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審判番号(事件番号) データベース 権利
取消200530805 審決 商標
取消200331101 審決 商標
審判199931384 審決 商標
取消200330345 審決 商標
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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 128
審判 一部取消 商標の同一性 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 128
管理番号 1141753 
審判番号 取消2005-31137 
総通号数 81 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2006-09-29 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2005-09-14 
確定日 2006-07-31 
事件の表示 上記当事者間の登録第1705662号の2商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第1705662号の2商標の指定商品中、第9類「家庭用テレビゲームおもちゃ,家庭用テレビゲームおもちゃのゲームプログラムを記憶させた電子回路・磁気テープ・磁気ディスク・光ディスク・ROMカートリッジ・その他の記録媒体」及び第28類「携帯用液晶画面ゲームおもちゃ,縫いぐるみ,その他のおもちゃ,人形,囲碁用具,将棋用具,歌がるた,さいころ,すごろく,ダイスカップ,ダイヤモンドゲーム,チェス用具,チェッカー用具,手品用具,ドミノ用具,トランプ,花札,遊戯用カード,マージャン用具」については、その登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第1705662号の2商標(以下、「本件商標」という。)は、別掲に示すとおりの構成からなり、昭和56年3月25日に登録出願、第24類「運動具、その他本類に属する商品」を指定商品として、昭和59年8月28日に設定登録された商標権の指定商品中「おもちゃ,人形,娯楽用具」について、平成12年10月4日に分割移転の登録がなされたものである。その後、指定商品については、平成17年5月25日に、第9類「家庭用テレビゲームおもちゃ,家庭用テレビゲームおもちゃのゲームプログラムを記憶させた電子回路・磁気テープ・磁気ディスク・光ディスク・ROMカートリッジ・その他の記録媒体,携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用のプログラムを記憶させた電子回路・ROMカートリッジ・その他の記録媒体,スロットマシン」及び第28類「携帯用液晶画面ゲームおもちゃ,縫いぐるみ,その他のおもちゃ,人形,囲碁用具,将棋用具,歌がるた,さいころ,すごろく,ダイスカップ,ダイヤモンドゲーム,チェス用具,チェッカー用具,手品用具,ドミノ用具,トランプ,花札,遊戯用カード,マージャン用具,遊戯用器具,ビリヤード用具」に書換登録がされたものである。

2 請求人の主張
請求人は、結論と同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第4号証(枝番を含む)を提出した。
(1)請求の理由
請求人の調査によれば、本件商標はその指定商品中、第9類「家庭用テレビゲームおもちゃ,家庭用テレビゲームおもちゃのゲームプログラムを記憶させた電子回路・磁気テープ・磁気ディスク・光ディスク・ROMカートリッジ・その他の記録媒体」及び第28類「携帯用液晶画面ゲームおもちゃ,縫いぐるみ,その他のおもちゃ,人形,囲碁用具,将棋用具,歌がるた,さいころ,すごろく,ダイスカップ,ダイヤモンドゲーム,チェス用具,チェッカー用具,手品用具,ドミノ用具,トランプ,花札,遊戯用カード,マージャン用具」につき継続して3年以上日本国内において使用されていないのみならず、本件商標を使用していないことについて何ら正当な理由が存することも認められない。
また、本件商標について専用使用権の設定又は通常使用権許諾の登録もないから、使用権者による使用ということも問題にならないので、請求人は商標法第50条第1項の規定に基づき、本件商標の指定商品中、上記商品につき登録取消審判を請求する。
