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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 X03
審判 全部申立て  登録を維持 X03
審判 全部申立て  登録を維持 X03
管理番号 1186241 
異議申立番号 異議2008-900029 
総通号数 107 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2008-11-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2008-01-21 
確定日 2008-09-27 
異議申立件数
事件の表示 登録第5084566号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5084566号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5084566号商標(以下「本件商標」という。)は、「ANN・SHAN」の欧文字と「アンシャン」の片仮名文字とを上下二段に横書きしてなり、平成19年2月13日に登録出願、第3類「頭髪用シャンプー」を指定商品として、同年10月19日に設定登録されたものである。

2 引用商標
(1)本件登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録第471024号商標(以下「引用商標1」という。)は、「アン」の片仮名文字と「Ann」の欧文字とを縦と横に二段に書してなり、昭和29年12月31日に登録出願、第2類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、昭和30年9月23日に設定登録され、その後、四回にわたり商標権の存続期間の更新登録がなされ、さらに平成19年6月13日には、第2類、第3類、第4類、第14類及び第19類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品とする書換登録がなされ、現に有効に存続しているものである。
(2)同じく、登録第644461号商標(以下「引用商標2」という。)は、「アン」の片仮名文字と「ANN」の欧文字とを二段に併記してなり、昭和37年12月24日に登録出願、第4類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、昭和39年6月11日に設定登録され、その後、四回にわたり商標権の存続期間の更新登録がなされ、さらに平成16年11月17日には、第3類「せっけん類,歯磨き」を指定商品とする書換登録がなされ、現に有効に存続しているものである。
(3)同じく、登録第645286号商標(以下「引用商標3」という。)は、「ANN」の欧文字を書してなり、昭和38年3月20日に登録出願、第4類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、昭和39年6月20日に設定登録され、その後、四回にわたり商標権の存続期間の更新登録がなされ、さらに平成16年11月17日には、第3類及び第30類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品とする書換登録がなされ、現に有効に存続しているものである。(以下、これらを一括していうときは「引用各商標」という。)

3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び第11号又は第15号の規定に反して登録されたものであり、本件商標の登録は、取り消されるべきものであると申し立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号ないし第32号証を提出した。
(1)本件商標について
本件商標は、上段に欧文字で「ANN・SHAN」、下段に片仮名文字で「アンシャン」と横書きにしてなり、その態様より「ANN」と「SHAN」及び「アン」と「シャン」の要素からなることが明らかである。
本件商標の後半の欧文字「SHAN」及びそれに対応する片仮名文字「シャン」は、本件商標の指定商品である「頭髪用シャンプー」との関係において、需要者において容易に「シャンプー」の「シャン」又は「SHAMPOO」の「SHAN」であることが容易に認識されるため、識別力が弱い。「シャン」が「シャンプー」の意に解されることは、朝の洗髪を意味する「朝シャン」なる表現が1980年代後半以降、また、昼の洗髪を意味する「昼シャン」なる表現も1990年代後半以降(甲第5号及び第6号証)、需要者、特に若者の間で広く用いられている状況から明らかであると考える。
