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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 110
管理番号 1172602 
審判番号 取消2006-30394 
総通号数 99 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2008-03-28 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2006-03-28 
確定日 2008-01-21 
事件の表示 上記当事者間の登録第2001634号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第2001634号商標の商標登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第2001634号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、昭和58年7月1日に登録出願され、第10類「心電計、その他の医療機械器具」を指定商品として、同62年11月20日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨のとおりの審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を次のとおり述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第3号証を提出した。
1.請求の理由
本件商標は、その指定商品「心電計、その他の医療機械器具」について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者または通常使用権者のいずれも使用した事実が存在しないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2.弁駁の理由
(1)使用商標と登録商標との同一性について
被請求人は、答弁書において、本件商標が使用されていると主張している。しかしながら、被請求人が提出した乙第1号証ないし乙第11号証からは、本件商標が使用されていることは証明されない。
(1-1)乙第9号証ないし乙第11号証について
(イ)被請求人が提出した外国製造医療用具製造承認申請書(乙第9号証)の販売名欄に記載されている名称は、「ノバコール VISTA」である。また、被請求人のウェブサイトの印刷(乙第11号証)に掲載されている商品(ECG Holter 「VISTA range」)には、通常の書体によって書された欧文字「NOVACOR」がディスプレイと思しき部分の下部に書され、欧文字「NOVACOR」の左下に離れて、デザイン化された欧文字「VISTA」、及び欧文字「VISTA」のすぐ下に黒く塗りつぶされた横長の楕円形が配され、同楕円形の中に白抜きで欧文字「PLUS」が書されている。
(ロ)他方、本件商標は、横長の長方形を左に配し、同長方形の右側に欧文字「NOVACOR」を特殊字体にて横書きした構成からなり、横長の長方形には、縦にスリットが施されており、その幅の違いを利用して同長方形の中央より左側に、ハートの左半分と思しき図形が描かれ、臓器の「心臓」を連想させるものである。そして、本件商標に係る指定商品が「第10類 心電計」であるので、ハートの左半分と思しき図形と本件商標に係る指定商品「第10類心電計」とは関連を有するので、ハートの左半分と思しき図形が描かれている横長の長方形の図形が、本件商標の構成に含まれることについて必然性がある。
さらに、乙第11号証には、欧文字「VISTA」及び白抜の欧文字「PLUS」が記載された楕円形が、商品(ECG Holter 「VISTA range」)に大きく書されている。またウエブサイトには下線を付して「VISTA range」と記載されている。これらのことから、需要者は「VISTA PLUS」又は「VISTA」が商標であると認識するものである。
(ハ)以上のとおり、乙第9号証及び乙第11号証の商標は、本件商標の必須構成要素であるハートの左半分と思しき図形が描かれていないので、本件商標と使用商標とは、社会通念上同一の商標とは認められない。
さらに、乙第11号証からは、使用商標は、「VISTA PLUS」又は「VISTA」であると認められるので、本件商標と異なることは明白である。
よって、乙第9号証及び乙第11号証によっては、使用商標と登録商標との同一性は証明されない。
なお、乙第10号証には商標は記載されていないので、本件商標が使用されていることの証拠とならない。
(1-2)乙第1号証ないし乙第8号証について
乙第1号証、乙第3号証、乙第5号証及び乙第7号証の販売名欄に記載されている名称はそれぞれ「ダイアシスインテグラ」、「デュオルター」、「ウノルター」及び「アールテストエボルーション3」であり、本件商標とは外観、称呼、及び観念のいずれにおいても異なる。
したがって、乙第1号証、乙第3号証、乙第5号証及び乙第7号証によっては、使用商標と登録商標との同一性は証明されない。
なお、乙第2号証、乙第4号証、乙第6号証及び乙第8号証には商標は記載されていないので、本件商標が使用されていることの証拠とならない。
(2)日本国において登録商標が使用されたことについて
被請求人は、乙第11号証から本件商標を付した商品が販売されていることは明白であると主張している。
しかしながら、乙第11号証によっては、本件商標を付した商品が日本国内で販売されたことは証明されない。
(イ)乙第11号証に記載されている連絡先は、フランスの住所(4 Passage Saint‐Antoine,92508 Rueil-Malmaison,Cedex,France)である。日本国内にいる需要者が、乙第11号証に掲載されている商品を、フランスに連絡をして購入するとは到底考えられない。
