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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 009
管理番号 1123098 
審判番号 取消2003-30136 
総通号数 70 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2005-10-28 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2003-02-05 
確定日 2005-09-02 
事件の表示 上記当事者間の登録第4295920号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4295920号商標(以下「本件商標」という。)は、「ロゼッタストーン」の片仮名文字を横書きしてなり、第9類「理化学機械器具,測定機械器具,配電用又は制御用機械器具,回転変流機,調相機,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,眼鏡,救命用具,電気通信機械器具,レコード,メトロノーム,電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク及び磁気テープ,その他の電子応用機械器具及びその部品,オゾン発生器,電解槽,ロケット,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気式ワックス磨き機,電気掃除機,電気ブザー,乗物の故障の警告用の三角標識,発光式又は機械式の道路標識,鉄道用信号機,火災報知器,盗難警報機,消火器,消火栓,消火ホース用ノズル,消防艇,消防車,自動車用シガーライター,保安用ヘルメット,磁心,抵抗線,電極,映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,ガソリンステーション用装置,自動販売機,駐車場用硬貨作動式ゲート,金銭登録機,硬貨の計数用又は選別用の機械,作業記録機,写真複写機,手動計算機,製図用又は図案用の機械器具,タイムスタンプ,タイムレコーダー,電気計算機,パンチカードシステム機械,票数計算機,ビリングマシン,郵便切手のはり付けチェック装置,計算尺,ウエイトベルト,ウエットスーツ,浮袋,エアタンク,水泳用浮き板,レギュレーター,潜水用機械器具,アーク溶接機,金属溶断機,電気溶接装置,犬笛,検卵器,電動式扉自動開閉装置」を指定商品として、平成6年10月26日に登録出願され、同11年7月16日に設定登録、現に有効に存続しているものである。

第2 請求人の主張
請求人は、「本件商標の指定商品中の『電気通信機械器具,電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク及び磁気テープ,その他の電子応用機械器具及びその部品』についての登録を取り消す。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証の1及び2を提出した。
1 本件商標は、請求人の調査したところによれば、本審判の請求に至るまで継続して3年以上にわたり、日本国内において本件商標の指定商品中の「電気通信機械器具,電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク及び磁気テープ,その他の電子応用機械器具及びその部品」につき使用されていない。
また、その商標登録原簿には専用使用権通常使用権も登録されていないし、他に商標権者の許諾を受けてこれを指定商品中の上記商品について日本国内において使用しているものも見出し得ない。
すなわち、本件商標はその指定商品中の上記商品について、今日に至るまで継続して3年以上にわたり、商標権者、専用使用権者、通常使用権者の何れによっても日本国内において使用されていない。
よって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により、その指定商品中の上記商品について取消されるべきである。
2 答弁に対する弁駁
(1)答弁書によれば、被請求人及びキャノン販売株式会社(以下「被請求人ら」という。)は、本件商標を商品「OCRソフトウェア」及び「OCRプログラム」について、平成15年3月5日前3年以内に使用しているとのことであるが、失当である。
(2)各乙号証により被請求人らが本件商標(又はその英文字態様)の使用していることを主張・立証しようとしている商品「OCRソフトウェア」及び「OCRプログラム」は、商標法上の商品には該当しない。