(2)答弁に対する弁駁
ア 登録商標と「VIRTUA FIGHTER」との関係について
被請求人が提出した乙第1号証の1には、ゲームソフトのタイトル「VIRTUA FIGHTER 4 EVOLUTION」の欧文字が上下前後に一体感を以て表記されている。
ここで、「VIRTUA FIGHTER」とは1993年に発売されたテレビ(コンピュータ)ゲームのタイトルで、「仮想の戦士」を操作し互いに戦わせる3D格闘ゲームである(「VIRTUA(L)」には「仮想の、バーチャルな」、「FIGHTER」には「戦士、闘士」等の意味がある)。
「VIRTUA FIGHTER」には、「1〜4」 の他に「VIRTUA FIGHTER RIMIX」などがあり 、「VIRTUA FIGHTER 4 EVOLUTION」はそのうちの一作品である。「VIRTUA FIGHTER 4 EVOLUTION」の公式ウェブサイトによれば、同作品は『国内50万本以上のセールスをはじき出した前作「VIRTUA FIGHTER 4」の進化形』であるとして、「登場キャラクター数」や「ステージ(背景)のリニューアル」など、中身に関する7つの改良点をあげている(甲第3号証)。よって、請求人が証拠として引用した「VIRTUA FIGHTER 4 EVOLUTION」は、改良された作品の内容を示すサブタイトルであるといえる。
ここで、コンピュータゲームソフトのタイトルが商標の使用に当たるか否かについて、登録商標「三国志」の権利者が、「三国志 武将争覇」というタイトルのコンピュータ用ゲームソフトの販売が商標権侵害に該当するとして「三国志」の使用差止を求めて千葉地裁に仮処分申請した事件がある(平成6年3月25日 千葉地裁平成05(ヨ)703商標権民事仮処分事件)。千葉地裁はこの事件で「ゲームソフトは書籍と同じ著作物であり、著作物の題号はその創作物の内容を表示するための名称であるので自他商品の識別標識としての機能を果たす態様で用いられるものではない。」との趣旨で同申請を却下している。本件も「EVOLUTION」は作品の内容を示すサブタイトルであるから類似するケースといえる。
なお、「EVOLUTION」を家庭用テレビゲームのタイトルに使用したケースは本件の他に、「EVOLUTION/SNOWBOADING(コナミ株式会社)」等がある(甲第4号証の1〜6)。
イ 登録商標と使用商標との同一性に関して
本件商標は、上段のアーチ型の枠内に描かれた風景画と下段の文字幅が等しく、「3」の下部は「EVOLUTION」に掛かるよう変形され、商標全体に一体感を与えている。したがって、図形と文字は一体不可分の商標とみなすべきであり、証拠に示されたように構成中の大部分を占める風景を無視し「EVOLUTION」の使用のみをもって社会通念上同一であるとする主張は適切ではない。
なお、被請求人は、平成2年(行ケ)48号「POLA」事件を取り上げているが、上中下三段構成からなる登録商標「図形/POLA/ポーラ」は、「果実」の訪問販売用の箱に掛けられた紙帯に付されたもので(商標法第2条第3項第1、2号の行為に該当)、著作物の題号に使用している本件とは事案が異なり、また、登録商標の「図形」、「POLA」、「ポーラ」は一枚の紙帯上に表記されていることから、文字部分のみ使用をもって登録商標の使用とする本件の参考にはならない。

3 被請求人の答弁
被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とするとの審決を求め、答弁の理由を次のように述べ、証拠方法として乙第1号証及び同第2号証(枝番を含む。)を提出した。
(1)被請求人は、本件商標及びこれと類似する登録第4120250号の2商標「EVOLUTION」を、商品「家庭用テレビゲームおもちゃのゲームプログラムを記憶させた電子回路・磁気テープ・磁気ディスク・光ディスク・ROMカートリッジ・その他の記録媒体」に使用している(乙第1号証及び同第2号証)ので、本件商標は商標法第50条第1項に該当するものではない。
被請求人は、「EVOLUTION」の文字を表示した家庭用テレビゲームソフト(CD-ROM)「VIRTUA FIGHTER 4/ EVOLUTION」(バーチャファイター4 エボリューション)を2003年3月13日に発売し以後販売している(乙第1号証の2及び乙第2号証の2)。そして、当該ソフトに表示された「EVOLUTION」の文字は、商取引における識別標識として機能するものであるので、当該ソフトの商標であるといえるものである。
