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審決分類 |
審判 査定不服 商3条1項6号 1号から5号以外のもの 取り消して登録 Y36 |
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管理番号 | 1175815 |
審判番号 | 不服2005-20055 |
総通号数 | 101 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2008-05-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2005-10-17 |
確定日 | 2008-03-29 |
事件の表示 | 商願2005- 3856拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願商標は、登録すべきものとする。 |
理由 |
1 本願商標 本願商標は、別掲に表示するとおりの構成よりなり、第36類「生命保険契約の締結の媒介,生命保険の引受け,損害保険契約の締結の代理,損害保険に係る損害の査定,損害保険の引受け,保険料率の算出」を指定役務として、平成17年1月20日に登録出願されたものである。 2 原査定の拒絶の理由の要点 原査定は、「本願商標は、『生命保険、損害保険等各種の保険契約の締結等の取引の場』を意味する語として広く使用されている『保険市場』の文字を彩色してはいるものの普通に用いられる方法の域を脱していない態様で表してなるから、これを本願指定役務に使用しても自他識別標識としての機能を果たし得ず、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができない商標と認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。 3 当審の判断 本願商標は、別掲に表示するとおり、「保険市場」の文字よりなるところ、広辞苑第五版(株式会社岩波書店発行)によると、本願商標の構成中、前半の「保険」の文字については、「ほけん【保険】(insurance)」の項に、「人の死亡・火災などの偶発的事故の発生の蓋然性が統計的方法その他によってある程度まで予知できる場合、共通にその事故の脅威を受ける者が、あらかじめ一定の掛金(保険料)を互いに拠出しておき、積立金を用いてその事故(保険事故)に遇った人に一定金額(保険金)を与え、損害を填補する制度。」を意味する語としての記載があり、また、後半の「市場」の文字については、「いちば【市場・市庭】の項に、(1)毎日または定期に商人が集まって、商品売買を行う場所。(2)常設の設備があって、おもに日用品・食料品を販売する所。しじょう。マーケット。」を意味する語としての記載があるほか、「しじょう【市場】の項には、(3)狭義には、売手と買手とが特定の商品を規則的に取引する場所をいう。魚市場・青果市場・証券取引所など。(4)広義には、一定の場所・時間に関係なく相互に競合する無数の需要・供給間に存在する交換関係をいう。国内市場・国際市場など。」を意味する語としての記載がある。 ところで、 商標法3条1項6号にいう「需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標」としては、「構成自体が商標としての体をなしていないなど、そもそも自他商品識別力を持ち得ないもののほか、同項1号から5号までには該当しないが、一応、その構成自体から自他商品識別力を欠き、商標としての機能を果たし得ないと推定されるもの、及び、その構成自体から自他商品識別力を欠き、商標としての機能を果たし得ないものと推定はされないが、取引の実情を考慮すると、自他商品識別力を欠き、商標としての機能を果たし得ないものがあるということができる。」(知財高裁平成18年3月9日判決 平成17年(行ケ)10651号参照。)と解される。 そうすると、本願商標は、一体として、「保険の取引を行う場所」という観念が生じ得るから、そもそも自他役務識別力を持ち得ないものとか、その構成自体から自他役務識別力を欠き、商標としての機能を果たし得ないものとかの推定が働くものではないというべきである。 また、取引の実情を考慮した場合に自他役務の識別力を有するかについて、検討するに、提出された証拠において使用されている商標に係る「保険市場」の文字は、(a)「保険市場」の左側下欄に「HOKEN ICHIBA」、右側下欄に「The Insurance」「Market Place」を二段に書してなるもの、(b)「保険市場」の右側に「HOKEN ICHIBA」、「The Insurance Market Place」を二段に書してなるもの、(c)「保険市場」の下側に「HOKEN ICHIBA」、「The Insurance Market Place」を三段に書してなるものとして使用しており、「保険市場」の文字は、「HOKEN ICHIBA」及び「The Insurance Market Place」の文字と共に併記され「ホケンイチバ」と称呼されて使用されていることを認めることができる。 そして、全国で約158店舗(証拠においては、そのうち73店舗の店内等の写真)において、各種保険に関するチラシ、パンフレット等に上記(a)ないし(c)の標章を付して表示していたことが認められる。 上記認定の事実によれば、請求人により「保険市場」の標章は、「ホケンイチバ」と称呼され、各種保険の取引の宣伝、広告、販売等に使用していたことが認められ、本願指定役務に係る分野の取引者、需要者の間に、請求人の業務に係る各種保険の取引業務を表示すものとして、広く知られ、かつ、本願の指定役務に使用した結果、本願商標に接する取引者、需要者に請求人の業務に係る役務であることを十分認識させるにいたっていたものと判断するのが相当である。 してみれば、本願商標は、その指定役務について使用しても、「取引者、需要者間において、請求人の業務に係る役務を表示する商標として、自他役務の識別標識としての機能を果たし得るものであり、他に、本願商標を何人かの業務に係る役務であるかを認識することができない商標としなければならない」ものとすることはできない。 したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当するということはできないから、本願を拒絶した原査定は妥当でなく、取消を免れない。 その他、政令で定める期間内に本願について拒絶の理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲(本願商標) (色彩は原本を参照されたい。) |
審決日 | 2008-03-06 |
出願番号 | 商願2005-3856(T2005-3856) |
審決分類 |
T
1
8・
16-
WY
(Y36)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 石田 清、小川 きみえ |
特許庁審判長 |
小林 和男 |
特許庁審判官 |
日向野 浩志 津金 純子 |
商標の称呼 | ホケンイチバ、ホケンシジョー |
代理人 | 岡田 全啓 |