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審判番号(事件番号) データベース 権利
無効200589039 審決 商標
無効200589076 審決 商標
無効200489106 審決 商標
異議200690007 審決 商標
無効200589025 審決 商標

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審決分類 審判 全部無効 商4条1項15号出所の混同 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Z25
管理番号 1132826 
審判番号 無効2004-35107 
総通号数 76 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2006-04-28 
種別 無効の審決 
審判請求日 2004-02-24 
確定日 2006-03-10 
事件の表示 上記当事者間の登録第4507125号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4507125号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第4507125商標(以下「本件商標」という。)は、別掲の(1)のとおりの構成よりなり、平成12年12月1日に登録出願、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として、同13年9月14日に設定登録されたものである。

2 請求人の引用商標
請求人が本件商標の登録無効の理由に引用する登録商標は、以下の(a)ないし(g)に記載する7件である。以下、これらを一括していう場合は「引用各商標」と総称する。
(a)「BeaR」の文字を横書きしてなり、平成3年10月16日に登録出願され、第17類「被服,布製身回品,寝具類」を指定商品として、同6年5月31日に設定登録、その後、同15年12月24日に商標権存続期間の更新登録がされ、指定商品については、同16年5月12日に指定商品の書換登録がされ、第5類「失禁用おしめ」、第9類「事故防護用手袋,防じんマスク,防毒マスク,溶接マスク,防火被服」、第10類「医療用手袋」、第16類「紙製幼児用おしめ」、第17類「絶縁手袋」、第20類「クッション,座布団,まくら,マットレス」、第21類「家事用手袋」、第22類「衣服綿,ハンモック,布団袋,布団綿」、第24類「布製身の回り品,かや,敷布,布団,布団カバー,布団側,まくらカバー,毛布」及び第25類「被服」となった登録第2667318号商標(以下「引用商標1」という。)
(b)「ベアー」の文字を横書きしてなり、平成8年7月19日に登録出願され、第25類「被服,履物」を指定商品として、同11年6月25日に設定登録、その後、商標登録の無効審判により、その登録を無効とすべき旨の審決がされ、同審決の確定により商標権の抹消の登録が同16年9月3日にされた登録第4287330号商標(以下「引用商標2」という。)
(c)「BEAR」の文字を横書きしてなり、平成8年7月19日に登録出願され、第25類「被服,履物」を指定商品として、同11年7月23日に設定登録された登録第4298088号商標(以下「引用商標3」という。)
(d)別掲の(2)のとおりの構成よりなり、平成7年5月2日に登録出願され、第25類「パーカ,絶縁材からなるジャケット,レザージャケット,防寒用帽子,履物」を指定商品として、同11年12月17日に設定登録された登録第4345512号商標(以下「引用商標4」という。)
(e)別掲の(3)のとおりの構成よりなり、1995年1月24日アメリカ合衆国でした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して、平成7年7月24日に登録出願され、第25類「パーカ,絶縁材からなるジャケット,レザージャケット,防寒用帽子,ヘッドバンド」を指定商品として、同12年4月14日に設定登録された登録第4376738号商標(以下「引用商標5」という。)
(f)別掲の(4)のとおりの構成よりなり、平成8年3月6日に登録出願され、第25類「アメリカ製のパーカ,アメリカ製のジャケット,アメリカ製のティーシャツ,アメリカ製のパンツ,その他のアメリカ製の下着,アメリカ製のジャージー生地からなる長袖シャツ,アメリカ製のデニム生地からなるズボン,アメリカ製のデニム生地からなるその他の被服,アメリカ製の防寒用帽子,アメリカ製の履物」を指定商品として、同12年9月22日に設定登録された登録第4419411号商標(以下「引用商標6」という。)
(g)別掲の(5)のとおりの構成よりなり、平成8年3月6日に登録出願され、第25類「パーカ,ジャケット,ティーシャツ,パンツ,その他の下着,ジャージー生地からなる長袖シャツ,デニム生地からなるズボン,デニム生地からなるその他の被服,防寒用帽子,履物」を指定商品として、同12年9月22日に設定登録された登録第4419412号商標(以下「引用商標7」という。)

