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審決分類 |
審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Z25 |
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管理番号 | 1193806 |
審判番号 | 取消2006-31047 |
総通号数 | 112 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2009-04-24 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2006-08-24 |
確定日 | 2009-02-09 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第2366084号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 登録第2366084号商標の商標登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第2366084号商標(以下「本件商標」という。)は、「コイーバ」の片仮名文字と「COHIBA」の欧文字とを上下二段に横書きしてなり、平成元年4月6日に登録出願、第17類「被服(運動用特殊被服を除く) 布製身回品(他の類に属するものを除く) 寝具類(寝台を除く)」を指定商品として、同3年12月25日に設定登録、その後、平成13年7月24日に商標権存続期間の更新登録がされ、また、平成14年1月9日に指定商品を第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,和服,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,布製幼児用おしめ,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い,ずきん,すげがさ,ナイトキャップ,ヘルメット,帽子」とする指定商品の書換登録がなされたものであり、当該商標権は現に有効に存続するものである。 そして、本件審判の請求の登録は、平成18年9月12日になされたものである。 第2 請求人の主張 請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由、答弁に対する弁駁の理由、回答書に対する口頭審理における請求人の陳述(口頭審理陳述要領書)、口頭審理における被請求人の陳述(口頭審理陳述要領書及び口頭審理陳述要領書(第2)を含む。)、証人金山洋平の証言及び証人成田武博の証言に対する弁駁の理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証及び甲第2号証を提出した。 1 請求の理由 (1)本件商標は、平成3年12月25日に設定登録を受けてから既に3年以上が経過しているにもかかわらず、本件商標と同一又は社会通念上同一と認められる商標が、本件審判請求に係る指定商品に関し、本件審判請求の予告登録前3年以内に日本国内において、被請求人によって商標法第2条第3項各号に規定する使用がなされた事実を発見することはできなかった。 また、甲第2号証が示すように商標登録原簿には使用権者に係る記録は存在しないから、専用使用権者が本件商標に存在しないことは、商標法第30条第4項で準用する特許法第98条第1項第2号の規定から明らかである。 更に、登録された通常使用権者が存在しないことは甲第2号証から明らかであり、上記使用調査を行った際に、通常使用権者が存在する事実を確認することができなかったことから、本件商標について未登録の通常使用権者も存在しないと信じる。 これらの事実に加え、地震、台風その他の天災地変、類焼、放火、破壊その他の第三者の故意又は過失、法令による全面禁止、許認可手続の遅延その他の公権力の発動等の理由で、被請求人等が本件審判請求に係る各指定商品について、本件商標と同一又は社会通念上同一の商標を使用できなかったという事情が存在することを請求人は知らないし、本件審判請求に係る各指定商品の性質に鑑みて、このような事情による3年間もの不使用は通常考えられないから、本件商標について商標法第50条第2項但書の規定が適用されることはないと思料する。 (2)このように、本件商標と同一又は社会通念上同一の商標について、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者の何れかによって、本件審判請求に係る各指定商品に関し、本件審判に係る予告登録前3年以内に日本国内において、商標法第2条第3項の規定に該当する使用行為がなされた事実は存在しないことから、本件商標が商標法第50条第1項に係る不使用の状態にあり、かつ、その不使用についての正当な理由の存在も確認できず、同条第2項の但書が適用されることもない故、その登録の取消を免れることはできないものと信じる。 よって、本件商標は、その指定商品について、商標法第50条に該当するものであるから、同規定によって当該登録は取り消されるべきものである。 2 答弁に対する弁駁の理由 被請求人は、乙第1号証ないし乙第12号証を提出しているが、同各号証から明らかなことは、当該資料が示す商品は被服に属するものであり、当該被服に直接表示されている商標は「COHIBA」を筆記体で表わしたもので、その表示態様は登録商標と社会通念上同一とはいえないということである。よって、被請求人提出資料に係る商品に直接表示されている商標は、本件商標と同一性のないものであり、使用証拠にはならない。 被請求人提出の資料で確認できる登録商標と同一性のある商標は、すべてタグに表示されているものであるが、単に商品にタグをつけることは極めて容易に行えることであるから、単独では使用証拠として極めて弱いものであり、補強証拠が必要になるはずである。 被請求人提出の乙第5号証の2及び3において、図形と共に「THE COHIBA」を二段書きし、「COHIBA」の文字を大きく表示したシャツの透明なビニール製の包装が写し出されているが、登録商標は「コイーバ/COHIBA」であり、定冠詞の「THE」は含まれていない。加えて、「COHIBA」を発音する場合、その綴りから「コヒバ」という発音するのが自然であり、「コイーバ」という称呼は日本人の感覚では生じないと思われる。少なくとも、「コヒバ」の称呼が生じることを否定することはできないばかりか、「コヒパ」の称呼の方が「コイーバ」より綴りに沿った自然な称呼といえるから、当該使用標章からは、「ザ・コヒバ」あるいは「ザ・コイーバ」の称呼が生じると評価されるべきものである。よって、本件商標からは生じない称呼が生じる態様で使用されていることは明白である。 