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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を取消(申立全部取消) Y42 審判 全部申立て 登録を取消(申立全部取消) Y42 |
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管理番号 | 1124693 |
異議申立番号 | 異議2004-90090 |
総通号数 | 71 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2005-11-25 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2004-02-09 |
確定日 | 2005-06-10 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第4723846号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第4723846号商標の商標登録を取り消す。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第4723846号商標(以下「本件商標」という。)は、「FAQ Management」の欧文字と「エフエーキューマネージメント」の片仮名文字とを上下二段に横書きしてなり、平成14年10月31日に登録出願、第42類「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守に関する情報の提供,インターネットサーバーの記憶領域の貸与,インターネットホームページの設計又は作成,インターネットホームページの設計又は作成に関するコンサルティング,サーバーに固定された電子計算機用プログラムを特定の者に専用させることにより行う電子計算機用プログラムの貸与,その他の電子計算機(中央処理装置及び電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テープその他の周辺機器を含む。)の貸与,電子計算機の用途に応じて的確な操作をするためには高度の専門的な知識・技術又は経験を必要とする機械の性能・操作方法等に関する紹介又は説明,電子計算機端末による通信ネットワークを介して供給される電子計算機用プログラムの提供,インターネットの電子掲示板又はホームページへのアクセスタイムの賃貸,インターネットホームページを介して行われる情報蓄積用電子計算機プログラムの設計・作成又は保守,インターネットホームページを介して行われる情報交換用電子計算機プログラムの設計・作成又は保守,その他の電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」を指定役務として、同15年11月7日に設定登録されたものである。その後、指定役務については、指定役務の一部放棄の申請が、平成17年2月25日により「電子計算機(中央処理装置及び電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テープその他の周辺機器を含む。)の貸与」を指定役務として、同15年11月7日に設定登録されたものである。 2 登録異議申立ての理由 本件商標は、商標法第3条第1項第3号、同第4条第1項第16号及び同15号に該当し、その登録は取り消されるべきである。 3 本件商標に対する取消理由の要旨 当審において、平成17年1月5日付けで商標権者に対し通知した取消理由は、要旨次のとおりである。 登録異議申立人(以下「申立人」という。)の提出に係る甲各号証によれば、「FAQ」の語は、例えば、甲第2号証(アスキーデジタル用語辞典ホームページ)には「Frequently Asked Questionの略。インターネットやパソコン通信上で頻繁に尋ねられる質問のこと。・・・質問をする前に一度はこのFAQに目を通して確認しておくのがマナー。ウェブページなどで提供されるトラブル情報がよく『FAQ』としてまとめられている。」と記載されており、甲第3号証(Yahoo!コンピュータ用語辞典ホームページ)には、「FAQ(Frequently Asked Question)頻繁に尋ねられる質問の略。多くの人が同じような質問をすると予想されるとき、そのような質問に対する答えをあらかじめ用意しておくことがある。このQ&A集のことをFAQという。」と記載されており、甲第4号証(goo辞書ホームページ)によれば、「FAQ(Frequently Asked Question)誰もが疑問に思うために、頻繁に出てくる質問。インターネットやパソコン通信ではこういった質問と回答をまとめた一問一答集が文書としてまとめられ、この文書をさす場合もある。」と記載されている。そして、甲第6号証(YAHOO!の検索結果写し)には854件ものFAQの例が紹介されている。 また、「Management」の語については、甲第9号証(日外アソシエーツ株式会社発行「英和コンピュータ用語大辞典第2版」)によれば、「管理」の意味合いを表す語であり、「network management(ネットワーク管理)」、「software management(ソフトウエアマネジメント)」、「documentation management(文書管理)」、「database management system(データベース管理システム)」等々の用例が記載されている。 上記事実によれば、「FAQ」の語は、「Frequently asked question」の略語であり、「良くある質問」の意味合いを表すものであって、特に、インターネット関連の業界においては、利用者から寄せられるインターネットやパソコン通信に関する幅広い質問に対して、同じ質問が殺到すると対応しきれないことから、ユーザーサポートやマニュアル上で、これらの質問等に対する回答をFAQ集としてまとめて掲載することが一般的に行われているものと認められる。そして、上記した「Management」の語の用例に照らしてみれば、「FAQ」と「Management」の語とを結合しても、「良くある質問集(FAQ)の管理」程度の意味合いを認識させるにすぎないものというべきである。 