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審決分類 審判 全部無効 商4条1項16号品質の誤認 無効としない Y29
審判 全部無効 商4条1項10号一般周知商標 無効としない Y29
審判 全部無効 商4条1項15号出所の混同 無効としない Y29
審判 全部無効 商4条1項11号一般他人の登録商標 無効としない Y29
管理番号 1172836 
審判番号 無効2007-890037 
総通号数 99 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2008-03-28 
種別 無効の審決 
審判請求日 2007-03-23 
確定日 2008-02-08 
事件の表示 上記当事者間の登録第4962098号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4962098号商標(以下「本件商標」という。)は、「TABLE」、「TABLET」の欧文字と「テーブルタブレット」の片仮名文字とを三段に横書きしてなり、平成17年9月15日に登録出願、第29類「ウコン・グルコサミン・ビタミン類を主原料とする粒状・顆粒状・粉末状・カプセル状・液状・ウエハース状・固形状又は打錠成形してなる加工食品,食用油脂,乳製品,食肉,卵,食用魚介類(生きているものを除く。),冷凍野菜,冷凍果実,肉製品,加工水産物,加工野菜及び加工果実,油揚げ,凍り豆腐,こんにゃく,豆乳,豆腐,納豆,加工卵,カレー・シチュー又はスープのもと,お茶漬けのり,ふりかけ,なめ物,豆,食用たんぱく」を指定商品として、同18年6月16日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
請求人が本件商標の無効の理由に引用する登録商標及びJASマークの認定を受けている標章は、以下の(1)ないし(4)のとおりである。
(1)登録第4836332商標(以下、「引用商標1」という。)は、「TABLE」の欧文字と「テーブル」の片仮名文字とを上下二段に横書きしてなり、平成16年4月7日に登録出願、第29類「食用油脂,乳製品,食肉,卵,食用魚介類(生きているものを除く。),冷凍野菜,冷凍果実,肉製品,加工水産物,加工卵,カレー・シチュー又はスープのもと,お茶漬けのり,ふりかけ,なめ物,豆,食用たんぱく」を指定商品として、同17年1月28日に設定登録されたものである。
(2)登録第3312876商標(以下、「引用商標2」という。)は、「テーブル」の片仮名文字を横書きしてなり、平成6年4月19日に登録出願、第29類「肉製品,加工水産物(かつお節,寒天,削り節,とろろ昆布,干しのり,干ひじき,干しわかめ,焼きのりを除く),乳製品,食用油脂,カレー・シチュー又はスープのもと,食用たんぱく」を指定商品として、同9年5月23日に設定登録され、その後、同19年5月29日に商標権の存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続しているものである。
(3)平成16年9月14日受付で、財団法人日本商品油脂検査協会によるJASマークの認定を受けている「テーブル」の片仮名文字を横書きしてなる標章(以下「引用商標3」という。別掲(1):甲第18号証参照)。
(4)平成16年6月17日受付で、財団法人日本商品油脂検査協会によるJASマークの認定を受けている「Table」(飾り枠内に他の文字と共に筆記体で表されている)(以下「引用商標4」という。別掲(2):甲第22号証参照)。

第3 請求人の主張
請求人は、本件商標の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求めると申し立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第37号証(枝番を含む。)を提出した。
1 利害関係について
請求人は、引用商標2について商標権者である協同乳業株式会社より独占的通常使用権を許諾されており(甲第7号証の1ないし2及び甲第8号証の1ないし2)、かつ、引用商標2、引用商標3及び引用商標4を永年にわたって使用している。
よって、請求人は本件商標について利害関係を有している。
2 商標法第4条第1項第11号について
(1)本件商標の識別力の要部
ア 本件商標は、上記第1のとおり欧文字5文字、欧文字6文字、及び片仮名文字9文字を三段書きにした「TABLE/TABLET/テーブルタブレット」の構成よりなる。
かかる本件商標の構成中、欧文字部分の「TABLET」は英語における「錠剤」を示す語であり(研究社リーダーズ英和辞典初版第6刷、平成9年発行)、また片仮名部分の「タブレット」は、日本における外来語としての「錠剤」を示す語である(岩波書店 広辞苑第5版第1刷、平成10年11月11日発行)。すなわち、「TABLET」及び「タブレット」は英語及び日本語における「錠剤」を表す普通名称である。
イ 本件商標の指定商品が属する食品業界においては、例えば、粉末油脂のように、食品素材を原料として粉末化することは普通に行われている。そして粉末化した食品素材をタブレット状、すなわち打錠成形することは通常考えられる加工形態であり、本件商標の登録査定日である平成18年5月9日以前から現在に至るまで、市場には、タブレット状、すなわち打錠成形した錠剤状の加工食品が多数流通している。
ウ 実際に、特許庁の電子図書館の商標役務名リスト検索で、本件商標の指定商品が属する商品区分第29類において、「タブレット」あるいは「錠」という言葉を含むものを検索したところ、1906件が検出された(甲第9号証)。そのうち、「タブレット」を指定商品に含むものは128件である(甲第10号証の1ないし7)。
したがって、本件商標の指定商品については「タブレット状、打錠成形した錠剤」という商品の形状が通常に数多く用いられているため、本件商標の指定商品に係る取引者・需要者には、商標の構成中に含まれる「TABLET」及び「タブレット」という語が、「タブレット状、打錠成形した錠剤」を意味する商品形状の普通名称をそのまま認識させることになる。
エ インターネット上でも、サーチエンジン「YAHOO!JAPAN」を用いて「タブレット」の語で検索したところ、本件商標の指定商品に係る「タブレット状、打錠成形した錠剤」の商品が多数取引されている現状がある。
例えば、乳製品を原料とする打錠成形品として、明治乳業株式会社製「おなか活力タブレット」がある。甲第11号証の1ないし2に示す当該商品に関する明治乳業株式会社の企業情報サイトのプレスリリースにおいて「2005年9月13日より、全国にて『おなか活力タブレット』を新発売いたします。」と記載されている。また、本文中には、「タブレットタイプの商品であり」や「一般のお客様にもわかりやすい商品名『おなか活力タブレット』に変更する」との記載がある。
