化粧品」について使用されていたことを示すものである。

2 平成21年3月2日付け答弁書
(1)被請求人は、本件商標の指定商品中の「せっけん類、化粧品」について、商標法第50条第1項に該当しないとの証拠として、平成20年6月19日付で被請求人が提出した答弁書に追加して、乙第11号証ないし乙第20号証を提出する。
ア 乙第11号証は、「YP OEM(Marna Series)出荷一覧表」である。
本件審判請求の予告登録日前の3年間を含む「2005年2月22日から2008年12月20日」に渡って、商標権者(被請求人)が、商標「MARNA」を付した商品「化粧品」を合計19回香港に向けて日本国から輸出を行った際の出荷一覧表である。

イ 乙第12号証は、「輸出時の取引書類」である。乙第11号証「YP OEM(Marna Series)出荷一覧表」で記載した各19回の輸出時の依頼書,INVOICE,PACKING LIST,Bill of Lading,配達請求書を示す。
この依頼書は、商標権者(被請求人)に対して、依頼者「Y.P.Trading(HK)Co.」からの商品の注文依頼書であり、輸出商品の品目・個数等を示す書面である。
このINVOICEは、荷送人である商標権者(被請求人)が、発送貨物の品目・数量・単位価格・合計代金等に関する事項を記して、荷受人である依頼者「Y.P.Trading(HK)Co.」に送付する明細書であり、貨物通関手続を含む輸出を行う際に不可欠な書類である。
このPACKING LISTは、荷送人である商標権者(被請求人)が、梱包された発送貨物の品目・数量・単位重量・合計重量、体積等に関する事項を記して、荷受人である依頼者「Y.P.Trading(HK)Co.」に送付する明細書であり、貨物通関手続を含む輸出を行う際に不可欠な書類である。
このBill of Lading(B/L)は、運送人「セイノー通関株式会社」もしくは「株式会社阪急交通社」が発行した船荷証券であり、荷送人である商標権者(被請求人)との間で東京から香港への物品運送契約を結んだことを証明する書面である。特に、乙第12号証の6,乙第12号証の7,乙第12号証の13では、運送人「株式会社阪急交通社」が発行したB/Lに、商標「MARNA」が明記された商品が示されているため、第三者の立場から商標「MARNA」に係る商品の使用の事実が客観的に示される書面となる。
この配達請求書は、荷送人商標権者(被請求人)宛に発行された運送人「セイノー通関株式会社」もしくは「株式会社阪急交通社」からの請求書であり、東京から香港への運送の事実を示した書面である。第三者の立場から商標「MARNA」に係る商品の使用の事実が確認できる書面である。
(ア)乙第12号証の1は、「輸出時の取引書類(輸出日2005年2月22日)」であり、請求に係る指定商品「せっけん類」に含まれる「クレンジング」の商品名「Marna White Moisture Washing Cream」を輸出した時に発行された書類である。
2005年1月3日付の依頼書,2005年2月14日付のINVOICE,2005年2月14日付のPACKING LIST,2005年2月22日付のB/L(セイノー通関株式会社),2005年3月3日付の配達請求書(セイノー通関株式会社)を示す。

(イ)乙第12号証の2は、「輸出時の取引書類(輸出日2005年3月18日)」であり、請求に係る指定商品「化粧品」に含まれる「乳液」の商品名「Marna White Moisture Milk」を輸出した時に発行された書類である。
2005年3月8日付のINVOICE,2005年3月8日付のPACKING LIST,2005年3月18日付のB/L(セイノー通関株式会社),2005年3月30日付の配達請求書(セイノー通関株式会社)を示す。

(ウ)乙第12号証の3は、「輸出時の取引書類(輸出日2005年6月24日)」であり、請求に係る指定商品「化粧品」に含まれる「スキンローション」の商品名「Marna White Moisture Lotion」,請求に係る指定商品「せっけん類」に含まれる「クレンジング」の商品名「Marna White Moisture Cleansing」,請求に係る指定商品「化粧品」に含まれる「パック用化粧料」の商品名「Marna White Moisture Mask」,請求に係る指定商品「化粧品」に含まれる「アイクリーム」の商品名「Marna Moisture Eye Cream」を輸出した時に発行された書類である。
2005年5月9日付の依頼書,2005年6月15日付のINVOICE,2005年6月15日付のPACKING LIST,2005年6月24日付のB/L(セイノー通関株式会社),2005年6月30日付の配達請求書(セイノー通関株式会社)を示す。
なお、乙第1号証で示したように、商品名「Marna Moisture Eye Cream」について、2005年6月10日に、千葉県知事の堂本暁子殿宛に販売名「マーナー モイスチュア アイクリーム」に係る化粧品製造販売届書を提出している。このように、商品名「Marna Moisture Eye Cream」に関して、依頼、製造販売届、輸出という一連の流れがあった事実が示される。

(エ)乙第12号証の4は、「輸出時の取引書類(輸出日2005年9月11日)」であり、請求に係る指定商品「化粧品」に含まれる「乳液」の商品名「Marna White Moisture Milk」,請求に係る指定商品「化粧品」に含まれる「クリーム」の商品名「Marna White Moisture Cream」を輸出した時に発行された書類である。
2005年7月18日付の依頼書,2005年9月1日付のINVOICE,2005年9月1日付のPACKING LIST,2005年9月11日付のB/L(セイノー通関株式会社),2005年9月17日付の配達請求書(セイノー通関株式会社)を示す。