3 請求人の主張
請求人は、結論と同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第56号証(枝番を含む。)を提出した。
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、別掲の(1)のとおりの構成よりなるところ、動物の図形部分は、その構成態様及び構成中の文字との関係において、「熊」(BEAR)を描いたものと容易に認識し得るものである。
また、その構成中の「USBEAR」の文字の部分は、図形との関係において、「US」の文字と「BEAR」とを結合したものと容易に認識し得るところである。
しかして、本件商標の構成中の「US」の文字は、「United States」の略として広く知られている語であり、かつ「USAF」(United States Air Force)(アメリカ空軍)、「USGA」(United States Golf Association)(アメリカゴルフ協会)等のように「アメリカ」(アメリカ合衆国)を表示する語としても普通に使用され広く知られている語である。
そして、本件商標の指定商品の分野においては、アメリカ製の商品が多く輸入され、販売されていることからすれば、これに接する取引者、需要者は、「US」の文字の部分は、アメリカ製の商品であること、すなわち商品の産地を表示したものと認識するというのが相当である。
そうとすれば、本件商標の文字の部分において、自他商品識別標識としての機能を果たすのは「BEAR」の文字の部分にあるといわなければならない。
そうしてみると、本件商標よりは、「熊の図形」及び「BEAR」の文字より「ベアー」の称呼、「熊」の観念を生じるものである。
これに対して、引用各商標は、「BeaR」、「ベアー」又は「BEAR」の文字、あるいは、熊の図形と「Bear」の文字よりそれぞれ「ベアー」の称呼、「熊」の観念を生じること明らかである。
そうしてみると、本件商標と引用各商標とは、「ベアー」の称呼、「熊」の観念を共通にする互いに類似の商標というべきものである。
また、本件商標と引用商標6及び引用商標7とは、黒の輪郭線をもって描かれたという特徴のある熊の図形と熊の図の輪郭線を延長させた横長の輪郭内に「熊」を意味する「BEAR」、「Bear」の文字を有してなる点において、構成の軌を同じくするものであるから、時と処を異にしてこれに接するときは、彼此相紛らわしい外観上類似の商標というべきものである。
さらに、本件商標と引用商標4及び引用商標6とは、黒の輪郭線をもって描かれたという特徴のある熊の図と「熊」を意味する英語「BEAR」の文字及び「アメリカ」(アメリカ合衆国)を表示する「US」、「U.S.A」の文字をその構成中に有するところ、共に「アメリカに係る熊印」の商標であるかの如く理解され、商標全体から受けるイメージも相似たものとなっているから、外観、観念が相俟って、彼此相紛らわしい類似の商標というべきものである。
そして、本件商標の指定商品と引用各商標の指定商品とは、同一又は類似の商品である。
したがって、本件商標は、引用各商標と外観、称呼、観念上類似の商標であり、かつ引用各商標の指定商品と同一又は類似の商品に使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当するにもかかわらず、これに違反して登録されたというべきものである。
(2)商標法第4条第1項第15号について