本件商標の権利者から事業を移管統合したキリンヤクルトネクストステージ株式会社(甲第12号証)も、乳製品由来のオリゴ糖を配合した製品「ノアレ」シリーズをホームページにおいて販売している(甲第13号証の1ないし4)。
甲第13号証の1に示すホームページにおける「ノアレプラス」の商品解説には「やわらかな食感のタブレットです」や「ノアレ(タブレット)」の記載などがある。
また、ケンコーコム株式会社はオンラインショップ「ケンコーコム 健康メガショップ」にて、いわしから抽出・精製したサーデンペプチドを配合した製品「ナチュラルケアタブレット」を扱っている(甲第14号証の1ないし2)。その商品解説には「飲みやすいタブレットタイプ」との記載がある(甲第14号証の1)。
ハーバライフ・オブ・ジャパン株式会社は「フォーミュラ4」という栄養補助食品を扱っているが、そのホームページ(甲第15号証の1ないし2)には、「紅花油のタブレット(粒)です。」(甲第15号証の1)などの記載がある。
株式会社友和商会のオンラインショップ「サウナスーツ.net」において、食用たんぱくを原料とする打錠成形品である明治製菓株式会社製「ザバスプロテインタブ」を扱っており(甲第16号証の1ないし4)、その該当ページには、「エネルギーとタンパクの補給を手軽にするために生まれたタブレットです。」との記載がある(甲第16号証の2)。
タカラバイオ株式会社は、豆乳と明日葉の粉末を原料として打錠成形した「明日葉豆乳タブレット」(甲第17号証の1ないし2)を販売している。平成18年1月23日に発表されたニュースリリースページの商品解説には「明日葉と豆乳の粉末を配合したタブレット」、「タブレット状にした健康食品です」などの記載がある(甲第17号証の1)。
これらのことからも、本件商標に係る指定商品においては、「タブレット状」つまり「打錠成形した錠剤」の商品が現に多数存在し取引されていること、及び本件商標の登録査定前において、「TABLET」及び「タブレット」という語が、「打錠成形した錠剤」という商品の形状を示す語であると本件商標の指定商品に係る取引者・需要者において広く認識されていることが示される。
オ 以上のことから、本件商標の構成中、「TABLET」及び「タブレット」の部分が、その指定商品においては「タブレット状、つまり打錠成形した錠剤」という商品形状の普通名称を示す標章として、本件商標の指定商品に係る取引者・需要者に認識されることは明らかである。
このように、本件商標の構成中「TABLET」及び「タブレット」の部分は、商品の形状を表す表示であり識別力が生じないため、本件商標の要部は、「TABLE」及び「テーブル」である。
(2)本件商標と引用商標1及び引用商標2との類否判断
先に述べたとおり、本件商標の構成中「TABLET」及び「タブレット」の部分は、商品形状の普通名称を表す表示であり、識別力が生じないため、本件商標の要部は「TABLE」及び「テーブル」である。よって、本件商標からは「テーブル」の称呼が生じる。
一方、引用商標1は、欧文字5文字及び片仮名文字4文字を2段書きにした「TABLE/テーブル」の構成よりなり、欧文字5文字の「TABLE」の部分及び片仮名文字4文字からなる「テーブル」のいずれの部分からも「テーブル」の称呼が生じる。また、引用商標2は、片仮名文字4文字による「テーブル」の構成よりなり、「テーブル」の称呼を生じる。したがって、本件商標と引用商標1及び引用商標2は、いずれも「テーブル」の称呼を生じるため称呼において類似するものである。
また、引用商標1は、外観においても同じアルファベットの欧文字5文字の部分を含むため外観類似といえる。
次に、本件商標の指定商品と引用商標1及び引用商標2の指定商品とを比較してみると、本件商標の指定商品中「ウコン・グルコサミン・ビタミン類を主原料とする粒状・顆粒状・粉末状・カプセル状・液状・ウエハース状・固形状又は打錠成形してなる加工食品,食用油脂,乳製品,食肉,卵,食用魚介類(生きているものを除く。),冷凍野菜,冷凍果実,肉製品,加工水産物,加工卵,カレー・シチュー又はスープのもと,お茶漬けのり,ふりかけ,なめ物,豆,食用たんぱく」は、引用商標1の指定商品中「食用油脂,乳製品,食肉,卵,食用魚介類(生きているものを除く。),冷凍野菜,冷凍果実,肉製品,加工水産物,加工卵,カレー・シチュー又はスープのもと,お茶漬けのり,ふりかけ,なめ物,豆,食用たんぱく」に類似する。
また、本件商標の指定商品中「ウコン・グルコサミン・ビタミン類を主原料とする粒状・顆粒状・粉末状・カプセル状・液状・ウエハース状・固形状又は打錠成形してなる加工食品,食用油脂,乳製品,肉製品,加工水産物,カレー・シチュー又はスープのもと,食用たんぱく」は、引用商標2の指定商品「肉製品,加工水産物(かつお節,寒天,削り節,とろろ昆布,干しのり,千ひじき,干しわかめ,焼きのりを除く),乳製品,食用油脂,カレー・シチュー又はスープのもと,食用たんぱく」に類似する。
イ 以上より、本件商標と引用商標1及び引用商標2は商標が類似し、本件商標の指定商品と引用商標1及び引用商標2の指定商品も類似する。
そして、引用商標1は、本件商標の登録出願日(平成17年9月15日)及び登録日(平成18年6月16日)以前の日付である平成17年1月28日に登録されており、引用商標2は、本件商標の登録出願日及び登録日以前の日付である平成9年5月23日に登録されている。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。
3 商標法第4条第1項第16号について
本件商標の構成中、2段目に書かれた欧文字からなる「TABLET」の部分、及び3段目に書かれた片仮名文字からなる「テーブルタブレット」の構成中の「タブレット」の部分は、錠剤すなわち打錠成形品を意味する普通名称である。
本件商標の指定商品のうち「ウコン・グルコサミン・ビタミン類を主原料とする粒状・顆粒状・粉末状・カプセル状・液状・ウエハース状・固形状又は打錠成形してなる加工食品」において、「固形状又は打錠成形してなる」ものを除いた「ウコン・グルコサミン・ビタミン類を主原料とする粒状・顆粒状・粉末状・カプセル状・液状又はウエハース状加工食品」については、タブレット状のものではないことから、本号違反の無効理由が存在することは明らかである。
また、上記2(1)エにおいて具体例を挙げた「食用油脂,乳製品,豆乳,食用たんぱく」については、タブレット、錠剤若しくは打錠成形品の存在が認められる商品であるので、タブレット、錠剤若しくは打錠成形品以外のものについて、本号違反の無効理由が存在することは明らかである。
