• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

この審決には、下記の判例・審決が関連していると思われます。
審判番号(事件番号) データベース 権利
取消2012300362 審決 商標

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 117
管理番号 1131251 
審判番号 取消2005-30201 
総通号数 75 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2006-03-31 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2005-02-23 
確定日 2006-01-26 
事件の表示 上記当事者間の登録第1306042号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第1306042号商標(以下「本件商標」という。)は、「EVOLUTION」の文字を横書きしてなり、昭和49年4月23日に登録出願、第17類「被服、布製身回品、寝具類」を指定商品として、昭和52年10月20日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

第2 請求人の主張
請求人は、本件商標の登録は、その指定商品中「被服」について取り消す、との審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第5号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品中「被服」について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかにより使用された事実がないから、商標法第50条第1項の規定により、その登録を取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
(1)使用者について
(ア)被請求人は、商標使用許諾契約書(乙第2号証)を提出して、本件商標の通常使用権を株式会社ラリーアート(以下「ラリーアート」という。)に許諾した旨述べる。
しかしながら、乙第2号証は、その内容が「第1条(使用許諾)」だけで、許諾期間、許諾の対価等の条件が何ら定められておらず、きわめて不自然であり、その信憑性が疑わしい。商標登録原簿(乙第1号証)にも通常使用権の登録はなく、その登録の有無はさておくとしても、許諾期間が記載していなければ通常使用権者である(あった)という事実が証明できない。しかも、本件審判の請求の登録日のわずか6ヶ月前の日付である2004年9月13日に、上記契約書が存在すると主張することも不自然である。
このような状況からして、乙第2号証をもって、ラリーアートが本件商標の通常使用権を有しているとの証拠にはならないから、ラリーアートは、商標権者でも専用使用権者でも通常使用権者でもない、単なる第三者であり、かかる第三者の商標使用は商標法第50条第2項に規定する使用の証明にはならない。
(イ)ラリーアートは、自動車競技の企画立案等や自動車部品の販売等を事業の目的とし(甲第1号証)、より具体的には、三菱自動車工業株式会社(以下「三菱自動車」という。)の100%出資子会社として、国内外における各種モータースポーツイベントへの参加者への支援活動、モータスポーツ愛好者に対する各種サービスやライセンス講習会、ドライビングスクールなどの企画・運営、コンペティション用及びスポーツパーツの開発・販売、キャラクター商品の開発・販売、広告代理業を主要事業内容としている(甲第2号証)。
一方、「ランサーエボリューション」は、三菱自動車製のセダン「ランサー」をベースとした世界ラリー選手権(WRC)で活躍している4WDセダンの愛称であり、その車種モデル(一般販売用)は1992年から販売が開始されている(甲第3号証)。そして、ラリーアートは、一般のランサーベース車からチューンナップするための「LANCER Evolution」用のパーツを三菱のカーディーラー等に販売している(甲第4号証)。また、「LANCER Evolution」の車名及び同パーツの一種の広告宣伝を兼ねて、いわばノベリティ商品として「LANCER Evolution」のロゴが入ったジャンパー、Tシャツ等の被服を三菱自動車のカーディーラーに卸し、さらに、一般に通信販売もしているようである。
(2)使用の事実(乙第3号証ないし乙第14号証)について
仮にラリーアートが通常使用権者であるとしても、商標法第50条第2項に規定する、使用の事実を立証するための期間は、ラリーアートが通常使用権者となった2004年(平成16年)9月14日から本件審判の請求の登録日である2005年(平成17年)3月16日での約6ヶ月間であり、したがって、使用証明として有効な証拠は、上記期間内のものに限られる。
