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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 230
管理番号 1192416 
審判番号 取消2008-300288 
総通号数 111 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2009-03-27 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2008-03-05 
確定日 2008-12-01 
事件の表示 上記当事者間の登録第466866号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第466866号商標(以下「本件商標」という。)は、「ささめ」の平仮名文字を表してなり、昭和29年6月18日に登録出願、第47類「穀菜類、種子、果物、穀粉、澱粉及びその製品」を指定商品として、昭和30年6月10日に設定登録され、その後、取消審判の請求があった結果、指定商品中「とうふ、凍りどうふ、あぶらあげ、こんにゃく、豆乳」についての商標登録が取り消され、平成17年11月24日に指定商品を第30類「米,脱穀済みのえん麦,脱穀済みの大麦,食用穀粉,食用麦粉,食用でん粉,食用くず粉,めん類」とする指定商品の書換登録がされ、その商標権は現に有効に存続しているものである。
また、本件審判の請求の登録日は、平成20年3月28日である。
第2 請求人の主張の要点
請求人は、「本件商標の指定商品中『第30類 めん類』についての登録を取り消す。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求めると申し立て、その理由として、本件商標はその指定商品中「めん類」について、過去3年間日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実がない。よって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により、その登録を取り消されるべきである旨主張している。
第3 被請求人の答弁の要点
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第10号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 本件商標の通常使用権について
本件商標について、登録名義人である株式会社水上より株式会社太鼓亭に対して2000年1月1日付にて非独占的使用許諾がなされている。つまり、株式会社太鼓亭は2000年1月1日より本件商標の通常使用権者である。前記使用許諾が2000年1月1日になされていることを証明する証拠として、被請求人は乙第1号証の1ないし乙第1号証の3を提出する。
なお、乙第1号証の1には譲渡人(商標権登録名義人)が水上興産株式会社と表示されているが、水上興産株式会社はその後株式会社水上と社名変更を行い、さらに所在地を移転して現在に至っている。乙第1号証の1表示の譲渡人(商標権登録名義人)が本件商標の登録名義人と同一主体であることの証拠として、被請求人は乙第3号証及び乙第4号証を提出する。
乙第1号証の1の題目は「商標権売買契約書」となっており、また、当事者をそれぞれ譲渡人、買受人と表示しているため、一見これは商標権の譲渡契約書のように思われる。しかし、本契約書は、当事者間ではいわゆる通常使用権の許諾を意図したものである。つまり、通常であれば題目を商標使用許諾契約書等とされるものが、産業財産権制度に不慣れな当事者が前記のようにやや不自然と感じられる題目を用いたに過ぎない。同契約書中で用いられている「売買」の文言が、当事者間ではいわゆる通常使用権の許諾を意図したものであることを疎明する証拠として、被請求人は乙第1号証の2を提出する。また、乙第2号証として提出する本件商標の登録原簿の記載から明らかなとおり、本契約の締結後の平成17年3月30日に株式会社水上によって本件商標の存続期間の更新登録が行われていることも、本契約がいわゆる譲渡契約書ではなく、使用権の許諾を意図したものであることを疎明している。
なお、乙第1号証の1ないし乙第1号証の3並びに乙第2号証のいずれにも、株式会社太鼓亭が本件商標を独占的に使用できることを示唆する記載は存在していない。つまり、本契約書はあくまでも通常使用権を許諾したものである。本通常使用権は乙第2号証に示す商標登録原簿に登録がなされていない。しかしながら、商標法第31条第4項で準用する特許法第99条第1項及び第3項では、通常使用権の登録は、その商標権又は専用使用権を事後に取得した者に対する対抗要件、もしくは、通常実施権の移転等の第三者への対抗要件とされているに過ぎない。つまり、通常使用権の効力発生に登録は不要であり、したがって前記商標権売買契約書締結により、株式会社太鼓亭は本件商標の通常使用権者になっている。
2 本件商標の通常使用権者による使用について
本件商標の通常使用権者(株式会社太鼓亭)は、本件商標を細うどんについて使用しており、これが本件商標の指定商品に含まれるめん類に該当することは日本国の社会通念に照らして明らかである。商品が食品であることから、本件商標の通常使用権者は本件商標を主に商品の包装に付して、又は、商品のカタログや価格表等に付して使用している。また、本件商標の通常使用権者はその店舗で飲食物の提供を行っており、これら店舗でめん類について、本件商標をメニューや価格表に付して使用している。
