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審決分類 |
審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Z25 |
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管理番号 | 1148218 |
審判番号 | 取消2005-31555 |
総通号数 | 85 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2007-01-26 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2005-12-19 |
確定日 | 2006-11-06 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第4446799号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第4446799号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、平成11年10月5日に登録出願、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服」を指定商品として、同13年1月19日に設定登録されたものである。 2 請求人の主張 請求人は、本件商標は、その指定商品中「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物」に関する登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁の理由を要旨次のように述べた。 (1)請求の理由 本件商標は、その指定商品中、「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物」について、本件審判請求の日前3年間以上継続して、商標権者又はその使用権者の何れによっても使用されてはいない。 従って、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により、「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物」について取消されるべきである。 (2)答弁に対する弁駁 ア 通常使用権の許諾について (ア)被請求人は、「被請求人であるサンセット商事(株)は、フジスター(株)に本件商標権について、通常使用権を許諾している。」と主張するが、これについては、争う。 乙第1号証として提出されたライセンス契約書は、著作権等に基づく商品化権に関するライセンスを取り決めたものである。 すなわち、同契約書第1条の規定から、両当事者が合意したライセンスの対象が「甲が管理する著作物「XYZ CLOTHING」及び「XYZ」(以下「プロパティ」という)に関する著作権に基づく商品化権」であることが明白である。 また、上記ライセンス契約書第5条及び同第14条の規定は「商品化権の使用料(ライセンス料金)」及び「著作権侵害に対する対応」を定めており、このことからも、ライセンス契約書の対象が「著作権に基づく商品化権」であることが明確である。 そして、上記ライセンス契約書には、商標権に基づく使用権の許諾に関する規定や商標登録番号等のように被請求人の商標権を特定する記載は何ら見あたらない。 以上、ライセンス契約書は、著作権に基づく商品化権に関するものであり、商標権に基づく通常使用権の許諾を規定したものではない。 したがって、乙第1号証として提出されたライセンス契約書は、本件商標に関する通常使用権を証するものではない。 (イ)被請求人は、答弁書(2)において、被請求人であるサンセット商事株式会社がフジスター株式会社に本件商標権に関する通常使用権を許諾していることの補強証拠として、乙第14号証を挙げている。 乙第14号証は、フジスター株式会社及びサンセット商事株式会社による陳述書である。同陳述書に記載の期間は、ライセンス契約書に記載された期間と全く同じである。もし陳述書において述べられているように、サンセット商事株式会社が所有する商標権について、フジスター株式会社が指定商品中「男児被服」について通常使用権の許諾を受けているのであれば、ライセンス契約書において、あるいは、同契約書の締結と同じ時期に別の契約書を用意することにより、商標権に関する通常使用権の許諾に関する明文の契約書が作成された筈である。商標権に関する通常使用権の許諾についてのみ、黙示の許諾がなされたと解するのは極めて不自然である。著作権に関する商品化権と同様に、商標権に関する通常使用権もビジネス遂行上の重要事項であり、明文の契約書を締結するのが商慣習に適うものである。