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審決分類 審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない Y39
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない Y39
管理番号 1152104 
審判番号 不服2005-5251 
総通号数 87 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2007-03-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-02-25 
確定日 2007-02-16 
事件の表示 商願2003-117110拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、別掲のとおり、「介護タクシー」の文字を横書きしてなり、第39類に属する願書記載のとおりの役務を指定役務として、平成15年12月25日に登録出願されたものである。そして、指定役務については、当審における同17年2月25日付け手続補正書により、第39類「タクシーによる輸送,車椅子の貸与」に補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要旨
原査定は、「本願商標は、介護資格を持つ運転手が高齢者や身障者などの要介護者の介助などを行いながら送迎をするタクシーを指称する語である『介護タクシー』の文字を普通に用いられる方法で書してなるから、これをその指定役務中、上記タクシーによる輸送及びその送迎時に用いる車椅子の貸与といった役務に使用しても、その役務の質、内容を表示したものと理解されるにとどまるものである。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記役務以外の役務に使用するときは、役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるので、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
本願商標は、上記のとおりの構成よりなるところ、該構成文字中の「介護」の文字は「高齢者・病人などを介抱し、日常生活を助けること。」(岩波書店「広辞苑第5版」433頁)、また、「タクシー」の文字は「街中などで求めに応じて目的地まで客を乗せ、所定の料金を取る営業用自動車」(同1635頁)の意味合いを持つ語としてそれぞれ一般に理解、認識されており、かつ、「介護タクシー」の文字も、「訪問介護事業所の指定を受けたタクシー会社がホームヘルパーの資格のある運転手により移送と乗降介助等を行うタクシー。」(集英社「イミダス’05」638頁)、「ホームヘルパーなどの資格をもったタクシー運転手(ケアドライバー等とよぶ)が、高齢者や身障者などの介助などを行いながら送迎を行うサービス。」(自由国民社「現代用語の基礎知識2005」897頁)、「運転手がヘルパーの資格を持ち、介護保険の訪問介護事業者の指定を受けたタクシー。」(朝日新聞社「知恵蔵2006」423頁)と掲載されているように、一般的には、原査定で認定のとおり、「介護資格を持つ運転手が高齢者や身障者などの要介護者の介助などを行いながら送迎をするタクシー」と認識されているとするのが相当である。
これらについては、例えば、以下の新聞記事やインターネット情報などからも裏付けられるものであり、また、当審において、請求人が平成17年2月25日付けで提出した物件である「奈良テレビ 2001年2月26日放映されたVTRテープ」において、テレビキャスターが「車両に車椅子用のリフトがついていて、運転手がヘルパー2級などの資格を持っている場合は『介護タクシー』、資格を持っていない場合は『福祉タクシー』といいます。また、介護報酬が適用されるかどうかの違いもあります。」と説明している内容とも一致するものである。

(1)新聞記事例
ア)読売新聞 2004年5月7日 西部朝刊 32頁
「介護タクシーで高齢者に食事配達 宮崎市で全国初のサービス開始=宮崎」のタイトルの下、
「・・介護タクシーは、ホームヘルパーの資格を持った運転手が、利用者の自宅ベッドから病院まで付き添うなどのサービスを行うもの。・・」との記載がある。

イ)朝日新聞 2003年12月25日 大阪地方版/京都 26頁 京都版
「『報酬不正請求の返還を』介護タクシーに要求 府内で初/京都」のタイトルの下、
「・・介護タクシーはヘルパー資格を持つ運転手が通院の送迎や乗降介助などをする。・・」との記載がある。

ウ)毎日新聞 2003年3月12日 西部朝刊 23頁
「きょうにも許可取り消し・・・介護タクシー継続宣言--福岡・岡垣町の『メディス』」のタイトルの下、
「・・介護タクシーは、ホームヘルパーなどの資格を持ったタクシー運転手が、高齢者や身障者などの介助をしながら送迎するサービス。・・」との記載がある。

エ)読売新聞 2003年1月22日 東京朝刊 34頁
「介護タクシー、運賃どうなる?4月から報酬減額で対応に頭悩ます各社=多摩」のタイトルの下、
「・・介護タクシーは、介護保険の訪問介護事業者の指定を受けたタクシー会社が、ヘルパーなどの資格を持つ運転手に利用者の乗り降りなどを手伝わせ、通院などに利用してもらうサービス。・・」との記載がある。

