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審決分類 |
審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Y05 |
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管理番号 | 1199011 |
審判番号 | 取消2007-300606 |
総通号数 | 115 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2009-07-31 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2007-05-11 |
確定日 | 2009-04-20 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第642075号商標の商標登録取消審判事件についてされた平成20年4月10日付け審決に対し、知的財産高等裁判所において審決取消の判決(平成20年(行ケ)第10314号 平成20年10月30日判決言渡)があったので、さらに審理のうえ、次のとおり審決する |
結論 | 登録第642075号商標の指定商品中、第5類「薬剤」については、その登録を取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第642075号商標(以下「本件商標」という。)は、「メルク萬有」の文字を横書きしてなり、昭和37年8月7日に登録出願、第1類「化学品(他の類に属するものを除く)薬剤、医療補助品」を指定商品として、同39年4月24日に設定登録され、その後、商標権の存続期間の更新登録が4回にわたりなされ、さらに、平成17年6月1日に第1類「化学品」及び第5類「薬剤,ガーゼ,脱脂綿,包帯,眼帯,耳帯,衛生マスク,ばんそうこう,生理帯,医療用油脂,オブラート,カプセル,包帯液,人工歯用材料,歯科用補綴充てん用材料,歯科用セメント」を指定商品とする書換登録がなされているものである。 そして、本件商標は、指定商品について一部取消しの審判(審判番号2007-300605)により、第1類「化学品」について取り消すべき旨の審決がなされ、その確定の登録が平成19年10月25日になされ、続いて、指定商品について一部取消しの審判(審判番号2007-300608)により、第5類「ガーゼ,脱脂綿,包帯,眼帯,耳帯,衛生マスク,ばんそうこう,生理帯,医療用油脂,オブラート,カプセル,包帯液」について取り消すべき旨の審決がなされ、その確定の登録が平成19年11月8日になされ、さらに続いて、指定商品について一部取消しの審判(審判番号2007-300607)により、第5類「人工歯用材料,歯科用補綴充てん用材料,歯科用セメント」について取り消しすべき旨の審決がなされ、その確定の登録が平成19年11月15日になされたものである。 第2 請求人の主張 請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁の理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第4号証を提出した。 1 請求の理由 本件商標は、その指定商品中「第5類 薬剤」について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが使用した事実が存しないから、その登録は上記指定商品について商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。 2 答弁に対する弁駁 (1)証拠について 請求人は、本件審判答弁書の受領後、独自に登録商標の使用状況を調査するが、提出された証拠の他に、被請求人が使用したとされる商標は認められなかった。 そこで、提出された乙第1号証ないし乙第3号証について以下に述べる。 先ず、乙第1号証は、月刊の医学専門誌「アレルギーの臨床」であり、被請求人が同誌に掲載した広告ページである。広告ページは大きく上中下の三段にわかれ、上段には飛行機と思しき図柄、「喘息治療に1日1回1錠」のキャッチフレーズ等、中段は薬に関する使用上の注意、下段は広告に係る医薬品「シングレア/錠10/チュアブル錠5/SINGLAIR」の名前、右側には「BANYU」のハウスマーク及び万有製薬株式会社の商号が大きく記載されている。ここで被請求人が使用を主張する本件商標「メルク萬有」は右上部の片隅に小さく表示されているのみである。 次に、乙第2号証及び乙第3号証は、被請求人運営するインターネット上の「シングレア錠10」に関する詳細情報をコピーしたものと思われる。乙第2号証及び乙第3号証は、いずれも「シングレア錠10」に関する情報提供(広告)を目的としたものであることは明らかで、被請求人が使用を主張する本件商標「メルク萬有」は右下部の片隅に小さく表示されているのみである。 (2)標章、商標、及びその「使用」について 被請求人は、上述した証拠(乙第1号証ないし乙第3号証)により、これが「商品に関する広告に標章を付して展示、頒布する行為または商品の広告を内容とする情報に商標を付して電磁的方法により提供する行為」にあたり、商標法第2条第3項第8号にいう商標の「使用」に該当すると主張した。 商標法第2条第3項各号は、標章の使用の定義である。「標章」とは「商標」を含む広い概念であり、「特許庁編 工業所有権法逐条解説(第16版)」によれば、「商標」とは、「標章の中で一定の者が商品又は役務について使用する」ことが必要であるとしている(甲第1号証)。 ここで改めて被請求人の乙第1号証について検討するに、広告に係る商品の販売名は「シングレア錠10」で、商品は「医薬品」、ハウスマークはBANYU、製造販売元は萬有製薬株式会社、すなわち被請求人であり、「シングレア錠10」の広告であることは明らかである。一方、広告右上に記載された本件商標「メルク萬有」なる商号は存在せず、被請求人が何を意図して付記したものか、証拠からは特定できない。 