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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Z01
管理番号 1143307 
審判番号 取消2005-31059 
総通号数 82 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2006-10-27 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2005-08-29 
確定日 2006-08-18 
事件の表示 上記当事者間の登録第4437263号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4437263号商標の指定商品中「化学品としての自動車用消火剤,及びこれに類似する商品」について、登録を取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第4437263号商標(以下、「本件商標」という。)は、「FIREMASTER」の欧文字と「ファイヤーマスター」の片仮名文字とを二段に併記してなり、平成11年2月9日に登録出願、第12類「自動車用消火剤」を指定商品として、同12年12月1日に設定登録されたものであるが、その後、同17年12月7日付けで商品区分を第1類とする職権更正の登録がされ、現に有効に存続しているものである。

2 請求人の主張の要点
請求人は、結論同旨の審決を求めると主張し、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のとおり述べた。
(1)請求の理由
請求人の調査では、被請求人は、本件商標の指定商品である「化学品としての自動車用消火剤,及びこれに類似する商品」について、過去3年以内に、我が国において本件商標を使用している事実は見受けられなかった。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条第1項の規定により取消されるべきである。
(2)答弁に対する弁駁
(ア)被請求人は、本件商標を「化学品としての自動車用消火剤」について本件審判請求の登録日前3年以内に使用している旨主張する。しかし、下記に述べるとおり、本件商標が使用されている商品は第12類「自動車用消火器」であって第1類「自動車用消火剤」ではない。
(イ)被請求人は、本件商標が付された指定商品は、消火器様のボトル容器に充填された自動車用消火剤であると主張し、商品の包装及び広告に本件商標が使用されていることの証拠として乙第8号証及び乙第15号証を提出している。
しかしながら、乙第8号証及び乙第15号証において商品が自動車内に装備されているが、このことは、当該商品が車両火災時に消火器として使用されることを意味するものである。また、乙第15号証には「欧米の自動車メーカーが純正採用する消火用具」、「欧米では自動車への消火器の搭載が普及しています。この初期消火用具「ファイヤーマスター」は、「スプレー感覚で操作でき、噴射の一時停止もできる扱いやすさ。」、「スマートなデザインも魅力の一つ。」といった記載があり、このことからも本件商標が使用されている商品はボトル容器に充填された単なる消火剤ではなく、「自動車用消火器」であることが明らかである。
(ウ)また、取消2004-30014号審判において審判官は、「乙第5号証及び乙第7号証によれば、被請求人のいう前記「自動車用消火剤」は、事故などにより自動車火災が発生した場合に備えて自動車に搭載する消火剤が充填されている消火器(以下「車載消火器」という。)と認められる」と判断している(甲第2号証)。
(エ)以上のように、本件商標は「自動車用消火器」について使用されているものである。そして、「自動車用消火器」は第9類「消火器」又は第12類「自動車の附属品」の概念に属するのに対し、本件商標の指定商品第1類「自動車用消火剤」は「化学品」の概念に属するものであるから、両者は同一の商品ではない。

3 被請求人の答弁の要点
被請求人は「本件審判請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める。」と答弁し、その理由を次のとおり述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第15号証を提出した。
答弁の理由
(1)前商標権者である株式会社タッド・コーポレーションは、日本国内における英国ファイヤーマスター社の製品の配給並びに販売に関する正規独占代理権とともに、商標「FIRE MASTER」を日本において登録する権利を委任されたことに基づいて、本件商標を取得している。
