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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Z38
管理番号 1138102 
審判番号 取消2004-31646 
総通号数 79 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2006-07-28 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2004-12-27 
確定日 2006-06-07 
事件の表示 上記当事者間の登録第4518247号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4518247号商標の商標登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第4518247号商標(以下「本件商標」という。)は、「ISLE」の文字を標準文字で書してなり、平成12年2月1日に登録出願、第38類「インターネットを利用した電子計算機端末による通信,移動体電話による通信,テレックスによる通信,電話による通信,電子計算機端末による通信,電報による通信,ファクシミリによる通信,無線呼び出し」を指定役務として、同13年11月2日に設定登録されたものである。

2 請求人の主張の要点
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁の理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証及び同第2号証を提出した。
(1)請求の理由
本件商標は、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも、指定役務について登録商標を使用してない。
よって、請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標登録を取り消すとの審決を求める。
(2)被請求人の答弁に対する弁駁の理由
ア 「商標使用権許諾契約書」(証拠1号)について
「商標使用権許諾契約書」は、被請求人と株式会社セブンディズ(以下「セブンディズ」という。)との間の商標使用の許諾に関する契約である。
第1条マル2において、「実施期間:2年間(自2004年2月1日・至2006年1月31日)」の記載があり、第2条において、「乙は、商標使用権の対価について、甲に対して上記1条のマル2の期間においては、特にロイヤルティーは定めないものとします。但し、乙が本商標の実施期間の延長を希望する場合は、別途に本商標の使用の対価について協議するものとします。」との記載がある。
上記の記載内容から、2004年2月1日から2006年1月31日に至る間は、ロイヤルティーは無料との趣旨が読み取れるものであり、その間、被請求人は株式会社セブンディズに対し、本件商標権の使用を無償で許諾していたものである。
イ 「ISLE BBS」(審決注:「ISLE」と「BBS」との文字間に登録商標である旨の表示(円内にRの文字)がある。「ISLE BBS」の表示について、以下、同じ。)(証拠2号)について
「ISLE BBS」は、いわゆる掲示板(BULLETIN BOARD SYSTEM)のサービスをインターネット上で行うものである。
証拠2号の第1頁には、「プレゼント希望や感想、ファッション情報などカキコして下さい」、「ISLE の掲示板で情報発信!」、「Internet Satisfaction League Establishment ”インターネット満足生活”を実現する為の情報BBSです!」との記載がある。その最終頁には、「ども、初めまして。mall@管理人です。 BBS始めちゃいました〜 このBBSは、インターネット&満足生活を追求する趣旨でISLE(R)「Internet Satisfaction League Establishment」と題してサービスを提供します。・・・基本的には・・・何でもオッケーです。(笑)・・・じゃんじゃん書き込んでください」などとの書き込みがあり、これら摘示した「mall@管理人」の書き込み、その他、第2号証における書き込みは、本件「ISLE BBS」が、無償でサービス提供されていることを示すものである。
なお、被請求人は、答弁書において、上記「ISLE BBS」が、有料あるいは有償で提供されていることの主張は行っておらず、かつ、有料あるいは有償で提供されていることを示す証拠を提出していない。
これら被請求人の主張及び全証拠を勘案すると、本件「ISLE BBS」の役務提供は無償である。
ウ 商標法の「商品」「役務」「使用」の意義について
(ア)商標法は、その第2条1項において「商標」を定義する。
すなわち、商品にあっては「商取引の対象として流通する有体物」をいうものであり、役務にあっては「商取引の対象として流通する役務」をいうものである。
また、その第2条3項において「使用」を定義する。
すなわち、商標法第2条3項における「役務の提供に当たりその提供を受ける者の当該役務の提供に係る物に標章を付する行為」(同項第6号)あるいは「電磁的方法(電子的方法、磁気的方法その他の人の知覚によつて認識することができない方法をいう。次号において同じ。)により行う映像面を介した役務の提供に当たりその映像面に標章を表示して役務を提供する行為」(同条同項第7号)などにおける「役務」は、かかる商標法上の「役務」をいう。
(イ)東京高裁昭和50年(行ケ)第154号判決(甲第2号証)は、「無料で配付した印刷物は、被告の顧客に対するサービスたるにすぎず、もとより、商取引としてなされたものとはいえず、商標法第2条にいう商品というに足りない」、「『日曜夕刊』という標章が附されたとはいえ、その配布は商標法の「使用」に該当するものということはできない。」、「商標権者、専用使用権者及び通常使用権者のいずれによっても、その指定商品について使用されていなかったものである」と判断して、不使用取消を認めたものである。
また、東京高裁平成1年(行ケ)第139号(甲第1号証)は、「原告おりがみは、薬品等の販売品とともに顧客に無償配布されるという特定の目的のもとに引き渡される」、「買い受けたタケダ会の登録薬局は薬品等の販売品とともに宣伝用サービス品としてこれを無償配布するのであるから、原告おりがみをもって、一般市場で流通に供することを目的とした有体物ということはできない。」と判断して、顧客に対して、宣伝用サービス品として無償配布される「おりがみ」は、商標法上の「商品」であることを否定したものである。
エ 結論
前記において示した判例は、「商品の使用」に関する判例であるが、「役務の使用」についても、その論拠は適用されるものである。すなわち、宣伝用あるいはサービス用に無償で提供される役務は、「一般市場で流通に供することを目的とした役務」あるいは「商取引の対象として流通する役務」に該当しないものであり、商標法の「役務の使用」にはあたらない。
本件商標において、被請求人の許諾を受けて、本件商標を使用しているとするセブンディズは、本件BBSのサービスを無償で提供しているものであり、かかるサービスは「商取引の対象として流通する役務」、すなわち商標法上の「役務」にはあたらない。
したがって、被請求人の許諾を受けたセブンディズが、提供する役務において「ISLE」なる標章を使用していたとしても、商標法の「使用」には該当しないものである。
結局、本件商標は、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも、指定役務について登録商標を使用してないものであり、商標法第50条第1項の規定により、取り消されなければならない。