そして、これら以外の本件商標に含まれる指定商品についても、全て食品に関連するものであるので、タブレット、錠剤若しくは打錠成形した加工食品は十分に想定できるため、品質誤認するおそれがあるといえる。
よって、本件商標の指定商品中「タブレット状」つまり「打錠成形してなる」もの以外はすべて、商品の品質誤認を生じることになる。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第16号に違反して登録されたものである。
4 商標法第4条第1項第10号について
(1)引用商標2
引用商標2は、平成6年4月19日に登録出願され、以下に述べる引用商標3及び引用商標4を請求人がその指定商品について11年間にわたって使用することにより、平成17年9月15日に本件商標が登録出願される前には日本全国に広く知られるところとなっており、その登録査定時にもその状態は維持されている。
(2)引用商標3
請求人は、引用商標2と同じ片仮名文字4文字の「テーブル」の構成からなる商標について、本件商標の登録出願日である平成17年9月15日以前の日付である平成16年9月14日の受付で、財団法人日本食品油脂検査協会による JASマークの認定を受けている(甲第18号証)。
甲第19号証の1ないし8は、財団法人日本食品油脂検査協会のホームページの内容を示す。甲第19号証の1の業務内容に示すように財団法人日本食品油脂検査協会では、昭和30年から平成14年まで、マーガリン、ショートニング、精製ラード及び食用精製加工油脂の日本農林規格に基づく格付け検査を実施しており、平成15年以降、これらの品目についてJAS格付けのための検査を実施している。引用商標3のJASマークの登録の認定における農林物資の種類は、甲第19号証の3に示すようにマーガリン類及びショートニング、精製ラード並びに食用精製加工油脂である。甲第19号証の4はJAS認定工場の一覧を示し、No10は審判請求人がJAS認定工場の認定を受けていることを示している。
甲第20号証は、引用商標3を使用した商品の製品製造仕様書であり、第一回目の改定の日付が昭和56年7月7日であるので、少なくともこれ以前より販売が開始されていたことが分かる。また、第二回目の改定年月日が、平成3年2月19日であることから、この日まで使用され続けてきたことが分かる。
甲第21号証の1ないし13は、請求人の平成13年から平成17年までの引用商標3を付した製品の販売実績を示すものである。甲第21号証の表中2×4は1箱に2kgのものを4個詰め込んだものを表し、8×2は1箱に8kgのもの2個詰め込んだものを表す。いずれも、1ケース16kgとしている。
(3)引用商標4
引用商標4は、甲第22号証に示すように欧文字5文字による「Table」の構成からなり、本件商標の登録出願日である平成17年9月15日以前の日付である平成16年6月17日の受付で、財団法人日本食品油脂検査協会によるJASマークの認定を受けている。
引用商標4は、引用商標2と同一の「テーブル」という称呼を有するが、最近のように称呼観念を媒介として商標が宣伝されることが盛んになっている事情の下において、文字商標は、一定の態様の商標としてよりはむしろ特定の称呼観念のものとして著名になることが多い。そこで、商標の使用態様や外観が必ずしも特定されず、称呼観念において同一性を有する限りにおいては、欧文字であろうと片仮名文字であろうと、これを一体のものとして周知著名性を認めても差し支えない。
また、商標の使用の態様において、書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標、平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標、外観において同視される図形からなる商標は社会通念上同一と認められる商標である(商標法50条1項かっこ書き)。
これらの意味で、引用商標4は、引用商標2と社会通念上の同一の商標であるといえる。
(4)引用商標3及び引用商標4の周知性
甲第23号証の1ないし3は、引用商標3及び引用商標4を使用した商品が掲載されたカタログであり、甲第24号証はこれが昭和59年1月に発行されたことを証明する証明書である。
甲第25号証の1ないし5は、引用商標3及び引用商標4を使用した商品が掲載されたカタログである。カタログに記載された住所が、甲第26号証の閉鎖登記簿抄本における移転前の住所に示されているところから、このカタログは少なくともこの移転の日である平成6年11月7日より前に発行されたことが証明される。
甲第27号証の1ないし3は、引用商標3を使用した商品が掲載されたカタログであり、甲第28号証はこのカタログが1997年(平成9年)9月に2000部印刷されたことを証明する証明書である。
甲第29号証の1ないし3は、引用商標3を使用した商品が掲載されたカタログであり、甲第30号証はこのカタログが1999年(平成11年)10月に2000部印刷されたことを証明する証明書である。
甲第31号証の1ないし3は、引用商標3を使用した商品が掲載されたカタログであり、甲第31号証の3の右下方の記載はこれが2004年(平成16年)9月に1000部印刷されたことを示している。
請求人が引用商標3を使用してきた範囲は、引用商標2の指定商品の範囲内であるので、請求人による引用商標3の使用は同時に引用商標2の使用であるともいえる。
同じように考えると、引用商標4は、引用商標2と社会通念上の同一の商標であり、かつ請求人の使用してきた範囲は、引用商標2の指定商品の範囲内である。よって、請求人による引用商標4の使用は同時に引用商標2の使用であるともいえる。
なお、請求人は「食用油脂、乳製品」を指定商品とする登録商標第897725号「テーブル」(甲第32号証及び甲第33号証)について、昭和49年1月1日に協同乳業株式会社から「マーガリン」 について通常使用権を許諾されている(甲第34号証の1ないし4)。
また、請求人は平成6年10月31日に登録された「食用油脂、乳製品」を指定商品とする登録商標第2698298号「TABLE」(甲第35号証及び甲第36号証)について、平成6年4月7日に協同乳業株式会社から「マーガリン」について独占的通常使用権を許諾する旨の覚書を交わしている(甲第37号証の1ないし3)。甲第37号証1の「覚書」第2条第2項に、第三者に使用許諾しない旨の規定が記載されている。
引用商標2が登録される以前は、この甲第32号証及び甲第35号証に示す商標についての通常使用権が、それぞれ片仮名文字の「テーブル」と欧文字による「TABLE」についての請求人による正当な使用を確保し、引用商標3及び引用商標4の使用と相まって、周知性形成の一因となっていた。
