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審決分類 審判 査定不服 商6条一商標一出願 登録しない Y10
審判 査定不服 商3条1項5号 簡単でありふれたもの 登録しない Y10
管理番号 1148248 
審判番号 不服2005-1727 
総通号数 85 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2007-01-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-02-02 
確定日 2006-11-09 
事件の表示 商願2003-75575拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、別掲のとおりの構成よりなり、第10類「注射器,歯科用充填注射器用具,プランジャー,チューブ,プラグその他の医療用機械器具」を指定商品として、平成15年9月2日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由
原査定は、要旨以下のとおり認定、判断し、本願を拒絶したものである。
(1)本願商標は、ありふれた白抜きの四角形中に「C-R」の文字を普通に用いられる方法で表してなるものである。しかし、該文字は商品の品番、型式等を表示する記号、符号として用いられるローマ文字2字を「-」で連結したものの一類型として認識されるものである。そうすると、これを本願指定商品に使用しても、極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなる商標と認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第5号に該当する。また、出願人は、意見書において、本願商標が指定商品の分野において、特定人の商標として取引者間において広く知られている旨主張し、手続補足書において甲第1号証ないし甲第12号証(枝番を含む。)を提出しているが、出願された商標と証明書に表示された商標とが同一のものとは認められず、また、使用開始時期、使用期間、取引範囲等未だ明確とはいえないから、この程度の証拠をもってしては、本願商標は、その指定商品に使用された結果、需要者をして出願人の業務に係る商品であることを認識させるに至っているものということができない。
(2)本願商標に係る指定商品中「歯科用充填注射器用具,プラグその他の医療用機械器具」は、その内容及び範囲を明確に指定したものとは認められない。したがって、本願商標は、商標法第6条第1項の要件を具備しない。
(3)本願商標に係る指定商品中「プランジャー,チューブ」は、その内容及び範囲を明確に指定したものとは認められない。そのため、この本願は、政令で定める商品及び役務の区分に従って第10類の商品を指定したものと認めることもできない。したがって、本願商標は、商標法第6条第1項及び第2項の要件を具備しない。

3 当審の判断
本願商標は、別掲のとおりの構成(以下、「C-R」という。)よりなるところ、医療用機械器具を取り扱う業界をはじめ各種産業分野においてその事業者が自己の製造・販売に係る商品について、ローマ文字の1文字ないし2文字よりなる標章を、単独であるいは数字などと「-(ハイフン)」等を用いて結合して、当該商品の種別、規格又は品番を表示するための記号、符号として普通に採択使用しているものである。そうしてみると、「C-R」の文字よりなる本願商標に接する需要者、取引者は、単に商品の種別、規格又は品番等を表すための記号、符号等の類型の一つとして認識し理解するにとどまるというを相当とし、極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなる商標といわざるを得ない。
請求人は、「本願商標は、その指定商品『歯科用注入器具、歯科用注入器具用プランジャー、チューブ及びプラグ、その他の医療機械器具』について他人の同種商品とを識別するために採択された商標であり、日本国内に於ては本件審判請求人による使用の外、他人によって同種商品について使用されている事実は全くなく、且つ、商品の混同も来していない。即ち、本願商標の指定商品に関してありふれた標章として使用されている事実は全くなく、本件審判請求人の標識として認識されている。」旨主張する。
しかしながら、医療用機械器具を取り扱う業界においては、たとえば下記(1)ないし(10)のように医療用機器の製品名にローマ文字の1文字若しくは2文字又は数字をハイフンを介して組み合わせた記号を採用することが普通に行われていることから、本願商標においても、その一類型と認識されるものというのが相当であるから、この点に関する請求人の主張は採用できない。
(1)「歯科用回転装置およびハンドピース」の項、「歯科用回転切削電機駆動装置およびハンドピース」の「一般仕様および概算価格帯≪歯科用マイクロモーター≫」中に、機種名称として「オサダマイクロエンジン HL-C ME-36」、「オサダ BL-30G」、「ポータブルモーターPM-I」等の記載がある。(産業調査会 事典出版センター発行 医療機器事典2002年12月10日初版第1刷)
(2)「一般X線撮影装置」の項、「可動絞り」の「一般的仕様および概算価格帯」中に、機種名称として「R-20」「TF-6TL」「ZU-L3TG」の記載がある。(産業調査会 事典出版センター発行 医療機器事典2002年12月10日初版第1刷)
(3)「一般X線撮影装置」の項、「撮影台」の「一般的仕様および概算価格帯」中に、機種名称として「DT-BT-10」「BK-120M」「BK-12H」等の記載がある。(産業調査会 事典出版センター発行 医療機器事典2002年12月10日初版第1刷)