(オ)乙第12号証の5は、「輸出時の取引書類(輸出日2006年1月31日)」であり、請求に係る指定商品「化粧品」に含まれる「スキンローション」の商品名「Marna White Moisture Lotion」を輸出した時に発行された書類である。
2006年1月20日付のINVOICE,2006年1月20日付のPACKING LIST,2006年1月31日付のB/L(セイノー通関株式会社),2006年2月13日付の配達請求書(セイノー通関株式会社)を示す。

(カ)乙第12号証の6は、「輸出時の取引書類(輸出日2006年3月18日)」であり、請求に係る指定商品「化粧品」に含まれる「コンシーラー」の商品名「Marna White Concealer Stick OC」及び「Marna White Concealer Stick NA」,請求に係る指定商品「化粧品」に含まれる「ファンデーション」の商品名「Marna Moisture Foundation OC」及び「Marna Moisture Foundation NA」を輸出した時に発行された書類である。
2006年3月17日付のINVOICE,2006年3月17日付のPACKING LIST,2006年3月18日付のB/L(株式会社阪急交通社),2006年3月17日付の配達請求書(株式会社阪急交通社)を示す。
なお、乙第3号証で示したように、商品名「Marna Moisture Foundation」について、2005年10月28日に、千葉県知事の堂本暁子殿宛に販売名「マーナー モイスチュア ファンデーション」に係る化粧品製造販売届書を提出している。このように、商品名「Marna Moisture Foundation」に関して、依頼、製造販売届、輸出という一連の流れがあった事実が示される。なお、乙第7号証は、商品名「Marna Moisture Foundation」を販売するための、商標「MARNA」を付した化粧箱である。

(キ)乙第12号証の7は、「輸出時の取引書類(輸出日2006年4月15日)」であり、請求に係る指定商品「化粧品」に含まれる「アイエッセンス」の商品名「Marna White Eye Essence」及び請求に係る指定商品「化粧品」に含まれる「アイクリーム」の商品名「Marna Moisture Eye Cream」を輸出した時に発行された書類である。
2006年3月30日付の依頼書,2006年4月7日付のINVOICE,2006年4月7日付のPACKING LIST,2006年4月15日付のB/L(株式会社阪急交通社),2006年4月17日付の配達請求書(株式会社阪急交通社)を示す。

(ク)乙第12号証の8は、「輸出時の取引書類(輸出日2006年6月23日)」であり、請求に係る指定商品「化粧品」に含まれる「クリアジェル」の商品名「Marna Perfect Clear Gel」,請求に係る指定商品「せっけん類」に含まれる「クレンジング」の商品名「Marna White Moisture Cleansing」,請求に係る指定商品「せっけん類」に含まれる「クレンジング」の商品名「Marna White Moisture Washing Cream」を輸出した時に発行された書類である。
2006年6月15日付のINVOICE,2006年6月15日付のPACKING LIST,2006年6月23日付のB/L(セイノー通関株式会社),2006年6月29日付の配達請求書(セイノー通関株式会社)を示す。
なお、乙第2号証で示したように、商品名「Marna White Moisture Washing Cream」について、2005年8月5日に、千葉県知事の堂本暁子殿宛に販売名「マーナー ホワイト モイスチュア ウォッシングクリーム」に係る化粧品製造販売届書を提出している。このように、商品名「Marna White Moisture Washing Cream」に関して、依頼、製造販売届、輸出という一連の流れがあった事実が示される。
なお、乙第4号証で示したように、商品名「Marna Perfect Clear Gel」について、2006年4月7日に、千葉県知事の堂本暁子殿宛に販売名「マーナー パーフェクト ピーリング ジェル」に係る化粧品製造販売届書を提出している。このように、商品名「Marna Perfect Clear Gel」に関して、依頼、製造販売届、輸出という一連の流れがあった事実が示される。なお、乙第13号証の3によると、商品名「Marna Perfect Peeling Gel」と商品名「Marna Perfect Clear Gel」の内容は同じであり、乙第8号証は、商品名「Marna Perfect Clear Gel」を販売するための、商標「MARNA」を付した化粧箱である。

(ケ)乙第12号証の9は、「輸出時の取引書類(輸出日2006年7月7日)」であり、請求に係る指定商品「化粧品」に含まれる「スキンローション」の商品名「Marna White Moisture Lotion」,請求に係る指定商品「化粧品」に含まれる「乳液」の商品名「Marna White Moisture Milk」,請求に係る指定商品「化粧品」に含まれる「アイエッセンス」の商品名「Marna White Eye Essence」,請求に係る指定商品「せっけん類」に含まれる「クレンジング」の商品名「Marna White Moisture Cleansing」を輸出した時に発行された書類である。
2006年5月4日付の依頼書,2006年6月26日付のINVOICE,2006年6月26日付のPACKING LIST,2006年7月7日付のB/L(セイノー通関株式会社),2006年7月21日付の配達請求書(セイノー通関株式会社)を示す。