仮に当該標章から「THE」を除いた「COHIBA」と本件商標と比較しても、後者から生じない「コヒバ」の称呼が前者から生じる以上、社会通念上の同一性が認められることはない。したがって、乙第5号証は、それ自体が単独で本件商標の使用証拠にならないばかりか、補強証拠になるものでもないものである。 このように、被請求人が本件商標の使用証拠として提出したもののうち、本件商標と同一性のある商標が表示されているものは後付が簡単にできる、証拠能力が極めて弱いタグだけであり、その補強証拠となり得るものは一切提出されていない。仮に当該タグに単独での証拠能力を認めたとしても、タグが付けられている時期がいつなのかを特定することができないのであるから、予告登録の日から3年以内であるのかを判断することもできない。加えて、被請求人は、本件商標と無関係の資料を提出している疑いもある。 以上から、被請求人は本件商標と同一の商標を本件審判請求に係る指定商品について、予告登録の日から3年以内の使用を証明していないことから、商標法第50条第2項の立証責任を果たしていないことは明らかであり、本件商標の請求に係る指定商品については、取消されるものである。 3 回答書に対する口頭審理における請求人の陳述(口頭審理陳述要領書) 被請求人は、答弁書において、予告登録日から3年以内の登録商標の使用を立証するための証拠として、商品の写真(乙第1号証ないし乙第6号証、乙第9号証)、写真については、撮影時期が不明なばかりか、写真に写っている商品に値札や商品説明のタグといった販売の際に必ず商品に付けられているはずのものが全く見当たらず、写真に係る商品が実際に販売されていると認めることはできない。これらの写真については、撮影時期を問題にするまでもなく、商品が実際に販売されていたのか疑問であるから、これらの写真だけでは使用証拠として不十分であることは明らかであり、これらの写真に係る商品が実際に予告登録日3年以内に販売されたことを示す資料は別途必要である。 実際に商品を販売している場合、宣伝広告は欠かせないものであるが、被請求人は、そのような資料を何ら提出していない。被請求人は、その理由として回答書の第3頁において、被請求人直営店の「COHIBA」は雑誌(乙第14号証)でこだわりの商品を販売するこだわりの店として紹介され、そのような旨の広告等を行っていたから、直営店「COHIBA」はこだわりの店として知られるようになり、こだわりの商品を求める顧客を意識して宣伝広告を一切行わなくなった結果、予告登録日3年以内の広告資料を提出できないと説明している。 しかし、こだわりの店として知られるようになったという説明は、何ら裏付けとなる資料が提出されていないため、被請求人の独断といわざるを得ず、この点を広告を行わない根拠としていることから、広告を行っていない正当な理由も存在していないことになる。被請求人は、広告を行うことは、こだわりの商品を好む顧客にとってマイナスになるとしているが、直営店がこだわる顧客に認められるに至った理由を雑誌やその他の広告であったと自身が説明していることから、被請求人の主張には矛盾がある。 また、被請求人によれば、直営店が「COHIBA」と称していた時期に何度か移転したと述べており、顧客は宣伝広告をしていない状況では店の移転先を知ることができないから、少なくても顧客に対して移転の事実の通知をしていなければ、事業の存続・発展に大きな打撃となることは容易に推測できる。 このような通知行為は事業を継続していく上で必須といえるものであるが、このような通知の存在を示す資料の提出もない。 加えて、被請求人は直営店を平成13年12月に「crossover」に名称変更をしており、「COHIBA」は商標として使用をしていると述べているが、乙第7号証の直営店の写真には、「COHIBA」なる商標が使用されている事実は何ら確認できない。被請求人は、別件である取消2007-300749においても、「crossover」の直営店の様子の写真を3枚提出しているが、これらの写真にも「COHIBA」を使用している事実を確認することはできない。 被請求人は、「COHIBA」がこだわりの店として認められていることを根拠に宣伝広告をしていないと説明しているが、店舗の名称が変更され、それ以前に移転も数回行っていることから、「COHIBA」の顧客を保持するためにも宣伝広告は不可欠であるはずにもかかわらず宣伝広告をしていないと主張しているのであるから、被請求人が予告登録日3年以内に、登録商標を全く使用していないと考えるのが自然である。 仮に宣伝広告を行っていなくても、被請求人は登録商標を付した商品を販売していると主張しているのであるから、取引書類は提出できるはずである。 以上から、被請求人は宣伝広告をしていない事実を自白すると共に、自ら提出した写真に写っている商品の販売事実を立証することもできていないことから、登録商標の使用の事実すら立証できておらず、撮影時期について問題にするまでもない。その他、写真を補強する証拠も提出されていないことから、本件請求人は、本件登録商標を請求に係る指定商品について取消す旨の審決を希求する。 4 口頭審理における被請求人の陳述(口頭審理陳述要領書及び口頭審理陳述要領書(第2)を含む。)、証人金山洋平の証言及び証人成田武博の証言に対する弁駁の理由 乙第1号証の4、乙第4号証の3及び乙第5号証の4は、値札に商品コード及び価格が表示されていること示すことを目的としたものであるから、これらの証拠は登録商標の使用時期を何ら示すものではないばかりか、示唆するものでもない。また、乙第16号証は、棚卸し報告書であり、商標法上の使用に該当しないものであるので、使用証拠として何ら価値のないものである。同証拠が法上の使用を示すものではない以上、証人が自分で作成した書類であると証言したところで、乙第16号証の証拠としての価値の評価を何ら左右するものではない。 また、被請求人は口頭審理期日に審判廷に乙第1号証、乙第2号証、乙第4号証、乙第5号証の現物を持参したが、これらの現物は使用時期を特定するために持参されたものではないから、これらの証拠によっても、使用時期を特定できるものではない。 さらに、証人による証言についても、事前に提出されていた乙第1号証ないし乙第6号証の撮影日について、証人金山洋平は明確に日付を特定する証言をしておらず、それどころか、撮影場所が自己の勤務する会社の丸ノ内の社屋と証言したのに対し、証人成田武博は、自身が管理するcrossoverで撮影したと証言し、証人金山洋平の証言と食い違っていることを指摘しても、証人成田武博は撮影場所の証言内容を訂正しなかったことから、乙第1号証ないし乙第6号証については撮影した場所さえも特定できない状況にあり、証拠の作成過程に不明瞭な点が存在し、証拠について責任を持って証言できる人物が存在しないことが浮き彫りになった。この事実は、証拠としての信憑性を著しく低下させるものである。 