請求人は、「Bear U.S.A.,Inc.」の商号にて、その商号に由来する黒の輪郭線で描いた熊の図と商号の「Bear U.S.A」の文字とを結合した商標を使用して、1994年より、アメリカ、日本においてジャケット、パーカ、靴等の製造、販売をしてきたところであり、その品質、デザインが若者を中心したストリートファッションのアイテムとして大いにヒットし、これがアメリカの人気音楽番組「MTV」に取り上げられたことから爆発的な人気を博したものである(甲第9号証及び同第10号証)。
そして、その人気の余波は、日本、イギリスにも及び当業者のみならず需要者間に広く知られるに至っているものである。
請求人の商号に由来する黒の輪郭線で描いた熊の図と商号の「Bear U.S.A」の文字とを結合した商標を使用した商品が人気を博すにつれ、その商品そのものが「THE SOURCE MAGAZINE」(ヒップホップミュージック誌)等の各種雑誌でも掲載され、あるいは記事として取り上げられて、ますますその人気が高まってきたものである(甲第10号証ないし同第20号証)
請求人は、その商品を普及するために、商品パンフレットを作成してアメリカ国内はもとより、日本、イギリスの商社、バイヤー等を通じて広く配布すると共に、「VIBE」、「ASAYAN」「繊研新聞」等の雑誌、新聞に積極的に広告をしてきたことから、請求人の商号に由来する黒の輪郭線で描いたという特徴のある熊の図と商号の「Bear U.S.A」の文字とを結合した商標は、本件商標の登録出願前には取引者、需要者間に著名となっていたものである(甲第9号証、同第12号証、同第13号証及び同第21号証ないし同第27号証)。
請求人の黒の輪郭線で描いたという特徴のある熊の図と商号の「BearU.S.A」の文字とを結合した商標を使用した商品があまりに人気を博したことから、我が国において大量の偽物が出回ったため、一時日本への出荷を停止せざるを得ない状況に追い込まれたものである(甲第28号証)。
そして、平成8年4月25日には、偽商品を販売していた業者が摘発されたという新聞記事が掲載されたものである(甲第29号証)。
このような状況を打開するため、請求人は1996年4月以来、新聞、雑誌に偽商品についての「警告広告」あるいは「注意広告」を何度も掲載してきたところである(甲第30号証ないし同第39号証)。
上述したとおり、請求人の黒の輪郭線で描いたという特徴のある熊の図と商号の「Bear U.S.A」の文字とを結合した商標は、著名となり、それを取り上げた新聞、雑誌等の記事において「ベアユーエスエー」あるいは単に「ベアー」として紹介されるほどになっているものである。
請求人は、商標をより商品に適した構成とすべく、また偽物対策をも含め、平成8年(1996年)より、「Bear」の文字が黒の輪郭線をもって描かれたという特徴のある熊の図を描き、その輪郭線を延長した横長の輪郭線内に「USA」の文字を書した構成よりなる商標に変更し、以来これを使用してきているものであり、本件商標の登録出願前には、需要者、取引者間に著名となっているものである。
そこで本件商標をみるに、本件商標は、請求人の使用に係る引用各商標と称呼、観念上類似するものであり、引用商標6(変更後の使用商標)及び引用商標7とは、黒の輪郭線をもって描かれたという特徴のある熊の図形と熊の図の輪郭線を延長させた横長の輪郭内に「熊」を意味する「BEAR」、「Bear」の文字を有してなる点において、構成の軌を同じくするものであるから、時と処を異にしてこれに接するときは、彼此相紛らわしい外観上類似の商標というべきものであるばかりでなく、引用商標4及び引用商標6(変更後の使用商標)とは、黒の輪郭線をもって描かれたという特徴のある熊の図と「熊」を意味する英語「BEAR」の文字及び「アメリカ」(アメリカ合衆国)を表示する「US」、「U.S.A」の文字をその構成中に有するところ、共に「アメリカに係る熊印」の商標であるかの如く理解され、商標全体から受けるイメージも相似たものとなっているから、外観、観念が相俟って、彼此相紛らわしい類似の商標であるから、これをその指定商品について使用するときは、その商品が恰も請求人の業務に係る商品であるかの如く誤認を生じさせるおそれがあるといわざるを得ないものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するにもかかわらず、これに違反して登録されたというべきものである。
