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審決分類 審判 全部無効 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Z30
審判 全部無効 商3条2項 使用による自他商品の識別力 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Z30
管理番号 1169027 
審判番号 無効2004-89076 
総通号数 97 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2008-01-25 
種別 無効の審決 
審判請求日 2004-09-10 
確定日 2007-11-26 
事件の表示 上記当事者間の登録第4704439号商標の商標登録無効審判事件についてされた平成17年7月28日付け審決に対し、知的財産高等裁判所において審決取消の判決(平成17年(行ケ)第10673号、平成18年11月29日判決言渡)がなされ、同判決が最高裁判所の決定(平成19年(行ツ)第61号・平成19年(行ヒ)第60号、平成19年4月12日決定)により確定したので、さらに審理のうえ、次のとおり審決する。 
結論 登録第4704439号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4704439号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲に表示したとおりの立体的形状からなり、第30類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として平成9年4月1日に商標登録出願、その後、指定商品については、同15年7月7日付け手続補正書をもって「まんじゅう」と補正し、商標法第3条第2項の適用を受けて、同年8月29日に設定登録されたものである。

第2 請求の理由
請求人は、結論と同旨の審決を求め、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁を要旨以下のとおり述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第178号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 請求の利益
請求人は、鳥の形状の菓子を製造・販売していたところ、平成16年3月29日、被請求人から本件商標の商標権を侵害するとして、商標権侵害行為差止請求の訴訟を提起されたので(甲第1号証)、本件審判請求をするについて利害関係を有する。
2 無効の理由の要点
本件商標は、指定商品に採用し得る一形状を表したものと認識される立体的形状よりなるものであるから、これをその指定商品について使用しても、単に商品の形状そのものを普通に用いられる方法をもって表示するにすぎないものであり、商標法第3条第1項第3号に該当し、同条第2項に該当するには至っていない。
3 無効とすべき理由
(1)商標法第3条第1項第3号の該当性について
ア 日本においては、祝い菓子・干支菓子をはじめとして、菓子の形状に動物の形が古くから好んで用いられている(甲第2号証「和菓子おもしろ百珍」、甲第3号証「縁起菓子・祝い菓子」及び甲第4号証「”鳥獣戯菓”展」)。
現在においても、全国には、さまざまな工夫を施した動物の菓子や、その地方の名物や話題の動物をかたどった菓子が多数存在し、甲第5号証(種々の動物をかたどった菓子の写真)や甲第6号証「和菓子の楽しみ方」は、その一例である。
特に、「花鳥風月」と言われるくらい風流の代名詞となっている「鳥」は、見た目も愛らしく、造型化しやすいことから、それを模した菓子が、古くから製造・販売されている。
例えば、上記甲第4号証、甲第6号証及び甲第7号証「和菓子ものがたり」からも明らかなとおり、既に江戸時代には、東京都港区の菓子店「虎屋」が、ほんの少し尖った嘴と小さな目が愛らしい「鶉餅」を製造・販売しており、この「鶉餅」は現在でも製造・販売されている。
また、遅くとも明治36年には創業されていた東京都台東区の菓子店「徳太楼」は、古くから平成14年頃まで、甲第8号証「浅草の旨いもの」他に示すとおり、本件商標によく似た鳥の形状の菓子を製造しており、同菓子は「徳太楼のひよこ」として広く知られている。
請求人も、甲第9号証に示すとおり、鳥の形状の「饅頭」に「二鶴の親子」の名称を付して、長年にわたり製造・販売している。
また、請求人以外にも、全国の多数の業者によって、鳥の形状の菓子が製造・販売されており、次に示す甲第15号証ないし甲第19号証は、その一例である。
すなわち、愛知県名古屋市の株式会社長登屋が製造する「名古屋コーチン」(甲第15号証の1)、東京都荒川区の株式会社大藤が製造する「かもめの水兵さん」(甲第16号証の1)、東京都江戸川区の株式会社江戸製菓が製造する「なかよし小鳥」(甲第17号証の1)、愛知県豊橋市の丸三食品株式会社が製造する「アルプスに雷鳥」(甲第18号証の1)及び東京都台東区の有限会社東月製菓が製造する「浅草ぽっぽ」(甲第19号証の1)である。
その他にも、栃木県佐野市の株式会社中内商事が製造する「東京・都鳥の詩」、東京都杉並区の有限会社進藤製菓が製造する「なかよし」等、鳥の形状をした菓子は、全国に多数存在しており、また、甲第20号証「製菓製パン」に示すとおり、さまざまな菓子のコンテストにも出展され、工芸菓子としても人気が高い。
イ 本件商標は、立体商標であるが、商品の立体的形状は、本来、その機能を効果的に発揮させる、あるいは優れた美感を看者に与える、との目的で選択されるものであって、商品の出所を表示し、自他商品を識別する標識として選択されるものではなく、これに接する需要者も、そのように理解し、商品の出所を表示するために選択されたものであるとは理解しないのが一般である。
したがって、商品等の機能又は美感とは関係のない特異な形状である場合を除き、基本的に自他商品の識別標識とはならないと解すべきである。
ウ 以上のとおり、本件商標は、指定商品「まんじゅう」に採用し得る一形状にすぎないものであるから、これをその指定商品について使用しても、単に商品の形状そのものを普通に用いられる方法をもって表示するにすぎないものであり、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)商標法第3条第2項の該当性について
ア 商標法第3条第1項第3号は、いわゆる記述的商標は登録できない旨規定している。
但し、このような記述的商標であっても、特定人によって長年にわたり使用された結果、需要者間に特定人の商標として広く認識されるに至った商標は、同法第3条第2項により例外的にその登録が認められている。
しかしながら、本件商標の場合は、前記(1)において述べたとおり、本件登録審決時においても、本件商標に類似する形状の菓子が存在しており、本件商標の形状は、独創性、特異性がなく、色彩もまんじゅうに普通に使用されている色であるから、需要者は、本件商標の菓子と上記の立体的形状の菓子を区別できず、本件商標は、自他商品識別機能を有しないものである。 加えて、通常、菓子は中味の見えない包装紙に包まれて販売されているため、需要者は、包装紙に記載された菓子の名称等に注意を払い、それに基づいて菓子を購入している。