証人金山洋平によれば、乙第1号証ないし乙第6号証の現物を丸ノ内の勤務先の社屋に持ち込んで撮影をしたようであるが、crossoverという店で販売していることを示すために、店舗の外観及び内部を撮影して、その写真を乙第7号証ないし乙第9号証として提出していることから、同店舗内で撮影をせずに、わざわざ丸ノ内に移動して撮影したというのは不自然である。しかも、証人成田武博によれば、乙第1号証ないし乙第6号証が撮影された事実を知らないと証言すると共に、crossoverは証人成田武博が一人で営んでおり、必要に応じてアルバイトを雇っているとも証言していることから、crossoverのすべてを証人成田武博が掌握していると考えられ、証人成田武博に事前承諾も事後承諾も得ずに店舗の商品を外部に持ち出すことは不自然である。よって、証人金山洋平及び証人成田武博の証言をつき合わせれば、証人金山洋平が撮影した乙第1号証ないし乙第6号証の商品の出所は、crossoverではないと疑うのが自然である。乙第1号証ないし乙第6号証の商品がcrossoverの扱う商品ではないということであれば、被請求人代理人の審判廷で、コイーバの商品は新たに仕入れているのではなく、在庫を販売しており、いまだ売れていないという趣旨の発言と、crossoverは被請求人の唯一の店舗である事実とを考え合わせると、乙第1号証ないし乙第6号証の商品、つまり、コイーバの商品は販売されておらず、在庫として処分されずに残っているだけとなる。 そして、在庫として保管されているだけであって販売されていなければ、当然、値札は存在しないはずである。乙第1号証の1ないし3、乙第4号証の1及び2、乙第5号証の1ないし3に写っている商品の値札の形状と紐の色彩が、乙第1号証の4、乙第4号証の3、乙第5号証の4に写っている値札の形状とその紐の色彩が相違するという物的証拠の間での不一致が存在し、証人金山洋平は、乙第1号証ないし乙第6号証の撮影の際、値札を裏返して裏側を確認しておらず、いわれるままに撮影をした旨の証言をしているので、証人金山洋平の証言から、物的証拠間の不一致を合理的に説明することはできない。証人成田武博が、乙第1号証、乙第4号証、乙第5号証に写っている商品と同一商品であり、これらの商品から一度も値札を外したことはないと証言しているが、証人成田武博は乙第1号証ないし乙第6号証の撮影の事実を知らなかったと証言しているのであるから、物的証拠の間の不一致について説明できる立場にないことは明白であるから、二人の証人をもってしても値札に関する不一致の疑念は何一つ解消されていない。販売事実があれば、このような証人と物的証拠との間での不整合、物的証拠の間の不整合、証言の間での不整合が生じるはずはなく、本件商標を付した商品がcrossoverで販売されていないからこそ生じている混乱であると考えるのが自然である。 また、乙第17号証ないし乙第24号証は、すべてオーダースーツに係るものであり、これは第40類に属する役務に関する商標の使用に該当するものであるから、本件審判事件に係る指定商品の使用に該当しないことは明白であり、使用証拠としての価値は全くないものである。 以上から、被請求人は未だ本件商標の使用の時期を証明しておらず、それどころか、提出済みの本件商標と同一商標を表した値札が写っている各証拠の信憑性を疑う合理的理由が存在することが明らかになったことから、被請求人は登録商標の使用の立証責任を果たしていないことは明白である。 よって、請求人は、取消す旨の審決を希求する。 第3 被請求人の答弁 被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、その理由、審尋に対する回答書、口頭審理における被請求人の陳述(口頭審理陳述要領書及び口頭審理陳述要領書(第2)を含む。)で要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第24号証(枝番を含む。)を提出し、証人成田武博及び証人金山洋平の尋問を求めた。 なお、被請求人は、口頭審理(口頭審理陳述要領書(第2))において、答弁書、回答書及び口頭審理(口頭審理陳述要領書)で答弁を訂正し、この訂正に伴い、証拠方法として提出した乙第1号証ないし乙第24号証(枝番を含む。)中、乙第10号証の1及び2、乙第11号証の1及び2並びに乙第12号証の1ないし3を撤回した。 理由 (1)被請求人は、本件審判請求の登録前3年以内に被請求人の直営店「crossover」において、本件審判の請求に係る指定商品中、少なくとも、商品「スーツ,ズボン,ジャケット,コート,開きんシャツ,帽子」(以下「使用商品」という。)について、本件商標を使用している。以下証明事実を詳述する。 ア 被請求人が販売している使用商品には、片仮名文字「コイーバ」と欧文字の大文字「COHIBA」とを上下二段に表示した商標を記した札を取り付け、さらに、これらの商品には欧文字で表示された「COHIBA」又は「Cohiba」の商標が表示されている。 (ア)被請求人が販売している商品「スーツ」の上着及びズボンにそれぞれ付した札には、片仮名文字「コイーバ」と欧文字の大文字「COHIBA」とを上下二段に表示した商標が表示されており(乙第1号証の1ないし3)、この札に表示した商標は、本件商標「コイーバ/COHIBA」と実質的に同一の商標である。 また、この「スーツ」の上着の胸元の裏地及びズボンの胴回りの裏地には、欧文字で表示された商標「Cohiba」が表示されており(乙第1号証の1ないし3)、これらの商標「Cohiba」と、本件商標「コイーバ/COHIBA」とは、欧文字の「Cohiba」の綴りが同一であり、社会通念上同一の商標である。 乙第1号証の4は、「スーツ」の上着に付けられた札(タグ)の写真であり、この札の裏面には、商品コードを表す「80922」の記号および商品の値段「¥130,000」が表示されている。なお、この札の表面に「コイーバ」及び「COHIBA」の文字が表示されている(乙第1号証の2参照)。 (イ)被請求人が販売している商品「ズボン」に付した札には、片仮名文字「コイーバ」と欧文字の大文字「COHIBA」とを上下二段に表示した商標が表示されており(乙第2号証の1及び2)、この札に表示した商標は、本件商標「コイーバ/COHIBA」と実質的に同一の商標である。 また、この「ズボン」の胴回りの裏地には、欧文字で表示された商標「Cohiba」が表示されており(乙第2号証の1及び2)、この商標「Cohiba」と、本件商標「コイーバ/COHIBA」とは、欧文字の「Cohiba」 の綴りが同一であり、社会通念上同一の商標である。 (ウ)被請求人が販売している商品「ジャケット」に付した札には、片仮名文字「コイーバ」と欧文字の大文字「COHIBA」とを上下二段に表示した商標が表示されており(乙第3号証)、この札に表示した商標は、本件商標「コイーバ/COHIBA」と実質的に同一の商標である。 また、この「ジャケット」の胸元の裏地に欧文字で表示された商標「Cohiba」が表示され(乙第3号証)、これらの商標「Cohiba」と、本件商標「コイーバ/COHIBA」とは、欧文字の「Cohiba」の綴りが同一であり、社会通念上同一の商標である。 (エ)被請求人が販売している商品「コート」に付した札には、片仮名文字「コイーバ」と欧文字の大文字「COHIBA」とを上下二段に表示した商標が表示されており(乙第4号証の1及び2)、この札に表示した商標は、本件商標「コイーバ/COHIBA」と実質的に同一の商標である。 また、この「コート」の胸元の裏地に欧文字で表示された商標「Cohiba」が表示され(乙第4号証の1及び2)、これらの商標「Cohiba」と、本件商標「コイーバ/COHIBA」とは、欧文字の「Cohiba」の綴りが同一であり、社会通念上同一の商標である。 乙第4号証の3は、「コート」に付けられた札(タグ)の写真であり、この札の裏面には、商品コードを表す「80932」の記号および商品の値段「¥128,000」が表示されている。なお、この札の表面に「コイーバ」及び「COHIBA」の文字が表示されている(乙第4号証の2参照)。 (オ)被請求人が販売している商品「開きんシャツ」に付した札には、片仮名文字「コイーバ」と欧文字の大文字「COHIBA」とを上下二段に表示した商標が表示され(乙第5号証の1ないし3)、この札に表示した商標は、本件商標「コイーバ/COHIBA」と実質的に同一の商標である。 また、この「開きんシャツ」 の襟首に欧文字で表示された商標「Cohiba」 が表示され(乙第5号証の1ないし3)、この商標「Cohiba」と、本件商標「コイーバ/COHIBA」とは、欧文字の「Cohiba」の綴りが同一であり、社会通念上同一の商標である。 さらに、この「開きんシャツ」の包装用袋の表面に欧文字の大文字で表示された「COHIBA」が表示され(乙第5号証の2及び3)、この「COHIBA」と、本件商標「コイーバ/COHIBA」とは、 欧文字の大文字「COHIBA」 の表示が同一であり、社会通念上同一の商標である。 乙第5号証の4は、「開きんシャツ」に付けられた札(タグ)の写真であり、この札の裏面には、商品コードを表す「80824」の記号および商品の値段「¥178,850」(税込み)」が表示されている。なお、この札の表面に「コイーバ」及び「COHIBA」の文字が表示されている(乙第5号証の1参照)。 (カ)被請求人が販売している商品「帽子」に付した札には、片仮名文字「コイーバ」と欧文字の大文字「COHIBA」とを上下二段に表示した商標が表示されており(乙第6号証の1及び2)、この札に付した商標は、本件商標「コイーバ/COHIBA」と実質的に同一の商標である。 これらの使用商品は、後述のとおり東京都世田谷区下馬二丁目27番13号アビタグリーン74の一階に店舗がある被請求人の直営店「crossover」 において、少なくとも平成15年9月から現在に至るまで販売されている。 イ 上記使用商品が販売されている被請求人の直営店「crossover」には、窓(写真中央中段)に、赤色の欧文字で「crossover」と横書きされた4枚の店舗表示がなされており(「crossover」の写真・乙第7号証)、また、「crossover」の店舗内壁面に欧文字で表示された「Cohiba」の商標が使用されている(「crossover」の店舗内写真・乙第8号証)。 さらに、上記商品「スーツ」(乙第1号証の1ないし3)及び「開きんシャツ」(乙第5号証の1ないし3)は、「crossover」の店舗内ショーケースに陳列して販売されている(「crossover」の店舗内写真・乙第9号証の1及び2)。 ウ 商品「スーツ」の写真(乙第1号証の1ないし3)、商品「ズボン」の写真(乙第2号証の1及び2)、商品「ジャケット」 の写真(乙第3号証)、商品「コート」の写真(乙第4号証の1及び2)、商品「開きんシャツ」の写真(乙第5号の1ないし3)、商品「帽子」 の写真 (乙第6号証の1及び2)は、平成18年11月17 日に、株式会社グリーンスタンプ(被請求人)の本社内において、直営店「crossover」から取り寄せた、ズボン、ジャケット、コート、開きんシャツ、開きんシャツの包装用袋及び帽子を、株式会社グリーンスタンプ(被請求人)の広報担当者が、同社総務部の金山洋平の立会いの下で撮影したものである。 また、直営店「crossover」の店舗外観の写真(乙第7号証)、直営店「crossover」店舗内写真(乙第8号証、乙第9号証の1及び2)は、平成18年11月22日に、株式会社グリーンスタンプ(被請求人)の総務部の金山洋平が、同店舗責任者(マネージングディレクター)の成田武博の立会いの下で撮影したものである。 エ 乙第16号証、被請求人の直営店である「crossover」の在庫と長野倉庫の在庫とを報告する「2006、3月末、G、S、コイーバ棚下し報告書」(以下「棚下し報告書」という。)で、この棚下し報告書は、2006(平成18)年3月末日に、前記の店舗責任者である成田武博によって作成されたものである。 そして、この棚下し報告書の第2頁の「商品コード」の欄には、乙第1号証の4に示された札の裏面の「80922」の記号、乙第4号証の3に示された札の裏面の「80932」の記号および乙第5号証の4に示された札の裏面の「80824」の記号と同じものが記載されている。 したがって、本件商標と少なくとも社会通念上同一と認められる商標が付された商品「スーツ」、商品「コート」および商品「開きんシャツ」が本件審判の請求の登録前3年以内に「crossover」で販売のために展示されていた事実は明らかである。また、これらの事実を成田武博および金山洋平に対する証人尋問でより明らかにする。 オ 被請求人(商標権者)の直営店「crossover」は、平成2年4月から東京都港区西麻布にて「COHIBA」の商号で使用商品等の小売販売を開始し、平成13年12月から、この「COHIBA」の業務を引き継いで、直営店「crossover」(東京都世田谷区下馬二丁目27番13号アビタグリーン74一階)の商号で営業を開始した(乙第13号証第4頁及び第11頁)。 すなわち、被請求人は、商号「COHIBA」の直営店で、小売販売を開始した当初には、例えば「オーダーショップで紳士を気取る洋服とは自己満足なものに過ぎない。だからこそ、“こだわり” を表現する道具になり得るのだ。英国紳士をまねて、自分だけのカスタムメイドで身をかためることの快感を知る。上手にお店をセレクトすることから、まず第一歩が始まるはずだ。」と、こだわりの商品を販売するこだわりの店として雑誌の記事(乙第14号証第41頁、第46頁、第79頁、第287頁)で紹介され、雑誌の広告(乙第14号証第140頁及び第141頁)及びパンフレットによる広告(乙第15号証第5頁)をも行っていたことから、直営店「COHIBA」は、徐々にこだわりの商品を求めるこだわりの客から贔屓される店となった。 そして、この直営店「COHIBA」は、広告宣伝によりこだわりの商品を小売販売するこだわりの店として知られるようになり、また、この直営店「COHIBA」の顧客は流行に左右されないこだわりの商品を求めて来店し、このような顧客は流行的な店となることを嫌うことから、直営店「COHIBA」は広告宣伝を一切行わなくなった。 