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審決分類 |
審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 101 |
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管理番号 | 1121564 |
審判番号 | 取消2004-31510 |
総通号数 | 69 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2005-09-30 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2004-11-18 |
確定日 | 2005-07-29 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第2221346号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第2221346号商標(以下「本件商標」という。)は、「PASSION」の文字を横書きしてなり、昭和62年6月17日登録出願、第1類「化学品(のりおよび接着剤を除く)薬剤」を指定商品として、平成2年4月23日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。 2 請求人の主張 請求人は、本件商標の指定商品中「薬剤」についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を次のように述べ、本件商標に係る商標登録原簿を提出した。 (1)請求の理由 本件商標は、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者により、その指定商品中の「薬剤」について使用された事実がない。 したがって、本件商標は、その指定商品中「薬剤」について、商標法第50条第1項の規定により、登録を取り消されるべきものである。 (2)答弁に対する弁駁 被請求人は、本件商標について、株式会社浅田飴(以下「浅田飴」という。)に対し、通常使用権を許諾していることを示す証拠を提出していないから、本件商標について、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において通常使用権者がその請求に係る指定商品の「薬剤」についての登録商標の使用をしているとは証明されず、認められない(本件商標に係る商標登録原簿参照)。 3 被請求人の主張 被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証の1ないし乙第3号証を提出した。 被請求人(商標権者)は、本件商標について、浅田飴に対し、通常使用権を許諾しており、通常使用権者は、その業務に係る商品「固形浅田飴」(鎮咳去痰薬)に本件商標を使用している(乙第1号証の1ないし乙第3号証)。 したがって、本件商標の登録は、取り消されるべきものではない。 4 当審の判断 (1)本件審判において、請求人は、使用に係る商標が本件商標と社会通念上同一と認められる商標であること、その使用が本件審判の請求の登録前3年以内であること及び使用に係る商品「鎮咳去痰薬」が請求に係る指定商品「薬剤」の範疇に属する商品であることについて、争うことを明らかにしていていない。 そこで、本件商標と社会通念上同一と認められる商標が本件商標の通常使用権者によって使用されたものであるか否かについて検討する。 (2)我が国の商標法は、第30条、第31条において、登録商標の使用許諾制度を認めている。一方、同法第37条において、侵害とみなす行為を規定している。 そして、商標権者は、自己の登録商標について、不使用取消審判が請求された場合は、被請求人(商標権者)が当該登録商標の使用の事実を証明しなければ、その商標登録の取消しを免れないところ、自己の登録商標を通常使用権者が使用していることについて証明する場合、商標権者とは全く関係を有しない第三者が当該登録商標を使用する事実をもって、当該登録商標の使用の事実を証明することは、商標権の侵害との関係からみても、通常考えられないところであり、かつ、一般的に通常使用権に関する契約は、商標権者又は専用使用権者との間で交わされる商標権使用許諾契約に基づいて発生するものであって、右契約は、商標権者等と使用者との意思表示の合意によって成立するものであるから、必ずしも書面による必要はないと解されることを併せ考慮すれば、仮に当該登録商標を通常使用権者が使用することについて商標権使用許諾契約書が存在しないとしても、そこには黙示の使用許諾があったものと推認するのが合理的であるといわなければならない。 これを本件についてみれば、仮に被請求人と浅田飴との間に、本件商標についての通常使用権の許諾に関する契約書が存在しないとしても、両者の間には黙示的に浅田飴が本件商標を使用することについて了解があったものと解することができ、浅田飴は、本件商標の通常使用権者とみて差し支えないというのが相当であるのみならず、被請求人は、本件商標について、浅田飴の前身と認められる株式会社堀内伊太郎商店(浅田飴のホームページ中の「歴史資料館」http://www.asadaame.co.jp/contents/oitachi.htmlなど)との間で締結した、使用の期間を「商標権の存続期間(更新も含む。)中」とする昭和62年12月24日付け商標通常使用権許諾契約書を提出したところである。 そうすると、浅田飴は、本件商標の通常使用権者と認めることができる。 なお、請求人は、浅田飴が本件商標の通常使用権者でないことの理由の根拠として、本件審判の請求の登録前に本件商標についてその商標登録原簿に通常使用権の設定の登録がされていない旨述べ、本件商標の商標登録原簿を提出しているが、商標権についての通常使用権の設定は、登録をその効力要件とするものではない(商標法第31条第4項において準用する特許法第99条第1項)から、本件商標の商標登録原簿に通常使用権の設定の登録がされていないことをもって、浅田飴が本件商標の通常使用権者ではないということはできない。 (3)以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録(平成16年12月8日)前3年以内に日本国内において、通常使用権者が本件請求に係る指定商品中の「鎮咳去痰薬」について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していたことを証明したというべきである。 したがって、本件商標の登録は、その指定商品中「薬剤」について、商標法第50条の規定により、取り消すことはできない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2005-06-01 |
結審通知日 | 2005-06-06 |
審決日 | 2005-06-17 |
出願番号 | 商願昭62-70313 |
審決分類 |
T
1
32・
1-
Y
(101)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 今井 信治 |
特許庁審判長 |
茂木 静代 |
特許庁審判官 |
津金 純子 佐藤 達夫 |
登録日 | 1990-04-23 |
登録番号 | 商標登録第2221346号(T2221346) |
商標の称呼 | パッション |
代理人 | 佐鳥 宗一 |