被請求人の本件商標の菓子も、中身の見えない「ひよ子」の文字が記載された包装紙に包まれて販売され、このような状態では、本件商標が独自に自他商品の識別機能を有するに至ったとは到底考えることができない。
したがって、本件商標は、同法第3条第2項に該当するに至っていない。 イ 本件登録審決(平成11年審判第15134号)
本件登録審決は、「ひよ子のお菓子」の売上高・生産能力が高いこと、広範囲に販売していること、「日本の銘菓」に「銘菓ひよ子」として記載されていること等から、商標法第3条第2項の適用を認めている。
しかしながら、このことから、「ひよ子」という名称が知られていることは推測できても、その形状が独自に自他商品識別機能を有するに至ったものとは即断できない。
すなわち、需要者は、本件商標の菓子と、上記のような鳥の形状の菓子とを、通常その名称で区別しているのであって、その形状だけで区別できる者は、極めて少ないと思われる。
(3)過去のトラブル
請求人と被請求人の間では、「二鶴の親子」に関して、過去に2回、不正競争防止法違反のトラブルが発生したが、いずれも請求人が包装紙を改訂することで決着していた。
それにもかかわらず、今回、立体商標制度の創設による商標権取得を奇貨として、被請求人は訴訟を提起している。
上記のように、商品の立体的形状は、その機能・美感の発揮を第一の目的として選択されることが通常であるから、特異な形状でないかぎり、自他商品の識別標識とはならないと解すべきで、本件商標のように、何ら独創性・特異性のないものについては、商標権を与えて独占させるのではなく、これまでどおりに、自由競争に任せるべきである。
4 被請求人の答弁に対する弁駁
請求人は、被請求人の答弁に対して、以下のとおり弁駁する。
(1)本件商標の周知性に関する立証
被請求人は、答弁書において、本件商標の周知性を立証するために、多数の証拠を提出しているが、そのほとんどが文字商標「ひよ子」だけか、あるいは文字商標「ひよ子」が表示されているものである。
特に、昭和37年以前は、本件商標とは異なる平面図形が表示されているし、昭和38年以後も、本件商標であるかどうか明瞭でないものも多く、本件商標だけの宣伝広告はほとんどない。
このような状況において、本件商標の立体的形状自体が、文字商標「ひよ子」から独立して周知性を獲得したとは到底考えることができない。
菓子「ひよ子」が爆発的に売れたというのは、昭和40年代半ばから同一形状・品質の商品が安定して供給できるための工業生産が可能になったことが主たる要因であり、立体的形状は古来から和菓子の伝統を承継したありふれたものであることは、本件商標登録の経緯からも明らかである。
なお、「ひよ子」饅頭が売れたのが事実であるとしても、そのことから、本件商標の立体的形状自体が、文字商標「ひよ子」から独立して周知性を獲得するに至ったということにはならない。
被請求人の主張は、明らかに、文字商標「ひよ子」の周知性と本件商標自体の周知性を混同するものである。
(2)本件商標の自他商品識別力について
本件商標に類するような鳥の立体的形状の菓子は、日本の伝統的な菓子の形状であり、たとえば、前述の虎屋の場合、慶安4年の御用記録に「鶉餅」の名前があり、鶉を模した菓子として伝わっている。
(3)その他
ア 本件商標が周知性、著名性を有していたのであれば、被請求人は、不正競争防止法によって、本件商標に類する立体的形状の菓子の使用を差し止めることができたはずであるが、それにもかかわらず、被請求人は、長年何らクレームをつけていない。
これは、本件商標がありふれたものであり、文字商標「ひよ子」を附帯しない限り周知性もなく、需要者の出所混同もなかったからであり、この状況は現在でも何ら変化はない。
イ 過去の判例でも、「瓦そば」の料理が原告の創案によるかもしれないが、永年、原告から差止請求がなく、多くの業者により使用され、周知著名になったとして第3条第2項が否定された「瓦そば事件」、本願商標の出願時に、既に同様の立体形状の「くびれ」のある容器が原告以外の乳酸菌飲料業者に多数使用されていたとして第3条第2項が否定された「ヤクルト容器事件」等がある。
また、立体商標の対象となる立体形状と文字商標との関係では、「ヤクルト容器事件」及び「角瓶事件」において、出願に係る商標と使用に係る商標とが同一でないとして第3条第2項の該当性が否定されている。
ウ 土産物菓子は、日持ちが要求されるので「焼き菓子」とせざるを得ないが、大量生産する場合には型に入れて造型する型抜き法がとられ、その場合、本件商標のような立体的形状にならざるを得ない(甲第22号証)。
したがって、本件商標に類する立体的形状の菓子を製造・販売する者は、決して本件商標を模倣しているのではなく、商品の品質の確保のためには同様の立体的形状とならざるを得ないから、商品の品質の確保、需要者の利益の保護という観点からも、本件商標のような菓子の立体的形状に商標権という独占権を付与すべきではない。
エ 平成8年の商標法改正による立体商標制度の創設に際し、これに先立つ平成7年12月の工業所有権審議会の「立体商標制度の導入」において、「商品形状そのものを立体商標として登録し、独占的に使用を認めることとすると、事実上その商品の販売を当該商標権者に独占させることとなり公正な競争を阻害するおそれもなしとしない。」と危惧している。
オ 仮に本件商標が商標法第3条第2項に該当するとしても、同法第4条第1項第18号に該当する。
5 むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第3条第1項第3号に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項の規定によりその登録を無効にすべきである。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、「本件審判請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由を要旨次のとおり述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第239号証(枝番号を含む)を提出した。
1 請求人は、本件商標について、商標法第3条第1項第3号に該当し、同法第3条第2項に該当するには至っていない旨主張する。
しかしながら、上記請求人の主張は、何れも本件商標の使用実績及びそれに基づく周知性、著名性等を全く無視したものであり、同法第3条第2項の該当性の判断として明らかに妥当性を欠くものである。被請求人は、本件商標の周知性等について、今一度、ここに証明する。
2 本件商標の周知性を基礎付ける事実
(1)本件商標の使用開始時期
被請求人は、先々代の石坂直吉が明治30年に福岡県飯塚市で菓子舗を開業し、大正元年12月に2代目の石坂茂が「ひよこ」をかたどった本件商標の立体形状からなる菓子を考案して、同飯塚市菓子舗にて販売を開始した。
当時のひよこ饅頭より多少スマートになったものの形と味は変わっていないとされており、本件商標の使用開始時期は大正元年と推定される。
(2)被請求人の法人の展開状況
被請求人は、昭和27年12月に飯塚市において「吉野堂製菓株式会社」を設立、同38年3月には上記会社を「株式会社ひよ子」に商号変更した。