乙第2号証によれば、ネットワーク対応ドキュメント管理ツールであるアプリケーションソフト「CanoBureauWorkgroup」の包装箱の表面に、高性能OCRソフトウェア「RosettaStone」が同梱されている旨が記載されている。乙第2号証の包装箱の裏面には商品の特長5として、「紙に書かれた文字や図形を直接読み取ってテキストデータに変換するOCR機能も内蔵されているため、ランチャーに登録されているテキストアプリケーション(Microsoft Word、WordPad、メモ帳など)にデータをドラッグ&ドロップするだけで簡単にテキスト形式に変換することが可能です。なお、本機能には認識率の高さで定評のある『キャノンロゼッタストーンVer.3.0』の技術を採用しています。」
と記載されている。
これらの記載によると、OCRソフトウェアは「CanoBureauWorkgroup」に同梱されている付属品ないし付加されている機能の一つに過ぎず、それ自体が独立して取引の対象となっている商品とは認められない。
同様に、乙第3、4号証を参照しても、OCRソフトウェア及びOCRプログラムは「CanoBureauWorkgroup」の包装箱に同梱された付属品、あるいはその内容の一部をなすコンポーネントないしモジュールとして組み込まれているという以上のことは読みとれない。
乙第5号証の商品説明資料によると、標題は「Rosetta-Stone-Components」であり、「コンポーネント」とはモジュール化されたソフトウェアに他ならないから、「CanoBureauWorkgroup」の一部であって独立した商品でないことが却って明確にされている。
乙第6号証によると、「さて、Rosetta-Stone-Componentsを組込んだアプリケーション『RosettaCapture』の2003年1月〜3月における販売に関し、下記の通りご報告申し上げます。」とあり、「Rosetta-Stone-Components」が「RosettaCapture」なるアプリケーションソフトに組込まれたコンポーネントであることが再度明確にされている。
よって、本件商標を使用したと請求人が主張しているOCRソフトウェア及びOCRプログラムは、独立して取引の対象となっていたとは認められないから、商標法上の商品に該当しない。従って本件商標は商品について使用されていないことは明らかである。
(3)本件商標は、商品の包装箱に表示されていたとしても、いわゆる「商標的使用」には当たらない。
乙第2号証によると、「CanoBureauWorkgroup」の包装箱のうち、
(ア)表面の左上隅に製造・販売者を示す「Canon」のロゴが記載されている。
(イ)「Canon」の右斜め下方には、大きな「CanoBureau」「Workgroup」の文字が2段で併記されている。
(ウ)「CanoBureau」「Workgroup」の下方には「for Web Lt」「簡単」「ネットワーク対応ドキュメント管理ツール」、
(エ)及び「CanoBureau」「Workgroup」の左方に「1サーバ&無制限」「クライアントアクセスライセンス」のように、それぞれ商品の用途・特長・種別等が記載されている。
(オ)さらにその下方には、オフィス内で書類の整理に追われて右往左往する男女の会社員と、それを尻目に「CanoBureauWorkgroup」を使用してデスクに向かい、らくらく仕事をこなしている様の男性社員のイラストが描かれている。
(カ)表面の右下隅には「同梱 高性能OCRソフト」の文字の下に「RosettaStone Ver.3.0」と書されている。
(キ)裏面には、上述したように商品の特長として付属しているOCR機能に「キャノンロゼッタストーンVer.3.0」の技術を採用している旨が表示されている。
このような包装箱を看た需要者は、その著名性故に「Canon」が製造・販売者を示し、また表示の位置、大きさ、態様より「CanoBureauWorkgroup」が個々の商品名であることを直ちに認識することが可能である。一つの商品に2つ以上の商標が付されることは珍しくはないが、乙第2号証においては営業標である「Canon」、及び商品標である「CanoBureauWorkgroup」がそれぞれ明確な態様で付されているので、需要者は「RosettaStone」ないし「キャノンロゼッタストーンVer.3.0」の表示を自他商品を識別するための標識して把握することはなく、単なる商品の付属品あるいは商品に付加された機能の名称と理解できるにとどまる、と解するのが相当である。
よって、「RosettaStone」ないし「キャノンロゼッタストーンVer.3.0」の表示は、需要者が包装箱を詳細に見ることにより、包装箱内にOCRソフトウェアが同梱されていること、あるいは商品の特長として付加されていること自体が商品価値を高めて購買意欲が喚起されるという実質的な作用を奏するとしても、自他商品を識別する機能を果たすことはない。
同様に、乙第3、4号証の内容を参照するも「RosettaStone」「ロゼッタストーンVer.3.0」の文字は商品に標準添付されたOCRソフトウェアの名称としてのみ理解され、自他商品識別機能を果たすものではない。乙第5、6号証は「Rosetta-Stone-Components」がコンポーネントであることを明確にする以上の意義のないことは上述の通りである。