(コ)乙第12号証の10は、「輸出時の取引書類(輸出日2006年12月1日)」であり、請求に係る指定商品「化粧品」に含まれる「スキンローション」の商品名「Marna Intensive Repair Lotion」,請求に係る指定商品「化粧品」に含まれる「クリーム」の商品名「Marna Intensive Repair Cream」を輸出した時に発行された書類である。
2006年9月7日付の依頼書,2006年11月14日付のINVOICE,2006年11月14日付のPACKING LIST,2006年12月1日付のB/L(セイノー通関株式会社),2006年12月14日付の配達請求書(セイノー通関株式会社)を示す。
なお、乙第5号証で示したように、商品名「Marna Intensive Repair Lotion」について、2006年8月25日に、千葉県知事の堂本暁子殿宛に販売名「マーナーインテンシブリペアローション」に係る化粧品製造販売届書を提出している。このように、商品名「Marna Intensive Repair Lotion」に関して、依頼、製造販売届、輸出という一連の流れがあった事実が示される。なお、乙第9号証は、商品名「Marna Intensive Repair Lotion」を販売するための、商標「MARNA」を付した化粧箱である。
なお、乙第6号証で示したように、商品名「Marna Intensive Repair Cream」について、2006年8月25日に、千葉県知事の堂本暁子殿宛に販売名「マーナーインテンシブリペアクリーム」に係る化粧品製造販売届書を提出している。このように、商品名「Marna Intensive Repair Cream」に関して、依頼、製造販売届、輸出という一連の流れがあった事実が示される。なお、乙第10号証は、商品名「Marna Intensive Repair Cream」を販売するための、商標「MARNA」を付した化粧箱である。

(サ)乙第12号証の11は、「輸出時の取引書類(輸出日2007年1月16日)」であり、請求に係る指定商品「化粧品」に含まれる「乳液」の商品名「Marna Intensive Repair Milk」を輸出した時に発行された書類である。
2006年12月28日付のINVOICE,2006年12月28日付のPACKING LIST,2007年1月16日付のB/L(セイノー通関株式会社),2007年1月29日付の配達請求書(セイノー通関株式会社)を示す。

(シ)乙第12号証の12は、「輸出時の取引書類(輸出日2007年3月16日)」であり、請求に係る指定商品「化粧品」に含まれる「スキンローション」の商品名「Marna White Moisture Lotion」,請求に係る指定商品「化粧品」に含まれる「乳液」の商品名「Marna White Moisture Milk」,請求に係る指定商品「化粧品」に含まれる「アイクリーム」の商品名「Marna Moisture Eye Cream」を輸出した時に発行された書類である。
2007年3月2日付のINVOICE,2007年3月2日付のPACKING LIST,2007年3月16日付のB/L(セイノー通関株式会社),2007年3月22日付の配達請求書(セイノー通関株式会社)を示す。

(ス)乙第12号証の13は、「輸出時の取引書類(輸出日2007年4月28日)」であり、請求に係る指定商品「化粧品」に含まれる「パック用化粧料」の商品名「Marna White Moisture Mask」を輸出した時に発行された書類である。
2007年4月10日付のINVOICE,2007年4月10日付のPACKING LIST,2007年4月28日付のB/L(株式会社阪急交通社),2007年4月27日付の配達請求書(株式会社阪急交通社)を示す。

(セ)乙第12号証の14は、「輸出時の取引書類(輸出日2007年7月17日)」であり、請求に係る指定商品「化粧品」に含まれる「クリーム」の商品名「Marna White Moisture Cream」及び請求に係る指定商品「せっけん類」に含まれる「クレンジング」の商品名「Marna White Moisture Washing Cream」を輸出した時に発行された書類である。
2007年7月3日付のINVOICE,2007年7月3日付のPACKING LIST,2007年7月17日付のB/L(セイノー通関株式会社),2007年7月21日付の配達請求書(セイノー通関株式会社)を示す。

(ソ)乙第12号証の15は、「輸出時の取引書類(輸出日2007年8月17日)」であり、請求に係る指定商品「化粧品」に含まれる「ファンデーション」の商品名「Marna Moisture Foundation OC」及び「Marna Moisture Foundation NA」を輸出した時に発行された書類である。
2007年8月8日付のINVOICE,2007年8月8日付のPACKING LIST,2007年8月17日付のB/L(セイノー通関株式会社),2007年8月23日付の配達請求書(セイノー通関株式会社)を示す。

(タ)乙第12号証の16は、「輸出時の取引書類(輸出日2008年4月11日)」であり、請求に係る指定商品「化粧品」に含まれる「エッセンス」の商品名「Marna White Moisture Essense」,請求に係る指定商品「化粧品」に含まれる「乳液」の商品名「Marna White Moisture Milk」,請求に係る指定商品「化粧品」に含まれる「アイクリーム」の商品名「Marna Moisture Eye Cream」を輸出した時に発行された書類である。
2008年2月18日付の依頼書,2008年3月28日付のINVOICE,2008年3月28日付のPACKING LIST,2008年4月11日付のB/L(セイノー通関株式会社),2008年4月18日付の配達請求書(セイノー通関株式会社)を示す。