同41年11月に東京都八重洲地下街に「ひよ子」饅頭の製造販売を営む「株式会社東京ひよ子」を設立、同時期に本社を福岡市中央区天神に移転し、「株式会社博多ひよ子」に商号変更した。
そして、同62年に吸収合併により、商号を「株式会社ひよ子」とし、平成7年に東京支社が「株式会社東京ひよ子」として東日本における製造・販売会社となり、現在に至っている。
(3)直営店舗の展開状況
被請求人は、大正元年から飯塚市の菓子舗において「ひよ子」饅頭の販売を開始、その後、昭和32年2月に福岡市天神に新天町店(現在の天神店)を開店し、さらに、福岡市内に店舗を展開したほか、北九州市、大牟田市等にも多数の直営店を展開し、立体的形状の菓子「ひよ子」を販売してきた。(4)被請求人の取引状況
被請求人は、九州全域の「キヨスク」、福岡県の「高速道路のサービスエリア等」、九州、山口県及び大阪府等の「百貨店」と取引を行っている。
(5)「株式会社東京ひよ子」の卸取引状況
「株式会社東京ひよ子」は、関東地区でも「キヨスク」、「羽田空港」、「西友、ダイエー、イトーヨーカ堂等の量販店」、「三越、東急、西武等の百貨店」等において、本件商標に係る菓子「ひよ子」を販売している。
(6)広告宣伝の状況
大正元年、飯塚市周辺の沿線に「飯塚名物ひよ子」の野立て看板を張りめぐらし、また、昭和35年以降、現在までの新聞広告、雑誌広告、報道記事等は乙第32号証ないし乙第135号証のとおりであり、同38年から平成2年までのテレビCMについては広告一覧表(乙第62号証の1)に、最近のテレビCMについて、その実績は乙第136号証ないし乙第146号証に示すとおりである。
(7)売上高及び広告宣伝費
昭和31年から平成15年までの被請求人の全売上高及び「ひよ子饅頭」の売上高及び広告宣伝費の推移を乙第114号の1に示す。
これによれば、昭和31年から1年間の「ひよ子」の売上高は、既に1000万円に達し、その後、売上高は急増し、昭和36年度は1億2千9百万円、同41年は4億5千8百万円となった。
また、同45年には年間売上高約20億円、同56年には約39億円、平成3年には58億円、その後、平成15年までは、「ひよ子」の売上高は50億円前後を維持している。なお、昭和62年頃から平成15年までの広告宣伝費は、年間7億円から8億円程度で推移しており、その結果、本件商標に係る菓子「ひよ子」は、全国的に知られ、昭和46年には周知の程度を超えて著名(全国的)の域に達していたと思われる。
(8)本件商標の周知性についてのまとめ
以上のとおり、昭和30年代から昭和40年代にかけての本件商標に係る名菓「ひよ子」の売上高、広告宣伝費、新聞、雑誌における広告、テレビCM、その他の事情を勘案すると、少なくとも昭和30年代には、本件商標にかかる立体的形状が、被請求人の製造・販売する菓子であることは、菓子業界は勿論、一般需要者の間にあっても広く認識される状況となっていた。
また、昭和40年以降から平成15年頃までの「ひよ子」の売上高、広告宣伝費等々の状況を勘案すると、本件商標の登録審決時(平成15年7月)には、本件商標にかかる立体的形状が被請求人の製造・販売する菓子であることは、取引関係者のみならず一般需要者においても、全国的に広く知られるに至っていることは明らかである。
3 請求人の具体的主張
(1)商標法第3条第1項第3号の該当性について
請求人は、本件商標が商標法第3条第1項第3号に該当する根拠として、甲各号証に基づく主張を展開しているが、請求人の主張には事実に反する主張が含まれているので、以下、それらの点を指摘する。
ア 請求人は、甲第4、6、7号証に基づいて、東京の菓子店「虎屋」が江戸時代には「ほんの少し尖った嘴と、小さな目が愛らしい「鶉餅」を製造・販売」していることが「明らか」と主張するが、上記甲各号証の記載からこのような事実が「明らか」であるとは認められない。
イ 請求人は、甲第8号証に東京都台東区の菓子店「徳太楼」が「古くから本件商標によく似た鳥の形状の菓子を製造」していること、及び「同菓子は「徳太楼のひよこ」として広く知られている。」と主張するが、同号証には、同菓子店が上記菓子を「古くから」製造している事実、同菓子店の上記菓子が「広く知られている」事実はどこにも記載されていない。
ウ 請求人は、甲第4、6、7号証で「請求人以外にも全国の多数の業者によって、鳥の形状の菓子が製造・販売されている」と主張している。
そこで、上記甲各号証に示される商品「名古屋コーチン」、「かもめの水兵さん」、「なかよし小鳥」、「アルプスに雷鳥」、「浅草ぽっぽ」に関連する各文字商標の出願年月日をみると、何れも本件商標にかかる菓子「ひよ子」が周知性を獲得した昭和30年代以降であるため、これらの商品は、本件商標が周知性を獲得した後に製造販売が開始されたものと推認される。
そうすると、これら甲各号証の商品は、本件商標に係る菓子「ひよ子」饅頭の模倣品(いわばニセモノ)である可能性が極めて高い。
また、このような模倣品が出回ることこそが、本件商標の立体的形状の周知性が高いということの証にほかならない。なお、これらの模倣品販売会社所在地は、東京都、愛知県に過ぎず「全国の多数の業者によって・・製造販売されている」とする請求人主張には無理がある。
(2)商標法第3条第2項の該当性について
請求人は、上記において述べたとおり、本件審決時においても、本件商標に類似する形状の菓子が存在していること及び「本件商標」の商標の形状は、独創性、特異性がない点を理由として、自他商品識別機能を有しない等と主張する。
しかしながら、本件商標の使用実績や周知性、著名性を全く考慮にいれることなく、審決時に「本件商標に類似する形状の菓子が存在していること」を理由に商標法第3条第2項の適用を論ずるのは、明らかに同法第3条第2項の規定の趣旨に反する。
また、同法第3条第2項は、当該商標が同法第3条第1項3号から5号に該当することが前提となるから、商標の形状が独創性・特異性を有していないことは、第3条第2項の該当性を否定する根拠にはなり得ない。
(3)その他の請求人主張について
ア 請求人は、本件商標に係る菓子は中身の見えない包装紙に包まれて販売されるから、本件商標の形状自体が自他商品識別機能を有するまでに至っていない等と主張する。
しかしながら、本件商標にかかる「ひよ子」饅頭の驚異的な売上、及び同「ひよ子」饅頭の知名度の全国的な広がりも、その可愛らしい立体的形状に追うところが大であると思われる。
このような事実に鑑みると、本件商標にかかる立体的形状が未だ自他商品識別力を有するに至っていない、とするのは本件商標に係る立体的形状の使用実績、周知性、著名性を敢えて無視した請求人の単なる恣意的、かつ希望的見解に過ぎない。
イ 請求人は、「全国各地に存在する日本古来からの伝統的な菓子の形状に、商標権という全国的に効力を有する権利を与えるべきではない」等と主張するが、仮に伝統的な菓子の形状であっても、使用により自他商品識別力を獲得した場合は、商標登録を認めることが商標法第3条第2項の趣旨であるから、上記請求人主張は商標法第3条第2項の趣旨を無視した恣意的見解というほかない。
ウ 請求人は、立体商標制度の創設当時の答申書等を引用し、指定商品の形状そのものである場合は不登録とする運用について述べ、あたかも指定商品の形状等は全く登録不可能であるかのような主張を展開するが、平成7年12月13日付工業所有権審議会「商標法等の改正に関する答申」中の立体商標に関する記載において、以下の記述がある。