以上のように、各乙号証における本件商標ないしその英文字表記は、自他商品識別標識として機能するような態様での使用、すなわち「商標的使用」がなされていない。商標の自他商品識別機能を保護することにより競業秩序の維持を図るという商標法の目的に照らせば、商標法50条にいう「使用」とは自他商品識別機能を発揮可能な状態に置く「商標的使用」を意味することはいうまでもないので、結局各乙号証に拘わらず、本件商標は実質的には使用されていない。
(4)被請求人は乙第2号証の包装箱裏面の右下隅の「Web Lt QYKA0100004」の記載は2000年10月に製造されたことを表し、乙第3号証の包装箱の右下隅の「RFSA1030054」の記載は2001年3月に製造されたことを表し、また乙第4号証の裏表紙の右下隅の「0900SZ35」は2000年9月に発行されたことを示すと主張しているが、信用できない。少なくとも包装箱及びカタログの製造者名、製造者からの納入があった事実、カタログを小売店に配布した事実、さらに製品自体を小売店に卸したり需要者に販売した事実を明らかにされたい。
乙第5号証の右下隅の日付は2003年3月20日であり、左下隅の日付は2003/6/13であって、いずれも本件審判予告登録日(平成15年3月5日)以前の使用を証明するものではなく、このようなプレゼンテーション資料は、むしろ新製品の発売に際して営業担当者向けのプレゼンテーションのために製作したと考えるのが自然であるし、そもそも私文書であって客観的証明力に欠ける。
甲第6号証は、キヤノン販売株式会社の社員が製作した報告書に過ぎず、これだけではその内容に関して何らの証明力もない、と断ぜざるを得ない。
(5)以上のように、被請求人の主張は失当であり、被請求人らが本件商標をいずれかの指定商品について本件審判請求登録前3年以内に使用した事実は証明されていないから、本件商標の登録は商標法50条1項の規定により取り消されるべきものである。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第9号証を提出した。
1 本件商標は、普通に用いられる態様のカタカナ文字で一連に「ロゼッタストーン」と書してなるものである。
2 請求人は、本件商標をその指定商品中の「電気通信機械器具,電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク及び磁気テープ,その他の電子応用機械器具及びその部品」について、今日に至るまで継続して3年以上にわたり、被請求人、専用使用権者、通常使用権者の何れによっても日本国内において使用されていないと主張している。
しかしながら、被請求人及び被請求人の通常使用権者であるキャノン販売株式会社は、本件商標を本件審判の請求の登録日である平成15年3月5日前3年以内に日本国内において、その指定商品である「電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク及び磁気テープ,その他の電子応用機械器具及びその部品」に属する商品である「OCRソフトウェア」及び「OCRプログラム」について使用しているものであるから、「電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク及び磁気テープ,その他の電子応用機械器具及びその部品」については本件審判の請求は成り立たないものである。
3 被請求人は、平成9年7月頃よりOCRソフトウェア及びOCRプログラムの商標として、本件商標「ロゼッタストーン」及びその英文字態様である「RosettaStone」を使用しているものである。(乙第2号証ないし乙第6号証)
OCRとは、紙に印刷された文字を、スキャナ等で画像としてパソコン等に取り入れ、それを文字データに変換することである。そして、OCRソフトウェア及びOCRプログラムとは、活字を読み込み、文字データとしてパソコンに取り込むソフトウェア及びプログラムを言うものである。以下、本件商標の使用事実を乙各号証により立証することにする。
乙第2号証は、本件商標をOCRソフトウェアに使用している事実を証明する「ネットワーク対応ドキュメント管理ツール(メーカー品名CanoBureau Workgroup for Web Lt)の包装箱」である。同包装箱の表面には、本件商標の英文字態様である「RosettaStone」を付したOCRソフトウェアが同梱されていることが表示されている。また、同包装箱の裏面には本件商標が表示されている。なお、同包装箱の製品は、平成12年(2000年)10月に製造され、現在も販売が継続しているものである。同包装箱裏面の右下隅に「Web Lt QYKA0100004」の記載があるが、同記載の数字部分のうち上3桁が本製品の製造年月を表している。つまり、同記載のうち「010」は、本製品が2000年(平成12年)の10月に製造されたことを表す。
