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審決分類 審判 一部無効 商4条1項7号 公序、良俗 無効としない Y16
審判 一部無効 商4条1項19号 不正目的の出願 無効としない Y16
審判 一部無効 商4条1項10号一般周知商標 無効としない Y16
管理番号 1145142 
審判番号 無効2006-89010 
総通号数 83 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2006-11-24 
種別 無効の審決 
審判請求日 2006-02-03 
確定日 2006-10-02 
事件の表示 上記当事者間の登録第4900949号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4900949号商標(以下「本件商標」という。)は、「グリーンショップ」の文字と「Green Shop」の文字を二段に横書きしてなり、平成16年12月2日に登録出願、第16類「事務用又は家庭用ののり及び接着剤,封ろう,マーキング用孔開型板,装飾塗工用ブラシ,紙製幼児用おしめ,紙製包装用容器,家庭用食品包装フイルム,紙製ごみ収集用袋,プラスチック製ごみ収集用袋,型紙,裁縫用チャコ,紙製のぼり,紙製旗,観賞魚用水槽及びその附属品,衛生手ふき,紙製タオル,紙製テーブルナプキン,紙製手ふき,紙製ハンカチ,荷札,印刷したくじ(おもちゃを除く。),紙製テーブルクロス,紙類,文房具類,定期的に刊行する商品案内用のカタログ及びパンフレット,通信販売のカタログ,雑誌,カレンダー,書籍,新聞,パンフレット,カタログ,その他の印刷物,書画,写真,写真立て」を指定商品として、平成17年10月14日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張(要旨)
請求人は、「本件商標の指定商品中『定期的に刊行する商品案内用のカタログ及びパンフレット,通信販売のカタログ,雑誌,カレンダー,書籍,新聞,パンフレット,カタログ,その他の印刷物』についての登録を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第8号証(枝番を含む。)を提出した。(甲号証、乙号証のいずれにおいても、枝番のすべてを引用するときは、以下枝番を省略する。)
1 請求の理由
(1)請求人は、以下に述べるとおり、本件商標の登録出願前から、請求人が頒布する定期刊行物たる花の球根、種苗のカタログ(甲第1号証、以下「請求人カタログ」という。)に、商標「GREEN SHOP」(以下「引用標章」という。)を使用し、引用標章は、多くの業者及び一般の需要者に広く知られている。
(ア)甲第1号証の1は、1984年の春に発行したものである(なお、甲第1号証の1の表紙及び裏表紙には、「株式会社大和農園園芸品卸部」と記載されているが、請求人は、平成5年8月5日付けで株式会社大和農園園芸品卸部を吸収合併している。登記簿謄本参照。)。
また、甲第1号証の2は、1993年秋に発行されたものであり、甲第1号証の3は、2003年春に発行されたもの、さらに、甲第1号証の4は、2004年秋に発行されたものである(なお、請求人が商号を「株式会社花の大和」に変更した後の印刷物の発行者の住所は、「奈良県天理市嘉幡町655」となっているが、この住所は、請求人の事務部門及び営業部門の住所である。)。
(イ)請求人カタログは、花の球根、種苗及びそれらの価格を掲載したものであり、毎年春秋の2回定期的に発行、頒布しており、「定期刊行物」に該当する。請求人カタログは、凸版印刷株式会社の関西事業部で印刷されたもので、最近数年は毎号約4000部が印刷され(甲第3号証)、そのほとんどが北海道から沖縄に至る全国各地の園芸種苗の専門店、卸店、ホームセンターに配付されている。上記業者は、請求人カタログを商品の注文を受けるために用いるだけでなく、取引先の小売り店に配布し、小売り店では、担当者が請求人カタログを閲覧したり、来店した一般の消費者に見せて、商品の宣伝や注文に利用してきた。
したがって、全国の非常に多数の業者及び消費者が、本件商標の登録出願前から永年にわたって、請求人カタログを利用し、引用標章は、広く知るに至っている。
(2)公序良俗違反について
請求人は、「GREEN SHOP」の文字を書してなり、第31類「種子類,木,草,芝,ドライフラワー,苗,苗木,花,牧草,盆栽」を指定商品として、平成8年11月29日に設定登録された登録第3227169号商標(甲第4号証、以下「請求人商標」という。)を所有している。