すなわち、「需要者が、指定商品若しくはその容器又は指定役務の提供の用に供する物の形状そのものの範囲を出ないと認識する形状のみからなる立体商標は、登録の対象としないことが適当と考えられる。また、ありふれた形状そのものである場合についても同様である。ただし、これらの商標であっても使用の結果識別力が生ずるに至ったものは、現行法第3条第2項に基づき登録が認められることが適当である。」(「実例でみる商標審査基準の解説」第四版、工藤莞司著、社団法人発明協会発行、第58頁参照)。
(4)過去のトラブル
請求人は30年近く商品が併存してきたのに立体商標制度創設による商標権取得を奇貨として訴訟を提起しており、権利行使それ自体が不当であるかのような主張を行っている。
しかし、立体商標制度創設以前に類似する立体的形状を有する商品が併存した場合に、制度創設後、その一方が商標権を取得し、それによって他方に対し権利の行使をすることのすべてを遮断されるのであれば、立体商標制度創設の意味はなくなる。
4 むすび
上述のように、本件商標の使用開始時期、使用地域、使用期間、広告宣伝の実施期間、回数、頻度、実施地域、広告宣伝費、売上高、直営店舗数、その他の事実から判断すると、本件商標は需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるに至っていることは明らかである。
そして、上記各種使用実績の規模の大きさからして、本件商標には莫大な規模の業務上の信用が化体しているといわざるを得ず、その財産的価値は計り知れない。また、請求人の主張は、被請求人が永年に亙り莫大な資金を投下して築き上げてきた業務上の信用を無に帰することを意図とするものであり、到底認容できない。

第4 当審の判断
1 鳥の形状からなる菓子について
本件商標は、別掲のとおり、鳥の立体的形状(立体商標)からなり、その指定商品を「まんじゅう」とするところ、請求人の主張及び提出された甲各号証によれば、「まんじゅう」「和菓子」など本件商標の指定商品等を取り扱う業界においては、多少の形状の差異を有するものの、鳥の形状をした菓子が全国各地で製造販売されている事実が認められる。
その一例として、請求人自らが使用する「二鶴の親子」をはじめ、株式会社長登屋(名古屋市)の「名古屋コーチン」、株式会社大藤(東京都)の「かもめの水兵さん」、株式会社江戸製菓(東京都)の「なかよし小鳥」、丸三食品株式会社(豊橋市)の「アルプス雷鳥」、有限会社東月製菓(東京都)の「浅草ぽっぽ」を挙げることができる(甲第9号証、甲第10号証、甲第13号証ないし甲第19号証の2、甲第27号証ないし甲第32号証及び甲第42号証の1ないし3)。
そうとすると、本件商標の指定商品を取り扱う業界において、鳥の形状をかた取った「まんじゅう」「和菓子」などが製造販売されているところからすれば、本件商標を当該指定商品に使用しても、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものであるから、本件商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものである。
2 商標法第3条第2項該当性の有無について
本件商標は、前記第1のとおり、商標法第3条第2項を適用し登録されたものであるから、登録審決時(平成15年7月24日)において、該規定に定める要件を具備するか否かについて判断する。
(1)商標法第3条第2項の趣旨と立体商標
商標法第3条第2項は、同法第3条第1項第3号等のように本来は自他商品の識別性を有しない商標であっても、特定の商品形態が長期間継続的かつ独占的に使用され、宣伝もされてきたような場合には、結果としてその商品形態が商品の出所表示機能を有し周知性を獲得することになるので、いわゆる特別顕著性を取得したものとして、例外的にその登録を認めようとしたものと解される。
そして、商標法第3条第2項の要件の有無はあくまでも別掲の本件商標について判断すべきであって、付随して使用された文字商標・称呼等は捨象して判断すべきであること、商標法は日本全国一律に適用されるものであるから、本件商標が前記特別顕著性を獲得したか否かは日本全体を基準として判断すべきであること等である。
そこで、以上の見解に立って、本件について検討する。
(2)本件商標の使用(被請求人による菓子「ひよ子」の販売等)状況
ア 販売開始時期
被請求人においては、先々代の石坂直吉が福岡県飯塚市で菓子舗を創業し、大正元年12月に2代目の石坂茂が、「ひよこ」をかたどり、概ね本件商標の立体形状を有する菓子を考案し、同飯塚市の菓子舗にて販売を開始した(甲第144号、甲第152号の2、乙第1号証ないし乙第3号証、乙第22号証、乙第64号証ないし乙第66号証、乙第68号証、乙第70号証、乙第76号証、乙第223号証の1ないし3、乙第224号証の1ないし2、乙第228号証ないし乙第232号証)。
イ 直営店舗の展開状況
被請求人は、昭和32年2月、飯塚市から福岡市への進出の第1号店として、福岡市天神に新天町店(現在の天神店(乙第130号))を開店し(乙第1号証の4頁)、以後、昭和34年10月、福岡市渡辺通り1丁目に1丁目店を開店し、昭和35年には福岡市西新に西新店を開店し、昭和38年には博多駅にステーション店を開店するなど、直営店舗を着々と増加させ、昭和62年当時、直営店70店を有していた。ただし、被請求人の直営店舗の多くは九州北部及び関東地方に所在している(甲第65号証及び甲第66号証、乙第1号証、乙第3号証、乙第75号証、乙第130号証)。
ウ 取引先の状況等
被請求人は、九州地方、山口県、広島県におけるキヨスクの196店舗に、本件商標にかかる菓子「ひよ子」を卸し、これら196店のキヨスクにおいて菓子「ひよ子」が販売されている(乙第6号証の(1))。また、全国観光と物産新聞(平成13年10月号)(乙第103号証)には、九州キヨスク全店における平成13年4月?6月のみやげ売上ランクで、被請求人の菓子「ひよ子」(11個入り1050円)が2位として記載され、西日本新聞(平成9年9月9日)(乙第89号証)には、「…東北・関東地区に約1800店の売店をもつ、東日本キヨスクの統計資料を入手。「みやげ菓子ランキング。1989-1995年度までで、ひよ子が二位に落ちたのは90年度のみ。他は、ひよ子が一位を独占」」との記載があり、同新聞(平成11年6月4日付け)(乙第94号証)には、「「東日本キヨスク」…が、「東京駅みやげベスト10」(5月末現在)をまとめたところ、「ひよ子」(二位)…」との記載がある。また被請求人は、高速道路のサービスエリア及びパーキングエリアの売店37店(乙第6号証の(2))、九州内の各空港売店35店(乙第6号証の(3))、九州、山口県、大阪府の百貨店53店舗(乙第6号証の(4))、福岡市、北九州市内の小売店91店(乙第6号証の(5))、福岡県以外の地方の小売店56店(乙第6号証の(6))等の取引先に、菓子「ひよ子」を卸し、販売がされている。さらに、被請求人の関連会社である株式会社東京ひよ子も、同様に、多数のキヨスク、羽田空港やホテル内の店舗、量販店、百貨店、高速道路のサービスエリア及びパーキングエリア内の店舗等に菓子「ひよ子」を卸し、販売がされている(乙第6号証(8)、乙第89号証、乙第94号証、乙第103号証)。
エ 広告宣伝等の状況