乙第3号証は、本件商標をOCRソフトウェアに使用している事実を証明する「クライアント・サーバドキュメント管理ツール(メーカー品名CanoBureau Gold Workgroup Ver 2,1 for Web Lt)の包装箱」である。同包装箱の表面には、本件商標の英文字態様である「RosettaStone」を付したOCRソフトウェアが同梱されていることが表示されている。また、同包装箱の裏面には本件商標が表示されている。なお、同包装箱の製品は、平成13年(2001年)3月に製造され、現在も販売が継続しているものである。同包装箱裏面の下部中央に「RFSA1030054」の記載があるが、同記載の数字部分のうち上3桁が本製品の製造年月を表している。つまり、同記載のうち「103」は、本製品が2001年(平成13年)の3月に製造されたことを表す。 乙第4号証は、本件商標をOCRソフトウェアに使用している事実を証明する「ネットワーク対応文書管理システム(メーカー品名CanoBureau Workgroup Ver 2.1)のカタログ」である。同カタログ内において、本件商標の英文字態様である「RosettaStone」が日本語OCRソフトウェアの名称として表示されている。同カタログは、平成12年(2000年)9月頃より全国の各小売店で頒布したもので、現在も継続して頒布しているものである。同カタログ裏表紙の右下隅に「0900SZ35」の記載があるが、同記載の数字部分のうち上4桁が本カタログの発行年月を表している。つまり、同記載の数字部分のうち「0900」は、本カタログが2000年(平成12年)9月に発行されたことを表す。
乙第5号証は、本件商標をOCRプログラムに使用している事実を証明する商品説明用プレゼンテーション資料である。被請求人の通常使用権者で あるキャノン販売株式会社が、本件商標を使用したOCRプログラム及び同プログラムをベースに作成した文書管理システムの販売を行っており、その際に、キャノン販売株式会社の営業担当者は、同資料を用いて、顧客に商品説明を行っている。同資料表紙及び内部において、本件商標の英文字態様である「Rosetta-Stone」がOCRプログラムの名称として表示されている。
乙第6号証は、本件商標をOCRプログラムに使用している事実を証明する販売実績資料である。同資料において、本件商標の英文字態様である「Rosetta-Stone」がOCRプログラムの名称として表示されている。本販売実績資料に示すとおり、現在も本件商標の使用は継続されている。
4 以上の証拠により、本件商標は、本請求の指定商品に属する商品である「電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク及び磁気テープ,その他の電子応用機械器具及びその部品」については本件審判の請求の登録日前3年以内に、被請求人及び被請求人の通常使用権者であるキャノン販売株式会社により日本国において使用されていたことは明らかである。

第4 当審の判断
1 被請求人が本件商標の使用の事実を示すために提出した乙第2号証ないし同第4号証及び同第7号証によれば、次の事実が認められる。
(1)乙第2号証(キャノン販売株式会社のワークグループ用文書管理ソフトウエア「CanoBureau Workgroup」の包装箱)によれば、その包装箱表面右下には、「同梱」「高性能OCRソフト」「RosettaStone Ver.3.0」と、その裏面には、六つある特長の一つとして「特長5 OCR機能 〜なお、本機能には認識率の高さで定評のある『キャノンロゼッタストーンVer.3.0』の技術を採用しています。」と記載され、また、「Web Lt QYKA0100004」と印字されていること。
(2)乙第3号証(キャノン販売株式会社の文書管理ソフトウエア「CanoBureau Workgroup Gold Ver2.1」の包装箱)によれば、その包装箱表面右下には、「同梱」「高性能OCRソフト」「RosettaStone」と、その裏面には、六つある特長の一つとして「特長5 OCR機能 〜なお、本機能には認識率の高さで定評のある『キャノンロゼッタストーンVer.3.0』の技術を採用しています。」と、及びバーコード下に「〜RFSA1030054」と記載されていること。
(3)乙第4号証(「CanoBureau WorkgroupVer 2.1」の商品カタログ)によれば、「インターフェイス」の項の説明文中に「〜また、標準添付の日本語OCRソフト“RosettaStone”により、紙文書からテキストデータ抽出も可能です。」及び「文書管理を簡単・効率的に」の表題の下での説明文中に「〜標準添付の日本語OCRソフトウエア“RosettaStone”によりテキストデータの抽出も実施でき、情報の有効活用と再利用、さらに効率的な共有を実現します。」と記述され、裏表紙には、「RosettaStoneの主な仕様」の説明があること、及び右下に「0900SZ35」と記載されていること。