よって、本件商標は、その指定商品との関係において「ANNでシャンプーする」といった意味合いを想起させ、「ANN/アン」と「SHAN/シャン」の間には観念的な区切りが生じるのみならず、識別力を有する前半の「ANN/アン」部分より「アン」のみの称呼をも生じると考えられる。
(2)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、引用商標2に類似する。また、本件商標の指定商品である「頭髪用シャンプー」は、引用商標2の指定商品の一つである「せっけん類」に含まれるから、商品は同一である。
(3)商標法第4条第1項第10号について
申立人は、引用商標1を「化粧用染料」その他の商品について昭和29年に商標登録出願して以降、引用商標2と3をそれぞれ昭和37年と38年に「せっけん類」及び「化粧品」について出願し、その後、これらの商標をハウスマークとしてその一部に含む商標(甲第8号ないし第15号証)を登録出願し、商標権を取得・維持している。
申立人は、これらの商標を自己の業務に係る商品である頭髪化粧品等に1964年(昭和39年)より40年以上の長きにわたって使用しており、当該ハウスマークは、本件商標の出願日の遥か前から需要者及び取引者の間で周知著名になっている。
インターネットで商標「ANN/アン」を付した商品を検索すると、その販売者として、ヘンケルライオンコスメティックス株式会社、シュワルツコフヘンケル株式会社、及び、ヘンケルジャバン株式会社の名称が挙がるが、これらは、いずれも申立人から許諾を得た正当な使用権者であるか、あったものである。
なお、東京都からの製造販売承認は、それぞれの名義で取得している(甲第21号証)これらの使用権者を通じた営業活動により2006年の「ANN/アン」関連事業の総売上額は3億5千百万円、2007年は、4億2千9百万円にも上る(甲第22号証)。
「ANN/アン」関連商品は、申立人の商標にも“Sa1on Exclusive”と記されている(甲第14号証)ように、主としてサロン(美容室等)向けであり、プロフェッショナル仕様であることを考えると、上記の取引額は、非常に大きいということができる。
商標法第4条1項10号にいう「需要者の間に広く認識されている商標」には、最終消費者まで広く認識されている商標のみならず、取引者の間に広く認識されている商標が含まれるから、一定のシェアを維持しつつ過去40年以上にわたって美容師等の比較的狭い市場に提供されてきた申立人の商品に係る商標が周知著名であることは、容易に推察することができる。したがって、本件商標の出願時において、引用各商標が周知著名であったことの要件は、満たされていると考える。
商標の類否については、前記のとおり、本件商標の構成のうち自他商品識別力を発揮するのが引用商標1ないし3と同一の文字からなる前半の「ANN/アン」であることから、本件商標は、引用商標1ないし3に類似する。また、商品についても、本件商標の指定商品である「頭髪用シャンプー」と、引用商標1の「化粧用染料」及び引用商標3の「化粧品」に含まれる申立人の使用に係る「髪染剤」ないし「頭髪用化粧品」は、ともにヘアケア製品であって生産部門が一致し、販売部門についてもスーパー等における売り場は同じか極めて近接する。シャンプーと髪染剤は、いずれも美容室等においても提供されるから、需要者及び取引者の範囲及び提供場所が一致する。したがって、両商品は、類似群こそ異なるものの、取引の実情を考慮すると、類似する商品であると考えられる。
(4)商標法第4条第1項第15号について
引用商標1及び3が申立人の業務に係る商品である「頭髪用化粧品」を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標であって、申立人の商品と本件商標に係る「頭髪用シャンプー」とが類似することは、上述のとおりである。
本件商標が「頭髪用シャンプー」に使用された場合、需要者、取引者は、それがシャンプーやスタイリング剤などのヘアコスメティックス製品を幅広く扱う申立人の業務(甲第19号証)に係る商品であると誤認するか、少なくとも申立人と経済的又は組織的に何らかの関係がある者の商品であると誤認するおそれがある。(なお、申立人以外の所有する「ANN」のみからなる商標のうち 2件は株式会社テレビ朝日の所有するものである(甲第31号証))。

4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、「ANN・SHAN」及び「アンシャン」の文字よりなるところ、一般に欧文字と片仮名文字を併記した構成の商標において、その片仮名文字部分が欧文字部分の読みを特定すべき役割を果たすものと無理なく認識し得るときは、片仮名文字部分より生ずる称呼が、その商標より生ずる自然の称呼とみるのが相当である。
そうすると、本件商標は、その構成中の片仮名文字に相応して「アンシャン」の称呼のみを生じ、全体を一連の造語からなるものとして看取されるというべきである。