そして、被請求人は、本件商標の日本国内における正当な商標権者である。
(2)被請求人は、「自動車用消火剤」を消火器様のボトル容器に封入し、このボトル容器に本件商標を付して販売等している。
すなわち、商品「自動車用消火剤」の包装に、本件商標を付して販売等している。
(3)乙第7号証の請求書写し(平成17年7月31日付け)及び乙第9号証の請求書写し(平成17年6月30日付け)によれば、被請求人は、本件審判請求の予告登録日(平成17年9月14日)前3年以内に日本国内において、指定商品「自動車用消火剤」に本件商標を付して販売していたこと明らかである。
乙第7号証及び乙第9号証の「品名」の欄に記載された「ファイヤーマスター無地FM20CF1」、「ファイヤーマスター無地FM2OBA1」等の文字は、いずれも、本件商標が付された商品「自動車用消火剤」に該当するものである。
当該事実を証する書面として、乙第8号証のインターネットのホームページを提出する。
(4)本件商標は、「FIREMASTER」と「ファイヤーマスター」の文字よりなるところ、両者はそれぞれの称呼及び観念を同じくするものであるから、両者を個別に使用しても、社会通念上同一と認められる商標の使用と判断するのが相当である。
(5)被請求人は、本件商標を「自動車用消火器」ではなく、指定商品中の「化学品としての自動車用消火剤」に使用しているものである。
本件商標の指定商品第1類「自動車用消火剤」は、商品「化学品」中の「化学剤」に属する商品であること明らかであるから、被請求人の販売する商品「自動車用消火剤」は、化学品に含まれるものである。
また、「消火器用消火剤の技術上の企画を定める省令」の第9条では、「消火剤は、希釈、濃縮、固化、吸湿、変質その他異常を生じないように、容器に封入しなければならない」旨が規定されている。被請求人の販売している「自動車用消火剤」は、このような異常を生じないように、ボトル容器に封入して販売しているものである(甲第12号証)。
したがって、被請求人は、本件商標を、当該指定商品である「自動車用消火剤」を封入した包装容器に付した状態で使用していること明らかである。

4 当審の判断
被請求人は、「自動車用消火剤」を消火器様のボトル容器に封入し、このボトル容器に本件商標を付して販売等していると主張し、その使用の事実を証する書面として乙第7号証ないし乙第15号証を提出しているので検討する。
(1)乙第7号証は、平成17年7月31日付け、(株)ファイアーマスタージャパンから、大阪府交野市在の(株)エスパーへの請求書の写しであり、日付の項目の17.6.8、17.6.17及び17.6.25の品名欄には、「ファイヤーマスター無地FM20CF1 600g」、「ファイヤーマスター無地FM20BA1 600g」、「ファイヤーマスター無地FM20BK1 600g」及び「ファイヤーマスターFM20BA 600g」の表示があり、単価の項目には「2,940」の表示がある。
(2)乙第8号証は、被請求人のインターネットのホームページ上の商品情報の写し(カラー)であり、「Flamebeater」と表示された6本のボトルと左から1000DP-C(1kg/クローム/ゲージ付き).FM20RD(600g/レッド)FM20BA(600g/シルバー).FM20BL(600g/ブルー).FM20BK(600g/ブラック).FM20CF(600g/カーボン)の表示及び商品説明の表(同号証3枚目)が確認できる。その表には、項目\機種名として、メタリックレッドFM20RD、メタリックシルバーFM20BA、メタリックブルーFM20BL、と表示され、その各項目には噴射時間 6-9秒、素材量 600g、サイズH×W 306×径59mm、総重量 900g、希望小売価格(税込)5,145円と表示され、ファイヤーマスター商品は、株式会社ファイヤーマスタージャパンがお届けします。お問い合わせは下記のところまでどうぞ。株式会社ファイヤーマスタージャパン等の表示がある。
さらに、同号証4枚目には、ファイヤーマスタークラシック NATOスペックモデル 左から1000PR-Cクローム、1000PR-Bブラス、1000PR-Rレッド(1kgモデルはNATOスペックモデルと同一のフォールディング・レバー方式を採用しています)PSP2000-R レッド、PSP2000-BL ブルー、PSP2000-MO ミリタリーグリーンの表示がある。