(チ)乙第12号証の17は、「輸出時の取引書類(輸出日2008年6月6日)」であり、請求に係る指定商品「化粧品」に含まれる「スキンローション」の商品名「Marna White Moisture Lotion」を輸出した時に発行された書類である。
2008年4月7日付の依頼書,2008年4月7日付のINVOICE,2008年4月7日付のPACKING LIST,2008年6月6日付のB/L(セイノー通関株式会社),2008年6月24日付の配達請求書(セイノー通関株式会社)を示す。

(ツ)乙第12号証の18は、「輸出時の取引書類(輸出日2008年9月20日)」であり、請求に係る指定商品「化粧品」に含まれる「クリーム」の商品名「Marna White Moisture Washing Cream」を輸出した時に発行された書類である。
2008年7月7日付の依頼書,2008年8月22日付のINVOICE,2008年8月22日付のPACKING LIST,2008年9月20日付のB/L(セイノー通関株式会社),2008年9月30日付の配達請求書(セイノー通関株式会社)を示す。

(テ)乙第12号証の19は、「輸出時の取引書類(輸出日2008年12月20日)」であり、請求に係る指定商品「化粧品」に含まれる「乳液」の商品名「Marna White Moisture Milk」,請求に係る指定商品「化粧品」に含まれる「エッセンス」の商品名「Marna White Eye Essense」,請求に係る指定商品「化粧品」に含まれる「アイクリーム」の商品名「Marna Moisture Eye Cream」,請求に係る指定商品「化粧品に含まれる「パック用化粧料」の商品名「Marna White Moisture Mask」を輸出した時に発行された書類である。
2008年10月9日付の依頼書,2008年12月1日付のINVOICE,2008年12月1日付のPACKING LIST,2008年12月20日付のB/L(セイノー通関株式会社),2008年12月27日付の配達請求書(セイノー通関株式会社)を示す。
このように乙第12号証の1ないし乙第12号証の19の「輸出時の取引書類」によって、本件審判請求の予告登録日前3年である「平成17年4月25日から平成20年4月25日」において、商標権者(被請求人)が商標「MARNA」を付した商品「せっけん類、化粧品」を東京から香港に向けて輸出していることが示され、これは商標法2条3項2号の使用に該当することは明らかである。

ウ 乙第13号証について
(ア)乙第13号証の1は、商標権者「株式会社マーナーコスメチックス(MARNA COSMETICS CO.,LTD.,)」と輸出先香港代理人「YP GROUP LTD.」との間で交わされた「同意書(AGREEMENT)」である。
この「同意書」は、商標「MARNA」を付したOEM製品を商標権者「株式会社マーナーコスメチックス(MARNA COSMETICS CO.,LTD.,)」から輸出先香港代理人「YP GROUP LTD.」に供給することが記載されており、2006年11月11日時点で契約が有効である事実を示す。

(イ)乙第13号証の2は、商標権者(被請求人)から香港代理人のYP Trading(HK)Co.が、商標「MARNA」を付した商品「化粧品」を輸入していることを証明する「証明書」である。
この「証明書」は、商標権者(被請求人)の輸出先の香港代理人のYPTrading(HK)Co.のPresidentのJenny Hui氏によって作成されたものであり、平成17年6月24日時点で、商標権者(被請求人)が、商標「MARNA」を付した商品「化粧品」を輸出している事実を示す。

(ウ)乙第13号証の3は、請求に係る指定商品「化粧品」に含まれる「クリアジェル」である「MARNA PERFECT PEELING GEL」と製品名「MARNA PERFECT CLEAR GEL」と内容が同じであることを証明する「証明書」である。
この「証明書」は、商標権者(被請求人)の輸出先の香港代理人のYP Trading(HK)Co.のManaging DirectorのJenny Hui氏によって作成されたものである。

(エ)乙第13号証の4は、「マーナーパーフェクトクリアジェル(MARNA PERFECT CLEAR GEL)」及び「マーナーパーフェクトピーリングジェル(MARNA PERFECT PEELING GEL)」の「組成表」である。
この「組成表」は、商品名「マーナーパーフェクトクリアジェル」及び販売名「マーナーパーフェクトピーリングジェル」の組成が完全に一致する同一品であることを示す。

エ 乙第14号証について
乙第14号証は、商標「MARNA」を付した請求に係る指定商品「化粧品」において、実際に包装として使用されていたことを示す。
(ア) 乙第14号証の1は、請求に係る指定商品「化粧品」に含まれる「スキンローション」の商品名「Marna White Moisture Lotion」に係る「包装容器及び化粧箱の写真」である。
この「包装容器及び化粧箱の写真」は、乙第12号証の3,乙第12号証の5,乙第12号証の9,乙第12号証の12,乙第12号証の17に係る商品名「Marna White Moisture Lotion」の実物を示した写真である。

(イ) 乙第14号証の2は、請求に係る指定商品「化粧品」に含まれる「乳液」の商品名「Marna Intensive Repair Milk」に係る「化粧箱の写真」である。
この「化粧箱の写真」は、乙第12号証の11(「乙第12号証の10」は誤記と認める。)に係る商品名「Marna Intensive Repair Milk」の実物を示した写真である。