請求人は、平成16年11月に、被請求人の発行・配布に係る花の球根、種苗に関するカタログ「グリーンショップ」を知り、直ちに口頭でその発行・配布の中止を求め、その後、文書(甲第5号証の1)及び口頭で互いの意見を交換したところ、被請求人は、平成17月2月25日付け文書(甲第5号証の2)に、「弊社のカタログ雑誌が商品区分第16類の商品であることをより明確にするために商標の登録を準備しています。」と記載してきたが、本件商標は、それ以前に登録出願(平成16年12月2日)されており、被請求人は、その事実を隠していたものであり、これは、信義誠実に反し、不正競争の目的で本件商標を登録出願したものである。
なお、本件商標は、その指定商品に「カタログ」を含んでいても、商標「グリーンショップ」で花の球根や種苗の宣伝を内容とする被請求人のカタログが、請求人商標の商標権を侵害するものであることは明白である。
(3)商標法第4条第1項第10号について
前記のとおり、本件商標は、その登録出願前に、請求人カタログに使用され、需要者に広く認識されている引用標章と類似するものであって、本件商標の指定商品中、本件登録無効の請求に係る指定商品は、請求人カタログと類似する。
(4)商標法第4条第1項第7号及び同第19号
前記のとおり、被請求人は、引用標章が請求人カタログに使用され、業者及び消費者に広く知られていることを知っており、また、前記(2)の係争交渉中に、本件商標を登録出願し、これを隠していたもので、信義誠実に反するものであり、公序良俗を害するおそれがあり、不正競争の目的をもって登録出願し使用するものである。
2 答弁に対する弁駁
(1)商標法第4条第1項第10号について
(ア)被請求人は、請求人カタログに関し、商品である花の球根、種苗に関する販売を促進するための宣伝物であり、それ自体が印刷物として取引の対象とは認められず、商品区分第16類の「定期刊行物」に該当しない旨主張する。
しかしながら、カタログは、商品の販売促進及び宣伝のためのものであっても、定期的、継続的に同一表題で刊行するものは、商品区分第16類の「定期的刊行物」に該当する。
また、被請求人は、請求人カタログが無料で配布されるものであるから、商品でないとするが、請求人カタログは、贈答品でもなく、また、マッチやせっけん等のような無料配布のサービス景品と異なり、商品説明のための印刷物で、しかも、開花した花が美しい色彩で掲載されているので、見て楽しむこともでき、約160頁もある豪華なものであり、乙第2号証(被請求人の発行に係るカタログ)のせいぜい30頁にも満たないカタログに比べて高価な交換価値を有するものである。
したがって、無料配布されていることのみで、請求人カタログが商品でないと決めつけることは間違いである。
また、乙第2号証について、被請求人は、200円で販売していることを根拠として、定期刊行物である旨主張するが、乙第4の1号証(昭和63年4月1日発行「NHK趣味の園芸」)には、「改良園友の会/園芸情報誌『園芸世界』春・秋に増刊特集号を届けます」(証拠中のこの部分の右側が消えていて不鮮明である)と掲載され、乙第4の3号証(2006年2月1日発行「NHK趣味の園芸」)には、「改良園友の会/会報誌『園芸世界』を毎月お届け。」と記載されており、これは、被請求人の「園芸友の会の会員」という極めて限定された範囲の者に乙第2号証を無料で贈呈したことを示しており、このカタログは一般の書店で販売されておらず、また、一般の消費者にも販売されていない。
なお、被請求人は、乙第4の2号証(昭和63年9月1日発行「NHK趣味の園芸」)の株式会社大和農園の広告の箇所に、「審判請求人の広告」と記入しているが、これは株式会社大和農園の販売部門である直売部の広告であり、該株式会社大和農園は、請求人とは全く関係のない会社である(請求人の登記簿謄本及び甲第6号証参照)。
(イ)乙第3の2号証は、請求人の代理人が請求人宛に、網野誠著「商標」の抜粋を引用して、商品のカタログにおける商標の使用が、その商品について「商標の使用」に該当することを説明したものであり、上記著書には、商品のパンフレットやカタログに商標を表示することは、商品の広告に該当すること、及びパンフレットやカタログが取引書類であり、それに商品の標章を表示することが商標の使用に該当することが記載されている。
したがって、パンフレットやカタログが商品区分第16類に含まれる商品であるからといって、パンフレットやカタログに掲載されている商品の宣伝でないとはいえず、また、パンフレットやカタログが、商品の宣伝物であるからといって、パンフレットやカタログが、定期刊行物でないとはいえない。
(ウ)被請求人は、請求人カタログに関し、1回について約4000部を配布しただけで、1都道府県あたり100部にも満たない数であるから、引用標章は、商標法第4条第1項第10号にいう周知商標ではない旨主張する。
