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審決分類 審判 全部無効 商15条1項2号条約違反など 無効としない Y11
管理番号 1162309 
審判番号 無効2006-89052 
総通号数 93 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2007-09-28 
種別 無効の審決 
審判請求日 2006-04-21 
確定日 2007-07-26 
事件の表示 上記当事者間の登録第4684210号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4684210号商標(以下「本件商標」という。)は、「ECOBRITER」の文字と「エコブライター」の文字を二段に横書きしてなり、平成14年10月7日に登録出願、第11類「電球類及び照明用器具」を指定商品として、同15年5月7日に登録査定、同年6月20日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張の要点
請求人は、「本件商標の登録を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁の理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1ないし第20号証を提出している。
1.請求の理由
(1)本件商標の登録を無効とすべき理由
本件商標は、平成14年10月7日に株式会社クレモナが登録出願し、同年11月25日に住所変更届を提出、その後、同15年6月20日付けで登録を受けたものである。
しかしながら、同14年10月7日にした登録出願の際の登録出願人と同15年6月20日に商標登録を受けた者とは、同一人、すなわち、同一主体ではない。
すなわち、たとえ同一の社名(商号)を有していようとも、会社成立年月日が違う法人登記が別々にある以上、登録出願人と商標登録を受けた者は全くの別人であるから、住所変更届により前者から後者へ承継手続が行われ商標登録された本件商標は、商標法第46条第1項第3号に該当する。
以下、本件商標を登録出願した者を「登録出願人」、その設定登録を受けた者を「商標権者」、その後に商標権を譲り受けた者を「現名義人」という。
ア.登録出願人と商標権者の特定
(ア)登録出願人の特定
登録出願人は、「東京都渋谷区千駄ヶ谷5丁目29番7号第一ドルミ御苑4F」所在の「株式会社クレモナ」(以下「渋谷クレモナ」という。)である(甲第3号証)。
「渋谷クレモナ」は、平成14年11月25日付けで「東京都中央区銀座3丁目14番16号第2ミズホビル7F」に住所を変更する住所変更届(甲第4号証)を提出している。
ここで、「渋谷クレモナ」についてみると、「渋谷クレモナ」は、昭和62年12月16日付けで会社成立し、本店所在地を複数回移動し、平成15年1月11日付けで「株式会社クレモナジャパン」に商号変更している。
しかし、「渋谷クレモナ」は、商標登録原簿記載の住所、すなわち「東京都中央区銀座3丁目14番16号第2ミズホビル7F」に移転した事実は見つからない(甲第6ないし第8号証)。
したがって、登録出願人は、平成14年10月7日に登録出願した「渋谷クレモナ」のままのはずである。
(イ)商標権者の特定
商標権者は、「東京都中央区銀座3丁目14番16号第2ミズホビル7F」所在の「株式会社クレモナ」である(甲第2及び第5号証。以下、同住所所在の株式会社クレモナを「銀座クレモナ」という。)。
「銀座クレモナ」は、本件商標の登録査定日(平成15年5月7日)、設定登録日(平成15年6月20日)及び現時点において、上記住所に存在するものの、その会社成立年月日は、平成14年12月2日であり、本件商標の登録出願日には実在しない。さらに、「銀座クレモナ」は、会社成立してから同16年3月31日に解散するまで本店移転の事実はない。
したがって、商標権者は「銀座クレモナ」である。
(ウ)まとめ
以上特定したように、登録出願人である「渋谷クレモナ」と商標権者「銀座クレモナ」とは、その会社の名称は同じであるものの、会社成立年月日及び、本店所在地等を異にする別の法人である。
イ.住所変更手続について
登録出願人「渋谷クレモナ」と商標権者「銀座クレモナ」とは別法人であるから、住所変更手続により、住所を移す名目で実質上承継手続をすることは許されない。
しかしながら、「銀座クレモナ」は、平成14年11月25日付けで住所変更届を提出し、当該住所変更により、実体を伴わない外観上の権利移転を行い、本来行うべきであった登録出願人名義変更手続きを行っていない。そればかりでなく、登録出願日において「銀座クレモナ」なる法人はそもそも設立されていない。「銀座クレモナ」が存在しているかの如く、かつ、「渋谷クレモナ」と同一であるかの如く装い虚偽の届出が提出されたのである。
