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審決分類 審判 査定不服 外観類似 登録しない Y10
審判 査定不服 観念類似 登録しない Y10
審判 査定不服 称呼類似 登録しない Y10
管理番号 1181062 
審判番号 不服2007-3643 
総通号数 104 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2008-08-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-02-07 
確定日 2008-06-26 
事件の表示 商願2006- 22026拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「YOUCAN」の欧文字を標準文字で表してなり、第10類の願書に記載のとおりの商品を指定商品として、平成18年3月13日に登録出願され、その後、指定商品については、原審における同年11月2日付手続補正書により、第10類「手術の技術向上のための模擬訓練用機械器具」に補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定の拒絶の理由は、以下の(1)及び(2)のとおりである。
(1)指定商品は、商標とともに権利範囲を定めるものであるから、その内容及び範囲は明確でなければならないところ、本願に係る指定商品「医療技術訓練用機械器具」は、その内容及び範囲を明確に指定したものとは認められない。したがって、本願は、商標法第6条第1項の要件を具備しない。
(2)本願商標は、以下の商標と同一又は類似の商標であって、同一又は類似の商品について使用をするものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。なお、以下の引用商標中、商標登録出願中のものについては、その商標登録出願に係る商標が登録されたときに商標法第4条第1項第11号に該当することとなる。
(ア)登録第4464512号商標(以下、「引用商標1」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、平成12年3月24日に登録出願、第12類「自動車並びにその部品及び附属品,船舶並びにその部品及び附属品(「エアクッション艇」を除く。),エアクッション艇,航空機並びにその部品及び附属品,鉄道車両並びにその部品及び附属品,二輪自動車・自転車並びにそれらの部品及び附属品,乳母車,人力車,そり,手押し車,荷車,馬車,リヤカー,車いす,荷役用索道,カーダンパー,カープッシャー,カープラー,牽引車,陸上の乗物用の動力機械(その部品を除く。),軸,軸受,軸継ぎ手,ベアリング,動力伝導装置,緩衝器,ばね,制動装置,陸上の乗物用の交流電動機又は直流電動機(その部品を除く。),タイヤ又はチューブの修繕用ゴムはり付け片,乗物用盗難警報器,落下傘」を指定商品として同13年4月6日に設定登録されたものである。
(イ)出願に係る商標が登録されたときに商標法第4条1項11号に該当することとなるとして引用した商願2004-014240号は、「UCAN」の欧文字を標準文字で表してなり、平成13年11月8日に登録出願された商願2001-100253を原出願とする商標法第10条第1項の規定による商標登録出願(分割出願)とし、第10類「医療用の遺伝子検査用DNAチップ,その他の医療用の検査用DNAチップ,診断用DNAチップ,医療用機械器具」を指定商品として、同16年2月18日に登録出願され、その後、同18年11月2日に登録第5000404号(以下、「引用商標2」という。)として設定登録されたものである。

3 当審においてした審尋(要旨)
当審において、以下の要旨の審尋を改めて通知し、相当の期間を指定して請求人に意見を求めたものである。
請求人は、平成19年4月11日付提出の手続補正書により補充された請求の理由において、「本願商標及び引用商標2は、それぞれ一体不可分となる一種の造語として認識され、英単語の『CAN』が含まれることから、ローマ字的発音の他に、英単語やアルファベットの羅列としての発音も考えられ、それぞれ一種類の称呼に特定されるものではない。つまり、本願商標からは、『ヨウカン』、『ユーキャン』の2種類の称呼が生じ得るとともに、引用商標2は、『ウカン』、『ユウシーエーエヌ』、『ユウキャン』、『ユウカン』の四種類の称呼が生じ得るため、本願商標と引用商標2との称呼上の類否関係を判断する際には、合計八通りの組み合わせがあり、その中の1つの組み合わせのみが、称呼上微差に過ぎないものである。従って、本願商標は、引用商標2に対して殆どの称呼が相紛れる虞はないと判断できる。なお、本願商標及び引用商標2は、それぞれ特定の観念を持たない一種の造語であるであるため、観念上の区別を論ずることはできない。」旨述べているところ、本願商標は、「YOUCAN」と欧文字で構成されてなるものであるが、これよりは、我が国で親しまれている英語の中でも一般的によく知られている比較的平易な英語である「あなた」等の意味を有する「YOU」の文字と「できる、可能」などの意味を有する「CAN」の文字とを一連に表してなるものと理解し、認識されることが少なくないものと認められる。そうすると、全体として、「あなたはできる」くらいの意味合いを理解させ、その構成文字に相応して「ユーキャン」と発音し、その称呼をもって取引に資するとみるのが自然である。
他方、引用商標2は、「UCAN」の文字よりなるものであるが、該文字全体としては、特定の意味を有しない一種の造語と解されるものである。しかして、欧文字からなる造語商標にあっては、一般的には、我が国において広く親しまれている英語ないしローマ字の読み、又は親しまれた欧文字単語の綴りの共通の部分の読みを、該文字に相応して適宜選択して称呼されるものとみるのが相当であるから、構成中の「U」の文字部分は、英語アルファベットの第21番目の文字で、「ユー」と発音されるものであるし、また、「user(ユーザー)」、「univercity(ユニバーシティ)」、「uniform(ユニフォーム)」、「utopia(ユートピア)」、「ubiquitous(ユビキタス)」、「UNICEF(ユニセフ)」などの欧文字単語の綴りの発音に倣って、「U」の文字部分を「ユー」と発音し、「できる、可能」の意味でよく知られた英語である「CAN」の文字よりは、「キャン」と発音されることよりすれば、全体として「ユーキャン」の称呼をもって取引に当たることの方が多いというのが相当である。 そうとすれば、本願商標と引用商標2とは、「ユーキャン」の称呼を同じくし、その指定商品も同一又は類似する商品とするものであるから、商品の出所について誤認混同を生ずるおそれがある類似の商標といわざるを得ない。
上記のとおり、当審においては、合議の結果、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものと判断するものである。