商標権に関する通常使用権についてのみ、黙示の使用許諾がされたとは思われない。 サンセット商事株式会社とフジスター株式会社の間には、ライセンス契約書によってとり決められた合意、すなわち、著作権に基づく商品化権に関する合意があったに過ぎないのであって、商標権に基づく通常使用権について合意があったわけではない。陳述書は、サンセット商事株式会社とフジスター株式会社の間の合意、すなわち、「両当事者の意思」を正確に反映したものとはいえず、単に、本件審判に対処するために用意されたにすぎないと考えざるを得ない。本件審判の請求前に、サンセット商事株式会社とフジスター株式会社の間には、商標権に基づく通常使用権についての合意はなかったと認定するのが相当である。 乙第14号証として提出された陳述書は、本件審判の請求前におけるサンセット商事株式会社とフジスター株式会社の意思を反映したものかどうか甚だ疑問であり、証拠として採用するに適しない。 (ウ)乙第2号証は、ロイヤリティーに関する請求書である。また、乙第3号証の1乃至乙第3号証の4は、月単位の売り上げ報告である。 ライセンス契約書第5条は、サンセット商事株式会社の管理する著作物の商品化権に関して、「製造枚数×出荷価格を基準に算定されたロイヤリティーの支払い」を規定しており、また、同契約書第6条は、「使用料算出の為の提出書類」について規定している。 「月単位の売上報告書」には「数量」及び「金額」の記載欄があり、また、「ライセンス料」の記載欄も設けられている。同報告書により、サンセット商事株式会社は、請求すべきライセンス料についてフジスター株式会社から報告を得ていることが明らかである。そして、サンセット株式会社は、この報告書に基づき、「請求書」によりロイヤリティ(ライセンス料)を請求している。 したがって、請求書、及び、売上報告書は、ライセンス契約書に基づく使用料の支払いに関するもの、すなわち、サンセット商事株式会社の管理する著作物の商品化権に関する使用料である。商標権に基づく通常使用権に関するものではない。 (エ)ちなみに、本件商標の権利者の登録原簿上の住所は、設定登録日(平成13年1月19日)以来ずっと「大阪市中央区北久宝寺町3丁目4番8号」のままであり、かつ、答弁書に記載された被請求人の住所も「大阪市中央区北久宝寺町3丁目4番8号」である。したがって、被請求人は、設定登録日以来今日まで継続して「大阪市中央区北久宝寺町3丁目4番8号」に住所を有すると理解できる。 他方、ライセンス契約書の当事者は、「サンセット商事株式会社」と「フジスター株式会社」であるところ、前者「サンセット商事株式会社」の契約書上の住所は「大阪市中央区南本町3丁目2番17号」である。そして、この契約書の締結日は、「2005年4月25日」である。また、陳述書に記載の「サンセット商事株式会社」の住所は「大阪市中央区南本町3-2-1○」である(注:「○」部分の文字は判読困難)。 上述のように、商標権者(被請求人)の住所と乙第1号証及び乙第14号証として提出された書面上の当事者の住所は相違する。答弁書には住所の相違に関する釈明やこれを裏付ける証拠が一切なく、したがって、ライセンス契約書及び陳述書は、被請求人によるものとは認められない。 イ 通常使用権者による使用実績を示す証拠について (ア)仕入伝票(乙第4号証の1ないし乙第4号証の3) 乙第4号証の1ないし乙第4号証の3が、イオン株式会社とフジスター株式会社との間の取引を示す仕入伝票であることは認めるが、他方、本件商標が付された被服を仕入れたことを証するものであることは否認する。 仕入伝票の「品名・規格」欄には、それぞれ、「XYZチェックシャツ」「XYZクリンクルシャツ」「XYZベルトツキブロークンツ」「XYZデニムパンツ」の記載が認められるが、この記載のみによって本件商標が使用されたことにはならない。 フジスター株式会社は、ライセンス契約書に基づき、イオン株式会社に対し「XYZチェックシャツ」「XYZクリンクルシャツ」「XYZベルトツキブロークンツ」「XYZデニムパンツ」を納品しているのであるから、これらの記載中「XYZ」部分は、ライセンス契約書に規定された著作物「XYZ CLOTHING」及び「XYZ」を意味するものと解するのが自然である。 すなわち、後述するように、乙第7号証の1ないし乙第7号証の6及び乙第8号証として提出された写真にはトレーナーが撮影されており、トレーナーの胸部、あるいは、左胸部分に標章が付されている。この標章が、ライセンス契約書第1条に定められている著作物「XYZ CLOTHING」及び「XYZ」をライセンス契約によって許諾された商品化権に基づいて具現化したものである。