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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 104
管理番号 1119816 
審判番号 取消2004-31213 
総通号数 68 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2005-08-26 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2004-09-15 
確定日 2005-07-08 
事件の表示 上記当事者間の登録第1975686号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第1975686号商標(以下「本件商標」という。)は、「BRILLIANT」の文字と「ブリリアント」の文字を二段に横書きしてなり、昭和59年10月16日登録出願、第4類「せっけん類、歯みがき、化粧品、香料類」を指定商品として、同62年8月19日に設定登録され、その後、平成9年7月15日に商標権存続期間の更新登録がされ、現に有効に存続しているものである。

第2 請求人の主張の要旨
請求人は、本件商標の指定商品中「せっけん類,化粧品」についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかにより請求に係る指定商品について使用された事実がない。
よって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により、その指定商品中「せっけん類,化粧品」についての登録を取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
(1)商標権使用許諾契約書(乙第1号証)の第1条によれば、通常使用権の許諾期間は、平成14年3月1日より10年間となっているが、その契約締結日は平成15年2月25日であり、契約締結日が許諾開始日より1年近くも遅くなっており、不自然である。
(2)被請求人と通常使用権者とは、これまでに本件商標について通常使用権の設定登録を行っている(甲第2号証)。然るに、今回は、通常使用権の設定登録を行っていない。また、前回の通常使用権の期間の満了日の平成9年8月19日から今回の商標権使用許諾契約書の許諾開始日の平成14年3月1日まで、5年近く不使用の期間があった後に再び通常使用権の契約を行うことは一般的に考えて不自然である。
(3)上記商標権使用許諾契約書の契約者は、通常使用権者は会社の代表取締役の名前で記名捺印しているにもかかわらず、商標権者は会社の代表取締役でなく知的財産部長の名前で記名捺印している。通常この種の契約はそれぞれの会社の代表取締役の名前で記名捺印することを考えると不自然である。
(4)そこで、請求人は、商標権使用許諾契約書の内容について以上の不自然に鑑み、商標権使用許諾契約書の第2条第1項に記載された内容を確認できる資料、例えば、商標権者の口座に通常使用権者から振り込まれた写し、商標権者のその受領の写し、その収支についての商標権者及び通常使用権者の会計帳簿の写し、及び知的財産部長の名前で記名捺印した契約が商標権者による通常使用権許諾契約として有効であることを示す根拠、例えば、商標権者の会社の契約当時の勤務規則等、契約書に捺印された印鑑の有効性、について被請求人に対し証拠資料としてその開示を要求する。

第3 被請求人の答弁の要旨
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第5号証(枝番を含む。)を提出した。
1 使用の事実
(1)乙第1号証は、商標権者と通常使用権者であるイオナインターナショナル株式会社(以下「イオナ社」という。)との間の商標権使用許諾契約書である。これによれば、イオナ社は、平成14年3月1日より10年間、本件商標をその指定商品中「せっけん類、化粧品」について使用することを許諾されている。
(2)乙第2号証は、イオナ社の販売店用製品ガイドである。ここでは、請求に係る指定商品中の「洗顔せっけん(ソープ)」として、ケースなしとケース付の2種類の商品に「ブリリアント」という商標を付して販売されていることが分かる。また、同じく「化粧水(スキンローション)」、「保湿クリーム」、「乳液(エマルジョン)」に「ブリリアント」という商標を付して販売されていることが分かる。さらに、裏表紙にも、上記商品について「ブリリアント」の商標が記載されている。
(3)乙第3号証の1ないし4は、実物の商品の写真である。
乙第3号証の1は、「洗顔せっけん」であり、正面中央に「Brilliant」が付されている。乙第3号証の2及び3は、それぞれ「化粧水」、「保湿クリーム」であり、これらの正面中央にも、「Brilliant」の商標が付されている。また、いずれの商品も乙第3号証の4のように、上面中央に単独で「Brilliant」の商標が付されている。
(4)乙第4号証の1ないし3は、上記(2)及び(3)の商品が販売されていることを示す納品書である。
乙第4号証の1は、乙第2号証の「乳液(エマルジョン)」、「保湿クリーム」、「化粧水(スキンローション)」といった商品に関する納品書であり、これより、イオナ社が2004年7月22日付けで、千葉県柏市にある株式会社井田両国堂 東部店 柏センターへこれら商品の納品を行ったことが確認される。例えば、「トリートメントエマルジョン」は、乙第2号証の「トリートメントエマルジョン ブリリアント」を示しており、本体価格の「¥4000」という表示、及びバーコードの下にある数字「4955273000034」が、ガイド及び納品書でそれぞれ一致するものである。
乙第4号証の2及び3も同様であって、前者は2004年7月22日付け(23日着)で、井田両国堂の柏センターへの納品が、後者は2004年8月5日付け(8月6日着)で、井田両国堂の船橋店への納品がそれぞれ確認される。
(5)本件商標の付された商品は、小売店においてインターネットを通じても販売されている(乙第5号証)。ここでは、「保湿クリーム」が「まるもと」という小売店より販売されていることが分かるが、この商品は、同店のカタログには2004年6月10日(木曜日)に登録されたことが記されており、この時点における本件商標の使用を証明するものでもある。
2 以上により、本件商標は、本件審判の請求の登録前3年以内に、通常使用権者であるイオナ社により、請求に係る指定商品について使用されていることは明らかである。また、使用に係る商標の態様も、本件商標と社会通念上同一と認められる範囲を出ないものである。

