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審決分類 審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない X29
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない X29
管理番号 1189093 
審判番号 不服2008-6465 
総通号数 109 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2009-01-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-03-14 
確定日 2008-11-28 
事件の表示 商願2007- 38069拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1 本願商標
本願商標は、「純正苦汁木綿」の文字を標準文字で表してなり、第29類「油揚げ,凍り豆腐,こんにゃく,豆乳,豆腐,納豆」を指定商品として、平成19年4月17日に登録出願されたものである。その後、指定商品については、原審における同年12月17日付け提出の手続補正書により、第29類「凍り豆腐,豆腐」に補正されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、指定商品中『凍り豆腐,豆腐』との関係において『まじりけのない苦汁を使用した木綿豆腐』の意味合いを直観する『純正苦汁木綿』の文字を、普通に用いられる方法で書してなるにすぎないものであるから、これを本願指定商品中、前記商品に使用するときは、単に商品の品質を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

第3 当審における証拠調べ通知
当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べをした結果、次の事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づく通知を行った。

本願商標は、「純正苦汁木綿」の文字を標準文字で表してなるところ、本願商標を構成する「純正」「苦汁」「木綿」の文字に関して行った証拠調べによれば、以下の事実が認められる。
1 「純正」、「苦汁」及び「木綿」の各文字について
(1)「純正」の意味は、「純粋で正しいこと。純粋でまじりけのないこと。」(株式会社岩波書店 広辞苑第六版)
(2)「苦汁」の意味は、「海水を煮つめて製塩した後に残る母液。また、粗塩の貯蔵中に空気中の湿気を吸い、とけて分離する液状苦味質をもいう。主成分は塩化マグネシウム。豆腐の製造に用いる。苦塩。」(株式会社岩波書店 広辞苑第六版)
(3)「木綿(豆腐)」の意味は、「豆乳に凝固剤を加えて固め、上澄液を除き成型した豆腐。型箱に敷く木綿の布目が表面につくからいう。」(株式会社岩波書店 広辞苑第六版)
2 「純正」の文字が、前記1(1)の「純粋でまじりけのないこと。」の意味合いをもって、食品関連の商品に使用されている事実。
(1)「マイクロビオティック」のウェブサイトにおいて、「純正胡麻油(丸缶)」の見出しの下に「特に良質の原料を、圧搾法のみの一番絞りで、化学処理を一切せず絞った100%の純粋ごま油です。」との記載がある。(http://www.macrobiotic.gr.jp/macro_shop/macroshop_cgi/shop.cgi?order=class=1/11keyword=FF=0price_sort=mode=p_wideid=75superkey=1)
(2)「イオンショップ」のウェブサイトにおいて、「純正ごま油」の見出しの下に「溶剤を一切使わず搾った100%純粋なごま油です。ナチュラル製法。」との記載がある。(http://eon.happie.biz/index.php?id=6c796646)
(3)「楽天市場 有限会社三友」のウェブサイトにおいて、「純正食品マルシマ純正なたね油 油屋六兵衛」の見出しの下に「厳選した菜種を溶剤などの添加物を使用しないで圧搾した100パーセント純粋な油です。まったく精製をしていませんので自然の香りと色相です。」(http://item.rakuten.co.jp/mitomo/0339/)