(ア)被請求人は、昭和32年2月、福岡市天神の新天町店で菓子「ひよ子」の販売を開始し、昭和33年度においても、テレビ広告等マスコミを最大限に利用して宣伝に努めた(乙第5号証の1、2、乙第116号証)。
(イ)被請求人の菓子「ひよ子」は、昭和32年3月20日から開かれた長崎市における第14回全国菓子大博覧会において総裁賞を受賞して名誉総裁である高松宮殿下に献上され(乙第8号証、乙第10号証の1、2、乙第15号証、乙第201号証の1)、昭和32年?33年頃、同総裁賞を受賞した旨を付記した新聞広告も多数なされた(乙第9号証、乙第11号証ないし乙第14号証、乙第16号証ないし乙第20号証)。また、被請求人の菓子「ひよ子」は、昭和33年4月17日に天皇皇后両陛下が九州に巡幸したときに県下土産菓子の代表として天覧銘菓の一つとされ、天皇陛下の買上商品となった(乙第21号証ないし乙第23号証)。被請求人はその旨を付記した新聞広告を昭和35年頃まで多数行うとともに(乙第25号証及び乙第26号証、乙第28号証ないし乙第31号証)、一般紙及び業界紙において、その旨の新聞報道もされた(乙第22号証ないし乙第24号証)。その後、高松宮殿下(昭和46年11月21日)、常陸宮殿下(平成元年7月27日)が被請求人方を来訪し、工場見学等を行っている(乙第118号証及び乙第119号証)。
(ウ)被請求人は、菓子「ひよ子」について、昭和35年頃から昭和42年頃まで、福岡市等を中心にフクニチ新聞等の新聞、雑誌の記事・広告等による多数の広告宣伝を行った。そして被請求人は、昭和41年11月、東京都の八重洲地下街で菓子「ひよ子」の製造販売を営む株式会社東京ひよ子を設立してその頃東京に進出し、以後も引き続き、九州北部、東京等を中心に、新聞・雑誌の記事・広告等による多数の広告宣伝を行った(乙第20号証、乙第40号証、乙第43号証、乙第47号証、乙第52号証及び乙第53号証、乙第55号証、乙第61号証、乙第65号証、乙第68号証、乙第70号証ないし乙第74号証、乙第76号証ないし乙第79号証、乙第82号証ないし乙第84号証、乙第87号証ないし乙第93号証、乙第95号証及び乙第96号証、乙第98号証ないし乙第113号証、乙第122号証、乙第131号証ないし乙第135号証、乙第172号証ないし乙第188号証、乙第212号証ないし乙第214号証等)。
このうち、被請求人の菓子「ひよ子」の形状は、九州菓業新聞(昭和33年4月28日付け(乙第23号証))、雑誌「ヤングレディ」(昭和41年11月14日号(乙第40号証))、読売新聞(昭和42年4月24日付け(乙第43号証))、雑誌「週刊朝日」(昭和42年10月13日号、同年12月1日号(乙第47号証)、同月15日号(乙第53号証))、サンケイ新聞(昭和42年4月18日付け(乙第55号証))、西日本新聞(昭和43年5月1日付け(乙第61号証))、フクニチスポーツ(昭和46年4月3日付け(乙第65号証))、雑誌「財界九州」(昭和57年(乙第68号証))、朝日新聞(昭和59年12月25日付け(乙第172号証))、雑誌「文藝春秋」(昭和60年4?7月号、9?12月号(乙第173号証))、雑誌「財界」(昭和62年11月24日号(乙第70号証)、西日本新聞(昭和62年7月9日付け(乙第73号証)、同年8月28日付け(乙第72号証)、同年9月17日付け(乙第71号証))、読売新聞(昭和62年1月28日付け(乙第74号証))、浄土宗新聞(平成3年9月1日付け(乙第76号証))、雑誌「シティ情報ふくおか」(平成4年2月14日号(乙第78号証))、雑誌「ふくおか経済」(平成3年12月号(乙第82号証))、朝日新聞(平成10年11月24日付け(乙第90号証))、生産性新聞(平成6年3月16日付け(乙第92号証))、産経新聞(平成6年10月20日付け(乙第188号証))等に掲載されているほか、平成4年及び平成6年において、朝日新聞、読売新聞、日本経済新聞等の全国紙に「日本のおいしいかたち。」等のキャッチコピーとともに掲載され(乙第178号証及び乙第179号証、乙第183号証ないし乙第186号証)、さらに、東北地方における地方紙(岩手日報、河北新報)、甲信越地方における地方紙(新潟日報)、中部地方における地方紙(中日新聞)、北海道地方における地方紙(北海道新聞)にも、「東京だより。」等のキャッチコピーとともに掲載されているところ(乙第174号証ないし乙第178号証、乙第180号証及び乙第181号証、乙第184号証、乙第187号証)、そのすべてにおいて、その近辺のよく目立つ位置に、「名菓ひよ子」「ひよ子」等の文字が存在している。
(エ)被請求人は、昭和38年から現在まで、菓子「ひよ子」について、九州地方のほか、東京都を中心とする関東地方(テレビ朝日)、北海道地方(北海道放送等)、青森県、岩手県、秋田県、山形県等の東北地方(青森テレビ等)、富山県、石川県、福井県等の北陸地方(テレビ金沢等)、山梨県、長野県、新潟県等の甲信越地方(長野放送)、愛知県、静岡県等の中部地方(中部日本放送)において、多数のテレビCMを放送したところ(乙第62号証の1ないし47、乙第136号証ないし乙第146号証、乙第154号証ないし乙第158号証、乙第189号証の1ないし7、乙第190の1ないし27、乙第191の1ないし28、乙第192号証の1ないし29、乙第193号証及び乙第194号証、乙第195号証の1ないし4、乙第196号証ないし乙第199号証、乙第200号証の1ないし27)、菓子「ひよ子」の形状が写る場合も、CMの中で必ずその画面に「名菓ひよ子」、「ひよ子」の文字も大きく写り、(乙第62号証の2ないし47、乙第189号証の1ないし7、乙第195号証の1ないし4)、それに合わせて「ひよ子」との音声が入っている(乙第196号証及び乙第197号証)。また被請求人は、昭和40年頃、テレビ番組「0戦はやと」等の提供会社となり(乙第56号証、乙第58号証)、最近においても、多数のテレビ番組を提供し、また、特集として番組自体で取り上げられるなどしている(乙第66号証、乙第136号証ないし乙第158号証、乙第239号証)。
オ 菓子「ひよ子」の販売形態、年間売上高及び広告宣伝費
(ア)菓子「ひよ子」は、その一つ一つが「ひよ子」と記載された包装紙に包まれ、「ひよ子」と記載された箱に詰められて販売されており(乙第129号証及び乙第130号証)、また、店頭における展示品も、一箱のうち1、2個の「ひよ子」や合成樹脂模型については上記包装紙に包まれていないものの、そのすぐ近辺を含む展示スペースの各所に多数の「ひよ子」の文字が溢れている状況にある(乙第129号証及び乙第130号証)。
(イ)菓子「ひよ子」の年間売上高は、被請求人が福岡市天神に新天町店をオープンした年である昭和32年度が1000万円(乙第114号証の2、乙第115号証)、昭和36年度は1億2900万円、昭和41年度は4億5800万円、昭和42年度は5億0900万円となった(乙第114号証の2)。また、広告宣伝費も、昭和32年度で100万円、昭和37年度で1700万円、昭和42年度で1億3700万円となった(乙第114号証の2)。
また、その販売個数は、昭和33年?34年の1年間で292万3423個、昭和34年?35年の1年間で550万4367個、昭和35年?36年の1年間で860万2805個に達している(被請求人の第5期(昭和35年10月1日?昭和36年9月30日)決算報告書の概況報告(乙第117号証))。