そうすると、乙第6号証ないし乙第9号証及び乙第11号証は、カタログの有効期限が上記期間外であるから、いずれも登録商標の使用事実を立証する証拠とはなり得ない。
また、乙第12号証の受注年月日及び出荷年月日は、いずれも2004年4月19日で上記期間外であるから、登録商標の使用事実を立証する証拠とはなり得ない。
さらに、乙第3号証ないし乙第5号証は、その商品の取引の事実、取引の年月日等の証明が一切なく、これをもって使用事実を立証する証拠とすることはできない。
(3)使用に係る商標(以下「使用商標」という。)について
乙各号証における使用商標は、二段書きの「LANCER/Evolution」又は一連書きの「LANCER Evolution」であって、本件商標の「EVOLUTION」ではない。
上記「LANCER/Evolution」又は「LANCER Evolution」はさほど冗長なものでなく、語呂もよいから「ランサーエボリューション」と一連によどみなく称呼される。
また、乙第6号証ないし乙第11号証(カタログ)における「Evolution model」が掲載された頁は、そもそも三菱自動車製乗用車「ランサー」のラリー車の愛称であるランサーエボリューションにちなんだ被服等ノベリティ商品を三菱自動車の販売ディーラーに販売すること(一般への通信販売もあるが)を目的とするカタログ頁であり、その車種「ランサーエボリューション」の販売やそのパーツ販売のための一種の広告宣伝(ジャケットやTシャツ等の被服に「LANCER Evolution」の商標を付して流通させる)として機能しているのであって、被服に付する商標は「ランサーエボリューション」として認識されるものでなければ意味がない。その上、上記カタログ中には、すべての商品名が「LANCER EVOLUTION 〜」として統一的に使用され、このカタログに接する需要者がこれを単なる「EVOLUTION」として認識するはずがなく、「LANCER EVOLUTION」として一体に認識することは疑いの余地がない。しかもこの事情に加え、「LANCER」「ランサー」が三菱自動車の車種名(商標)として著名であること等のような事情から、需要者は、「LANCER Evolution」又は「LANCER/Evolution」中の「LANCER」を無視して単に「Evolution」と認識することはあり得ず、これを「ランサーエボリューション」と称呼するし、また外観上も「LANCER/Evolution」又は「LANCER Evolution」を一体不可分のものとして認識する。さらに観念上も、「EVOLUTION」は、「発展、変革」等の意味を生じるが、「LANCER/Evolution」又は「LANCER Evolution」は、「ランサーの発展・変革」の意味合いを生じ、変革の主体が「三菱車ランサー」であることが強く打ち出している。
このように、使用商標は、称呼、外観、観念のいずれをとっても「LANCER/Evolution」又は「LANCER Evolution」の文字全体をもって一つの独自の商標とみるのが相当であるから、本件商標と使用商標とは、社会通念上同一の商標であるとはいえない。
(4)むすび
以上のとおり、商標使用許諾契約書は、その信憑性に乏しく、通常使用権者が存在したとは認められない。仮に被請求人が主張するとおりの通常使用権者が存在したとしても、その通常使用権許諾契約の成立日から本件審判の請求も登録日前までの期間において通常使用権者が使用していたとする商標は、本件商標とは社会通念上の同一性が認められる商標とはえないから、本件商標の登録は、商標法第50条により、「被服」について取り消されるべきである。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第14号証を提出した。
1 使用者
被請求人(商標権者)は、本件商標について、ラリーアート(東京都品川区東品川2丁目5番5号所在)に対し、通常使用権を許諾している(乙第2号証)。
2 使用の事実
(1)ラリーアートが販売する商品写真
(ア)乙第3号証は、帽子であり、縁の部分に「Evolution」の文字が筆記体で使用されている。
(イ)乙第4号証は、ポロシャツであり、胸の部分にワンポイントマークとして「EVOLUTION」の文字が使用されている。
(ウ)乙第5号証は、ジャケットであり、胸の部分にワンポイントマークとして「Evolution」及び「EVOLUTION」の文字が、背中部分に「Evolution」の文字が使用されている。
(2)ラリーアートは、以下のように、本件審判の請求の登録日前3年以内の2003年(平成15年)から継続して、本件商標を「被服」に使用している。
