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この審決には、下記の判例・審決が関連していると思われます。
審判番号(事件番号) データベース 権利
不服200413365 審決 商標
不服200823360 審決 商標
不服200729157 審決 商標
不服200815736 審決 商標
不服201119960 審決 商標

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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない X2930
審判 査定不服 商3条2項 使用による自他商品の識別力 登録しない X2930
管理番号 1192294 
審判番号 不服2008-13097 
総通号数 111 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2009-03-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-05-22 
確定日 2009-01-19 
事件の表示 商願2007- 80456拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、別掲のとおり「六甲みそ」の文字を縦書きに書してなり、第29類「即席みそ汁」及び第30類「みそ」を指定商品として、平成19年7月18日に登録出願されたものであり、その後、指定商品については、同20年2月19日付け手続補正書において、最終的に、第29類「兵庫県南部の六甲山地地域を産地とする即席みそ汁」及び第30類「兵庫県南部の六甲山地地域を産地とするみそ」に補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『六甲みそ』の文字を普通に用いられる方法で縦書きしてなるが、これは、兵庫県南部の六甲山・六甲山地の略称を表す『六甲』の文字と本願指定商品『みそ』及び『即席みそ汁』の原材料を表す『みそ』の文字よりなるものと容易に理解し得るものである。そうしてみると、本願商標よりは『兵庫県南部の六甲山・六甲山地地域で生産されたみそ』程度の意味合いを容易に認識させるから、これをその指定商品中、上記商品及び上記商品を原材料とする商品に使用しても、単に商品の産地、原材料、品質を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する。なお、出願人は、手続補正書により指定商品を『兵庫県南部の六甲山地地域を産地とする即席みそ汁,兵庫県南部の六甲山地地域を産地とするみそ』に補正し、意見書において、本願商標は、永年の使用の結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができる商標である旨を主張し、証明方法として、添付資料1ないし3及び甲第1号証ないし第22号証を提出している。しかしながら、上記証明資料のみによっては、本願商標が各指定商品について使用された結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識するに至っているとは認めることができず、本願商標が商標法第3条第2項に該当するという出願人の主張は認めることができない。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号について
本願商標は、「六甲みそ」の文字を、毛筆調の文字であるが、格別特異な字体ではなく、普通に用いられる方法で縦書きしてなるものである。
そして、本願商標の構成中、「六甲」の文字は、「兵庫県南部、六甲山・六甲山地の略称」(株式会社三省堂発行「コンサイス日本地名事典第3版」)として一般に親しまれているものであり、「みそ」の文字は、指定商品との関係から「調味料の一つ。大豆を主原料に、米または大麦、大豆の麹と塩とをまぜて発酵させて製したもの。赤味噌・白味噌などの種類がある。」(株式会社岩波書店「広辞苑第6版」)を意味する「味噌」の平仮名表記と認められる。
そうとすれば、「六甲みそ」の文字よりなる本願商標は、これを補正後の指定商品に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、「兵庫県南部の六甲山・六甲山地地域で生産されたみそ」であることを理解するものと認められ、該商品の産地、原材料、品質を表示したものとみるのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
なお、請求人は、原審の意見書において、「商標法第3条第1項第3号の拒絶理由については、この認定に承服いたします。」旨述べている。
(2)商標法第3条第2項について
請求人は、本願商標は、商標法第3条第2項に基づき登録されるべきものであると主張し、「本願商標は、昭和25年(1950年)の創業以来50年以上の永きに亘り、指定商品『味噌』の分野において、出願人の『有限会社六甲味噌製造所』を示すものとして、取引者及び需要者の間で永年親しまれている。そして、現在、商品『兵庫県南部の六甲山地地域を産地とするみそ』及び『兵庫県南部の六甲山地地域を産地とする即席みそ汁』について本願商標は、直ちに出願人『有限会社六甲味噌製造所』から出所した、『天然醸造の手作りで製造された高価だが美味しい味噌』であると認識しうるに至っている。よって、需要者にとって出願人の業務に係る商品であることを十分認識することができる商標となっており、永年の使用の結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができる商標であることから、商標法第3条2項に該当し、商標登録を受けるべきものである。」旨述べるとともに、証拠方法として、原審において添付資料1ないし3及び甲第1号証ないし甲第22号証(枝番を含む。枝番全てを引用するときはその枝番を省略する。以下、同じ。)を、当審において添付資料1ないし6及び甲第23号証ないし甲第27号証を、それぞれ提出している。
ところで、ある商標が使用により自他商品識別力を認められることについて、平成18年(行ケ)第10054号判決(知的財産高等裁判所 平成18年6月12日判決言渡)は、「特定人が当該商標をその業務に係る商品の自他識別標識として他人に使用されることなく永年独占排他的に継続使用した実績を有する場合には、当該商標は例外的に自他商品識別力を獲得したものということができる上に、当該商品の取引界において当該特定人の独占使用が事実上容認されている以上、他の事業者に対してその使用の機会を開放しておかなければならない公益上の要請は薄いということができるから、当該商標の登録を認めようというものであると解される。」と述べ、さらに、「実際に使用している商標(以下「使用商標」という。)及び商品、使用開始時期、使用期間、使用地域、当該商品の生産又は販売の数量、並びに広告宣伝の方法及び回数等を総合考慮して、出願商標が使用された結果、判断時である審決時において、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるものと認められるか否か(いわゆる「自他商品識別力(特別顕著性)」の獲得の有無)によって決すべきものである。」こと、並びに、「使用商標は、出願商標と同一であることを要し、出願商標と類似のもの(例えば、文字商標において書体が異なるもの)を含まないと解すべきである」旨判示している。
