• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部無効 商4条1項15号出所の混同 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 025
管理番号 1124477 
審判番号 無効2003-35336 
総通号数 71 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2005-11-25 
種別 無効の審決 
審判請求日 2003-08-13 
確定日 2005-09-21 
事件の表示 上記当事者間の登録第3369985号商標の商標登録無効審判事件についてされた平成16年6月29日付け審決に対し、知的財産高等裁判所において審決取消の判決(平成17年(行ケ)第10230号、平成17年4月13日判決言渡)があったので、さらに審理のうえ、次のとおり審決する。 
結論 登録第3369985号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第3369985号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、平成6年2月4日に登録出願、第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,布製幼児用おしめ,ネクタイ,ネッカチーフ,マフラー,耳覆い,ずきん,すげがさ,ナイトキャップ,ヘルメット,帽子,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,靴類(「靴合わせくぎ・靴くぎ・靴の引き手・靴びょう・靴保護金具」を除く。),げた,草履類,運動用特殊衣服,運動用特殊靴(「乗馬靴」を除く。)」を指定商品として、平成10年8月14日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
請求人が、本件商標の無効の理由に引用する登録第2691725号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、平成2年8月21日に登録出願、第17類「被服、その他本類に属する商品」を指定商品として、平成6年8月31日に設定登録されたものである。

第3 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第34号証(枝番を含む。)を提出した。
1.引用商標の著名性について
(1)請求人は、請求人の主な構成員であり世界的に著名なデザイナーであるラルフ・ローレンによってデザインされた被服や眼鏡、フレグレンスその他のファッション関連商品について、関連会社やライセンシーを通して世界的規模でそれらの製造・販売に携わっている米国ニューヨーク州所在のリミテッド パートナーシップである。
そして、請求人は、請求人が取り扱う全ての商品の商標として、引用商標を単体で、又は「Polo」、「Ralph Lauren」等の文字標章とを組合せて使用している。
(2)引用商標は、請求人の商品を表彰する商標として本件登録出願前より既に周知・著名となっているものである。その事実を以下に示す。
昭和53年発行商品のカタログ誌「男の一流品大図鑑」(甲第3号証)の特集記事「一流ブランド物語」において、引用商標及び「POLO」商標が、著名服飾デザイナーであるラルフ・ローレンによってデザインされた商品を表彰するブランドであり、1968年にポロ社を創立してから僅か10年で世界的著名なブランドとなったことが明記されいる。このカタログ誌は世界的に信用の確立している商品を選別し掲載した年刊誌であり、編集スタッフに各商品分野の専門家を起用し、その内容について高い信頼性を得ているものである。
このような高い評価をされているカタログ誌に特集記事として掲載されたということは、引用商標及び「POLO」商標が衣服の分野において一流ブランドであり、既にこの時代(遅くとも1978年)、我が国おいて著名となっていた事を証明しているに他ならないものである。
なお、使用の事実を甲第8号証、甲第11号証、甲第12号証、甲第14号証及び甲第19号証ないし甲第29号証として提出する。
(3)日本におけるラルフ・ローレンのデザイン商品は、西武百貨店が昭和52年(1977年)からライセンシーの権利を取得して販売等を開始し、昭和62年にはいわゆる「ポロ」商標(引用商標を含む)を付した商品の小売販売高が約330億円となった。
平成元年には、第三者が引用商標、POLO商標ないしこれに酷似した標章を付した偽ブランド商品を販売し摘発され新聞記事となっている。
引用商標は、「Polo」「RALPH LAUREN」商標とともに「ポロ」商標などと総称され、いずれも、被服およびファッション関連商品について、ラルフ・ローレンのデザインに係る商品に付される商標ないしそのブランドとして著名となっていたということができる(甲第15号証ないし甲第18号証)。