(4)「人工肝臓および血液浄化」の項、「多人数用透析液供給装置」の「一般的仕様および概算価格帯」中に、機種名称として「TC-B」「BC-ピュアラー01」等の記載がある。(産業調査会 事典出版センター発行 医療機器事典2002年12月10日初版第1刷)
(5)株式会社モリタのホームページに新製品情報として、歯科小窩裂溝封鎖材「ティースメイトF-1 2.0」、歯科用ファイル(ニッケルチタンファイルCA用)「エンドウェーブET」、「オペレーティングスツールJ-E」、「鋭匙 MS」、「カーバー MS」、「持針器 MS-150」「歯肉バサミ MS-130M」等の記載がある(http://www.dental-plaza.com/members-club/internet_do/newpro.asp)。
(6)松下電器産業株式会社のホームページのナショナル商品一覧中の血圧計の項目に「手くび血圧計 EW3037P」「手くび血圧計EW3035P」「上腕血圧計EW3122」等の記載がある(http://ctlg.national.jp/product/lineup.do?pg=03&scd=00003914)。
(7)テルモ株式会社のホームページの商品紹介中の体温計の項目に「テルモ体温計C220」「テルモ電子体温計ET-C250P」等の記載がある(http://www.terumo.co.jp/healthcare/products_ippan/index.html)。また、血圧計の項目に「テルモ電子血圧計ES-P2100」「テルモ電子血圧計ES-P302」等の記載がある(http://www.terumo.co.jp/healthcare/products_ketsuatsu/index.html)。
(8)シチズン・システムズ株式会社のホームページに健康機器の商品説明として体温計の項目に「CT-412」「CT-755WH」等の記載がある(http://www.citizen-systems.co.jp/electronic/health/health01.html)。また、デジタル体重計の項目に「HM2000」「HM3000」、体脂肪計の項目に「BM100」の記載がある(http://www.citizen-systems.co.jp/electronic/health/health03.html#taijyu)。
(9)オムロンヘルスケア株式会社のホームページの商品カタログ中の治療機器の項目に「オムロン低周波治療器 ぐっと楽 HV-F3000」「エレパルス HV-F127」等の記載がある(http://www.healthcare.omron.co.jp/product/hvf_index.html#a)。また、医療用ネブライザの項目に「オムロンメッシュ式ネブライザ NE-U22」「オムロン超音波式ネブライザNE-U07」等の記載がある(http://www.healthcare.omron.co.jp/product/m_neu_index.html)。
(10)キャノン株式会社のホームページの医療機器製品情報中の眼底カメラ・測定器の項目に「無散瞳眼底カメラ」として「CR-DG10」「CR-DGi」等の記載がある(http://www.canon-sales.co.jp/indtech/medical/cr/index.html)。また、「フルオートレフ R-F10」の記載がある(http://www.canon-sales.co.jp/indtech/medical/r-f10.html)。
また、請求人は米国において、本願商標と同一の商標を本願商標の指定商品と同一の商品について1971年5月13日付けで米国特許庁に出願し、1973年1月9日付けで商標登録がなされ現在に至っている事をもって、日本国においても登録が認められるべきである旨主張する。しかし、いかなる商標が自他商品(役務)識別力を有するか否かの判断は、各国の法制度、判断基準に任せられているものであり、外国の登録をもって直ちに日本国において登録されるものではないことは明らかであるから、この点に関する請求人の主張は採用できない。
さらに、請求人は、日本国内において、本願商標を付した注射器等の商品が広く販売され、現在においては、本願商標は特定人の商標として取引者間において広く記憶されるに至っている事実を証明するものであるとして、原審において、甲第2号証ないし甲第12号証(枝番号を含む。)を提出し、当審において、甲第6号証ないし甲第20号証(枝番号を含む。)を提出して、「本件商標を付した指定商品は、日本国内において本件審判請求人の日本国における独占販売権を有する株式会社モリタによって長年に及んで販売されてきており、少なくとも現在においては歯科器材関連の取引市場における需要者が何人かの業務にかかる商品であると認識できることは之等各証拠の評価によって明白である。」旨主張する。
ところで、使用により識別力を有するに至った商標として登録が認められるのは、その商標と同一の商標及びその商標を使用していた商品と同一の商品に関する場合のみであって、その商標が使用により識別力を有するに至ったかどうかは、実際に使用している商標並びに商品、使用開始時期及び使用期間、使用地域、当該商品の生産若しくは譲渡の数量又は営業の規模、広告宣伝の方法、回数及び内容等を総合勘案して判断するものとしている。
そして、前記の事実は、例えば、仕切伝票及び納入伝票等、広告宣伝等が掲載された印刷物、商標が使用されていることを明示する写真等、広告業者等の証明書、同業者の証明書、商品の取引先の証明書及び公的機関等の証明書等のような証拠方法によるものとされている。
そこで、請求人提出の証拠について以下検討する。
1)原審において提出された甲各号証のうち、本願商標「C-R」の文字が含まれているもの。
(ア)甲第8号証の2、広告(日付不明)に「C-R SYRINGE」の記載がある。
(イ)甲第8号証の3、DentalMagazineのコピー(日付不明)に「C-Rシリンジ用ノズル」の記載がある。
(ウ)甲第8号証の4、広告のコピー(1990年2月21日から3月20日)に、スプリングセールの見出しのもと、「CENTRIX C-R SYRINGE」の記載がある。
