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審決分類 審判 査定不服 外観類似 登録しない X43
審判 査定不服 称呼類似 登録しない X43
審判 査定不服 観念類似 登録しない X43
管理番号 1195512 
審判番号 不服2008-16460 
総通号数 113 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2009-05-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-06-27 
確定日 2009-03-25 
事件の表示 商願2007- 49624拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1 本願商標
本願商標は、別掲1のとおりの構成よりなり、第43類に属する願書に記載のとおりの役務を指定役務として、平成19年5月18日に登録出願、その後、指定役務については、原審における同20年4月15日付け手続補正書により、第43類「飲食物の提供、業務用加熱調理機械器具の貸与、業務用食器乾燥機の貸与、業務用食器洗浄機の貸与、加熱器の貸与、調理台の貸与、流し台の貸与」に補正されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、登録第3009163号商標(以下「引用商標」という。)と同一又は類似の商標であって、同一又は類似の役務について使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
そして、引用商標は、別掲2のとおりの構成よりなり、平成4年9月24日に登録出願、第42類「日本料理を主とする飲食物の提供、西洋料理を主とする飲食物の提供、中華料理その他の東洋料理を主とする飲食物の提供、アルコ?ル飲料を主とする飲食物の提供、茶・コ?ヒ?・ココア・清涼飲料又は果実飲料を主とする飲食物の提供」を指定役務として、同6年11月30日に設定登録され、その後、商標権の存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続しているものである。

第3 当審の判断
本願商標は、別掲1のとおり、赤字で「Joyfull」の欧文字を書してなり、その「Joyfull」の文字中の「oy」の上に、「Joyfull」の文字より小さく赤字で「mini」の欧文字を配し、さらに、「Joyfull」の文字中の「yfull」の下に、「Joyfull」の文字より小さく黒字で「Restaurant」の欧文字を配してなるものである。
しかして、本願商標の構成文字の、「(一般に)普通より小さいもの」等を意味する英語「mini」、「(人・心などが)うれしさでいっぱいの、喜びに満ちあふれた」等を意味する英語「Joyfull」及び「料理店、食堂、レストラン」を意味する英語「Restaurant」の文字部分が、構成全体として、なんらかの特定の意味合いを看取させる等、常に不可分一体のものとしてのみ観察されなければならないとすべき特段の事情は認められないものである。
さらに、構成中の「mini」及び「Restaurant」の文字部分は、本願商標の指定役務との関係において、自他役務の識別標識としての機能を果たさないか、あるいは、自他役務の識別機能を果たしたとしても、その機能は極めて弱いものと認識されるとみるのが相当である。
してみると、簡易迅速を尊ぶ取引の実際にあっては、本願商標に接する取引者、需要者は、独立して、自他役務の識別標識としての機能を果たし得ると認められ、かつ、看者の目を惹きやすく赤字で、さらに、他の文字に比して大きく書されている「Joyfull」の文字部分に強く印象を留め、これより生ずる称呼をもって取引に資する場合も決して少なくないというべきである。
そうとすれば、本願商標は、構成文字全体に相応した「ミニジョイフルレストラン」の一連の称呼の他、「Joyfull」の文字部分に相応した「ジョイフル」の称呼をも生じ、かつ、「(人・心などが)うれしさでいっぱいの、喜びに満ちあふれた」等の観念を生ずるものである。
他方、引用商標は、別掲2のとおり、赤字で「Joyfull」の欧文字を書してなり、その「Joyfull」の文字中の「oy」の上に、「Joyfull」の文字より顕著に小さく「RESTAURANT」の欧文字を配し、さらに、「Joyfull」の文字中の「u」の上に「RESTAURANT」の文字と同じ大きさで「CIRCUS」の欧文字を配してなるものである。
しかして、引用商標の構成文字の、「Restaurant」、「(曲馬・軽業などを見せる)サーカス」等を意味する英語「CIRCUS」(いずれも小学館ランダムハウス英和大辞典)及び「Joyfull」の文字部分が、構成全体として、なんらかの特定の意味合いを看取させる等、常に不可分一体のものとしてのみ観察されなければならないとすべき特段の事情は認められないものである。
さらに、引用商標の構成文字中の「Joyfull」の文字は、看者の目を惹きやすく赤字で書されており、さらに、他の構成文字に比して顕著に大きく書されているものである。
してみると、簡易迅速を尊ぶ取引の実際にあっては、引用商標に接する取引者、需要者は、他の文字に比して顕著に大きく書されている「Joyfull」の文字部分に強く印象を留め、これより生ずる称呼をもって取引に資する場合も決して少なくないというべきである。
そうとすれば、引用商標は、構成文字全体に相応した「レストランサーカスジョイフル」の一連の称呼の他、「Joyfull」の文字部分に相応した「ジョイフル」の称呼をも生じ、かつ、「(人・心などが)うれしさでいっぱいの、喜びに満ちあふれた」等の観念を生ずるものである。
そこで、本願商標と引用商標から生ずる称呼及び観念を比較するに、本願商標中の「Joyfull」及び引用商標中の「Joyfull」の文字より生ずる「ジョイフル」の称呼及び「(人・心などが)うれしさでいっぱいの、喜びに満ちあふれたうれしい」等の観念は同一であり、本願商標と引用商標は、称呼及び観念を共通にするものである。
また、本願商標中の「Joyfull」と引用商標中の「Joyfull」は、その構成文字を同じくし、かつ、共に赤字で書してなるものであるから、外観上類似するものとみるの相当である。
してみれば、本願商標と引用商標は、外観上類似し、称呼及び観念を共通にする類似の商標というべきである。
そして、本願商標の指定役務は、引用商標の指定役務と同一または類似する役務を含むものである。
そうとすれば、本願商標をその指定役務中第43類「飲食物の提供」に使用した場合は、その出所について誤認混同を生ずるおそれがあると認められることから、本願商標と引用商標とは類似の商標といわざるを得ない。
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものである。