したがって、仕入伝票に記載の「XYZチェックシャツ」「XYZクリンクルシャツ」「XYZベルトツキブロークンツ」「XYZデニムパンツ」中「XYZ」部分は、著作物「XYZ CLOTHING」及び「XYZ」を総称的に意味するものと理解すべきである。 以上、仕入伝票の「品名・規格」欄に記載の「XYZチェックシャツ」「XYZクリンクルシャツ」「XYZベルトツキブロークンツ」「XYZデニムパンツ」中「XYZ」部分は、著作物「XYZ CLOTHING」ないし「XYZ」を商品化権によって具現化した商品を意味するのであって、商標を意味するものではない。 (イ)新聞記事 乙第5号証が新聞記事抜粋であることは認める。他方、被請求人は、「この新聞記事中において、本件商標が付された被服がイオン各店で販売されていることが記載されている。また、本件商標が付されたTシャツおよびトレーナー(商品「被服」)をプレゼントすることも記載されている。」と主張するが、これについては、争う。 ライセンス契約書および仕入伝票に鑑みれば、新聞記事は、ライセンスされた商品化権に基づき、著作物「XYZ CLOTHING」及び「XYZ」が具現的に表現した商品の販売に関する記事であると理解すべきである。 以上、乙第5号証の新聞記事は、本件商標の使用を述べた記事ではない。 (ウ)店舗での販売 a 乙第6号証の1ないし乙第6号証の4として提出された写真、及び、乙第9号証として提出された写真には、3つの箱及び看板が撮影されている。 そして、乙第9号証の撮影された3つの箱及び看板に表示された標章は、「SELECTED QUALITY/BY/XYZ/CLOTHING/AND CO.」である。 また、乙第6号証の1ないし乙第6号証の4として提出された写真は不鮮明ではあるが、乙第6号証の2に撮影された3段に積み重ねられた箱、並びに、乙第6号証の4に撮影された看板に表示された標章は、「XYZ」そのものではなく、乙第9号証に撮影された3つの箱、並びに、看板と同じ文字、すなわち、「SELECTED QUALITY/BY/XYZ/CLOTHING/AND CO.」からなると思われる。 上記の箱及び看板に表示された標章を構成する上記の文字「SELECTED QUALITY/BY/XYZ/CLOTHING/AND CO.」は、「ある特定の会社(名称:XYZ CLOTHING AND CO.)によって選別された(高)品質(の商品)」の意味合いを有する。したがって、この標章は、需要者をして、箱や看板の近辺に陳列・販売されている商品の出所が「XYZ CLOTHING AND CO.」という名称の法人に由来することを認識させる。かような次第につき、この標章が自他商品の識別標識である商標として機能することがあるとしても、同標章を構成する文字中「XYZ/CLOTHING/AND CO.」の全体をもって一つの商標として認識するのであって、同標章の構成文字中「XYZ」のみを取り出し独立した一つの商標として認識することはない。そして、商標「XYZ/CLOTHING/AND CO.」が、本件商標と社会通念上同一の商標であるとは到底いえない。 b 乙第7号証の1ないし乙第7号証の6並びに乙第8号証として提出された写真では、トレーナーの胸部、あるいは、左胸部分に、標章「XYZ CLOTHING/at○○○(注:「○○○」部分は判読不能、ただし、乙第10号証の2から推測するに「at○○○」部分は「althletic dept.」であると推測される。)」、「XYZ 1989/CLOTHING/XYZ CLOTHING」、「XYZ CLOTHING/EST 1989」が表示されている。これらの標章は、ライセンス契約書に基づき、甲が管理する著作物「XYZ CLOTHING」及び「XYZ」を商品化権に基づき具現化したものである。これらの標章は、トレーナーの胸部全体あるいは左胸部に大きく表示されたり、また、各商品ごとに異なった書体ではなく、デザイン的に統一された一定の書体をもって表示されており、したがって、甲が管理する著作物「XYZ CLOTHING」及び「XYZ」を商品に具現化したもの、すなわち、ライセンスされた商品化権の具体的な実施態様と理解すべきである。 また、一歩譲って、仮にこれらの標章が商標として機能するならば、これらの標章は「ある特定の会社(名称:XYZ CLOTHING AND CO.)の略称(XYZ CORPORATION)」ないし「1989年に設立された、ある特定の会社(名称:XYZ CLOTHING AND CO.)の略称(XYZ CORPORATION)」といった意味合いを想起させる。したがって、これらの標章の全体をもって一つの商標として認識されるのであって、同標章中「XYZ」のみを取り出し、独立した一つの商標として認識することはない。そして、これらの標章が、本件商標と社会通念上同一の商標であるとは到底いえない。 c 乙第8号証として提出された写真に示された品札に表示された標章は、「XYZ CLOTHING/AND CO.」