(ウ) 乙第14号証の3は、請求に係る指定商品「化粧品」に含まれる「コンシーラー」の商品名「Marna White Concealer Stick OC」に係る「包装容器及び化粧箱の写真」である。
この「包装容器及び化粧箱の写真」は、乙第12号証の6に係る商品名「Marna White Concealer Stick OC」の実物を示した写真である。

(エ) 乙第14号証の4は、請求に係る指定商品「化粧品」に含まれる「クリーム」の商品名「Marna Intensive Repair Cream」に係る「化粧箱の写真」である。
この「化粧箱の写真」は、乙第12号証の10(「乙第12号証の11」は誤記と認める。)に係る商品名「Marna Intensive Repair Cream」(「Milk」の文字部分は誤記と認める。)の実物を示した写真である。

オ 乙第15号証について
乙第15号証は、商標権者(被請求人)が提供する商標「MARNA」を付した商品「White Moisture Washing Cream L」,「White Moisture Cleansing」,「White Moisture Lotion」,「White Moisture Essence」,「White Moisture Milk」,「White Moisutre Cream」,「Perfect Peeling Gel」,「White Moisture Mask」,「White Eye Essence」,「Moisute Eye Cream」に係る英語及び中国語で記載されている「能書」であり、現地消費者に向けての商品説明書である。
この「能書」で示すように、実際に輸出された商品は、顧客の便宜のため、商品説明が英語及び中国語に翻訳されて提供されている。
また、商標「MARNA」は、指定商品「せっけん類(薬剤に属するものを除く)、化粧品(薬剤に属するものを除く)」に属し多岐に渡る商品群に使用されているブランド名であることも示される。

カ 乙第16号証について
乙第16号証は、商品名「Marna Moisture Eye Cream」及び商品名「Marna White Moisture Washing Cream」等の「商品の保管写真」であり、香港代理人のYP Trading(HK)Co.の倉庫で梱包状態で実際に保管されていることを示す。

キ 乙第17号証について
乙第17号証は、商標「MARNA」ブランドが付されたMarna Whiteシリーズの「商品の陳列写真」であり、香港代理人のYP Trading(HK)Co.によって実際に香港市場で流通していることを示す。
乙第16号証及び乙第17号証によって、乙第11号証で示した商標権者(被請求人)が輸出した商品は、現実に一連の流通過程を経て香港で販売されているという事実が示される。

ク 乙第18号証について
(ア)乙第18号証の1は、「2006年版 粧界ハンドブック 化粧品産業年鑑」であり、「平成17年12月20日」に株式会社週刊粧業によって発行された。
この「2006年版 粧界ハンドブック 化粧品産業年鑑」の453頁には、商標権者(被請求人)の記載があり、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる社会通念上同一であると認められる商標「マーナー」の記載がされており、且つ、発売主要商品の中に「マーナー」の記載もある。
なお、社会通念上同一に関しては、本件商標に係る称呼が、特許庁で「マーナー」と登録されていることからも明らかである。
さらに、商標権者(被請求人)は、会社沿革及び概要に記載されているように、「せっけん類、化粧品」といった商品が発売主要商品である。よって、商標権者(被請求人)は、平成17年12月20日に本件商標を使用していたことが示される。

(イ)乙第18号証の2は、「2008年版 粧界ハンドブック 化粧品産業年鑑」であり、「平成19年12月20日」に株式会社週刊粧業によって発行された。この「2008年版 粧界ハンドブック 化粧品産業年鑑」の406頁には、商標権者(被請求人)の記載があり、乙第18号証の1の453頁と同様に、商標社会通念上同一であると認められる商標「マーナー」の記載がされており、且つ、発売主要商品の中に「マーナー」の記載もある。
さらに、商標権者(被請求人)は、会社沿革及び概要に記載されているように、「せっけん類、化粧品」といった商品が発売主要商品である。よって、商標権者(被請求人)は、平成19年12月20日に本件商標を使用していたことが示される。

ケ 乙第19号証について
乙第19号証は、商標権者(被請求人)の「登記簿謄本の履歴事項全部証明書」である。
この「登記簿謄本の履歴事項全部証明書」には、商標権者(被請求人)及び住所「千葉県市川市原木一丁目3番31号」の記載がされ、会社設立の「目的」には、「1.医薬品・医薬部外品・化粧品及び化粧品雑貨の製造販売並びに輸出入」,「3.前各号に附帯する一切の業務」と記載されている。
したがって、商標権者(被請求人)は、指定商品中「せっけん類(薬剤に属するものを除く)、化粧品(薬剤に属するものを除く)」に係る商品を実際に製造販売並びに輸出入している会社であることが示される。

コ 乙第20号証について
乙第20号証の1は、「化粧品業界紙」である「Diet&Beauty(2008年1月15日発行)」である。
乙第20号証の2は、「化粧品業界紙」である「Diet&Beauty(2008年3月15日発行)」である。
これらの「化粧品業界紙」には、商標権者(被請求人)が、化粧品の企画開発から商品化までトータルにサポートする旨の広告宣伝がなされている。
このように、商標権者(被請求人)は、指定商品「せっけん類(薬剤に属するものを除く)、化粧品(薬剤に属するものを除く)」に係る商品を実際に製造販売並びに輸出入している会社であることが示される。