(ア)乙第6号証は、ラリーアートが発行したカタログ「RALLIART Collection 2002/2003 AUTUMN/WINTER」の抜粋であり、その39頁に「カタログ有効期限は、2003年3月。」とあるように、このカタログは2003年3月まで使用されていた。そして、その9頁及び10頁には、「Evolution」商標を使用した被服が掲載されている。
(イ)乙第7号証は、ラリーアートが発行したカタログ「RALLIART Collection 2003 SPRING/SUMMER」の抜粋であり、その37頁に「カタログ有効期限は、2003年9月。」とあるように、このカタログは2003年9月まで使用されていた。そして、その9頁及び10頁には、「Evolution」及び「EVOLUTION」商標を使用した被服が掲載されている。
(ウ)乙第8号証は、ラリーアートが発行したカタログ「RALLIART Collection 2003/2004 AUTUMN/WINTER」の抜粋であり、その裏表紙に「2003年10月〜2004年9月 総合カタログ」とあるように、このカタログは2003年10月から2004年(平成16年)9月まで使用されていた。そして、その5頁及び6頁には、「Evolution」商標を使用した被服が掲載されている。
(エ)乙第9号証は、ラリーアートが発行したカタログ「RALLIART Collection 2004 SPRING/SUMMER」の抜粋であり、その13頁に「カタログ有効期限は、2004年9月。」とあるように、このカタログは2004年9月まで使用されていた。そして、その6頁には、「Evolution」商標を使用した被服が掲載されている。
(オ)乙第10号証は、ラリーアートが発行したカタログ「RALLIART Collection 2004-2005」の抜粋であり、その裏表紙に「2004年10月〜2005年9月 総合カタログ」とあるように、このカタログは現在も使用されている。そして、その3頁及び4頁には、「Evolution」商標を使用した被服が掲載されている。
(カ)乙第11号証は、ラリーアートが発行したカタログ「RALLIART Collection 2005 SPRING&SUMMER」の抜粋であり、その裏表紙に「2005年4月〜2005年9月 総合カタログ」とあるように、このカタログは現在も使用されている。そして、その5頁には、「Evolution」商標を使用した被服が掲載されている。
(3)本件商標を付した被服が取引に資されたことは、以下のラリーアートから送品したことを示す「出荷指示書」より明らかである。
(ア)乙第12号証は、2004年4月19日に、愛知県豊橋市の「愛知中央三菱自販 豊田モータープール」に対し、「EVOLUTION」商標のキャップ(帽子)2個を送品したことを示すものである。
(イ)乙第13号証は、2005年(平成17年)2月2日に、さいたま市大宮区の「埼玉三菱自動車部品販売(株)大宮」に対し、「EVOLUTION」商標のTシャツ1枚を送品したことを示すものである。
(ウ)乙第14号証は、2005年2月9日に、広島市西区の「西中国三菱部販 広島」に、「EVOLUTION」商標のジャケット2枚を送品したことを示すものである。
3 むすび
以上のように、本件商標は、本件審判の請求の登録前3年以内に、通常使用権者であるラリーアートがその指定商品中の被服に属する帽子、シャツ、ジャケット等に継続使用していたものであり、また、被服への本件商標の使用態様も、大文字、小文字、筆記体であり、登録された商標の形態とは若干相違するものの、商標法第50条第1項かっこ書きにいう「社会通念上同一と認められる商標」に相当するものであり、本件商標の使用に該当するものである。
したがって、本件商標の登録は、その指定商品中の「被服」について、取り消されるべきものではない。

第4 当審の判断
1 使用者について
乙第2号証によれば、2004年(平成16年)9月13日に、被請求人とラリーアートは、ラリーアートが本件商標を使用することについての商標使用許諾契約を締結したこと、及び上記契約の契約書は、「第1条」からなり、本件商標の使用が許諾された商品が記載されているものであることが認められる。
この点に関し、請求人は、上記契約書は「第1条(使用許諾)」のみであり、許諾期間、許諾の対価等の条件が何ら定められておらず、契約書として不自然であり、また、商標登録原簿(乙第1号証)にも通常使用権の登録はなく、しかも、本件審判の請求の登録日のわずか6ヶ月前の2004年9月13日に、このような契約書が存在するとすることも不自然であるから、ラリーアートが本件商標の通常使用権者とは認められない旨主張する。
ところで、一般的に通常使用権に関する契約は、商標権者又は専用使用権者との間で交わされる商標権使用許諾契約に基づいて発生するものであって、右契約は、商標権者等と使用者との意思表示の合意によって成立するものであるから、必ずしも書面による必要はないと解されるところ、乙第2号証は、被請求人とラリーアートとの間における、本件商標の商標権の使用許諾の合意に関し、2004年9月13日に書面で明らかにしたにすぎないものであって、それ以前に、両者間に商標権使用許諾契約書がないとしても、被請求人が本件商標の使用を立証する証拠として、ラリーアートのカタログ等を提出していることからみれば、両者間には、黙示的に本件商標の商標権の使用許諾に関する了解があったものと推認するのが合理的であるといわなければならない。
