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関連判例 | 関連判例(事件番号 平成 17年 (行ケ) 10241号 審決取消請求事件 )を見る 関連判例(事件番号 平成 16年 (ネ) 745号 不正競争行為差止等請求控訴事件 )を見る 関連判例(事件番号 平成 15年 (行ケ) 422号 審決取消請求事件 )を見る 関連判例(事件番号 平成 25年 (ワ) 13862号 商標権侵害差止等請求事件 )を見る |
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審決分類 |
審判 全部無効 商8条先願 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 025 |
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管理番号 | 1129301 |
審判番号 | 無効2002-35289 |
総通号数 | 74 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2006-02-24 |
種別 | 無効の審決 |
審判請求日 | 2002-07-04 |
確定日 | 2006-01-24 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第4022987号商標の商標登録無効審判事件についてされた平成15年8月8日付け審決に対し、東京高等裁判所において審決取消の判決(平成15年(行ケ)第422号、平成16年5月11日判決言渡)がなされ、同判決が最高裁判所の決定(平成16年(行ツ)第218号・平成16年(行ヒ)第232号、平成16年9月30日決定)により確定したので、さらに審理のうえ、次のとおり審決する。 |
結論 | 登録第4022987号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第4022987号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、平成7年11月2日登録出願、第25類「被服,帽子,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト」を指定商品として、同9年7月4日に設定登録されたものである。 第2 引用商標 請求人が無効の理由に引用する、平成6年商標登録願第95840号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲(2)に表示したとおりの構成よりなり、第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,和服,エプロン,えり巻き,靴下,ショール,スカーフ,手袋,ネクタイ,ネッカチーフ,マフラー,帽子,バンド,ベルト,靴類(「靴合わせくぎ,靴くぎ,靴の引き手,靴びょう,靴保護金具」を除く。),げた,草履類,運動用特殊衣服,運動用特殊靴(「乗馬靴」を除く。)」を指定商品として、平成6年9月21日に登録出願されたものである。 そして、同16年2月27日に商標登録第4751423号として、設定登録がなされているものである。 第3 請求人の主張 請求人は、本件商標の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証及び甲第2号証を提出した。 1 商標の類似について 本件商標は、ローマ字の横書き筆記体で「Indian」と書してなり、これからは「インディアン」の称呼が生じることは明らかであり、また、当該「インディアン」の語が既に外来語として広く使用され認識されていることを考慮すれば、「北米原住民/インディアン」の観念が生じることも疑問の余地のないところである。 これに対して引用商標は、黒塗りの「円形枠」と「方形枠」とを一部重合して上下に配し、円形枠中央部に白抜き「円形輪郭」を配してその中央部に「横向きインディアン頭部図形」を描き、更に、円形枠周側緑に沿って「WORLDSFINESTMOTORCYCLE」のローマ字を、方形枠の上部に本件商標とほぼ同一の筆記体からなる「Indian」のローマ字を、その下部に「MOTOCYCLE」のローマ字を、それぞれ書体、大きさ並びに段を異にして書されているものである。そして、引用商標中の上記「Indian」のローマ字部分は、全体の略中央部にあって大書され、最も顕著な構成要素として機能する部分と謂うべきで、取引者・需用者は、この「Indian」のローマ字部分に着目し、「インディアン」と称呼するとともに、「北米原住民/インディアン」と観念するものである。 してみると、本件商標と引用商標とは、その構成より共通の称呼「インディアン」及び観念「北米原住民/インディアン」を有する類似の商標であることは明らかである。 2 商品の同一について 本件商標に係る指定商品は、第25類「被服,帽子,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト」であり、引用商標に係る指定商品と相抵触するものである。 3 商標法第8条第1項について 商標法第8条第1項は、同一又は類似の商品に使用する同一又は類似の商標について出願が競合したときには、最先の出願人のみがその商標について登録が受けられる旨規定する。 してみると、本件商標と引用商標とは、指定商品において同一又は類似で、商標においても類似するものであるから、同規定の適用を受けるものであり、そして、本件商標の登録出願日が平成7年11月2日で、引用商標の出願日が平成6年9月21日であることからすれば、本件商標の登録は明らかに同規定に違反するものである。 4 商標法第15条の3について 商標法第8条第1項は、拒絶理由とはなり得ないものであるが、登録異議理由及び登録無効理由とされているのであるから、本来、商標法第15条の3によって、登録査定前に先願に係る引用商標の存在を被請求人(出願人)に通知(条件付拒絶理由通知)しなければならないのであり、にも拘わらず、この法定の審査手続きを行わずになされた本件商標の登録は、審査手続きに瑕疵があるものとして、無効にすべきものである。 5 結論 以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第8条第1項の規定に違反するものとして、同法第46条第1項第1号の規定により、無効にされるべきものである。 