である。この標章は、「ある特定の会社の名称(すなわち、XYZ CLOTHING AND CO.)」の意味合いを有するものであるから、需要者をして、この品札に係る商品の出所が「XYZ CLOTHING AND CO.」という名称の法人であることを認識させる。したがって、「XYZ CLOTHING/AND CO.」の全体をもって一つの商標として認識されるものであり、同標章中「XYZ」のみを取り出し独立した一つの商標として認識することはない。そして、商標「XYZ CLOTHING/AND CO.」が、本件商標と社会通念上同一の商標であるとは到底いえない。 d 乙第10号証として提出された写真中、乙第10号証の1及び乙第10号証の2に示された標章は、「XYZ/89」及び「HIGH PERMORMANCE ATHLETIC DEPT.」の2つの文字列から構成される。「XYZ/89」は、同じ書体、同じ色彩、同じ大きさ、同じ間隔にて表示されており、また、下段に記載された「HIGH PERMORMANCE ATHLETIC DEPT.」の文字と一体にひとまとめにして、青枠に囲われて、表示されている。これらの標章は、ライセンス契約書に基づき、甲が管理する著作物「XYZ CLOTHING」及び「XYZ」を商品化権に基づき具現化したものである。すなわち、ライセンスされた商品化権の具体的な実施態様と理解すべきである。 乙第10号証の3及び乙第10号証の4に表示された標章は、判読困難であるが、おそらく「XYZ CLOTHING」であると理解される。この標章についても、ライセンス契約書に基づき、甲が管理する著作物「XYZ CLOTHING」及び「XYZ」を商品化権に基づき具現化したものである。すなわち、ライセンスされた商品化権の具体的な実施態様と理解すべきである。 また、一歩譲って、仮にこれらの標章が商標として機能するならば、乙第10号証として提出された写真中、乙第10号証の1及び乙第10号証の2に示された標章は、上述のように、「XYZ/89」及び「HIGH PERMORMANCE ATHLETIC DEPT.」の2つの文字列から構成される。「XYZ/89」は、同じ書体、同じ色彩、同じ大きさ、同じ間隔にて表示されており、また、下段に記載された「HIGH PERMORMANCE ATHLETIC DEPT.」の文字と一体にひとまとめにして、青枠に囲われて、表示されている。したがって、同標章は、その全体をもって一つの商標として認識されるものであり、少なくとも「XYZ/89」は一連一体に把握すべきであり、「XYZ」のみを取り出し独立した一つの商標として認識することはない。そして、この標章が、本件商標と社会通念上同一の商標であるとは到底いえない。 乙第10号証の3及び乙第10号証の4に表示された標章は、判読困難であるが、上述のように、おそらく「XYZ CLOTHING」であると理解される。この標章は、「ある特定の会社の名称(すなわち、XYZ CLOTHING AND CO.)の略称」の意味合いを有するものであるから、需要者をして、商品の出所が「XYZ CLOTHING AND CO.」という名称の法人であることを認識させる。したがって、「XYZ CLOTHING」の全体をもって一つの商標として認識されるものであり、同標章中「XYZ」のみを取り出し、独立した一つの商標として認識することはない。そして、商標「XYZ CLOTHING」が、本件商標と社会通念上同一の商標であるとは到底いえない。 e 乙第10号証として提出された写真に示される標章は、「XYZ CLOTHING/35」ないし「図形」である。 標章「XYZ CLOTHING/35」は、ライセンス契約書に基づき、甲が管理する著作物「XYZ CLOTHING」及び「XYZ」を商品化権に基づき具現化したものである。すなわち、ライセンスされた商品化権の具体的な実施態様と理解すべきである。 また、一歩譲って、仮にこの標章が商標として機能するならば、標章「XYZ CLOTHING/35」は、「ある特定の会社の名称(すなわち、XYZ CLOTHING AND CO.)の略称と数字(35)の結合」の意味合いを有するものであるから、需要者をして、商品の出所が「XYZ CLOTHING AND CO.」という名称の法人であることを認識させるものである。したがって、「XYZ CLOTHING/35」の全体、あるいは、「XYZ CLOTHING」をもって一つの商標として認識されるものであり、同標章中「XYZ」のみを取り出し独立した一つの商標として認識することはない。そして、「XYZ CLOTHING/35」ないし「XYZ CLOTHING」が、本件商標と社会通念上同一の商標であるとは到底いえない。 