その後、直営店「COHIBA」は、店舗を数次にわたって移転し、平成13年12月に現在の世田谷区下馬二丁目27番13号アビタグリーン74一階に移転した際に、商号を「crossover」と改めるとともに、こだわりの店として知られた旧商号、「COHIBA」を引き続き商標として使用し、現在まで引き続き「crossover」の商号の店舗で商標「コイーバ/COHIBA」を用いて、使用商品等を小売販売してきた(乙第7号証、乙第8号証、乙第9号証の1及び2)。 上記事情から、通常の営業と異なり、現在では、被請求人(商標権者)の直営店「crossover」には、商標「コイーバ/COHIBA」 を、使用商品等に使用したチラシ、カタログ、パンフレット等がないのが実状である。 カ 請求人の主張に対する反論 請求人は、乙第5号証の2及び3の商品「開きんシャツ」の包装用袋に表示された「THE COHIBA」について、定冠詞の「THE」が含まれており、本件登録商標からは「ザ・コヒバ」及び「ザ・コイーバ」の称呼を生じる旨を主張する。 しかしながら、乙第5号証の2及び3の包装用袋に表示された定冠詞の「THE」は、「COHIBA」の上段に小さく表示されており、「THE COHIBA」の表示からは通常「THE」は称呼されずに「COHIBA」の表示から「コイーバ」の称呼を生じるのが自然である。 そして、この「コイーバ」の称呼は、本件商標「コイーバ/COHIBA」と称呼が同一であり「THE COHIBA」と本件商標とは社会通念上同一の商標である。 さらに、「THE COHIBA」の表示中の定冠詞の「THE」は、上段に小さく付したに過ぎないから「THE COHIBA」の表示は「COHIBA」を強調したものと理解され、さらに「COHIBA」は、本件商標「コイーバ/COHIBA」の「COHIBA」と共通した表示であるから、「THE COHIBA」の表示と、本件商標「コイーバ/COHIBA」とは同一の観念を生じる社会通念上同一の商標である。 (2)結び 以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、指定商品に含まれる使用商品について、本件商標「コイーバ/COHIBA」及び本件商標と社会通念上同一の商標「COHIBA」又は「Cohiba」を使用しているから、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により、その商標登録を取消されるべきものではない。 第4 当審の判断 被請求人は、乙第1号証ないし乙第24号証(枝番を含む。)並びに証人成田武博及び証人金山洋平の証言によって、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、指定商品に含まれる使用商品について、本件商標及び本件商標と社会通念上同一の商標を使用している旨主張している。 なお、被請求人は、平成20年7月22日付け口頭審理陳述要領書(第2)により、乙第1号証ないし乙第24号証(枝番を含む。)中、乙第10号証の1及び2、乙第11号証の1及び2、並びに乙第12号証の1ないし3を撤回し、請求人もその撤回を認めた(第1回口頭審理調書及び証拠調べ調書)。 1 被請求人の提出に係る上記証拠についてみるに、 (1)乙第1号証ないし乙第6号証(枝番を含む。)によれば、使用商品が写されており、本件商標の指定商品中の第25類「スーツ,ズボン,ジャケット,コート,開きんシャツ,帽子」の範疇に属するものと認められる。 そして、それらの使用商品には、片仮名文字「コイーバ」と欧文字の大文字「COHIBA」とを上下二段に表示した商標を記した札を取り付け、また、これらの使用商品には欧文字で表示された「COHIBA」又は「Cohiba」の商標が表示されている。 (2)乙第7号証の写真は、被請求人の直営店を示しているにすぎない。 窓(写真中央中段)に、赤色のような色彩で「crossover」らしき欧文字で横書きされた4枚の店舗表示がなされている。 (3)乙第8号証の写真は、欧文字で表示された「Cohiba」の文字が壁面に表示されている。 (4)乙第9号証の1及び2の写真は、「スーツ」及び「開きんシャツ」等が、店舗内ショーケースに陳列され、欧文字の大文字で表示された「THE」「COHIBA」の文字が上下二段に表示されている(乙第9号証の2)。 (5)乙第13号証「被請求人の『経歴書』」は、4頁に「事業内容 ■アパレル事業『crossover』」と、5頁に「グループ会社(国内) グリーンスタンプ株式会社(ポイント・カードシステム販売業)〒100-0005 東京都千代田区内丸の内3-3-1(新東京ビル)」と、及び11頁に「沿革 平成2年4月?メンズアパレル事業の店舗展開開始。『ザ・コイーバ』西麻布店開店。」と記載されている。 (6)乙第14号証、雑誌「MEN'S CLUB 10 1990」(1990年10月1日発行 通巻357 発行所 株式会社婦人画報社)は、第41頁に「完全復活のブレザー。英国調スタイルでは、合わせるアイテムがポイント。」、「cohiba」とブレザーの写真、●クラブブレザー ¥69000〈コイーバ〉シャツ¥9800〈ケント〉、第79頁に「ツイードといったらハリス・ツイードがあまりにも有名だがこのほかに最近は様々な種類のツイードが出てきているのだ。従来のハリス・ツイードを頑固に守るジャケット。¥78000〈コイーバ〉とジャケット等の写真、第141頁には、「英国の男が最もエレガントだった時代が蘇ってくる店、コイーバ」「今年4月10日にオープンしたばかりのコイーバだが、・・・」「●〈コイーバ西麻布ショップ〉東京都港区西麻布4-14-12・・・」、「問い合わせ先/コイーバ・インターナショナル ・・・」等の記事が掲載されている。 (7)乙第15号証、「パンフレット」の写しは、1頁目に「BY ANDBY FOR LAZY SUSAN & IL・MAKIAGE MEMBERS VOL.8 1991 CHRISTMAS ISSUE」、5頁目に「COHIBA 1st.Anniversary 12/22・23・24 12/20までコイーバで会員証提示の会員の方にその場で50%割引チャンスをプレゼント。」「生き方に、服装に、永遠のスタイルを求める男達のショップ、コイーバ、オープン1周年を記念して12月20日までにコイーバでお買物をされたお客様に、もれなく・・・差し上げています。」「● COHIBA 西麻布SHOP 東京都港区西麻布4-14-12・・・」等の記事が掲載されている。 (8)乙第16号証、「棚下し報告書」の写しは、1頁目に「2006・3月末・G・S・コイーバ棚下し報告書 crossover店在庫 3302,900 長野倉庫在庫 8425,000 合計11727,900 以上御報告致します。 2006.3月末日 crossover 成田武博」等が記載され、「成田」の印が捺印されている。 