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審決分類 審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない Z29
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない Z29
管理番号 1139649 
審判番号 不服2003-8860 
総通号数 80 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2006-08-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-05-19 
確定日 2006-06-26 
事件の表示 商願2000-120000拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、別掲のとおり、「三浦葉山牛」の文字を筆書き風に縦書きしてなり、第29類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として、平成12年11月6日に登録出願されたものであるが、その後、指定商品については、同13年10月1日付け手続補正書により、第29類「牛肉」に補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定において、「本願商標は、『神奈川県三浦郡葉山町』を容易に認識する『三浦葉山』と『牛』の文字を一連に書した『三浦葉山牛』の文字を筆書き風に縦書きしてなるものであるところ、本願商標を指定商品に使用しても、『神奈川県三浦郡葉山町産の牛肉』であることを理解するにとどまり、単に商品の産地、品質を表したものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する。また、本願商標は、使用により自他商品の識別力を取得したものと認めることはできないから、商標法第3条第2項の要件を具備するに至ったものとも認められない。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号の該当性について
本願商標は、別掲のとおり、「三浦葉山牛」の文字よりなるところ、該文字は、神奈川県三浦半島の北西に位置する葉山町を容易に認識させる「三浦葉山」の文字と、「牛」の文字とを一連に書したものと容易に理解できるものである。
そして、「三浦葉山牛」の文字が、神奈川県三浦半島の葉山町で生産された牛肉であることを表示するためのものとして、取引上、普通に使用されていることは、以下にあげる書籍、インターネット及び新聞記事情報等から、窺い知ることができる。
(ア)「地域における産地銘柄化食肉、鶏卵一覧〔牛肉編・豚肉編/鶏肉編・鶏卵編〕」(社団法人中央畜産会発行)の「牛肉編」の「産地銘柄化食肉一覧表」中に、「丹波牛」等と並んで「三浦葉山牛」の記載。
(イ)「鎌倉TODAY-御代川」のホームページ(http://www.kamakuratoday.com/meiten/miyokawa.html)中の「しゃぶしゃぶ」の項目に、「三浦葉山牛を使用しております。この肉は、・・・三浦葉山地方で飼育し成牛にした・・・」の記載。
(ウ)2004年1月9日付け朝日新聞東京地方版には、「三浦葉山牛 葉山町(かながわ亭の逸品:8)/神奈川」の見出しのもと、「葉山町上山口の山あいにある牛舎の中で、出荷を控えた牛がひもにつながれていた。・・・『松坂』『神戸』と肩を並べ、最高級の牛肉として知られる。・・・15等級の枝肉のうち、上位4等級だけを『三浦葉山牛』として売り出している。」の記載。
(エ)「牛の種類についてのお勉強」のホームページ(http://www.park15.wakwak.com/~ikarin/syurui.htm)には、「銘柄牛・・・主に黒毛和種などから質のいい素牛を選択し通常より肥育期間が長くかけ濃厚配合飼料を与えて育てた牛のこと。つけられた地域の名前はそこでうまれたのではなく、その地域で育てられた牛という意味。」の記載、及びその「和牛系 黒毛和種」の項目中には、「松阪牛(三重県)、近江牛(滋賀県)米沢牛(山形県)常陸牛(茨城県)神戸牛(兵庫県)前沢牛(岩手県)仙台牛(宮城県)三浦葉山牛(神奈川県)」の記載。
(オ)「阿蘇和牛 和牛と国産牛の違い・関係 銘柄牛」のホームページ(http://www.tanbaya.net/goodtaste/topic18/topic18_3.html)には、「産地名のついた高級和牛等を銘柄牛と呼びます。」の記載及びその「銘柄牛一覧」中に、「三浦葉山牛」の記載。
(カ)「約17年前、三浦半島の葉山で生まれた黒牛和種の銘柄牛、三浦葉山牛だ。」(甲第14号証の8)の記載。
そうすると、上記の実情からして、本願商標をその指定商品である「牛肉」に使用しても、これに接する取引者、需要者は、該商品が「三浦半島の葉山町で生産された牛肉」という、単に商品の産地、品質を表示したものと理解するに止まり、自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものとは認識し得ないものというべきであり、かつ、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の産地、品質について誤認を生じさせるおそれがあるものと判断するのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。