そこで、請求人(出願人)提出の証拠等について、以下検討する。
(ア)甲第1号証は、芦屋市商工会発行の「商標証明書」であるが、当該証明書には、本願商標と同一の商標、「使用範囲 取引先」として「日本国内」、「使用開始時期」として「昭和42年頃から」及び「使用数量(年間)」として「500g入り味噌パック製品約120,000個 10g入りフリーズドライ製品 約100,000個」と記載されている。
しかしながら、該証明書は、本願商標と同一の態様のものについて証明したものではあるものの、あらかじめ用意された依頼文書に証明者が記名、押印して作成されたもので、証明者である芦屋市商工会がいかなる事実に基づき証明しているのかが不明であることから、該証明書の客観性は直ちに認め難く、証拠力に乏しいものであるといわざるを得ない。
(イ)請求人は、甲第2号証、甲第3号証、甲第23号証及び甲第24号証をもって、味噌に係る製品が昭和25年から製造販売されている旨及び即席みそ汁について平成16年から製造販売されている旨主張するが、これらの証拠からは、請求人が昭和25年から商品「みそ」を製造していること並びに商品「即席みそ汁」について平成16年から製造販売していることが認められる。
しかし、本願商標を使用した商品「みそ」の使用開始時期については、該証拠には、何ら記載されておらず、確認することができない。
(ウ)添付資料1及び2は、商品「みそ」及び商品「即席みそ汁」の画像であるが、これらの包装上には本願商標と同一視できる商標が認められる。
ところで、甲第27号証は、請求人商品のカタログであるが、該カタログには、「手造のあじ」との表示がある商品及び「味噌屋の作った本格派フリーズドライみそ汁」との表示がある商品には、本願商標と同一視できる商標を使用していることが認められるものの、これら以外の商品に本願商標若しくはこれと同一視できる商標を使用しているかどうかの確認はできない。
(エ)請求人は、本願商標を付した商品の生産量及び譲渡量等として、甲第23号証ないし甲第26号証並びに添付資料4及び添付資料5を提出しているが、これらは請求人が製造する商品「みそ」全体に係るものといえるところ、上記(ウ)のとおり、本願商標を使用した以外の証拠書類も含むものと認められるから、本願商標を使用した商品の販売、製造に係る数量等は不明であるといわざるを得ない。
さらに、本願商標を使用した商品についての、商品「みそ」及び「即席みそ汁」の市場におけるシェアも不明である。
(オ)甲第5号証、甲第6号証及び甲第20号証は、新聞への掲載記事、掲載広告であるが、これらの記事及び広告においては、本願商標の使用を確認することができない。
また、甲第7号証及び甲第20号証は、芦屋市商工会機関誌「すばる」及び「食料醸界新聞」であるが、商工会機関誌は芦屋市内の商工会会員に対して配布される極めて限定されたものであり、「食料醸界新聞」については広告において本願商標とは、その態様が相違する。
さらに、甲第4号証、甲第8号証ないし甲第9号証、甲第12号証、第13号証、甲第21号証及び甲第22号証は、産経経済新聞への掲載記事、季刊誌「栗原はるみ すてきレシピ」、雑誌「ヴァンサンカン/25ans」、及び「ぐるなび通信 別冊商品カタログ」における広告及び記事であるが、掲載時期も限られたものであるとともに、その頒布数量等も不明であることから、これらの新聞、雑誌等への掲載記事、掲載広告をもって本願商標が周知に至ったものと認めることはできない。
(カ)甲第16号証として請求明細書控の写しを提出し、大手百貨店にて販売している旨主張するが、同書面によっては本願商標を使用した商品を販売したものであるのか確認できないばかりか、平成19年と同20年に作成されたものと認められるわずか4枚の写しのみであり、これらをもって使用地域、販売数量等を証明したということはできない。
(キ)甲第17号証ないし甲第19号証は、「社団法人兵庫県観光連盟」及び「全国観光土産品公正取引協議会」が開催する観光名産品審査委員会における「推奨証書」、「全国味噌工業協同組合連合会」が開催する全国味噌鑑評会における「賞状」、「兵庫県味噌工業協同組合」が開催する兵庫県みそ品評会における「賞状」のそれぞれ写しであるが、これらの賞状にかかる鑑評会等において、請求人の製造にかかる「みそ」が受賞したことは認められるものの、これらの写しからは本願商標を使用した商品に関するものであるとは認められない。
そのほか、請求人の提出した各証拠を総合して判断すると、本願商標を使用した商品についての使用開始時期、生産の数量、売上高、販売地域等が明らかではなく、広告、宣伝の方法、回数及び内容等についても、これを示す証拠が不十分であるといわざるを得ない。
そうすると、請求人の提出に係る各証拠によっては、本願商標がその指定商品に使用をされた結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるに至ったものと認めることはできないから、本願商標は、商標法第3条第2項に該当するものということができない。
なお、請求人は、「本願出願人がメインとして製造販売している『白甘味噌』は、全国各地で販売しても、その地域の味噌文化の相違から、特定の地域の需要者には受け入れられないという、商品の特質に由来する特別な事情」が存在し考慮されるべきである旨述べているが、このような特別な事情があるからといって、全国的に認識されるに至っていない本願商標を登録することはできない。
(3)結論
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、かつ、同法第3条第2項の要件を具備しないものであるから、これを理由に本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲(本願商標)


審理終結日 2008-11-26 
結審通知日 2008-11-28 
審決日 2008-12-09 
出願番号 商願2007-80456(T2007-80456) 
審決分類 T 1 8・ 17- Z (X2930)
T 1 8・ 13- Z (X2930)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 藤田 和美 
特許庁審判長 林 二郎
特許庁審判官 杉本 克治
小畑 恵一
商標の称呼 ロッコーミソ、ロッコー 
代理人 岡村 俊雄 

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