本件商標の通常使用権者が、本件商標をめん類について使用している証拠として、被請求人はかつて使用していたメニューの写真である乙第9号証を提出する。乙第9号証裏面に「2006.11発行」と表示されていることから明らかであるとおり、当該メニューは平成18年11月頃から使用されていたものである。また、内面には細うどんについて「ささめ」の商標とともに「480円」といった商品価格が表示されており、めん類について本件商標が使用されている。つまり平成18年11月頃には本件商標がその指定商品について使用されていたことが証明されており、本件商標の指定商品であるめん類に係る商品が実際に実体を持って取引されていたことを証明している。
加えて、被請求人が提出する乙第10号証及び乙第6号証は、それぞれ本件商標を使用している商品の発送に使用している外箱及び製造仕様書である。乙第10号証にも本件商標が表示されているとともに、原材料名表示欄の記載などから、本件商標がめん類について使用されていることが理解される。また、外箱の製造仕様書は平成19年6月22日付けになっており、この頃に本件商標がめん類について使用されていたこと及び本件商標を使用して商品が実際に取引の対象として実体を持って存在していたことを疎明している。
同様に、被請求人が提出する乙第7号証は、本件商標を使用した商品が中元として取引されていたことを示す証拠である。題目が「2007年お中元申込用紙」とされている本証は、本件商標の称呼そのものである「ささめ」を5個と「うどん」を5個を平成19年7月27日にファクシミリで申し込んだものであり、これの対価として金5,180円のレシートが添付されている。レシートの日付は2007年7月31日となっており、平成19年7月31日時点で本件商標が使用されており、本件商標を使用した商品が実際に取引の対象として実体を持って存在していたことを証明している。なお、乙第7号証には営業秘密(顧客の住所や電話番号といった個人情報)を含むため一部を塗りつぶしているが、本審判の請求人が本証の有効性に関して争う場合、被請求人は口頭審理の場において原本を示す準備がある。
以上のとおり、被請求人は平成18年11月頃、平成19年6月22日頃、そして平成19年7月31日に、本件商標が使用されていたことを証明した。これらはすべて本件審判に係る審判請求書の提出日である平成20年3月5日以前である。つまり、本件商標は、本件審判が請求されることを知らずに本件商標の通常使用権者によって使用されていたことが明らかである。つまり、商標法第50条第3項に定められる「第1項の審判の請求前3月からその審判の請求の登録の日までの間に、日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品又は指定役務についての登録商標の使用をした場合であって、その登録商標の使用がその審判の請求がされることを知った後であること」には本件は該当しない。
さらに、本件商標が現在も継続して使用されていることを証明する証拠として本件商標の通常使用権者が運営しているインターネットサイトの打ち出しである乙第8号証を提出する。これは、すでに証明した本件商標の通常使用権者による店頭での商品販売等に加えて、インターネットを用いた通信販売にて、本件商標を使用した麺類を販売しているもので、現在もその運用を継続している(下記URLから参照できる)。
(株式会社太鼓亭インターネットサイトURL)
http://store.shopping.yahoo.co.jp/taikotei/index.html
商標法第2条第3項第1号及び第8号では、商標(標章)の使用とは「商品又は商品の包装に標章を付する行為」及び「商品若しくは役務に関する広告、価格表若しくは取引書類に標章を付して展示し、若しくは頒布し、又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」であると定めているところ、以上の証拠によって、本件商標の通常使用権者がこれら商標法に定める商標の使用を少なくとも平成18年11月頃、平成19年6月22日頃、そして平成19年7月31日には行っており、かつ、現在も継続していることが明らかである。
3 本件商標と使用商標の同一性について
本件商標の態様は、乙第3号証(商標公報)に表示されているとおり、ひらがなで「ささめ」の文字を横書きにしてなるものである。
本件商標の通常使用権者が使用する商標の態様は、メニューである乙第9号証中等に表示されているとおり、ひらがなで「ささめ」の文字を横書きにしてなっている。文字構成・配置は全く同一であり、かつ、その書体もほとんど同一であるので、本件商標と同一の商標が使用されているというべきである。
また、仮に使用されている商標と本件商標に多少の差異が認められるとしても、これが商標法第50条第1項括弧書き中の「書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標、平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標、外観において同視される図形からなる商標その他の当該登録商標と社会通念上同一と認められる商標」に該当することは明らかである。したがって、本件商標の通常使用権者によって使用されている商標は、商標法第50条に定められる登録商標である。
第4 請求人の弁駁
請求人は、被請求人の答弁に対し弁駁していない。
第5 当審の判断
被請求人が提出した証拠によれば、以下の事実が認められる。
1 本件商標の通常使用権者について
(1)商標登録原簿によれば、本件商標の商標権者は、平成4年7月20日に水上興産株式会社に登録名義人の表示変更がなされており、平成17年4月27日に商標権者である株式会社水上に登録名義人の表示変更がなされている。
(2)乙第1号証の2は、平成12年(2000年)1月1日付けの水上興産株式会社と株式会社太鼓亭との契約書と認められるところ、「別紙参照の商標権を無償にて使用することを認めます。」旨記載されている。