また、請求人は、明治29年以来今日に至るまで100年を超える長い歴史を有し、この業界における知名度は非常に高い。企業自体の知名度が高い場合には使用される商標は取引者・需要者の注目を集めやすく、このことも当該商標の周知性形成の一因となるものである。
上述のように、引用商標3及び引用商標4の永年にわたるカタログへの掲載及びカタログの頒布並びに販売実績に基づき、請求人の使用する引用商標2、引用商標3及び引用商標4は古くから日本全国の取引者・需要者の間に広く知られる状態になっている。そして、本件商標の登録出願日である平成17年9月15日及び登録査定日である平成18年5月9日においても、国内の取引者・需要者の間に広く知られている状態にあり、その周知性は現在まで維持されているものである。
(5)本件商標と引用商標2、引用商標3及び引用商標4との類否判断
本件商標の指定商品中「ウコン・ダルコサミン・ビタミン類を主原料とする粒状・顆粒状・粉末状・カプセル状・液状・ウエハース状・固形状又は打錠成形してなる加工食品,食用油脂,乳製品,肉製品,加工水産物,カレー・シチュー又はスープのもと,食用たんぱく」は、引用商標2の指定商品「肉製品,加工水産物(かつお節,寒天,削り節,とろろ昆布,干しのり,千ひじき,干しわかめ,焼きのりを除く),乳製品,食用油脂,カレー・シチュー又はスープのもと,食用たんぱく」に類似する。
また、本件商標の指定商品と引用商標3及び引用商標4の使用している商品とを比較すると、引用商標3及び引用商標4の使用している商品はマーガリン類及びショートニング、精製ラード並びに食用精製加工油脂であり、これは本件商標の指定商品のうち「乳製品,食用油脂」に類似する。
本件商標の指定商品との関係において、欧文字からなる「TABLET」の部分及び仮名文字からなる「テーブルタブレット」の「タブレット」の部分は識別力がないため識別力の要部となる部分は、「TABLE」及び「テーブル」の部分である。よって、商標全体として本件商標を判断した場合、その欧文字部分及び片仮名文字部分のいずれからも「テーブル」の称呼が生じる。
一方、引用商標2及び引用商標3は片仮名文字4文字による「テーブル」の構成よりなり、「テーブル」の称呼を生じる。したがって、本件商標と引用商標2及び引用商標3はいずれも「テーブル」の称呼を生じるため称呼において類似するものである。
また、引用商標4は、欧文字5文字による「Table」の構成からなり、「テーブル」の称呼を生じるため、本件商標とは、称呼が類似する。さらに、外観においても同じアルファベットの軟文字5文字という点で外観上類似しているといえる。
よって、本件商標は、引用商標2、引用商標3及び引用商標4のいずれにも類似するものである。
(6)以上より、本件商標と引用商標2、引用商標3及び引用商標4が類似し、本件商標の指定商品と引用商標2の指定商品、引用商標3及び引用商標4の使用している商品も類似するため、上記4(4)で主張、立証したとおり、引用商標2、引用商標3及び引用商標4が本件商標の登録出願日である平成17年9月15日及び登録査定日である平成18年5月9日において、国内の取引者・需要者の間に広く知られる状態にあるところから、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に違反して登録されたものである。
5 商標法第4条第1項第15号について
本件商標には、引用商標2、引用商標3及び引用商標4を使用している商品に類似しない指定商品が含まれている。
しかし、請求人による永年にわたる広告宣伝及び販売実績に基づき引用商標2、引用商標3及び引用商標4は日本全国の取引者・需要者間に広く知られる状態となっている。特に本件商標の指定商品に含まれる商品は食品であり、食品業界は商品の類似範囲を超えて多角的に経営されるのが常である。このため、本件商標をその指定商品中の引用商標2の指定商品に類似しない商品について使用した場合や引用商標3及び引用商標4の使用されている商品に類似しない商品について使用した場合においても、引用商標2、引用商標3及び引用商標4と出所の混同を生じるおそれがある。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。
6 以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号、同第16号、同第10号及び同第15号に該当し、商標法第46条第1項第1号により無効とされるべきものである。

第4 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由対する答弁を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第25号証を提出した。
1 理由
請求人の主張はいずれも理由がないので、以下その理由を詳述する。なお、以下で反論しない甲号証については、無効事由立証の直接的証拠ではないため、あえて反論する必要性がないと判断した。
(1)商標法第4条第1項第11号に該当しない理由について
ア 本件商標は、「TABLE」、「TABLET」、「テーブルタブレット」の各語を上下三段に並記してなるところ、外観上まとまりよく一体的に表現されていて、しかも、構成文字全体から生ずる称呼も7音程度と決して冗長ではなく、淀みなく一連に称呼できる被請求人の創作した造語商標である。
そして、たとえ、本件商標の構成中の「TABLET」及び「タブレット」の各文字部分が「錠剤」を意味する語であるとしても、かかる構成においては、特定の商品又は商品の性質等を具体的に表示するものとして、直ちに理解できるものともいい難いところであるから、むしろ構成全体をもって、一体不可分の商標と認識し、理解されるというのが相当である。
そうすると、本件商標は、その構成文字全体に相応して、「テーブルタブレット」の称呼のみを生ずるものというのが相当である。
他方、引用商標1は、「TABLE」及び「テーブル」の各文字を上下二段に並記してなるところ、その構成文字に相応して「テーブル」のみの称呼を生ずるものである。また、引用商標2は、「テーブル」の文字を書してなるところ、その構成文字に相応して「テーブル」のみの称呼を生ずるものである。
したがって、本件商標から生ずる「テーブルタブレット」の称呼と引用各商標から生ずる「テーブル」の称呼は、語調語感を異にする。また、本件商標と引用各商標は、上記の構成からも明らかなとおり、外観上相紛れるおそれはなく、また本件商標からは何らの意味合いをも想起しないため、引用各商標との関係で観念上比較する術もないことはいうまでもない。
よって、本件商標と引用各商標は非類似の商標である。
