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審決分類 |
審判 査定不服 商64条防護標章 登録しない Y3235 |
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管理番号 | 1153787 |
審判番号 | 不服2005-20014 |
総通号数 | 88 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2007-04-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2005-10-17 |
確定日 | 2007-02-21 |
事件の表示 | 商願2004-113935拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 本願標章 本願標章は、「Enoteca」の欧文字を書してなり、第32類「ビール,清涼飲料,果実飲料,飲料用野菜ジュース,乳清飲料,ピール製造用ホップエキス」及び第35類「広告,トレーディングスタンプの発行,経営の診断又は経営に関する助言,市場調査,商品の販売に関する情報の提供,ホテルの事業の管理,求人情報の提供,職業のあっせん,競売の運営,輸出入に関する事務の代理又は代行,新聞の予約購読の取次ぎ,書類の複製,速記,電子計算機・タイプライター・テレックス又はこれらに準ずる事務用機器の操作,筆耕,文書又は磁気テープのファイリング,建築物における来訪者の受付及び案内,広告用具の貸与,タイプライター・複写機及びワードプロセッサの貸与,自動販売機の貸与」を指定商品及び指定役務とし、登録第1860159号商標(以下「原登録商標」という。)に係る防護標章登録出願として、平成16年12月14日に登録出願されたものである。その後、指定商品について、同17年7月20日付手続補正書により、第32類「清涼飲料,果実飲料,飲料用野菜ジュース,乳清飲料,ビール製造用ホップエキス」と補正されたものである。 そして、原登録商標は、本願標章と同一の構成よりなり、昭和59年4月16日に登録出願、第28類「酒類(薬用酒を除く)」を指定商品として、同61年5月30日に設定登録されたものである。 第2 原査定の拒絶の理由 原査定は、「本願標章は、他人がこれを本願指定商品・指定役務について使用しても、その出所について混同を生ずるおそれがあるとまではいうことができない。したがって、本願標章は、商標法第64条の要件を具備しない。」旨認定、判断して、その出願を拒絶したものである。 第3 当審の判断 1 本願標章と原登録商標との一致について 本願標章と原登録商標とが同一のものであること、同じく本願出願人と原登録商標の商標権者が同一人であることは、出願書類及び商標登録原簿の記載に照らし、これを認めることができる。 2 原登録商標の著名の程度について (1)請求人の提出した資料を総合すると、以下の事実が認められる。 (ア)請求人は、ワインの輸入販売、卸売、小売(ワインショップ)、カフェの経営を事業内容として昭和63年8月創業し、以来その事業活動により、わが国のワイン専門輸入商社として、ワインの輸入、卸し会社としての地位を築き、今日においては、ワインの輸入、販売をはじめとして、直営店のワインショップ経営、ワインの通信販売、ワイン商品の開発・選定、ワイン文化と知識の普及などの事業を行い、その事業活動の拠点も、2005年には17店舗のワインショップを展開し、国内の主要都市に拡大していることが認められる。 (イ)請求人の取扱いに係るワインは、ボルドー・ブルゴーニュを含むフランス各地はもちろんのこと、イタリア、チリ、アルゼンチン、カリフォルニア、スペイン、ポルトガル等、世界各地から多岐にわたる豊富なワインを輸入、販売しており、これらに「ENOTECA」の商標(以下「使用商標」という。)を使用している。 (ウ)使用商標は、請求人の取扱い係る商品「ワイン」の輸入販売、卸売、小売(ワインショップ)について、1989年7月頃に使用許諾契約の締結に伴い使用を開始し、その正味売上高は、平成16年3月期実績で約69億円に達している。 (エ)請求人の取扱いに係る商品「ワイン」は、近年人気の高まっている嗜好品であり、一般の需要者を対象とした商品である。 (2)使用商標は、請求人の取扱いに係る商品「ワイン」の輸入販売、卸売、小売(ワインショップ)を表示するものとして、1989頃より使用されている商標であり、該商品は、発売当初の売り上げはともかく、「ワイン」を取り扱う分野においては、認識されていたものと認め得るところである。 しかしながら、使用商標は、請求人の取扱に係る商品「ワイン」の輸入販売、卸売、小売(ワインショップ)のみに使用されている商標である。 