そして、「アンシャン」の称呼も4音と比較的短いことから、これを殊更「ANN」と「SHAN」及び「アン」と「シャン」とに分離して観察しなければならない特段の理由もないものである。
他方、引用商標2は、「アン」及び「ANN」の文字よりなるところ、「アン」の称呼及び「女性の名前」の観念を生ずること明らかである。
そこで、本件商標と引用商標2を比較するに、本件商標の称呼が「アンシャン」であるのに対し、引用商標2の称呼が「アン」であるから、両称呼は、構成音数が明らかに相違し、十分に聴別し得るものである。
また、本件商標は、特定の観念を生じ得ない造語と判断されるから、本件商標と引用商標2とは、観念上比較し得ないものであり、また、それぞれの構成よりみて外観上も十分に区別し得るものである。
してみれば、本件商標と引用商標2とは、その外観、称呼及び観念のいずれの点よりみても、何ら相紛れるおそれのない、非類似の商標といわなければならない。
したがって、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当しない。
なお、上述に関し、申立人は、後半の「SHAN」及び「シャン」の文字が「シャンプー」の略語である旨述べ、その使用例として「朝シャン」「昼シャン」等の証拠を提出している(甲第5号ないし第7号証)が、いずれも語頭に「シャン」が「シャンプー」を意味すると看取し得る「朝」や「昼」等の文字を冠しているものばかりであるから、本件商標をこれと同列に論ずることはできない。
さらに、甲第6号証によれば、「昼シャン」が「昼の休息時間にシャンパンを飲むこと」を意味する場合もある、とあり、常に「シャン」の文字が「シャンプー」を意味するものともいえない。
(2)商標法第4条第1項第10号について
請求人は、「本件商標の指定商品である『頭髪用シャンプー』と、引用商標1の『化粧用染料』及び引用商標3の『化粧品』に含まれる申立人の使用に係る『髪染剤』ないし『頭髪用化粧品』は、ともにヘアケア製品であって生産部門が一致し、販売部門についてもスーパー等における売り場は同じか極めて近接する。シャンプーと髪染剤は、いずれも美容室等においても提供されるから、需要者及び取引者の範囲及び提供場所が一致する。」旨主張している。
そこで、本件商標の指定商品と引用商標1及び3の使用商品が類似するか否かについて判断するに、本件商標の指定商品である「頭髪用シャンプー」と、引用商標1の「化粧用染料」及び引用商標3の「髪染剤」ないし「頭髪用化粧品」とは、商品の品質、原材料、用途等が相違するから非類似の商品と認められる。
してみれば、本件商標と引用商標1及び3とは、商標の類否について検討するまでもなく、本件商標の指定商品と引用商標1及び3の使用商品とは、非類似の商品であって、本件商標は商標法第4条第1項第10号に該当しない。
また、本件商標と引用商標2とは、上記(1)で述べたとおり、非類似の商標であるから、本件商標は商標法第4条第1項第10号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第15号について
甲第1号ないし第32号証を徴するに、使用の事実を示す商品が掲載されているものは、わずかに甲第17号ないし第19号証の3件のみであり、その使用態様も「Ann」、「アン」及び[ann」があり、統一して使用されていないため、その著名性は認めがたいばかりでなく、引用商標2に類似する引用商標1及び3の商標の構成態様も、前記(1)で認定した本件商標と引用商標2の非類似の判断と同様であるから、本件商標と引用各商標も別異のものと判断され、これをその指定商品に使用しても、申立人又は申立人と経済的又は組織的に何らかの関係がある者の商品であるかのごとく、商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
したがって、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(4)結論
以上のとおり、本件商標は商標法第4条第1項第11号、第10号及び第15号に違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2008-09-08 
出願番号 商願2007-11686(T2007-11686) 
審決分類 T 1 651・ 262- Y (X03)
T 1 651・ 271- Y (X03)
T 1 651・ 25- Y (X03)
最終処分 維持  
前審関与審査官 高橋 謙司 
特許庁審判長 井岡 賢一
特許庁審判官 佐藤 達夫
小川 きみえ
登録日 2007-10-19 
登録番号 商標登録第5084566号(T5084566) 
権利者 有限会社トランザクト
商標の称呼 アンシャン、アン、エイエヌエヌ、シャン 
代理人 中川 博司 
代理人 岩井 智子 
代理人 松本 尚子 
代理人 松本 康伸 

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