次に、標章「図形」は、赤地の円内に、「X」「Y」及び「Z」をモチーフとして、黄色の太線で「Xの右上」と「Yの左上」、「Yの右上」と「Zの左上」を連結させた「一定の線」を、デザイン的な工夫を凝らして創造的に表現した図形である。この標章は、ライセンス契約書に基づき、甲が管理する著作物「XYZ」を商品に具現化したものである。すなわち、ライセンスされた商品化権の実施態様と理解すべきである。 仮に一歩譲って、この標章が商標として機能するとしても、この標章は文字を素材にデザイン的な創意工夫を凝らした図形として認識すべきであり、本件商標と社会通念上同一の商標であるとは到底いえない。 (エ)広告 乙第12号証及び乙第13号証に示される標章は、四角図形中に、「XYZ/clothing/x-treme Young Tone」の文字をまとまりよく一体的に配置した態様からなる。この標章は、ライセンス契約書に基づき、甲が管理する著作物「XYZ」を商品に具現化したものである。すなわち、ライセンスされた商品化権の実施態様と理解すべきである。 仮に一歩譲って、この標章が商標として機能するとしても、この標章は「ある特定の会社の名称(すなわち、XYZ CLOTHING AND CO.)の略称と他の文字の結合」の意味合いを有するものであるから、需要者をして、商品の出所が「XYZ CLOTHING AND CO.」という名称の法人であることを認識させる。したがって、この標章の全体をもって一つの商標として認識されるものであり、同標章中「XYZ」のみを取り出し独立した一つの商標として認識することはない。そして、この標章は、本件商標と社会通念上同一のものであるとは到底いえない。 (オ)ウェブサイト 答弁書(2)によって提出された乙第15号証ないし乙第17号証は、モデル「達也」氏を紹介するウェブサイトである。 この中において、「ファッションブランド「X・Y・Z」」なる文字が登場するものの、フジスター株式会社との関係を示す記述がないため、「ファッションブランド「X・Y・Z」」なるものがフジスター株式会社の商品であるのかどうか定かではない。 また、仮に「ファッションブランド「X・Y・Z」」なるものがフジスター株式会社の商品を指すとしても、上記ウェブサイトそのものから、本件商標の使用を導き出す記載は何ら認められない。「ファッションブランド「X・Y・Z」」なるものがフジスター株式会社の商品を指すならば、同商品に表示された具体的な標章は、乙第6号証ないし乙第13号証において示された態様のものと同じ筈である。 したがって、既に述べたように、これらの態様の標章は、ライセンス契約書に基づき、甲が管理する著作物「XYZ」を商品に具現化したものである。すなわち、ライセンスされた商品化権の実施態様と理解すべきである。また、仮に一歩譲って、これらの標章が商標として機能するとしても、標章の全体をもって一つの商標として認識されるものであり、同標章中「XYZ」のみを取り出し独立した一つの商標として認識することはない。そして、これらの標章が、本件商標と社会通念上同一のものであるとは到底いえない。 答弁書(2)によって提出された乙第18号証は、「axxess」のウェブサイトである。 乙第18号証に示される標章は、乙第12号証及び乙第13号証に示される標章と同一である。したがって、この標章は、ライセンス契約書に基づき、甲が管理する著作物「XYZ」を商品に具現化したものである。すなわち、ライセンスされた商品化権の実施態様と理解すべきである。 また、仮に一歩譲って、この標章が商標として機能するとしても、この標章は「ある特定の会社の名称(すなわち、XYZ CLOTHING AND CO.)の略称と他の文字の結合」の意味合いを有するものであるから、需要者をして、商品の出所が「XYZ CLOTHING AND CO.」という名称の法人であることを認識させる。したがって、この標章の全体をもって一つの商標として認識されるものであり、同標章中「XYZ」のみを取り出し、独立した一つの商標として認識することはない。そして、この標章は、本件商標と社会通念上同一のものであるとは到底いえない。 ちなみに、乙第18号証として提出されたウェブサイトでは、上記の標章の左上部に「XYZ clothing」の文字が小さく表示されている。この付記的表示からも明らかなように、上記の標章は、少なくとも「XYZ clothing」部分を常に一体的に把握すべきものであって、「XYZ」のみを取り出し独立した一つの商標として把握されることはなく、したがって、上記の標章が本件商標と社会通念上同一のものであるとは到底いえないことが明らかである。 ウ まとめ 答弁書の全陳述及び証拠方法から、被請求人「サンセット商事株式会社」が「フジスター株式会社」に対し許諾したのは、著作権に基づく商品化権であって、本件商標の通常使用権ではない。 