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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 Y03
審判 全部申立て  登録を維持 Y03
審判 全部申立て  登録を維持 Y03
管理番号 1126290 
異議申立番号 異議2004-90744 
総通号数 72 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2005-12-22 
種別 異議の決定 
異議申立日 2004-12-06 
確定日 2005-11-12 
異議申立件数
事件の表示 登録第4800533号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第4800533号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第4800533号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、平成16年2月2日に登録出願、第3類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成16年9月3日に設定登録されたものである。

2 登録異議申立ての理由の要点
(1)「SP(エスピー)」及び「システムプロフェッショナル」、「System Professional」商標(「システムプロフェッショナル」、「System Professional」商標をまとめて、以下「引用標章」という。)の周知・著名性について
世界有数の頭髪用化粧品メーカーである登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、引用標章が使用された業務用ヘアケア商品を1974年にヨーロッパで発売し、その3年後の1977年には、日本でも市場投入した(甲第22号証)。これらの商品は、およそ30年に渡るロングセラー商品となっており、1996年以降の日本国内での売上高は、10億円を超えるものである。そして、これらの商品には、パッケージ前面に「SP」の文字が大きく表されており、1980年ころには、取引者、需要者の間で「SP(エスピー)」の略称で親しまれるようになっていた(甲第6号証ないし甲第48号証)。
以上のとおり、「SP(エスピー)」商標は、本件商標の登録出願前には既に、申立人の業務に係る商品の商標として、また、引用標章の略として、取引者、需要者の間に広く認識されていた。
(2)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、以下(ア)ないし(エ)に示す登録商標と「エスピー」の称呼を共通にし、かつ、外観も類似するものであり、その指定商品も引用登録商標の指定商品と抵触するから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(ア)登録第3281600号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲(2)のとおりの構成よりなり、平成6年8月19日に登録出願、第3類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成9年4月18日に設定登録されたものである。
(イ)登録第3342231号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲(3)のとおりの構成よりなり、平成6年10月20日に登録出願、第3類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成9年8月29日に設定登録されたものである。
(ウ)国際登録第686372号商標(以下「引用商標3」という。)は、別掲(4)のとおりの構成よりなり、1997年12月2日を国際登録の日とし、第3類に属する国際商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成13年3月2日に設定登録されたものである。
(エ)登録第4556740号商標(以下「引用商標4」という。)は、別掲(5)のとおりの構成よりなり、平成13年5月2日に登録出願、第3類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成14年4月5日に設定登録されたものである。
(3)商標法第4条第1項第10号及び同第15号について
前記(1)のとおり、「SP(エスピー)」商標は、本件商標の登録出願前には既に、申立人の業務に係る商品「シャンプー、頭髪用化粧品」の表示として、また、引用標章の略として、取引者、需要者の間に広く認識されており、本件商標はこれと外観、称呼において類似し、かつ、使用する商品も類似する。
したがって、本件商標は、これをその指定商品について使用するときは、申立人の取扱いに係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第10号及び同第15号に該当する。
(4)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号、同第10号及び同第15号に違反してされたものであるから、同法第43条の2第1号により取り消されるべきである。