しかしながら、配布地域が、全国的であるのに、1都道府県当たりと範囲を縮小、限定して、配布数が少ないというのは間違っている。範囲を縮小、限定すればする程、配布数が少なくなるのは当然である。甲第4号証(審決注:「甲第1号証」の誤記と認める。)は、全国各都道府県の主な園芸種苗の専門店、卸店、ホームセンターのほとんどに配布したものであり、周知かどうかは、配布の範囲・数・回数及び利用方法等全体について考察すべきものである。かかる観点からすれば、引用標章は、周知性の要件を十分具備するものである。
(2)商標法第4条第1項第7号及び同第19号について
被請求人は、商標法第4条第1項第7号は商標自体が公序良俗に違反のものをいうとしているが、商標登録出願行為そのものが、信義誠実に反する場合も本号に該当する(甲第7号証)。
請求人は、前記1(2)で述べたとおり、被請求人の発行するカタログを知り、直ちに、その編集担当者宛に電話でその配布の中止を求め、さらに、平成16年12月8日付けで文書で警告した(甲第8号証)。本件商標の登録出願は、上記電話による警告後にしたものであり、被請求人は、請求人カタログが配布されていることを知りながら、かつ、カタログ一般が商品区分第16類に含むことを主張して、商品区分第16類に登録して、被請求人のカタログの配布を正当化しようとするものである。これは公序良俗に反し、不正競争の目的をもってその商標を使用するものである。
3 むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第10号、同第7号及び同第19号に違反してされたものであるから、同法第46条第1項第1号により無効とされるべきである。

第3 被請求人の答弁(要旨)
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第4号証(枝番を含む。)を提出した。
1 商標法第4条第1項第10号について
(1)商標法第4条第1項第10号該当の要件の1つは、「使用している商標が、登録商標と同一又は類似の商標であって同一又は類似の商品(役務)である」ことである。
本件商標は、片仮名の「グリーンショップ」と英文字の「Green shop」とを二段書きに表示したものであり、引用標章は、「GREEN SHOP」であるから、両者は、少なくととも称呼において類似しているものである。
しかしながら、引用標章が使用されているのは、花の球根、種苗に関する宣伝物たるカタログであって、たとえ、毎年春秋の2回定期的に発行、頒布しているものであっても、請求人カタログは、商品である花の球根、種苗に関する販売を促進するために無料で園芸種苗の専門店、卸店、ホームセンターに配付されるものであるから、それ自体が印刷物として取引の対象と認められず、商品区分第16類の「定期刊行物」に該当しないことは明白である。
このことは、請求の理由(2)にあるように、請求人と被請求人との間における請求人商標についての交渉の過程において、被請求人が販売している「Green Shop」(乙第2号証)について、被請求人に宛てた平成17年1月14日付けの書簡(乙第3号証の1)及びこの書簡に添付された請求人代理人による「商標法上のカタログの性格について」の書簡(乙第3号証の2)の中で、被請求人が価格200円で販売しているカタログ(乙第2号証)でさえも、第31類についての商標の使用であると請求人自身が主張したことからも明らかである。
以上のように、請求人カタログは、本件商標と同一又は類似の商品について使用しているものではない。
(2)周知性について
請求人は、請求人カタログを年2回、1回につき約4000部を(但し2000年以降)印刷して配布している旨主張するが、1回につき約4000部を配布しただけで、しかも、全国各地に配布されているものであり、1都道府県あたり100部にも満たないものであって、このような使用による引用標章が商標法第4条第1項第10号にいう「需要者に広く認識された」ということはできない。
なお、被請求人は、「NHK趣味の園芸」(月1回発行90万部、年間1080万部)に、昭和63年以前から現在まで商標「グリーンショップ」を使用しており(乙第4号証)、現実には、被請求人の商標である「グリーンショップ」こそが需要者の間に広く知られているものであり、除斥期間の適用がなければ、本来請求人商標が無効になるものである。
2 商標法第4条第1項第7号及び同第19号について
請求人は、被請求人が請求の理由(2)で述べた請求人と被請求人との間の請求人商標に関する交渉前に本件商標を登録出願しており、その事実を隠して交渉しているから、信義誠実に反し、不正競争の目的で本件商標を登録出願したものである旨主張するが、以下のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号及び同第19号に該当しない。
(1)商標法第4条第1項第7号について