また、乙第11号証として提出されたウエブサイトの写しは英語で書かれているが、英語で書かれたウエブサイトを見て、日本人の需要者が、乙第11号証に掲載されている商品を購入したとは考えがたい。
したがって、乙第11号証によっては、本件商標を付した商品が日本国内で販売されたことは、証明されていない。
(ロ)被請求人が、本件商標を付した商品を日本国内で実際に販売しているのであれば、同商品に係る注文書、納品書、領収書等の取引書類を被請求人が有しているはずである。
しかしながら、被請求人は、上記書面を使用証拠として提出せず、誰でも入手できるウエブサイトの写しを使用証拠として提出している。この事実は、被請求人が本件商標を付した商品を日本国内において実際には販売していないことを強く疑わせるものである。
(ハ)被請求人は、乙第1号証ないし乙第10号証も、本件商標を付した商品が、販売されたことの証拠となる旨を主張している。
しかしながら、乙第1号証、乙第3号証、乙第5号証、乙第7号証及び乙第9号証は、外国製造医療用具製造承認申請書であり、乙第2号証、乙第4号証、乙第6号証、乙第8号証及び乙第10号証は、外国製造医療用具承認書である。
そして、薬事法第19条の2第1項は、「製造販売をさせることについての承認を与えることができる。」と規定するにとどまる(甲第2号証)。
したがって、乙第1号証ないし乙第10号証は、本件商標を付した商品が実際に販売されたことの証拠とはならない。
(3)本件審判請求の登録前3年以内に本件商標が使用されたかについて
本件商標が取り消しを免れるためには、被請求人は、本件審判請求登録前3年以内に本件商標を使用していることを証明しなくてはならない。しかしながら、被請求人が提出した証拠によっては、上記事実は証明されない。
(3-1)乙第1号証ないし乙第10号証について
上記各証拠書面によっては、上記で述べたとおり、そもそも、本件商標を付した商品が日本国内において実際に販売されたことは証明されていない。
(3-2)乙第11号証について
(イ)上記証拠書面によっては、上記証拠書面に掲載されている商品の販売時期は特定されない。
(ロ)上記証拠書面が印刷されたのは、同書面の右下の記載から、2006(平成18)年7月10日である。他方、本件審判の請求の登録がなされたのは、平成18年4月18日である(甲第3号証)。
したがって、本件審判の請求の登録後にウエブサイトに掲載された商品紹介情報によっては、本件審判の請求の登録前に本件商標を付した商品が販売されたことは証明されない。
(ハ)以上より、乙第11号証によっては、本件審判の請求の登録前3年以内に本件商標が使用されたことは証明されない。
(4)外国製造医療用具承認に時間を要したことについて
被請求人は、外国製造医療用具承認に時間を要したので、それによる不利益を被請求人が受けるべきではない旨を主張している。
しかしながら、本件商標が、商標登録されたのは昭和62年11月20日であり(甲第3号証)、販売名「ノバコール VISTA」に係る外国製造医療用具製造承認申請書が提出されたのは平成16年8月30日である(乙第9号証)。すなわち、外国製造医療用具承認に時間を要したのは、被請求人が承認申請をしなかったという、被請求人側の事情によるものであるので、それによる不利益を被請求人が受けるのは当然である。
したがって、外国製造医療用具承認に時間を要したので、それによる不利益を被請求人が受けるべきではないという被請求人の主張は失当である。
なお、前記で述べたとおり、乙第1号証ないし乙第8号証には、本件商標と異なる販売名が記載されているので、本件商標とは関係がない。
(5)まとめ
以上述べたとおり、被請求人の提出した書面によっては、登録商標(当該商標と社会通念上同一と認められる商標を含む。)を、日本国内において、本件審判の請求の登録前3年以内に、使用をしていることは証明されていない。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、「本件審判請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第11号証を提出した。
(1)本件商標は、被請求人によって本件審判請求前3年以内に日本国内において、その指定商品「血圧計、心電計」について使用されている。
(2)すなわち、乙第1号証において被請求人は「非観血連続血圧計」に関して外国製造医療用具製造承認申請書を平成12年6月27日に厚生省へ提出し、乙第2号証においてはその承認書が発行されたことを示し、また乙第3号証において被請求人は「その他の血圧計(ホルタ心電計付非観血連続血圧計」に関して外国製造医療用具製造承認申請書を平成14年5月23日に厚生労働省へ提出し、乙第4号証においてはその承認書が発行されたことを示し、また乙第5号証において被請求人は「ホルタ心電計」に関して外国製造医療用具製造承認申請書を平成14年7月18日に厚生労働省へ提出し、乙第6号証においてはその承認書が発行されたことを示し、また乙第7号証において被請求人は「心電計」に関して外国製造医療用具製造承認事項一部変更承認申請書を平成16年5月13日に厚生労働省へ提出し、乙第8号証においてはその承認書が発行されたことを示し、また乙第9号証において被請求人は「ホルタ心電計」に関して外国製造医療用具製造承認申請書を平成16年8月30日に厚生労働省へ提出し、乙第10号証においてはその承認書が発行されたことを示し、さらに乙第11号証は被請求人のホームページからのプリントアウトであるが、ここに記載された説明及び写真により本願商標を付した商品が販売されていることが明白である。
また、上記承認には非常に年月を要したもので、それによる不利益を被請求人が受けるべきではない。
(3)まとめ