4 請求人は、前記3の審尋に対して、何らの意見も述べていない。

5 当審の判断
(1)商標法第6条第1項について
本願商標は、その指定商品について前記1のとおり補正された結果、商品の内容が明確なものになったと認められる。
その結果、本願商標の指定商品は、商標法第6条第1項の要件を具備するものとなった。
したがって、本願商標が、商標法第6条第1項の要件を具備しないという原査定の拒絶の理由は解消した。
(2)本願商標と引用商標1の類否について
本願商標は、「YOUCAN」と欧文字で構成されてなるものであるが、本願のような欧文字の構成よりなる標章は、その構成文字に特別の事情がない限り、我が国において最も一般に親しまれている外国語である英語風の読み方又はローマ字読みで称呼されるとみるのが自然である。そして、本願を構成する欧文字が、我が国で親しまれている英語の中でもよく知られた、比較的平易な英語である「あなた」等の意味を有する「YOU」の文字と、「できる、可能」などの意味を有する、やはりよく知られた英語である「CAN」の文字とからなるものであるから、本願商標はこの二語からなるものと容易に認識し理解されることが少なくないものと認められる。そうすると、いずれもよく知られた英語である「YOU」と「CAN」からなる本願商標よりは、「あなたはできる」の意味合いを理解させ、その構成文字に相応して「ユウキャン」又は「ユーキャン」と発音し、その称呼をもって取引に資する場合が多いものとみるのが相当である。
他方、引用商標1は、別掲のとおりの構成よりなるところ、その構成中にローマ文字「U」と認められる図形を大きく二重線で描いてなり、その「U」の文字部分に重なるように、複合語の連結を表す短いハイフンと「遊館」の漢字とを表してなるところ、かかる構成においては、一種の造語として認識されるものであり、その構成文字全体より、「ユーユウカン」の称呼を生ずると共に「U」の文字部分が図案化されていることから、「遊館」の漢字部分を捉えて、「ユウカン」の称呼をも生ずるものと認められる。
そこで、本願商標より生ずる「ユウキャン」及び「ユーキャン」の称呼と引用商標1より生ずる「ユウユーカン」の称呼とを比較するに、両者は、音構成及び音数の差等により明らかに区別できるものである。また、本願商標より生ずる「ユウキャン」の称呼と、引用商標1より生ずると認められる「ユウカン」の称呼とは、第三音において、拗音「キャ」と清音「カ」の音に差異を有するものであり、共に4音と比較的短い音構成よりなるものであるから、それぞれを一連に称呼するときには、該差異音が全体の称呼に及ぼす影響は大きいものとなり、全体の語調、語感を異にし、互いに区別し得るものである。さらに、本願商標から生じる「ユーキャン」の称呼と引用商標1より生ずる「ユウカン」の称呼とは、第二音における長音と「ウ」、第三音の「カ」と「キャ」の音を異にするものであり、共に全体の音数が4音(長音を含む。)と比較的短く、この中間に位置する音の差が両称呼全体に及ぼす影響は大きく、それぞれを一連に称呼した場合には、語調語感が異なるものとなって十分に聴別し得るものといわなければならない。そして、外観においては、極めて印象を異にするものであるから、外観上明らかな相違を有するものである。また、本願商標よりは、「あなたはできる」程の意味合いを理解させるものであるところ、引用商標1の「遊館」の漢字部分よりは「遊ぶ館」くらいの観念を生ずるものであるから、両商標は、観念においても明白な差異を有するものである。
してみれば、本願商標と引用商標1とは、その外観、称呼、観念等から、取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、誤認混同のおそれのない、非類似の商標というべきである。
(3)本願商標と引用商標2の類否について
本願商標は前記(2)のとおりであるのに対し、引用商標2は、「UCAN」の欧文字を標準文字で表してなり、該文字全体としては、特定の意味を有しない一種の造語と解されるものである。そして、欧文字からなる造語商標にあっては、一般的には、我が国において広く親しまれている英語ないしローマ字の読み、又は親しまれた欧文字単語の綴りの共通の部分の読みを、該文字に相応して適宜選択して称呼されるものとみるのが相当であるから、前記3の審尋書でも通知したとおり、構成中の「U」の文字部分は、英語アルファベットの第21番目の文字で、「ユー」と発音され、「できる、可能」の意味でよく知られた英語である「CAN」の文字よりは「キャン」若しくは、ローマ文字読みで「カン」と称呼され、全体として「ユーキャン」又は「ユーカン」の称呼を生ずるとみるのが相当である。
