• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない Y31
管理番号 1182583 
審判番号 不服2007-17076 
総通号数 105 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2008-09-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-06-19 
確定日 2008-07-22 
事件の表示 商願2006- 71191拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1 本願商標
本願商標は、「エコレモン」の文字を標準文字で表してなり、第31類「レモン」を指定商品とし、平成18年7月31日に団体商標として登録出願されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『自然環境の保全』の意味を有する『エコロジー(ecology)』の略語として普通に使用されている『エコ』の文字と指定商品『レモン』の文字を連綴した『エコレモン』の文字を書してなるところ、近年、消費者の安全志向、自然志向及び環境負荷の軽減にも配慮した環境保全型農業が広がっている実情よりすると、全体として『無農薬・無化学肥料によって栽培されたレモン』を認識、理解させるにとどまり、これをその指定商品に使用するときは、単に商品の栽培方法、品質を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

第3 当審における証拠調べ通知
当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べをした結果、下記の事実を発見したので、請求人に対し、商標法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき通知した内容は、以下のとおりである。

1 果物について
(1)2004年3月16日付け愛媛新聞には「[農に生きる・愛媛の後継者を訪ねて]レモン(岩城) 緑色 新鮮・安全の証拠 ミカンよりデリケート」の見出しの下に「さらに本年度からは、農薬量を従来の半分に減らした『エコレモン』の出荷を開始。一キロ四百七十円前後と、約三、四割の高値がついた。砂川さんは『虫は怖い。でも虫も食べんレモンよりはええんじゃない』と自信をみせた。」の記載がある。
(2)2006年9月1日付け日本農業新聞の7頁には「エコレモン 量販店と契約販売/愛媛・JAおちいまばり岩城支店の部会」の見出しの下に「愛媛県上島町のJAおちいまばり岩城支店エコレモン部会は、レモンの化学合成農薬・化学肥料5割減の栽培に取り組んでいる。県の特別栽培農産物認証を受け、エコレモンとして大手量販店と契約・販売し、生産者の手取りアップに結びつけている。」の記載がある。
(3)2006年9月17日付け日本農業新聞の12頁には「[食材物語]青いレモン 愛媛・上島町/果汁たっぷり島育ち」の見出しの下に「エコレモンは、慣行栽培に比べ農薬、化学肥料の使用を5割以下に抑える。露地栽培の半田さんは除草剤を使わない。ミカンは太陽光が中まで入るように管理するが、『レモンは光が当たらない方がきれいな物ができる』と半田さんは話す。」の記載がある。
(4)2003年11月14日付け朝日新聞(大阪地方版/愛媛)の28頁には「農薬半減・有機肥料の『愛媛エコみかん』初出荷/愛媛」の見出しの下に「大西町や今治市のミカン農家が農薬の使用を半分以上減らし、有機肥料でつくった『愛媛エコみかん』が13日、今治市野間にあるJA越智今治のくるしま共選場から初出荷された。」の記載がある。
(5)2007年4月13日付け日本食糧新聞には「住商フルーツ、ベルマーク運動にバナナで参加」の見出しの下に「エコバナナは農薬を抑え、環境に配慮して栽培した。収穫から日本到着まで適温で管理する“鮮度キープ輸送”を徹底させている。」の記載がある。
(6)「パルシステムがお届けする『エコ・りんご』は、優先排除農薬・問題農薬を不使用とし、農薬をできる限り削減。」の記載がある。(http://www.farmersnet.net/greenplazapal/0610gpptuusinn.pdf)
(7)「安全で美味しい『脇町エコぶどう』をお届けするために ・生産者全員が環境にやさしい農業を実践するエコファーマーに認定され、良質堆肥による土づくりを基本に、化学肥料と農薬使用の低減に努めています。」の記載がある。(http://www.pref.tokushima.jp/generaladmin.nsf/topics/B2BB8159313A6469492571AA002B1AC2?opendocument)
(8)「エコすいか 10年ほど前から愛媛県菊間町の生産者がこだわりを持って作っている、無化学肥料栽培のスイカです。皮が薄くシャリ感があり甘みののった一番果を厳選してお届けしています。」の記載がある。(http://www.kajuen.co.jp/introduction/item26.htm)
(9)「エコ・ポンカン 良質の完熟堆肥(モグラ堆肥)を使い土作りをし、農薬もできるかぎり減らし除草剤を使用せず木に対する愛情と味へのこだわりを大切にしております。」の記載がある。(http://happy-comecome.cocolog-nifty.com/blog/2008/01/post_2671.html)
(10)「大きさバラバラ、農薬・化学肥料を減らして作られた分、多少のキズもありますが、人にも自然にもやさしい『エコいよかん』をご家庭用にお得な価格でお届けします!」の記載がある。(http://item.rakuten.co.jp/kajuen/1810889/)