(ウ)その後、昭和45年度には1日の生産量が約50万個、売上高が約20億円(乙第64号証、乙第114号証の1)、昭和55年度には売上高は約35億円(乙第114号証の1)となり、その後も次第に増加して、ピーク時である平成3年度、平成4年度の頃は約60億円(乙第114号証の1)となり、その後は平成15年に至るまで、50億円前後であった(乙第233号証ないし乙第238号証)。なお、登録審決時(平成15年7月24日)の直近年度の菓子「ひよ子」の売上高(純売上)は、被告の九州事業部では、20億1949万5733円(乙第235号証)であり、東京ひよ子では27億7511万4835円(乙第238号証)であり、両者を合計すると、47億9461万0568円であった。
(エ)被請求人が菓子「ひよ子」饅頭にかけた広告宣伝費は、昭和62年度頃から平成15年度まで、年間7億円?8億円程度で推移した(乙第114号証の1)。
(3)被請求人以外の者による鳥形状の焼き菓子の製造販売状況
被請求人以外の業者による鳥形状の焼き菓子の製造販売状況は、後掲各証拠によれば以下のとおりであることが認められる。
ア 菓子「二鶴の親子」(甲第9号証、甲第14号証)
(ア)福岡市所在の原告が昭和35年頃から製造販売する(甲第159号証の3、甲第173号証、甲第174号証の1ないし5、甲第175号証の1ないし3、5、甲第176号証の1ないし6、甲第178号証の2、3)、鳥の形状の菓子であり、文字商標「二鶴の親子」(商標登録第1013918号)の商標登録出願日は、昭和41年1月24日である(甲第10号証)。
(イ)光紙工株式会社(代表取締役真木環)が作成した原告に対する包装箱の納入実績表(甲第12号証、甲第26号証)によれば、少なくとも平成8年度から納入実績があり、平成11年度?平成16年度における納入実績は以下のとおりである。
・平成11年度 22万4780個、・平成12年度 22万6868個
・平成13年度 20万2640個、・平成14年度 16万8000個
・平成15年度 16万1675個、・平成16年度 3万8060個
(ウ)土産品新聞社発行「みやげ品ニュース」(平成11年6月号、同10月号、同11月号(甲第13号証))及び同社発行「月刊地域産品ニュース」(平成12年5月号、平成13年5月号、同6月号、同8月号、同9月号、平成14年1月号、同5月号、同6月号、平成16年5月号、同9月号(甲第13号証))によれば、高速道路売店における「売れ筋ランキング」として、上位に「博多通りもん」、「辛子明太子」、「ひよ子」等が記載される中で、上記菓子について、以下の旨が記載されている。
・ 平成11年3月 長崎自動車道・金立SA下り(佐賀) 4位
・ 平成11年8月 九州自動車道・古賀SA下り(福岡) 4位
・ 平成11年9月 九州自動車道・北熊本SA下り(熊本)5位
・ 平成12年3月 九州自動車道・広川SA下り(福岡) 2、6位
・ 平成13年3月 九州自動車道・吉志PA上り(福岡) 6位
・ 平成13年4月 中国自動車道・美東SA上り(山口) 6位
・ 平成13年7月 九州自動車道・北熊本SA上り(熊本)4位
・ 平成13年11月九州自動車道・緑川PA下り(熊本) 4位
・ 平成14年3月 九州自動車道・宮原SA下り(熊本) 6位
・ 平成14年4月 九州自動車道・広川SA下り(福岡) 2,4位
・ 平成16年3月 長崎自動車道・金立SA下り(佐賀) 10位
・ 平成16年7月 九州自動車道・広川SA下り(福岡) 4,9位
(エ)現在も、九州北部の高速道路売店(福岡タワー土産物店、古賀下りSA、広川下りSA、北熊本下りSA、金立下りSA、多久西下りPA、川登下りSA)において、上記菓子と被請求人の菓子「ひよ子」が同一店舗内で販売されている(甲第67号証の1ないし8)。
イ 菓子「名古屋コーチン」(甲第15号証の1、甲第42号証の1ないし3)
(ア)名古屋市所在の株式会社長登屋が製造販売する鳥の形状の菓子であり、文字商標「名古屋コーチン」(商標登録第2321682号)の商標登録出願日は、昭和63年9月13日である(甲第15号証の2)。
(イ)土産品新聞社発行「月刊地域産品ニュース」(平成12年8月号、平成14年1月号、同3月号、同4月号、同7月号(甲第29号証))によれば、高速道路売店における「売れ筋ランキング」として、上位に「ういろう」、「うなぎパイ」、「きしめん」等が記載される中で、上記菓子について、以下の旨が記載されている。
・ 平成12年6月 東名阪自動車道・大山田SA下り(三重)7位
・ 平成13年11月 名神高速道路・伊吹SA下り(滋賀) 5位
・ 平成14年1月 名神高速道路・尾張一宮PA上り(愛知)7位
・ 平成14年2月 東名阪自動車道・亀山PA下り(三重) 6位
・ 平成14年5月 名神高速道路・菩提寺PA下り(滋賀) 5位
ウ 菓子「かもめの水兵さん」(甲第16号証の1)
上記菓子は、鳥の形状の菓子であるところ、文字商標「かもめの水兵さん」(商標登録第1692505号)の権利者は、東京都荒川区所在の株式会社大藤であり、その商標登録出願日は、昭和56年6月20日である(甲第16号証の2)。
エ 菓子「なかよし小鳥」(甲第17号証の1)
(ア)上記菓子は、鳥の形状の菓子であるところ、文字商標「なかよし小鳥」(商標登録第1401642号)の権利者は、東京都江戸川区所在の株式会社江戸製菓であり、その商標登録出願日は、昭和43年7月26日である(甲第17号証の2)。
(イ)土産品新聞社発行「月刊地域産品ニュース」(平成14年5月号(甲第30号証))によれば、平成14年3月の常磐自動車道の千代田PA下り(茨城)売店における「売れ筋ランキング」として、上記菓子が6位と記載されている。
オ 菓子「アルプス雷鳥」(甲第18号証の1)
上記菓子は、鳥の形状の菓子であるところ、文字商標「アルプス雷鳥」(商標登録第3170361号)の権利者は、愛知県豊橋市所在の丸三食品株式会社であり、その商標登録出願日は、平成5年7月29日である(甲第18号証の2)。
カ 菓子「浅草ぽっぽ」(甲第19号証の1)
(ア)上記菓子は、鳥の形状の菓子であるところ、文字商標「浅草ぽっぽ」(商標登録第4250857号)の権利者は、東京都台東区所在の有限会社東月製菓であり、その商標登録出願日は、平成9年5月8日である(甲第19号証の2)。
(イ)土産品新聞社発行「みやげ品ニュース」(平成10年6月5日号、平成12年2月号、平成13年1月号、同3月号、平成14年4月号(甲第31号証))によれば、高速道路売店における「売れ筋ランキング」として、上位に「江戸祭人形焼」、「信玄餅」等が記載される中で、上記菓子について、以下の旨が記載されている。
・ 平成10年 3月 中央自動車道・境川PA下り(山梨) 5位
・ 平成11年12月 中央自動車道・初狩PA下り(山梨) 5位
・ 平成12年11月 中央自動車道・藤野PA下り(神奈川) 1位
「1位の「浅草ぽっぽ」と2位の「江戸祭人形焼」が年間通して人気がある。」
・ 平成13年 1月 中央自動車道・都賀西方PA下り(栃木)5位
・ 平成14年 2月 東北自動車道・大谷PA下り(栃木) 5位
キ 菓子「都鳥の詩」(甲第27号証)
(ア)上記菓子は、丸三食品の、鳥の形状の菓子である(甲第27号証、甲第32号証)。