してみれば、本件審判請求日が平成17年(2005年)9月14日であるので、被請求人が、本件取消審判請求前3年以内に「EVOLUTION」を本件商標の指定商品に使用していたことは明らかである。
(2)「EVOLUTION」と本件商標の関係
被請求人が使用している標章は「EVOLUTION」の文字からなるものであるから、外観において本件商標と酷似するとはいい難いものである。
しかしながら、「登録商標は、これを付する商品の具体的な性状に応じ、適宜に変更を加えて使用されるのがむしろ通常であるから、そのような変更が当該登録商標の有する独自の識別性に影響を与えていない限り、なお同一の範囲に属する標章と認識するのが、商品需要者あるいは取引者の通念というべきである。そして、商標の不使用を事由とする商標登録取消しの制度の存在理由(全く使用されていないような登録商標は、第三者の商標選択の余地を狭めるから、排他的な権利を与えておくべきでないとするのが主たる理由と考えられる。)に鑑みると、登録商標と称呼及び観念を同じく外観も酷似する標章(これを、『社会通念上、登録商標と同一の標章』と称することもできよう。)の使用が同条にいう『登録商標の使用』に該当すると解すべきことは当然であるが、それにとどまらず、登録商標の構成に変更が加えられたために外観が必ずしも登録商標と酷似するとはいえない標章であっても、構成の変更が、登録商標の構成において基本をなす部分を変更するものでなく、当該登録商標が有する独自の識別性に影響を与えない限度にとどまるものであるときは、その標章の使用をもって商標法第50条にいう『登録商標の使用』に該当すると解して差支えないとするのが正当である。(パリ条約第5条C(2)の規定を参照)。」(平成3年2月28日、東京高裁平成2年(行ケ)48号「POLA」事件)とされている。
これを本件についてみると、使用の事実を示す乙第1号証及び同第2号証の「EVOLUTION」は、本件商標の文字部分と実質的に同一であり同一の「エボリューション」の称呼を生じる。そして、本件商標の識別性が図形と文字部分の夫々に存すると解されるとしても、図形部分は特定の称呼、観念を生ずるものでない風景的なものであるので、本件商標の構成においてその基本をなすのが「EVOLUTION」の文字部分であることから、本件使用標章のうち、「EVOLUTION」の文字部分には、登録商標の識別性が明確に維持されているというべきである。
以上のとおりであるから、本件使用標章のうち、少なくとも「EVOLUTION」の文字部分は、本件商標と同一の範囲に属する標章とするのが、商品需要者あるいは取引者の社会通念に合致するものである。
したがって、本件商標は、本件審判請求前三年以内に日本国内においてその指定商品のうち少なくとも「家庭用テレビゲームおもちゃのゲームプログラムを記憶させた光ディスク・その他の記録媒体」について使用していたことは明らかであるので、商標法第50条規定により取消されるべきものではない。

4 当審の判断
被請求人は、本件商標は、本件審判請求に係る指定商品のうち少なくとも「家庭用テレビゲームおもちゃのゲームプログラムを記憶させた光ディスク・その他の記録媒体」について使用していたと主張するので、以下検討する。
(1)被請求人の提出に係る証拠によれば、
ア 被請求人のホームページの写し(乙第1号証の2)には、家庭用ゲームソフトの関連頁に、「プレイステーション2」の表示の下に、「バーチャファイター4エボリューション」、「Virtua Fighter 4 Evolution」の表示があり、その続きの頁には、「バーチャファイター4エボリューション」の現物(包装)の写真が掲載され、発売日が2003年3月13日であることが表示されている。そして、乙第1号証の1は、当該現物(包装)を拡大して示したものと認められるところ、そこには、「EVOLUTION」の文字が「VIRTUA FIGHTER 4」の上に線を挟んで表示され、その下部に「バーチャファイター4 エボリューション」の表示があることが認められる。
イ 2003年3月14日号「WEEKLYファミ通」(乙第2号証の1)には、プレイステーション2用のゲームソフト(DVD-ROM)が被請求人より3月13日発売予定であるとの記事が掲載され、「EVOLUTION」の文字が「VIRTUA FIGHTER 4」の上に線を挟んで表示され、その下部に「バーチャファイター4 エボリューション」の表示があることが認められる。