3 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号について
(ア)本件商標は、別掲(1)のとおり、「Sp+」と「エスピープラス」を二段に横書きしてなるものであるところ、これらの文字は、外観上まとまりよく一体的に書されているばかりでなく、下段に書された片仮名は、「Sp+」の読みを表したものと理解されるものであり、これより生ずると認められる「エスピープラス」の称呼は、無理なく称呼し得るものである。
ところで、各種商品を取り扱う商取引の場においては、ローマ字の1字若しくは2字は、商品の種別、規格等を表示するための記号、符号等として類型的に使用されている実情にある。そうすると、仮に本件商標を「Sp(エスピー)」の文字部分と「+(プラス)」の文字部分とに分離し、それぞれの文字部分を別個のものとして分離観察するとすれば、「Sp(エスピー)」の文字部分は、商品の種別、規格等を表示するための記号、符号等として理解されるものであり、かつ、「+(プラス)」の文字部分は、「加える」などを意味する記号等として理解されるものであって、いずれの文字部分も自他商品の識別標識としての機能を発揮し得ない部分ということになるから、上記のとおり、本件商標の外観及び称呼上の一体性をも考慮すれば、本件商標は、構成全体をもって一体不可分の造語を表したと認識されるというのが相当である。
したがって、本件商標は、その構成文字に相応して、「エスピープラス」の一連の称呼を生ずるものであって、単に「エスピー」の称呼は生じないものといわなければならない。
(イ)引用商標1ないし引用商標4は、別掲(2)ないし(5)のとおりの構成よりなるものであるところ、その構成中顕著に表された、やや細線で描かれたS字状図形とその右に太線で描かれたP字状図形は、欧文字の「SP」を図案化して表現したものと理解されるから、これより特定の称呼は生じないものというのが相当である。
そうすると、引用商標1は、これより「エスピー」の称呼は生じないものといわなければならない。また、引用商標2及び引用商標4は、その構成中の「SYSTEM/PROFESSIONAL」又は「System/Professional」の文字部分より「システムプロフェッショナル」の称呼を生ずるものである。さらに、引用商標3は、「SYSTEM/PROFESSIONAL」の文字部分より「システムプロフェッショナル」の称呼を、また、「JUSTMEN」の文字部分より「ジャストメン」の称呼を生ずるものである。
してみると、本件商標は、引用商標1と称呼において比較することができないばかりでなく、本件商標より生ずる「エスピープラス」の称呼と引用商標2ないし引用商標4より生ずる「システムプロフェッショナル」の称呼又は「ジャストメン」の称呼は、音構成の差、相違する各音の音質の差等により、それぞれの称呼を一連に称呼した場合においても明瞭に聴別し得るものである。
したがって、本件商標と引用商標1ないし引用商標4は、称呼上類似する商標ということはできないのみならず、別掲(1)ないし(5)のとおりの構成よりみて外観上明らかに区別し得るものである。また、造語よりなる本件商標は、引用商標1ないし引用商標4とは、観念上比較することができないものである。
(ウ)以上によれば、本件商標は、引用商標1ないし4とは、称呼、外観及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
(2)商標法第4条第1項第10号及び同第15号について
本件商標の登録出願前に発行されたと認め得る甲第19号証、甲第25号証ないし甲第28号証及び甲第33号証によれば、申立人は、その取扱いに係る頭髪用化粧品に引用標章又は引用商標4を表示し、宣伝広告した結果、引用標章又は引用商標4は、本件商標の登録出願前には、頭髪用化粧品の取引者、需要者の間では、ある程度知られていたことを認めることができる。
しかしながら、これらの証拠のみをもってしては、「SP(エスピー)」の文字が独立して申立人の取扱いに係る頭髪用化粧品を表示するものとして、あるいは、引用標章の略称を表示するものとして、本件商標の登録出願前より、その取引者、需要者の間に広く認識されていたと認めることは困難であるといわざるを得ないし、また、引用商標4中の欧文字「SP」を図案化した部分から特定の称呼が生じないことは、前記(1)のとおりである。
さらに、業界団体等の証明書(甲第6号証の1、甲第7号証、甲第8号証の1、甲第9号証の1、甲第10号証ないし甲第16号証)は、証明する各事項を裏付ける客観的資料の提出がないものである。
そうすると、前記(1)で認定したとおり、本件商標は、その構成中の「Sp(エスピー)」の文字部分が独立して認識されるものではないことも併せ考えると、本件商標をその指定商品に使用しても、該商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生じさせるおそれはない商標といわなければならない。
(3)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第10号、同第11号及び同第15号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきものとする。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲(1)



別掲(2)


別掲(3)


別掲(4)

別掲(5)


異議決定日 2005-10-25 
出願番号 商願2004-8494(T2004-8494) 
審決分類 T 1 651・ 272- Y (Y03)
T 1 651・ 262- Y (Y03)
T 1 651・ 25- Y (Y03)
最終処分 維持  
特許庁審判長 柴田 昭夫
特許庁審判官 岩崎 良子
小川 有三
登録日 2004-09-03 
登録番号 商標登録第4800533号(T4800533) 
権利者 玉理化学株式会社
商標の称呼 エスピープラス、エスピイプラス 
代理人 伊原 友己 
代理人 中島 正 

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