(3)商標法第4条第1項第19号について
被請求人である株式会社セント・ローランは、主として被服、靴等のファッションに関する商品のブランドライセンスを業としている会社であることから、日本を含む世界各国の著名ブランドには精通していると推測されるところであり、前述した請求人の著名商標も当然のこととして知っていたといい得るところである。
そして、その業務に係るブランドライセンスリストに掲載されている商標は、著名な商標をその一部に取り込み、著名な商標にフリーライドする目的とみられるような商標が多く掲載されていることである。
その一例を挙げれば、「IDUNHILLI」の文字よりなる商標を取得し、ライセンスリスト上では、前後の「I」の上下に掛かるかのような輪郭線を配して、中の「DUNHILL」の文字が浮き出てみえるような商標を掲載しているところであり、これと同様の意図をもって採択して掲載したと見られる「ILANCELI」、「IARMANI」の文字を有する商標も掲載されているところである(甲第40号証ないし同第42号証)。
また、我が国において著名な「スマートな犬」をモチーフとした商標に類似する構成よりなる商標及び著名な「adabat」の商標の前後に「i」を付した商標をも取得し、これもライセンスの対象としていたものである(甲第43号証及び同第44号証)。
上述した被請求人のライセンス事業の実情及びそのライセンスに係る商標の登録の状況及びそれらの商標についての無効、取消、異議、訴訟事件における判断(甲第45号証ないし同第49号証)からみれば、被請求人は日常的に著名な商標にフリーライドするライセンス業をしているというのが相当である。
また、被請求人は、「USABEAR」と「アズエーベー」の文字よりなる登録第4345622号のライセンスにおいても、極めて欺瞞的なライセンス事業を展開しているものであり(甲第50号証)、この商標については、請求人が商標登録の取消審判を請求した結果、商標登録が取り消されているものである(甲第51号証及び同第52号証)。
以上述べたように、請求人の商標が著名であり、本件商標はこれと類似の商標であること、被請求人の事業の内容からみて、請求人の商標が著名であることを知っていたといわざるを得ないこと、被請求人は著名商標にフリーライドするライセンス事業を展開していたこと、被請求人は、請求人の著名商標と紛らわしい商標となるような欺瞞的な商標をライセンスしていたこと等を総合勘案すれば、本件商標は、他人(請求人)の業務に係る商品を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似の商標を不正の目的をもって使用するために登録出願し、登録したといわざるを得ないものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当するにもかかわらず、これに違反して登録されたというべきものである。
(4)結論
以上述べたとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同第15号及び同第19号に違反して登録されたものであるから、商標法第46条第1項の規定に基づき無効とされるべきものである。