オ)朝日新聞 2003年1月15日 東京地方版/山梨 35頁 山梨版
「介護タクシーが人気 定期利用者は60人 予約でいっぱい/山梨」のタイトルの下、
「・・介護タクシーはホームヘルパーの資格を持つ運転手が『身体介護型の訪問介護』としてお年寄りの乗り降りを助けながら、病院まで送迎するサービス。・・」との記載がある。

カ)朝日新聞 2002年11月26日 東京地方版/栃木 35頁 栃木版
「介護タクシーサービス導入、来年4月に先延ばし 鹿沼市/栃木」のタイトルの下、
「・・介護タクシーは、ホームヘルパーの資格を持つ運転手が高齢者の通院を手助けするサービス。・・」との記載がある。

キ)朝日新聞 2002年11月21日 大阪地方版/徳島 24頁 徳島版
「利用者に好評、介護タクシー(徳島TODAY)/徳島」のタイトルの下、
「・・介護タクシーは、ホームヘルパー2級など介護の資格を取得した運転手が乗務し、通院介護が必要で介護認定を受けた人を対象に、病院などに運ぶ。・・」との記載がある。

(2)インターネット検索情報例
ク)キングタクシーホームページ
http://www.kingtaxi.co.jp/kaigo1.htm
「・・介護タクシーの内容 介護タクシーとは、介護を必要とする方々への移動手段を提供するものとして生まれた新しいサービスです。介護タクシーの乗務員は、利用者の各種ご要望にお応えする為にホームヘルパー2級以上の資格を取得しており、安心できるサービスをご提供します。サービスの内容は、タクシーの乗降を介助する乗降介助や、買い物や病院などの付き添いを行う買物介助・身体介護、おひとりでは身の回りのことをすることが困難な人の為に着替え、排泄のお手伝い、食事、洗濯、掃除等を行う生活援助などがあり、優秀なスタッフがこれに対応します。・・」との記載がある。

ケ)株式会社介護JAPANホームページ
http://kaigo-taxi.style-j.net/index.html
「・・介護タクシーとは、介護や補助が必要な高齢者や身体障害者の方が外出される時に、車椅子や自宅のベッドからの乗降など、いろいろな介助をするタクシーのことです。介護タクシーの運転手はホームヘルパーの資格を持つ者に限られていますので、安心して利用することができます。・・」との記載がある。

コ)日タク介護タクシーのホームページ
http://www.nippontaxi-grp.co.jp/fukushi/fukushi.html
「・・介護タクシーとは・・・今まで一人歩きが不安で家に閉じこもりがちだった高齢者の方や、障害をお持ちの方に、介護乗務員がお手伝いをして安心して外出して頂く為のサービスです。
◎ ホームヘルパー2級の資格を取得した介護乗務員があなたの外出のお手伝いを致します・・」との記載がある。

サ)2002年7月28日四国新聞掲載記事
http://www.shikoku-np.co.jp/feature/tuiseki/180/index.htm
「・・介護タクシーとは 介護保険制度の訪問介護事業者に指定されたタクシー会社で、ヘルパーの資格を持つ運転手が要介護認定者を対象に、通院の際のタクシーの乗降・外出介助などを行う。・・」との記載がある。

シ)国土交通省ホームページより「交通政策審議会陸上交通分科会自動車交通部会タクシーサービスの将来ビジョン小委員会報告書 ?総合生活移動産業への転換を目指して? 平成18年7月」4頁
http://www.mlit.go.jp/kisha/kisha06/09/090707/01.pdf
「・・ホームヘルパーの資格等を取得したタクシー乗務員が必要な介護とともに身体障害者・高齢者の外出をサポートする介護タクシーなども普及しつつある。・・」との記載がある。