3頁目(NO.002)に「2006・3月末・G・S・crossover店 コイーバ棚下し表」、「ブランド名 旧サイズオーダー」、一段目には「商品コード 80961 商品名 綿トラウザース ベルト通し カラー ブルー 個数 5 上代 24000 仕入値 60」、7段目には「商品コード 80922 商品名 シングル、ディナースーツ 個数 2 上代 130000」、13段目には「商品コード 80932 商品名 グレー チェスターコート サンプル 個数 1 上代 128000」、16段目には「商品コード 80824 商品名 ビエラ・ロング ボイルド シャツ 個数 3 上代 17000」等が記載され、「成田」の印が捺印されている。 (9)乙第17号証の1ないし6、「オーダースーツの上着」の写真は、スーツの上着に「Cohiba」「Classics」の欧文字で表した織りネーム等及び「TESSUTO」「Ermenegildo Zegna」「Made in Italy」「TROFEO」(登録商標である旨の円内にR)」「Superfine Australian wool」等の織りネームが胸元の裏地に縫い付けられ、「MR T.Narita」「DATE.2006・7」「CUT.T.Kondo」等の文字が付された記録タグが内ポケットに縫い付けられている。 (10)乙第18号証、「オーダー仕様書」の写しは、中央上に「MADE TO SPECIALS」、右上に「DATE 2006.6」「VENDOR 成田武博」「CUSTOMER NAME成田武博様」「CLOTH NO.089T.0015」「品番<80899>」「138-817-377」「SAMPLE」とその布地、「DISTRIBUTOR (有)関口商店」「JACKET MEASUREMENTS・・・TROUSER MEASUREMENTS・・・」の文字が記載されている。 (11)乙第19号証、「オーダー仕様書」の写しは、中央上に「MADE TO SPECIALS」、右上に「DATE 2006.5.20」「VENDOR 成田武博」「CUSTOMER NAME 岡崎公彦様」「CLOTH NO. 089T?0115」「品番<808227>」「138-817-376」「SAMPLE」とその布地、「DISTRIBUTOR(有)関口商店」「JACKET MEASUREMENTS・・・TROUSER MEASUREMENTS・・・」の文字が記載されている。 (12)乙第20号証、「納品書」の写しは、「納品書 年5月25日」「SEKIGUCHI」「マルゼン商事(株)COHIBA様」「下記のとおり納品しました」「品名 1 088T?0115 Zerna・・・摘要 秋冬 オーダースーツ生地 岡崎様・・・」等が記載され、「成田」の印が捺印されている。 (13)乙第21号証、「納品書」の写しは、「納品書 2006年7月25日」「NO.270」「マルゼン商事株式会社様」「Vick」「下記のとおり納品しました」「品名 <80822>138?817-376 岡崎様 ・・・」「品名 <80899>138?817-377 成田様・・・」等が記載され、「成田」の印が捺印されている。 (14)乙第22号証、「納品書」の写しは、「納品書 18年7月22日」「NO._ _」「マルゼン商事 コイーバ様」「大堀縫製所」「下記のとおり納品しました」「品名 1 138?817-370・・・米倉様スーツの下」「品名 2 138?817-377・・・ 成田様スーツの下」等が記載され、「成田」のサインがされている。 (15)乙第23号証の1及び2、「納品書」及び「商品販売決定書」の写しは、乙第23号証の1、「納品書」には、「納品書(入荷日報A)(株)グリーンスタンプ コイーバ様」「18年8月末日」「No. 」「納入会社名 マルゼン商事株式会社・・・」「品名・規格 別紙明細 委託分」等が記載され、「土井」の印が捺印されている。 また、乙第23号証の2、「商品販売決定書」には、「商品販売決定書」「DATE 2006 8.31」「CUSTOMER(株)グリーン・スタンプ、コイーバ」「SALESPERSON マルゼン商事(株)」「MODEL NO. 8/8 80853・・・」「8/17 80899・・・」等が記載され、「成田」の印が捺印されている。 (16)乙第24号証の1及び2、「crossover店売上日報」及び「売上日報」の写しは、乙第24号証の1、「crossover店売上日報」には、「crossover店売上日報」「2006年8月17日木曜日 天気雨 レジスター委託A(L) 現金 9975・・・オーダーメイド クレジット110250・・・クレジット明細 ビザ/マスターカード・・・成田武博・・・」等が記載され、「田崎」「成田」の印が捺印されている。 また、乙第24号証の2、「売上日報」には、「店売上日報」、欧文字で表示された「Cohiba」の文字、「コード 80899 商品コード オーダースーツ ・・・備考 成田武博」、「2006年8月17日(木)平日・・・天候 雨・・・」等が記載され、「成田」の印が捺印されている。 (17)金山洋平証人(平成20年7月22日施行)の証言の概要は、以下のとおりである。 ア クロスオーバーで扱っている商品は、レイジースーザン商品のブランド の商品及びコイーバ関係の服、あとは雑貨関係である。 イ コイーバ関係の商品は、スーツ、コート及びシャツ等である。 ウ コイーバの商標との表示及び使用は、筆記体と、普通文字のCOHIB Aという英語のつづり及び片仮名である。 エ 商標が商品にどのようについているかは、織りネーム及びタグなんかに ついている。 オ タグは、コイーバの普通文字のつづりと片仮名及び値段などが書いてあ り、この事件が始まってから、証拠ということでお店のほうから取り寄せ て、本部で写真を撮った。 カ タグは、ひも、糸について、ボタンに巻かれていたとか、あと穴に通さ れていたりで、それは白色だったと思う。 キ 乙第1号証の1ないし3は、私が当社の本社の会議室撮ったものである 。 ク 乙第1号証の4は、私が撮ったものである。 ケ 乙第1号証の1ないし3のタグと乙第1号証の4のタグとの関係は、同 じ商品なんでしょう、タグの裏側だと思う。 コ 乙第4号証の1、2は、コート、オーバーコートというふうに聞いてい る。 サ 乙第4号証の1及び2のタグと乙第4号証の3のタグとの関係は、裏返 したものである。 シ 乙第5号証の1、2、3、コイーバのシャツで、私が撮った。 ス 乙第5号証の1ないし3のタグと乙第5号証の4の関係は、同じものを 、札を裏返したものだと思う。赤い電気の下で撮ったので、それで色が違 うのかと思う。 セ 乙第2号証の1と2は、コイーバのズボンで、私が撮った。 ソ 乙第6号証の1及び2は、コイーバの帽子、私が撮った。撮影条件は、 定かではない。 タ 乙第7号証は、クロスオーバーの店舗の前面の写真で私が撮った。 チ 乙第8号証は、クロスオーバーの店舗の内部の写真で私が撮った。 