(4)以上の事実により、引用商標は、本件商標の登録出願時には、被服およびファッション関連商品について、ラルフ・ローレンのデザインに係る商品に付される商標ないしそのブランドとして著名となっていたということができる。
2.本件商標が引用商標と混同を生じる必然性について
(1)本件商標と引用商標の類似性
本件商標は、野生馬とおぼしき動物に乗り右腕を後上方45度にのばしている擬人化した猿とおぼしき図形を表してなるものであるが、騎乗のものは擬人化されて描かれているため明確に猿と認識できないものであり、また、そのものを乗せている動物は、そのものとの比較における体躯の大きさ、頭顔部及び四肢の特微等から原始的な野生の馬を表したものと看取されるものである。そして、猿とおぼしきものは、左腕に比して異常に長い右腕を後上方45度にのばし手のひらとおぼしき個所も異常に大きくかつ不自然な方向を向いている等一見したときは何かの棒状の器具を振り上げている様を描いたものと見えなくないものである。また、猿とおぼしきものを乗せている動物は、猿との比較における体躯の大きさ、頭顔部及び四肢の特徴等から原始的な野生の馬を表したものと看取されるものである。
これに対し、引用商標は、馬に乗りマレットを45度に振り上げポロ競技をしている人を描いた図形を表わしてなるものである。
そこで、本件商標と引用商標を比較すると、猿とおぼしきものとポロ競技者の上半身の傾斜の角度が同じであり、また、前者の振り上げた右手の角度と後者の振り上げたマレットの角度そして手のひらの形状とマレットの先端の形状が殆ど同じである。さらに、馬の脚の形状、位置及び尾の長さ等が同一の状況を表している。したがって、両者は図形全体の外形・形状が酷似するものである。
よって、本件商標と引用商標は、これを時と所を異にして離隔的に観察した場合には、外観において彼此見間違うおそれが多々ある類似の商標と言うべきものである。
また、両商標の指定商品が同一又は類似すること明らかである。
(2)指定商品の取引の実情
ポロ競技者を認識するか否かが争われた平成13年(行ケ)第468号事件において東京高裁は、商標法4条1項15号の「混同の生ずるおそれ」の有無は当該商標の指定商品の取引者・需要者において普通に払われる注意力を基準として総合的に判断されるべきものと判示する最高裁判決を引用した上で、「本件商標が使用される商品である『被服、その他本類に属する商品』は、主たる需要者は、老人から若者までを含む一般大衆であって、その商品『被服、その他本類に属する商品』に係る商標やブランドについて、詳しくない者や中途半端な知識しか持たない者も多数含まれている。そして、このような需要者が購入する際は、恒常的な取引やアフターサービスがあることを前提にメーカー名、その信用などを検討して購入するとは限らず、そのような検討もなく、いきなり小売店の店頭に赴いたり、時には通りすがりにバーゲンの表示や呼び声につられて立ち寄ったりして、短い時間で購入商品を決定することも少なくないものである(以上の事実は、当裁判所に顕著である。)。また、・・・・・が認められ、本件商標のような図形商標は、その指定商品である被服、その他本類に属する商品の分野において使用される場合、ワンポイントマークとして表示されることが少なくないであろうと予測することができる。本件商標についての混同のおそれの判断は、以上のような取引の実情における需要者の注意力及びワンポイントマークとして使用される蓋然性を十分に考慮にいれてなされるべきである。」と判示している。
(3)本件商標と引用商標は、対比すると細部において差異を有するものであるが、猿とおぼしきものとポロ競技者の上半身の傾斜の角度、また、前者の振り上げた右手の角度と後者の振り上げたマレットの角度、そして手のひらの形状とマレットの先端の形状が殆ど同じであり、さらに、馬の脚の形状・位置及び尾の長さ等が同一の状況を表している等、両者は図形全体の外形・形状が酷似するものである。
そうとすると、本件商標をその指定商品に使用された場合、特に、直接刺繍されたりして商標が常に鮮明に表示されるとは限らないワンポイントマークとして使用された場合には、これに接した取引者・需要者は、上記取引の実情から、引用商標と共通する図形であることに着目し、細部における両者の相違点に気付かず、あるいは、気づいたとしても、これを著名な引用商標の兄弟ブランドないしファミリーブランドと誤解し、当該商品をラルフ・ローレン又は同人と組織的・経済的に密接な関係がある者の業務に係る商品であるかのように、その出所について混同を生ずるおそれがあるものというべきである。
3.過去の判決・審決・異議決定において、登録・出願された商標が引用する商標と同一具象と明確に把握できない描出図柄であっても、近似する描出態様、取引の実情、ワンポイントマークとしての使用実態等から引用する著名商標と混同するとして無効又は取消されている。(甲第31号証ないし甲第34号証)。