(エ)甲第8号証の5、広告のコピー(2000年7月21日から9月20日)に、新発売記念セールの見出しのもと、「C-R シリンジ マークIIIE-Z」「C-Rシリンジ用ノズルレギュラータイプ500個入」の記載がある。
(オ)甲第8号証の6、キャンペーン広告のコピー(2000年11月21日から12月31日)に、「C-Rシリンジの補充用チップ」の記載がある。
(カ)甲第8号証の7、広告のコピー(2002年7月)に、「C-Rシリンジ用ノズル」「C-Rシリンジ用 マークIIIE-Z」の記載がある。
(キ)甲第9号証、モリタの総合カタログ(1992年版)に、「C-RシリンジマークI」「C-RシリンジマークII」「C-Rシリンジ用ノズル ニードルチューブ」「C-Rシリンジ用ノズル ブラックチューブ」等の記載がある。
(ク)甲第10号証の2、DentalMagazine39(昭和57年10月株式会社モリタ発行)に、「C-R SYRINGE」の記載がある。
(ケ)甲第10号証の3、DentalMagazine49(昭和60年4月株式会社モリタ発行)に、「C-R シリンジ」「C-Rラージノズル」「C-Rブラックチューブ」「C-Rカラーコードキャップ」の記載がある。
(コ)甲第10号証の4、DentalMagazine66(1989年夏、株式会社モリタ発行)に、「CENTRIX C-R SYRINGE MARKlllp」の記載がある。
2)当審において提出された甲各号証のうち、本願商標「C-R」の文字が含まれているもの。
(ア)甲第11号証、モリタの総合カタログ(1989年版)に、「C-Rシリンジノズル レギュラー」「C-Rシリンジノズル ラージタイプ」「C-Rシリンジ ブラックチューブ」「C-Rシリンジ グレーチューブ」の記載がある。
上記1)及び2)によれば、本願商標「C-R」の文字を単独で使用している事実は見当たらず、主に「シリンジ」、「シリンジノズル」及び「シリンジ用」の文字と共に使用されている。そして、本願商標「C-R」の文字を含む商標を使用している商品は、本願指定商品中の「歯科用充填注射器用具」とその部品又は附属品である「歯科用充填注射器用具用のプランジャー、チューブ及びプラグ」であって、その他の本願指定商品については使用していないことは明らかである。
また、原審において提出された甲第5号証の1によれば、1980年12月の契約書において、株式会社モリタの当初1年間の「CR Syringe MarkI+MarkIII」の購入目標数量は3000Kitsとなっている事実は認められるが、実際の販売数量については不明である。
次に、原審において提出された甲第6号証は、平成16年9月9日付けの意見書によれば、「セントリックス、インコーポレーテッドの商品、特にC-Rノズルの年間取引高のコピー」であると説明されているが、当該コピーのどこにも「C-R」の文字は発見できず、いずれの需要者に販売されたものであるかも不明である。
さらに、原審において提出された甲第7号証は、株式会社モリタから株式会社アデントへの納品書のコピーであると認められるが、商品の取引の数量を示す書類はこの1点のみであって、その数量も「CRシリンジ用ノズルレギュラタイプ100入り」10個、「CRシリンジ用ノズルレギュラタイプ500入り」30個であり、この書類のみで相当量販売された事実を証するものとはいい難いものである。
さらにまた、当審において提出された甲第11号証乃至甲第20号証は、株式会社モリタの総合カタログ、パンフレット及び同社発行の雑誌「デンタルマガジン」に掲載された本願商品の広告と認められるが、当該証拠を検討しても、請求人のいうようにその販売実績は明らかであるとはいい得ない。
その他、原審及び当審において提出している甲各号証を検討しても、本願商標の「使用期間」、「使用地域」、「生産又は譲渡の数量」、「営業の規模」及び「広告宣伝の方法、回数及び内容」を明確に記載しているものは発見できず、不明確であるといわざるを得ない。
以上の事実によれば、出願人(請求人)が提出した証拠をもってしては、本願商標が、その指定商品に使用された結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるに至っているものとはいうことができないというのが相当であるから、この点に関する請求人の主張は採用できない。
なお、本願商標の指定商品については、その内容及び範囲は原審において提出された甲第11号証及び甲第12号証によって明確なものになっているから、上記2(2)及び(3)の拒絶の理由は解消している。
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第5号に該当するものであり、使用により需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるに至っているものともいうことができないものであるから、本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことができない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
本願商標

審理終結日 2006-06-07 
結審通知日 2006-06-13 
審決日 2006-06-30 
出願番号 商願2003-75575(T2003-75575) 
審決分類 T 1 8・ 91- Z (Y10)
T 1 8・ 15- Z (Y10)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 平松 和雄木住野 勝也 
特許庁審判長 野本 登美男
特許庁審判官 海老名 友子
山口 烈
商標の称呼 シイアアル 
代理人 林 孝吉 

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