なお、付言するに、「タブレット」の語それ自体は、第29類「食用油脂」及び第30類「菓子(甘栗・甘酒・氷砂糖・みつ豆・ゆであずきを除く。)、粉末あめ、水あめ(調味料)、もち、パン」との関係で、少なくとも自他商品識別力を有するとして登録され ている(登録第398791号商標及び登録第615963号商標)ことからも明らかなとおり、請求人の主張のように「タブレット」の語それ自体が第29類において自他商品識別力を有さないとは決していえないものである(乙第1号証及び乙第2号証)。
イ 上記被請求人の主張が正しいことは、特許庁における下記の(a)ないし(d)の並存登録例から明らかである。
(a)並存登録例1(乙第3号証及び乙第4号証)
「MISS TABLET」「ミスタブレット」(登録第4040001号商標、第30類「菓子及びパン」)と「MISS 」「ミス」(登録第1907527号商標、第30類「菓子及びパン」)。
(b)並存登録例2(乙第5号証及び乙第6号証)
「エチケットタブレット」(登録第4190443号商標、第30類「コーヒー及びココア、・・・、但し、菓子及びパンを除く」)と「エチケット」(登録第2557490号商標、第30類「茶、コーヒー、ココア、氷」)
(c)並存登録例3(乙第7号証ないし乙第9号証)
「ベジタブレット」(登録第4580061号商標、「1または複数の野菜の粉末を顆粒又は錠剤としてなる加工食品・・・、食用油脂、食用たんぱく」)と「ベジ」「VEGE」(登録第1015815号商標、第29類「ビタミン類を主成分としてなる液状・錠剤状・粒状・顆粒状・ゼリー状の加工食品、・・・、なめ物、但し、加工野菜及び加工果実並びにこれらに類似する商品、カレー・シチュー又はスープのもとを除く」)、及び「ベジ」(登録第4549007号商標、第29類「食用たんぱく」)
(d)並存登録例4(乙第10号証及び乙第11証)
「パワータブレット」「Power Tablet」(登録第4580312号商標、第3類「せっけん類、、香料類・・・」)と「POWER」「パワー」(登録第538164号商標、旧第3類「香料及び他類に属さない化粧品」)
ウ さらに、上記被請求人の主張が正しいことは、「タブレット/TABLET」の文字ではないが、指定商品との関係で一部にやや自他商品識別力の弱い語が含まれているとはいえ、全体をもって一体不可分の商標であると判断した審決(決定)例として、「パワータブレット」及び「Power Tablet」の各語を上下二段に並記、第3類「せっけん類」等(不服2000-15261号審決)(乙第12号証)外、不服2000-11788号審決(乙第13号証)、平成11年審判第8459号審決(乙第14号証)、昭和57年審判第12716号審決(乙第15号証)、昭和63年審判第13231号審決・登録異議の決定(乙第16号証)、平成11年審判第16549号審決(乙第17号証)、無効2000-35566号審決(乙第18号証)、不服2001-3764号審決(乙第19号証)、昭和57年審判第2886号審決(乙20号証)、の計9件の審決(決定)例がある。
エ 以上のとおり、本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとの請求人の主張は、全く当を失するものであり、下記に述べるように、その証拠方法も指定商品の識別性の立証について客観的・合理的な実質的要件を欠いた極めて簡略な形式的書証にすぎず、その証拠価値において不備であるとともに脆弱であるといわざるを得ない。請求人の提出する各証拠について、念のため下記に反論を加える。
(a)甲第9号証ないし甲第10号証の7(商品役務名リスト)
甲第9号証ないし甲第10号証の7として提出された「商品役務名リスト」(特許庁電子図書館)は、特許庁における指定商品・指定役務として採択されたリストを示すものであるが、このリストは、特許庁の商標実務において採用された商品名・役務名を単に掲載したにすぎないものであって、上記リストに掲載されている事実は本件商標の称呼特定に直接に影響を及ぼすに足りる事実ではない。
なお、甲第10号証の1として提出された証拠においては、その大半がいわゆる健康食品についての商品名であるところ、該証拠は、あくまでも審査実務上、出願にあたって健康食品についての指定商品の記載方法として、健康食品の原材料及び形状表示を指定商品中に記載することが要求されていることを示しているものにすぎない。
(b)甲第11号証ないし甲第17号証の2(インターネット広告)
また、甲第11号証ないし甲第17号証の2として提出された「インターネット広告」は、商取引の場において「タブレット状」の商品が存在することを示すものであり、この事実自体を被請求人は必ずしも否定するものではないが、これ又本件商標との関係が明確ではなく、本件商標の称呼特定に直接に影響を及ぼすに足りる事実ではない。
(2)商標法第4条第1項第16号に該当しない理由について
ア 本号は、そもそもある商標が当該指定商品についてその商品が現実に有する質(内容)と異なるものであるかのように世人をして誤認させるおそれがあるような場合に適用されるものであり、本件商標は、全体として一体不可分の造語商標として認識されるものであって、それ以上の意味合いを認識し得ない以上、本件商標が本号に該当する余地はないことは明白である。
なお、商品の品質の誤認の問題に言及すれば、たとえ、商標構成中の一部に形状表示語ないし品質表示語が含まれていても、必ずしも指定商品の記載にあっては、何ら関係がないのである。
イ 上記被請求人の主張が正しいことは、「タブレット/TABLET」の語を含む商標であっても、指定商品において「タブレット状」として特定していないことからも明らかである(乙第3号証、乙第5号証及び乙第21号証ないし乙第25号証)。
以下の(a)ないし(g)の登録例が存在する。
(a)登録例1
「MISS TABLET」「ミスタブレット」(登録第4040001号商標、第30類「菓子及びパン」、乙第3号証)
(b)登録例2
「エチケットタブレット」(登録第4190443号商標、第30類「コーヒー及びココア,・・・」、乙第5号証)
(c)登録例4
「ブレインタブレット」(登録第4207416号商標、第30類「菓子及びパン」、乙第21号証)
(d)登録例4
「サプリメント・タブレット」「シープラス」(登録第4212922号商標、第30類「菓子及びパン」、乙第22号証)
(e)登録例5
「サプリメント・タブレット」「Si:PLUS」(登録第4212923号商標、第30類「菓子及びパン」、乙第23号証)
(f)登録例6
「サプリメント・タブレット」「CPLUS」(登録第4212924号商標、第30類「菓子及びパン」、乙第24号証)
(g)登録例7
「鉄タブレット」「TETSU」「TABLET」「森永製菓株式会社健康事業部」(登録第4281506号商標、第30類「ウースターソース,・・・」、乙第25号証)
(3)商標法第4条第1項第10号に該当しない理由について