2 野菜について
(11)2002年2月13日付け毎日新聞(地方版/福岡)の22頁には「[行ってみんしゃい]知られざる“宮崎”の魅力紹介/福岡」の見出しの下に「県経済連職員によると、ピーマンの国内需要は2万5000トンだが、ここ3?4年は輸入品が押し寄せ、価格は低迷、生産量も減少の一途だという。打開策の一つが、昨年から作付けを始めた減農薬の『エコピーマン』。渡部さんも栽培に取り組んでおり、差別化で危機を乗り越えようと懸命だ。」の記載がある。
(12)2005年11月3日付け毎日新聞(地方版/静岡)の23頁には「まちかど:三島・幼稚園児がニンジン収穫/静岡」の見出しの下に「地元で作られた安全なニンジンに親しんでもらおうと2日、同市笹原新田で、『エコにんじん収穫体験』があり、同市立北幼稚園児59人と保護者が参加した。『エコにんじん』は減農薬減化学肥料の有機栽培ニンジン。農薬などの使用量は通常の半分になっている。」の記載がある。
(13)「天敵利用やマルハナバチによる交配により、減農薬栽培に取り組んでいます。『エコトマト』の名称で、関西地域に出荷されています。」の記載がある。(http://www10.ocn.ne.jp/~kah/gengen-ecoeco/ecoeco/ecoeco.htm)
(14)「パルシステムのエコ・キャベツの栽培基準が『除草剤、土壌くん蒸剤、優先排除・問題農薬不使用』であることや、2002年から実施している『ほうれん草の硝酸態チッソ削減の取り組み』などについて発表されました。」の記載がある。(http://www.pal-system.co.jp/topics/2007/080129b/index.html)
(15)「今の時代は安全・安心があたりまえ。農薬・化学肥料は一般栽培の50%以下、生産履歴の記帳など、県の定めた栽培基準を満たして認証される“ちばエコだいこん”の栽培も積極的に行っています。」の記載がある。(http://www.zennoh.or.jp/zennoh/topics/apron/0512/01.htm)
(16)「エコ栽培農産物の『三ツ谷”エコたまねぎ”』は、化学合成農薬・化学肥料を3割以上削減して栽培した農産物です。」の記載がある。(http://www.city.mishima.shizuoka.jp/ipn004367.html)
(17)「エコはくさい 除草剤を使用する代わりに機械除草を行い、化学農薬の代わりに天然系農薬を使用しました。また、フェロモントラップを設置してヨトウムシの被害を抑えました。」の記載がある。(http://www.ei-net.na.jp/miyazaki/nishimorokata/bbs/nisimoroyasai/bbs-data/316902/?OPT=OFF)
(18)「JAえひめ南、津島営農センタ-管内で取り組んでいるエコなすの定植が2月17日より始まった。このエコなすは、県が認証している特別栽培等農産物認証制度で、肥料・農薬を基準より5割削減し、農家8戸70aで栽培される。」の記載がある。(http://www.pref.ehime.jp/130uwj/420uwajima-nokai/00002392030129/uwajima/ugoki-yasai-2005.htm)

第4 職権証拠調べに対する意見の要点
請求人は、「本願商標『エコレモン』は、本願出願人である三原農業協同組合の組合員の一員である瀬戸田で使用している商標として、全国の需要者に対して周知の商標であり、商品の優秀さが認められ、平成15年2月21日には、全国農業協同組合中央会から表彰されている。『エコ○○』に関する新聞記事は、表彰された後の記事であり、本願商標『エコレモン』は、特別顕著性を有している商標である。商標の『エコどんぶり』及び『エコボウル』は登録され、本願は拒絶されるならば極めて矛盾するものである。したがって、本願商標は、これをその指定商品に使用するも、自他商品の識別標識としての機能を十分に具備するものである。」旨述べている。

第5 当審の判断
本願商標は、前記第1のとおり、「エコレモン」の文字よりなるところ、構成中の「エコ」の文字部分は、「コンサイスカタカナ語辞典 第3版」(株式会社三省堂)によれば、「『環境の、生態(学)の』の意で複合語をつくる。」の意味を有し、他の語と共に、例えば「エコ商品」「エコマーク」「エコハウス」「エコツアー」等の如く、他の語に冠して「環境を汚さない、環境に優しい」の意味合いで各種商品等に使用されているものであり、また「レモン」の文字部分は、商品の普通名称を表すものであるから、本願商標は全体として「環境を汚さない、環境に優しいレモン」の意味合いを容易に理解、認識させるものである。
そして、環境に配慮し、農薬・化学肥料を抑えて栽培された果物や野菜について、「エコ○○」と称して、生産、販売されている事実が前記第3の証拠調べ通知書に記載のとおり、認められるものである。
そうとすれば、本願商標は、これをその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、「環境に配慮し、農薬・化学肥料を抑えて栽培されたレモン」であること、すなわち、商品の品質、栽培方法を表示するものとして把握、認識するにとどまり、自他商品の識別標識としての機能を果たすものとは認識し得ないものと判断するのが相当である。
なお、登録出願された商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かの判断時期は、当該商標登録出願の査定時又は審決時において、その商標が使用される商品の取引の実情等を考慮し、個別具体的に判断されるものであるから、請求人の挙げた「エコ」の文字を含む登録例の存在及び証拠調べ通知で示した「エコ○○」に関する新聞記事等の掲載時期が、全国農業協同組合中央会から表彰された後であることによってその認定は左右されないというべきである。
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するものとして、本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことができない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2008-05-08 
結審通知日 2008-05-16 
審決日 2008-05-29 
出願番号 商願2006-71191(T2006-71191) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (Y31)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 梶原 良子 
特許庁審判長 渡邉 健司
特許庁審判官 杉山 和江
平澤 芳行
商標の称呼 エコレモン、エコ 
代理人 三原 靖雄 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