(4)「ユアガイド」のウェブサイトにおいて、「余計なものを一切加えない、純粋原料の香り高いゆず醤油です。丸中醤油 ゆず醤油 純正丸中醤油(マルナカ醤油)」の見出しの下に「酢は一切加えず、純粋ゆずエキスと本みりんを加えました。丸中醤油三年熟成白を基本に、少々手を加えて醤油の味を壊さず、だしなどの余計なものを一切加えずシンプルに作り、他にはない美味しい醤油に仕上げました。」との記載がある。(http://shopping.yourguide.co.jp/c_food/item-11433073_1)
(5)「オークション&ショッピングのビッダーズ」のウェブサイトにおいて、「『花田養蜂園』の国産純正蜂蜜」の見出しの下に「北海道遠軽町 花田養蜂園のこだわりの純粋蜂蜜」との記載がある。(http://www.bidders.co.jp/dap/sv/nor1?id=95573579p=y)
(6)「ながいき堂」のウェブサイトにおいて、「純正高品質マカ100%」の見出しの下に「海抜4000m以上の高地で完全自然栽培法の純粋な天然乾燥マカを消化・取込みに優れた顆粒状にしました!」との記載がある。(http://www.nagaikido.net/maca_pw/index.html)
(7)「農林水産省」のウェブサイトにおいて、「凍り豆腐品質表示基準」の見出しの下に「第5条 加工食品品質表示基準6条各号に掲げるもののほか、次に掲げる事項は、これを表示してはならない。・・・(2)「純」、「純正」その他純粋であることを示す用語」との記載がある。(http://www.maff.go.jp/j/jas/hyoji/pdf/kijun_29.pdf)
(8)「ケンコーコム」のウェブサイトにおいて、「純粋メープルシロップ」の見出しの下に『純粋メイプルシロップ』は、厳選された楓の樹液を煮詰めてつくったカナダ産のシロップです。砂糖や添加物は一切使用されていない100%純正の自然食品。」との記載がある。(http://www.kenko.com/product/item/itm_7431066072.html)
(9)「かめあし商店」のウェブサイトにおいて、「純粋100%あきたこまち 特別栽培米★【農友こまちお試し1kg 低農薬】お一人様1回限り・1キロ777円!」の見出しの下に「★お一人様1回1セット限定、お試し用1キロ★秋田県大潟村産 特別栽培米認証100%純正あきたこまち」との記載がある。(http://cameashi.net/SHOP/61333/115608/list.html)
3 「純正苦汁」、「純正にがり」、「純正ニガリ」の文字が使用されている事実。
(1)「楽天市場 有限会社須田商事」のウェブサイトにおいて、「にがり製品」の見出しの下に「自然の海水からとった、天然由来の純正にがり(粗製海水塩化マグネシウム)です。」との記載がある。(http://www.rakuten.co.jp/mametto/554726/)
(2)「WEB展示会ネッシー」のウェブサイトにおいて、「瀬戸のにがり にがりの精」の見出しの下に「自然の海水からとった、国が正式に安全を保証した天然由来の純正にがり(粗製海水塩化マグネシウム水溶液)です。」との記載がある。(http://www.netsea.jp/shop/8896/15)
(3)「モリヤマ醤油」のウェブサイトにおいて、「天然純正にがり」の見出しの下に「海水をくみ上げて塩を作る時、最後に残った液体。天然にがりには塩化マグネシウム、塩化カリウム塩化カルシウムなど様々なミネラルが含まれます。工場用水で汚染の恐れがある海水に含まれるPCB(ダイオキシン)や重金属(水銀、砒素)などをイオン交換膜透析法にて除去しています。」との記載がある。(http://www.moriyama1900.com/product01.html)
(4)「島根県物産観光館」のウェブサイトにおいて、「にがりの精」の見出しの下に「自然の海水からとった国産の純正にがり。現代人に特に不足しているといわれるマグネシウムが豊富に含まれています。」との記載がある。(http://www.chusankan.jp/Brand/00000508/WebLog/2004/06/)
(5)「京都府豆腐油揚商工組合」のウェブサイトにおいて、「あじわい(にがり きぬごし)」の見出しの下に「消泡剤を使用せず、京都美山町で産出された良質の『大鶴大豆』、または石川県産『エンレイ大豆』と『純正ニガリ』を素材として、銘酒で名高い伏見の『伏水』を使用することにより、素晴らしい『まったり』とした味に仕上げました。」との記載がある。(http://www.tofu.or.jp/brand/tofu_sakurai.html)
(6)「株式会社三木製作所」のウェブサイトにおいて、「豆腐 油揚 豆乳 湯葉」の見出しの下に「セールスポイントは添加物は純正苦汁のみ(消泡剤やグリセリン脂肪酸エステル含有苦汁を避けて健康食品の有機栽培大豆使用の表示を)」との記載がある。(http://www.miki-ss.co.jp/)