4.以上のとおり、引用商標が高い著名性を有していること、本件商標が引用商標と外観において酷似するものであること、また、本件指定商品におけるワンポイントマークなど商標の使用実態及び取引の実情等により、本件商標をその指定商品に使用したときは、取引者、需要者をして、該商品がラルフ・ローレンによりデザインされ、請求人又は請求人の関連会社によって製造・販売されている商品の一種であると誤認し、商品の出所について混同を生ずる虞れが多分にあるものと言うのが相当である。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。

第4 被請求人の主張
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める、と答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証を提出した。
1.本件商標について
本件商標は、山羊に猿が騎乗して走る姿を斜め前方から描いた図形である。
すなわち、山羊に猿が騎乗しているという普通ではありえない極めて特異な情景をその主題としているものである。
しかも、この猿は、右腕を後方に伸ばしながら、山羊の首の上の部分、頭といってもよいところにしがみつくようにして描かれているものである。
本件商標では、このようなあり得ない動物同士の組み合わせと共に、猿が山羊の首のところにしがみついているという格別の構図によって人目を引き、本件商標を需要者に強烈にアピールし印象づけようとするものである。
本件商標の図形のモチーフは、山羊と猿である。
請求人は、山羊のことを馬としているが、これはどうみても山羊である。こんなに毛の長そうに見える馬はありえないからである。
本件登録異議の申立の決定においても、本件商標が「山羊と猿」の図形であることを認定している(乙第1号証)。
また、本件商標では、白い山羊に対して黒色の猿という、白色と黒色とで両者をはっきり認識ができる構成とし、山羊の頭部や猿は写実的に描かれている。山羊は脚部が一部切れ込みがあるような少しおかしな格好に描かれているが、山羊全体としては複雑に折れ曲がった黒の輪郭線とその内部の多くの細かい線で表されている。白抜きで描かれたこの山羊は、図形全体から看ると大きな部分を占めている。
2.引用商標について
引用商標は、ポロ競技者をその主題とするものである。すなわち、馬に人間が乗って、マレットを振り上げているポロ競技をしている姿を表しているものである。
また、引用商標では、図形全体を黒色として白抜きの線を用いて、競技者の姿をシルエット風に描いているものである。
馬は馬らしく、全体としてポロをしている姿を良くとらえているものである。
3.本件商標と引用商標との比較について
(1)両者の主題の相違
本件商標が「山羊と猿の騎乗姿」を主題とするのに対して、引用商標は「ポロ競技者」を主題とするものであるから、そもそもが全く異なったテーマに基づいて作成されてものである。
(2)両者の描写の相違
両者の全体の描法も、本件商標では、図形の大部分を占める山羊の部分は白抜きとし、黒色の猿も山羊の特に頭部では実に写実的に表現がされているし、山羊は複雑に折れ曲がった黒の輪郭線とその内部の細かい線で表されており、頭部、胴体部および特に脚部も太く全体として長い毛で覆われているように描かれている。
これに対して、引用商標では、馬は頭部が小さく、首も胴体も、また特に脚部も4本とも細く軽快にしかもはっきりと描かれており、騎乗する競技者も含めて、全て黒色である。
両者は全く異なったタッチで描かれ、配色も異なっている。
(3)両者の構図
本件商標の猿の右腕が引用商標のマレットに相応し、両者の山羊と馬の描かれた角度や脚の位置などで配置が似ていることは、両者を並べて比較検討をしてみてはじめて気づく程のものである。
本件商標では、猿は山羊の首のところにしがみつくようにしいるものであり、このような「山羊と猿」の主題とその特異な描法とに関心が引きつけられて、引用商標を想起することなどあり得ないことであるから、本件商標と引用商標の構図を比較することなど全く思いもつかないことである。
(4)両者の非類似性
両者の単なる細部が異なるといったものではなく、両者の主題も異なり、描き方も異なっているのであるから、両者を取り違えて、本件商標を引用商標であると間違えるものなどあり得ようがない。両者が非類似の商標であることは明らかである。
また、本件商標をみたものが、引用商標を想起することは考えられないから、両者の間に何らかの関連があるとすることなどあり得ようはずがない。
(5)出所の混同
以上のとおり、本件商標と引用商標との相違によって、本件商標の商品と引用商標の商品の間に出所の混同を生じたり、また、本件商標を看た者が引用商標の商標権者との間に何らかの関係がある者によって使用がされているとの誤認を生じるおそれもない。
4.請求人の主張に対する反論について