サ 請求人の主張に対する反論
(ア)請求人は、「本件商標を付した「化粧品」が具体的に製造販売され、かつ取引の具に具体的に供されたという事実は、乙第1号証ないし乙第6号証によっては何等証明されていない」及び「登録商標の使用行為が現実にあったことが認められない」と述べている。
しかしながら、本答弁書の乙第12号証による輸出時の取引書類等の客観的且つ具体的な証拠方法によって、商標法2条3項2号に記載の商標の使用に該当することが示され、登録商標の使用行為が現実にあったことは明らかである。

(イ)請求人は、「化粧品が化粧箱に収納されて現実に販売されている、との主張が請求人として容認できない」と述べている。
しかしながら、本答弁書の乙第17号証では、具体的に香港の店頭で陳列されている商標「MARNA」ブランドの商品が流通過程におかれていることが示されている。当然の如く、その前提として、商標権者(被請求人)が指定商品「せっけん類(薬剤に属するものを除く)、化粧品(薬剤に属するものを除く)」に係る商標「MARNA」ブランドの商品の輸出が行われていたことは明らかである。

(ウ)請求人は、「押し潰された状態の化粧箱の中に『化粧品』そのものが現実に収納されて取引されていたか、どうか不明である」と述べている。
しかしながら、本答弁書の乙第14号証並びに乙第17号証によって、具体的に、流通場面での商品の包装状態が示されている。このように、化粧品そのものが現実に収納されて取引されていたことは明らかである。

(エ)請求人は、「具体的取引事実を示す証拠は全く提出されていない」及び「日本語表示による成分記載が不自然である」と述べている。
しかしながら、本答弁書の乙第12号証によって、輸出時の取引書類等が客観的且つ具体的な事実として示されている。また、本答弁書の乙第15号証で示したように、商標「MARNA」ブランドに属する商品を英語及び中国語で説明した書類が存在する。

(オ)請求人は、「輸出の具体的事実を示す証拠が無い」と述べている。
しかしながら、本答弁書の乙第12号証によって、輸出時の取引書類等が客観的且つ具体的な事実として示されている。

(カ)請求人は、「輸出の具体的事実を示す証拠が提出されていない」と述べている。
しかしながら、本答弁書の乙第12号証によって、輸出時の取引書類等が客観的且つ具体的な事実として示されている。

(キ)請求人は、「2005年頃と故意に符号させるように設定したように推察され」と述べている。
しかしながら、本答弁書の乙第12号証によって、輸出時の取引書類等が客観的且つ具体的な事実として示されている。

(ク)まとめ
このように、本答弁書の乙第1号証ないし乙第20号証によって示したように、客観的且つ具体的な証拠方法によって、商標法2条3項2号に記載の商標の使用の事実が少なくとも審判の予告登録前3年間の間に存在したことは明らかである。
したがって、請求人が平成20年7月11日付で提出した審判事件弁駁書の記載は、上記のように根拠を欠き、請求人の主張は全て失当であることは明白である。

(2)結語
上記のように、商標「MARNA」は、商標権者(被請求人)が指定商品「せっけん類(薬剤に属するものを除く)、化粧品(薬剤に属するものを除く)」について、本件審判請求の登録前3年以内に使用した商標であることは明らかである。

第4 当審の判断
1 取消審判において、「商品についての登録商標の使用」があったというためには、商標法第2条第3項所定の行為がされることを要するものと解され、同項第2号において「商品又は商品の包装に標章を付したものを譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、又は電気通信回線を通じて提供する行為」と規定されている。
ところで、ここにいう「輸出」は、意匠法等の一部改正する法律(平成18年法律第55号)により、商標法の第2条第3項第2号の標章の「使用」行為の定義の中に新たに追加され、また、その附則によって、施行期日を、平成19年(2007年)1月1日とし、経過措置として、施行日以降の輸出行為から改正法が適用される旨規定された。
したがって、本件審判事件において「輸出」行為が商標の「使用」行為と認められるのは、本件審判事件の予告登録日である平成20年(2008年)4月30日前3年以内で、かつ、平成19年(2007年)1月1日以降の輸出行為についてである。
以上の観点に立って、本件について、以下検討する。

2 被請求人の提出に係る乙各号証(枝番を含む。)によれば、以下の事実が認められる。
(1)乙第11号証について
乙第11号証は、「YP OEM(Marna Series)出荷一覧表」であるところ、これからは、「Marna White Moisture Lotion」等の「Marna Series」商品を、2005年2月22日から2008年12月20日にかけて19回輸出された旨の記載がある。