ア そもそも、商標法第4条第1項第10号による周知商標の保護は、登録主義を採用する我が国の商標法の下で、例外的に、未登録商標であっても、それが周知である場合には、既登録商標と同様に、これとの間で出所の混同のおそれを生じさせる商標の登録出願を排除することを認めようとするものであるので、引用商標2ないし引用商標4が「需要者の間に広く認識されている」といえるためには、特別の事情が認められない限り、全国的にかなり知られているか、全国的でなくとも、数県にまたがる程度に相当に広い範囲で多数の取引者・需要者に知られていることが必要とするのが相当である。このことは下記に示す判決例から見ても明白というべきである。本号について検討するにあたり、本件商標が本号に該当するものであるとするには、引用各商標が、本件商標の登録出願時、すなわち平成17年9月15日以前において、被請求人以外の第三者(以下、他人とする。)の業務に係る役務を表示するものとして周知性を獲得していたものであることを要することは勿論(商標法第4条第3項)、当然に本件商標の登録査定時、すなわち平成18年5月9日の時点においても周知性を獲得していることを要することはいうまでもない。
(ア)商標法第4条第1項第10号、同第15号による周知商標の保護は、登録主義をとる我が国の商標法の下で、例外的に、未登録商標であっても、それが周知である場合には,既登録商標と同様に、これとの間で出所の混同のおそれを生じさせる商標の登録出願を排除することを認めようとするものである。しかも、商標登録出願が排除されると、出願人は、当該出願商標を、我が国のいずこにおいても、登録商標としては使用することができなくなる、という意味においても、排除の効力は全国に及ぶものである。これらのことに鑑みると、周知であるといえるためには、特別の事情が認められない限り、全国的にかなり知られているか、全国的でなくとも、数県にまたがる程度の相当に広い範囲で多数の取引者・需要者に知られていることが必要であると解すべきであると判示する平成14年6月11日 東京高裁 平成13年(行ケ)第430号。
(イ)全国的に流通する日常使用の一般的商品について、商標法第4条第1項第10号の「需要者の間に広く認識されている商標」といえるためには、それが未登録の商標でありながら、その使用事実にかんがみ、後に出願される商標を排除し、また、需要者における誤認混同のおそれがないものとして、保護を受けるものであること及び今日における商品流通の実態及び広告、宣伝媒体の現況などを考慮するとき、本件では、商標登録出願の時において、全国にわたる主要商圏の同種商品取扱業者の間に相当程度認識されているか、あるいは、狭くとも一県の単位にとどまらず、その隣接数県の相当範囲の地域にわたって、少なくともその同種商品取扱業者の半ばに達する程度の層に認識されていることを要するものと解すべきであると判示する昭和58年6月16日 東京高裁 昭和57年(行ケ)第110 号。
(ウ)飲食物の提供に係る役務は、特定の店舗地において提供されるという役務の性質上、需要者が一定の地域に限定されるのが通常であるが、上記の諸点に加えて、交通機関と通信手段の発達に伴い、現在では、人の動きは特定の狭い範囲に限定されるものではなく、飲食店であっても、雑誌、新聞、テレビ放送等のマスコミを通じて広く宣伝あるいは紹介されていることなどを考慮すれば、本件商標について、改正法附則5条2項所定の周知性を肯定するためには、登録出願時である平成4年9月30日及び登録審決時である平成9年4月21日当時のいずれの時点においても、1県内のごく狭小地域の需要者の間に認識されている程度の周知性があるだけでは足りないものと解すべきであると判示する平成14年5月29日東京高裁平成13年(行ケ)第253号。
イ そこで、引用各商標が、本件商標の登録出願時に、他人の業務に係る役務を表示するものとして周知性を獲得していたか否かを検討するに、本件商標が商標法第4条第1項第10号に該当するとの請求人の主張は、全く当を失するものであり、下記に述べるように、その証拠方法も周知性・著名性具備の立証について客観的・合理的な実質的要件を欠いた極めて簡略な形式的書証にすぎず、その証拠価値において不備であるとともに脆弱であるといわざるを得ない。
以下、請求人の提出する各証拠について、念のため下記に、反論を加える。
(a)甲第7号証の1ないし甲第8号証の2、甲第32号証ないし甲第37号証の3
甲第7号証の1ないし甲第8号証の2、甲第32号証ないし甲第37号証の3は、それぞれ、請求人と引用各商標の商標権者との間で締結された通常使用権設定に係る覚書、商標登録原簿及び商標登録公報であって、これらによって請求人が引用各商標を使用し、かつ使用による周知性を獲得していることを立証すると共に、請求人が、本審判請求に係る請求人適格を立証しようとするものであるが、これらの証拠は、直接的に請求人の使用商標を必ずしも特定するものではなく、「需要者の間に広く認識されている」事実の立証と関連性を全く有さず、証拠として採用し得ないことは明らかである。また、請求人が本審判請求に係る請求人適格を有するか否かも甚だ疑問である。なお、いずれの覚書も有効期間は既に終了しており、必ずしも延長されているか定かではない旨付言する。
(b)甲第18号証ないし甲第19号証の8及び甲第22号証について
甲第18号証及び甲第22号証はJASの登録内容であり、甲第19号証の1ないし甲第19号証の8はJASのホームページの抜粋であって、請求人が引用商標2ないし引用商標4の周知性を立証しようとするものであるが、これら各証拠をもって一体何を立証せんとするのか全く不明であり、いずれも「需要者の間に広く認識されている」事実の立証と関連性を全く有さず、証拠として採用し得ないことは明らかである。
(c) 甲第20号証について
甲第20号証は、製品製造仕様書であって、引用商標3が使用継続されていた事実を立証しようとするものであるが、そもそも、該証拠は、本件商標の登録出願時及び登録査定時の両時点における使用の有無を立証することにはならず、証拠として不適である。
(d)甲第21号証の1ないし13について
甲第21号証の1ないし13は、請求人の平成13年から平成17年までの引用商標3を付した製品の販売実績を示すものであるが、単に数字をエクセル等で編集したもので、該証拠の作成年月日、作成責任者等が不明であると共に、そもそも販売実績そのものの信憑性も疑わしく、さらに引用商標3との関連性も明確でなく、取引状況を適切に把握することができないため、証拠価値は全くないといわざるを得ない。
(e)甲第23号証ないし甲第31号証の3について
甲第23号証ないし甲第 31号証の3のいずれのカタログも、実際の使用状況、すなわち、頒布数量、頒布先及び取引の年月日が不明であって、これを裏付けるための、引用各商標を付してなる商品の販売年月日、品番、販売数量、単価、消費税、販売合計金額、販売取引先名(担当者名)、受領印等のある取引書類等の証拠も一切提出されていないため、「需要者の間に広く認識されている」事実を立証するための証拠価値としては不備であり、証拠として採用し得ないことは明らかである。