そうすると、当事者間の合意により成立した上記契約における契約書は、たとえ「第1条」からなる形式であり、かつ、本件審判の請求の登録日の6ヶ月前に作成されたものであるとしても、特段不自然なものということはできない。
また、商標権についての通常使用権の設定は、登録をその効力要件とするものではない(商標法第31条第4項において準用する特許法第99条第1項)。
したがって、請求人の上記主張は理由がなく、ラリーアートは、本件商標の商標権の通常使用権者とみて差し支えないというべきである。
2 使用の事実
乙第6号証ないし乙第10号証及び乙第12号証ないし乙第14号証によれば、以下の事実が認められる。
(1)ラリーアートの取扱いに係る商品を掲載したカタログは、その有効期限を2003年3月とするもの(乙第6号証)、2003年9月とするもの(乙第7号証)、「2003年10月〜2004年9月」とするもの(乙第8号証)、2004年9月とするもの(乙第9号証)、「2004年10月〜2005年9月」とするもの(乙第10号証)があり、これらのカタログには、「Evolution Model」の表示のもと、「ジャケット、キャップ、Tシャツ」等が掲載されている。例えば、
(ア)ジャケット(乙第8号証、商品番号:RAY 1649EG)には、その背中上部に、「LANCER」の文字を小さく表示し、その下に「Evolution」の文字を大きくやや太字で表示してなるものであって、該「LANCER」と「Evolution」の各文字は、上記のように文字の大きさが異なるばかりでなく、文字の色も異なるものである。
(イ)キャップ(乙第6号証ないし乙第8号証、商品番号:RAY 21048EB)には、つばの部分に「LANCER」の文字を小さく表示し、その下に「Evolution」の文字を大きく表示してなるものであって、該「LANCER」と「Evolution」の各文字は、上記のように文字の大きさが異なるばかりでなく、その書体も大きく異なるものである。
(ウ)Tシャツ(乙第9号証、商品番号:RAY 0134EB)には、その背中上部に、「LANCER」の文字を小さく表示し、その下に「Evolution」の文字を大きくやや太字で表示してなるものである。さらに、Tシャツ等に付される織りネームには、小さく書された「LANCER」の文字と大きく書された「Evolution」の文字が、やや間隔を開けて横書きに表されている。
(2)ラリーアートが取引先に宛てた、出荷年月日を「04年04月19日」(乙第12号証)、「05年02月02日」(乙第13号証)、「05年02月09日」(乙第14号証)とする出荷指示書(控)の「商品名」、「商品コード」及び「出荷数」の各欄には、それぞれ「LANCER EVOLUTIONキャップ」、「RAY21048EB」及び「2」(乙第12号証)、「LANCER EVOLUTION VネックTシャツ 2L」、「RAY0134EBO」及び「1」(乙第13号証)、「LANCER EVOLUTION ウォームジャケット L」、「RAY1649EGL」及び「2」(乙第14号証)と記載されている。
(3)上記(1)及び(2)によれば、本件商標の通常使用権者と認められるラリーアートは、請求に係る指定商品中の少なくとも「ジャケット、キャップ、Tシャツ」(これらの商品が請求に係る指定商品中に含まれることについては、請求人は争うことを明らかにしていない。)について、文字の大きさ、書体等が異なる「LANCER」と「Evolution」の各文字を二段書きにした商標、若しくはこれらを横書きにした商標を表示し、本件審判の請求の登録前3年以内である2004年(平成16年)4月19日から2005年(平成17年)2月9日の間に、取引をしたと推認することができる(使用に係る上記商品が市場において取引に資されたことについては、請求人は争うことを明らかにしていない。)。
なお、請求人は、被請求人が通常使用権者の本件商標の使用の事実を立証し得る期間は、本件商標の使用許諾契約を締結した2004年(平成16年)9月13日から本件審判の請求の登録日である平成17年3月16日の間である旨主張するが、前記1で認定したとおり、被請求人とラリーアートの間には、本件商標の商標権の使用許諾契約を締結した日以前より、ラリーアートが本件商標を使用することについて、黙示的な了解があったものと推認するのが相当であって、乙第6号証ないし乙第11号証(カタログ)のうち、乙第11号証を除くものは、いずれも本件審判の請求の登録前3年以内の使用の事実を証明する証拠と認められるから、請求人の上記主張は理由がない。