第4 請求人(出願人)の主張について
1 請求人(出願人)(以下「請求人」という。)の主張
請求人の提出した意見書及び審判請求書における主な主張は、以下(1)ないし(5)のとおりである。

(1)「重複登録商標に係る存続期間の更新の特例」による更新登録の審査において、本願商標出願人が有する登録第3008977号商標(以下「請求人登録商標」という。)(別掲3)と引用商標である登録第3009163号が共に更新登録が認められている。
更新登録の際の審査基準には、重複関係にある他の登録商標との混同を生ずるおそれがあるか否かの審査が行われ、更新登録の出願に係る登録商標の周知度が、当該出願に係る登録商標以外の重複登録商標の周知度より低いと認められる場合、原則として、更新登録の出願に係る登録商標は、当該出願に係る登録商標以外の重複登録商標に係る商標権者の業務に係る役務と混同を生ずるおそれがあるものとし、更新登録は認められない。
しかしながら、請求人登録商標に比して周知の程度の低い引用商標が、更新登録を認められたのは、請求人登録商標と引用商標とが類似しないと判断されたとみるべきである。
さらに、本願商標は、引用商標とは非類似となる要素を付加した形で出願した商標であり、引用商標との関係において、サービスの出所について誤認・混同を生じさせるものではない。
したがって、本願商標の登録は認められるべきである。

(2)重複登録商標権者は、互いに他方の重複登録商標権者に対しては、各々が専用権を有する部分について他方に対し禁止権を行使できない。重複登録商標権者である請求人によって行われた本願商標に対しては、引用商標の禁止権は及ばず、実質的に役務の誤認・混同は生じない。
したがって、本願商標の登録は認められるべきである。

(3)商標法の一部を改正する法律(平成三年法律第六五号)附則(以下「附則」という。)第9条(混同を防ぐための表示)(平成八年法律六八号により改正)によれば、「特例商標登録出願に係る同一又は類似の役務について使用をする同一又は類似の二以上の登録商標がある場合において、その一の登録商標に係る商標権者、専用使用権者又は通常使用権者の指定役務についての登録商標の使用により他の登録商標に係る商標権者又は専用使用権者の業務上の利益(当該他の登録商標の使用をしている指定役務に係るものに限る。)が害されるおそれのあるときは、当該他の登録商標に係る商標権者又は専用使用権者は、当該一の登録商標に係る商標権者、専用使用権者又は通常使用権者に対し、当該使用について、その者の業務に係る役務と自己の業務に係る役務との混同を防ぐのに適当な表示を付すべきことを請求することができる。」と規定され、重複登録に係る商標権者等は互いに混同防止表示を行うよう要求する権利が認められており、重複登録商標に他方の重複登録商標との違いを明確にする表示を行うことが望ましいことである。
したがって、引用商標とは非類似となる要素を付加した本願商標の登録は認められるべきである。