ツ 乙第9号証の1、2クロスオーバーの店舗の内部写真で、乙第9号証の 1はに写っているのは、スーツである。 テ 私は、クロスオーバーの店舗で仕事をしていない、現場には立っていな い。 ト これらの商品は、全て私が撮った。撮影場所は、当社の本社で、住所は 丸の内三丁目3番1号。撮影日は、平成18年11月17か18かである 。 ナ 乙第5号証の4は、後で撮ったものである。乙第1号証の1、2、3、 乙第2号証の1、2、乙第3号証の1、2、乙第5号証の1、2、3、乙 第6号証の1、2と違う日で、これは平成18年11月17か18である 。 ニ 乙第1号証の4,乙第4号証の3、乙第5号証の4のほうのタグの糸は すべて白くなっている。これの撮影日、先週の木曜日である。 ヌ 乙第1号証の4,乙第4号証の3、乙第5号証の4のほうのタグは、そ の場でひっくり返して撮影したのではない。 ネ この商品は、グリーンスタンプのほうで保管していたものを取り寄せて 撮影したのではなく、一度店舗のほうに戻っている。 ノ その間のタグが置きかわった可能性は何とも言えない。 ハ 答弁書添付の第1回目の商品と乙号証で出されているものと7月に第2 回に撮影した商品が全く同一のものの商品かは、全く同一のものの商品を 写したというふうに聞いている。 ヒ 乙第16号証は、決算期につくっている在庫が幾つあるかという資料で 、当社の決算期に合わせてつくっている在庫の棚卸し表になる。 (18)成田武博証人(平成20年7月22日施行)の証言の概要は、以下のとおりである。 ア クロスオーバーは、平成13年ごろ開店した。 イ クロスオーバーというブランドの紳士服を販売している。主に今はオー ダー服、注文服を扱っている。 ウ 平成13年当時は、既製服もやっていた。 エ コイーバというブランドでやっていた。 オ クロスオーバーは、スーツ、ジャケット、パンツ、メンズに関してはあ らゆる商品を売っていた。 カ 商品には、コイーバのタグと、コイーバという織りネーム、服の内側に 縫いつけて表示していた。 キ タグは、商品番号、5桁で管理しているので、5桁番号と、あとは売り 値である。商標は、タグにはついている。コイーバというタグがついてい る。 ク 商品コードと値段というのは皆同じところについている。 ケ 商標と並んで織りネームが内側についている。 コ 商品コードもタグの中に記入されている。タグの裏側についている。糸 は 白糸を使っている。 サ クロスオーバーで今でもコイーバという商標を使用し、展示販売してい る。 シ タグの裏側に商品コードは、棚卸し表というのがあり、年に2回、それ に在庫をつけている。 ス 乙第1号証の1ないし3は、スーツで、今販売しているものである。 セ 乙第2号証の1はパンツである。うちで売っているものである。 ソ 乙第2号証の2は、タグと、縫いつけた織りネームである 。 タ 乙第4号証の1及び2は、オーバーコートで、乙第4号証の2は、ネ ームとタグである。 チ 乙第5号証の1は、タグがついている。 ツ 乙第5号証の2は、お客様にお渡しするときの袋である。 テ 乙第6号証の1は、帽子、ハンチングである。 ト 乙第6号証の2は、タグが写っている。これらの商品は展示販売してい る。 ナ 乙第1号証の4と乙第4号証の3、4はジャケットの写真であり、この 真ん中にある白いものは、タグである。コイーバのタグの裏側に5桁の商 品番号と、あとは値段で、あとサイズが記入されている。 ニ 乙第4号証の3はコイーバのタグの裏側のほうであり、商品コードと値 段と、あとサイズが入っている。 ヌ 乙第5号証の4には、5桁の商品番号と値段であり、コイーバの裏側の ほうの写真である。 ネ 商品コード5桁は、棚卸し表にて管理されている。 ノ 棚卸し表には、コイーバの製品が書いてある。商品コード、商品名とあ とは値段が書いてある。 ハ 乙第16号証は、棚卸し報告書であり、私が書いたものである。 ヒ 棚卸し報告書を作成したのは、2006年3月末、3月末に棚卸しのと きのであり、私が書いたものである。 フ 棚卸し報告書は、長野ではなくてクロスオーバーのお店にある在庫の一 覧表である。 ヘ お店にあるというのは、すべて陳列して販売している。 ホ 棚卸し報告書の7行目の80922というのは、写真に出てたコイーバ のテーラースーツのものである。 マ 棚卸し報告書の下6行目に80932というのは、先ほど出てた写真、 載せてたコイーバの。オーバーコートの品番であり、3行下の80824 は、先ほど出てたコイーバのワイシャツである。 ミ 乙第1号証から基本的にこの乙第6号証の2とか、あとお店の写真もそ の方が撮ったことに間違いない。 ム クロスオーバーは、専属の従業員は私だけであり、毎日ではないがお手 伝いのアルバイトが1名(女性)いる。 メ 乙第7号証の撮影は、担当の方が、その場で撮ったと思う。私詳しくは 聞いていません。 モ 商品はお店で撮っていると思う。 ヤ 乙第1号証の2と3と本日新たに提出されているものと何か糸の色が違 っているのは、ライトの写りぐあいだと思う。 2 以上の証拠に基づき、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、指定商品に含まれる使用商品について、本件商標又は本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用しているか否かを検討するに、以下のように認定、判断するのが相当である。 (1)乙第1号証の1ないし3と乙第1号証の4の商品、乙第4号証の1及び2と乙第4号証の3の商品及び乙第5号証の1ないし3と乙第5号証の4の商品が同一商品か並びに乙第16号証について ア 乙第1号証の1ないし3、乙第4号証の1及び2及び乙第5号証の1ないし3の商品の写真の撮影日、撮影場所及び撮影者について (ア)撮影日は、被請求人によると平成18年11月17日と答弁し、証人 金山洋平によると平成18年11月17日か18日と証言していることから、平成18年11月17日ごろであると認められる。 (イ)撮影場所は、被請求人によると株式会社グリーンスタンプの本社内であると答弁し、証人 金山洋平の証言によるとこの事件が始まってから、証拠ということでお店のほうから取り寄せて、本部で写真を撮ったと証言し、証人 成田武博の証言によると商品はお店で撮っていると思うと証言していることから、撮影場所については、明確ではない。 (ウ)撮影者は、被請求人によると株式会社グリーンスタンプの広報担当者が、同社総務部の金山洋平の立会いの下で撮影したと答弁し、証人 金山洋平によると乙第5号証の1、2、3、コイーバのシャツで、私が撮った。乙第2号証の1と2は、コイーバのズボンで、私が撮った。乙第6号証の1及び2は、コイーバの帽子、私が撮った。撮影条件は、定かではないと証言し、証人 成田武博によると乙第1号証から基本的にこの乙第6号証の2とか、あとお店の写真もその方が撮ったことに間違いないと証言していることから、撮影者は、株式会社グリーンスタンプの広報担当者又は証人 金山洋平である。 