(3)乙第9号証は、平成17年6月30日付け、(株)ファイアーマスタージャパンから、東京都江戸川区中葛西在の有限会社トレードデザインへの請求書(控)の写しであり、日付の項目の17.6.15の品名及び単価の欄には「ファイヤーマスター 1000DPCrome 1kg 6,000」、「ファイヤーマスター FM20CF 600g 2,450」及び「ファイヤーマスター FM20 600g 2,100」の表示、及び17.6.28の品名及び単価の欄には「ファイヤーマスター 1000PRBrass 1kg 7,200」、「ファイヤーマスター 2000DP 2kg 5,100」及び「ファイヤーマスター FM20CF 600g 2,450」の表示がある。
(4)乙第14号証は、ファイヤーマスター使用例の写し(カラー)であり、1.本体より安全ピンを引き抜きます。2.消火器を垂直に構え、危険でない限度で火元に近づき、頭部レバーを強く押して、火元を掃くように薬剤を噴射します。(・・・)3.頭部レバーを戻すと噴射は停止致します。残り火に注意して最後までよく消火して下さい。との説明文と使用例の画像が表示されている。
(5)乙第15号証は、平成16年8月23日 (株)JAFサービス発行の「SHOPPING CATALOG 秋 好人好物 2004」の写し(カラー)であり、その表紙には、「お申し込み締め切り2004年10月末日」との表示があり、次頁には、「欧米の自動車メーカーが純正採用する消火用具。スプレー感覚で使用でき、とっさの初期消火に安心。」の説明と共に、8233625 自動車用消火剤・ファイヤーマスター・・7,245円(税込)初期消火用具 Aメタリックレッド、Bメタリックカーボン、Cメタリックシルバー ●サイズ(約):直径5.9×高さ30.5cm、●重量(約):900g、●材質:軽量アルミ、他、●薬剤量:600g等の表示と各商品の画像が掲載されている。
(6)乙第7号証の取引書類の品名に表示された「ファイヤーマスターFM20BA 600g」は、乙第8号証の商品情報のFM20BA(600g/シルバー)及び乙第9号証の取引書類の商品名に表示された「ファイヤーマスター 1000DPCrome 1kg 6,000」は、乙第8号証の商品情報の1000DP-C(1kg/クローム/ゲージ付き)を指すものと認められる。
(7)以上の乙各号証及び答弁を総合すると、被請求人は、少なくとも平成16年8月23日には、本件商標と社会通念上同一と認められる「ファイヤーマスター」を、商品「自動車用の初期消火用具」に使用したものと認められる。
そして、上記商品「自動車用の初期消火用具」は、その容器の構造が、上部に安全ピンやレバーが装備されたものであり、乙第14号証の使用説明書及びその使用例が示す写真のとおり、安全ピンを引き抜いて、頭部レバーを強く押して直ちに消火作業が可能な構造からなるものであるから、「自動車用消火器」と認められる。
そうとすると、被請求人は、本件商標を当該指定商品である「自動車用消火剤」を封入した包装容器に付して使用していること、当該容器自体は「日本国内法に定める検定消火器」ではないこと及び「消火器用消火剤の技術上の企画を定める省令」の第9条の規定に従い、異常を生じないようにボトル容器に消火剤を封入して販売しているものであり、取引書類(乙第9号証)には総重量ではなく素材量である600gの表示がされていること等からも、ボトルに封入された消火剤を販売している旨主張するが、本件使用商品は、「化学品としての自動車用消火剤」ではなく、前記のとおり商品「自動車用の初期消火用具」であって、「自動車用消火器」と認められるものであるから、この点に関する被請求人の主張は妥当でなく、採用できない。
してみれば、被請求人は、本件商標を継続して本件取消審判の請求の登録日(平成17年「2005年」9月14日)前3年以内に日本国内において、本件取消請求に係る指定商品「化学品としての自動車用消火剤,及びこれに類似する商品」について使用していなかったものといわざるを得ず、また、これを使用していないことについて正当な理由があることを明らかにしていない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、その指定商品中結論掲記の商品についての登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2006-06-15 
結審通知日 2006-06-22 
審決日 2006-07-06 
出願番号 商願平11-9954 
審決分類 T 1 31・ 1- Z (Z01)
最終処分 成立  
特許庁審判長 柴田 昭夫
特許庁審判官 小川 有三
岩崎 良子
登録日 2000-12-01 
登録番号 商標登録第4437263号(T4437263) 
商標の称呼 ファイヤーマスター、ファイアマスター、マスター 
代理人 中田 和博 
代理人 渡邊 薫 
代理人 青木 博通 
代理人 柳生 征男 
代理人 足立 泉 
代理人 土生 真之 

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