(1)請求人は、本件商標と引用商標の図形全体の外形・形状が酷似することを強調をして、本件商標と引用商標との間に出所の混同を生じるとする。 しかしながら、本件商標の「山羊と猿」という主題と特異な描法が、余りにも引用商標とはかけ離れているために、本件商標をみても、そもそも引用商標を全く想起をするものではない。
しかも、両者の図形全体の外形、すなわち構図については、対比してはじめて気づく程度のものである。
したがって、時と所を異にして両者をみても、両者の間に関連性があるもの、すなわち、本件商標が引用商標の「兄弟ブランドないしファミリーブランド」と思うものなどありえない。
(2)請求人が引用する平成13年(行ケ)第468号判決(甲第31号証)及び平成9年審判第8720号審決(甲第32号証)における登録商標は、甲第32号証の審決にあるように黒色だけでシルエットとして構成されているものであり、「前脚を少し『く』の字に折った状態の馬に、顔面を斜め右下に向け、先端を曲げた棒状のものを振りかざして乗っている人を斜め前方から描写してシルエット風に表したもの」と解さざるを得ないものである。
したがって、このような図形商標をワンポイントとして使用すると引用商標と紛らわしいとされたものである。
ところが、本件商標では、「山羊と猿」の図形であることがはっきりしており、その図形自体も全く相違をするものである。
本件商標をワンポイントマークとして使用をしても、引用商標とは全く異なる商標として認識されることは、両者の相違から明らかなところである。 したがって、本件商標は、以上の判決及び審決例とはその内容を異にするものである。
(3)請求人が引用する平成10年審判第35527号審決(甲第33号証)は、本件と明らかに内容を異にするものであるから、本件の参考にはならない。
5.結論
以上の理由から、本件商標を当該指定商品に使用しても、請求人の業務に係る商品と混同を生じるおそれはない。したがって、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当しない。

第5 当審の判断
1.商標法第4条第1項第15号にいう「混同を生ずるおそれ」の有無は、当該商標と他人の表示との類似性の程度、他人の表示の周知著名性及び独創性の程度や、当該商標の指定商品等と他人の業務に係る商品等との間の性質、用途又は目的における関連性の程度並びに商品等の取引者及び需要者の共通性その他取引の実情などに照らし、当該商標の指定商品等の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として、総合的に判断されるべきである。
2.本件商標と引用商標の構成
(1)引用商標は、別掲のとおり、帽子と被服を身にした一騎のポロプレーヤーが、疾走する馬に乗り、ポロ競技用のスティック(マレット)を斜め上方に構えている姿を斜め前方から表し、全体をシルエット風に黒色で描かれている図形からなるものである。
(2)本件商標は、別掲のとおり、白毛で覆われているかのように細かい線で描かれた正体不明の4つ足の動物の後頭部に、黒く塗られた猿とおぼしき動物がしがみついており、その頭部付近から意味不明の部分が斜め上方に向かって伸びているという図形からなるものである。
本件商標の図形について、4つ足の動物を山羊と見ることはかなり困難であるし、これにしがみついている動物も、「猿だといわれればそのように見えなくはない」といった程度のものであり、一見して猿であるとまで認識できるというものではない。また、右腕についても、左腕との対比においてその位置や長さの点で右腕を伸ばしているとみることは必ずしも自然ではなく、帽子様のものにも見えるなど、判別し難いものである。要するに、本件商標は、それ自体だけを見ると、実在する特定のものを表現したものとは解することができず、これを創作した者がいかなるものを表現しようとしたのかは必ずしも理解し難いというべきである。
3.引用商標の周知著名性
証拠(甲第3号証ないし甲第18号証、甲第19号証の1ないし4、甲第31号証及び甲第32号証)によれば、我が国において、引用商標は、その略称である「Polo」、「ポロ」の各文字標章と共に、ネクタイ、スーツ、セーター、靴、かばん等のファッション関連の商品について、ラルフ・ローレンのデザインに係る商品に付される商標ないしブランドとして広く知られ、強い顧客吸引力を取得するに至っていることが認められるのであって、本件商標の出願(平成6年2月4日)前に、既に需要者の間で周知・著名な商標となっていたということができる。そして、引用商標を含む「ポロ」標章の著名性は、本件商標の出願時以後も、その登録査定時を経てその後に至るまで継続しているということができる。
4.商標の使用の形態等に関する取引の実情
証拠(甲第20号証ないし甲第22号証の1及び2、甲第23号証ないし甲第30号証)によれば、引用商標は、スポーツシャツ、ベスト、パジャマ、靴下などについて、刺繍などによるいわゆるワンポイントマークとして付されていることが多いこと、また、引用商標だけでなく、他の著名な図形商標も、同様の商品などにワンポイントマークとして付されていることが多いことが認められる。