イ 乙第1号証の4、乙第4号証の3及び乙第5号証の4の商品の写真の撮影日、撮影場所、撮影者及び撮影方法について (ア)撮影日は、証人 金山洋平によると先週の木曜日であると証言していることから、口頭審理期日前の平成20年7月17日の木曜日であると認められる。 (イ)撮影場所は、証人 成田武博によるとお店で撮っていると思うと証言しているのみである。 (ウ)撮影方法は、証人 金山洋平によると乙第1号証の4、乙第4号証の3、乙第5号証の4のタグは、その場でひっくり返して撮影したのではない。この商品は、グリーンスタンプで保管していたものを取り寄せて撮影したものであり、1度店舗に戻っている。その間のタグが置きかわった可能性は何とも言えないと証言している。 ウ 乙第1号証の1ないし3、乙第4号証の1及び2、乙第5号証の1ないし3に写っている商品の値札の形状と紐の色彩と乙第1号証の4、乙第4号証の3、乙第5号証の4に写っている値札の形状と紐の色彩ついて (ア)証人 金山洋平によると、乙第1号証の1ないし3のタグと乙第1号証の4のタグとの関係は、同じ商品なんでしょう、タグの裏側だと思う。乙第4号証の1及び2のタグと乙第4号証の3のタグとの関係は、裏返したものである。タグは、ひも、糸について、ボタンに巻かれていたとか、あと穴に通されていたりで、それは白色だったと思う。乙第5号証の1ないし3のタグと乙第5号証の4の関係は、同じものを、札を裏返したものだと思う。赤い電気の下で撮ったので、それで色が違うのかと思う。答弁書添付の第1回目の商品と乙号証で出されているものと7月に第2回に撮影した商品が全く同一の商品かは、全く同一の商品を写したと聞いている。 (イ)証人 成田武博によると、商品コードもタグの中に記入されている。タグの裏側についている。糸は白糸を使っている。乙第1号証の2と3と本日新たに提出されているものと何か糸の色が違っているのは、ライトの写りぐあいだと思う。 以上の(ア)及び(イ)のとおりであるから、証言には曖昧な点が多々ある。 エ 乙第1号証の4、乙第4号証の3、乙第5号証の4の写真に写っている札(タグ)の商品コード及び商品の値段等の表示が手書きの記載であることについて 乙第7号証ないし乙第9号証及び乙第16号証によれば、crossoverは、多量の商品を販売している店と認められること、及び原則証人 成田武博が一人で営んでいること等から判断すると、手書きによる札(タグ)の商品コード及び商品の値段等の表示は極めて不自然であるとみるのが相当である。 以上のアないしエを総合して判断すると、乙第1号証の1ないし3と乙第1号証の4の商品、乙第4号証の1及び2と乙第4号証の3の商品及び乙第5号証の1ないし3と乙第5号証の4の商品が同一商品かについては、撮影場所、撮影者、撮影方法、値札の形状と紐の色彩、札(タグ)の商品コード及び商品の値段等の表示が手書きの記載であることについて整合等に疑問がある上に重要な内容につき曖昧な点があり措信することができない。 オ 乙第16号証について 被請求人によると、クロスーバーの在庫品であり店頭品ではない、バックヤードがないので在庫品と同様である。と陳述し(第1回口頭審理調書及び証拠調べ調書)、証人成田武博によると、乙第16号証は、棚卸し報告書であり、私が書いたものである。棚卸し報告書を作成したのは、2006年3月末、3月末に棚卸しのときのであり、私が書いたものである。棚卸し報告書は、長野ではなくてクロスオーバーのお店にある在庫の一覧表である。お店にあるというのは、すべて陳列して販売している。と証言し、証人金山洋平によれと、乙第16号証は、決算期につくっている在庫が幾つあるかという資料で、当社の決算期に合わせてつくっている在庫の棚卸し表になる。と証言していることを総合して判断すると、乙第16号証に記載された商品中の乙第1号証の1ないし4の商品(スーツ)、乙第4号証の1ないし3の商品(コート)及び乙第5号証の1ないし4の商品(開きんシャツ)が、本件審判請求の登録前3年以内に店頭等で現実に販売していたか不明であり、他にこれを認める客観証拠はない。 (2)乙第2号証の1及び2(ズボン)、乙第3号証(ジャケット)、乙第6号証の1及び2(帽子)について 本件商標が本件審判請求の登録前3年以内に被請求人により本件商標を商品「ズボン,ジャケット,帽子」に使用していたことを証明する客観証拠はない。 (3)乙第17号証ないし乙第24号証(枝番を含む)について ア 乙第17号証の1ないし6、乙第18号証、乙第22号証、乙第23号証の1及び2並びに乙第24号証の1及び2は、「成田武博のオーダースーツの上着」の写真並びに「オーダー仕様書」、「納品書」、「納品書(入荷日報A)」、「商品販売決定書」、「crossover店売上日報」及び「売上日報」の各写しであり、「MR T.Narita・・・」の文字が付された記録タグが内ポケットに縫い付けられている(乙第17号証の6)、「成田」の印が捺印されている又は「成田武博」の署名があるが、成田武博は、前記「crossover」の店舗責任者の証人成田武博であり、他の需要者の取引書類の提出も困難があるとは考えられないから、該証拠のみによってはにわかに信用することができず、他に認めるに足りる証拠はない。 イ 乙第19号証ないし乙第21号証は、「オーダー仕様書」、各「納品書」であるから、役務「イージーオーダー紳士服の仕立て」の使用であり、使用商品を製造、販売等していることを証明する証拠とはなり得ないと判断するのが相当である。 その他、認めるに足りる証拠はない。 してみれば、被請求人が提出した各乙号証及び各証人の証言によっては、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求にかかる指定商品のいずれかについて本件商標又は本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用をしていることを証明したとはいえない。 したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審理終結日 | 2008-11-19 |
結審通知日 | 2008-11-21 |
審決日 | 2008-12-22 |
出願番号 | 商願平1-39264 |
審決分類 |
T
1
31・
1-
Z
(Z25)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 山田 清治 |
特許庁審判長 |
中村 謙三 |
特許庁審判官 |
前山 るり子 石田 清 |
登録日 | 1991-12-25 |
登録番号 | 商標登録第2366084号(T2366084) |
商標の称呼 | コイーバ、コヒーバ |
代理人 | 樺澤 聡 |
代理人 | 山田 哲也 |
代理人 | 浅村 皓 |
代理人 | 高原 千鶴子 |
代理人 | 樺澤 襄 |
代理人 | 根本 雅成 |
代理人 | 浅村 肇 |