ウ.登録出願により生じた権利の承継について
商標権者は、登録出願人から承継を受けていない、若しくは、仮に承継を受けていたとしても、その承継は当事者間でのみ有効なものであるにすぎず、承継手続(登録出願人名義変更)をしていないかぎり承継の効力は生じない。
なお、本件商標権者は、「銀座クレモナ」から福岡県鞍手郡小竹町勝野3950-1に所在する「株式会社クレモナ」(甲第14号証。以下「九州クレモナ」という。)に移転登録されている(甲第2号証)。
このような状況においても、登録出願により生じた権利が正当に承継されていない事実に変わりはなく、現名義人である「九州クレモナ」は、引き続き瑕疵のある権利をそのまま承継したといえる。
エ.商標権者と請求人の利害関係について
請求人は、「銀座クレモナ」の代理人による平成17年11月21日付け「警告書」(甲第9号証)及び同18年2月8日付け「御通知」(甲第10号証)を受理している。これらは、「九州クレモナ」が請求人に送付したものである。
以上の事実から、請求人は、本件無効審判に係る請求人としての利害関係を有している。
オ.その他
請求人は、被請求人から上記警告書に関連して、2005年12月22日付け「回答書(甲第11号証)」を受理している。当該回答書によれば、次のことがわかる。
第一に、「銀座クレモナ」に本件商標の商標権が帰属していると明言していること。
なお、ここで、被請求人が、本来「渋谷クレモナ」の住所変更手続をするべきであったものを誤って、「銀座クレモナ」へ変更してしまったとする「誤記」の主張や、既に「銀座クレモナ」の設立が完了していたとの思い違いであり、「錯誤」であった等の主張が予想されるが、そのような主張は到底是認されるべきものではない。
なぜなら、前述したように甲第11号証に係る回答書が、商標権者は「銀座クレモナ」と明言しており、明言する前提として当然ながら自己の正当権原について、事前に注意確認したはずであり、確認したからこそ警告書を請求人に送付したことに異論を挟む余地はないからである。
第二に、「銀座クレモナ」から、現在、九州地区に設立された「九州クレモナ」に移転登録手続を完了している事実から、被請求人は、同一名称である場合でも、別人格の法人は権利主体としても別である事実を知らないとは到底思えない。
仮に、被請求人が手続上の瑕疵や錯誤等を主張されたとしても、信頼できるものではなく、当該主張が誤りであることは明らかである。
商標登録原簿の商標権者等の記載が単なる錯誤があったという理由で簡単に変更されるのであれば、商標権を行使された第三者は、何を拠り所にするべきであろうか。
無体財産権は目で見ることができない。このため、その権利内容の表示(すなわち、商標登録原簿)についての瑕疵に対して商標権者がその全責任を負うべきである。
したがって、そのような錯誤等の主張は、断じて許されるべきでない。
(2)結論
以上の理由により、本件商標は、商標法第46条第1項第3号に該当し、無効とされるべきである。
2.被請求人の答弁に対する弁駁の理由
(1)請求人の利害関係について
ア.渋谷クレモナが登録出願人としての地位を有しているとする点
明らかに誤りである。すなわち、渋谷クレモナは、登録出願人としての地位を過去に有していただけであり、違法手続によって承継したようにみせかけただけである。そして、銀座クレモナの商標登録により、渋谷クレモナは、登録出願人としての地位を喪失したことは明らかである。
したがって、渋谷クレモナが「本件商標の登録を無効にすることに利害関係を有している」こともなければ、請求人適格を有することにもならない。
イ.本件審判請求人の利害関係については「本来保護すべき登録出願人としての地位を有すること」が求められるとする点
このような被請求人の主張は誤りである。その主張の前提が誤っている。被請求人は、自らが請求人に対して警告書等により権利行使したという事実を忘却している。あくまでも被請求人が請求人を利害関係人に巻き込んだという事実を忘れてはならない。
被請求人の主張される「本来保護すべき登録出願人としての地位を有すること」は、無効審判請求では求められていないことは明らかである。なぜなら、仮にそのような過度な要件が必要であるならば、条文上に規定されるべきところ、条文の規定もないからである。
ウ.まとめ
以上のように、被請求人の主張は極めて特異なものであり、明らかに商標法とかけ離れた主張といわざるを得ない。
したがって、被請求人の主張は誤りであるから、請求人に利害関係があり、本件審判の請求人適格を有することは明白である。
(2)権利移転の意思が存在したことについて
ア.移転の意志が存在していたことは明らかであり、その移転手続の選択を誤ったにすぎないとする点