請求の理由(2)の当事者間の交渉は、請求人商標に関するもの、すなわち、商品区分第31類の商標の使用行為についてであり、請求人は、商品区分第16類の商標については論外としていたこと(乙第2号証)、被請求人が提出した平成17年2月25日付けの書簡(甲第5号証の2)では、「商標の登録の準備をしている」と記載したものであり、「出願の準備をしている」と記載した訳ではない。
商標法第4条第1項第7号は、「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」として、商標自体の性質に着目した規定となっていること、商標法の目的に反すると考えられる商標の登録については、同法4条1項各号に個別に不登録事由が定められていること、及び商標法においては、商標選択の自由を前提として最先の出願人に登録を認める先願主義の原則が採用されていることを考慮するならば、商標自体に公序良俗違反のない商標が商標法第4条第1項第7号に該当するのは、その登録出願の経緯に著しく社会的妥当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないような場合に限られるものというべきであり、当事者間における利害の調整に関わる事柄であるような私的な利害の調整は、原則として、公的な秩序の維持に関わる商標法第4条第1項第7号の問題ではないとされている(平成14年(行ケ)第616号)。
(2)商標法第4条第1項第19号について
商標法第4条第1項第19号に該当するというためには、本件商標が日本国又は外国で周知・著名な商標と同一又は類似の商標である必要があるが、請求人は、単に信義誠実に反すると主張するだけで、対象となる周知・著名な商標を提示していない。
仮に引用標章が周知・著名であると主張しているのであれば、その周知性を証明する証拠は充分でなく、本号適用の要件を満たしていない。
さらに、本件商標の登録出願をしていたことを請求人に知らせなかったという理由は、不正の目的には該当しない。
3 むすび
以上のように、本件商標の登録は、その指定商品中の「定期的に刊行する商品案内用のカタログ及びパンフレット、通信販売のカタログ、雑誌、カレンダー、書籍、新聞、パンフレット、カタログ、その他の印刷物」について、商標法第4条第1項第10号、同第7号及び同第19号に違反してされたものではない。

第4 当審の判断
1 商標法第4条第1項第10号について
(1)商標法第4条第1項第10号は、「他人の業務に係る商品若しくは役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標又はこれに類似する商標であって、その商品若しくは役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について使用するもの」と規定しているところ、本件商標と引用標章が類似することについては、当事者間に争いはない。
(2)そこで、まず、本件登録無効の請求に係る指定商品が引用標章が使用される商品と同一又は類似の商品であるか否かについて検討する。
(ア)甲第1号証及び甲第2号証並びに請求人の主張を総合すると、請求人は、「総合園芸メーカー」であって、花及びその球根、苗、種子等(以下「請求人商品」という。)の生産、販売をする会社であり、請求人商品を掲載した請求人カタログの表紙及び裏表紙には、引用標章が表示されていること、及び、請求人カタログは、毎年春秋の2回定期的に発行され、請求人商品を紹介し、注文を受けるために全国各地の園芸種苗店等に無料で配布される宣伝用の印刷物であること(請求人カタログが無料で配布される印刷物であることについては、当事者間に争いがない。)が認められる。
(イ)上記(ア)によれば、請求人カタログは、請求人の本来の業務である請求人商品の販売を促進するために、全国各地の園芸種苗店等に無料で配布される印刷物であって、それ自体独立した商取引の目的物として、一般市場の流通に向けられているものではない。そして、請求人カタログに表示された引用標章は、カタログそのものの出所表示として機能しているものではなく、請求人商品たる花及びその球根、苗、種子等についての出所識別標識として機能しているものである。
したがって、請求人カタログは、業として商取引の対象として流通に供される商品の区分第16類の「印刷物」の範疇に属する商品とは認められないのみならず、引用標章が使用される請求人商品たる花及びその球根、苗、種子等と本件登録無効の請求に係る指定商品である「定期的に刊行する商品案内用のカタログ及びパンフレット、通信販売のカタログ、雑誌、カレンダー、書籍、新聞、パンフレット、カタログ、その他の印刷物」とは、商品の生産者、取引系統、販売場所等を異にするばかりでなく、商品の品質、用途等をも著しく異にする非類似の商品といわなければならない。