4 被請求人の答弁
被請求人は、「本件審判請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第12号証(枝番を含む。)を提出した。
(1)本件商標は、熊の図の下に「USBEAR」の文字を一体化した商標である。
ところで、本件商標と色彩は異なるものの、略同一の構成の熊の図形からなる別掲の(7)のとおりの登録第4137882号商標(乙第1号証)が登録されている。
また、「USBEAR」の文字からなる登録第3340430号商標(乙第2号証)も登録されている。
本件商標は、これらの商標を組み合わせた形で登録されているものであり略同じような構成を有する別掲の(8)のとおりの登録第4536505号商標(乙第3号証)及び別掲の(9)のとおりの登録第4646915号商標(乙第4号証)が登録されている。
さらに、略同じ構成を有する別掲の(10)のとおりの商願2003ー2091号商標(乙第5号証)、別掲(11)のとおりの商願2003-10441号商標(乙第6号証)、別掲の(12)のとおりの商願2003ー53838号商標(乙第7号証)、「USBear」の文字よりなる商願2003ー2092号商標(乙第8号証)の商標も登録査定となっている(これら出願商標は登録第4762834号、登録第4762838号、登録第4768545号及び登録第4762835号としてそれぞれ登録されている。また、被請求人の挙げるこれらの商標を、以下乙号証順に「被請求人商標1」、「被請求人商標2」のようにいう。)。
このように、同じような商標が数多く登録され、又は登録査定となっている事実は、取りも直さず、本件商標が無効理由を有していないことを如実に表しているものである。
(2)また、請求人の主張には無理な点も多いので、その点について下記に述べる。
まず、請求人が証拠として提出した引用商標1は、通常の表記ではないので、東京高裁の平成12年(ネ)第6252号、同平成13年(行ケ)第395号及び同平成13年(行ケ)第396号各判決(乙第9号証ないし同第11号証)に示されるように、造語あるいは略称とみることも可能で、「ベアー」の称呼、「熊」の観念が確定的に生じるというものではないと判断されている。
さらに、請求人が証拠として提出した引用商標2も、東京高裁平成15年(行ケ)第42号判決(乙第12号証)により、自他商品の識別力がないと判断されている。
この判決において、注目すべき点は、以下の判断である。
(a)熊ないしベアーは、一般の日本人がよく知っている動物であり、「被服,履物」の分野において、このようなよく知られている動物である熊を意味する英語の「bear」あるいはこれに単に片仮名表記したにすぎない「ベアー」の文字をその構成の一部として使用したものについて、極めて多数の商標登録あるいは商標登録出願がなされ、また、極めて多数の商標が実際に使用されている。
(b)「被服,履物」について「ベアー」のみからなる標章は、商標登録及び取引の実情を考慮すれば、特別の事情のない限り、自他商品識別機能を有しない商標であるというべきである。
(c)「被服,履物」においては、日本人によく知られた動物の名前である「ベアー」又は「bear」の文字だけでなく、これに他の文字あるいは図形を結合させた標章とすることにより、初めて自他商品を識別する機能を生じさせることが可能となる。
これらの判断によれば、請求人の有する引用商標1及び2はもとより、引用商標3も識別力が疑われるものである。
また、引用商標4ないし引用商標7も、他の文字あるいは図形を結合させて、初めて自他商品を識別する機能を生じさせることが可能となるものであり、当然一体の商標として、本件商標との類否等を検討すべきものとなるはずである。
そうであれば、熊の図や文字は、元々乙第1号証及び同第2号証として登録されていることから、構成要素としても非類似であるばかりか、全体の構図も異なることから、何ら類似したりすることのない別異の商標である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号や同第19号に該当するものではなく、同第15号の出所の混同を生じるおそれもないものである。
上記乙第12号証の判決は、特許庁における「bear」あるいは「ベアー」を構成要素とする多数の登録例を説明する上でも、極めて妥当な判断であり、本件商標と引用各商標の類否判断についても当然斟酌されるべきである。
乙第12号証のような判断をすれば、「USBEAR」という一体の商標や「ベアー」又は「bear」の文字に、通常であれば識別力が疑わしい文字を結合させた多数の商標が引用各商標と別異の商標として登録されている事実が明確に説明できるものである。
(3)なお、請求人は、本件商標中の「US」の文字がアメリカ製の商品で、商品の産地を表示したものと主張しているが、この点にも無理がある。
すなわち、本件商標中の「US」の文字が商品の産地を表示したものであれば、被請求人商標2、被請求人商標3、被請求人商標5、被請求人商標7、被請求人商標8の指定商品も、被請求人商標4及び被請求人商標6のように当然「アメリカ製の被服・・・」となっていなければならないはずである。
しかしながら、これらの商標の指定商品は、あくまで「被服・・・」であり、「US」の文字が産地を表示したものとは考えられない。
本件商標は、「US」の文字と他の文字が一連に表示された一体のものであり、既成の観念は生じない造語であると捉えるべきものである。
(4)以上述べたように、本件商標は、登録例、審査例からいっても無効理由を有するような商標ではない。
また、裁判所の判断からしても、請求人の主張には無理があるものである。
このように、請求人の主張は、特許庁や裁判所の判断とは相容れない独善的なものであり、何ら妥当性を有しないものである。