このような主張を裏付ける証拠は何ら明らかにされず、その提出もない。
そうであるならば、何故正式な手続をとらなかったのか全くもって不可解といわざるを得ない。
イ.本請求は単に軽微な権利移転手続のミスに乗じた責任を逃れんとする行為であるとする点
被請求人は、「単に軽微な権利移転手続のミス」と断じているが、そのような軽微なものではない。なぜなら軽微なものであれば、救済の規定があってもおかしくないにもかかわらず、除斥期間を除いて救済規定がないのは、軽微でないが故である。このような主張をされるのであれば、ミスであったことを証明する証拠を提出するべきである。
ウ.設立前の会社についても、その権利義務の帰属主体性が認められるとする点
この主張は、失当であるといわざるを得ない。法人でない社団又は財団は,その代表者または管理人の定めがある場合には,その名において登録異議の申立てや審判請求等をなすことができるが、商標登録出願や商標登録を受けることはできない。登録出願人適格を有さず登録出願人になれないのであるから、登録出願人としての地位を譲り受けることは法的に問題がある。
エ.通知書(乙第6号証)の中で、請求人は「銀座クレモナが本件商標の正当な権利者であること」を承認していた、本請求を行うことは禁反言の原則からみて許されないとする点
このような主張は、不適当といわざるを得ない。請求人は、本件商標登録に無効理由があることを後日知っただけのことである。それ故にいうならば錯誤があったということである。
仮に、このように承認したとしても、その後、商標登録の瑕疵をみつけたのであるから、意思表示の前提に重大な錯誤があり、何ら禁反言に当たらない。
オ.まとめ
上述したように、請求人が行った無効審判請求は、不当な意図をもってなされた濫用的請求でないことは明白であり、被請求人の「単に当事者の勘違いから錯誤により住所変更手続が選択された」とする主張には信憑性に欠け、被請求人の主張は失当である。
(3)本件商標権者保護の必要性
ア.保護の必要性
銀座クレモナが商標権者であることが商標登録原簿で公示されており、現権利者は善意の第三者として保護に値するとする点
渋谷クレモナ、銀座クレモナ、九州クレモナの代表者は同一人の「田中彰登」であり、その公示を作出したのは、上記三社の同一代表者であるから、上記三社のそれぞれが責めを負えばよいだけのことである。このように、不適切な手続により作出された、いわば虚偽の外観は、出所機能等の商標の機能を害するだけである。「平穏」とかけ離れた本件を鑑みれば、現名義人は、善意の第三者として保護に値しないことは明白である。
イ.まとめ
上述のとおり、請求人に錯誤があっただけであるから、請求人の主張は、何ら禁反言の原則に違反するものではない。本件商標は、無効理由を有している。したがって、被請求人の主張は、明らかに失当である。

第3 被請求人の答弁の要点
被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1ないし第7号証を提出した。
1.請求人適格について
まず、登録出願人としての地位を有している者(「商標登録出願により生じた権利」を有している者)が渋谷クレモナであることは、本件審判の請求人も認めているところである。そして、渋谷クレモナは、当然に本件商標登録を無効にすることに利害関係を有し、請求人適格を有するのはいうまでもないが、渋谷クレモナが無効審判を請求して、登録無効の審決を得た後に本件商標権と同一の商標につき改めて商標登録出願を行ったとしても、既に本件商標に類似する商標の登録出願があり(乙第3号証)、権利者になることができず、使用することもできなくなる結果を招くことが考えられ、このことが不当であることは明らかである。
これらのことから考えると、本来保護すべき登録出願人としての地位を有する渋谷クレモナの判断により、無効審判を行うか否かを決定させるべきと考えるのが自然である。
つまり、商標法第46条第1項第3号を無効理由とする無効審判について求められる利害関係は、本来保護すべき登録出願人としての地位を有することが求められるのであり、真に保護すべき登録出願人としての地位を有する渋谷クレモナに不利益を与えてまで第3者に請求人適格を認めるべきでないことは明らかである(乙第4号証)。
以上のとおり、請求人である株式会社アコルデ(代表者山田慎治)は、利害関係を有する者ではなく、請求人適格がない。
2.請求の理由について
(1)総論
登録出願人から銀座クレモナに住所変更手続がなされた時点で、登録出願人と銀座クレモナとの間に、完全に有効に登録出願人としての地位を移転する意思が存在したことは明らかであり、単に当事者が、その移転手続の選択を誤ったものにすぎない。