してみれば、「介護タクシー」の文字よりなる本願商標は、これをその指定役務中「高齢者や身障者などの要介護者の介助などを行いながら送迎をするタクシーによる輸送及びその送迎時に用いる車椅子の貸与」に使用するときは、これに接する取引者、需要者は、単に役務の質、内容を表示したものと理解するにとどまるものであり、よって自他役務の識別標識としての機能を果たし得ない。
また、これを上記に照応する役務以外の役務に使用するときは、役務の質の誤認を生ずるおそれがあるといわなければならない。
なお、請求人は、原査定において認定した「介護タクシー」の意味合いは、あくまでも法令上の語意であり、法令の改廃により、その意味は変更するものであるとして、原査定の認定を論難し、また、請求人の業務に係る「介護タクシー」は2人乗務(運転手と介護者からなる)の本格的介護タクシーであることを主張する。
請求人が主張せんとするところは、本願商標の自他役務の識別力との関係上、必ずしも明瞭ではないが、これについて検討するに、「介護タクシー」の用語自体は、法令上特段の定義規定が存在するものではなく、「介護タクシー」の取扱いについては、タクシー事業を所管する国土交通省及び介護保険を所管する厚生労働省のそれぞれにおいて、時宜に応じて種々の通達等が発せられているところである。そして、介護タクシー事業の許認可(正式には「一般常用旅客自動車運送事業(患者等輸送事業限定)経営許可」)については、各地方運輸局単位で申請・許可の手続きがなされ、各局毎に審査基準を設けていることが認められる(国土交通省関東運輸局の介護タクシー許可に関する審査基準のサイトhttp://www.ktt.mlit.go.jp/jidou_koutu/tabi2/data/001_h_kijyun_1803.pdf、同中部運輸局の関係サイトhttp://www.mlit.go.jp/chubu/jidosya/kannjya/kannjya_kihon_kouji.pdf、同近畿運輸局の関係サイトhttp://www.kkt.mlit.go.jp/koutsu/taxi/kouji.pdf等参照)。
これらに記載された申請手続きや審査基準等によれば、介護タクシーの事業許可を得るには、事業用自動車は車椅子等の乗降を容易にするための装置を設けたものであることが課されているが、乗務員が介護福祉士やホームヘルパーの資格を有していることは必ずしも要件とはされていないものの、セダン型の一般車両の場合は乗務員が有資格者であることが課せられている事実が認められる。上記のように、介護タクシーに関する多くの新聞記事、インターネット情報において、運転手が有資格者であることが説明されているのは、取引業界においては事実上、そのようなタクシーが多いことによるものと推定される。そして、いずれにしても、請求人が実際に業務を行っているとする2人乗務の介護タクシーも、事業許可にあたって所定の要件を備えるべきことでは、運転手のみ1人乗務の介護タクシーと同様であり、運転手と介護者の2人の乗務体制にするということは、単に提供する役務の質をより高めるための一手段・方法ではあろうが、そのことと請求人に本願商標の登録、独占使用を認めるべき理由とは全く別問題である。
また、請求人は、物件(1.広告用チラシ、2.許認可の写し、3.奈良テレビVTRテープ)を提出し、本願商標は商標法第3条2項に基づき登録されるべきことを主張する。
しかしながら、これら資料において使用されている「介護タクシー」の表示は、当該業務の内容を説明するためのいわば記述的な表示にすぎず、請求人の商標としての使用ということはできない。これら資料において、請求人が商標として使用していると思しきものは「ライサポタクシー」、「ライサポTAXI」の文字ないしは、3人が乗車したミニバン型タクシーの図形と「介護タクシー」の文字が結合した表示であり、いずれも、本願商標とは構成態様を全く異にするものである。したがって、請求人の、商標法第3条第2項の主張は認められない。
更に、請求人は、請求人の所有に係る登録第4827516号及び同第4752348号商標を例にあげているが、これらはいずれも、上記のとおり、3人が乗車したミニバン型タクシーの図形と「介護タクシー」の文字が結合した構成からなる商標であり、本願商標とは構成、態様を異にするものであるから、上記判断を左右するものではない。
以上のとおり、請求人の主張はいずれも採用できないものであり、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとした原査定は妥当なものであって、取り消すことはできない。
よって、結論の通り審決する。
別掲 別掲(本願商標)





審理終結日 2006-08-02 
結審通知日 2006-08-11 
審決日 2006-08-22 
出願番号 商願2003-117110(T2003-117110) 
審決分類 T 1 8・ 272- Z (Y39)
T 1 8・ 13- Z (Y39)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 薩摩 純一 
特許庁審判長 中村 謙三
特許庁審判官 久我 敬史
青木 博文
商標の称呼 カイゴタクシー、カイゴ 

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