3 使用商標について
そこで、使用商標が本件商標と社会通念上同一と認められる商標であるか否かについて検討する。
(1)使用商標は、前記2で認定したとおり、小さく書された「LANCER」の文字と大きくやや太字で書された「Evolution」の文字を二段に横書きしてなるもの、若しくはこれらの文字を、やや間隔を開けて横書きしてなるものであって、加えて、ジャケットに表示された「LANCER」と「Evolution」の各文字は色彩が異なるものであり、また、キャップに表示された「LANCER」と「Evolution」の各文字は書体が大きく異なるものである。
そして、これら「LANCER」と「Evolution」の各文字は、全体として、親しまれた熟語的意味合いを有するものではない。
そうすると、上記使用商標が表示された商品に接する需要者は、大きく太字で表された「Evolution」の文字部分に強く注意が引かれ、印象づけられるというのが相当である。
してみれば、使用商標は、「Evolution」の文字部分が独立して自他商品の識別標識としての機能を発揮し得るものであるから、これより「エボリューション」の称呼及び「展開、進化」などの観念を生ずるものである。
一方、本件商標は、「EVOLUTION」の文字よりなるものであるから、これより「エボリューション」の称呼及び「展開、進化」などの観念を生ずるものである。
したがって、使用商標は、本件商標とは、称呼及び観念を同じくするものであるから、社会通念上同一と認められる商標というのが相当である。
(2)請求人は、使用商標について、乙第6号証ないし乙第11号証(カタログ)における「Evolution model」が掲載された頁は、三菱自動車製乗用車「ランサー」のラリー車の愛称であるランサーエボリューションにちなんだ被服等ノベリティ商品を三菱自動車の販売ディーラーに販売すること(一般への通信販売もあるが)を目的とするものであり、その車種「ランサーエボリューション」の販売やそのパーツ販売のための一種の広告宣伝として機能しているのであって、被服に付する商標は「ランサーエボリューション」として認識されるものでなければ意味がないし、また、上記カタログ中の商品名には、「LANCER EVOLUTION 〜」として統一的に使用され、このカタログに接する需要者がこれを単なる「EVOLUTION」として認識するはずがなく、「LANCER EVOLUTION」として一体に認識するものであり、しかも、「LANCER」「ランサー」が三菱自動車の車種名(商標)として著名であることから、需要者は、「LANCER Evolution」又は「LANCER/Evolution」中の「LANCER」を無視して単に「Evolution」と認識することはあり得ず、これを「ランサーエボリューション」と称呼、観念し、また外観上も一体不可分のものとして認識するから、使用商標は本件商標とは社会通念上同一の商標ではない旨主張する。
しかしながら、仮に請求人が主張する事情が存在するとしても、本件審判は、登録商標である「EVOLUTION」を請求に係る指定商品「被服」について、本件審判の請求の登録前3年以内に使用しているか否かを問題とするところのものであり、上記(1)で認定したとおり、使用商標の構成態様をもってすれば、使用商標は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標であるというべきものである。
したがって、上記に関する請求人の主張は採用することができない。
4 むすび
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、通常使用権者が本件請求に係る指定商品中の「ジャケット、キャップ、Tシャツ」について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していたことを証明したというべきである。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、その指定商品中、「被服」について、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2005-11-28 
結審通知日 2005-12-02 
審決日 2005-12-14 
出願番号 商願昭49-53809 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (117)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 柴田 昭夫
特許庁審判官 小川 有三
岩崎 良子
登録日 1977-10-20 
登録番号 商標登録第1306042号(T1306042) 
商標の称呼 エボリュウション 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