第4 当審の判断
1 請求人は、本件審判において、使用に係る商標が本件商標と社会通念上同一の範囲内のものであること、使用に係る商品が請求に係る指定商品中の「せっけん類,化粧品」の範疇に属するものであること及び使用の時期が本件審判の請求の登録(平成16年10月6日)前3年以内であることについては、争うことを明らかにしていない。
そこで、イオナ社が本件商標の通常使用権であるか否かについて以下検討する。
2 乙第1号証によれば、商標権者とイオナ社は、本件商標に関し、平成15年2月25日に、その指定商品中の「せっけん類,化粧品」について、平成14年3月1日より10年間イオナ社を通常使用権者とする商標権使用許諾契約を締結したことが認められる。
そうすると、イオナ社は、本件商標の通常使用権者と認めることができる。
そして、通常使用権者たるイオナ社は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、請求に係る指定商品中の「洗顔せっけん」、「化粧水(スキンローション)」、「保湿クリーム」、「乳液(エマルジョン)」に本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していたものと認めることができる。
3 請求人の主張について
請求人は、商標権使用許諾契約書について、その契約締結日は許諾開始日より1年近くも遅くなっている、被請求人と通常使用権者は、これまでに本件商標について通常使用権の設定登録を行っているが、今回は通常使用権の設定登録を行っていない、商標権使用許諾契約書の契約者は、一方が会社の代表取締役名であるのに対し、他方は会社の知的財産部長名でしているから、その内容が不自然である旨主張し、さらに、商標権使用許諾契約書の第2条第1項に記載された内容を確認できる資料等の提出を求めている。
しかしながら、前記認定のとおり、商標権者とイオナ社は、本件審判の請求の登録前3年以内である平成15年2月25日に、本件商標の指定商品中の「せっけん類,化粧品」について、平成14年3月1日より10年間イオナ社を通常使用権者とする商標権使用許諾契約を締結したことが認められるのみならず、たとえ商標権使用許諾契約書の締結日が使用許諾開始日より約1年遅いものであるとしても、商標権者とイオナ社は、過去において商標権使用許諾契約を締結していたこと(甲第2号証)、一般的に通常使用権に関する契約は、商標権者又は専用使用権者との間で交わされる商標権使用許諾契約に基づいて発生するものであって、右契約は、商標権者等と使用者との意思表示の合意によって成立するものであるから、必ずしも書面による必要はないと解されることを併せ考慮すれば、両者間には黙示的に、本件商標の商標権の使用許諾に関する了解があったものとみるのが相当である。
また、商標権についての通常使用権の設定は、登録をその効力要件とするものではない(商標法第31条第4項において準用する特許法第99条第1項)から、請求人のいう「今回は通常使用権の設定登録を行っていない」としても、商標権者とイオナ社との間に締結された商標権使用許諾契約に何ら影響を及ぼすものではないし、上記のように、商標権使用許諾契約は、必ずしも書面による必要はないものであるところからすれば、商標権使用許諾契約書の契約者が常に会社の代表取締役でなければならないとすることもない。そして、他に本件における商標権使用許諾契約書がその記載内容等について特段不自然な箇所があるものとも認められない。
したがって、上記に関する請求人の主張は失当であり、他に商標権使用許諾契約の成立に関する資料を求めるまでもなく、イオナ社は、本件商標の通常使用権者と認めることができる。
4 むすび
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、通常使用権者が本件請求に係る指定商品中の「洗顔せっけん」、「化粧水(スキンローション)」、「保湿クリーム」、「乳液(エマルジョン)」について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していたことを証明したというべきである。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、その指定商品中「せっけん類,化粧品」について、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2005-05-10 
結審通知日 2005-05-16 
審決日 2005-05-27 
出願番号 商願昭59-108751 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (104)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 大橋 良三 
特許庁審判長 茂木 静代
特許庁審判官 津金 純子
佐藤 達夫
登録日 1987-08-19 
登録番号 商標登録第1975686号(T1975686) 
商標の称呼 ブリリアント 
代理人 木村 吉宏 
代理人 小谷 武 
代理人 原崎 正 

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