また、答弁書の全陳述及び証拠方法から、「フジスター株式会社」が商品に表示した標章は、ライセンス許諾を得た商品化権を具現化した著作物であり、商標ではない。 仮に一歩譲って、同標章が商標として機能することがあったとしても、本件商標と社会通念上同一の商標ではない。 したがって、被請求人の答弁は理由がなく、「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物」に関する本件商標の登録の取消は免れ得ない。 3 被請求人の答弁 被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第18号証(枝番を含む。)を提出した。 (1)通常使用権の許諾 被請求人であるサンセット商事(株)は、フジスター(株)に本件商標権について、通常使用権を許諾している。 このことは乙第1号証から明らかである。乙第1号証は、サンセット商事(株)とフジスター(株)との間で締結されたライセンス契約書である。その第1条で「甲は乙に対し、…「XYZ」(以下「プロパティー」という)に含まれるところの著作権等に基づく商品化権の期間:初年度を2005年5月1日より2006年8月31日…とし、この期間に定められた乙の企画,製造,販売する商品(以下「本商品」という)に使用する事を各条項に従い許諾する。」と記載されている。なお、甲とは、サンセット商事(株)のことであり、乙とは、フジスター(株)のことである。 また、第2条で「乙はプロパティーを次の商品にのみ使用する事ができる。アイテム:「男児」商材の被服(外着)一般」と記載されており、さらに、第3条では「販売先,販売ルート,はイオン株式会社とし、…」と記載されている。 このように、乙第1号証に示すライセンス契約書は、本件商標権について、サンセット商事(株)がフジスター(株)に通常使用権を許諾するために締結されたことは明らかである。 また、乙第2号証は、被請求人からフジスター(株)へ、通常使用権の許諾に伴うロイヤリティーを請求した請求書の控えである。なお、乙第3号証の1?乙第3号証の4は、フジスター(株)が本件商標を付した被服を販売した各自の売上報告書であり、被請求人へ送ったものである。 乙第1号証ないし乙第3号証により、被請求人であるサンセット商事(株)が、フジスター(株)に通常使用権を許諾していることは明らかである。 そして、フジスター(株)は、少なくとも、指定商品中の「被服」に含まれる「開きんシャツ」、および「ズボン」について本件商標を使用している。 (2)通常使用権者による使用実績を示す証拠 ア 仕入伝票(乙第4号証の1ないし乙第4号証の3) 乙第4号証の1ないし乙第4号証の3は、イオン(株)がフジスター(株)から本件商標が付された被服を仕入れたことを示す仕入伝票である。 乙第4号証の1の上段の仕入伝票(伝票番号「2935080」)および下段の仕入伝票(伝票番号「2936091」)の品名・規格の欄には、それぞれ品名として「XYZチェックシャツ」とあり、本件商標が付された「開きんシャツ」をイオン(株)が仕入れたことを示している。 そして、フジスター(株)がイオン(株)のシミズ店へ2005年9月27日にそれぞれ納品したことも示されている。 乙第4号証の2の上段の仕入伝票(伝票番号「5072174」)の品名・規格の欄には、品名として「XYZチェックシャツ」とあり、本件商標が付された「開きんシャツ」をイオン(株)が仕入れたことを示している。 そして、フジスター(株)がイオン(株)のシミズ店へ2005年12月13日に納品したことも示されている。 また、乙第4号証の2の下段の仕入伝票(伝票番号「5073773」)の品名・規格の欄には、品名として「XYZクリンクルシャツ」とあり、本件商標が付された「開きんシャツ」をイオン(株)が仕入れたことを示している。 そして、フジスター(株)がイオン(株)のシミズ店へ2005年12月13日に納品したことも示されている。 乙第4号証の3の上段の仕入伝票(伝票番号「5075372」)の品名・規格の欄には、品名として「XYZベルトツキブロークンパンツ」とあり、本件商標が付された「ズボン」をイオン(株)が仕入れたことを示している。なお、字数の制限上、仕入伝票には、「XYZベルトツキブロークンツ」と記載されている。 そして、フジスター(株)がイオン(株)のシミズ店へ2005年12月13日に納品したことも示されている。 また、乙第4号証の3の下段の仕入伝票(伝票番号「5142325」)の品名・規格の欄には、品名として「XYZデニムパンツ」とあり、本件商標が付された「ズボン」をイオン(株)が仕入れたことを示している。 そして、フジスター(株)がイオン(株)のシミズ店へ2006年1月19日に納品したことも示されている。 イ 新聞記事 乙第5号証は、2006年1月1日付けのスポーツニッポン新聞の記事である。 