(4)本願商標の構成要素「mini」は、それ単体では、識別力が非常に希薄であり、「mini」は、その下に書された「Joyfull」と一体を為す用語として「miniJoyfull」と理解・認識され、また視覚上も、「mini」「Joyfull」とはその構成全体としてまとまりの良い一体の商標である旨が観察者より自然に識別されるデザイン的構成になっており、かつ、その読み「ミニジョイフル」も淀みなく一気に発音される一連一体の自然な称呼であって、引用商標とその役務・役務の出所について誤認・混同を生じるものではない。
加えて、出願人の重複登録商標と引用商標とが、特例により重複登録されてから13年間もの長きに亘り、その並存登録によって何らの誤認・混同を生じる事もなく平穏にその商標が使用されてきたという事実に鑑みても、本願商標の登録により、取引の実情において引用商標との間で役務の出所に関する誤認・混同を生じる可能性は一切ない。
したがって、本願商標の登録は認められるべきである。

(5)過去の登録例、審決例からすれば、本願商標の登録は認められるべきである。

2 請求人の主張についての反論
(1)請求人の主張(1)について
附則第5条において、サービスマーク登録制度における「使用に基づく特例の適用」について規定し、同附則8条(平成八年法律六八号により削除)において「存続期間の更新登録の特例」について規定している。
そして、工業所有権法逐条解説(特許庁編集 社団法人発明協会発行)(以下「逐条解説」という。)[第17版]における「附則第5条」の記載によれば、「本条は、使用に基づく特例の適用の主張及びその効果を定めた規定である。(中略)なお、二項の規定は、使用に基づく特例の適用の主張を伴う出願については、その商標登録出願が自己の業務に係る役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標についてのものであるときは、4条1項10号の適用から除外する措置を講じているのである。ただし、同項第一五号が『他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標(第一〇号から前号に掲げるものを除く)』とされていることとの関係上、第一〇号から除外された商標については、一五号の適用があり得ることとなる。このためその周知度が大きく異なり混同を生ずるおそれのある類似の関係にある周知商標と著名商標がある場合は、周知商標の方は登録できないこととなる。この結果、実際にはいわゆる未周知な役務に係る商標同士、周知な役務に係る商標同士又は著名な役務に係る商標同士が重複登録を受けることとなる。」とされている。
さらに、逐条解説[第11版]における「附則第8条」の記載によれば、「本条は、重複登録に係る商標権の更新登録の不登録事由の特例を定めた規定である。サービスマーク登録制度の導入に当たり、既使用の役務に係る商標については、使用に基づく特例の適用を主張することができるとし、その場合には、互いに抵触する(類似する)役務に係る商標出願があっても、混同を生ずるおそれがない等他に拒絶すべき理由がない限り、重複して登録を認めることとしている。しかし、商標権は存続期間の更新が可能であるため、重複登録された商標権についても通常の商標権と同様に更新を認めるとするならば、相互に抵触する登録商標が半永久的に並存することとなり、その結果、例えば、設定登録後の事情の変化により両者の間で出所の混同のおそれが生ずるに至っている場合、その出所の混同を生ずるおそれも半永久的に存在することとなり、商標法本来の目的に反することになりかねないという問題が生ずる。一項は、前述のような問題、すなわち重複登録に伴う弊害を除去するため、更新不登録事由の特例を設けて、更新時に、通常の場合に加えて、初めの設定登録の時に行ったと同様に『混同を生ずるおそれがある商標』となっていないかを審査することとし、『混同を生ずるおそれがある商標』となっているときは更新を認めないこととしたものである。」とされている。
そこで、以上の観点から請求人の主張(1)について検討する。
請求人登録商標及び引用商標は、同一又は類似する商標であり、同一又は類似する役務に使用されているとして、「使用に基づく特例の適用」を受け重複登録となっていることが認められる。
そして、前記第3で認定したとおり、本願商標と引用商標は、同一又は類似する商標であって、同一又は類似する役務に使用するものである。
してみれば、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に規定する「当該商標登録出願の日前の商標登録出願に係る他人の登録商標又はこれに類似する商標であつて、その商標登録に係る指定商品若しくは指定役務(第6条第1項(第六十8条第1項において準用する場合を含む。)の規定により指定した商品又は役務をいう。以下同じ。)又はこれらに類似する商品若しくは役務について使用をするものは、商標登録を受けることができない」とする規定に該当するものである。
したがって、請求人登録商標及び引用商標の更新登録の審査の結果により、本願商標と引用商標が非類似の商標と推測したうえで、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当しないとする主張は、失当であり、これを参考にすることはできない。