(2)乙第12号証について
乙第12号証は、被請求人と、Hong Kong(香港)所在の「Y.P.Trading(HK)Co.」(以下「YP社」という。)との間でした商品の輸出(乙第11号証)に関する取引書類である(これらの書類が被請求人とYP社との間の取引であることについては、請求人は争うことを明らかにしていない。)。
ア 乙第12号証の11
2006年12月28日付の「INVOICE」には、「InvoiceNo.281206」、「Description:Marna Intensive Repair Milk」、「Quantity:2983」等の記載がある。
同日付の「PACKING LIST」には、「Description:Marna Intensive Repair Milk 100ml」等の記載がある。
運送人「セイノー通関株式会社」が発行した、2007年1月16日付の「Ocean or Combined Transport Bill of Lading」(以下「Bill of Lading」という。)には、「CONTAIN」として、「COSMETICS」の記載がされている。
同じく、運送人「セイノー通関株式会社」から荷送人宛に発行された2007年1月29日付の「請求書」には、東京から香港行きの出港日を2007年1月16日とし、「品名:COSMETICS」等が記載されている。
また、「PACKING LIST」及び「請求書」には、上記「INVOICE」と同じ「Invoice No.」が記載されている。

イ 乙第12号証の12
2007年3月2日付の「INVOICE」には、「InvoiceNo.020307」、「Description:Marna White Moisture Lotion」、「Quantity:4003」等の記載がある。
同日付の「PACKING LIST」には、「Description:Marna White Moisture Lotion」等の記載がある。
運送人「セイノー通関株式会社」が発行した、2007年3月16日付の「Bill of Lading」には、「CONTAIN」として、「COSMETICS」の記載がされている。
同じく、運送人「セイノー通関株式会社」から荷送人宛に発行された2007年3月22日付の「請求書」には、東京から香港行きの出港日を2007年3月16日とし、「品名:COSMETICS」等が記載されている。
また、「PACKING LIST」及び「請求書」には、上記「INVOICE」と同じ「Invoice No.」が記載されている。

(3)乙第14号証について
ア 乙第14号証の1は、包装容器(ボトル)及びその包装箱の写真の写しと認められるところ、包装容器(ボトル)の中央部分には、肉太で大きく「MARNA」の文字と、その下段に小さく「WHITE MOISTURE LOTION」の文字とが表示されている。
包装箱のやや上部に、肉太で大きく「MARNA」の文字が表示され、包装箱の中央部あたりに、やや大きく「WHITE」の文字と、その下段に小さく「MOISTURE LOTION」の文字とが2段に表示されている。

イ 乙第14号証の2は、包装箱の写真の写しと認められるところ、包装箱正面やや上部に、肉太で大きく「MARNA」の文字を表示し、その中央部あたりに、「INTENSIVE REPAIR MILK」の文字が表示されている。

3 前記2の事実によれば、被請求人は、香港在のYP社からの依頼を受け、「Marna White Moisture Lotion」、「Marna Intensive Repair Milk」の商品、すなわち、請求に係る指定商品「化粧品(薬剤に属するものを除く)」の範疇に属する「化粧水」及び「乳液」の商品(以下「使用商品」という。)を、本件審判請求の登録(平成20年4月30日)3年以内である2007年(平成19年)1月16日及び同年3月16日に、輸送会社である「セイノー通関株式会社」を介して、香港在のYP社へ輸出したもの(乙第12号証の11及び乙第12号証の12)と推認され、使用商品は、取引書類の記載内容からみて、乙第14号証の1及び乙第14号証の2に示された写真の商品と推認することができる。
そして、本件商標は、別掲のとおり「mARnA」(小文字「m」と「n」は、他の大文字と同じ大きさで書されている。)の欧文字を手書き風に書してなるものであるところ、乙第14号証の1及び乙第14号証の2の写真写しに表示された「MARNA/WHITE MOISTURE LOTION」、「MARNA/INTENSIVE REPAIR MILK」(以下「使用商標」という。)の表示中、その要部は「MARNA」の文字部分にあるものといえる。
そうしてみると、使用商標の要部「MARNA」は、本件商標と、同じ綴りからなり、同じ「マーナ」の称呼を生ずるものであるから、使用商標は、本件商標と社会通念上同一の商標といえるものである。 かかる事実を総合すると、被請求人による一連の輸出に際し、使用商品の包装に、本件商標と社会通念上同一の商標を付して輸出する行為は、商標法第2条第3項第1号の「商品又は商品の包装に標章を付する行為」及び、同第2号の「商品又は商品の包装に標章を付したものを譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡のために展示し、輸出し、輸入し、又は電気通信回路を通じて提供する行為」に規定するところの商標の使用に該当するものと認められる。

4 請求人の主張に対する反論
(1)請求人は、「本件審判事件において『輸出』行為が商標の『使用』行為と認められる期間の輸出総額はわずか約1,865万円であって、本件商標が業として『使用』されているとは認められず、したがって、被請求人が本件商標を『せっけん類(薬剤に属するものを除く)』、『化粧品(薬剤に属するものを除く)』について使用していないことは明確である旨」主張する。
しかしながら、前記3のとおり、「輸出」行為が商標の「使用」行為と認められる期間内に、実際に、被請求人によって輸出行為がされている事実があるから、輸出総額が少ないことをもって、本件商標が業として「使用」されていないとする請求人の主張は認められない。