また、使用商標は、「ENOTECA」であるところ、原登録商標は「Enoteca」であるから、原登録商標とはその態様を異にするものであるが、「Enoteca」と「ENOTECA」とは、その欧文字による綴り字の最初がともに大文字の「E」であり、その余の綴り字も小文字と大文字の違いのみであること、そのため、そのいずれも「エノテカ」又は「エノテーカ」という同一の称呼を生ずるものであって、また、その書体も、両者とも通常のゴシック体を用いたものであり、その点においても小文字と大文字以外の違いがないこと等を考慮するならば、原登録商標「Enoteca」と使用商標「ENOTECA」とは、これに接する取引者、需要者において必ずしも容易に区別しうるものではないというべきであって、本件における使用商標の同一性の面からみるならば、「Enoteca」と「ENOTECA」とは同一性を有するものというべきではあるが、それをもって、原登録商標である「Enoteca」が著名性を有するに至ったものと直ちにいうことはできない。 さらに、請求人の宣伝、広告の方法においても、会員誌「TERROIR」、ワインセミナーの開催、クラブエノテカの運営、各種イベントの開催、新聞・雑誌への紹介、掲載記事等を通じて会員及びワイン愛好者に直接訴えかけていることが認められるにすぎず、原登録商標が一般の需要者の間に広く認識されていたと直ちに認めることもできない。 そうすると、上記した事情を勘案すれば、原登録商標の周知、著名の程度は、極めて限定された範囲におけるものといわざるを得ない。 3 出所の混同のおそれについて 他人が原登録商標と同一の構成からなる本願標章を本願の指定商品及び指定役務について使用した場合、需要者が、請求人の取扱いに係る商品及び役務と混同を生ずるおそれがあるか否かについて判断するに、商標法第64条第1項においていう「混同のおそれ」を判断するに当たっては、原登録商標自体とその商標の著名の程度、防護標章登録出願に係る指定商品・指定役務の属する分野における需要者の注意力の程度、当該商品・役務の取引の実情等に照らし、出所の混同のおそれの有無を総合的に判断すべきものと解される。 これを本件についてみるに、原登録商標を使用している商品は、一般需要者を対象とした商品ではあるが、使用商標は、請求人の取扱いに係る商品「ワイン」の輸入販売、卸売、小売(ワインショップ)のみに使用されている商標であるから、その著名性は、一定の限界があるといわなければならない。 そして、本願標章の指定商品及び指定役務は、その大部分において、原登録商標を使用した「酒類(薬用酒を除く)」とは、その用途、取引系統、販売場所、需要者層等において異なるものである。(酒類は酒税法に基づく製造、販売の免許が必要であり、飲料とは必ずしも、取引系統、販売場所、需要者を同一にするものとはいえない。) 加えて、使用商標「ENOTECA」及び原登録商標「Enoteca」の文字は、「エノテカ」又は「エノテーカ」という称呼を生ずるイタリア語であり、「ワイン専門店、ワイン販売店、ワインを楽しめる飲食業、ワインバー、ワインを主体としたレストラン」等の飲食店の種類ないし性格を意味する語であって、飲食店の種類ないし性格を意味する普通名詞として使用されており、我が国においても、「ENOTECA」「Enoteca」「エノテカ」「エノテーカ」」という語を含む飲食店が少なからず存在することが認められ、格別独創性のあるもの(語)ではない。 してみれば、請求人が経営の多角化を展開している状況にあることを考慮しても、他人が原登録商標と同一の構成からなる本願標章を本願指定商品及び指定役務について使用しても、該商品及び役務が請求人の取扱いに係る商品及び役務であるかのように、その出所について混同を生じさせるおそれがあるということはできない。 4 結び 以上のとおりであるから、本願標章が商標法第64条に規定する要件を具備しないものとして、本願を拒絶した原査定は妥当であり、これを取り消すことはできない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲(1)本願標章及び原登録商標![]() 別掲(2)使用商標 ![]() |
審理終結日 | 2006-12-11 |
結審通知日 | 2006-12-15 |
審決日 | 2006-12-26 |
出願番号 | 商願2004-113935(T2004-113935) |
審決分類 |
T
1
8・
8-
Z
(Y3235)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 山田 和彦 |
特許庁審判長 |
山田 清治 |
特許庁審判官 |
小林 和男 堀内 仁子 |
商標の称呼 | エノテカ |
代理人 | 竹原 隆信 |