また、本件商標が、その指定商品であるセーター類、ワイシャツ類、寝巻き類、靴下等の被服類の商品分野において使用される場合には、ワンポイントマークとして表示される可能性が高いものということができる。
そして、本件商標が使用される商品であるセーター類、ワイシャツ類等の商品の主たる需要者は、老人から若者までを含む一般の消費者であり、必ずしも商標やブランドについて詳細な知識を持たない者も多数含まれていることに加え、商品の購入に際し、メーカー名などについて常に注意深く確認するとは限らず、小売店の店頭などで短時間のうちに購入商品を決定するということも少なくないことは、経験則に照らして推認するに難くないところである。
5.混同を生ずるおそれの有無について
(1)本件商標における4つ足の動物は、白毛様のもので、その頭部、胴体部及び脚部が太く描かれており、これにしがみついている猿とおぼしき動物も、引用商標のようなポロ競技をしている様子にはみえない点で、引用商標とは相違しているものであり、両商標を対比すると、各商標の視覚的印象が別異のものであるということもできる。
しかしながら,本件商標の全体的な構図をみると、その全体的な配置、輪郭は、引用商標と高い類似性を示しているものということができる。
そして、本件商標がワンポイントマークとして使用される場合を考えると、そのようなワンポイントマークは、比較的小さいものであり、マーク自体に詳細な模様や図柄を表現することは実際上容易ではないから、例えば、ポロシャツに刺繍するときは、正体不明の4つ足の動物の白毛部分の細かな線や猿とおぼしき動物の顔等を写実的に描くことはかなり困難であり、むしろその図形の輪郭全体が見る者の注意を惹き、内側における差異が目立たなくなることが十分に予想されるのであって、その全体的な配置、輪郭が引用商標と類似していることから、ワンポイントマークとして使用された場合の本件商標は、引用商標とより類似してくるとみるのが相当である。
(2)そうすると、本件商標はワンポイントマークとして使用される可能性が高いこと、本件商標が使用される商品であるセーター類、ワイシャツ類等の商品(指定商品第25類)の主たる需要者が、商標やブランドについて詳細な知識を持たない者を含む一般の消費者であり、商品の購入に際し、メーカー名などを常に注意深く確認するとは限らないことなどの実情や、引用商標が我が国においてポロブランドとして極めて高い周知著名性を有していることなどを考慮すると、本件商標が、特にその指定商品にワンポイントマークとして使用された場合には、これに接した需要者(一般消費者)は、それが引用商標と全体的な配置、輪郭が類似する図形であることに着目し、本件商標における細部の形状や模様などの相違点に気付かずに、当該商品をラルフ・ローレン又は同人と組織的・経済的に密接な関係がある者の業務に係る商品であるかのように、その出所について混同を生ずるおそれがあるものというべきである。
(3)被請求人は、本件商標と引用商標とでは、「主題」や「描法」の点で決定的に相違しており、また、着想や全体的構成の点でも軌を一にするといえないとし、両商標の非類似性が明白であるから、ワンポイントマークとして使用された場合であっても、出所の混同を生じさせることはないと主張する。
しかし、本件商標それ自体が何を表現しているのか必ずしも理解し難いことは前記のとおりであるが、その全体的な構図、輪郭が引用商標と客観的に類似したものとなっており、これをワンポイントマークとして使用した場合、一般消費者の注意力などをも考慮すると、出所の混同を生ずるおそれがあることは前記のとおりであって、被請求人主張のような主観的な意図やワンポイントマークにおいて注目を惹きにくい細部の描法等の点は、上記判断を左右するものとはいえない。
6.以上のとおり、本件商標は、本件商標の出願当時及び登録査定当時において、他人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがあるものというべきであり、商標法第4条第1項第15号に該当するものというべきであるから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
本件商標



引用商標



審理終結日 2004-06-14 
結審通知日 2004-06-16 
審決日 2004-06-29 
出願番号 商願平6-10811 
審決分類 T 1 11・ 271- Z (025)
最終処分 成立  
前審関与審査官 涌井 幸一堀内 真一 
特許庁審判長 柴田 昭夫
特許庁審判官 小川 有三
岩崎 良子
登録日 1998-08-14 
登録番号 商標登録第3369985号(T3369985) 
代理人 梅村 莞爾 
代理人 岡田 稔 
代理人 黒岩 徹夫 
代理人 曾我 道照 
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