請求人の本請求は、単に軽微な権利移転手続のミスに乗じて、自らの商標権侵害行為の責任を免れんとする行為であって、商標権を財産権として評価し、これを保護する商標法の趣旨を否定するものである。
ア.実質的権利移転意志の存在
住所変更手続がなされた平成14年11月25日時点において、渋谷クレモナの代表取締役及び銀座クレモナの代表取締役、清算人は、いずれも田中彰登なのである。同一人が完全な代表権を有する二社の間においては、商標権ないし登録出願人としての地位を譲渡し、その旨の承継手続を行うことについて、いささかの障害も存在しないのであって、全く問題なく右承継手続を行うことができることは、極めて明白である。すなわち、実質的には権利承継の合意が成立しているものの、錯誤により、誤って住所移転手続がなされたにすぎないのである。
イ.銀座クレモナの設立時期について
会社というものは、登記とともに突然無から有が発生するものではなく、設立登記前であっても、なお独自の権利主体としての実体を有しているのが通常であるから、かかる設立前の会社についても、いわゆる権利能力なき社団として、その権利義務の帰属主体性を承認するのが、商法の考え方であり、これについては、何ら有力な異説も存在しないほどの明確な解釈である(乙5号証)。
したがって、いわゆる「設立中の会社」である銀座クレモナが、実質的に商標権ないし登録出願人としての地位を譲り受けることは、法的には、全く問題がない行為なのである。
ウ.交渉経緯について
被請求人らは、銀座クレモナから九州クレモナに権利移転手続中であったことから、連名で警告書を出したというものにすぎないのであり、この時点においても、なお銀座クレモナが正当な商標権者であると信じていたからこそ、このような警告書を送付したものであることは明らかであって、あくまで被請求入らの認識としては、銀座クレモナに権利が適法に承継されていたとの主観を有していたことの何より明白な証左となるものである。
むしろ、請求人は、通知書(乙6号証)の中では、平成16年2月当時商標権の設定登録を受けていた「銀座クレモナ」から本件商標の使用許諾を受けていたと主張しているのである。これは、請求人自身が「銀座クレモナが本件商標の正当な権利者であること」を承認していたことを意味している。
にもかかわらず、上述したように、本請求を行う根拠となる利害関係すら不十分な請求人が、いまさら、従前の自らの言を翻して本請求を行うことは、禁反言の原則からみても、許されることではない。
エ.まとめ
以上のとおり、本件住所変更手続は、実質的な商標権ないし登録出願人としての地位の移転の完全な合意の下に行われたものであって、単に当事者の勘違いから、錯誤により、住所変更手続が選択されてしまったにすぎないものであることは、明らかである。
したがって、かように不当な意図をもってなされた濫用的請求である本請求は、全く理由がない。
3.本件商標権者保護の必要性
(1)商標権の取引秩序の保護
平穏に作出された外観を信頼した第三者を保護すべきであることは、全ての民事法の基本法である民法においても明確に示されているところであり(民法94条2項)、法解釈の基本精神である。
本件においては、渋谷クレモナと銀座クレモナの錯誤によって住所変更手続がなされ、結果として、商標登録原簿によって公示され、銀座クレモナが商標権者である外観が作出されている。
そして、かかる外観を、当事者のみならず、請求人もまた信じて、その使用許諾を受ける等の取引関係に入っているのである。
このようにして形成された「銀座クレモナの商標権」を前提とする権利関係を基に、九州クレモナは、銀座クレモナが権利者であると信頼して本件商標権を適法な手続で譲り受けたのである。
このように、外観に従った権利関係が構築されている以上、それに基づいて形成された権利関係もまた、商標権に対する信頼の確保及び商標権の財産的価値の完遂(譲渡性の確保)という観点から、十分に保護されるべきであることはいうまでもない。
このような経緯に鑑みれば、九州クレモナは、善意の第三者として保護に値するのである。
(2)本件請求の不当性
このような善意の第三者である九州クレモナの保護の必要性と、一方で、禁反言の原則に違反して、自らの商標権侵害行為の責任を免れる目的で本請求を行っている請求人との均衡の観点からも、本件請求は認められるべきではない。
(3)結論
以上のとおり、本件商標は、無効とされるべきものではない。

第4 当審の判断
1.請求の利益
商標登録の無効審判を請求し得る者は、法律上の利益を有することを要するものと解されるところ、請求人に対し、被請求人から「請求人の業務に係る商品を販売する行為は本件商標権を侵害する違法な行為であり、差し止め請求及び損害賠償請求を免れない」旨の平成17年11月21日付けの警告書が送付されている。そして、その後、紛争は該警告書送付以降も継続していると認められるものである(甲第9ないし第12号証及び乙第6号証)。