(2)請求人の主張(2)について
本願商標が引用商標と類似し、本願商標の指定役務と引用商標の指定役務が同一又は類似するものであることは、前記第3で認定したとおりである。
引用商標の禁止権が重複登録された請求人登録商標に及ばないとする請求人の主張は、理にかなうものであるものの、引用商標の禁止権が、引用商標の出願日以後に提出された本願商標においても及ばないとする妥当性のある理由は全く見当たらない。
したがって、「引用商標の禁止権が、本願商標に及ばないから本願は登録されるべきである」とする請求人の主張は失当であり、これを参考にすることはできない。

(3)請求人の主張(3)について
逐条解説[第17版]における「附則第9条」の記載によれば、「本条は、重複登録に係る商標権者等は互いに混同防止表示の請求をし得ることを定めた規定である。重複登録の措置により同一又は類似の役務について使用をする同一又は類似の二以上の登録商標がある場合、重複登録された一方の商標権者等がその登録商標をその指定役務について使用する行為には、重複登録された他方の商標権者又は専用使用権者は、差止請求権等を行使することができない。そのため、かかる請求権のかわりに、業務上の利益が害されるおそれのあるときに混同防止表示請求を認めることにより、自己の業務に係る役務と混同を生ずる事態を回避し、その商標権者又は専用使用権者の利益を保護しようとしたものである。また、このような措置は、需要者の保護という点においても望ましいものと考えられる。」とされている。
しかして、この規定は、重複登録に係る商標権者に対し、その商標の使用に際し、混同防止表示を相手方に請求できる旨が述べられている。
すなわち、重複登録に係る商標に混同防止表示を付して使用することが望ましいとされているにすぎず、混同防止表示を付した新たなる商標登録出願を行うことを奨励する規定ではない。
したがって、この規定をもって、「重複登録商標に他方の重複登録商標との違いを明確にする表示を行うことが望ましいことであり、他方とは非類似となる要素を付加した本願商標が登録されることについては、これを排除する実益・必要性はない。」とする請求人の主張は、失当であり、これを参考にすることはできない。

(4)請求人の主張(4)について
本願商標が引用商標と類似し、本願商標の指定役務と引用商標の指定役務が同一又は類似するものであることは、前記第3で認定したとおりである。
そして、請求人が主張する「出願人の重複登録商標と引用商標とが、特例により重複登録されてから13年間もの長きに亘り、その並存登録によって何らの誤認・混同を生じる事もなく平穏にその商標が使用されてきたという事実」によって、重複登録された請求人登録商標及び引用商標が共に更新登録されたとみるのが自然である。
してみれば、前記事実をもって、本願商標を登録すべき事由には該当しないものである。
したがって、この点についての請求人の主張は、採用することはできない。

(5)請求人の主張(5)について
請求人が、先の登録例及び審決例として、平成20年8月27日付け手続補足書により提出された証拠資料甲第4号証の1ないし甲第11号証の2を徴するに、登録例等の商標は、その構成態様や指定役務等において、本願とは事案を異にするものであり、これらの登録例や審決例をもって、本願商標の登録の適否を判断する基準とするのは必ずしも適切とはいえない。
したがって、請求人のこの主張は、採用することができない。

(6)その他の請求人の主張をもってしても、原査定の拒絶の理由を覆すに足りない。

第5 結論
以上によれば、本願商標は商標法第4条第1項第11号に該当するとして本願を拒絶した原査定は妥当であって、取り消すことができない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲1 本願商標




別掲2 引用商標




別掲3 登録第3008977号商標





審理終結日 2009-01-09 
結審通知日 2009-01-16 
審決日 2009-01-30 
出願番号 商願2007-49624(T2007-49624) 
審決分類 T 1 8・ 262- Z (X43)
T 1 8・ 263- Z (X43)
T 1 8・ 261- Z (X43)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 田中 亨子原田 信彦 
特許庁審判長 井岡 賢一
特許庁審判官 豊田 純一
小川 きみえ
商標の称呼 ミニジョイフルレストラン、ミニジョイフル、ジョイフル 
代理人 弁護士法人衞藤法律特許事務所 

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