(2)使用による識別性について
請求人(出願人)は、本願商標が商標法第3条第2項の適用を受けられるものであると主張し、証拠書類として甲第1号証ないし同第24号証(枝番を含む。)を提出しているので、以下検討する。
(ア)甲第1号証ないし甲第3号証、甲第3号証の2、及び甲第3号証の6ないし8及び甲第21号証は、いずれも請求人自身が作成したものであって、その内容を裏付ける客観的に認め得るに足りる証拠の添付がない。
(イ)甲第8号証ないし甲第12号証(枝番を含む。)の証拠は、あらかじめ三浦半島酪農組合連合会が印字した同一の証明書用紙に各証明者が日付を記入し、記名押印するという形式によるものであって、証明者がいかなる根拠に基づき、取引者・需要者間でも本願商標が周知な商標と確実に認められていること(甲第8号証ないし甲第9号証の6、甲第10号証の1ないし甲第11号証の16、及び12号証の19ないし63)、消費者の間でも本願商標が周知な商標と確実に認められていること(甲第12号証の1ないし18)、本願商標が全国的に明らかに識別・認識されるに至っている商標であること(甲第9号証の7及び8)等を証明したのか、その証明の判断の客観的な過程が明らかでない。
(ウ)甲第3号証の3ないし5の証拠中には、請求人による牛肉の販売金額と認められる売買仕切書も添付されているが、そこに記載された金額が、本願商標と同一の態様の文字からなる商標を使用して販売した牛肉の販売金額であることを客観的に証明する証拠の添付がないものであるから、これらを、請求人による本願商標を使用した商品の販売金額と認めることはできない。
(エ)甲第4号証ないし甲第7号証の1ないし3及び5、甲第15号証の2及び3、甲第20号証、甲第20号証の2、及び甲第24号証の1の証拠における商標の態様をみると、本願商標と同一の態様であると認められるものの、該商標が使用により識別力を有するに至ったかどうかを判断するための、例えば、 生産、証明若しくは譲渡の数量等を示す証拠の添付がないから、これらの証拠によって、本願商標が使用により自他商品の識別力を取得したことを証明する証拠と認めることはできない。
(オ)甲第7号証の4、甲第24号証の4、甲第24号証の9及び10の証拠における商標は、飲食物の提供に使用されているものであり、甲第24号証の6及び7は、商品「カレー」に使用されているものであるから、これらの証拠は、本願商標を「牛肉」について使用していることを証明するものではない。
(カ)甲第24号証の12は、「三浦葉山牛」の「YAHOO!JAPAN」で検索した結果のうちの、1から20件目の記載のコピーであり、その中の「三浦葉山牛とは?」のホームページを開くと、そこには、本願商標と同一の態様の文字からなる商標の記載が認められるものの、該商標が使用により識別力を有するに至ったかどうかを判断するための、例えば、 生産、証明若しくは譲渡の数量等を示す証拠はないから、本願商標が使用により自他商品の識別力を取得したことを証明する証拠となり得ない
(キ)甲第13号証の1ないし7、甲第14号証の1ないし9、甲第15号証の1、甲第16号証ないし甲第18号証の1及び2、甲第19号証の1ないし3、甲第22号証、甲第23号証の1及び2、甲第24号証の2、3、5、8及び11には、どこにも、本願商標と同一の構成態様の商標の記載が認められないものであるから、これらの証拠は、本願商標が、その指定商品について使用された結果、需要者が請求人の業務に係る商品であることを認識することができるものであることを証明するものではない。
してみれば、請求人の提出した証拠を総合して勘案しても、本願商標が、その指定商品について使用された結果、需要者が請求人の業務に係る商品であることを認識することができるものとは認められないものである。
なお、甲第14号証の3の17頁(「畜産コンサルタント」)には、「しかし、業界新聞の関係者は別にして一般の消費者は、『松阪牛』等のメジャーな銘柄は知っているが、自県産の銘柄もよく知らないのが現状ではないだろうか。」の記載も見受けられる。
(3)まとめ
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当し、かつ、同法第3条第2項の要件を具備しないとした原査定は妥当なものであって、取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲 本願商標

審理終結日 2005-12-07 
結審通知日 2005-12-13 
審決日 2005-12-27 
出願番号 商願2000-120000(T2000-120000) 
審決分類 T 1 8・ 272- Z (Z29)
T 1 8・ 13- Z (Z29)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 堀内 仁子 
特許庁審判長 中村 謙三
特許庁審判官 久我 敬史
津金 純子
商標の称呼 ミウラハヤマギュー、ハヤマギュー 
代理人 成瀬 勝夫 
代理人 中村 智廣 
代理人 成瀬 勝夫 
代理人 中村 智廣 

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