(イ)土産品新聞社発行「みやげ品ニュース」(平成10年3月20日号、平成12年9月号、平成14年8月号(甲第32号証))によれば、高速道路売店における「売れ筋ランキング」として、上位に「納豆」等が記載される中で、上記菓子について、以下の旨が記載されている。
・ 平成10年1月 常磐自動車道・東海PA下り(茨城) 3位
・ 平成12年7月 常磐自動車道・谷田部東PA下り(茨城)1位
・ 平成14年6月 常磐自動車道・谷田部東PA下り(茨城)5位
ク 菓子「白千鳥」(甲第110号証)
石川県かほく市所在の神保製菓が製造する鳥の形状の菓子である。
ケ 菓子「平和のハト」(甲第111号証)
福井市所在の株式会社大壁羽山堂が製造する鳥の形状の菓子である。
コ 菓子「夫婦かもめ」、「ミニ夫婦かもめ」(甲第112号証及び甲第113号証)
岩手県大船渡市所在のさいとう製菓株式会社が製造する鳥の形状の菓子である。
サ 菓子「ひよ太郎」(甲第114号証)
東京都江東区所在の株式会社東京宝TSKが販売する鳥の形状の菓子である。
シ 菓子「土佐のジロッ子」(甲第115号証)
高知県高岡郡所在の松鶴堂が販売する鳥の形状の菓子である。
ス 菓子「琵琶湖ぽっぽ」(甲第129号証)
滋賀県守山市所在のジャパンサービス株式会社が販売する鳥の形状の菓子である。
セ 菓子「かいつぶりの浮巣」(甲第130号証)
岐阜県養老郡所在の株式会社第一物産K12が販売する鳥の形状の菓子である。
ソ 菓子「宍道湖嫁ヶ島」(甲第131号証)
松江市所在のしまね寶楽庵株式会社TSKが販売する鳥の形状の菓子である。
タ 菓子「神戸風見鶏の街」(甲第132号証)
兵庫県豊岡市所在の株式会社鹿野が販売する鳥の形状の菓子である。
チ 菓子詰め合わせ「姫路銘菓撰」のうち「ひなの巣立ち」(甲第133号証)
兵庫県豊岡市所在の株式会社鹿野K1が販売する鳥の形状の菓子である。
ツ 菓子「らい鳥っ子」(甲第134号証)
富山県中新川群所在の北海屋菓子舗が製造する鳥の形状の菓子である。
テ 菓子詰め合わせ「越前の詩」のうち「雷鳥の巣立ち」(甲第135号 証)
福井県敦賀市所在のつるが幸栄堂が販売する鳥の形状の菓子である。
ト 菓子「朱鷺の巣ごもり」(甲第136号証)
新潟市所在の新潟県観光物産株式会社Hが販売する鳥の形状の菓子であ る。
ナ 菓子「小鳩豆楽」(甲第137号証)
神奈川県鎌倉市所在の株式会社豊島屋が製造する鳥の形状の菓子である 。
ニ 菓子「都鳥」(甲第138号証)
岐阜市所在の合名会社奈良屋本店が製造する鳥の形状の菓子である。
ヌ 菓子「ことりの里」(甲第169号証)
埼玉県八潮市所在の株式会社東月菓子舗が製造する鳥の形状の菓子であ る。
ネ 菓子「湖の鳥」(甲第170号証の1ないし2)
大津市所在の大津風月堂が製造販売する鳥の形状の菓子である。
(4)被請求人以外の者による鳥形状の和菓子の製造販売状況
被請求人以外の業者による鳥形状の和菓子の製造販売等の状況は、後掲各証拠によれば以下のとおりであることが認められる。
ア 和菓子「鶉餅」等
(ア)虎屋文庫・中山圭子著「和菓子おもしろ百珍」(平成13年4月5日発行(甲第2号証))には、「…そのふっくらとした形状にちなみ、「うずら餅」という可愛らしい呼び名もありました。…丸々とした形はうずらそっくり。…残念ながら、今や腹太餅もうずら餅もどこでも見かける菓子ではなくなってしまいました(目やくちばしをつけて、鶉を見立てた「鶉餅」…なら、虎屋でも作っているのですが…。)」(174頁)との記載がある。
(イ)株式会社虎屋 虎屋文庫編「お菓子の国の動物たち“鳥獣戯菓”展」(平成8年10月発行(甲第4号証))には、「…鶉餅…は各地で作られたらしく、「東海道中膝栗毛」にも、今村(現在の愛知県安城市)の茶屋で、喜多八が鶉焼(鶉餅を焼いたものか?)をおいしそうにほおばる場面が描かれている。…今では大福の名の方が一般的で、鶉餅(焼)という人はいないだろう。
一方、虎屋に伝わる「鶉餅」は目とくちばしをつけ、鳩笛のような形にしたもの。…」(15頁)との記載がある。
(ウ)鈴木宗康・白石かずこ・江後迪子・山口高志「和菓子の楽しみ方」(新潮社(甲第6号証))の51頁には、目や嘴がつき、鶉を見立てた、鳥の形状の「鶉餅」の写真(「秋晴れ OCTOBER 虎屋」と付記されている。)が掲載されている。
(エ)虎屋文庫・中山圭子著「和菓子ものがたり」(平成5年12月25日発行(甲第7号証))には、「…和菓子の意匠を「花鳥風月」で表わすと、鳥は鶯、鶉、千鳥、鶴、雁で代表されるでしょう。どの鳥も詩歌や文学と結びつき、…見た目も愛らしく、造型化しやすいことが特徴です。…戦国時代の公卿、山科言継の残した「言継卿記」の天文22(1553)年3月7日の条には、送られた鶉餅1盆について「珍物」と記されています。珍物とは鶉に似た珍しい形を言い表わしているのでしょうか。当時の鶉餅がどのような形かはわかりませんが、虎屋の場合は、慶安4(1651)年の御用記録に鶉餅の名前があり、鶉を模した菓子として伝わっています。ほんの少し尖った嘴と、小さな目が愛らしく、縫いぐるみを見るような意匠です。一方、菓子製法書の「古今名物御前菓子図式」(1761)に見える「鶉餅」は、目や嘴をつけない鶯餅タイプ。丸くふくらんだ形を鶉に見立てたもので、食べごたえがあることから腹太餅の異名もあります。…」(94頁?96頁。なお、平成13年1月1日発行版(甲第92号証の3)では、115頁?117頁)との記載がある。
(オ)株式会社同朋舎出版発行「日本料理秘伝集成/第16巻 菓子」(昭和60年5月30日発行(甲第89号証の1ないし5))には、「虎屋菓子見本帖より」「正徳年間」(株式会社虎屋 虎屋文庫作成のパンフレット「虎屋文庫のご案内」(甲第91号証の1ないし2)によれば、株式会社虎屋には、上記菓子見本帖が保存されていることが推認できる。)として、「御菓子絵図」に「うずら餅」として、目や嘴がつき、鶉を見立てた、鳥の形状の「鶉餅」の図が記載されており(甲第89号証の2の2)、実際の「鶉餅」の写真(甲第89号証の2の2。株式会社小学館発行「四季の和菓子」平成9年11月20日発行(甲第90号証の4ないし6)の45頁の写真も、同じ形状のものである。)と符合し、また、「餅製 鶉餅 鶉はめでたい鳥として、「日次紀事」には「徳川時代正月4日上賀茂神社で釿始の儀に鶉舞を行った」とあり、この鶉を模したお菓子が「鶉餅」である。慶安4年(1651)の「朝覲行幸御菓子覚帳」にも「鶉餅」と見え、餅製で納められている。」(246頁?247頁)との記載がある。
(カ)株式会社虎屋は、虎屋に伝わる上記形状の菓子「鶉餅」を、平成16年11月1日?15日、店頭で販売している(2004年(平成16年)11月「店頭販売生菓子一覧表」(甲第90号証の1))。
(キ)文・亀井千歩子、写真・宮野正喜「縁起菓子・祝い菓子」(甲第3号証)には、「【鳩餅】はともち 京都・三宅八幡宮ゆかりの菓子。…鳩は神様のお使いで、餅は鳩を形どったもの。…」(53頁)との記載がある。
イ 和菓子「徳太楼」の「ひよこ」
東京都台東区浅草所在の徳太楼は、鳥の形状の和菓子を販売している。同菓子は、ホームページ上で「浅草の旨いもの」として、桜餅、豆大福とともに「ひよこ」として紹介されている(甲第8号証)。
ウ 和菓子「うぐいす」(甲第139号証)
松江市所在の「そのや」の、鳥の形状の生菓子(練りきり)である。 エ 和菓子「うぐいす」(甲第140号証)
東京都中央区所在「寿堂」の、鳥の形状の生菓子(練りきり)である。 オ 和菓子「うぐいす」(甲第141号証)