3 被請求人の答弁の要点
被請求人は、「本件審判請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする」との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として証拠1号及び同2号を提出した。
上記証拠1号及び同2号は、本件商標の使用の事実を証明する証拠方法として被請求人が提出したものであるから、以下、これらの証拠の標記を、提出された証拠の番号に従い「乙第1号証」及び「乙第2号証」として記載する。
(1)商標使用
本件商標について、2004年1月22日付けにてセブンディズに対し「商標使用権許諾契約」を交わした。
以後、セブンディズは、2004年2月よりインターネット等のネットワークを通じた役務提供行為において、モニターやディスプレイ等の「映像面」に本件商標「ISLE」を表示し、一般ユーザーに対し電子掲示板による通信の役務の提供を継続的に行っている。
インターネット等のネットワークを通じて、本件登録商標の使用を行っているURLアドレスは、「http://WWW.7days.co.jp/」、「http://WWW.7days.co.jp/isle/isle.cgi」である。
したがって、本行為は、商品及び役務の区分「第38類 電気通信(放送を除く)」という役務についての商標の使用に該当する。
(2)結論
本件商標は、商標権者より商標使用権許諾契約を受けたセブンディズによって、平成16年2月より継続的に使用が行われ現在も使用中である。
したがって、本件商標が継続して3年以上日本国内において使用されていない事実は、一切ないので、商標法第50条第1項の規定による請求は成り立たない。

4 当審の判断
商標法第50条による商標登録の取消審判の請求があったときは、同条第2項の規定により、その審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその取消に係る指定商品又は指定役務のいずれかについての登録商標の使用をしていることを被請求人が証明し、または使用していないことについて正当な理由があることを明らかにしない限り、その登録の取消しを免れない。
これを本件についてみるに、被請求人の提出に係る乙第1号証は、「商標使用権許諾契約書」であり、これによれば、2004年1月22日に、被請求人は、セブンディズに対して、同年2月1日から2006年1月31日の2年間、本件商標を「電気通信サービス」に使用する権利を許諾したことが認められるから、上記期間については、セブンディズは、本件商標に係る商標権について通常使用権者であったということができる。
そこで、本件商標が請求に係る指定役務について使用されているか否かについてみるに、セブンディズが本件商標を使用していると被請求人が述べるインターネット上の「http://WWW.7days.co.jp/isle/isle.cgi」のウエブサイトのページを出力したものと認められる乙第2号証によれば、その各ページの最上段には「7Day’s mall// ISLE(R)BBS//”Internet Satisfaction League Establishment”」と表示され、その第1頁には、上方にセブンディズが開設している「ISLE」の文字が大きく表示されており、これらの表示からすると、該ウエブサイトで開設しているBBSにおいて、本件商標と社会通念上同一と認められる商標が使用されていると認められる。
ところで、「BBS」についてみると、「BBS」は、「bulletin board system(ブレティンボードシステム、電子伝言板システム、電子掲示板、情報提供をする場)」(株式会社集英社発行「imidas2005」)であって、「インターネットやネットワーク上で不特定多数の利用者が、様々な議題について互いの意見を書き込み、交換し合う仕組みのこと。単に掲示板とよぶことが多い。インターネットではWebページの形式で提供され,Webプラウザを使って表示や投稿ができる。」(自由国民社発行「現代用語の基礎知識2005」)ものであり、セブンディズが開設している「ISLE BBS」も、乙第2号証による限り、不特定多数の利用者が自由に意見を書き込むことができるものの、該BBSの管理者であるセブンディズと意見を書き込む利用者間には、利用料金などサービス提供に関する料金設定がされていると認め得る記載はない。
そうすると、セブンディズが提供している一般ユーザーに対する電子掲示板による通信サービスは、無料で提供しているものであって、取引の対象とされている役務ということはできないから、業として役務を提供しているものではなく、商標法上の役務とは認めることができない。
他に、本件商標をその指定役務に使用していると認め得る証拠はない。
してみれば、被請求人の提出に係る証拠には、本件審判の予告登録前3年以内に、通常使用権者と認められるセブンディズが、本件商標をその指定役務について使用している事実を認め得る的確な証拠はないといわなければならない。
また、被請求人は、請求人の弁駁(前述2(2))に対して、何ら答弁するところがない。
そうとすれば、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者が、本件商標を請求に係る指定役務について使用した事実を証明しているとはいえない。
さらに、被請求人は、前述3の答弁をするのみで、本件商標を使用していないことについて正当な理由があることを明らかにしていない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定に基づき、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2006-04-03 
結審通知日 2006-04-07 
審決日 2006-04-18 
出願番号 商願2000-15097(T2000-15097) 
審決分類 T 1 31・ 1- Z (Z38)
最終処分 成立  
特許庁審判長 山口 烈
特許庁審判官 伊藤 三男
山本 良廣
登録日 2001-11-02 
登録番号 商標登録第4518247号(T4518247) 
商標の称呼 アイル、アイスル、イスル、アイスレ、イスレ、アイエスエルイイ、アイエスエルイー 
代理人 日野 修男 

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