ウ 以上のとおり、本件商標が、商標法第4条第1項第10号に該当する余地は、寸分も存しないものである。
(4)商標法第4条第1項第15号に該当しない理由について
ア そもそも、商標法第4条第1項第15号は、周知表示又は著名表示へのただ乗り(いわゆるフリーライド)及び当該表示の希釈化(いわゆるダイリューション)を防止し、商標の自他識別機能を保護することによって、商標を使用する者の業務上の信用の維持を図り、需要者の利益を保護することを目的とするものであって、本号にいう「混同を生ずるおそれ」の有無は、当該商標と他人の表示との類似性の程度、他人の表示の周知著名性及び独創性の程度や、当該商標の指定商品等と他人の業務に係る商品等との間の性質、用途又は目的における関連性の程度並びに商品等の取引者及び需要者の共通性その他取引の実情などに照らし、当該商標の指定商品等の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として、総合的に判断されるものである。なお、この判断基準は最高裁判決(平成10年(行ヒ)第85号 最高裁平成12年7月11日 第3小法廷判決)を含め特許庁審査実務においても採用されてきたものである。
イ そこで、本件商標が商標法第4条第1項第15号に該当するか否かを前記最高裁が示した基準に従い検討するに、請求人の主張は当を失することは明らかである。
すなわち、引用各商標は、前記のとおり、そもそも周知著名性を獲得するに至っておらず、しかも「テーブルタブレット」の称呼のみを生ずる本件商標と「テーブル」の称呼のみを生ずる引用商標2ないし引用商標4とは全くの非類似商標であり、また、「テーブル」ないし「Table」の語は、それ自体我が国に極めて広く知られている既成語であって引用各商標の独創性も顕著に高いわけではないことから、総合的に判断した場合、本件商標を被請求人がその指定役務に使用しても、恰も他人の業務に係る商品であると誤認し、若しくは上記他人と経済的又は組織的に何等かの関係がある者の業務に係る商品であると誤認し、その商品の需要者が商品の出所について混同するおそれがあることは皆無である。
したがって、本件商標が、商標法第4条第1項第15号に該当する余地はないものである。
2 以上の次第で、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同第16号、同第10号及び同第15号には該当しないものである。

第4 当審の判断
1 請求の利益について
審判請求の利害関係の有無につき、当事者間に争いがあるので、これについて判断する。
無効審判の請求人は、審判請求をするについて法律上の利益を有することを要すると解されるところ、請求人の提出した覚書(甲第7号証の1ないし2及び甲第8号証の1ないし2)よりすると、同人は、引用商標2の商標権者との間において通常使用権の許諾を締結していたことが認められ、該覚書(甲第7号証の2及び甲第8号証の2)の第8条(有効期間)によれば、「その他の事情の変更なき限り更に10年延長できるものとし、以後も同様とする。」とされていることからすると、通常使用権の許諾契約が自動的に延長されたものとみるのが自然である。
してみれば、請求人は、本件商標の登録の存在によって、引用商標2の商標権者との間における通常使用権に影響を受けることがあり得るとみられるから、本件審判の請求について利害関係を有する者というべきである。
2 商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、上記第1のとおり、上段に「TABLE」の欧文字、中段に「TABLET」の欧文字、下段に「テーブルタブレット」の片仮名文字を三段に横書きしてなるところ、各構成文字は、同じ大きさで外観上まとまりよく一体的に表されており、しかも、下段の「テーブルタブレット」の片仮名文字部分が上段と中段の欧文字部分全体の表音を表したものと無理なく看取されるといえるものである。
そして、本件商標より生じるものと認められる「テーブルタブレット」の称呼も冗長なものでなく、無理なく一気に称呼し得るものである。
そうすると、かかる構成においては、たとえ、本件商標の構成中の「TABLET」及び「タブレット」の文字が「錠剤」の意味を有する語として一般に知られている語であって、指定商品中に錠剤の形状をした商品が含まれるとしても、本件商標を殊更に「TABLET」、「タブレット」と「TABLE」、「テーブル」とに分断して「TABLE」、「テーブル」の文字部分を自他商品の識別標識としての機能を果たし得る要部と捉えて、これより生ずる「テーブル」の称呼をもって 取引に資されるものとは認め難く、むしろ、本件商標は、上段と中段の欧文字部分全体の表音を表したものと認められる「テーブルタブレット」文字に相応して「テーブルタブレット」の称呼のみを生じ、特定の観念を有しない造語というのが相当である。
他方、引用商標1は、「TABLE」の欧文字と「テーブル」の片仮名文字を上下二段に横書きしてなるものであるから、構成文字に相応して「テーブル」の称呼を生じるものである。また、引用商標2は、「テーブル」の片仮名文字を書してなるものであるから、構成文字に相応して「テーブル」の称呼を生じるものである。
そうすると、本件商標より「テーブル」の称呼をも生じるとし、さらに、「TABLE」の欧文字部分と片仮名文字中の「テーブル」のみ抽出した上で、本件商標と引用商標1及び引用商標2とが称呼、外観上類似するものとして、本件商標を商標法第4条第1項第11号に該当するものであるとする請求人の主張は採用できない。
したがって、本件商標と引用商標1及び引用商標2とは、その称呼、外観及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標であるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しないものである。
3 商標法第4条第1項第16号について
本件商標は、上記2のとおり、構成文字全体をもって特定の観念を有しない造語というのが相当であるから、これをその指定商品中のいずれの商品について使用しても、商品の品質について誤認を生じさせるおそれはないものといわなければならない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第16号に該当しないものである。
4 商標法第4条第1項第10号について
(1)請求人が提出した証拠から、以下の事実が認められる。