(7)「有限会社川野食品Yahoo!店」のウェブサイトにおいて、「にがり-昔ながらの豆腐屋さんが使用する純正にがり」の見出しの下に「純粋な素材から厳選し製造した純正にがり液です。マグネシウムを含み、現代人が必要とする健康食品です。」との記載がある。(http://store.shopping.yahoo.co.jp/kawanosyokuhin/ks-001.html)
4 「にがり木綿」、「にがりもめん」の文字が「豆腐」に使用されている事実。
(1)「豆腐の豆喜庵」のウェブサイトにおいて、「にがり木綿とうふ」の見出しの下に「愛知県産大豆フクユタカ種 富山県産大豆エンレイ種 赤穂塩田にがりで造りました あっさりした甘みのある当店の中では少し軟らかめの木綿とうふです」との記載がある。(http://shop.yumetenpo.jp/goods/d/zukian.com/g/0005/index.shtml)
(2)「クイーンズ伊勢丹」のウェブサイトにおいて、「手作りにがり木綿豆腐」の見出しの下に「佐賀産大豆と栃木産大豆をブレンドし、大豆の風味と甘さを引き出しました。ブレンドすることにより、硬さや食感が安定し深みのある味が出ます。『塩田にがり』だけを使用し、豆乳を冷却せずに瞬時で凝固させる為大豆の風味や香りが逃れません。滑らかで、大豆の甘みが広がります。きめ細やかな木綿豆腐です。」との記載がある。(http://www.queens.jp/gq/deli/tofu/index.html)
(3)「三喜豆腐工房」のウェブサイトにおいて、「木綿豆腐」の見出しの下に「豆腐造りの原点といえる伝統のにがり木綿です。型くずれしにくく、あじが濃厚で冷奴から湯豆腐まで楽しめます。」との記載がある。(http://umai-toufu.com/?page_id=6)
(4)「JAいわて南」のウェブサイトにおいて、「にがり木綿とうふ」の見出しの下に「一関産大豆・ナンブシロメ、スズカリを原料に天然にがりを使用。消泡剤を使わず、冷水に約3時間つけて仕上げました。」との記載がある。(http://www.ja-iwateminami.or.jp/noutiku/noutiku_5.html)
(5)「賀茂とうふ 近喜」のウェブサイトにおいて、「にがりもめん」の見出しの下に「厳選した国内産丸大豆をブレンドして、本にがりのみで固めた木綿豆腐です。冷やっこはもちろんのこと、温めると真価を発揮。鍋物やお味噌汁に最適です!」との記載がある。(http://www.kamo-tofu.com/touhu-age-arekore/syouhinn.htm)
5 「にがり」の種類について
(1)「喜久屋」のウェブサイトにおいて、「にがり、ニガリ(苦汁)」の見出しの下に「厳密には海水の成分の中で、水分と塩化ナトリウムを除いたものをにがり、ニガリ(苦汁)といい、主成分は塩化マグネシウムです。
もともとにがりとは海水から塩を取るのに、海水の水分を蒸発させて濃度を濃くしていき塩を結晶させて取り出した残りの液体で塩化マグネシウムを多く含むほか、体に必要なミネラルを豊富に含んでいます。この液体を『塩化マグネシウム含有物』または、『粗製海水塩化マグネシウム』といいます。いわゆる天然ニガリのことです。一方、『塩化マグネシウム(にがり)』とは塩化マグネシウム含有物を精製して塩化マグネシウムの純度を上げたもので、カッコ書きでにがりと併記してもよいと認められています。
天然ニガリの主成分は塩化マグネシウムですが、塩化カリウム、塩化カルシウムなど100以上の無機塩類=ミネラルを含んでいます。海水は人間の血液のミネラルバランスとほぼ同じといわれています。これから人類がいかに進化しようとも、このバランスは変わることはありません。」との記載がある。(http://www.k-kikuya.jp/tofu-bittern.html)
(2)「とうふあたま」のウェブサイトにおいて、「ニガリについて」の見出しの下に「ニガリとは… ニガリ(苦汁)は読んで字のごとく舐めると苦い汁です。ニガリは海水から作られ、海水から塩を取り除く時に生まれる液体です。その中身は主成分の塩化マグネシウムをはじめ、カルシウム、カリウム、イオウ、ヨード、セレン、鉄、銅、亜鉛などその他にも80種類以上ものミネラルを含んでいて体内では精製できない必須成分が含まれています。・・・天然ニガリとは… 天然ニガリとは、海水から塩を採るときに取れる、いわば海水の高濃縮液です。海水を蒸発させ、濃い海水にしたものをさらに結晶させたものが塩ですが、塩にならずに後に残った結晶化しない液体、これが天然ニガリです。