5 当審の判断
(1)請求人使用商標の著名性
(ア)請求人の提出した証拠によれば、以下の事実が認められる。
(a)雑誌「asayan」1996年1月号(甲第12号証)に、「ニューヨークで超話題のストリートブランド『Bear』のダウンジャケット」と記載されて「Bear」ブランド商品が掲載され、別のページには紙面の全面を使用した「Bear」ブランド商品の広告が掲載されている。
(b)雑誌「asayan」1996年2月号(甲第12号証)に、「N・Y・生まれの本格アウトドアブランド」として「Bear」ブランドのダウンウエア、パーカーなどが掲載され、別のページには紙面の全面を使用した「Bear」ブランド商品の広告が掲載されている。
(c)雑誌「BOON」1996年2月号(甲第10号証)に、「N・Y・のブラック達は黒のダウンで完全武装! 寒波襲来と共に定番アイテムの流行が、日本来襲!!」として「あまりの人気にメディアも混乱。ブームの秘密はMTVデビューにあり?」、「・・・ノースフェイス、マーモットなどアウトドア系のビッグブランドと肩を並べるほど、広く認知されたのが、この『Bear』だ。・・・アメリカの人気音楽番組『MTV』でストリートファッションのマストアイテムとして取り上げられたのが大きな要因。」と記載されて、「Bear」ブランドのダウンジャケットが掲載されている。
(d)平成8年4月8日発行「繊研新聞」(甲第28号証)に、「ベアーU・S・A社偽物排除へ強硬手段」、「春夏物対日輸出を停止『今日本で売られているのは偽物』」として「ベアー・U・S・Aは一昨年から販売して以来、米国や日本などで人気を集めているカジュアルウエア。」と記載されている。
(e)平成8年4月25日発行「繊研新聞」(甲第29号証)に、「偽ブランド品摘発奈良県警」として「・・・アメリカの『ベアー』など海外人気ブランド・・・」と記載されている。
(f)平成9年10月17日発行「繊研新聞」(甲第24号証)に、「この冬、Bearで差をつけろ!!」と記載された「Bear」ブランド商品の広告が紙面の全面を使用して掲載されている。
(g)平成9年10月22日発行「繊研新聞」(甲第20号証)に、「変わるヒップポップ系ブランド」、「洗練され大人びたデザインに」として、他のメーカーの商品と共に、「グラデーションを使った『ベアーUSA』のダウンジャケット」と記載されて「Bear」ブランドのダウンジャケットが掲載されている。
(h)平成8年4月11日、同11年9月27日、同11年10月5日、同11年10月13日、同12年9月25日及び同12年10月23日発行の「繊研新聞」(甲第30号証ないし同第35号証)に、「Bear U・S・A・からの警告」、「現在日本市場で売られているBear U・S・A・ロゴが付いている商品は全て偽物です。」等と記載された警告広告ともいえる広告が掲載されている。
(i)雑誌「street Jack」1999年1月号、1998年11月号、1998年12月号及び1999年2月号(甲第36号証ないし同第39号証)に、「偽物の商品が氾濫しております。」、「偽物に注意せよ!」等と記載された「Bear」ブランドの商品の警告広告ともいえる広告が掲載されている
以上の雑誌、新聞における報道記事、紹介記事、広告等には、商標としては引用商標5、別掲の(6)のとおりの構成よりなる商標(以下「請求人使用商標」という。)などが表示されているが、請求人が「Bear」ブランドとして主に使用しているものは請求人使用商標と認められる。
(イ)上記した事実によれば、平成8年の初めには、請求人が雑誌に広告を掲載した「Bear」ブランドのダウンジャケットが、米国において人気音楽番組「MTV」で取り上げられて人気を得ていることが我が国の雑誌、新聞で紹介されていて、同年4月には、ベアーU・S・Aが米国や日本で人気を集めているカジュアルウエアなどと新聞に記載されている。また、時期を同じくして、既に同ブランドの偽物が出回り、同ブランド商品の対日輸出が停止される旨が報じられており、請求人は、同12年10月にかけて、同ブランドの「偽物が売られている」旨を記載した広告を10回にわたり新聞、雑誌を通じて行っている事実が認められる。
以上によれば、「Bear」ブランドとして主に使用されている請求人使用商標は、本件商標の登録出願の時には、ダウンジャケットなどのカジュアルウエアの商標として取引者、需要者の間に広く認識され、著名性を獲得していたものというべきである。
(2)本件商標と請求人使用商標の類似性
本件商標と請求人使用商標とを対比すると、本件商標は、頭部のみを右に向けた熊の図形と、その下部に「USBEAR」の文字を表し、これらの文字を囲むように熊の図形の輪郭線から延長する線で枠を描いてなるものである。