この新聞記事中において、本件商標が付された被服がイオン各店で販売されていることが記載されている。また、本件商標が付されたTシャツおよびトレーナー(商品「被服」)をプレゼントすることも記載されている。 ウ 店舗での販売 乙第6号証の1ないし乙第6号証の4は、2005年10月2日に、ダイヤモンドシティテラス(兵庫県伊丹市藤ノ木1丁目1番1号)のイオン(ジャスコ)内を撮影(撮影者 沖元要)した写真である。 乙第6号証の1ないし乙第6号証の4は、本件商標が付された被服が販売されている様子を撮影したものであり、乙第6号証の2では、3段に積まれた箱に本件商標が付されており、本件商標が商品「被服」の広告に使用されていることがわかる。また、乙第6号証の4では、本件商標が付された看板が被服の上に掲げられていることがわかる。 乙第7号証の1ないし乙第7号証の6は、同上のイオン(ジャスコ)内を最近撮影した写真である。 この写真においても、本件商標が付された被服が販売されていることが確認できる。また、乙第8号証は、乙第7号証の5を拡大したものであり、商品「被服」に付けられた品札に本件商標が付されていることが確認できる。 また、乙第9号証も同上のイオン(ジャスコ)内を最近撮影した写真であり、箱に本件商標が付されており、本件商標が付された看板が被服の上に掲げられていることが分かる。 乙第7号証の1ないし乙第7号証の6および乙第9号証により、本件商標が、少なくとも2005年10月2日から現在に至るまで継続して被服に使用されていることは明らかである。 なお、乙第10号証の1ないし乙第10号証の4および乙第11号証は、本件商標が付された被服の写真であり、これらの被服が各店舗で販売されている。 エ 広告 乙第12号証は、2005年8月26日に行われたクラブバニラでのイベント「axxess(アクセス)」の広告であり、その紙面に本件商標が付されている。 また、乙第13号証の1は、上記「axxess」のウェブページを印刷したものである。このウェブページ中(乙第13号証の2)では、2005年8月26日に、クラブバニラで上記イベントが行なわれたことが紹介されており、このイベントの内容が写真で紹介されている(乙第13号証の3)。そして、乙第13号証の4は、乙第13号証の3の一部を拡大したものであり、上記イベントの舞台のバックに本件商標が広告として使用されていることがわかる。 さらに、乙第13号証の2では、上記2005年8月26日のイベントの内容が、スカイパーフェクトTV269chの「Music Japan TV」で放送されたことが記載されている。 そして、このイベントを見て本件商標に接した者(テレビで見た者を含む)は、店舗において、本件商標が被服に使用されていることを見て、本件商標権者による商品であると認識する。その点において、指定商品「被服」についての本件商標の広義の使用といえる。 オ 乙第14号証ないし乙第18号証について 乙第14号証は、本件商標権について、被請求人であるサンセット商事(株)がフジスター(株)に通常使用権を許諾していることを示す陳述書である。 乙第14号証に示されるように、被請求人であるサンセット商事(株)は、本件商標権について、少なくとも2005年5月1日から2006年8月31日までの期間、指定商品中「男児被服」について、フジスター(株)に通常使用権を許諾している。 そして、フジスター(株)は、本件商標を付した男児被服を、2005年9月から現在に至るまで継続して販売している。 乙第15号証ないし乙第17号証は、乙第5号証において、本件商標が使用された被服のイメージモデルとして登場している「達矢」氏に関するウェブページを印刷したものである。 乙第15号証では、ファッションブランド「X・Y・Z」が2005年9月から全国のイオングループの大規模店を中心に発売されたことがバナー中に記載されている。 乙第15号証により、本件商標が付された被服が、2005年9月から販売されていることは明らかである。 乙第16号証では、2006年1月2日付けの達矢氏のコメントにおいて、「元日のスポニチにXYZのTシャツやトレーナーをプレゼントするコーナーで、モデルとして写真」が載ったことが記載されており、2006年1月1日に、本件商標が、商品「被服」に使用されていたことは明らかである。 また、乙第16号証では、2005年9月12日付けの達矢氏のコメントにおいて、「ブランド「X・Y・Z」が、8月末に東京・青山でお披露目をして、9月20日には、いよいよ全国のイオングループの店頭に並びます」と、記載されており、2005年9月20日に、本件商標が、商品「被服」に使用されていたことは明らかである。 乙第17号証では、ファッションブランド「X・Y・Z」が全国のイオングループの大規模店を中心に発売されていることが示されており、本件商標が、商品「被服」に、使用されていることは明らかである。 