金沢市所在「株式会社板屋」の、鳥の形状の生菓子(練りきり)である。
カ 和菓子「都鳥」(甲第151号証)
松江市所在「有限会社向月庵」の、鳥の形状の生菓子(練りきり)である。
(5)以上検討したところによれば、被請求人の文字商標「ひよ子」は九州地方や関東地方を含む地域の需要者には広く知られていると認めることはできるものの、別掲のとおりの形状を有する本件立体商標それ自体は、未だ全国的な周知性を獲得するまでには至っていないと判断する。その理由は,以下に述べるとおりである。
ア すなわち、被請求人は、菓子「ひよ子」を大正元年から販売し、特に昭和32年以降は、各時代を通じて年間売上高、広告宣伝費とも多額であり、新聞・雑誌・テレビCM等を通じて頻繁に広告宣伝を行っており、多数の直営店舗、取引先を有していると認められるが、他方、菓子「ひよ子」は、その一つ一つが「ひよ子」と記載された包装紙に包まれ、「ひよ子」と記載された箱に詰められて販売されており(乙第129号証及び乙第130号証)、また、展示品も、一箱のうち1、2個の「ひよ子」や合成樹脂模型については上記包装紙に包まれていないものの、そのすぐ近辺を含む展示スペースの各所に多数の「ひよ子」の文字が使用されているものである(乙第129号証及び乙第130号証)。
また、菓子「ひよ子」の形状を掲載した多数の広告宣伝も、平成4年及び同6年において、朝日新聞、読売新聞、日本経済新聞等の全国紙に「日本のおいしいかたち。」等のキャッチコピーとともに掲載されてはいるものの、そのすべてにおいて、その近辺のよく目立つ位置に、「名菓ひよ子」「ひよ子」等の文字が存在し、同形状が写る多数のテレビCMも、CMの中で必ずその画面に「名菓ひよ子」、「ひよ子」の文字も大きく写っている(乙第62号証の2ないし47、乙第189号証の1ないし7、乙第195号証の1ないし4、乙第196号証及び乙第197号証)、それに合わせて「ひよ子」との音声が入っている(乙第196号証及び乙第197号証)。
イ 次に、被請求人以外の鳥の形状の焼き菓子についてみると、東北地方(岩手県)、関東地方(東京都、神奈川県、埼玉県、栃木県、茨城県)、中部地方(愛知県、岐阜県、新潟県)、近畿地方(兵庫県、滋賀県)、北陸地方(石川県、福井県、富山県)、中国地方(島根県)、四国地方(高知県)、九州地方(福岡県)というような全国の各地において、23もの業者が、鳥の形状の菓子を製造販売しているのであり、しかも、これらの菓子は、被告の菓子「ひよ子」と、離隔的に観察する際にはその見分けが直ちにはつきにくいほど類似しているものである(甲第58号証ないし甲第61号証の各1、2)。
しかるに、それぞれの菓子は、その商品名の文字商標の商標登録出願日頃から販売されていたと推認でき、しかもそれぞれの菓子が、数年間から数十年間の販売期間を有することが認められる。そして、原告の菓子「二鶴の親子」は,その販売開始時期が昭和40年前後であり、しかも、平成11年度?平成16年度においては10万?20万箱という規模で販売され、平成11年3月?平成16年7月に、九州内の高速道路売店における売れ筋の菓子であった旨が雑誌に記載されている。また、菓子「名古屋コーチン」も、同様に、昭和63年頃には販売が開始されていたと推認され、平成12年6月?平成14年5月に、愛知県、三重県、滋賀県内の高速道路売店において、売れ筋の菓子であった旨が雑誌に記載されており、また、菓子「なかよし小鳥」も、同様に、昭和43年頃には販売が開始されていたと推認され、平成14年3月に、茨城県内に高速道路売店において売れ筋の菓子であった旨が雑誌に記載されており、また、菓子「浅草ぽっぽ」も、同様に、平成9年頃には販売が開始されていたと推認され、平成10年3月?平成14年2月に、神奈川県、栃木県、山梨県内の高速道路売店において、売れ筋の菓子であった旨が雑誌に記載されており、さらに、菓子「都鳥の詩」も、平成10年1月?平成14年6月に、茨城県内の高速道路売店において売れ筋の菓子であった旨が雑誌に記載されているというのである。
ウ さらに、被請求人以外の鳥の形状の和菓子についてみると、菓子の老舗である虎屋が、江戸時代(正徳年間)から、目と嘴をつけ、鳩笛のような形にした、鳥の形状の「鶉餅」を作っており、最近では、平成16年に、同様の形状で販売したこと、他の鳥の形状の和菓子としては、京都の三宅八幡宮ゆかりの菓子「鳩餅」も存在すること、が認められる。これに、前記のように、現在でも鳥の形状の和菓子が各地に存在することを併せ考慮すれば、鳥の形状を有する和菓子は、わが国において伝統的なものということができる。しかるに、本件立体商標に係る鳥の形状は,上記「鶉餅」よりも単純な形状であるから、本件立体商標に係る鳥の形状自体は、伝統的な鳥の形状の和菓子を踏まえた単純な形状の焼き菓子として、ありふれたものとの評価を受けることを免れないものである。
エ 以上のアないしウによれば、被請求人の直営店舗の多くは九州北部、関東地方等に所在し、必ずしも日本全国にあまねく店舗が存在するものではなく、また、菓子「ひよ子」の販売形態や広告宣伝状況は、需要者が文字商標「ひよ子」に注目するような形態で行われているものであり、さらに、本件立体商標に係る鳥の形状と極めて類似した菓子が日本全国に多数存在し、その形状は和菓子としてありふれたものとの評価を免れないから、上記「ひよ子」の売上高の大きさ、広告宣伝等の頻繁さをもってしても、文字商標「ひよ子」についてはともかく、本件立体商標自体については、いまだ全国的な周知性を獲得するに至っていないものというべきである。
したがって、本件商標が使用された結果、登録審決時において、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができたと認めることはできず、本件商標は、自他商品の識別力の獲得がなされていないものとして、商標法第3条第2項の要件を満たさないものというべきである。
3 むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものであって、同法第3条第2項の要件を満たしていなかったにもかかわらず、この規定に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効にすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
別掲 (本件商標 色彩は原本参照)
第1図


第2図


第3図


第4図

審理終結日 2007-09-27 
結審通知日 2007-10-02 
審決日 2005-07-28 
出願番号 商願平9-102128 
審決分類 T 1 11・ 17- Z (Z30)
T 1 11・ 13- Z (Z30)
最終処分 成立  
前審関与審査官 小林 薫 
特許庁審判長 中村 謙三
特許庁審判官 小畑 恵一
小林 和男
津金 純子
石田 清
登録日 2003-08-29 
登録番号 商標登録第4704439号(T4704439) 
代理人 堤 隆人 
代理人 藤井 信行 
代理人 山本 紀夫 
代理人 山本 智子 
代理人 小堀 益 
代理人 藤井 信孝 
代理人 八尋 光良 
代理人 藤井 重男 
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