ニガリには天然ニガリの他に、添加物が入っている調整ニガリと、イオン交換膜電気分解による電気分解ニガリがあります。
調整ニガリは、塩化マグネシウムまたは塩化カルシウム、硫酸マグネシウムなどの粉末添加物を水に溶いたもので、豆腐用凝固剤として利用されます。電気分解ニガリは、ニガリの濃度が薄く(微量元素が少ない)、食品添加物の原料や医薬品の原料となリます。」との記載がある。(http://tofu-atama.hp.infoseek.co.jp/page014.html)
6 豆腐用の凝固材の種類について
「摂田屋とうふ 佐野屋」のウェブサイトにおいて、「凝固剤の種類」の見出しの下に「『塩化マグネシウム(にがり)』 塩化マグネシウム(にがり)を豆腐用の凝固剤として使用すると、大豆本来の風味と甘さを引き出し、味のある豆腐に仕上がる。反対に、製造時には他の凝固剤に比べて非常に難しい技術を要求される。豆腐が非常に柔らかく出来上がるため、製造ロスが多くなるのである。にがりには、科学的に精製されたにがりと、海から塩化マグネシウムだけを取り出したにがり、最新の技術で海水をろ過・抽出されたにがり、そして、昔ながらの方法によって鍋で煮詰められたにがり(天然にがり)があり、それぞれ味が違う。昔ながらの方法によって鍋で煮詰められたにがりを使用すると、鉄分がにがりの中に入り込み、うまさを引き出すと言われている。最近では乳化にがりと呼ばれる新しく開発されたにがりを使用してにがり豆腐が大量生産できるようになり、各大手豆腐メーカーが使用しはじめた。この乳化にがりを使用すると高温で豆腐を固まらせることができるようになるために、豆乳を冷ます手間が省け、製造ロスも少なくなり、非常に生産効率が良くなる。生食べるのならにがり豆腐がおいしく食べられるだろう。中でも、天然にがりを100%使用した豆腐は最高の贅沢と言える。
『硫酸カルシウム(澄まし粉)』 豆腐製造に使われる硫化カルシウムは、半水石膏(バサニ石)とも呼ばれ、正確には、硫酸カルシウム・1/2水和物(CaSO・1/2H2O)という。半水石膏は天然物を『バサニ石』と呼び、土中や溶岩中から採取される。この硫酸カルシウム(澄まし粉)で作られた豆腐を食べるとカルシウムを多く摂取できる。カルシウム不足ぎみ人には硫酸カルシウムで作られた豆腐はカルシウム分を補うための有効な食材と言える。硫酸カルシウムを豆腐用の凝固剤として使用すると、肌がきめ細やかで、しっかりとした豆腐が出来上がる。塩化マグネシウム(にがり)に比べて凝固反応が遅く、豆乳中での分散が良いため、製造ロスが少なくなり、生産効率も向上する。反対に、大豆の風味と甘さが失われるという面もある。そのため、生で食べるよりは、料理に向いた豆腐と言える。
『グルコノデルタラクトン(GDL)』 グルコノデルタラクトン(GDL)はグルコノラクトンとも呼ばれ、『酸味料』、『膨張剤』、『ph調整剤』、『豆腐用凝固剤』として使用される。グルコノデルタラクトンは水に溶かすと、約50%の割合で『グルコン酸』に変化し、豆乳に溶かすとphを除々に下げ、酸凝固を引き起こす。酸凝固とは等電点沈殿の事で、等電点沈殿とはphが等電点に達すると、タンパク質が沈殿して固まりになる現象の事である。塩化マグネシウム(にがり)や、硫酸カルシウム(澄まし粉)はタンパク質とマグネシウムやカルシウムが結合することによって立体構造になり、強固な結合が生まれるが、このグルコノデルタラクトンは、結合というよりも沈殿することによって塊になる。グルコノデルタラクトン(GDL)を豆腐用の凝固剤として使用すると、非常にしっかりと固まり、酸味を持つ。塩化マグネシウム(にがり)、硫酸カルシウム(澄まし粉)に比べて簡単に豆腐として固まらせることができ、尚且つ、製造ロスも抑えることができる。」との記載がある。(http://settaya.com/w/200/0003/2.html)

以上の事実よりすれば、食品を扱う業界において、純粋であるさまの商品の品質を表す「純正」の文字と、豆腐の凝固剤として用いられる「苦汁」の文字と、豆腐の種類と認められる「木綿」の文字とを連綴してなる本願商標は、全体として「純粋な苦汁(にがり)を使用した木綿豆腐」の意味合いを容易に理解・認識されるものである。
してみれば、本願商標は、これをその指定商品中、「木綿豆腐」に使用するときは、これに接する取引者、需要者は、「純粋な苦汁(にがり)を使用した木綿豆腐」であること、すなわち、商品の品質、原材料を表示したものと理解するにとどまり、自他商品の識別標識とは認識し得ないものといわざるを得ず、かつ、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるものというべきである。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものである。