(3)乙第1号証の3は、乙第1号証の2に記載された別紙の商標権一覧と認められるところ、項番1の商標として、登録番号の欄に「登録0466866」の文字が記載され、商標の欄に「ささめ」の文字が記載されている。
「登録0466866」の文字は、本件商標の登録番号と一致しており、商標の欄に記載された「ささめ」の文字も本件商標と一致している。
(4)したがって、株式会社太鼓亭は、本件商標の通常使用権者と認めることができる。
2 乙第6号証は、外箱の製造仕様書の写しと認められるところ、製造仕様書の下には、「平成19年6月22日」の文字が記載されている。
外箱の側面には、縦長長方形内に縦書きされた「太鼓亭うどん・ささめセット(うどん・ささめの文字のみが楕円形で囲まれている。)」の文字、「品番」及び「B-10」の文字、「要冷凍」の文字並びに「10食入」の文字等が記載されている。
外箱の上面には、名称の欄に「冷凍食品 ゆでうどん(うどん・ささめセット)」の文字が記載されており、原材料名の欄に「【うどん】めん(小麦粉、澱粉、食塩)」の文字及び「【うどん(ささめ)】めん(小麦粉、澱粉、食塩)」の文字等が記載されており、内容量の欄に「【うどん】220g5食」の文字及び「【うどん(ささめ)】250g5食」の文字等が記載されている。
3 乙第10号証は、外箱の写真と認められるところ、側面及び上面には、乙第6号証と同様の記載がされている。
4 乙第7号証は、「2007年お中元申込用紙」と題する商品の申込書写し及び太鼓亭の名称及び住所等が記載されたレシートの写しと認められるところ、「2007年お中元申込用紙」には、「2007年7月27日」の文字、お届け先の欄に「東京都世田谷区」の文字、注文コードの欄に「B-10」の文字、品名の欄に二段に表された「ささめ5」及び「うどん5」の各文字、単価の欄に「2240」の文字、個数の欄に「2」の文字、金額の欄に「4480」の文字、送料の欄に「700」の文字、合計金額の欄に「5,180円」の文字が記載されている。また、「のしの有無」の欄には、「なし」、「無地のし」及び「その他」の文字には印が付いていないのに、「お中元」の文字のみが丸く囲まれている。
さらに、乙第7号証の「2007年お中元申込用紙」には、(株)太鼓亭の名称及び住所等とともに、注文コード「B-10」の商品の説明が「B-10 ささめ5うどん5 冷凍 2240」と印刷されている。
そして、乙第7号証の太鼓亭の名称及び住所等が記載されたレシートの写しには、「2007年7月31日」の文字、「2× 2,240単」の文字、「贈答品B10」の文字とその右に「4,480」の文字、「クール便」の文字とその右に「700」の文字、合計の文字とその右に「5,180」の文字等が記載されている。ここで、「贈答品B10」とは、注文コード「B-10」の商品を表したものと認めることができる。
5 乙第6号証、乙第7号証及び乙第10号証によれば、株式会社太鼓亭は、商品「うどんのめん」の外箱を作成し、2007年7月27日に単価が2,240円の注文コード「B-10」の商品「うどんのめん」をお中元として2セット受注したことが認められる。
そして、株式会社太鼓亭は、商品「うどんのめん」を外箱に詰め、「お中元」の文字が記載された熨斗を付けて、送料700円のクール便で東京都世田谷区のお届け先へ送ったことが推認される。また、株式会社太鼓亭は、その代金を2007年7月31日に受領しているものと認めることができる。
6 使用する商標と本件商標との同一性について
乙第6号証及び乙第10号証によれば、品番B-10の外箱は、10食入りであることが認められる。
乙第6号証の外箱の上面の内容量の欄によれば、品番B-10の外箱には、【うどん】と称する220gのうどんのめん5食及び【うどん(ささめ)】と称する250gのうどんのめん5食が詰められるものと認められる。
そうとすれば、乙第7号証(2007年お中元申込用紙)の品名の欄に記載された「ささめ5」及び「うどん5」の各文字は、乙第6号証の外箱の上面の内容量の欄に記載された【うどん(ささめ)】と称する250gのうどんのめんが5食であること及び【うどん】と称する220gのうどんのめんが5食であることを表したものと推認される。
してみれば、乙第7号証に記載された「ささめ5」の文字のうち「5」の文字は、単に商品が5食入りであることを表したものということができるから、自他商品の識別標識としての機能を果たさない文字部分と認められる。
したがって、乙第7号証で使用されている商標中、商標としての機能を果たす文字は、「ささめ」の文字部分にあり、この文字部分と本件商標とは、社会通念上同一と認めることができる。
7 まとめ
乙第1号証の2、乙第1号証の3、乙第6号証、乙第7号証及び乙第10号証によれば、本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において、通常使用権者が指定商品中「めん類」に属する「うどんのめん」について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していたものと認めることができる。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2008-10-02 
結審通知日 2008-10-08 
審決日 2008-10-21 
出願番号 商願昭29-13905 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (230)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 渡邉 健司
特許庁審判官 杉山 和江
平澤 芳行
登録日 1955-06-10 
登録番号 商標登録第466866号(T466866) 
商標の称呼 ササメ 
代理人 神谷 岳 

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