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審決分類 |
審判 全部無効 称呼類似 無効としない Z05 審判 全部無効 観念類似 無効としない Z05 |
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管理番号 | 1143407 |
審判番号 | 無効2004-89128 |
総通号数 | 82 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2006-10-27 |
種別 | 無効の審決 |
審判請求日 | 2004-12-27 |
確定日 | 2006-09-14 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第4371626号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第4371626号商標(以下「本件商標」という。)は、「源気」の文字を大きく横書きし、その上段に「げんき」の文字を振り仮名風に小さく併記した構成からなり、平成10年8月6日に登録出願、第5類「薬剤」を指定商品として、同12年3月31日に設定登録されたものである。 2 引用商標 請求人が引用する登録第2085510号商標(以下「引用商標」という。)は、「元気」の文字を横書きしてなり、昭和60年7月4日に登録出願、第32類「玄米を粉状にして酵素を培養して顆粒状あるいはミール状にした食料品」を指定商品として、同63年10月26日に設定登録、その後、平成10年6月2日に商標権存続期間の更新登録がされたものである。 3 請求人の主張 請求人は、本件商標の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第6号証を提出した。 (1)請求の利益について 請求人は、「源気ウコン」の商標登録(登録第4788761号商標、以下「別件商標」という。)を所持しているが、それにつき、被請求人から同人の本件商標に類似するとして、無効審判を請求された(無効2004-89090、以下「別件審判」という。)ので、請求人は、本件審判請求をするについて利害関係を有する。 (2)本件商標と引用商標の類否について 甲第3号証のとおり、被請求人は、いわゆる「健康食品」と、「薬剤」特に「滋養強壮剤」とは、商品において類似するとして、別件商標に対して別件審判を請求している。 もし、そうであるとすれば、引用商標の指定商品も、いわゆる「健康食品」であり、「薬剤」を指定商品とする本件商標とは、商品において類似することになる。しかも、本件商標と引用商標とは、称呼が同一である。 したがって、本件商標は、引用商標と類似する商標であって、その指定商品も類似するものである。 (3)以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項の規定により、その登録は、無効とされるべきである。 (4)被請求人の答弁に対する弁駁 (ア)請求人が被請求人から上記別件審判の請求をされている上記別件商標の指定商品は、「ウコンを主原料とする粉末状・錠剤状・顆粒状・粒状・カプセル状・液状の加工食品」、すなわち、ウコンを主原料とする「加工食品」である。 「薬剤」と「食料品」とが非類似の商品であることは明らかであるとの被請求人の主張からすれば、「薬剤」と「加工食品」も非類似の商品であることが明らかであるということになり、被請求人が請求した別件審判には、無効理由がないことになる。 しかしながら、被請求人は、別件審判において、明確に「薬剤」と「加工食品」とが類似商品であると主張しており、被請求人が別件審判と本件審判とにおいて、互いに矛盾した主張を行っていることは明らかである。 被請求人のように、個々の審判における自分の立場に応じて、都合のよい矛盾した主張をすることは、いわゆる禁反言の原則に反するものであって、許されない。 (イ)被請求人は、別件商標の指定商品である「ウコンを主原料とする粉末状・錠剤状・顆粒状・粒状・カプセル状・液状の加工食品」を、いわゆる「健康食品」であると主張していながら、引用商標の指定商品「玄米を粉状にして酵素で培養して顆粒状あるいはミール状にした食料品」を、「健康食品」ではなく、「食料品」であると主張している。 両商品は、ともに「健康食品」という語を含んでいないにもかかわらず、被請求人は、一方が「健康食品」であり、他方が「健康食品」ではないと主張するのみで、その根拠を明らかにしていない。 引用商標の指定商品は、「玄米」や「酵素」を原料とするものであるが、これらを原料とする「健康食品」は、よく知られており、多数存在しているので、その指定商品の内容及び表示からして、引用商標の指定商品が具体的に、いわゆる「健康食品」であることを示していることは明らかである。 だからこそ、引用商標が昭和34年法下で登録されたにもかかわらず、甲第5号証として提出する「類似商品・役務審査基準」の「その他の取扱いII(2)いわゆる健康食品の類似群コード 丸で囲んだ数字の2」に示されているとおり、審査の運用においては、引用商標の指定商品に、いわゆる「健康食品」が含まれているものとされている。 このことは、甲第4号証のとおり、引用商標の類似群に、いわゆる「健康食品」に付される類似群コード「32F01〜32F04」(上記甲第5号証の「II(2)いわゆる健康食品の類似群コード 丸で囲んだ数字の1」)が付されていることや、「健康食品」を指定商品とする別件商標の出願に対して、引用商標に類似するとの拒絶理由通知(甲第6号証)がされたことからも明らかである。 4 被請求人の答弁 被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べた。 (1)本件商標と引用商標の指定商品とは類似しない。 本件商標の指定商品は、「薬剤」である。一方、引用商標の指定商品は、「玄米を粉状にして酵素で培養して顆粒状あるいはミール状にした食料品」、すなわち、玄米を原材料とする「食料品」である。 