ウ また、2003年3月28日号「WEEKLYファミ通」(乙第2号証の2)には、前記(イ)と同じゲームソフトが3月13日発売との記事があり、そこに「バーチャファイター4 エボリューション」の表示がある。そして、同頁のやや下部に、上記乙1の1を表示した商品現物(包装)と思われる写真が掲載されていることが認められる。
(2)ところで、本件商標は、別掲のとおり、図形と文字との結合した構成からなるものである。
しかして、その結合は、いずれが主要部分でいずれが補助的(付記的)部分であると断じることは不可能なほど分かち難いものというべきであって、本件商標から文字部分のみを抽出して、それを商標として使用しても、それは本件商標の使用には該当しないと判断するのが相当である(昭和55年(行ケ)第337号・東京高裁昭和57年9月30日判決参照)。
(3)しかるところ、上記(1)のとおり、プレイステーション2用のゲームソフト(DVD-ROM)の包装及び雑誌広告には「EVOLUTION」の文字の使用を認め得るに止まるものであり、全資料を精査しても、本件商標を構成する図形と文字を結合した商標の使用を認め得る証左は見出せない。
これについて、被請求人は、「EVOLUTION」は、本件商標の文字部分と実質的に同一であり同一の「エボリューション」の称呼を生じる。そして、本件商標の識別性が図形と文字部分の夫々に存すると解されるとしても、図形部分は特定の称呼、観念を生ずるものでない風景的なものであるので、本件商標の構成においてその基本をなすのが「EVOLUTION」の文字部分であることから、本件使用標章のうち、「EVOLUTION」の文字部分には、登録商標の識別性が明確に維持されており、本件商標と同一の範囲に属する標章とするのが、社会通念に合致する旨主張する。
しかしながら、本件商標は、図形と文字とが結合された商標であること前記(2)のとおりであり、そのいずれかを欠いた構成の変更は、登録商標の構成において基本をなす部分を変更するものであり、当該登録商標が有する独自の識別性に影響を与えない限度にとどまるとは到底言い難いというべきである。
したがって、その称呼を共通にする場合があるとしても、これをもって、本件商標と社会通念上同一の商標が使用されたものであるとすることはできない。
してみると、被請求人は、本件商標の使用をしていることを証明したとは言い難いものであり、また、不使用について正当な理由があるとの主張・立証はない。
(4)以上のとおり、本件商標は、取消請求に係る指定商品について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが使用をしていないものに該当するといわざるを得ないものである。
したがって、本件商標は、指定商品中、第9類「家庭用テレビゲームおもちゃ,家庭用テレビゲームおもちゃのゲームプログラムを記憶させた電子回路・磁気テープ・磁気ディスク・光ディスク・ROMカートリッジ・その他の記録媒体」及び第28類「携帯用液晶画面ゲームおもちゃ,縫いぐるみ,その他のおもちゃ,人形,囲碁用具,将棋用具,歌がるた,さいころ,すごろく,ダイスカップ,ダイヤモンドゲーム,チェス用具,チェッカー用具,手品用具,ドミノ用具,トランプ,花札,遊戯用カード,マージャン用具」については、商標法第50条の規定により、その登録の取消しを免れないものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 (別掲)本件商標


審理終結日 2006-05-29 
結審通知日 2006-06-09 
審決日 2006-06-20 
出願番号 商願昭56-24015 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (128)
T 1 32・ 11- Z (128)
最終処分 成立  
特許庁審判長 山口 烈
特許庁審判官 伊藤 三男
山本 良廣
登録日 1984-08-28 
登録番号 商標登録第1705662号の2(T1705662-2) 
商標の称呼 エボリューションスリー、エボリューション 
代理人 加藤 義明 
代理人 アインゼル・フェリックス=ラインハルト 

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