本件商標は、本件商標権者により審判請求に係る商品について、その請求前3年以内に日本国内において使用されていることが前記証拠の記載によって明らかに認められるので、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものではない。

第4 当審の判断
被請求人は、本件商標は、被請求人によって本件審判請求前3年以内に日本国内において、その指定商品「血圧計、心電計」について使用されていると主張しているので、以下、検討する。
被請求人より提出された乙各号証によれば、以下のことが認められる。
乙第1号証は、平成12年6月27日付の「外国製造医療用具製造承認申請書」であり、一般的名称欄に「非観血連続血圧計」、販売名欄に「ダイアシスインテグラ」及び氏名欄に「ノバコール」の記載がある。
乙第2号証は、上記「外国製造医療用具製造承認申請書」(乙第1号証)の平成15年8月12日付「外国製造医療用具承認書」である。
乙第3号証は、平成14年5月23日付の「外国製造医療用具製造承認申請書」であり、一般的名称欄に「その他の血圧計(ホルタ心電計付非観血連続血圧計)」、販売名欄に「デュオルター」及び氏名欄に「ノバコール」の記載がある。
乙第4号証は、上記「外国製造医療用具製造承認申請書」(乙第3号証)の平成15年8月12日付の「外国製造医療用具承認書」である。
乙第5号証は、平成14年7月18日付の「外国製造医療用具製造承認申請書」であり、一般的名称欄に「ホルタ心電計」、販売名欄に「ウノルター」及び氏名欄に「ノバコール」の記載がある。
乙第6号証は、上記「外国製造医療用具製造承認申請書」(乙第5号証)の平成15年1月20日付の「外国製造医療用具承認書」である。
乙第7号証は、平成16年5月13日付けの「外国製造医療用具製造承認事項一部変更承認申請書」であり、一般的名称欄に「心電計」、販売名欄に「アールテストエボリューション3」及び氏名欄に「ノバコール」の記載がある。
乙第8号証は、上記「外国製造医療用具製造承認事項一部変更承認申請書」(乙第7号証)の平成16年11月4日付の「外国製造医療用具製造承認事項一部変更承認書」である。
乙第9号証は、平成16年8月30日付の「外国製造医療用具製造承認申請書」であり、一般的名称欄に「ホルタ心電計」、販売名欄に「ノバコール VISTA」及び氏名欄に「ノバコール」の記載がある。
乙第10号証は、上記「外国製造医療用具製造承認申請書」(乙第9号証)の平成18年1月16日付の「外国製造医療用具製造承認書」である。
乙第11号証は、被請求人(本件商標権者)のインターネットのホームページ(写し)と認められるところ、その一頁目には、本件商標と社会通念上同一と認められる商標が血圧計(Blood Pressure Monitors)に使用されていることがわかるが、この書面は、右下に「2006/7/10」の表示があることから、本件審判請求の登録後である2006年7月10日に打ち出しされたものであり、かつ、このホームページの内容は、すべて英語で表示されているものであるから、当該書証によっては、本件審判請求の登録(平成18年4月18日)前3年以内に、日本国内において、本件商標を使用されていたことを認めることができない。
そして、他に被請求人(フランス国在)の製造に係る「血圧計、心電計」等の外国製造医療用具について、本件商標を、本件審判請求の登録(平成18年4月18日)前3年以内に、日本国内において使用されていたことを具体的かつ客観的に証明する証拠(取引書類など)の提出がないものである。
ところで、商標法第50条による商標登録の取消審判の請求があったときは、同条第2項の規定により、被請求人において、その請求に係る指定商品又は指定役務のいずれかについて、登録商標が商取引の実際において使用されていたことを、又は、使用をしていないことについて正当な理由があることを証明しない限り、その登録の取消を免れない。
しかるところ、被請求人は、前記した答弁の理由(2)の末尾において、「また、上記承認には非常に年月を要したもので、それによる不利益を被請求人が受けるべきではない。」と答弁しているので、この点について判断するに、請求人も弁駁の理由(4)で主張しているとおり、本件商標が、商標登録されたのは昭和62年11月20日(甲第3号証)であり、その後、販売名「ノバコール VISTA」に係る「外国製造医療用具製造承認申請書」が提出されたのは、これより15年以上も後の平成16年8月30日(乙第9号証)であるから、その承認に時間を要したのは、むしろ、被請求人が承認申請をしなかったという、被請求人側の事情によるものと判断するのが相当であり、被請求人の上記のかかる答弁によって、本件商標の使用をしていないことについて、正当な理由があったものとは認めることはできない。
その他、上記の認定・判断を覆す証拠は見当たらない。
してみれば、被請求人は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標をその指定商品に使用していたものとは認められない。
したがって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により、その登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲 本件商標

審理終結日 2007-08-23 
結審通知日 2007-08-29 
審決日 2007-09-11 
出願番号 商願昭58-61022 
審決分類 T 1 31・ 1- Z (110)
最終処分 成立  
特許庁審判長 田代 茂夫
特許庁審判官 岩崎 良子
伊藤 三男
登録日 1987-11-20 
登録番号 商標登録第2001634号(T2001634) 
商標の称呼 ノバコール、ノバコア 
代理人 浅村 皓 
代理人 岡野 光男 
代理人 高原 千鶴子 
代理人 浅村 肇 

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