(ア)甲第18号証には、JASマークと共に「テーブル」の片仮名文字の記載、その下に「ファットスプレッド」、丸番の「受付」の下に「16.9.14」及び「(財)日本食品油脂検査協会」の記載がある。また、甲第22号証には、JASマークと共に「Table」(飾り枠内に他の文字と共に筆記体で表されている)の欧文字の記載、その右下に、「マーガリン類」「ファットスプレッド」、丸番の「受付」の下に「16.6.17」及び「(財)日本食品油脂検査協会」の記載がある。
以上の記載から、本件商標の登録出願日である平成17年9月15日以前に請求人は、引用商標3及び引用商標4の表示について財団法人日本食品油脂検査協会によるJASマークの認定を受けていることが認められる。
しかしながら、JASマークの認定を受けていることは、その製品が一定の品質を満たした商品であることを証明するにすぎないものであって、その表示が需要者の間に請求人の商品を表示する商標として認識されているものになっていたことを証明する証拠にはなり得ないものである。
(イ)甲第20号証には、「2007年2月15日」、「日本油脂(株)知的財産部」、「製品製造仕様書」、「品名」に「テーブルマーガリン」「改定年月日」に「56年7月7日」及び「H3年2月19日」の記載がある。また、甲第24号証及び甲第23号証の3で発行日が昭和59年と認められる甲第23号証の2には、「テーブル」の記載及び別掲(2)と同じ字体で表された「Table」の商標が付された商品の写真が掲載されている。そして、甲第28号証及び甲第27号証の3で発行年が1997年と認められる甲第27号証の2、甲第30号証及び甲第29号証の3で発行年が1999年と認められる甲第29号証の2、及び甲第31号証の3で発行日が2004年と認められる甲第31号証の2の「調理用マーガリン」の「製品名」の項目には「テーブル」の記載がある。
さらに、甲第21号証の1ないし13には、「テーブル 2x4」及び「テーブル 8x2」の記載があり、「納期」に記載された年は「2001」から「2005」となっている。
(2)以上の記載から、請求人は、本件商標の登録出願日前である昭和56年から、引用商標2ないし引用商標4を「マーガリン」に使用していたことは認められる。
しかしながら、請求人が平成13年から平成17年までの引用商標3を付した製品の販売実績を示すものとして提出した甲第21号証の1ないし13にしても、単に数字を編集したもので、該証拠の作成年月日、作成責任者等が不明であると共に、記載された販売実績を裏付ける証拠の添付もなく、ほかに、引用商標2ないし引用商標4の使用の期間、地域、範囲、宣伝広告の期間、手段、規模等や引用商標2ないし引用商標4を使用する商品の販売数量、売上高、市場占有率等取引の実情を示す証拠はないから、請求人の提出した証拠によっては、引用商標2ないし引用商標4が、本件商標の登録出願時において、請求人の業務に係る商品を表示する商標として、我が国の取引者、需要者間に広く認識されていたと認めることはできないものである。
(3)本件商標と引用商標2ないし引用商標4との類似性について
本件商標と引用商標2とは、その称呼、外観及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標というべきものであることは、上記2のとおりである。
また、引用商標3及び引用商標4は、上記第2のとおり、前者が「テーブル」の片仮名文字、後者が「Table」(飾り枠内に他の文字と共に筆記体で表されている)の欧文字を横書きしてなるものであるから、本件商標と引用商標1及び引用商標2の場合と同様に、本件商標より「テーブル」の称呼をも生じるとし、さらに、「TABLE」の欧文字部分と片仮名文字中の「テーブル」のみ抽出した上で、本件商標と引用商標3及び引用商標4とが称呼、外観上類似するとはいえないものである。
(4)以上のとおり、本件商標と引用商標2ないし引用商標4とは、非類似の商標というべきものであり、かつ、本件商標の登録出願時において、引用商標2ないし引用商標4は請求人の業務に係る商品を表示するためのものとして取引者、需要者間に広く認識されていたとは認められないものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当しないものである。
5 商標法第4条第1項第15号について
上記2及び4のとおり、本件商標と引用商標2ないし引用商標4とは、非類似の商標というべきものであり、かつ、本件商標の登録出願時において、引用商標2ないし引用商標4は、請求人の業務に係る商品を表示するためのものとして取引者、需要者間に広く認識されていたとは認められないものであるから、商標権者が本件商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者が、引用商標2ないし引用商標4を連想又は想起して、請求人若しくは請求人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、商品の出所について混同を生ずるおそれのないものというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しないものである。
6 むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同第16号、同第10号及び同第15号に違反して登録されたものではないから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすべきでない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲(1) 引用商標3


別掲(2) 引用商標4


審理終結日 2007-12-06 
結審通知日 2007-12-13 
審決日 2007-12-27 
出願番号 商願2005-86761(T2005-86761) 
審決分類 T 1 11・ 26- Y (Y29)
T 1 11・ 25- Y (Y29)
T 1 11・ 272- Y (Y29)
T 1 11・ 271- Y (Y29)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 佐藤 達夫 
特許庁審判長 中村 謙三
特許庁審判官 小畑 恵一
津金 純子
登録日 2006-06-16 
登録番号 商標登録第4962098号(T4962098) 
商標の称呼 テーブルタブレット、テーブル 
代理人 藤森 裕司 
代理人 来間 清志 
代理人 飯島 紳行 
代理人 杉村 憲司 
代理人 末野 徳郎 
代理人 杉村 興作 
代理人 藤谷 史朗 
代理人 長谷川 綱樹 
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