第4 職権証拠調べに対する意見の要点
請求人は、「本願商標は、指定商品の品質を若干暗示するものではあるが、豆腐について『純正』、『苦汁』及び『木綿』を一連一体に表記して『純正苦汁木綿』との商標を使用している事実はない。本願商標は出願人が創作した造語であり、十分に自他商品識別力を有するものである。」旨述べている。

第5 当審の判断
本願商標は、前記1のとおり、「純正苦汁木綿」の文字よりなるところ、その構成中の「純正」の文字は、「純粋でまじりけのないこと。」等の意味を有し、食品を取り扱う業界において、商品の品質を表示する語であり、「苦汁」の文字は、「海水を煮つめて製塩した後に残る母液。」等の意味を有し、また、「木綿」の文字は、豆腐を取り扱う業界においては、「木綿豆腐」を指称する語として一般に使用されているものである。
そして、「純正苦汁」の文字は、前記第3の3で示した「純正苦汁」「純正にがり」「純正ニガリ」の語の使用事実よりすれば、「余分な添加物が入っていない純粋な苦汁」であることを理解、認識させるものである。
さらに、「苦汁木綿」の文字は、前記第3の4で示した「にがり木綿」、「にがりもめん」の文字が、商品「豆腐」に使用されている事実からすれば、「苦汁を使用した木綿豆腐」であることを理解、認識させるものである。
そうすると、「純正苦汁木綿」の文字よりなる本願商標は、全体として「純粋な苦汁を使用した木綿豆腐」程の意味合いを極めて容易に理解、認識させるものである。
してみれば、これを本願の指定商品中、「木綿豆腐」に使用しても、これに接する取引者、需要者は、「(純粋な苦汁を使用した)木綿豆腐」又は「(純粋な)苦汁木綿豆腐」であること、すなわち、商品の品質、原材料を表示したものと理解するにとどまり、自他商品の識別標識としては認識し得ないものであり、かつ、これを前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるものというのが相当である。
なお、請求人は、上記第4において、一連一体に表記した「純正苦汁木綿」の商標を使用している事実はなく、本願商標は出願人が創作した造語であり、十分に自他商品の識別力を有する旨主張しているが、「商標法第3条第1項第3号は、取引者、需要者に指定商品の品質等を示すものとして認識され得る表示態様の商標につき、それ故に登録を受けることができないとしたものであって、該表示態様が、商品の品質を表すものとして必ず使用されるものであるとか、現実に使用されている等の事実は、同号の適用において必ずしも要求されないものと解すべきである(平成12年(行ケ)第76号 東京高裁平成12年9月4日 判決言渡参照)」から、たとえ、一連一体で表された「純正苦汁木綿」の文字が、その指定商品を取り扱う業界において、商品の品質を表示するものとして使用されている事実が存在しなくとも、本願商標が商品の品質を表示するものであるとすることの妨げにはならないものである。
さらに、請求人は、過去の登録例を挙げ、本願商標も同様に登録されるべきである旨主張するが、登録出願された商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるかどうかの判断は、当該商標の構成態様と指定商品に基づいて、個別具体的に判断されるものであって、他の登録例の存在によって、上記判断が左右されるものではなく、本願については前記のとおり判断するのが相当であるから、この点についての請求人の主張も採用することができない。
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるから、これを登録することはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2008-09-29 
結審通知日 2008-10-01 
審決日 2008-10-17 
出願番号 商願2007-38069(T2007-38069) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (X29)
T 1 8・ 272- Z (X29)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小松 孝 
特許庁審判長 渡邉 健司
特許庁審判官 平澤 芳行
杉山 和江
商標の称呼 ジュンセーニガリモメン、ニガリモメン、ジュンセーニガリ 
代理人 藤川 忠司 

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