ここで、「薬剤」と「食料品」とが非類似の商品であることは論ずるまでもなく明らかであり、商標法第4条第1項第11号の規定が適用される余地はない。 なお、請求人は、引用商標の指定商品が「健康食品」であると主張しているが、上記のとおり、商標登録が認められた引用商標の指定商品は、「健康食品」ではなく、「食料品」である。 したがって、本件商標と引用商標とが、その指定商品において類似しているとの請求人の主張には理由がない。 (2)以上のとおり、本件商標と引用商標とは、その指定商品において類似しないから、商標の類否について検討するまでもなく、本件商標は、明らかに、商標法第4条第1項第11号の規定に該当せず、本件審判請求には理由がない。 5 当審の判断 (1)請求の利益について 請求人は、自己の所有に係る別件商標(「源気ウコン」:登録第4788761号商標、第29類「ウコンを主原料とする粉末状・錠剤状・顆粒状・粒状・カプセル状・液状の加工食品」)について、被請求人から本件商標(「源気 げんき」:登録第4371626号商標、第5類「薬剤」)を引用され、別件審判請求をされているから、本件審判請求をする法律上の利害関係を有するものと認められる。なお、この点に関し、被請求人は、争っていない。 本件審判事件において、請求人は、自己の商標を引用せず、件外他人(株式会社玄米酵素)の所有に係る引用商標(「元気」:登録第2085510号商標、第32類「玄米を粉状にして酵素で培養して顆粒状あるいはミール状にした食料品」)を引用して、本件商標が商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたから、無効にされるべき旨述べている。 (2)本件商標と引用商標との類否について 商標の類否は、対比される両商標が同一又は類似の商品に使用された場合に、商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かによって決すべきであるが、その場合には、そのような商品に使用された商標がその外観、観念又は称呼等によって取引者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すべく、しかも、その商品の取引の実情を明らかにし得るかぎり、その具体的な取引情況に基づいて判断するのを相当とするところ、商標の外観、観念又は称呼の類似は、その商標を使用した商品につき出所の誤認混同のおそれを推測させる一応の基準にすぎないから、前記3点のうち、その1において類似するものでも、他の2点において、著しく相違すること、その他取引の実情等によって、なんら商品の出所に誤認混同をきたすおそれの認め難いものについては、これを類似商標と解すべきではない(最高裁第3小法廷、昭和43年2月27日判決)。 これを本件について見るに、本件商標は、上記1のとおりの構成からなるところ、その構成中の「源気」の文字は、国語辞典には見られず、既成の観念を有する語として一般に親しまれているものでもなく、その上部に書されている「げんき」の文字と相まって、全体として「ゲンキ」の称呼を生ずるものといえる。 一方、引用商標は、上記2のとおり、「活動のみなもととなる気力、健康で勢いのよいこと」の意味を有する語として、一般に親しまれ、頻繁に使用されている「元気」の文字を書してなるものであり、「ゲンキ」の称呼を生ずるものである。 そして、両商標は、「ゲンキ」の称呼を共通にするとしても、それぞれの外観が著しく異なることから、看者に対し、全く別異の印象を与えるものであり、また、本件商標は、既成の観念を有する語として一般に親しまれているものとは到底認め難いので、直ちに特定の観念を必ず想起させるものとはいい難いのに対し、引用商標は、上記のとおり、日常頻繁に使用される極めて親しまれた意味よりなる語であるために、一見して直ちに、その観念が想起されるものと認められる。 してみると、本件及び引用の両商標の類否判断においては、称呼の同一性がそれぞれの外観及び観念における相違を凌駕するものとは認められないことから、両商標を同一又は類似の商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、その出所について誤認混同するおそれはないものというべきであり、本件商標と引用商標とは、非類似の商標というのが相当である。 (3)請求人は、引用商標の指定商品が、いわゆる「健康食品」であって、本件商標の指定商品である「薬剤」、特に「滋養強壮剤」と類似し、かつ、両商標が称呼上類似するので、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する旨主張しているが、たとえ、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品とが類似するものであるとしても、上記(2)のとおり、本件商標と引用商標とが類似しないものである以上、本件商標が同法条項第11号に該当するものとはいえないから、請求人の主張は、採用することができない。 (4)以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号の規定に違反して登録されたものではないから、その登録を無効にすべき限りでない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2005-09-01 |
結審通知日 | 2005-09-06 |
審決日 | 2005-09-20 |
出願番号 | 商願平10-67842 |
審決分類 |
T
1
11・
262-
Y
(Z05)
T 1 11・ 263- Y (Z05) |
最終処分 | 不成立 |
特許庁審判長 |
大場 義則 |
特許庁審判官 |
柳原 雪身 鈴木 新五 |
登録日 | 2000-03-31 |
登録番号 | 商標登録第4371626号(T4371626) |
商標の称呼 | ゲンキ |
代理人 | 小堀 益 |
代理人 | 石津 義則 |
代理人 | 八尋 光良 |
代理人 | 堤 隆人 |