これに対し、被請求人使用商標は、左を向いた熊の図形と、その右側に「Bear」の文字を大きく表し、これらの文字を囲むように熊の図形の輪郭線から延長する線で枠を描き、さらに、その右側に左に90度回転させた「USA」の文字を配してなるものである。
そして、両商標における熊の図形は、共にほぼ輪郭線のみにより描かれているものである。
以上の両商標の構成よりすると、熊の図形の向きが異なり、また、構成文字が、一方が「US」の文字に連続して「BEAR」の文字が表されているのに対し、他方は「Bear」の文字の右側に「USA」の文字が分離して配されているという相違を有するものではあるが、両商標は、熊の図形の描出方法(筆致)において相似た印象を受け、また、文字においては、「US」と「USA」の文字の配置が異なるものの、文字の全部又は一部を囲うように熊の図形の輪郭線から延長する線で枠が描かれているという点においても共通するものであるから、両商標は、外観において相当程度近似しているという印象を受けるものというべきである。
次に、称呼及び観念の点についてみるに、本件商標中の「USBEAR」は、熊の図形との関係よりすると「US」と「BEAR」の両文字よりなると容易に看取されるものである。そして、「US」の文字が「United States」(アメリカ合衆国)の略称であり、「BEAR」の文字が「熊」を意味する英単語であることは、我が国において広く知られているといえるから、本件商標は、その構成文字の全体に相応して「ユーエスベアー」の称呼、及び「アメリカ合衆国の熊」の観念を生ずるものと認められる。
これに対し、請求人使用商標は、熊の図形と「Bear」及び「USA」の両文字よりなるものであって、全体の印象を支配するのは「熊(Bear)」を表したものということができるから、「USAのBear」すなわち「アメリカ合衆国の熊」を表したものと認識されることも少なくないというべきである。そうすると、本件商標は、「ベアー」及び「ベアーユーエスエイ」の各称呼のほか、「USAのBear」より派生する「ユーエスエイベアー」の称呼を生ずる余地も多分にあるものといわなければならず、また観念については、「熊」の観念のほか「アメリカ合衆国の熊」の観念をも生ずるものと認められる。
そうすると、両商標は、「ユーエスベアー」と「ユーエスエイベアー」の両称呼を比較した場合には、中間における「エイ」の音の有無の相違を有するに止まる彼此相紛れるおそれがあるものであり、かつ、「アメリカ合衆国の熊」についてみれば、観念を同一にするものである。
以上の両商標における外観、称呼、観念を総合すれば、本件商標は、請求人使用商標と彼此相紛れる程度に近似するものということができる。
(3)してみれば、請求人使用商標の著名性、及び、本件商標の指定商品には請求人の使用する商品が含まれており、それ以外の商品もファッション(装身に関する流行)に関連する商品であるということからすれば、本件商標をその指定商品に使用した場合、これに接した取引者、需要者は、これより直ちに請求人使用商標を連想、想起し、該商品が請求人又は請求人と何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように誤認、混同するおそれがあるものといわなければならない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号の規定に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項の規定に基づき、その登録を無効とすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
(1)本件商標



(2)引用商標4



(3)引用商標5



(4)引用商標6



(5)引用商標7



(6)請求人使用商標



(7)被請求人商標1



(8)被請求人商標3



(9)被請求人商標4



(10)被請求人商標5



(11)被請求人商標6



(12)被請求人商標7


審理終結日 2004-11-09 
結審通知日 2004-11-11 
審決日 2004-11-30 
出願番号 商願2000-129429(T2000-129429) 
審決分類 T 1 11・ 271- Z (Z25)
最終処分 成立  
前審関与審査官 富田 領一郎 
特許庁審判長 小池 隆
特許庁審判官 鈴木 新五
柴田 昭夫
登録日 2001-09-14 
登録番号 商標登録第4507125号(T4507125) 
商標の称呼 アズベア、ウズベア、ユウエスベア、ベア 
代理人 上原 空也 
代理人 黒瀬 雅志 
代理人 宮嶋 学 
代理人 吉武 賢次 
代理人 塩谷 信 
代理人 小泉 勝義 
代理人 足立 勉 
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