したがって、本件商標に登録無効の事由が存するかどうかは、該紛争の消長に影響を及ぼすものというべきであるから、請求人は、本件審判請求について法律上の正当な利益を有するものと判断するのが相当である。
なお、被請求人は、商標法第46条第1項第3号を無効理由とする無効審判について求められる利害関係は、本来保護すべき登録出願人としての地位を有することが求められる旨主張する。
しかしながら、上記主張はその法的根拠に乏しく、請求人が差し止め、損害賠償請求等されていること前記のとおりであるから、これらの事実をもって請求人は請求の利益を有すると解すべきであり、よって、上記被請求人の主張は採用できない。
2.登録出願人及び商標権者
請求人が本件商標登録の無効事由として主張する商標法第46条第1項第3号は、「その商標登録がその商標登録出願により生じた権利を承継しない者の商標登録出願に対してされたとき」と規定している。
そこで、本件商標についてみるに、本件商標の登録出願(以下「本願」という。)は、平成14年10月7日にされ、登録出願人は、渋谷クレモナ「東京都渋谷区千駄ヶ谷5丁目29番7号第一ドルミ御苑4F」(特許庁への届出住所「東京都渋谷区千駄ヶ谷5丁目29番7-403」)所在の「株式会社クレモナ」である(甲第3号証)。
そして、渋谷クレモナは、平成14年11月25日付けで「東京都中央区銀座3丁目14番16号第2ミズホビル7F」に住所を変更する住所変更届(甲第4号証)を提出している。
本願の登録査定日は、平成15年5月7日であるところ、登録出願日以降、登録査定日までの間、上記住所変更届の提出を除き、登録出願人名義変更届などの書類は何ら提出されていない。
そうとすれば、本願についての登録査定は、渋谷クレモナに対してなされたものといわなければならず、この間、登録出願人名義変更届等の権利を承継するような手続きは何らなされていないものであるから、商標法第46条第1項第3号でいう「権利を承継しない者の商標登録出願に対して(その商標登録)がなされた」との構成要件を欠くものといわなければならない。
なお、請求人は、商標権者の住所が「東京都中央区銀座3丁目14番16号第2ミズホビル7F」であり、これは、銀座クレモナの住所と同一であること、渋谷クレモナの名称が登録査定前の平成15年1月11日に「株式会社クレモナジャパン」に変更されたにもかかわらず、商標権者は渋谷クレモナであり、住所も銀座クレモナと同一であることから、住所変更手続をもって銀座クレモナに名義変更手続をしたものというべきであり、権利を承継しない者の登録出願人に商標登録がなされたものである旨主張している。
これに対し、被請求人は、登録出願人(渋谷クレモナ)から銀座クレモナに住所変更手続がされた時点で、登録出願人と銀座クレモナとの間に、完全に有効に登録出願人としての地位を移転する意思が存在したことは明らかであり、単に当事者がその移転手続の選択を誤ったにすぎない旨述べている。
そこで判断するに、甲各号証によれば、本件商標の商標権者の住所及び名称は、銀座クレモナの住所及び名称と合致することを認めることができるが、登録出願人名義変更届が提出されていない以上、両当事者の意思やその主張及びその実質的な権利関係の如何にかかわらず、出願人が登録出願の時から登録査定までの間に登録出願により生じた権利が他人に承継されたということはできないものといわなければならない。
してみれば、本願の登録査定は、登録出願人である渋谷クレモナに対してされたものというべきであり、商標法第46条第1項第3号に規定する「その商標登録がその商標登録出願により生じた権利を承継しない者の商標登録出願に対してされたとき」に該当しないものと判断するのが相当である。
3.以上のとおり、本件商標は、商標法第46条第1項第3号に該当するものではないから、その登録を無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2006-11-01 
結審通知日 2006-11-07 
審決日 2006-12-22 
出願番号 商願2002-84950(T2002-84950) 
審決分類 T 1 11・ 6- Y (Y11)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 齋藤 貴博 
特許庁審判長 山田 清治
特許庁審判官 久我 敬史
小林 和男
登録日 2003-06-20 
登録番号 商標登録第4684210号(T4684210) 
商標の称呼 エコブライター 
代理人 田中 雅敏 
代理人 新井 信昭 
代理人 有吉 修一朗 
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