つまり、商標法第2条第1項第1号では、商標とは「業として商品を生産し、証明し、譲渡する者がその商品について使用するもの」と定義しているが、広告に記載された本件商標「メルク萬有」からは、被請求人が業として「どのような商品について使用」しているのか不明であり、因って、被請求人が主張する「広告的機能」も、商標が商品を特定できない以上は果たしているとはいえない。 (3)証拠の客観性について 被請求人の証拠は、商取引の実情を把握するためには不十分といわざるを得ない。 被請求人は乙第2号証で、第三者である公証人により捺印された自社のホームページの写しを提出し、これにより商標の使用を主張している。 しかし、提出された証拠が証明するのは、公証人が被請求人のホームページを「見た」という事実にすぎず、「商標の使用」とは「公の認証」を以て成し得るものではない。 つまり使用事実を証明する証拠として必要なのは被請求人がインターネット上に掲載した広告を第三者が見て、実際に商取引が行われたという事実である。 因みに、商標の使用を問題とした商標登録の取消審判(平成2年審判第11640号)で「VUITTON」の登録商標の使用が問題となった審決取消訴訟(平成5年11月30日 平成4(行ケ)144 商標権 行政訴訟)では、原告(審判被請求人)の広告への使用は、不使用取消審判を免れるために名目的なものにすぎない、との判決が下されており、広告への掲載を以て商標の使用とするこの主張は、本件における被請求人の主張と類似し、その使用は取消を免れるための3年に1回の使用と推認せざるを得ない(甲第2号証)。 (4)以上のとおり、登録商標の商標法上の保護が、商標の使用によって蓄積された信用に対して与えられるのが本来的な姿であることを鑑みれば、商品が実際に市場で取引されていることを立証する取引書類、商品のパッケージ等の提出がない被請求人の形式的な使用の証明では証拠的に不十分であり、商標の使用を客観的に立証したものとはいえないことから、被請求人の主張は成り立たない。 なお、請求人は、証拠として提出された「シングレア錠10」及び「シングレア細粒4mg」製品情報概要(パンフレット)を入手したが、本件商標が「商標として」使用されている事実は確認できず、商品の容器(シート状、包装)に本件商標がハウスマークとして付されているような事実も確認できなかった(甲第3号証及び甲第4号証)。 第3 被請求人の答弁 被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、と答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第3号証を提出した。 理由 1 本件商標の使用の事実 商標法第2条第3項8号によれば、商品に関する広告に標章を付して展示、頒布する行為または商品に関する広告を内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為は、商標の「使用」に該当する。 商標権者である被請求人は、平成17年9月に日本で発行された雑誌に掲載した、被請求人が製造販売する商品である気管支喘息の治療薬(シングレア錠10及びシングレアチュアブル錠5)の広告に、本件商標「メルク萬有」を付している(乙第1号証)。また、被請求人は、平成17年8月1日から現在まで、被請求人のホームページ(現在のURLは、「http://www.banyu.co.jp/content/patients/medicine/product/nulotan_tab10.html)上で本件商標「メルク萬有」を付してシングレア錠10の詳細情報を提供しているが(乙第2号証)、これは、商品の広告を内容とする情報に商標を付して電磁的方法により提供する行為にあたる。これらは、商標法第2条第3項8号にいう商標の「使用」に該当し、いずれも、本件商標の指定商品中の「薬剤」に関する使用である。 なお、乙第1号証は、「万有製薬株式会社」が雑誌に掲載した広告、乙第2号証は「万有製薬」のホームページであるが、被請求人は、平成12年6月に社名表記を萬有製薬株式会社から万有製薬株式会社に変更しており(乙第3号証)、「万有製薬」は被請求人を表すものである。 2 以上のとおり、商標権者が、本件商標をその指定商品中「第5類 薬剤」について、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内で使用した事実があるから、本件商標の登録は同指定商品について取り消されてはならない。 第4 当審の判断 被請求人は、審決取消訴訟(平成20年(行ケ)第10314号)事件において、口頭弁論期日に出頭せず、答弁書その他の準備書面を提出しなかったので、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本件審判の請求に係る指定商品、第5類「薬剤」について使用したと認めることができない。 したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、指定商品中、第5類「薬剤」について取り消すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2009-02-19 |
結審通知日 | 2009-02-24 |
審決日 | 2009-03-09 |
出願番号 | 商願昭37-24512 |
審決分類 |
T
1
32・
1-
Z
(Y05)
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最終処分 | 成立 |
特許庁審判長 |
中村 謙三 |
特許庁審判官 |
石田 清 小林 由美子 |
登録日 | 1964-04-24 |
登録番号 | 商標登録第642075号(T642075) |
商標の称呼 | メルクバンユウ、メルクマンユウ、メルク、バンユウ、マンユウ |
代理人 | 大武 和夫 |
代理人 | 荒井 紀充 |
代理人 | 緒方 絵里子 |
代理人 | 加藤 義明 |