(3)次に、引用標章が、請求人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標である否かについてみるに、前記(2)で認定したとおり、引用標章は、請求人商品の出所識別標識として機能しているものである。
そうすると、仮に引用標章が、本件商標の登録出願前より、園芸関連分野の取引者、需要者の間に広く認識されていたものであるとしても、その周知性獲得の対象となる商品は請求人商品であるから、商取引の対象となり得ない請求人カタログについての周知性を認めることはできない。
そして、引用標章は、これが使用される請求人商品との関係からみれば、「GREEN」の文字部分が「植物の緑」の意味合いを想起させる語であり、「SHOP」の文字部分が「店」を意味する語であるから、引用標章を請求人商品について使用しても、全体として、さほど強い識別力を有するものとは認められないばかりか、甲第3号証によれば、請求人カタログは、2001年秋以降、各発行ごとに4000部が印刷され、そのほとんどが全国各地の園芸種苗店等に配布されていたものであるとしても、これのみをもってしては、引用標章が請求人商品を表示するためのものとして、本件商標の登録出願前より、その需要者の間に広く認識されていたと認めることは、困難であるといわざるを得ない。
(4)以上によれば、引用標章は、請求人の業務に係る商品(請求人商品)を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標とは認められないものであり、また、本件登録無効の請求に係る指定商品は、引用標章が使用される請求人商品と同一又は類似の商品とは認められないものである。
したがって、本件商標が商標法第4条第1項第10号に該当するとする請求人の主張は、理由がない。
2 商標法第4条第1項第7号及び同第19号について
請求人は、被請求人が請求人カタログの存在を知りながら、請求の理由(2)の当事者間の交渉中に、本件商標を登録出願したことを隠して交渉にあたっていたことを取り上げ、被請求人の本件商標を使用する行為は、公序良俗に反し、不正の目的をもってするものである旨主張する。
しかし、請求人の上記主張は、引用標章が請求人カタログの出所識別標識として機能していることを前提とするものであるところ、前記1で認定したとおり、引用標章は、請求人商品の出所を表示するものとして機能しているのであり、かつ、請求人カタログは、独立して商取引の対象となるものではなく、請求人商品の販売に付随して配布されるものであるから、被請求人が本件商標を商品の区分第16類に登録出願した事実は、引用標章の存在とは何らの関係を有するものではなく、したがって、請求人の上記主張は、前提において誤りがあるというべきである。また、引用標章が、請求人商品を表示するものとして、本件商標の登録出願前より、需要者の間に広く認識されていたものと認めることができないことは前記認定のとおりである。
以上を総合すれば、本件商標は、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標とはいえないばかりでなく、不正の目的をもって使用するものということもできない。
したがって、本件商標が商標法第4条第1項第7号及び同第19号に該当するとする請求人の主張は、失当である。
3 むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、その指定商品中「定期的に刊行する商品案内用のカタログ及びパンフレット、通信販売のカタログ、雑誌、カレンダー、書籍、新聞、パンフレット、カタログ、その他の印刷物」について、商標法第4条第1項第10号、同第7号及び同第19号に違反してされたものではないから、同法第46条第1項の規定により、無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2006-07-28 
結審通知日 2006-08-03 
審決日 2006-08-21 
出願番号 商願2004-110410(T2004-110410) 
審決分類 T 1 12・ 22- Y (Y16)
T 1 12・ 25- Y (Y16)
T 1 12・ 222- Y (Y16)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 小林 薫
特許庁審判官 寺光 幸子
海老名 友子
登録日 2005-10-14 
登録番号 商標登録第4900949号(T4900949) 
商標の称呼 グリーンショップ 
代理人 西沢 茂稔 
代理人 橋本 克彦 

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