そこで、本願商標と引用商標2とを比較するに、本願より生ずる「ユーキャン」と引用商標2より生ずると認められる「ユーキャン」とは、称呼を共通にするものである。つぎに、本願より生ずる「ユウキャン」の称呼と引用商標2の「ユーキャン」とを比較するに、第二音において「ウ」か長音かの差異を有するにすぎず、前者「ウ」の音は、その前音「ユ」の母音[u]に吸収されるように発音される結果、「ユウ」の部分が「ユー」の如く聴取される場合が決して少なくないものといえるから、両者をそれぞれ一連に称呼するときは、全体の語調、語感が極めて近似したものとなり、互いに聞き誤るおそれがあるものといわなければならない。
そして、本願商標からは、「あなたはできる」くらいの意味合いを想起させるものである。他方、引用商標2は造語と認められるが、その構成中には「できる」の意味を理解させるよく知られた英語「CAN」の文字を有するものである。してみれば、観念上で明確な違いを有するものともいい得ないから、その違いにより、両者が別異のものとして明確に区別されるということはできない。また、その外観においては、いずれも欧文字の大文字より構成され、構成文字中の「UCAN」の4文字を共通にするものであるから、近似した印象を与えるものであり、外観上の差異はそれほど顕著とはいえないものである。
したがって、両商標は前記のとおり、観念については明確に区別できないものであり、称呼においては、同一又は極めて近似するものであるから、聞き誤るおそれがあり、外観上もありふれた欧文字で表され、多少の差異が認められる程度で、両商標からは特段強い印象を与える差異を有するものということはできないから、時と場所を異にしてこれに接した需要者は、これらを同一又は類似の商品に使用したときには、商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあることを否定することはできない。
さらに、本願商標と引用商標2とが、指定商品について使用したときに、商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれは生じないという特別な取引の実情が存するという理由及び証拠は見出せない。
したがって、本願商標と引用商標2とは、類似する商標であり、かつ、その指定商品も同一又は類似のものであるから、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当なものであって、取り消すべき限りでない。
なお、請求人は、過去の既登録例を挙げて本願商標も登録されるべきである旨述べているが、商標登録出願に係る商標が商標法第4条第1項第11号に該当するか否かは、本件の事案に即して当該出願に係る商標と特定の他人の登録商標との対比において、個別具体的に判断されるべきものであり、本願商標と引用商標2との類否については、前記(3)のとおりであるから、過去の登録例等の判断に拘束されるものではなく、請求人の上記主張は採用することができない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲 引用商標1


審理終結日 2008-04-30 
結審通知日 2008-05-02 
審決日 2008-05-13 
出願番号 商願2006-22026(T2006-22026) 
審決分類 T 1 8・ 261- Z (Y10)
T 1 8・ 262- Z (Y10)
T 1 8・ 263- Z (Y10)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 大島 護 
特許庁審判長 中村 謙三
特許庁審判官 小畑 恵一
清川 恵子
商標の称呼 ユーカン、ユーキャン 
代理人 榎本 英俊 

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