(2)請求人は、「被請求人の輸出先である『香港』の『Y.P.Trading(HK)Co』(住所3/F.Kaninwah commercial building No.423-425.Henessy road.Cause way bay HongKong)について、香港と取引関係にある現地事務所『Deacons』に種々調査・コメントを求めたところ、その回答書によると、『Y.P.Trading Limited』なる会社は発見されたが、『Y.P.Trading』なる会社は発見されなかった(甲第5号証)旨」主張する。
しかしながら、「Deacons」が如何なる権限をもって調査したのか、また、「Y.P.Trading」なる会社が発見されなかったとする、具体的に公的機関が発行し証明する書類の提出もないところから、請求人の主張は認められない。

(3)請求人は、「被請求人は乙第11号証に示す商品は全て『化粧品』であって、『せっけん類』でないことを認めており、かつ、その『化粧品』の輸出実績を証明するため、上記乙第12号証の1ないし乙第12号証の19を提出しているのであって、被請求人が本件商標を『せっけん類』に使用していないことは明確である旨、さらに、被請求人は先の乙第12号証の8において、クレンジングの商品名『Marna White Moisture Washing Cream』は『せっけん類』に属する、と主張しているにも拘わらず、答弁書では『化粧品』に属すると主張したり、極めて矛盾するものであり、かつ、『化粧品』と『せっけん類』との違いを縷々述べて『クレンジング』の商品は、全て所謂『クレンジングクリーム』の商品例であり『化粧品』である旨」主張する。
しかしながら、本件取消請求に係る商品は、「せっけん類(薬剤に属するものを除く)、化粧品(薬剤に属するものを除く)」であって、前記3のとおり、本件商標は、被請求人によって、少なくとも「化粧品(薬剤に属するものを除く)」について使用されたものと認められるものであって、「せっけん類(薬剤に属するものを除く)」についての使用に言及するまでもないから、請求人の主張は認められない。

(4)請求人は、「被請求人は、乙第13号証の1を提出して『株式会社マーナーコスメチックス』と輸出先香港代理人『YP GROUP LTD』との合意書であると主張しているが、この『YP GROUP LTD』と輸出先の香港代理人である『Y.P.Trading(HK)Co』との関係が不明である。また、この契約書は2006年11月11日締結されたものであるが、この契約締結日は『輸出行為』が商標の使用とは認められていない時のものであって、何等証拠能力はない」旨主張する。
確かに、乙第13号証の1に記載されている輸出先香港代理人「YP GROUP LTD」と輸出先の香港代理人である「Y.P.Trading(HK)Co」との関係は、明らかではないが、乙第13号証の1の「AGREEMENT」2行目にかかれた「Y.P.GROUP LTD.」の住所、及び「AGREEMENT」の左下の「Jenny Hui/President」と、例えば、乙第12号証の11の「INVOICE」、「PACKING LIST」等の「Buyer」欄に記載された「Ms.Jenny Hui」とその住所は、一致するものであって、両社は、密接な関係があるものと推認されるところである。
また、乙第13号証の1の契約書の契約締結日は、「輸出行為」が商標の使用とは認められていない時のものであるとしても、この契約に基づいて、前記3のとおり、被請求人によって、実際に「輸出行為」が行われているものと推認し得るものであるから、結局、これら請求人の主張は認められない。

(5)請求人は、「被請求人は、乙第14号証の1は『化粧品』の商品名『Marna White Moisture Lotion』の『化粧容器及び化粧箱の写真』、乙第14号証の2は『乳液』の商品名『Marna Intensive Repair Milk』の写真、乙第14号証の3は『コンシーラ』の商品名『Marna White Concealer stick OC』の『包装容器及び化粧箱の写真』、乙第14号証の4は『クリーム』の商品名『Marna Intensive Repair Cream』の『化粧箱の写真』であるとそれぞれ主張しているが、これら写真が何時、何処で、誰が撮影したのか不明であって、これら証拠についてその成立は認められない旨」主張する。
確かに、これら写真が何時、何処で、誰が撮影したのか確認できないものの、乙第12号証等の書類を総合勘案してみれば、これらの証拠は、本件商標の使用の事実を裏付ける証拠として不自然なところはなく、充分なものというべきである。

(6)請求人は、その他、被請求人が提出した上記以外の乙各号証についても反論しているところ、これらの証拠の中には、請求人が指摘しているような点を有するものがないとはいえないとしても、本件商標の使用の事実は、前記3のとおりであって、これらの証拠が、その判断を左右するものではないというのが相当である。

5 まとめ
以上のとおり、被請求人は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者が、取消請求に係る指定商品中、少なくとも、「化粧品(薬剤に属するものを除く)」に包含される「化粧水」及び「乳液」について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用したことを証明したと認めることができる。
したがって、本件商標の指定商品中、取消請求に係る商品についての登録は、商標法第50条の規定により取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
本件商標


審理終結日 2009-05-13 
結審通知日 2009-05-18 
審決日 2009-05-29 
出願番号 商願昭63-891 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (104)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 加園 英明 
特許庁審判長 井岡 賢一
特許庁審判官 佐藤 達夫
小川 きみえ
登録日 1990-07-30 
登録番号 商標登録第2244655号(T2244655) 
商標の称呼 マーナー 
代理人 堀 城之 
代理人 和田 成則 
代理人 茅原 裕二 

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