なお、商標「X・Y・Z」は、本件商標と、社会通念上同一である。 乙第18号証は、乙第13号証の1に示した「axxess」のウェブページである。 乙第18号証によれば、本件商標がカジュアルウェアに使用されていることが示されており、本件商標が、商品「被服」に使用されていることは明らかである。 (3)総括 以上の通り、被請求人により通常使用権の許諾を受けたフジスター(株)が、本件商標をその指定商品中「被服」について、少なくとも平成18年1月まで使用していたことは明らかである。 4 当審の判断 請求人は「乙第1号証のライセンス契約書は、著作権に基づく商品化権に関するものであり、商標権に基づく通常使用権の許諾を規定したものではない。また、乙第14号証の陳述書は、本件審判の請求前におけるサンセット商事株式会社とフジスター株式会社の意思を反映したものかどうか甚だ疑問であり、証拠として採用するに適しない。」旨主張しているので、まずこの点について検討するに、通常使用権は、商標権者が他人にその商標権について使用の許諾をすることにより発生するものであり、例えば、商標登録原簿に登録されることが効力を生ずる要件とはなっていない。そして、被請求人が主張するように、乙第1号証のライセンス契約書が著作権に基づく商品化権に関するものであり、また、乙第14号証の陳述書が本件審判の請求前におけるサンセット商事株式会社とフジスター株式会社の意思を反映したものかどうか疑問であったり、さらに、被請求人(商標権者)の住所と乙第1号証及び乙第14号証の当事者の住所が相違するとしても、被請求人は「被請求人であるサンセット商事株式会社は、フジスター株式会社に本件商標権について、通常使用権を許諾している。」旨主張しており、また、乙第1号証のライセンス契約書及び乙第14号証の陳述書の記載内容をも総合勘案すれば、フジスター株式会社(以下「通常使用権者」という。)は本件商標に関する実質的な通常使用権者であるといい得るものである。 次に、被請求人は、乙第1号証ないし乙第18号証(枝番を含む。)を提出し、本件商標は、通常使用権者が、本件商標をその指定商品中「被服」について、少なくとも平成18年1月まで使用していた旨を主張している。 そこで、被請求人の提出に係る上記証拠についてみるに、乙第4号証の1の仕入伝票によれば、品名・規格の欄には、「XYZチェックシャツ」と記載されており、イオン株式会社のシミズ店が通常使用権者から2005年9月27日に商品「シャツ」を仕入れたことが示されている。 同じく、乙第4号証の2の仕入伝票によれば、品名・規格の欄には、「XYZチェックシャツ」と記載されており、イオン株式会社のシミズ店が通常使用権者から2005年12月13日に商品「シャツ」を仕入れたことが示されている。 そして、上記商品「シャツ」は、請求に係る指定商品中の「被服」の範疇に属する商品と認められ、通常使用権者により本件審判の請求の登録前3年以内に取引されていたものと認められる。 また、上記乙第4号証の1ないし乙第4号証の2の仕入伝票によれば、品名・規格の欄には、「XYZチェックシャツ」と記載されており、その品名中の後半部の「チェックシャツ」の文字部分は、商品名を表していると認められるものであって、前半部の「XYZ」の文字部分が商品「シャツ」に使用された標章とみるのが相当であるから、その標章は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標といわざるを得ない。 してみれば、本件商標は、被請求人が提出した証拠を総合勘案すれば、通常使用権者により本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を、請求に係る指定商品に含まれる商品「シャツ」に使用していたものといわなければならない。 したがって、本件商標は、商標法第50条の規定により、その指定商品中の請求に係る商品についての登録を取り消すべき限りでない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別 掲 本件商標 |
審理終結日 | 2006-09-07 |
結審通知日 | 2006-09-13 |
審決日 | 2006-09-26 |
出願番号 | 商願平11-90182 |
審決分類 |
T
1
32・
1-
Y
(Z25)
|
最終処分 | 不成立 |
特許庁審判長 |
山口 烈 |
特許庁審判官 |
山本 良廣 小林 由美子 |
登録日 | 2001-01-19 |
登録番号 | 商標登録第4446799号(T4446799) |
商標の称呼 | エックスワイゼット |
代理人 | 高梨 範夫 |
代理人 | 小林 久夫 |
代理人 | 木村 三朗 |
代理人 | 大村 昇 |
代理人 | 福島 三雄 |
代理人 | 安島 清 |