してみれば、本件商標は、これをその指定役務について使用しても、これに接する取引者・需要者は、「良くある質問集(FAQ)を管理するためのプログラムの設計・作成又は保守に関する情報の提供、良くある質問集(FAQ)用インターネットホームページの設計又は作成」等といったその役務の内容を表示したものと理解・認識するにとどまり、自他役務の識別標識とは認識し得ないものとみるのが相当である。 したがって、本件商標は、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができない商標であるから、商標法第3条第1項第6号に違反して登録されたものである。 4 商標権者の意見の要点 上記3の取消理由通知に対する商標権者の意見は、要旨次のとおりである。 (1)「FAQ」は、インターネットやパソコン通信において、頻繁に尋ねられる質問の略。多くの人が同じような質問をすると予想されるとき、そのような質問に対する答えを予め用意しておく。このQ&A集のこと。等と解釈されている。 このような、質問と回答が生じるのは、次のような環境が存在することが前提となる。 つまり、相互に意思疎通を図るためのシステムが存在し、そこに、質問する者と、その質問に答える者が存在することである。 例えば、インターネットやパソコン通信を介すれば、多数の人間の間で、情報のやり取りが可能となる。その中で、特定の事象に関し、特定の者に対して、同じような質問が多数寄せられるといった事態が生じる。この場合には、多数寄せられる同じ内容の質問に、その都度答えることは、非効率であるため、予め答えを用意し、質疑応答集として公開することで、情報伝達の効率化が図られる。といった経緯で作られた質疑応答集が、「FAQ」として認識されるに至っている。 (2)従って、「FAQ」なる用語は、上記のように、インターネットやパソコン通信を行うことができる環境において、相互に情報の発信や取得を行う者(需要者)の間では、特定の意味を有する用語であることは認める。 そのような事実を踏まえて、本件商標の指定役務からは、インターネットに関連した役務は全て放棄し、指定役務「電子計算機(中央処理装置及び電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テープその他の周辺機器を含む。)の貸与」のみに限定した。この役務は、「FAQ」なる用語が使用される環境とは、直接関連のない役務であり、「FAQ」なる用語を用いることが、直ちに、「電子計算機を貸与する」という役務の内容を示すものとは言えない。 要するに、本件商標は、減縮後の指定役務の関係では、自他商品の識別標識として機能するものである。 (3)以上、申立人の主張は当を得ないものであり、本件商標登録の取り消し理由は、存在しないものである。 5 当審の判断 本件商標についてした先の取消理由は妥当なものであって、本件商標は、これをその指定役務について使用しても、これに接する取引者・需要者は、「良くある質問集(FAQ)を管理するためのプログラムの設計・作成又は保守に関する情報の提供、良くある質問集(FAQ)用インターネットホームページの設計又は作成」等といったその役務の内容を表示したものと理解・認識するにとどまり、自他役務の識別標識とは認識し得ないものとみるのが相当であるから、本件商標は、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができない商標であるものというべきである。 (1)商標権者は、「本件指定役務を「電子計算機(中央処理装置及び電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テープその他の周辺機器を含む。)の貸与」に減縮したので、減縮後の指定役務との関係では、自他役務の識別標識として機能し得るものである。」旨述べている。 しかしながら、たとえ、本件指定役務中の「電子計算機(中央処理装置及び電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テープその他の周辺機器を含む。)の貸与」に限定して考察したとしても、直接役務の内容を表すものでなくても、該役務と関連性のある役務に多用されている事実があることから、上記の認定のとおり、自他役務の識別標識としての機能を有するものとは認められないものであって、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができない商標であるものというべきである。 (2)また、登録異議の申立て(商標法第43条の2)は、登録処分の適否について判断を行うものであって、本件商標が商標法第3条第1項6号等に該当するか否かの判断は査定時にあり、加えて、取消決定が確定したときは、商標権が権利の設定時に溯って存在しなかったものとみなされるものであるのに対し(商標法第43条の3)、商標権の放棄による消滅は、その抹消登録がされてその効力が生ずるものであり(商標法第35条で準用、特許法第98条)、その効力は将来に向けて効力を生ずるものと解されるものであるから、本件商標の登録後に商標権の一部を放棄することによって、前記不登録事由の適用を排除することはできない。 したがって、商標権者の意見は、いずれも採用できない。 (3)以上のとおり、本件商標は、商標法第3条第1項第6号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の3第2項の規定により、その登録を取り消すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 2005-04-12 |
出願番号 | 商願2002-92588(T2002-92588) |
審決分類 |
T
1
651・
13-
Z
(Y42)
T 1 651・ 272- Z (Y42) |
最終処分 | 取消 |
特許庁審判長 |
涌井 幸一 |
特許庁審判官 |
小川 有三 富田 領一郎 |
登録日 | 2003-11-07 |
登録番号 | 商標登録第4723846号(T4723846) |
権利者 | 株式会社オーケイウェブ |
商標の称呼 | エフエーキューマネージメント、エフエイキュウマネージメント、エフエーキュー、エフエイキュウ、マネージメント、ファクマネージメント、ファク |
代理人 | 水野 勝文 |
代理人 | 菊地 栄 |
代理人 | 岸田 正行 |
代理人 | 堀 弘 |