(4)乙第7号証(包装箱等に関するシリアル番号ルール表)によれば、乙第2号証の「Web Lt QYKA0100004」中「0100004」の意味するところは、2000年10月の製造番号4の製品であること。
同じく乙第3号証の「RFSA1030054」の意味するところは、2001年3月の製造番号54の製品であること。同じく乙第4号証の「0900SZ35」の意味するところは、2000年9月に発行されたものであること。
2 以上の事実及び答弁の全趣旨によれば、本件商標を構成する片仮名文字「ロゼッタストーン」及びその欧文字表示である「RosettaStone」(なお、両者は共に「ロゼッタストーン」(ロゼッタ石)の称呼、観念を生ずる。)は、本件審判請求の登録前3年以内である2000年(平成12年)9月に、商標権者及び通常使用権者と推認し得るキャノン販売株式会社により本件審判の請求に係る商品に含まれる「日本語OCRソフトウエア」を標準添付した「文書管理ソフトウエア」の広告宣伝を目的とした商品パンフレットに、また、2000年(平成12年)10月及び2001年(平成13年)3月に通常使用権者により「文書管理ソフトウエア」に同梱された「日本語OCRソフトウエア」について、それぞれ日本国内において、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を自他商品識別機能を果たす態様で使用していることが認められる。
したがって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により、指定商品中「電気通信機械器具,電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク及び磁気テープ,その他の電子応用機械器具及びその部品」についての登録を取り消すことはできない。
なお、請求人は、「OCRソフトウエアは、『CanoBureau Workgroup』に同梱されている付属品ないし付加されている機能の一つに過ぎず、それ自体独立して取引の対象となている商品とは認められないから、商標法上の商品に該当しない。」旨主張している。
しかしながら、商品「ソフトウエア」の取引の実情をみると、ソフトウエアの販売形態として、ソフトウエア単独で販売されている他に、ハードウエアに同梱された状態で、又はプリインストールされた状態で販売されたり、独立したソフトウエアを複数収録し、これを一つの纏まった商品として販売されている実情にあるところ、需要者は、ソフトウエア単独で販売されている商品以外の商品選択に当たって、商品パッケージ等に付されたソフトウエアに係る商標によって識別できる状態にある。
殊に、「OCRソフトウエア」は、その機能的特質から単独のソフトウエア商品として販売されるより、寧ろイメージスキャナー等のハードウエアと共に同梱されるソフトウエアとして、或いはドキュメント管理ツールの総合アプリケーションを構成するソフトウエアの一つとして販売されることの多い特性をもった商品といえるものである。
かかる商取引の実情を勘案すれば、同梱された商品が商標法上の商品でないとまでいい得ないものとみるのが相当であるから、請求人のこの点の主張は採用する限りでない。
更に、同人は、「需要者は『RosettaStone』ないし『キャノンロゼッタストーンVer.3.0』の表示を自他商品を識別するための標識して把握することはなく、単なる商品の付属品あるいは商品に付加された機能の名称と理解できるにとどまり、商標的使用に該当しない。」旨主張するが、前述のとおり、ソフトウエアの商取引の実情及び「文書管理ソフトウエア」(乙第2,3号証)のパッケージ全体の構成文字等をを併せ考慮すれば、同梱された「日本語OCRソフトウエア」の商標としての使用と認められるものであり、また、同様に「商品パンフレット」(乙第4号証)の記載内容に照らして、標準添付された「日本語OCRソフトウエア」の商標としての使用と認められるものである。
したがって、同人のこの点の主張も採用することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2004-08-27 
結審通知日 2004-08-30 
審決日 2004-09-10 
出願番号 商願平6-108407 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (009)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 吉田 静子 
特許庁審判長 佐藤 正雄
特許庁審判官 山本 良廣
宮川 久成
登録日 1999-07-16 
登録番号 商標登録第4295920号(T4295920) 
商標の称呼 ロゼッタストーン、ロゼッタ、ストーン 
代理人 初瀬 俊哉 
代理人 西山 恵三 
代理人 網野 友康 
代理人 岸田 正行 

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