6 答弁に対する弁駁 (1)商標法第8条第1項について商標法第8条第1項は、異なった日に出願が競合した場合、最先の出願人のみがその商標について登録を受けることができる旨を規定するものであって、同条第3項の規定からも明らかなように、登録の有無に拘わらず引用商標が現に出願に継続している以上、本件商標はその適用を免れ得るものではない。 引用商標が登録要件を満たしているか否かは、本審判の審理とは一切関係せず、引用商標の審査及び審判の場で判断されるべき事柄である。 (2)権利の乱用との主張について 被請求人は、「本件無効審判請求は、被請求人の業務を妨害するためになされたもので、権利の乱用と解すべきものである。」と主張するが、このような被請求人の主張や手法は、関連する多くの審判事件や訴訟事件においても同様になされ、それらの審判決で否定されているところである。 第4 被請求人の主張 被請求人は、本件審判請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする、と答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第5号証を提出した。 1 本件商標が商標法第8条第1項に該当するというためには、引用商標が登録すべき要件を備えていなければならない。然しながら、引用商標は、商標法第4条第1項第7号、同第8号、同第10号、同第11号及び同第19号に該当するものであり、登録すべき要件を備えない。 したがつて、本件商標は、商標法第8条第1項に該当しない。 2 商標法第15条の3が「審査官は、・・・、意見書を提出する機会を与えることができる」と規定していることから明らかなように、審査官に裁量権を与える規定であり、審査官を義務付ける規定ではない。したがって、本件商標の審査手続に請求人のいうような、重大な瑕疵はなく、請求人がいうように、本件商標の登録は、直ちに無効とすべきものではない。 3 引用商標は、商標法第4条第1項第7号、同第8号、同第10号、同第11号及び同第19号に該当するものであって、商標法第8条第1項にいう先願商標に該当するものでないことは明らかであり、本件審判請求に理由がないこと明白であるばかりでなく、本件審判請求は、根拠のないことを知りながら被請求人の業務を妨害するためになされたものであり、権利の濫用と解すべきものである。 第5 当審の判断 1.本件商標と引用商標との類否について 本件商標は、別掲(1)のとおり、「Indian」の文字を書してなるものであるから、その構成文字に相応して「インディアン」の称呼及び「北米原住民」の観念を生ずるものである。 他方、引用商標は、別掲(2)のとおり、黒塗りの円形図形を背景として、その内側中央に、頭部の羽根飾りを前方に突き出させた左向きのインディアンの図形を配し、同図形の外側に配した白塗り三重の円弧の図形外周に沿って、「WORLDS FINEST MOTORCYCLE」の欧文字の活字体で表記し、その下方に、黒塗り長方図形を背景として、特徴のある書体で表した欧文字「Indian」と、白抜きの活字体欧文宇「MOTOCYCLE」とを二段に表記した構成からなるものである。 しかして、引用商標中の欧文字「Indian」は、特徴ある書体で、活字体の「MOTOCYCLE」とは、その書体が異なること、また、文字の大きさも欧文字「Indian」の方がはるかに大きいこと、及び欧文字「Indian」は、その上部にあって、共に看者の注意を引くインディアンの図形とインディアン(北米原住民)の意味を共通にしているものである。 さらに、上記「Indian」の文宇と「MOTOCYCLE」の文字とを常に一体不可分のものとして把握すべき特段の理由も見当たらない。 そうすると、引用商標中の欧文字「Indian」の文字部分も独立して自他商品の識別標識としての機能を果たすものとみるのが相当であるから、該文字部分に相応して「インディアン」の称呼及び「北米原住民」の観念を生ずるものといわざるを得ない。 してみれば、本件商標と引用商標とは、外観上の差異を考慮したとしても、「インディアン」の称呼及び「北米原住民」の観念を共通にする類似の商標であって、かつ、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品とは、同一又は類似の商品と認められるものである。 2.商標法第8条第1項について 被請求人は、商標法第8条第1項の規定における先願の商標は、商標登録の要件を充たす必要がある旨述べている。 しかしながら、同法第8条第1項及び第46条第1項第1号ほかには、ある商標が第8条第1項の規定における先願の商標とされるためには、それが商標登録されている必要があると解すべき理由は見出し得ない。 また、第8条第3項に規定する事由が生じているかについては、引用商標は、前述のとおり、平成16年2月27日付けで登録第4751423号として商標権の設定登録がなされているものであるから、上記条項に該当にしないことは明らかである。 3.結論 上記1.及び2.のとおり、本件商標は、先願に係る引用商標と類似の商標であって、かつ、その指定商品も同一又は類似するものと認められ、また、引用商標は先願としての地位を有し、その後、上記のとおり、登録第4751423号として商標権の設定登録がなされているものである。 したがって、本件商標は、商標法第8条第1項に違反して登録されたものと言わざるを得ないから、同法第46条第1項第1号の規定により、その登録を無効とすべきである。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲(1) 本件商標 ![]() 別掲(2) 引用商標 ![]() |
審理終結日 | 2004-11-04 |
結審通知日 | 2003-07-28 |
審決日 | 2003-08-08 |
出願番号 | 商願平7-113221 |
審決分類 |
T
1
11・
4-
Z
(025)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 箕輪 秀人 |
特許庁審判長 |
山田 清治 |
特許庁審判官 |
岩崎 良子 小林 薫 |
登録日 | 1997-07-04 |
登録番号 | 商標登録第4022987号(T4022987) |
商標の称呼 | インディアン |
代理人 | 古木 睦美 |
代理人 | 野原 利雄 |
代理人 | 佐藤 雅巳 |